【本編一旦完結】たすてけ勇者一行がくぁwせdrftgyふじこlp【原作更新待ち】 作:丹羽にわか
後半でナーリン視点入ります
「お話し中に失礼するよ。随分、好き勝手やってたみたいだね、ソリテール」
「邪魔が入ったわね。さて、どうしようかしら」
「ユーベル、様」「ユーベル!」
立つのもやっとなフェルンと魔法で拘束されたシュタルクが声を上げる。
「無事……じゃなさそうだけど、生きてて良かったよ二人とも」
全身に痣や切り傷を負ったユーベルは、二人を見てそう言いながらソリテールから少し距離を取って杖を構える。
「楽しくお話ししている時に横入りはマナー違反よ、ユーベル」
「まあそう言わないでよ。というか、フェルン達は全然楽しそうじゃないし」
「そう? 私は楽しいわ。とってもね」
ソリテールは余裕の態度を崩さない。
ユーベルの扱う魔法については情報を得ている。
術者のイメージによって切れるか否かが変わる魔法。
ゼンゼの魔法で変質した髪を容易く切断する一方で、防御魔法や鉄といった『切れるイメージが出来ないもの』は絶対に切れない。そんなピーキーな魔法。
ソリテールの保有する大量の魔力による魔力防壁や魔力の盾は、物理的にも魔法的にも突破は困難な代物だ。
(フェルンちゃんのゾルトラークに私の防御魔法は対応できない。目が慣れたから発動は間に合うけど、魔力の分散処理が追い付かないほどの密度。だから、この盾を使う)
加えて、“それ“を切れるイメージが出来る筈もないという結論を、まっとうな
故の
(クラウちゃんは戦闘中。ゼンゼ一人相手に粘られて……いや、押されてるのか。何か対抗手段を講じられた? 気になるけど)
「まあいいや──」
ユーベルが距離を詰めてくる。
(今はコレを殺し……いや、それはお姉様に相談しないとか。動けない程度に痛めつけてお話も切り上げないと)
ソリテールは思考を回しつつ手を翳して即座に魔力の盾を展開した。
フェルンの放つ高圧縮のゾルトラークすら防ぎきるそれ。かつて狡智の大魔が見せた技術を自分なりに研鑽し昇華させた技。
そこには
ユーベルの一撃を防ぎ、反撃で魔力をぶつける算段を立てる。
「──
刹那、悪寒。
「──ッ」
ソリテールは咄嗟に斜め後ろに飛び退る。
縦に振り抜かれた杖。放たれる魔法。不可視の刃によって魔力の盾は布を裂くように斬り裂かれ、霧散する。
「ッ!!」
薄く斬り裂かれた手の平に走る痛み、そして魔力の盾が破られた事実に表情を歪めるソリテール。
その瞬間を二人は見逃さなかった。
「閃天撃!!」
「
術者が離れた事により効果が消えた拘束魔法から解き放たれたシュタルクは斧で斬り上げ、フェルンは即座にゾルトラークを放つ。
だが、ソリテールは長い年月を生きた大魔族だ。そう易易とやられはしない。
「ぐッ──!!」
自身の心臓を狙うゾルトラークが一番致命的だと即座に判断し、魔力の盾の構築は間に合わないと左腕に魔力を集中し纏わせ防御する。
密度が足らず手を焼くが、それでも防ぎ切った。
シュタルクの一撃により逆袈裟に胴を斬られたが、痛みこそあれ致命傷ではない。
「──ア゛ァッ!!」
魔力を凝縮し地面に向けて爆発させ、衝撃と砂塵を撒き散らす。
なりふり構わず距離を取るためだけの行動だった。ソリテールの近くにいたシュタルクとユーベルは飛び退く事で回避し、フェルンの元まで下がる。
「ふ、ふふ、こんなに傷を負ったのはいつぶりだろう。痛いね。とても、痛い」
砂煙が晴れ、満身創痍といった姿のソリテールが現れる。
左手は骨が見えるほどに肉が削がれ、胴は斜めに一筋の傷痕が刻まれている。鮮血がポタポタと地面に滴り、魔力がじわじわと漏れていた。
「助かったぜユーベル。あっちはどうなった」
「ゼンゼさんが残ってるよ。私が居なくてもどうにかなりそうだったからね、援護に行けって追い出されちゃった。それにしても」
不思議そうな表情でソリテールを見つめながらもユーベルは答えた。
「なんか浅いなあ。手応えも変だったし。でもシュタルクの斧は通ってる。小細工か何かしてるよね?」
自身の魔法の射程を考えれば、ソリテールは翳した手ごと真っ二つになっているはずだった。ユーベルは訝しむ。
「……まさか、私の魔力の盾をあの程度の魔法が切り裂くなんて」
「無視、それに程度、なんて酷いなあ。だってアレ、ただ魔力を集めてるだけじゃん。なら切れるでしょ?」
「──」
ユーベルの言葉に場の空気が凍りついた。ソリテールは微かに目を見開いている。人間ならば絶句している程の衝撃を受けていた。
「……なあ、そういうもんなの?」
シュタルクが傍らのフェルンに話しかける。
「……いえ、圧縮された膨大な魔力はそれだけで強固な防壁となるのですが……
「まあ理屈は知ってるけどさ、うーん、よくわからないんだよね。魔力ってエネルギーだしさ、それをギュッと集めたら硬くなって防御できるって言われても、ねぇ? これまで見たことも無いし」
「えぇ……」
あっけらかんと言うユーベルにドン引くシュタルクとフェルン。
「……そうか。その魔法は原理や法則云々以前にイメージだけで切れるかが決まる。まさか君の無知、浅学故に突破されるなんて想定外だ」
「これバカにされてるよね? 知ってるって言ったよ私」
ユーベルは知性で下した判断を感性で捻じ伏せている。その事を理解しつつもソリテールは意趣返しに煽る。そして、チラリと手の平を浅く裂いた傷痕を見る。
(魔力の盾を突破された理由は理解できた。それなら、どうして薄くだけどその魔法で私の身体まで切られたのか。私は今、"マハトの黄金"だと認識されている筈……)
一瞬の思考。ユーベルの常人とは程遠い感性、そのイメージを組み込んで推測する。
(──いや、"黄金"だからか。金は柔らかい金属。それこそ金貨を噛めば歯型がついたり、爪でかけば傷つくほどに。両断とはいかなくても、表面を削るイメージは出来る、と)
結論に至ったソリテールの口角が上がる。
「……くふっ、ふふふふっ!! とても人間の魔法とは思えないね。むしろ私達魔族に近い、自己完結した魔法だ。君が今の時代を生きる人間だったのは不幸だったかもね。魔王軍があった頃の魔族だったら、七崩賢に名を連ねていてもおかしくない」
魔族として生まれ長い時を重ね研鑽すれば『万物を切り裂く魔法』に至っていたかもしれない。それほどの魔法だとソリテールはユーベルの精神性含めて評価した。
「流石に魔族なんかと同類扱いはイヤだな。だから、ここで殺すね?」
「正念場だな」
「必ず仕留めます」
嫌悪感を顔に滲ませたユーベル、表情を引き締めたシュタルクとフェルンが構える。
(……これは、マズイかな。驕りではなく余裕だと思っていたけど。まさか、私の最期がお姉様じゃなくて、油断と慢心をつかれて人間にやられるだなんて、とても魔族らしい……だけど……嫌ね)
ソリテールはどうすれば今の状況を切り抜けられるか考え──。
──黄金の
「癪だけれど、マハトに助けられた、か」
ソリテールは黄金と化したフェルン達と周囲の景色を見てほっと息を吐く。
「広範囲に及ぶ程に
ソリテールはそこではっと振り向いた。
「──お姉様」
ヴァイゼから戦場全体を俯瞰し観測していたナーリンの魔力反応が動いていた。ソリテールの方に向かって。
少し待つと、空から青い肌の少女が降りてくる。真紅の瞳がジッとソリテールを眇め、その視線にびくりと身体が震えた。
「ソリテール、此方にとっては其方も研究対象だというのに、その有様か。少々、自覚が足らないようだな」
「──っ」
「まあいい。クラウもゼンゼ相手に逆転された。機転と発想、そして勇気に天運。人類とは恐ろしいものだ」
「……そうね。改めて、身に沁みたわ」
ズキズキと痛む傷口に指を沿わせながらソリテールは頷く。魔力量も魔法技術も身体能力も何もかもが格下の人間達相手にここまで追い詰められた。その事実は重い。
「クラウを付ける。ソリテールは撤退しろ」
「お姉様は?」
「其方らを追い詰めた人類の力、どの程度のものか興味が湧いた。確認するには良い機会だろう」
「……確認? フリーレン達は黄金に変えられているのよ?」
「気づいていないのか。彼奴め、既に目覚め
「──え?」
淡々と言われ、咄嗟にソリテールは魔力探知に意識を向けるが分からない。負傷による影響で探知の精度が低下しているようだった。
「……ダメみたいね。大人しく逃げるわ」
「そうするといい」
そして、生成された
その背を見送り、ナーリンは踵を返した。
あ、焦った……。
まさか、ユーベルの魔法でソリテールの防御が破られるとは思わなかった。
一級試験の記憶からあの魔法がイメージに左右される事は分かっていたけども、魔力の凝縮による防御は魔法使いならばその理屈にすぐ気付くし、ソリテールのあの盾を突破出来るとはまずイメージ出来ない。それが簡単に斬り裂かれて……ユーベルの感性どうなってんだ? ホントに人間か?
マハトが発動した
しかも、フリーレンは土壇場で記憶の解析を終えてディーアゴルゼを完璧に対処したみたいだ。流石主人公。
ただ、困ったことがある。
今のソリテールは負傷で弱っているし、魔力探知も隠蔽も随分拙くなっている。フリーレン達に追撃されたら間違いなく殺されるという事。
だから、俺が残る。ソリテール達が結界を抜け、捜索されても間に合わない程度に離れるまで。
この場にいる敵戦力としてハリボテ大魔族の威を全開にして牽制して、膠着状態に持っていければ良いんだが。戦いたくない。
はあぁぁぁ、ソリテールの所業を考えたら見捨てるべきなんだろうけど、俺は『お姉様』だからな。
フリーレンは……うろちょろしてるけど仕掛けては来ない、か。そのまま大人しく……これは、デンケンを解呪したか?
って、何かマハトが近付いてくるんだけど。逃げたい。流石に逃げられない。やめてくれよ。来んな。帰れ。回れ右しろ。
「確かに、俺はデンケン様やフリーレンを黄金に変えたはずだ。何故、魔力反応がある」
……はぁ? どうした急に。
それに何故って、お前の魔法を解呪&無効化したからだろうに。
「理解できない。俺の魔法の原理を解明したのか? 人類が?」
それは……どうだろう。俺は一端の研究者という自負はあるけど、マハトの魔法の原理の解明には取っ掛かりすら掴めていない。
フリーレンが解明に至った可能性はあるけれど、別のアプローチで対処した線もあるし。
そんなに気になるなら訊きに行けば?
「成程。ソリテールの"お話"とやらはそうやって仕込んだのか」
なんか物凄い風評被害。否定は微妙にし辛い。耳が痛い。
「何処を見ている。さっさとフリーレン達を殺すぞ」
なんでそんなに自信満々……ああ、そういやマハトはフリーレンの魔力制限を知らないのか。
この場で伝えても信じないだろうなあ。それくらい、魔力制限ってのはこの世界の常識からして頭のおかしい所業だし。
魔族はその習性的に。人間はその短命故に。
戦力比はまだこっちに傾いてる。逃げるタイミングはフリーレンが他の仲間達を解呪した時か? その時にマハトが倒されてれば尚良し。
……フェルン達の近くで戦闘するのは、解呪される事を考えるとあまり良くない。
移動すべきだし、マハトは仕掛ける気満々だ。
ここは、腹を括るしかないか。
……痛いのも苦しいのもイヤだなあ。まずはペラ回して時間を稼……ぎたいなあ。
読了謝謝茄子!
ソリテール&クラウは戦線離脱。ゼンゼも戦闘中に黄金化した。出番はまだある。
魔族としての言動や人間としての情に振り回された結果、戦場に残る事を決めたナーリン。
フリーレンが目覚めるタイミングが遅ければ一緒に逃げてたけど、三者面談とかで時間を食ったせいでこうなった。自業自得。
この後は(恐らく)皆さんお待ちかねのフリーレンVSナーリン。人類サイドからになると思う。
ナーリンの認識干渉は、本人が"その程度"って思っているが故の微妙性能。魔法はイメージが全て。
感想評価お気に入りここすきクレメンス〜
原作の漫画orアニメは履修した?
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両方履修済み
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ミリしら