【本編一旦完結】たすてけ勇者一行がくぁwせdrftgyふじこlp【原作更新待ち】   作:丹羽にわか

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訪問介護に祝日は関係無いのだ(1ヶ月半ほぼ執筆してなかった作者の言い訳)

前半は前話のナーリン視点です


葬送のフリーレンVS狡智の大魔ナーリン②

 

 

 

 

 目線の先にはフリーレン達がいる。隣にはマハトがいる。

 

 あ゛〜〜〜〜〜! 殺気が! フリーレンから殺気が向けられてる!!

 

 死ぬ! 殺される!!

 

 今回ばかりはもう駄目かも知れない。

 

 ──ああほんと、どうしよコレ。

 

 なんかもう訳分かんなくなってきた。脚とか声震えてない? 宮仕えしてた時にそのあたり徹底的に取り繕うよう矯正したけど自信無くなってきた。

 

 いくら魔族の習性だからってさあ、魔法使い相手には魔力的に格上相手じゃない限り真っ向から戦うってやっぱりおかしくない?

 非合理的過ぎる。誰得なんだよコレ。フリーレン世界の魔族エミュ止めたい。つらい。でももう身体に染み付いちゃったし、今更過ぎる。

 

 クソッ! 過去の俺ぇッ! いざという時のデンケン爺さん達への助力の人手やら分身が撃破された時の対応の手間を惜しんで本体()が来たけどこの選択は明らかに失敗だったぞ!!

 

 ……いや、ソリテールが危うく死ぬ所だったのを防げたのは良い事だし、あの子の頼みを受け入れたのも足止めを選んだのだって俺だし、その辺りの選択の責任が自分にある事はもちろん分かってるんだけどさ。

 

 フリーレンもマハトも「さっさと殺ろう」みたいにバッチバチだし勘弁してくれよマジで。

 

 俺がさ、まあ昔の事とかから巡り巡って危険視されてるのはいい加減分かった。けど、そんなに躍起になって探して殺そうとする必要は無いでしょ? 何か被害出てる? 無いよね? そもそもフリーレン達の物語には余計な存在な訳だし、大人しくしてるし。

 

 ……オイサーストではちょっとやらかしたけど、ゼーリエっていうバケモン相手に降伏宣言したじゃん。断頭台のアウラとか他の魔族だって、ヒンメルが死ぬまでは大人しくしてたらしいし、魔族の生態的に格上の敵が居るならそれを避けるのはおかしくないのに。

 

 ヒンメルならそうするって? でも取り逃がしたアウラは放置だったみたいだけど。

 いや、寿命は普通の人間だったから仕方ないのか? 脅威度とかからの取捨選択って奴? それともアウラが余程上手く逃げてたのか? 旅が終わってからもクヴァールの封印を気にしてたりはしたみたいだし。

 

 それにしてもその、フリーレンって所謂『重い女』なのでは?

 

 少しめんど……うん。情が深いって言おう。

 

 ん、ソリテールは俺の魔力探知からは抜けたか? でも結界には辿り着いて無さそう。あの傷だから速度が出ないんだろうな。分身がもう一体出せれば運搬役と護衛役で分担出来たんだけど、今の術式じゃ無理だし、例え改変しても相当なデメリットが生まれるし。

 

 元の水鏡の悪魔(シュピーゲル)からして、本体の全魔力の分身への供給やら攻撃力防御力皆無やらサーチと複製の対象は迷宮内の存在のみやら見た目とコミュ力やら色々な制約があった上で、あのほぼ完璧な複製体を無尽蔵に生み出せていた訳で。

 

 ──ああもう! 思考が纏まらない! 兎に角、ペラ回して時間を稼がないと。

 

 ほらマハト、お前の(魔族)生そのものみたいな魔法が解除されて動揺してただろ? お話ししてきなさい。頼むから。

 

 ──さて、どうする。戦力的に爺さんの相手をしたいけど、それやるとマハトに背中から切られそうだからパス。つまり俺はフリーレンを相手にするしか無い。それでソリテールの離脱&ゼンゼ達が戦線復帰してきて戦力比があっちに傾く瞬間まで耐えて逃げるって感じ?

 

 難易度が高い!! 味方がいねえ!!

 

 でも、フリーレン達に俺があくまで『長生きして悪知恵をつけた魔族』っていう認識を抱かせたままにするには必要な事だ。魔族っていう前提があるからこそ、俺にも付け入る隙が生まれる訳で。

 

 って、マハトお前やらかしてんじゃねえか!?

 過去に取り逃がして一度魔法を解析&解除されてるとか……魔族らしい油断慢心ここに極まれりって感じ。驕るなー!!

 

 ……おい待てい! だからおっ始めようとするんじゃない!! マハトは兎も角、今も絶賛結界とかを解析してるフリーレンまでなんで時間稼ぎのお喋りに付き合わないんだ。理解出来ぬ。

 

 拍手でインターセプト! よし、次は俺から質問だ。フリーレンとかから質問してくれても良いんだけど……無さそう。これはバッドコミュニケーション。

 

 ええと、マハトはまあ色々やらかしたけど、一応共存しようという意思を持っている事は記憶を解析したなら分かってるよな? それでも殺……すわな、そりゃまあ。残当。

 

 相互理解の為とか言って人類殺す種族を放置するとか有り得ないか。というか魔王軍が人類を最盛期の三分の一まで減らしたとかマジ? やらかし過ぎだろ。

 

 ふざけんなよ魔王。何が相互理解だバカタレ。死ね! ……死んでたわ。

 

 ん? そういや『葬送のフリーレン』ってフリーレンが人間を知る為に旅をしてる物語だよな。

 

 ある意味、エルフと人間の相互理解が目的と言えなくもない。フリーレンはヒンメル達と一緒の時も人間を知らなかった。だからあのシーンで涙を流した。それでも10年を一緒に旅をしていた……共存できたってのは、暴論だけども相互理解が不要と言えなくもない……か?

 

 フリーレンさんはどう思います?

 

 エルフと魔族は違う? まあそれはそう。仰る通り。

 論破されたけど会話を続けないと。論点ずらしと屁理屈を並べ立てるのは昔から得意なんだ。

 

 そうだな……俺や一般ピーポーからすれば魔族もエルフも大差無くない? 長生きで概ね強いし見た目も違うし。魔族の習性だって衝動ってわけでもない。

 あと、対人間のコミュニケーションという点だと人を食わないように心がけた魔族と普通のエルフだと、前者の方が人間に溶け込めるよね。たぶん、これは種族としての習性、能力だと思うけど。いつぞやかソリテールに話したけど、魔族もエルフも将来的に人間に滅ぼされるだろってのはまず間違いないと思うわ。

 

 爺さん、昔のマハトはどんな感じ? ああ、やっぱり上手いことコミュってたんだ。

 マハトはこの後どうする? 成程。ソリテールの入れ知恵で随分穏当な案になったな。

 

 だからまあ、一応マハトや俺をここで殺さなくても暫くは被害が出ないと思うんですが……。

 

 報い? いや……爺さんが言うなら分かるけどさ、フリーレンのそれは復讐じゃん?

 故郷の集落を魔王軍に滅ぼされてたよな。玉座のバザルトだっけ。まあ動機としては十分なんだろうけどさ。

 いや、知ってはいたけど、ほんとそれだけ。……はぁ、あれ止めておけば何か変わったのかね。

 でも、あの場に居た魔族は勿論、軽く森を吹き飛ばすような魔法使いのフランメなんて相手にしたら見敵必殺されてただろうし。

 

 ゼーリエにも「貴方に勝てる訳が無いので大人しくしてます」って言ったのに殺してやるって返されたな。フリーレンとその関係者ってなんか殺意高くない?

 

 魔族がやらかしてきた事を踏まえれば当然か。絶望しかない。

 

 ……あのさあ、マハトも爺さんももうちょい待てない? そんなに戦うのがお好き? 俺には理解できないわ。

 

 ──なんか、フリーレンが杖を構えてこっちに向けてない?

 

 

「それじゃあ、私はナーリンを叩き潰す」

 

 

 ──あっ、これ死……。

 

 たすてけ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 ──ん? 俺、生きて……なんかよくわかんないけどフリーレンと距離が空いた!

 

 全力で後退! からの魔力を圧縮、成形して兎に角撃ちまくる!!

 

 弾幕薄いぞ! なんて言わせない。

 

 この魔力弾は防御魔法なら貫通できるし、標的に対してホーミングしたり、圧縮した魔力を解放して爆発させる事もできる。爆風自体は防御魔法で防げる程度だけど、進路を妨害するには十分。勿論、爆発させないことも出来るから、誘爆で弾幕に穴が空くなんて事はまずない。

 

 重要なのは俺に近寄らせず、大技を撃たせない事。

 その後? タイミングが来たらどうにかして逃げる。気合だよ気合。

 

 

 ──ひぃん!? 

 

 

 今ゾルトラークが障壁にぶち当たった!! また!! 削れてる!! 何であの弾幕を避けて迎撃しながら時々当ててくるんだおかしいよあのエルフ!! 赤い脇巫女か!? 天パか!? イレギュラーか!?

 

 身を隠したいけどこんなガチ戦闘中にまやかしの魔法なんて使えねえよ集中する暇なんて無い!!

 

 もうやだおうち帰りたい。

 

 どうしてこんな事になった?

 

 ……分かりきってる。

 

 ソリテールが殺されそうになっているのを俺が見過ごせなかったからだ。

 

 あの子は魔族だ。人喰いの化け物だ。これまで何人も殺してる。この世界のことを考えるなら、生きてちゃいけない存在だ。

 

 でも、俺にとっては可愛い妹分なんだよ。

 

 俺よりも背が小さい時から知っているんだ。

 

 途中で怖くなって逃げ出して、一方的に苦手意識を抱いてたのにどの面下げてって感じだけどな。

 

 ……ああクソッ!

 

 ソリテールも大事だけど、マハトと戦ってるデンケン爺さんも心配だ。

 

 相討ちとかいう、綺麗だけど救いのない結末が運命づけられてそうで。

 

 俺の見てる所で見知った誰かが死ぬなんて嫌だ。後悔しかない。

 俺は後悔を抱えたまま生きるなんて、死ぬより辛い事はしたくないんだ。

 

 どうか、お願いだから、死んでくれるなよ、爺さん。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、私はナーリンを叩き潰す」

「クハッ」

 

 

(魔力量はナーリンが上。ここは短期決戦が最善だろうね)

 

 フリーレンは初手で高圧縮のゾルトラークを選択した。

 

 魔力制限も気にしない。アウラとの戦いを見ていたソリテール経由で既に知られているだろうと判断した故の、正真正銘、全力の一射。

 

 着弾。そう認識した瞬間、フリーレンは吹き飛ばされていた。

 

「──ッ!?」

 

 フリーレンの全身を襲った不可視の衝撃。蹴られたボールのように飛ぶ彼女は高速で流れる景色の中で、身体中の鈍い痛みに眉をひそめながら姿勢を制御し着地する。

 

(瞬間的な魔力の放出? それでゾルトラークをかき消して、余波で私を吹き飛ばしたのか)

 

 馬鹿げた操作速度と精度だ、とフリーレンは内心嘆息した。

 

 実際には、殺気に反応し恐怖したナーリンが常と異なりその場で立ち竦むのではなく、反射的に身を守ろうと魔力を操作し前面に集中して凝縮。その外殻をゾルトラークが傷つけ、その一点からナーリンが注ぎ込み続けていた莫大な魔力がダムの放水のように溢れ出てゾルトラークごとフリーレンを吹き飛ばしたという、奇跡的な偶然の産物なのだが。

 

「……まずいね。距離と高度を稼がれた」

 

 フリーレンは眉をひそめ苦々しい表情を浮かべる。

 茜色に染まる空を背景に、ナーリンは空中に悠然と佇んでいた。互いの言葉が届かない、豆粒ほどにしか見えないような距離が両者にはある。

 四〇年前まで空は魔族や魔物が支配していた。魔王軍との戦闘で、頭を押さえた魔族が一方的に魔法で攻撃してくるのはかつてよく見られた光景だ。

 

 デンケンとマハトも戦闘を開始したようだが、徐々にその距離はヴァイゼの方へ離れていく。デンケンに任せると決めた以上、手出しをするつもりは無かったが余程横槍を入れられたくないらしい。

 

(──来る)

 

 ナーリンの周囲で魔力が高まり、光が瞬いた。

 ゾルトラークとは異なる光球が幾つも飛んでくる。

 反射的に防御魔法を発動しようとして、全神経が警鐘を鳴らした。皮膚が粟立つような感覚。フリーレンは短距離の高速移動魔法での回避に切り替える。

 

(これは──魔力そのものか)

 

 避けながらも光弾を観察したフリーレンはその正体を察した。

 

(魔力を凝縮して射出するだけの魔法だね。やっている事自体は至ってシンプルで、私にだって真似できるものだ。けれど、魔力の密度が高すぎる。こんなの砲弾と変わらない。防御魔法はほぼ意味をなさない)

 

 刹那の内の思考で防御魔法により防ぐことを選択肢から外し、飛行魔法などで回避しながら距離を詰めようとナーリンに意識を向け──。

 

(? 魔力の質が変わ──)

 

 ドンッ。躱した光弾が内側からはじけ飛び、魔力の奔流が衝撃波となってフリーレンを襲った。

 咄嗟に展開した防御魔法で防ぐが、ぐらりと体勢を崩される。加えて、ナーリンから放たれる魔力弾は途切れることなく雨のように降り注いでいる。

 

「ッ!!」

 

 フリーレンは飛行魔法で弾幕の合間を搔い潜るように飛び、直撃コースにあるものはゾルトラークで迎撃するが、炸裂する魔力弾によって押し戻され距離を詰め切れない。

 

(まったく、性格の悪い攻撃だ。躱しても私の近くを通った魔力弾は炸裂、衝撃波を撒き散らすから防御魔法を使わないわけにもいかない。誘爆を狙っても爆発しないのも混ざってる。魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)で撃ち抜けば相殺できるから耐えることは出来るけど、それ以外の魔法は手数が足りないし、放つ暇もないから使えない)

 

 合間を縫って放ったゾルトラークが時折ナーリンにも命中するが、その身を覆う魔力の障壁を突破するには至らない。高圧縮のゾルトラークならば貫徹出来るだろうが、発射には一瞬のタメが必要な事に加え、反応されれば最初のように高密度の魔力によって防がれるだろう。

 

(癪だけど、現代の魔法戦における最適解の一つがこれだろうね。防御魔法の無効化と機動力の封殺。この状況からだと人類の魔法では実在すら証明できていない転移魔法で距離を詰めるか、地力で上回って強引に突破するくらいしか現状対抗策が無い。そんな事が出来るのはゼーリエくらいだ。これを生み出したのが魔族だなんて、笑えない話だね)

 

 ナーリンは常に空中に陣取って声が届かないほどの距離を取り、弾幕を張り、フリーレンの接近を許さず、高威力広範囲の魔法を使う隙を与えない。

 

 全力の飛行魔法で振り切ろうとするも、魔力弾は追尾機能も備えていた。ならばナーリンにぶつけようと進路を取るが、間隙無く放たれる魔力弾が別方向から飛来し妨害してくる。

 

(これは弱者の、臆病者の戦い方だ。人間の魔法兵団が戦列を作ってゾルトラークを斉射するような。この時代においてゼーリエに次ぐ程の魔法使いが、大魔族が──まったく冗談じゃない。この魔族はイかれてる。過去に何があったらこうなるんだ)

 

 苛立ちと焦燥が胸の内に湧くのを感じた。

 

(あれで分身だなんて頭が痛くなるね。しかも、あそこに居るというのもまやかしかもしれない。かつて、私の魔力探知はおろか、ヒンメルの研ぎ澄まされた感覚やアイゼンの戦士の勘、ハイターの加護まで凌駕した偽装能力……その根底にある精神魔法を看破するイメージを私は出来ていない)

 

 フリーレンは黄金の森の中に飛び込んだ。不朽不壊の黄金の木々を盾にしようと考えての事。枝葉が白い肌を傷つけ赤い血を流させるが気にすることなく突き進む。

 

(私一人だと無理かな、これは)

 

 木陰に隠れ一息つく。いつの間にか攻撃は止んでいるが、ナーリンの魔力反応は上空からほぼ動いていない。森を抜け出す兆しを見せれば魔力弾の豪雨が襲い掛かってくることは想像に難く無かった。

 

(デンケンはマハトを倒すだろうけど、そこから加勢できるかは……流石に厳しいか。フェルンにシュタルク、ゼンゼ、ユーベル。有効打を与えるには射程と速さが必要だから、フェルンが復帰出来れば一番良いんだけど)

 

 ──其方には時間が必要だろう? この結界や、生きている“かも”しれない仲間達を元に戻すために。

 

 フリーレンはナーリンの言葉を思い返しグッと杖を握りしめる。

 

(フェルン達が生きているか否か。ナーリンの隙を突けるか否か。あれを倒したとして、それで終わりか否か。分の悪い賭けだね)

 

 脳裏を過るのはかつての旅の記憶。

 

 ──フリーレン、君ならやってくれるって信じてたよ。

 

(……そうだね。ヒンメルならきっと仲間を信じて背中を預ける。たまには、こんな賭けに出てみるのもいいか)

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 結界を抜けた先。ヴァイゼから続く街道で。

 

「──とても、とても興味深いわ」

 

 ソリテールはそう言って笑みを浮かべた。

 

「意思なんて貴女には無かったのに。生まれるはずが無いのに。逆らえる筈が無いのに……嗚呼、なんて事」

 

 彼女の細い指が、まるで玩具でも扱うかのように相手の首を掴み、そのまま軽々と持ち上げる。

 

「私に殺意を向けた。私達に叛意を抱いた。有り得ない事だわ。お姉様は人工的な生命、いえ──魂の創造、神域に至ったのかしら? どう思う?」

「──っ、ぁ……」

「ねえ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「クラウちゃん」

 

 

 

 

 




読了謝謝茄子!

初手のゾルトラーク、怯んでたらナーリンは死んでた。それだと(作者が)困るので勘違い物らしく偶然で生き延びさせた。後の弾幕は普通に実力。スペックだけは本物なのよねコイツ。

感想評価お気に入りここすきクレメンス〜

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