今回学校パートがありますが、今後はかなり少ないと思います。原作でもあまり描写がなかったですし…。
書きたい内容があったらちょこちょこ描写が出てきます。
また、原作キャラに勝手に情報を追加した部分が多々あります。
ちゃんと原作読みつつ書きましたが、ファンブックを持っていないのでもしかしたら公式設定と反する箇所があるかもです。その際は優しくご指摘いただければと思います。
4月
今日から新学期。新しい学校生活が始まる。
春休みの練習はあっという間に過ぎていった。その中で同じ投手の川上、川島、捕手の小野や白州、前園といった野手の知り合いも増えた。
ただし1点、問題があるとすれば
(話したことのある野球部員が誰もいねぇ…)
窓際の席で裕は絶賛ぼっち状態だった。
それもそのはずで、地方から上京してきた裕にとって野球部以外の顔見知りなど一人としておらず、周りは見知った顔同士で既にコミュニティが出来つつあった。
そんな中へコミュニケーションが不得意ではないが、得意でもない裕に割って入る勇気は無い。
必然、意識はクラスのことから別のことへと離れてゆく。
(そういやあの人、伊藤さんだっけ?あれから来ないな。忠告と飲み物もらったお礼言おうと思ってたのに、部活中は全く合わないし。…それにあの手)
スポーツドリンクを渡された時の右手中指にあったタコ。
(野球、それも投手にできる場所だったな。場所的にストレートとスライダー系?マネージャーとか言ってたけど絶対投手だろあの人。今度会ったら聞いてみるか。
でもまぁとりあえず、自分のことだよなぁ。シンカーとチェンジアップどーしよ。チェンジアップは握りの話だから一先ず置いといて問題はシンカーだよな)
「…本ー。あれ?返事が…」
(曲がらない原因がいまだにわかんねぇ。1から覚え直すか新しい球種探すかしないとまずいかもな。基本ストレートのフォームから崩したくないから、すぐ出来そうなのは…スライダーか?でも左打者に対しての逃げる球種は欲しい。となるとシュートかシンキング系…シュートは習得まで時間がかかりすぎるって親父は)
「松本!」
「ぅお!…あれ?」
急な呼びかけに驚いて見回せば、先ほどまで楽しそうに会話していたクラスメートは全員着席していた。
教卓にいるのはおそらく担任。
どうやら思考の海を泳ぎ過ぎていたようだ。
「大丈夫か初日からボーっとして。自己紹介お前の番だぞ?」
「あー、すみません。大丈夫です、えっと…」
やらかしたなーと思いつつ、無難に自己紹介をこなしていった。
入学式は恙なく終わり放課後。
今日は自主練となっているが、春の大会真っ最中なこともあり部活の雰囲気はピリピリとしている。
自分も早速、と思い席を立ち廊下へ
「あ、ちょっと待って!」
後ろから声を掛けられた。振り返って見ると、ライトブラウンで片目隠れの快活そうな女の子だ。少しクールな印象もあり、可愛いけどなんとなく御幸に少し似てるなと思った。
「えっと…松本君、だよね。自己紹介の時に言ってたけど野球部なんでしょ?私、夏川唯。マネージャー志望だからクラブハウスまで案内して欲しいんだけど」
「あ、あぁいいよ」
「ありがと。少し待ってて」
そう言うと手早く荷物をまとめて友人に挨拶をすると、廊下にいた裕のところへ。
「それじゃ案内よろしく」
「ん、よろしく夏川さん」
高校に入って最初の女子との会話とあって最初は緊張していた裕だが、夏川の親しげな雰囲気も相まって気が付けが他愛のない会話をする程度には打ち解けていた。裕が県外からの入学であることや、夏川は家族が高校野球好きでそれが高じてマネージャーを希望するようになったことなど様々な会話をした。
「日記をつけるのが趣味?」
「そ、コツコツやるのが肌にあっててね。…今似合わないって思ったでしょ?」
「いや、そんなことは…。珍しい趣味だなって思ってさ」
「絶対うそだ!松本君顔に出やすいね。投手ならもっとポーカーフェイスしなきゃ」
「大きなお世話だ」
そんなこんなで到着。
「じゃ俺は自主練だからここで」
「うん。ありがとね。明日からもよろしく」
軽く言葉を交わして別れる。
青心寮へ向かうと既に準備を終えた亮介と遭遇した。
「や、松本。新学期早々女の子と一緒なんて随分な余裕だね。うちは表立って恋愛禁止ってわけじゃないけど、現を抜かし過ぎると監督から雷だよ」
「違いますよ。同じクラスでマネージャー志望らしいです」
「へぇ、
「だから違いますって!?面白がってますよね亮介さん」
フフフ、とからかいながら笑う亮介。思ったよりも良い反応を返してくれる後輩だとわかってから、裕は亮介に振り回されっぱなしだった。裕自身も今までにいなかった先輩だったので、やれやれと思いながらも悪くはないなと感じていた。
「もう大体の人が準備済んでるから早くグラウンドに来なよ。来るのが遅いこと東さんにバレたら面倒くさいから」
「わかりました」
あのガタイの良い人に言われるのは勘弁と思い、駆け足で部屋へ向かう。と、朝考えていたことを思い出し亮介を引き留めて聞いてみる。
「伊藤先輩?…あぁ智さんか。今日は今週当たる学校のデータ分析で部には顔出さないと思うよ。知り合い?」
「初日に自主練してたらオーバーワーク止めてくれたのと、その時飲み物貰ったんでお礼をと思ってまして。青道ってデータ分析とかは選手自身なんですね」
「動画見て対策立てたりは選手同士でもやってるけど、伊藤さんは解析班だからね。」
班と言いつつ現状あの人だけだけど、と続けたところで亮介はほかの先輩から呼ばれグラウンドへ行ってしまった。
(亮介さんの話しぶりからしてマネージャーは嘘じゃなかったのか。ってことは経験者でマネージャーとして入部なのか?てか、結局どうすれば会えるのか聞けなかったな)
とりあえず球種問題の解決が急務。さっさと準備して練習に参加しよう。
▲▽▲▽▲▽▲▽
数日経過し週末。
裕は青道の出場する春の大会準々決勝の観戦と応援に来ていた。
あの後夏川は無事マネージャーとして入部し、他にも梅本という女子が入部していた。
球種の問題は結局解決しないまま、ずるずると日付だけが過ぎていた。
今日の観戦と応援も自由参加ではあるものの、青道の野球がどんなものかを知るため参加していた。
相手は成孔高校。
「なぁ御幸」
「ん?」
「成孔ってどんな高校?」
「…お前なぁ、自分のエリアの高校くらい調べとけよ」
「すまんって。で?どんな高校なんだ?」
「強打が売りだな。打棒だけなら西東京では5本の指には入る。んで、見りゃわかるけど全員ガタイが良くて積極的に振ってくるのが特徴だな。クリーンナップは全員ホームランバッターだと思っても遜色無いよ」
「加えて都内有数の厳しさで知られてる」
「お、白州。飲み物買えた?」
「自販機近くにあって助かったよ。成孔ベンチの厳つい顔したおじさんいるだろ?熊切監督って方なんだけどこれが滅茶苦茶怖いうえに厳しいって有名なんだ。でもその分育成にも定評があるから、ストイックな人達が自然と集まりやすい」
「へー、詳しいな」
「進学先の候補として考えてたから」
「ヒャハッ、じゃあもしかしたら筋肉ムキムキの白州が見れたかもしれないな」
裕と御幸の脳内では、ボディビルのような体になった白州がダブルバイセップスをしている光景がよぎった。
思わず噴き出した二人を白々しく見つめる白州。
そんな光景をよそに始まった試合は
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 H E
成孔 3 1 4 0 0 2 1 1 0 12 16 3
青道 2 0 0 2 1 1 3 2 0 11 13 2
壮絶な乱打戦の末、青道高校の敗北という結果で終着。互いに似たチームだったため非常に大味な試合となった。
打線は中軸から下位までしっかり振れる人が名を連ね、どこからでも点が取れる。半面、投手陣の力が足りず点が取られる。現状のチームを1年生は目の当たりにしたのだった。
年内更新は多分これが最後になります。
来年はもう少ししっかり更新していきたい…
拙い本作ではありますがお付き合いいただきありがとうございます。
今後ともよろしくおねがいします。
良いお年を。