ダイヤのA~スイッチピッチャーの軌跡~   作:とくまる

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今回青道の見学ですが、原作の沢村がいつ頃行ってたのかわからなかったので、今回勝手に決めてます。

…描写無かったけど、中学生なんだから本来は保護者着いてくるよなーって




プロローグ3

 

7月初め

 

新幹線を乗り継いで裕は東京都の国分寺へとやってきた。

裕は東京に来るのは初めてだったため、少し期待していた。が、

 

 

 

「何で親父も同伴なんだよ」

 

「そりゃ自分の息子を預けるかもしれないんだから、見に来てておかしくはないだろうが」

 

「…あの美人の副部長目的じゃねーだろうな」

 

「馬鹿タレ。俺の好みにゃ年齢が足んねーよ。

ンな事言ってないでちゃんと歩け。迷子になるぞ」

 

「なんねーよ!もう中3だぞ」

 

「ハッ!まだまだガキだな」

 

「~~!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

駅のロータリーから高島と合流し、車に乗って裕は青道高校に到着した。

文太は

 

「先に監督と会ってくる」

 

と言って離れていった。

裕は高島に連れられ大きな室内練習場、併設した寮等名門校の設備に驚きながら見学する。

そして最後の見学が、

 

 

「ここがグラウンドよ。青道野球部のグラウンドは2面あって、1軍から3軍まで練習しているわ。」

 

「……広ぇ」

 

 

途切れない声

スパイクが土を搔きボールがグラブに収まる

ひっきりなしに響く金属バットの快音

気温以上の熱と、ギラついた眼光

 

 

「東ァ!なんやその中途半端なバッティングは!俺ら3年押しのけてベンチ入りしといて、そんな打ち方で打席立つんか!?」

 

「すみません!」

 

「打席に入ったら余計な事考えんな!お前のパワーで飛ばす事だけ考えとけ!」

 

「はい!」

 

 

「動き出しおせーぞ伊佐敷!さっさと外野に慣れろ!下がるなら中途半端に下がんな、目ぇ切って走れ!」

 

「ハイ!」

 

 

「…?」

 

「結城ィ!グラブ眺めてもボールは入ってねぇんだよ!さっさと取りに行きやがれ!」

 

 

ここ(青道)には()()()()()()()()()()()()しかいない

 

 

 

 

 

 

 

『練習だりー。暑いし早めに上がってアイスでも食おうぜ』

 

『あ、じゃ俺んち来ない?先週発売のゲーム買った』

 

『お、まじ?あれ気になってたんよ。んじゃ、さっさと上がって行くべ』

 

『いやーでも楽だよな。適当に3年間こなしてりゃ内申プラスだもん』

 

『うちの学校が弱小で良かったわ』

 

『『『『『ハハハハハ!』』』』』

 

『んじゃ裕、お疲れ!』

 

『……うっす…』

 

……今日も1時間足らずで練習は終わった。

 

『…………』

 

…自主練習する人間なんていない

 

『……』

 

何を言っても此処は変わらない

 

『…』

 

ここ(中学)には『熱』が無かった

 

 

 

 

 

 

 

「…本君?松本君!」

 

「!あ、高島さん」

 

「大丈夫?ボーっとしてたけど、熱中症かしら?」

 

「いや、すみません。…ちょっと圧倒されてて。

この環境で野球が出来るって良いですね」

 

「フフッ、そうね。日本中から野球をするためここに集まってる子達だもの。とても幸せな事だと私も思うわ」

 

「っすね。……いいなぁ」

 

 

ここでできる野球はとても幸せだろうな、と裕はしばらくグラウンドを眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここにいたか」

 

5分程眺めていると、文太(父親)が戻ってきた。

 

 

「裕。どうだ青道高校は」

 

「…そうだな」

 

 

文太に聞かれ、もう一度グラウンドを眺める。

今まででは手に入らなかった光景がそこにはあった。

 

 

「先に言っておくが、金のために入ろうと思ってるなら止めとけ。お前を高校に行かす金くらいなら問題ない」

 

「んな事で決めねーよ。…でも、うん。親父」

 

「なんだ?」

 

 

心は決まった。

 

 

「俺、ここに入るよ。今まで触れなかったこの熱の中で、全力で野球をしてみたい」

 

「…全力でやりたいなら他の強豪校でも出来るぞ?」

 

「そりゃそうだけど、でもきっとここでやる野球は楽しいと思うんだ」

 

「根拠は?」

 

「無いよ。勘」

 

「(真っ直ぐな目しやがって)……ま、ちゃんと決めたなら文句は無い。」

 

「ありがとう。高島さん、3年間よろしくお願いします」

 

「ええ、ようこそ青道高校野球部へ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、それじゃあ軽い入部試験でも受けてもらいましょうか」

 

「え、は?入部試験!?青道(ここ)ってそんなんあるの?」

 

 

驚いて高島をみれば、イタズラが成功したように笑みを浮かべていた。

 

 

「普通は無いんだけど、スイッチピッチャーなんてなかなかいないからね。自分の目で見たいって言うから今日は特別。練習着とグローブ持って来てって伝えてたでしょ?」

 

「あの連絡ってそういう事かよ…。って俺、硬式のグローブなんて持ってないぞ」

 

「問題ねぇよ、これ使え」

 

 

文太に投げ渡されたのは、新品の硬式用両利きグローブ。

 

 

「数が無いから探すのに苦労してな。渡すのがギリギリになっちまった。

慣らしはしてないが、ま、投げるだけならなんとかなるだろ」

 

「マジか…ん、まぁありがと」

 

 

思わぬサプライズに驚きながらも、裕は少し恥ずかしかった。

そしてふと思った。

 

 

「あれ?見たいって誰が?」

 

「俺だ」

 

 

重厚感と威厳のある声に振り向けば、180cmオーバーの長身で強面にサングラスをかけた男性がいた。

 

 

 

 

 

 

その日、絶賛練習中の青道高校グラウンドで一つの悲鳴が響き渡った。

 

 

 

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