術式:ブロリーmad   作:フドル

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……軽い気持ちだったのにすごい反響があってビックリしてます。

そして一読者として好きな短編の続きがない辛さはよ〜くわかっていますので……、続きだ、読め(ピッコロ風)

それと誤字脱字報告ありがとうございます!沢山のコメントも凄く嬉しかったです!ですがすまない、量が多過ぎて返答が出来なかった。

それと今回は縮小と拡大で一部工夫した作りにしてます。読みにくかったらやめます。


勝負は何処で勝敗を決めるかわからない。

「ブロリー、コイツを受け取りやがれぇ!」

「なんだぁ?」

「ベジータ様お手製、ミラクルトッピングパフェだ‼︎」

「ッ‼︎ ふふ、ふははは‼︎流石はベジータと褒めてやりたいところだぁ!」

 

「あっ、このデザート美味しいですね。」

 

 外出中だったのでお昼ご飯を手早く済ませようと思い近くのお店に入ったのですが、私好みの品や味が多く、大半満足しています。周りの人達は非術師なのでブロリー達が見えず、側から見れば私が1人でテーブル席を占拠してしまっている形ですが、既に5人家族が食べるぐらいの量を1人で食べているので特に店員達からは何も言われません。それどころか頻繁に私の席にやって来ては食器が空になっていないかを確認しに来てくれます。

 

「ヘェアァ!?」

「はーはっはっは!馬鹿め!コイツが何で出来たものかも判らんのか!これでは伝説の超サイヤ人(笑)だな‼︎はっはっは‼︎」

「クズがぁ……。今楽にしてやる。」

「ダニィ!?逃げるんだぁ……、勝てるわけがない……。」

「お前だけは簡単には死なせんぞ。」

ニャメロン(やめろ)‼︎ブロリー!ここで騒ぎを起こせばどうなるか判らないのかぁ……?」

「はい。」

 

 このお店はお気に入りに入れてもいいかもと考えながら数個目になるデザートを頬張っていると、何やら隣の席でベジータがいつものようにブロリーへちょっかいをかけていたみたいです。ベジータの調子が良さげだった顔がみるみるうちに青くなって素早く外へ向かって逃げていきますが、その背中をブロリーが追いかけていきました。

 

 いつも外食した時は席に座って始めに注文したものが届く前に追いかけっこをしていますので、今回は珍しく長持ちした方でしょう。ところでベジータは何を使ってブロリーを怒らせたのでしょうか。

 

「ブロリー‼︎出しゃばるんじゃない。」

「出来ぬぅ‼︎」

「ふぉおお⁉︎殺れる……。みんな、殺される……。」

「ここがお前死に場所だぁ‼︎」

 

 外から帰ってきた2人が私の席を回って再び外へ出ていったのを尻目にあの2人が座っていた場所を見れば、真っ赤に染まったパフェがそこにありました。ベジータがいた側にはタバスコなどを筆頭にした辛い系の調味料が入っていたビンが散乱しており、恐らくそれらを全てパフェにぶち込んでブロリーに食べさせたのでしょう。

 

「父さん!」

「トランクス‼︎出しゃばるじゃない。」

「はい!」

「ダニィ!?戻ってこいトランクス!」

 

 っていうかあのパフェは私が食べようとして注文していたやつなんですが、いつの間に手を加えていたのですかね?まぁ、仕方ありません。新しいものを注文しましょう。

 

「ヘェアァ⁉︎」

「馬鹿め!この程度の罠に引っかかるとは‼︎ ブロリー、貴様にはそれがお似合いだぜ!はっはっは!」

「ずぅぉぉぉぉおおおお‼︎‼︎」

「ふぉおお!?ニャメロン‼︎逃げるんだぁ……。」

 

 ベジータがどこからか持ってきたバナナの皮を踏んづけ、思いっきり転倒したブロリーをベジータが嘲笑いながら走り去ったのも束の間。猛追してきたブロリーにベジータがヘタレ顔をしているのを見送りながら店員さんを呼び、先程のパフェを頼みます。ちなみに先程のパフェはパラガスに食べさせました。食べ物を粗末にするのは駄目ですからね。

 

「チャァァァァァァアアア‼︎‼︎」

「ふっふっふ、そう来なくちゃ面白くない!」

 

「すいません、先程から風がよく吹いているみたいで……原因がわかり次第対処しますので寒いようなら毛布などをお持ちします。」

「あぁ、大丈夫ですよ。わざわざお気遣いありがとうございます。」

 

 走るのをやめて飛び始めた2人が通り過ぎると風が巻き起こります。その風を店員さんは空調辺りの不良が原因だと思っているみたいですが、ごめんなさい。コチラのせいです。ちなみに先程からウィーンウィーンと開いている自動ドアもコチラのせいです。工具箱を片手に首を傾げている整備士さん。あなたは何も間違えていないです。

 

「いいぞぉ!ブロリー‼︎今の──」

「パラガス邪魔だぁ!どけぇ‼︎」

「どぅぅわ⁉︎」

「親父ィ、ポッドに入ったな?」

「待て!ヤメロブロリー!ヤメロォ‼︎」

 

 まぁ、ブロリー達が通った後の風を受ける場所に座っているのは私だけですし、整備士さんは私がこの店に入る前から作業をしていたので2人の追いかけっこを止める必要はないでしょう。そう考えながら窓の外を見れば、ちょうど潰されたポッドが私の前を通り過ぎていきました。

 

「いつの間にか競争みたいになっていますし、たまには勝った方にパフェでも奢ってみましょうか。……あれ?悟空さん?」

 

 なんだかんだ良い勝負をしている2人の追いかけっこを見て、ふと思いついたことを呟いてみれば隣で私の呪力で作られた大量の料理を掻き込むようにして食事をしていた悟空の姿が消えました。料理も中途半端に残っているので式神状態を解除して引っ込んだ訳ではないでしょう。どこにいったのでしょうか?

 

「今だぁ!死ねぇ‼︎」

「ダニィ!?」「ヘェアァ⁉︎」

 

 キョロキョロと不自然にならない程度に周りを見渡していると、窓の外からかめはめ波らしきものが通り過ぎていきました。これはパフェにつられて悟空も追いかけっこに参戦したようですね。

 

「へへっ、悪く思うなよ!」

「カカロットォ……。カカロットォォォオ‼︎」

 

 そして見事にブロリーのヘイトを買うことが出来たようです。ここから逃げ切ることが出来れば良いのですが……。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎」

 

 無理だったみたいですね。悟空を消し飛ばしたブロリーは再びベジータをロックオンしたようです。正直に言えばこの追いかけっこを最後まで見ていたいところですが、そろそろ帰らないとお店に迷惑でしょう。

 

「2人とも、私のいる位置からあと30周で終わらせてくださいね。」

「……はい。」

 

 2人が私の隣を通った瞬間に呟けば、ブロリーが律儀に止まって返事をしてから再びベジータを追いかけました。ベジータは逃げるのに忙しいのか私の声が聞こえていなかったようですが、実質ブロリーにさえ届いていれば大丈夫です。

 

「とうとう終わりの時が来たようだな。」

「ハッ!何を言ってやがる!うすのろが!」

 

 ブロリーからの逃走記録が新記録を更新しているからか、ベジータの態度が大きくなっているようです。そんな高笑いをしながら走るベジータを見ながら私はカウントを進めていき、30周目を超えた時点でゴールを用意します。とは言っても私はマラソンのゴールみたいな白帯なんて持っていません。なのでここはいつもベジータを受け止めることに定評がある岩盤で代替します。

 

「サイヤ人の王子はぁーー!この俺ふぉおお⁉︎」

 

 ゴール目前、勝ち誇った顔でウイニングランを決めたベジータでしたが、お遊びを辞めて本気で追いかけてきたブロリーに一瞬で捕まってしまい、そのまま岩盤に叩きつけられてしまいました。

 

毛布はいかが(もう終わりか)?」

「ぐぅ、く、くそぉ……。」

 

 岩盤に押し付けられたベジータはそのまま気絶。脱落ということでブロリーの勝利といったところでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました。こちら、季節盛り合わせフルーツパフェです。」

「ありがとうございます。」

 

 コトリと置かれたパフェを見て店員さんにお礼を言い、店員さんの姿が見えなくなったところでパフェを横にスライドします。

 

「きたぁぁぁぁぁぁああああ‼︎」

「イイナァ‼︎」

 

 自身の真ん前にやって来たパフェにブロリーは歓喜の声をあげ、それを前の席に座っているベジータが羨ましがります。思いつきをそのまま口にしただけなので実行する気はそんなになかったのですが、ブロリー達の喜びようを見れば次もまたやっても良いかなと思えてきますね。

 

「やっ!ここ空いてる?」

「……あと少ししたら空きますね。」

「そっか、ありがと。」

 

 ブロリーにとっては小さなスプーンを指で挟み、慎重にパフェを掬っているのを微笑ましく見守っていると、突然私に声がかけられました。店内に入ってから真っ直ぐとコッチにやって来た挙句、周りがガラガラなのにそんな質問をしてくるってことは確実に私目当てでしょう。というか店員さんに私の連れですみたいなこと言っていたの聞こえましたし。

 

 あと少ししたら帰るからその後でこの席に座れば?などと遠回しに対話を拒否しましたが、目隠しプレイを白昼堂々としている不審者は軽薄な雰囲気のまま私の正面に座りました。ちなみにベジータは回収済みです。ややこしくされたら困るので。

 

「早速だけど自己紹介ね。僕の名前は五条 悟。君は?」

「……舞戸 砕です。ところで110番していいですか?」

「だ〜め。それで僕がここに来た理由だけど、君を高専にスカウトしに来た。」

 

 取り出したスマホを目の前の不審者が奪い取ってくる前に懐へ戻します。っていうか高専に来いですか。なんていうか話を一つどころじゃないレベルで飛ばしている気がするのは気のせいでしょうか?

 

「よく判らないのでお断りします。」

「またまた〜。惚けないでよ、見えているんでしょ?っていうかそっち窮屈じゃない?」

 

 五条さんの顔の向きが僅かに傾きます。その先にいるのはパフェを味わっているブロリー。うーん、これは誤魔化せそうにないですね。もう確信しているような雰囲気も感じますし。

 

「とっても窮屈ですよ。右には筋肉ダルマの大男、左には食べ終わった大量の食器。聞くまでもないでしょう。」

「だよね、ウケる。」

 

 仮に惚けるために術式を解除してもパフェを食べている最中のブロリーは絶対に出てきます。なので諦めて彼の問いに含まれた意味を纏めて肯定すると、五条さんはニッと口角をあげました。

 

「それで高専でしたっけ?何故そこに行く必要があるのですか?」

「呪術師は常に深刻な人材不足。そこはわかる?」

「わかりません。っていうかそっち側の事情は何も知らないと思ってください。」

 

 なんだか私が全てを知っている前提で話を進めてくるので、まずはその前提を正してやります。すると彼はそう来たかと頭を掻くような仕草をしました。

 

「んー、じゃあ先に別件から話そうか。少年院のこと、覚えてるよね?あそこにいた悠仁と恵は僕の教え子なんだ。彼らも君に会って礼を言いたいと思うし、付いてきてくれない?」

「五条さんそんな形で教師なんですか?あとどさくさに紛れて連れて行こうとしないでください。」

 

 思い出しました。この人も主人公勢の一員です。確か原作最強……でしたっけ?とにかくこの人が出れば万事解決のもう全部この人だけで良いんじゃないかなみたいな人物だったはずです。

 

 あと虎杖くんと伏黒くんがお礼を言いたいってアレですか?ボコボコにされたからお礼参りをしたいってことですか?

 

 言い訳をするなら基本私の戦闘はブロリーが終わらせてくれるため全力を出す機会なんて滅多にないんです。なので少年院の時は本当に久しぶりのフルパワー形態だったので、正直言ってはっちゃけ過ぎました。

 

 その結果、虎杖くんは私の腹パンで嘔吐しましたし、伏黒くんは大切な式神を失っています。そんな彼らが私にお礼なんて嫌な予感しかしません。

 

「はははは‼︎ベジータ、お前の姿はお笑いだったぜ。」

「パラガス、笑うなぁ‼︎」

 

「パフェを食べ終わったブロリーです。」

「じゃあブロリーさんは未だに横でご飯を食べている悟空さんを連れて後ろに行っててください。」

「……はい。カカロット!さぁ、来い!」

「えぇ?しょうがねぇなぁ。」

 

 真剣な話をするのにブロリー達がいるとシリアルな空気になりそうなので暫く後ろに下がってもらいます。

 

「ブロリー、オラ腹減っちまった。」

「そういえばカカロット、お前血祭りな。」

「えっ?ぎゃぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

「君の術式って愉快だねぇ。」

「いつものことなので気にしないでください。それとお礼は必要ないと伝えてください。」

「え〜、つれないなぁ。」

 

 先程の不意打ちを思い出したブロリーが今になって悟空に報復していますが、無視して五条さんと話を続けます。本当はこのままおさらばしたいところですが、彼の様子を見た限り逃してはくれなさそうです。

 

 仕方ないのでため息を吐き、すご〜くめんどくさそうな態度で彼の話を聞く体勢を取りますが、彼は全く気にすることなく高専云々の話を始めました。

 

 その話を聞いたところ、まぁクソですね。五条さんの誇張が混じっているのかもしれませんがとにかく上層部に良いイメージを抱けません。

 

 っていうか五条さん。こんな話で私が呪術師になると本気で思っているんですか?ちょっとセンスを疑いますよ。

 

 うーん、このままだとハイと言うまで帰してもらえなさそうです。いや、ハイと言っても帰れるか判らないですね。さっきから私の額を指で狙っていますし、もしかしたら強硬手段を取ってくる可能性もあります。あ、そうだ。

 

「なら五条さん。私と勝負をしましょう。」

「……へぇ?どんな勝負?」

「……そうですね、スタートと宣言してから1週間。私は五条さんから逃げます。それを五条さんが捕まえれたら五条さんの勝ち。私は潔く高専に入りましょう。逃げ切れば私の勝ち。五条さんとその一派は今後私から来ない限りは接触を禁じます。そしてこれは縛りとします。」

「ん、良いよ。僕が勝つし。」

「では詳細を詰めましょう。スタートは私が開始と宣言してから五条さんが5秒数えた後。捕まえた判定は……、5秒間私の身体の何処かを掴んだらにしましょうか。術式は使用アリ、範囲は日本列島。ですがこれだと五条さんが不利でしょうし、鬼の役割は五条さんの知り合いも含みましょうか。」

「別に僕1人で十分だけどね。」

「1週間後、再びこの店の前で会いましょう。異論は?」

「ないない。君が入学するための手続きもしなくちゃいけないから早く始めよっか。」

「では……、悟空さん。──始めます。……『スタート』」

「12345!僕の勝──」

 

 はい、私の勝ち〜。視界の景色が洒落た店から私が住む一軒家へと切り替わります。五条さんは速攻で5秒数えて私の額に指を突きつけてきましたが、それよりも悟空さんの瞬間移動の方が早かったですね。

 

 あとは1週間、適当に鍛えながらのんびりダラダラしてるだけで勝ちということですね。こんな作戦を思いつく私のIQは100万を超えているのかもしれません。

 

「お帰りなさいませですじゃ。」

「タコ科学者さん、ただいま帰りました。早速で悪いのですが五条悟が私を1週間以内で見つけ出す確率を教えてくれませんか?」

「お任せくださいですじゃ。」

 

 私の賢さを自画自賛していると、部屋の奥からタコ科学者が歩いてきました。彼は取り敢えずコンピューターを渡しておけば大抵のことはしてくれる天才枠です。

 

「うわへへ、コンピューターが弾き出しましたデータによりますと、五条悟が貴方を見つけ出す確率は30%ですじゃ。」

「30%ですか……一撃必殺が当たる確率ですね……。」

 

 この家って東京から離れた関西の何処かに建っているのですが、それでも30%の確率で見つかるのですか。流石最強といったところですね。

 

「カカロット!ベジータ!スマ◯ラをするぞっトォォォ!!」

「いいだろう。貴様は俺がぶっ殺してやる!」

「いっちょやってやっかぁ!オラ、わくわくしてきたぞぉ!」

 

「まぁ、気にしても仕方がないので私もアニメを見ますか。」

 

 ワイワイとブロリー達が備え付けてあるゲームをセッティングしているのを尻目に私はテレビをつけます。ふっふっふ、少年院の時は不覚を取りましたが、今回はしっかりと録画をしています。SNSで情報を集めたところ前の話はあまり話が進んでおらず今回が山場のようですね。

 

「……あれ?おかしいですね。」

 

 

「ダニィ⁉︎ニャメロン‼︎2対1なんて勝てるわけがない‼︎」

「ふはははは‼︎ベジータにしては良くやったと褒めてやりたいところだ‼︎」

「悪く思うなよベジータ。さっさと落ちろぉ‼︎」

「くそったれぇぇぇえ!!!!」

 

 一体どのようにして物語が進むのでしょうかとワクワクしながら録画した分を探しますが、録画したはずのアニメが何処にも見当たりません。

 

「パラガスさん、ちゃんと録画しましたよね?何処にもないのですが……。」

「ゑゑっ⁉︎ そ、そのようなことがあろうはずがございません。」

 

 

「あぁおん!」

「終わったな。次はカカロット!お前の番だ。」

「ぜってぇに勝たなきゃなんねぇ!」

 

 一体どういうことなんでしょうとパラガスとお互いに顔を見合わせます。しかし見合わせたところで謎が解けるわけが──。

 

「ワシは悪くねぇ!シャモのせいじゃ!」

 

 

「ちょ、おま、道連れは卑怯だぞ!サイヤ人の面汚しめ‼︎」

「面汚しってなんだぁ?」

 

 あー、解けました。やりやがりましたねあのシャモ星人。取り敢えずアンゴルを呼んで彼らに差し向けておきましょう。

 

「パラガスさん、どうしましょう。今回は良いところなので絶対に見たいのですが……。」

「心配することはない。このアニメには見逃し配信があるのだからなぁ!」

「成程、その手がありましたか。」

 

 

「バァァカァァァなぁぁぁ‼︎‼︎⁇」

「オラのパワーが勝ったぁぁぁあ!!!」

 

 縋るようにパラガスを見れば、彼はニヒルな笑みを浮かべながら最適な解答で応えてくれました。その解答を目から鱗が落ちるような気分で受け取った後、私はスマホで該当するアニメを見れるサイトを探し始めました。

 

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「逃げられたね。」

 

 舞戸を気絶させるために伸ばした指を五条は引っ込め、店の椅子に脚を組みながら座り直す。

 

「(恵の言っていた金髪の大男。確かに強力だね、特級でも上澄みなのは間違いない。ま、僕の方が強いけどね!)」

 

 悟の頭に浮かぶのは舞戸の式神達。伏黒から聞いた話も加えると大男は戦闘特化、褐色の男は情報収集、舞戸の隣で大男に連れて行かれるまでずっと飯を食べていた男は瞬間移動、最後の特に目立ったところがない男は……一応宿儺とやり合えてたので万能寄りの戦闘系といった感じだろうか。

 

 ただ気になるのは悟の六眼で見た限り、彼らに術式がないこと。呪霊操術のように呪霊が個々でもつ術式をそれぞれ扱うのではなく、恐らく舞戸の術式であるブロリーmadがそれぞれ分け与えているのだろう。

 

 そうなれば大男が瞬間移動を使い、代わりに瞬間移動を使っていたほうが戦闘特化になることも出来るのかもしれない。なかなか面白い術式だと悟は笑う。

 

「でもブロリーmadって何?」

 

 そして今更ながらの疑問を呟いた。六眼から送られてくる情報もブロリーmad関係のものが出来ると曖昧な表現しかない。そのブロリーmadが何かを知りたいんだよと思っても、それ以上の情報が来ることはない。

 

「瞬間移動の性能は僕より上かな。あれはもう転移って言ったほうがいいかもしれない。あ、店員さん。会計よろしく!」

「あ、はーい。お会計は57,700円になります。」

「うわっ、めっちゃ食べるじゃん。カードでお願いね。」

 

 聞きたいことは彼女が生徒になってから聞けば良いかと悟はレシートを持ってレジへ向かう。そして舞戸の食べた量に驚きながらも未来の生徒のためだとブラックカードを差し出し──。

 

「えっ?ごめんなさい、ここカードは駄目なんです。」

「……マジ?」

「マジです。」

 

 店員さんに拒否された。その1時間後、慌てた様子で出かけた伊地知が悟を連れて疲れた様子で帰ってきたのを高専生徒が目撃したようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わって舞戸の家。自宅の冷蔵庫の前で舞戸は困った様子で立っていた。

 

「あと3日なんですが、そろそろ買い出しにいかないとですね。」

 

 今の今まで勝手に作った自宅の地下でトレーニングをしながら過ごしていた舞戸だったが、ここに来て食材が尽きそうになっている。外に出れば見つかる確率が高くなるが、トレーニングに適切な食事は必要不可欠。ここが東京から離れた関西ということも後押しし、買い出しに行くことに躊躇はなかった。

 

 その数時間後、膨らんだ大量のエコバッグを持った舞戸が道を歩いていた。一度に大量の食材を買うため、環境に配慮してエコバッグは完備である。

 

「……ん?」

 

 少しでも見つかる確率を下げるためなのか、夕暮れ時の人通りが少なくなる時間帯を狙った舞戸。そんな彼女の耳に微かな破砕音が届く。

 

 舞戸はまず己の仲間を確認した。ブロリー、何も無し。悟空、何も無し。ピッコロ、電柱の上でポーポコピーをしている。まぁ、問題無し。トランクスは置いといて、ベジータ、岩盤に埋まっている。

 

「ベジータですか。」

 

 いつも通りブロリーにやられたのだろうと上半身が岩盤に埋まっているため脚をバタつかせて何か舞戸に抗議してくるベジータを呆れた目で見つつ、舞戸は帰路を急ぐ。

 

 しかしまた破砕音。今度はしっかりと聞こえたため、舞戸はそちらへ視線を向ける。細道から聞こえてくる音は徐々に舞戸へと近付いて来ており、もうすぐ音を出すものの正体が現れるだろう。

 

 舞戸は立ち止まり、ジッと待つ。もし音の主が一般人で、暴漢に追われているだけならまぁいい。暴漢がそのまま舞戸に来るならそれ相応の対応をするが、基本は無視。だが追っているのが呪霊とかだった場合、流石にすぐ近くにいるのに見殺しにするほど薄情ではないため助けるつもりだ。だがここに被害者が辿り着く前に追いつかれて死ねばそのまま帰宅する。

 

「えっ!一般ひぃ!?」

 

 やがて姿を現したのは全身に傷を負い、血が滲んだスーツを着た男性。彼は舞戸を見た時は焦った顔を浮かべたが、その斜め後ろにいるブロリーを見た瞬間に腰を抜かしたのか地面にへたり込んだ。そのことから彼は呪霊が見える側、服装からして補助監督あたりだろうか。

 

「追いかけっこは終わりかなぁ?って女の子?うわぁ、君って運が無い─ッ‼︎」

 

 そしてへたり込んだ補助監督らしき人が出てきた細道からもう1人、ナイフを持った男性が姿を現した。彼も舞戸を見た後ブロリーを見たようで、ヘラヘラした顔が一気に引き締まって冷や汗を垂らす。しかし補助監督らしき人のように腰を抜かすことはなかった。

 

 だが脚はガクガクと震えており、動くことは出来ないようだ。それなら好都合と舞戸は片手をフリーにしながら彼へと歩み寄る。

 

「今すぐ呪力で身体強化をおすすめます。死ぬほど痛いから滅茶苦茶痛いぐらいにはなるでしょう。」

「……えっ?何──」

 

 手をあげながら舞戸が男にアドバイスを送り、ブロリーに気を取られていた男が何かを言う前にその頬へ強烈なビンタを行う。その威力に男は吹き飛び、塀にぶつかってヒビを入れた後、ずるずると座り込んだ。

 

「大丈夫ですか?」

「……あ、はい。ありがとうございます。」

 

 動かなくなった男が死んではいないことだけを確認した後、舞戸は未だにへたり込んでいる補助監督へ手を差し出した。彼は呆然とその手を眺めていたが、ようやく現状に思考が追いついたのか慌てた様子でその手を掴んで立ち上がる。

 

「すいません、いきなり彼に襲われてしまって……。呪術師ですよね?」

「まぁ、そんな感じです。それよりそろそろ離してもらっていいですか?」

「えっ?あ!ごめんなさい!」

「まぁいいですけど、それじゃあ今日はオフの日なのでこれで失礼しますね。彼はしばらく起きないと思うのでその間に拘束すると良いですよ。」

 

 補助監督の男が何かを言う前に舞戸は適当に嘘をついてその場を後にする。補助監督の男はその姿をしばらく見続けていたが、ハッと我に返ると慌てて座ったまま動かない男を拘束するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トントントントン……と、静かな部屋で机を指で突く音が響く。その音を鳴らしているのは五条悟。そしてそれを居心地が悪そうに伊地知は聞いていた。

 

 舞戸と縛りをしてから6日。未だに彼女は見つかっていない。そのため最初は気楽な様子だった悟も、今ではこれだ。

 

「ねぇ、伊地知。まだ手がかり見つからないの?」

「……えぇ、舞戸さんらしき姿を見た人はいないとのことです。」

「本当に何処いっちゃったのかなぁ。実は海外に行っちゃった〜とかしてない?」

「縛りをしたのでしたらそれはないかと……。」

「わかってるよそれぐらい。」

「(……相変わらず理不尽。)」

 

 軽い会話を行いながらも悟の前には多数のモニターが点灯しており、そこには現場の様子を生中継で放送するニュースや色々なところへ設置された監視カメラの映像が映っていた。もしそれに舞戸の姿や彼女の式神が映り込んだなら即座にそこへ飛んで確保するつもりだ。そして各地の窓や補助監督にも舞戸の特徴を伝えており、彼女の姿を見たなら伊地知に連絡が入るようになっている。

 

 しかし見つからない。彼女の実家を訪ねても舞戸は一人暮らしをしていると言い、住所を聞いてそちらにいけばそこは長年人が住んでいる気配がない空き家。電話番号などを聞いても対策されているのか繋がらず、彼女のスマホの位置も特定出来ない。まさに八方塞がりだった。

 

 このまま彼女が見つからず、期日である1週間を過ぎてしまえば一体どんな八つ当たりをされるか。そう伊地知が考えて胃が痛くなり始めた頃、彼のスマホに着信が入る。

 

 そのいきなりな着信に過剰な反応を伊地知は見せた後、モニターを見続けている悟の様子を伺いながら可能な限り部屋の隅へ移動した後で電話に出る。

 

「伊地知です。……はい、はい。……え?ちょっと待ってください。」

 

 しばらく電話をしていた伊地知は驚いた様子で電話から耳を離し、悟のところへ蜻蛉返りする。

 

「あの、五条さん。」

「何?良い情報でも入った?」

 

 伊地知の声かけに悟は振り向かない。それは伊地知を適当に扱っているわけではなく、少しでも時間を無駄にしたくないといったところだろう。

 

「はい、五条さんが探している舞戸さんですが、確かぶかぶかの服を着た金髪の大男を連れた子……で合ってますよね?」

「んー、合ってるよ。何、見つかった?」

「はい、今電話をかけてきた補助監督が呪詛師に襲われていたところを助けていただいたようです。」

「そう……、その補助監督に聞いて欲しいんだけどさ、彼女に5秒間触ったりした?正直に答えさせてね。」

「わかりました。……少し質問ですが彼女に──はい、はい。……手を握ったようです。握ったまま会話もしたらしいので5秒は過ぎてるかと。」

 

 伊地知からの報告に悟の口角がニィッと上がる。そして勢いよく椅子から立ち上がった。

 

「伊地知、今その電話相手の補助監督が何処にいるか教えてくれない?」

「えっ?」

「ちょっと僕、彼と知り合いになってくる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして1週間後、舞戸は悟と出会った店のすぐ近くで悟を待っていた。既に期限が過ぎてから40分は経っており、念の為10分遅れでやってきた舞戸はスマホを弄りながらもかなりの頻度で時計を確認していた。

 

「来ませんね。どうせなら勝利宣言をしたかったのですが……。後10分ぐらい待ったら帰りましょうか。」

「僕もそう思います。」

 

 舞戸の呟きをトランクスが賛同したが、舞戸はそれに返事をすることなくスマホ弄りに戻る。それから5分後、ようやく待っていた人物がやってきた。

 

「お疲れサマンサー!久しぶりだねぇ、待った?」

「それなりに待ちました。」

 

 上機嫌な様子でやってきた悟を舞戸はジト目で睨み付ける。そんな舞戸の視線に悟は気付いていないのか、持ってきていたバッグの中をゴソゴソと漁り、取り出したものを舞戸へと手渡した。

 

「はいこれ。カスタマイズしたい時は言ってね。後これからよろしく。」

「えっ?これって……。」

 

 舞戸が受け取ったものは高専の制服。まるで今日から舞戸が高専に入るみたいな悟の言い回しに舞戸は慌てて待ったをかける。

 

「ちょちょ、ちょっと待ってください!この追いかけっこは私の勝ちですよ!?」

「はーい、ここで彼の登場でーす!」

「……どうも。」

 

 そんな舞戸の静止を悟は聞き流し、曲がり角あたりで誰かを向かい入れるように手をヒラヒラとさせる。すると曲がり角から恐れ多そうに幸薄そうな男が姿を現した。

 

「貴方は……!」

「先日はお世話になりました。お礼を言いたくて今回は五条さんにこの場を借りて──。」

「もー、僕のことは悟って呼んでよね〜!僕達は『知り合い』なんだから。」

 

 現れた男を舞戸は知っている。というか数日前に助けたばかりだ。

 

「貴方って五条さんの知り合いだったのですか!?」

「いや、知り合ったのは舞戸さんに助けてもらった数日後です。」

「縛りが緩くて助かったよ。鬼役の僕の知り合いの中にいつ僕と知り合いになったかは含まれていなかったからね。」

 

 舞戸は思わず口をぱくぱくとさせる。悟の言葉通りなら、この男は舞戸に助けられた後の男性の下を訪れ、そこで新たに知り合いになったのだ。

 

 そして知り合いになったなら、当然縛りの鬼役へと含まれる。しかしその鬼は既に捕まえた判定を満たしていた。

 

 つまりこの追いかけっこの結末は、悟の勝ちで舞戸の負けである。その事実に気付いた舞戸は思わず悟へ指を向け──。

 

「汚い!流石大人汚いです!」

「クズがぁ……。」

「サイヤ人の面汚しめ!」

「あ、悪魔たん。」

「そこまで性根が腐っていたとは!」

 

「腐☆腐、勝った後は悠々と買い物をして家に帰れると思っていたお前達の姿は──」

「「イレイザーキャノン‼︎」」「波ァー‼︎」「魔閃光ォ!」「魔貫光殺砲‼︎」

「ファ──‼︎」

 

「何これウケる。あと僕はサイヤ人や悪魔じゃなくてグッドルッキングガイだから。」

 

 悟を非難した。舞戸の後ろからも続々と彼女の仲間が現れ、同じように悟を非難したが、後から出てきたパラガスが舞戸達を笑おうとした瞬間に彼女達から総攻撃を受けて空の星となる。そんな光景を悟は見ながらも、冷静に訂正するべき箇所は訂正しておく。もし伊地知がいれば悪魔の部分は内心で頷いていたかもしれない。

 

「はぁ、非常に、ひじょ〜に!文句がある決着ですが、負けは負け。入りますよ高専に。どうせもう手続きとかしているのでしょう?」

「お、鋭いね。その通りだよ。ようこそ、呪いの世界へ。」

 

 悟から差し出された手を舞戸は見つめ、ため息を吐いた後に握ったのだった。




オリ主……大人の汚い手によって高専へ出荷。実は滅茶苦茶食べる癖に体型は全く変わらない意味不明な体質を持っている。しれっと呪力を断ち、六眼でも察知出来ないようにしていた。このあと早速制服のカスタマイズなどなどを申請する。

五条……すぐに見つかるでしょと思っていたら全然見つからなくてそれなりに焦ってた人。汚い大人だろうがなんだろうが、最終的に勝てば良い。

伊地知……支払いが出来なくて店に立ち往生していた五条を迎えにいったり舞戸の捜索を手伝わされたりと何かと不憫。この後すぐに虎杖サイドと合流する。

補助監督の男……舞戸にしっかりとした礼をしていないと京都高専で探しても見つからず、なら東京側かなと東京サイドの補助監督でよく頼られている伊地知へ電話をかけた。すると現代最強の呪術師がやってきた。ちなみにあそこで襲われていたのは本当に偶然。

呪詛師の男……本編には全く関係がない人物。死んではいないが顎の骨が砕けて片眼が破裂している。ついでに塀にぶつかった衝撃で各所の骨もヒビが入っている。




 可能な限り続きは書きますが、他にもいろいろあるので執筆速度はお察しです。それでもいいならゆっくりと待っていてくれぇ……。

 それとハーメルンにもブロリストが沢山いて嬉しかったです。
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