術式:ブロリーmad   作:フドル

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お待たせ!

誤字脱字報告と感想ありがとうございます!

今回はネタが少ないぞぉ……。


多少の被害で呪霊を祓えるならそれでも良い派。

 舐めプ。それはサイヤ人にとっては常に付き纏う問題でしょう。実力が離れているから手加減をする。真の実力を見たいからとトドメを刺せる場面にも関わらず見逃す、または待つ。怒らせると不味いのに挑発をする。世界の命運がかかっているのに勝ち確となった途端煽るなど、彼らはところどころで戦犯級のやらかしをします。

 

 その結果、真の実力を見せた敵にボコボコにされたり、隙を突かれて致命傷を負ったり、実の父親が自爆に巻き込まれて死に、その自爆をした敵だけが強くなって戻ってきたり、吸収されたり……まぁ、大体碌なことになりません。

 

 だから私はそんなことはしないぞと意気込んでいたのですが、しちゃったんですよねぇ……舐めプ。

 

「はぁ〜、知り合いを範囲に入れたのは失敗でした。」

「そうだね、砕が舐めてくれて助かったよ。ところで舐めプをして負けるってどんな気持ち?ねぇねぇどんな気持ち?」

 

 思わずため息を吐いてしまうと、隣を歩いている五条さんが煽ってきます。この人が私の担任となることに軽く目眩がしてしまいますが、私が幼い時にブロリーが大暴れして山一つを丸裸にしてしまった時よりかはマシだと思いましょう。

 

「高専に行っても一生懸命に……。」

「かぁん違いするな、女子寮にお前の居場所などない。」

「ま、まさか……!」

「いや、モアさんは引き続き私の世話をお願いしますけど?」

「ゑゑっ⁉︎」

 

 私達の後ろでモアとパラガスが話しており、パラガスが何か勘違いをしているようなので正しておきます。モアは自宅で私の服の洗濯やお風呂の用意、ご飯の準備などを一身に引き受けてくれる私にとってはなくてはならないお世話係です。私がこれから住む場所が女子寮になるとはいえ、部屋の外に出さなければ別にいても問題ないでしょう。

 

「つまり、ハプニングを装えば……!腐☆腐。」

「ブロリーさん。」

「……はい。」

「こうしてはおれん!今すぐ計画をぉぉおううおおおう。」

 

 そう説明すればパラガスから邪な気配を感じたのでブロリーを呼んで目配せをします。キャラの中で1番付き合いが長いブロリーは私の目配せを意味を正しく読み取り、駆け出したパラガスの顔面を即座に掴んでアイアンクローをキめました。

 

「お助けください‼︎」

「嫌です。たまには親子で交流する機会と思って仲良くしとくといいですよ。」

 

 パラガスからの懇願を軽く流し、少し前の方で待っている五条さんの方へ急ぎます。既にここは高専の敷地内、まだ部外者である私は出来る限り関係者の近くにいたほうが良いでしょう。

 

「お待たせしました。」

「ん、大丈夫。じゃあ砕はこれから学長と面談ね。下手打つと入学拒否られるから。」

「私はそれでも構いませんが、まぁ潔く入ると縛りを結んだ以上頑張るしかありませんか。」

 

 青空を切り裂くように飛んでいく潰れたポッドを眺めながら、私は五条さんと共に学長がいるらしい建物へと入っていくのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って感じで私はここにいます。」

「ごめん、個人的にはその学長との面談からここに来るまでの話を聞きたいんだけど。」

 

 目の前にいる虎杖くんに私がここにいる理由をサッと説明したのですが、さっぱりわからないという顔をしてきます。

 

 結果から言うと面談は特に問題ありませんでした。縛りでここに来ましたと言った時に学長である夜蛾さんは眉を顰めていましたが、私の性格とこの場所で何を為すつもりかを正直に答えたら普通にOKが出ました。

 

 なので今の私は高専生徒です。しかし設備の説明などを五条さんからサッと説明されると、すぐにこの現場に送られたわけですね。五条さん曰く私は今すぐ鍛える必要がないから悠二のサポートに回って欲しいとのことです。

 

 ちなみに今の虎杖くんは絶賛死亡中らしいです。詳しい説明はありませんでしたが、私が大暴れしたので偽装は簡単だったとのこと。今虎杖くんが生きているのを知っているのは私以外には五条さん、家入さん、七海さん、伊地知さん、そして伏黒くんだけのようです。

 

 そんな虎杖くんですが、私と出会った途端に戦闘態勢を取りました。酷いですよね。ドアを開けたところでバッタリだったので気持ちはわからないでもないですが……。なんでも身体が勝手に反応したとかなんとか。でもドアを開けた矢先に人と出会ったら戦闘態勢を……なんて普通はないでしょうし、絶対私を見たからですよね?

 

「それで今はどんな感じなのですか?私は五条さんに何の説明もされていないので現状がどうなっているかなんて何も知りませんよ。」

「ではここからは私が。初めまして舞戸さん、七海建人と申します。」

「あ、どうもご親切に。舞戸砕です。」

「では舞戸さん。現在の状況を説明します。まず──」

 

 七海さんの話を聞く限り、変死体の調査をしている最中に呪霊みたいな人間が出たみたいです。それで今はその人間を呪霊みたいにした犯人を探しており、虎杖くんは現場にいた怪しい少年の調査を、七海さんは犯人の居場所の捜査を行うようです。

 

「以上です。あの人(五条さん)がこちらに渡してきたことからある程度の実力はあると理解出来ますが、私はあなたが何を出来るかを知りません。」

「なるほど、では簡単に説明します。」

 

 七海さんが私の実力を知りたいというのでブロリー、ベジータ、悟空の3人を出します。虎杖くんが「うわ、出た」なんて失礼なことを言っていますが気にしないでおきましょう。あと勝手に出てきたトランクスも無視です。

 

「私の術式は……まぁ式神使いと思ってくれて結構です。そしてこの3人が主に使う式神ですね。」

「成程、続けてください。」

「では1人目、ベジータさん。味方を攻撃する(騒ぎを起こす)のが得意です。」

「ふん。」

「……続けてください。」

「2人目、悟空さん。味方を攻撃(騒ぎをややこしく)するのが得意です。」

「おっす!オラ悟空!」

「………。」

「そして3人目、ブロリーさん。味方を攻撃する(騒ぎを終わらせる)のが得意です。」

「イェイ!」

「全部一緒じゃん。」

「違いますよ、ちゃんと聞いてました?」

「あれ?これ俺が悪いの?」

「そして最後はこのオレ!伝説の超天才イケ──」

「まぁ、これぐらいです。」

「ハァッ☆」

 

 説明中に黙りこくってしまった七海さんの代わりに虎杖くんが私の説明にツッコミを入れてきましたが、私の説明は何も間違っていないので続行です。

 

「あと私もそれなりに戦うことが出来るので式神使いだからといって特に守る必要はありません。以上です。何か質問はありますか?」

「はい!あれでそれなりは詐欺だと思います!」

「その質問は棄却します。七海さんは何かありますか?」

「いえ、ツッコミ所は多々ありますが、あの人が渡してきた人だ、疑問は飲み込みましょう。それと私は大人として子供であるあなたを守る義務があります。」

 

 おぉ、面を向いてそんなことを断言されるとは思いませんでした。七海さんは良い人で確定ですね。息子の悟飯を自分が逃げるためにブロリーへ蹴り飛ばす悟空とは段違いです。いや、mad製の悟空と七海さんを比べるのは酷いと自分でも思いますけれど。

 

「舞戸さんは虎杖くんと吉野順平の調査をお願いします。」

「わかりました。」

 

 方針は決まり、虎杖くんが七海さんのあだ名をナナミンとしたところで解散となりました。

 

 

 

「なぁ、舞戸。みんな無視してたから俺も無視したけどさ……、良かったんだよな?」

「はい、彼に関してはあれで正解です。あまりにもウザかったら顎をぶん殴ってください。」

「お、おう。」

 

「おーい!おーーい‼︎聞こえていないのか?しょうがないなぁ……。ハイ!ハイハイ!ハハハハハイ!ハハハハハぁぁぁぁぁあああ!!!」

 

「失礼、気弾が出てしまいました。」

「……舞戸って怒らせるとヤバイタイプ?」

 

 私の気弾に飲み込まれて窓から空へ飛んでいくトランクスを見ながら、虎杖くんはそう呟きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?私服?」

「高校にはしばらく行っていないようですね。」

 

 次の日、吉野くんの調査を伊地知さんと虎杖くんの2人と始めました。車内には私達3人に加えて爆睡している悟空と外の景色を見ているベジータがいるため窮屈ですが、虎杖くんは適応したのか全く気にしている素振りを見せません。

 

「それは俺もそうだけどさ……アイツらは元気にやってる?」

「元気にやっているみたいですよ。」

 

 虎杖くんは高校と聞いて同級生である2人を思い出したのか伊地知さんに2人の様子を聞いていますが、私は外にいるブロリーがいつ車の運転をしたがるのか気が気ではありません。

 

「で、どうするの?」

「それを使います。」

 

 虎杖くんが伊地知さんに次の行動を聞くと、伊地知さんは助手席に座る私の膝に乗っている呪霊へ視線を向けました。

 

「あれ?それ呪霊?凄く怯えているようだけど……。」

「さぁ?なんで怯えているのでしょうね。」

「はははは、これは蝿頭(ようとう)といって4級にも満たない低級の呪いです。人気のないところに出たら、コイツに彼を襲わせます。」

「えぇ!?」

 

 呪霊の使い道を伊地知さんが虎杖くんに説明しているなか、私は動かず震え続ける呪霊の頭を軽く撫でてあげます。ブロリーにお人形的な感じで2匹いた蝿頭の1匹をあげたのですが、それきり外へ出ようとしていたこの蝿頭は動かなくなりました。まぁ、この蝿頭達を入れていた籠はブロリーが破壊してしまったので動かないのは好都合なんですがね。

 

「なんか自作自演みたいで気が乗らないなぁ……。」

 

 ここからは車が目立つ為、車から降りて徒歩で吉野くんを追いかけることになりました。その最中に虎杖くんが思わずと言った感じで呟いていましたが、確認のために蝿頭を目の前にぶん投げてこないだけマシですよ。

 

「蝿頭、預かろうか?」

「ふふっ、大丈夫ですよ虎杖くん。蝿頭もここでいいと言っていますし。」

 

 私の手にむんずと掴まれた蝿頭を見て虎杖くんがそう提案してきましたが、別に私は問題ないのでその提案を断ります。虎杖くんに提案された時に掴まれていた蝿頭は目を輝かせて虎杖くんへ手を伸ばしていましたが、私が拒否すると目を暗くして項垂れました。失礼な蝿頭ですね、美少女に掴まれたら普通喜ぶでしょ。逃げないように1匹を半殺しにしてブロリーに渡しただけじゃないですか。ちなみに今のブロリーは無手です。あげた蝿頭はどこに行ったのでしょうか?

 

 そんな一幕がありながらもしばらく吉野くんを尾行していると、人気がないところへ来ました。作戦を決行しますかという意味を込めて伊地知さんを見れば頷かれましたので、手で掴んでいた蝿頭を手放します。

 

 そうなれば自由となった蝿頭は飛んでいくはずなのですが、何故かこの蝿頭は飛びません。何度もコチラ……というより私の顔を見て、「えっ?本当に行ってもいいんですか?」みたいな顔で見てきます。

 

 なので顎で行けと指示をしてあげれば、慌てた様子で飛んでいきました。

 

「タンマ!誰かいる‼︎」

「えっ⁉︎ブロリーさんお願いします!」

「はい。」

「ちょっ⁉︎そいつはダメでしょ!?」

 

 しかし蝿頭が飛んでいってから今まで物陰に隠れて見えなかった誰かが吉野くんの近くにいることを虎杖くんが気付きます。まさかのイレギュラーに慌ててブロリーに蝿頭を捕まえるように指示をすれば、それは悪手だと虎杖くんは慌てた様子で走り出しました。

 

 ここでブロリーの容姿を思い出してみましょう。madのブロリーは基本的にフルパワー状態です。つまり、白目の凶悪顔で上半身が裸の筋肉モリモリマッチョマンな大男です。そんなブロリーが吉野くんの方へ走ってくる姿を吉野くんから見ればどうなるでしょうか。

 

「うぉおおお!?道を開けてぇ!」

「えっ?ちょっと!?」

「おい吉野!?どこにいくつもりだ!」

 

 ブロリーを止めようと彼の腕にしがみついた虎杖くん。でもブロリーは全く止まらないどころか虎杖くんを腕にくっつけたまま蝿頭を捕まえようと全身に気を纏って突進を始めました。そんなブロリーを見た吉野くんはブロリーが自分の方に向かっていると勘違いしたのか慌てて逃げ始めます。

 

 逃げた吉野くんを吉田くんの前にいた肉付きの良い男性が静止の声をかけますが、瞬く間に吉野くんと虎杖くんは道の先へと消えていきました。

 

「……上手いこと引き剥がせたのでそのままブロリーを走らせて彼と虎杖くんが良い感じに2人になれる場所まで追い込みます。吉野くんの反応的にブロリーのことが見えていそうですし。」

「えぇっ!?危険です!もっと様子を見てからでも……!」

「臆病者はついてこなくても良い!早く行くぞ舞戸。」

「では伊地知さん、何か進展があったら連絡します。それと私は吉野くんの前には出ませんし、いつでも虎杖くんを守れるようにしますから安心してください。失礼します。」

 

 いきなりベジータに話を中断させられてフリーズしてしまった伊地知さんに頭を下げたあと、虎杖くん達が走り去った方向へ私も走って追いかけます。

 

 追いかけている途中で蝿頭を捕まえたブロリーと合流しましたが、虎杖くんがいません。近くに吉野くんもいないことから、今頃虎杖くんは吉野くんと2人きりになっているのでしょう。

 

 その間に攻撃されていたらマズイとブロリーとブロリーが持っていた死にかけの蝿頭を回収して虎杖くんの様子が見れる場所へ急いだのですが、虎杖くんは吉野くんと仲良くなっていますし、しばらくすると吉野くんのお母さんのお誘いで晩御飯をご馳走になると連絡が来ました。

 

 吉野くんと彼のお母さんの両名とも虎杖くんに邪な考えはなさそうな気がしたので電話越しから形だけの警告をしておき、虎杖くん達が吉野くんの家に入ったのを見届けた後で七海さんから戻ってくるように指示が届いたので素直に拠点へと帰宅しました。ちなみに私も食事に誘われましたが辞退しました。流石に食べ尽くすのは申し訳ないので……。

 

 

 

 

 

 そして次の日、清々しい朝の空気を吸いながら私はランニング中です。任務中とはいえ、トレーニングをサボるつもりはあまりありません。

 

 この点は高専に入って良かったと言える部分でしょう。前の学校では授業があるため朝のトレーニングをするなら早朝に起きる必要がありましたから。高専も任務がない日は普通に授業がありますけれど……。

 

 今日はぐっすりと寝て8時くらいからトレーニングです。学生達が登校している最中にこうして自分の好きなことを出来るって、何とも言えない幸せなようなものを感じてしまいます。

 

 そのお陰でやる気は絶好調。しかし身体も温まり始めたので次は本格的に走ろうかと考えていた時、遠方で帳が下りていくのを発見してしまいました。

 

 つまりあそこには呪霊がいて、何かの依頼を受けた術師が帳を下ろしたということでしょうか。ランニングがてらそこへ近付きつつ、その途中で偶然見つけた掲示板に貼り付けられていた周辺の地図を見てみるとどうやら高校に帳が降りているようです。

 

 さて、この場合はどうすればいいのでしょうか?ぶっちゃけ私はこういう時の対処法などを全く知りません。

 

 なので先に電話やメールなどで伊地知さんか七海さんみたいな大人組に聞けば良かったですねと反省しながら懐から最新のスマホを取り出します。

 

 そう、最新です。実はこのスマホ、つい最近買い替えたんですよね。五条さんに向かって汚い真似をしやがって酷いなぁ〜みたいなことを言いながら欲しいスマホのサイトページを開いた旧スマホを視界に入る場所へ置けば買ってくれました。呪術関係の闇バイトでコッソリお金を稼いでたとはいえ、節約出来る時はしなければ勿体無いですから。

 

 そんなスマホ事情はさておき、ささっと連絡をするためにスマホの連絡帳を開いてお目当ての人物を探していると、前から人が歩いてきました。その人はフードを被っていましたが、私の近くに来ると体格差もあって隠れていた顔が見えてしまいます。

 

 その人は男性で額に大きな縫い目がありました。どこかで事故にでもあったのでしょうか?怖いですね。しかし私が彼の縫い目をまじまじと見ていたのがいけなかったのか、彼も私の方をガン見してきました。

 

 フードを被っていたことから、あまり見て欲しいものではないのでしょう。なのでこれ以上彼に不愉快な思いをさせないために視線を外して足早に彼とすれ違います。

 

 それから一歩二歩と歩いてから縫い目の男性に配慮して懐にしまっておいたスマホを再び取り出して中断していた連絡を再開します。

 

「この際、五条さんでもいいですよね。」

 

 私個人としては帳を見たらどうするかを回りくどい言い回しを無しに単刀直入で知りたいのです。それだと連絡帳に載っている呪術大人組の中で1番適しているのは五条さんでしょう。問題は電話に出るかどうかですが、出なかったら諦めて伊地知さんか七海さんに電話すればいいでしょう。そう考えていた時でした。

 

「駄目だよ。」

 

 そんな声が聞こえた瞬間、私は前へと飛び出しました。すると後ろ髪に何かが掠る感触がして、その後すぐに風切り音が耳を通り過ぎます。

 

 謎の一撃を回避した後で背後を見れば、先程の額に縫い目がある男が鎌を持った呪霊を従えて私を見ていました。恐らくあの鎌を持った呪霊が私を攻撃したのでしょう。

 

 攻撃される理由がサッパリわかりませんが、もしかしてそんなに縫い目がコンプレックスだったのでしょうか?だからって攻撃してくるのは些か過剰反応が過ぎると思いますが、もしかしたらスマホを取り出したのが悪かったのかもしれません。

 

 帳のことも気になりますし、ここは謝罪をして穏便に済ませましょう。そのために半分になったスマホを懐に……ちょっと待ってください。

 

 キョロキョロと辺りを探すと、道にもう半分のスマホが見つかりました。断面が奇麗に切り裂かれていることから、あの鎌を持った呪霊がやったのでしょう。

 

 ……とりあえず呪霊の主であろう彼に弁償させましょうか。世の中にはやって良いことと悪いことがあるのです。

 

 

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 偶然すれ違った少女。それだけなら羂索(けんじゃく)は時期が悪いこともあり、相手が例え高専生徒であっても見逃すつもりだった。しかしまじまじと顔を見られたことと、その後で呟かれた言葉が彼から見逃すという選択肢を奪ってしまった。

 

『───五条───よね。』

 

 呟かれた言葉の全てを聞き取れた訳ではない。だが顔を見られてすぐのタイミングで五条の名を呟かれたこと、そしてすぐにスマホを取り出したことを加味すれば、羂索が少女は五条に自分のことを報告しようとしていると勘違いしてしまっても仕方のないことだろう。

 

 だから少女の始末に踏み切った。残穢からバレるリスクはあるが幸い周囲には誰もいないので残穢の処理をする時間はあるし、どのみちここで少女を見逃せば確実にバレるのだ。それなら確率でバレるリスクを背負ってでも確実を無くすほうを優先するに決まっている。

 

 が、羂索の想像以上に少女は強かった。最初は住宅地に被害を出さないためなのか少女は術式の使用を控えていたのだが、それが無くなったのは少女が呪霊を潜り抜けて羂索へ迫った際に羂索が自衛として過去に乗っ取った虎杖香織の術式を反転させて使用した時だった。

 

『重力!?重力だよな!?重力だこれ!』

 

 モロに受けたはずなのに傷一つ無く立ち上がって見せ、2度目は倒れないどころか自重でクレーターを作りながらも普通に歩いてくる。そして興奮しているのか高重力下であるにも関わらず髪の毛が逆立ち始め、先程までのお淑やかな性格がぶっ飛んだ。更に真人が下ろした帳へ向けられていた多少の意識も羂索の方へ向き、完全に彼をロックオンした。

 

『何倍までいける⁉︎持続時間は⁉︎ いや、まずは雇用契約から……待てよ?攻撃してきたってことは呪詛師だよな?なら拘束して拉致しても良いってことだよな?』

『腐☆腐、捕まえたらじっくりと調教して、私の言うことしか聞けぬようにしてやる。』

『よしパラガス!任せた!私達はアイツを捕まえる‼︎』

 

 重力を受けてからいきなりハイテンションとなった少女の後ろに現れた褐色の男。その隻眼が羂索を捉えた時に羂索は何故か己の尻に危機が迫っているのを感じた。

 

 それに加えて今までの経験からこの少女は事前に準備をしてから挑まないと割に合わない被害が出るタイプと判断。既に何個か現時点での少女を殺す策は頭の中に浮かんでいるものの、今すぐ実行出来る策ではない。

 

 なので羂索は逃走を選択した。これ以上やっても損をするだけだと判断したからだ。それによくよく思い返してみると、羂索は今日初めて目の前の少女のことを知ったのだ。なのでこの少女はつい最近編入か何かで高専に入ったばかりなのだろう。そんな少女が五条とこの身体の繋がりを知っている可能性なんてほぼ0だ。慌てて始末する必要も無くなった。

 

 一度戻って彼女の情報を高専に忍ばせている者達から集める必要がある。術式と顔を見られたのは痛手だが、寧ろここで厄介な少女のことを知れたのは大きいと羂索は自分に言い聞かせながら、逃走の準備を整えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、参った。」

 

 そして現在、羂索は珍しく演技ではない本心から困った顔を浮かべていた。羂索の眼前に浮かび上がっているのは黒い球体。それは彼の呪霊操術によって現れた呪霊が展開した領域だ。そして領域の中には少女と少女が展開した数体の式神が閉じ込められている。

 

 さらにその黒い球体の右上には4体の呪霊に囲まれた金髪の大男。手順を守らねば突破出来ない概念系の呪霊を4体も使ってようやく押さえ込めているのだが、手順を守ってもいないのに徐々に大男の力が勝ってきておりそのうち脱出してくるだろう。なんだあの化け物。

 

「ここで死んでくれるとありがたいけど……まぁ、無理だろうね。」

「脱出出来ぬぅ!」

「いや、なんで声が聞こえてくるんだよ。君を押さえ込んでいる呪霊の一体はそういう系を封じる術式のはずだけど。」

 

 これは急いだほうがいいだろうと羂索は呪霊を置き去りにして1人で足早にこの場を後にした。その判断は正しく、彼が去ってから数分で領域にヒビが入り、領域展開を行った呪霊の頭部を無理矢理もぎ取った舞戸が飛び出してくる。

 

「重力装置はどこに行った!?」

 

 青い球体のバリアに包まれた舞戸は少女らしからぬ悪役顔で周囲を捜索するが、羂索は既に舞戸の感知範囲外へ逃亡している。次第にそのことに気付いたのか舞戸の高まっていたテンションは落ち着き始め、逆立っていた髪も元に戻る。

 

「みすみす見逃してしまったブロリーです。」

「いや、ブロリーは悪くないですよ。貴方が相手をしていたのはなんだかめんどくさそうな呪霊でしたから。」

 

 そんな舞戸のもとに、ゴリ押しで呪霊を祓ったブロリーがやってくる。彼は羂索を逃したことに落ち込んでいたが、すかさず舞戸がフォローを行う。ちなみに後ろではブロリーを煽ろうといつものメンバーがソワソワしていたが、舞戸に一睨みされたことで今回は黙っておくことにしたようだ。

 

「逃してしまったことはしょうがないですね。ちなみに悟空さんは彼の呪力を追えますか?」

「悪りぃ!無理だ!」

「ですよね、先に悟空さんを出して彼の呪力を覚えさせれば良かったですね。彼の残穢も私の呪力で押し流してしまったようですし。……これ、私が住宅地でいきなり乱心して暴れたみたいに捉えられませんよね?」

 

 薄らとした希望を込めて舞戸は悟空に質問するが、返ってきたのは想定内の言葉。その言葉にまぁ予想通りだと舞戸はため息を吐きながらも気持ちを切り替える。

 

「まぁ、やっちゃったものは仕方ありません。残穢を処理してから帳の方へ向かいましょうか。結局どうすべきか知ってる人に聞くことは出来ませんでしたが臨機応変に行きましょう。」

 

 そういえばスマホの弁償代を貰っていないと今更舞戸は思い出したが、本人がいないのでどうしようもない。もう一度五条さんが買ってくれないかななんて思いつつも舞戸は結局ブロリーを煽って制裁を受けるいつものメンバーを見ながら残穢を処理し、その後で帳を目指して歩き出す。

 

 そして辿り着いた帳に舞戸が手を入れてみると問題なく入ったのでそのまま奇襲などを警戒しながら侵入すると、傷だらけの虎杖が膨らんだツギハギの呪霊を殴りつけて破裂させたところだった。一瞬だけ丁度終わったところだったのかと考えた舞戸だったが、ふらつく虎杖の様子と破裂した呪霊の気配が未だに衰えていないことに気付いて素早く行動を開始する。

 

「ピッコロさん。」

「仙豆だ。」

「ありがとうございます。 虎杖くん!こっちに向いて口を開けてください!」

「えっ?あー、んぐ⁉︎」

 

 今にも倒れそうな虎杖へ舞戸が声をかけると、虎杖は舞戸がここにいることに驚いていたが、すぐ言われた通りに舞戸へ向けて口を開いたので舞戸は親指に乗せた仙豆を指弾で打ち出し、虎杖の口へ放り込む。

 

 少し威力を誤ったのか虎杖がむせていたが謝る暇はない。今度は姿が見えないため後回しにした呪霊を探し始めたが、すぐに形を変えて排水口から逃げようとしている姿を発見する。

 

 手のひらを呪霊へ向けて気弾を生成。しかし後は発射するだけというタイミングで呪霊を祓うことに意識を向けていたため舞戸のことを見ていなかった七海が舞戸の射線に入ってしまうアクシデントが発生。

 

 ならばと舞戸は上空へ移動。両手を空へ向けて巨大な気弾を生成する。

 

「七海さん!虎杖くん!急いで帳から離脱してください‼︎」

「舞戸さん⁉︎何をする気ですか⁉︎」

「この帳内の土地諸共呪霊を消し飛ばします!だから急いで‼︎」

 

 舞戸の今からやろうとすることに思わず七海は目を見開いた。土地を消し飛ばすなんてそんなこと出来るわけがないと七海の中で否定の考えが浮かぶが、舞戸の頭上に浮かぶ高密度の巨大エネルギー弾がその考えを許さない。

 

 ここは舞戸に任せる。多少の被害かここでツギハギ呪霊を祓うかを天秤にかけ、後者を選択した七海は帳の外へ走り出したが、それとは反対に舞戸の方へ走る者がいた。

 

「ストップ!ストーープ‼︎」

「虎杖くん⁉︎巻き込まれますよ‼︎土地のことは後でガス爆発で処理すればいいから早く逃げてください‼︎大丈夫です!一つの市町村が土地ごと吹き飛んでもガス爆発にしとけば安全に処理出来ますから‼︎」

「そのガス爆発に対する厚い信頼は何⁉︎ じゃなくて体育館にはまだ生徒達がいるんだ‼︎だからそれはやめてくれ‼︎」

 

 他作品では何が起きてもガス爆発で丸く収めていることからガス爆発に対して厚い信頼を持つ舞戸。しかし虎杖はそんなことを知らないため舞戸のガス爆発に対する信頼へツッコミを入れつつ、舞戸の攻撃範囲にはまだ生存者がいるためその攻撃を待ってほしいと叫ぶ。しかし──。

 

「だから何ですか?」

「えっ?」

「この先数千、数万の人間を殺すかもしれない呪霊をこの程度の被害で祓えるなら、これは必要な犠牲です!」

 

 舞戸の言葉に困惑する虎杖。だが徐々に理解が追いついたのか、怒りを滲ませながら舞戸へ反論する。

 

「ふざけるな!今も体育館にいる生徒の誰かが将来医者になってこの先数千、数万の命を助けるかもしれないだろ!?」

「そんなタラレバ!」

「そっちもタラレバじゃねーか!」

 

 舞戸が何を言っても虎杖に退く様子は見られない。そうしているうちにツギハギ呪霊は逃走を続けており、いつ攻撃範囲外へ逃げられるかもわからない。

 

 この聞かん坊め!そう内心で叫びたくなる舞戸だったが、心のどこかではやっぱり主人公ならこんな反応になりますよねと何処か納得している自分もいる。虎杖が自分の意思を折らないのなら、ここは自分が折れるしかないだろうと舞戸は諦めた。

 

 生成したエネルギー弾を圧縮。さらにそれを10個に分裂させ、両手の指先に装填する。

 

「確実性が薄れますが仕方ありません。虎杖くん!伏せてください‼︎心配しなくても体育館には手を出しませんから!」

「わかった‼︎」

「んー!こういう時は切り替えが早いですね!」

 

 生徒が倒れている体育館に被害がいかないと理解するなり舞戸の言う通りに地面に伏せる虎杖。それに対して流石主人公、切り替えが早いと感心しながら舞戸は指先を地面へ向ける。

 

「これで死んでくれると嬉しいですけど、ね‼︎」

 

 そして指先に留まっていた圧縮したエネルギー弾を発射。それはレーザーとなって地面を貫通して穴を開け、更に舞戸が指先を動かすことによって今なお放たれているレーザーも連動して動き、通り過ぎる場所を溶断していく。

 

「まぁ、こんなものでしょうか。」

 

 やがて込められたエネルギー分を放出したのか、レーザーは徐々に細くなって消滅する。しかし手応えらしいものはなかったことから、呪霊を仕留めることは出来なかっただろう。

 

「舞戸さん、ツギハギの呪霊は……。」

「生きているでしょうね。手応えがありませんでした。それに排水口の先を適当に予想して撃っただけなのでそもそも当たっているかも怪しいです。」

「わかりました。」

 

 舞戸の報告を聞くと七海は携帯電話を取り出す。そして猪野と呼ばれる呪術師に素早く情報共有と指示を行うと、今度は舞戸と虎杖へ指示を出す。

 

「私達もこれからあのツギハギ呪霊を追います。虎杖くん、身体は大丈夫ですか?」

「大丈夫!舞戸が渡してきたやつを食べてから寧ろ調子が良い!」

「舞戸さんは?」

「まだまだいけますよ。」

「わかりました。それでは虱潰しにツギハギ呪霊が逃げたであろう下水道を捜索します。どんな些細な情報でも必ず報告してください。良いですね?」

「押忍!」「了解しました。」

「では行きましょう。2人とも離れずについてきてください。」

 

 2人の返事を聞いた七海はツギハギ呪霊を追いかけるために走り出し、その背中を虎杖と舞戸が追いかけるのだった。




オリ主……一応ドラゴンボール製の身体なのでその気になれば土地を丸ごと吹き飛ばせる。気弾を両手両足に加えて口からも撃てるうえに気絶しても勝手にブロリーが出てくるため本気で拘束したかったらブロリー達を封殺して両手両足を地面に向かないようにしないと土地ごと周囲を吹き飛ばして離脱する。
この度重力装置を発見。次見かけたらヤンデレ彼女みたいな粘着度で迫ってくるかもしれない。

虎杖……ドア開けたら自分をボコボコにしたやつが前にいるなんて想定していない。しっかりオリ主も呪術師としてイカれてることを認識した。

七海……急に五条から1人そっちに送ったから〜と言われた人。オリ主の式神の説明を聞いて頭が痛くなったのは内緒。

順平……原作通り真人に無為転変されてる。

羂索……オリ主の身体の頑丈さなどの仕組みは見抜いたものの、あれは自分に真似は出来ないと判断。もし何かでオリ主が死ねば乗っ取り候補にランクイン。

宿儺……何も話してないけど生得領域でニヤニヤしている。



 羂索みたいな頭が良いキャラを上手く書けねぇよ……。





オマケ。本編に入れたいけどそこはおかしいだろみたいなところが多々ある。けど書いちゃったからここでどうぞ。ちなみに元ネタは少し前にリメイクで出てきた某マ◯オRPGのミニゲームです。madでもチラホラ出ているから知っている人は知っているはず。


ではどうぞ。




「そろそろ撒けたかな? んー、疲れたぁ。しつこすぎるよあの呪術師達。」

 下水道のとある一室にて、ツギハギ呪霊である真人は伸びをするように両手を高くあげる。

 本来ならば真人と戦った虎杖は真人逃走と同時に気絶。そのため七海は虎杖を介抱するために真人追跡に参加せず、真人は余裕で逃走が可能だった。

 しかしここでの虎杖は気絶前に舞戸が渡した仙豆によって全快。よって介抱をする必要がなくなり、今は七海と共に真人追跡に参加している。

 これによって真人の逃走可能ルートが減少。さらに真人が通る予定だった道に虎杖達が捜索に来たため真人は別ルートを通ることを余儀なくされた。

 呪術師達にバレないようにとこっそりと逃げまわり、やっとのことで追跡に来た者達を撒くことが出来た真人は慣れないことをしたからか大きく息を吐く。

「ゴッソリ呪力が無くなったし、しばらくは漏瑚達と合流して回復かな?」

 地上へ続く梯子に近付きながら今後の予定を考える真人。そんな時、下水道の奥から人が走るような音が真人に届く。

 すぐに隠れようとした真人だったが、この一室にあるのは梯子以外には四つの台座のみ。さらにそのうちの2つの台座は呪骸が上に乗って占拠している。

 自分の形を変えれば隠れることは可能。しかし真人が想定していたよりこちらに向かっている者のスピードが早く、残念ながら間に合いそうにない。

「(でも呪力はある程度戻っているから虎杖悠仁以外なら殺せるし、逃げることも出来る。……少し遊ぼっか。)」

 どうせ魂を捉えられないなら問題ない。そんな気楽な気分で真人は来訪者を待ち構える。

 やがて現れたのはM字ハゲが目立つ男。そんな彼に真人は両手を広げて歓迎しようとするが、すぐに男の様子がおかしいことに気付く。

 男は真人を無視して慌ただしく部屋を見渡したあと、空いてある台座に乗ってポーズを決めた。

「えー?もしかして銅像の振り?そんなもの──ッ⁉︎」

 その姿に真人は呆れ、男を馬鹿にするような表情をしながら近寄る。抵抗しないならそのまま触って終わらせよう。そう考えていたが、その思考はコチラに近付いてくる存在によって吹き飛んだ。

 ギュピ、ギュピ、と特徴的な足音が近寄ってくる。音が近寄るたびに真人の目の前にいる男の震えが強くなっていく。

 そこで真人は男が今近寄ってくる存在から逃げて来たのだと気付く。ここからでも感じれる威圧感。それはある程度回復したとはいえ消耗した状態では勝てないと確信してしまうほど。

 選ぶ手段は逃走一択。しかし奴が来るまでもう時間がない。悩みに悩んだ結果、真人が取った手段は残った一つの台座の上で銅像の振りをすることだった。

 何故よりにもよって銅像の振りなのか。そう自問自答をしているうちに、足音の主が姿を現した。

「ベジータァ!ベジータァァァ!!」

 現れたのは誰が見てもキレているとわかる金髪の大男。その大男の叫びに真人の隣にいる男から大量の汗が流れ出ている。

 やがて大男はゆっくりと歩き始めた。このままベジータの元へ向かうのかと真人が思ったのも束の間、1番近い位置にあった呪骸の隣まで来ると真人の目でも微かにしか捉えられない速度でそれを蹴り砕いた。

 破砕音が部屋に響き渡り、呪骸は一瞬で粉々になった。いきなりの行動にベジータが唖然とし、嫌な予感を感じ始めた真人は自身の身体に眼を増やし始める。

 その間に大男は再び歩き始め、次の台座に辿り着く。しかし今度は蹴りを放つ前に呪骸が大男へ先制攻撃を仕掛けた。

 やられる前にやる。そんな意思が籠った一撃は、大男に当たりはしたが一切通じず、逆に頭部を掴まれて地面に叩き付けられた。上半身が埋まった呪骸は追撃の踏みつけで粉々に砕け散る。まさに玉砕といったところだろう。

 そしてまた大男が歩き出す。次は微かに震えているベジータ。このままいけば蹴り飛ばされて終了だろう。そう考えていた真人だったが、ベジータが取った行動に驚愕することになる。

 躱したのだ。タイミングよく体勢を変えることで衝撃波を伴う威力の蹴りを。

「(おぉ、凄いね。でも動いたらバレるでしょ。ご愁傷様。)」

 その行動を称賛しつつも馬鹿にする真人。しかし大男が不思議そうにポーズを変えたベジータを見つめた後、自身の方へ歩いてくるのを見て眼を見開いた。

 いやなんでコッチに来るんだよ等のツッコミをする間もなく、真人の前に辿り着く大男。このままだと蹴りが来ると全身に増やした眼で大男を凝視し、いつでも動けるように構える。

 そして放たれた蹴り。何とか見切れたその蹴りを真人は身体の形を変えることで回避。そのままお返しで触ろうとしたが、その行動を起こす前に大男に纏われた呪力を見て踏みとどまる。

「(なんだコイツ、鎧のように身体を呪力の膜が覆っている。これじゃあ触っても本体に俺の呪力も術式も届かないから魂を弄れない。)」

 そんな防ぎ方があるのかと驚愕して動かないままの真人をまじまじと眺めた後、大男は再びベジータの方へ歩き出す。そして蹴りを繰り出すが、またベジータは躱す。

 すると今度は真人の方へやってくる。が、真人も気合いで蹴りを躱した。

 その後、数度にわたって大男の蹴りが繰り出されるが、ベジータと真人はしぶとく躱す。しかし途中からフェイントが混ざり始め、消耗していることもあって真人は既に限界だった。

 だがここで真人は閃いた。別に隣のコイツを蹴落としてもいいんじゃないか?と。しかしやり方を間違えてはいけない。仮に無為転変で異形に変えてしまった場合、大男はそれを素早く処理して真人を集中して狙ってくる可能性がある。

 ならば取るべき手段は一つ。ベジータを無理やり動かして逃げるように仕向ける。それを大男が追えば、その間に梯子を登って地上へ脱出すれば良い。追わなければ賭けになるが隙を見て分裂することでターゲットを分散させ、その間に逃走するしかないだろう。

 作戦が決まったので真人は大男にバレないように自身の身体の形を変えてベジータの背後へ伸ばしていく。そして大男がベジータの方へ向いたタイミングでベジータを突き飛ばすために伸ばした身体を突き出した。

「馬鹿め!この程度の攻撃……あっ。」
「……血祭りィ。」
「逃げるんだぁ……ふぉおぉ!?」

 しかし真人の行動をしっかり認識していたのかベジータはドヤ顔でそれを躱す。が、ブロリーが見ている前で声まで出して堂々と動いてしまったのが運の尽き。寧ろ何故今までブロリーがベジータを見つけられなかったのか不思議なぐらいである。

 その後は真人の予想通りベジータは一か八かで逃走するが、部屋の出口あたりで振り向いたと同時に大男のラリアットを顔面に受けてそのまま大男と共に通路の奥へと姿を消した。

「まぁ、予想通りかな。アイツが戻ってくる前に逃〜げよ!」

 遠くで衝突音と破砕音が響くのを聞きながら台座から飛び降りた真人は梯子を登り、そのまま地上へと脱出するのであった。





「この痕跡は……。」
「ベジータがブロリーに攻撃した痕跡ですね。」
「……。」

「この痕跡は……。」
「んー、ブロリーの攻撃をベジータが何とか躱したものですね。」
「……。」

「舞戸さん、この痕跡は何ですか?」
「これはベジータがブロリーにラリアットをくらってそのまま壁に叩き付けられた痕跡ですね!」
「成程、よくわかりました。舞戸さん、術式を解いてください。邪魔です。」
「‼︎⁉︎」
「いや、何でビックリしてるんだよ……。普通そうなるでしょうよ。」
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