術式:ブロリーmad   作:フドル

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誤字脱字報告と感想いつも感謝です。

お待たせしました。今回は三人称、一人称、三人称で進みます。それと今回は2度目の三人称の冒頭の部分が原作と全く同じなのでかなり雑に進めています。そこは目を瞑ってくれぇ……。



ホームラン級の球が多い野球交流戦‼︎

「虎杖くん……。私、もう我慢出来ません。」

「ま、舞戸……。」

「ねぇ、何か始まったんだけど?」

「俺に聞くなよ。」

 

 突然の襲撃を乗り越え、誰一人欠けることなく再び集まった一同。しかしまだ襲撃がある可能性があり、被害状況や安全を確認出来るまで交流会は一時中断。そして今現在、生徒達の意見を聞きたいとのことなので、生徒達は指定された建物内に集合。が、相変わらず五条が遅刻。そのため少し待機となったのだが、何故かいきなり舞戸が虎杖を背後から抱きしめたのが現状だ。

 

 頬を赤くして、虎杖を上目遣いで見る舞戸はまるで恋する乙女の様。その姿にドキッと来たのか虎杖は顔を青く(・・)染め上げた。それを見た釘崎は出来の悪い恋愛劇でも見てしまったかのような顔で隣にいた伏黒にこれは何だと問いかけたが、伏黒も知らないため冷たくあしらわれた。

 

「舞戸……。分かった、俺、しっかりと受け止めるよ。」

「虎杖くん!」

 

 そんなやりとりを釘崎と伏黒がしているうちに、虎杖と舞戸が主演の予算が足りなくて手抜き感満載恋愛ドラマみたいな展開が進んでいた。

 

 虎杖の覚悟を決めた男の顔に舞戸がパァッと顔を明るくする。その嬉しさからか、虎杖のお腹に回されていた舞戸の両手がお互いの手首をしっかりと掴み、虎杖を逃さないようにロックする。

 

「じゃあ私の気持ち、しっかりと受け止めてくださいね?」

「おう!バッチコイ‼︎ ……あ、ごめんやっぱ嘘タンマかなり怖──」

 

 そして虎杖の静止を無視して繰り出されたのはジャーマンスープレックス。恋愛ドラマから突如としてプロレスへの番組変更にその場にいた者達の空気が凍る。しかしそれはほんの一瞬、東堂を除いて硬直する京都校メンバーを置き去りにしながら、いち早くそういうものに慣れている東京校メンバーが復帰、懐に隠している点数が書かれたプラカードを掲げた。

 

 提示された点数はオール10点。技のキレ、反り返りの美しさ、そして威力! 全てにおいて文句がなかった。あの釘崎でさえ悔しげに10点を掲げている。

 

「では次は東堂さん、あなたの番です。」

 

 板張りの床を頭で貫き、お尻を天に向けたオブジェクトと化した虎杖から視線を外し、元の体勢へ戻った舞戸はお前の番だと東堂を見つめた。その鋭い視線に貫かれた東堂は面白いと言わんばかりに口角を上げたが、直後に目を見開き、まるで電流に貫かれたような表情となる。

 

 その顔の変化に舞戸が訝しむ表情をする中、東堂の脳内に捏造される……。

 

 

 

 

【存在しない記憶を彩る記憶】

 

 

 

 

虎杖(ブラザー)、今日が何の日か……分かっているな?』

『おうよ、高田ちゃんのアイドル就任1周年記念、だろ?』

『流石だ虎杖。そしてここには2枚の記念ライブチケットがある。』

 

 時は中学時代、学校のグラウンドで話し合うのは東堂と虎杖の2人。既に授業開始の鐘は鳴っており、周りの生徒達がいなくなったこの場所で2枚のチケットを見せた東堂は試すように虎杖を見た。

 

 友なら来てくれる、だがもしもがある。そんな期待と不安を織り交ぜた東堂の表情を虎杖は寸分違わず見抜き、立ち上がると背中を叩いて先に歩き出す。その姿は友を置いていきはしないと物語っていた。

 

『虎杖……‼︎』

『行くんだろ?東堂(マイベストフレンド)。』

 

 背中越しに東堂へ向けられた男の顔。それに東堂は思わず涙を流しそうになる。だがすんでのところでそれを耐え、笑みを浮かべながら目尻に溜まった涙を親指で拭う。そして虎杖に続こうとしたその時、漢達の行進を遮るように立ち塞がるものがいた。

 

『どこに行こうとしているかは分かりませんが、敢えて言いましょう。駄目です。』

『僕もそう思います。』

『げぇ⁉︎委員長‼︎』

 

 虎杖達の前に仁王立ちで立ち塞がるのは数多のサボリ生徒を物理的に沈め、教室へ連行する舞戸委員長。と、何故か顔面をモザイク加工された(トランクス)。予兆なく現れた天敵の登場に過去数度捕まり教室へ連行されたことがある虎杖は不味いと顔を顰めた。

 

『案ずるな虎杖。ここにはお前と、そして俺がいる。俺達2人が揃えば負け無し。そうだろう?』

『東堂……。』

 

 隣に立ち、ウインクする東堂に虎杖は笑みを浮かべて構えを取る。その姿から抵抗の意思ありと判断した舞戸も髪を逆立てながら構えを取った。

 

 その間に東堂は脳内でこれから行われる戦闘の予測を始める。その結果、長い時間をかける必要はあるが確実に勝てると確信。

 

 だがこれを虎杖に言う必要は無い。何故なら虎杖と東堂は心で繋がっているから。

 

『うぉぉおおおお‼︎』

『なっ⁉︎ 待て虎杖‼︎』

 

 しかし今回に限りそれはなかった。虎杖がいきなり舞戸へ突貫したのだ。その行動に東堂は戸惑いながらも即座に次の行動を修正しようとした。

 

『東堂‼︎勝利条件を間違えるな‼︎』

『何⁉︎しかし虎杖!』

『ファンなんだろ⁉︎行けよ東堂!……後で感想を聞かせてくれよ?』

 

 舞戸と取っ組み合いながらも虎杖は東堂へ向けて茶目気な笑顔を向ける。だが虎杖の膂力をもってしても舞戸の方が力は上のようで、徐々に虎杖が押し負けている。この拮抗も長くは持たないだろう。

 

『すまない虎杖、ここは任せる!後で感想を5,000文字で……いや、日が明けるまで語り尽くそう!』

『それはちょっと遠慮してほしいなぁ‼︎ うぉお⁉︎』

 

 虎杖の行動に感動しながら東堂は走り出す。その際に発したセリフの不穏さに虎杖は思わずツッコミを入れるが、それがいけなかったのか舞戸に押し負けて背後を取られた。

 

『あ、ごめんなさいちょっと手加減してくれると──』

『駄目です。』

『僕もそう思います。』

『ですよねぇ……、グボァ⁉︎』

 

 そしてキマるジャーマンスープレックス。グラウンドに響く鈍い音に混じった虎杖の潰れた悲鳴を背にしながら、東堂は自身の前に立ちはだかったモザイク男をまるで見えていないかのようにスルーして隣を通り抜け、正門を飛び越えて外へ飛び出した。ここまで来れば委員長である舞戸は追いかけてこれない。

 

 澄み渡る何処までも広がる青い空。高田ちゃんのライブ会場へ走る東堂の姿を、サムズアップした虎杖のような雲が見守っていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ、委員長のこれは久しぶりだな。」

「あの、何言っているか分かりませんし何で上を脱ぎ始めているのですか?」

「知らないわよ。というか私に聞かないでくれる?」

 

 懐かしむような雰囲気で上着を脱ぎ始めた東堂に舞戸は困惑しながら真依を見るが、東堂の奇行の理由は真依も知らないので自然体を装って東堂から距離を取りつつ、舞戸からの質問を冷たくあしらう。

 

 真依にあしらわれた舞戸はそのまま他の京都校メンバーを見るが、全員が我関せずと言わんばかりに目が合わない。人の良い三輪ですらそれなのだから、本当に誰も東堂のこの行動の意味を知らないのだろう。

 

「さぁ!来い‼︎‼︎」

「じゃあ遠慮なく。」

 

 だがそれはそれ、これはこれ。上半身が裸になった東堂の叫びに反応した舞戸は即座に背後へ回り込み、虎杖の横へ埋めるように技をキメるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「親父ィ、俺もアレやりたいです。」

「ブロリー、よぉく聞け。ここには埋めれる人が……いない!」

「何ぃ⁉︎確かに周りは良い子ばかり。理由なき暴力はいけないぃです。」

「良いゾォ!ブロリー、このままお前も良い子ちゃんになってしまえぇえ‼︎」

 

 事前にしたお約束通り、虎杖くんと東堂さんを天にお尻を向けるオブジェクトとしたのですが、虎杖くんはともかく、東堂さんはあんまり効いていませんね。床に衝突する瞬間に頭部と首を呪力で保護したようですから。

 

 ですが文句は言いません。誰も防御無しで受けろなんて言っていませんし、むしろ防御前提で技をキメました。

 

「だったらブロリー!このサイヤ人の王子ベジータ様が貴様を愉快なオブジェクトにしてやる!チャァァァァァァァ‼︎」

「ヘェアァ⁉︎」

「やめろベジータ!お約束をするんじゃない‼︎」

 

 やることはやったので一連の流れを見て同じことをやりたがっているブロリーの肩へ踵落としからの連続パンチをしているベジータを眺めながら近くの椅子に座ります。

 

「ふふふ、ベジータァ……。理由が出来たなぁ。」

「ふぉお⁉︎ やめろぉ、離せぇ。」

 

 ベジータの連続パンチを無表情で見ていたブロリーですが、これは立派な理由になると考えたのか笑みを浮かべながらベジータの頭を掴みました。そしてジタバタと抵抗するベジータを意に介さず2つのオブジェクトの隣まで運びます。

 

「ふん‼︎」

「ふぐぅおぉ⁉︎ ……おお?ははは、ブロリー!間抜けは見つかった──」

「ふん‼︎‼︎」

「ぐほぉお⁉︎」

 

 そこまで来れば次に何をするかは明らかですが、予想通りブロリーはベジータへジャーマンスープレックスをしようとしました。しかし体格の問題で先にブロリーの頭が床に突き刺さったようです。

 

 やる前からわかりきった結果を捕まったままのベジータが笑おうとしましたが、その声は即座に起き上がったブロリーが自分で空けた穴にベジータを頭から押し込んだことにより苦渋の声へとチェンジしました。というかベジータも学びませんね。いや、これがこの術式なのですけど。

 

「ベジータ、貴様のお約束で俺のブロリー良い子ちゃん計画は何もかもお終いだぁ。」

「くそったれぇぇぇ‼︎」

「ふふふふ、ふはははははは‼︎ イェイ!」

 

 

「何これ?どんな状況?」

 

 腕を振ってやりたいことが出来たと喜ぶブロリーと嘆くパラガスを尻目に呆れた目で私が埋まったベジータを見ていると、やっと来た五条さんはスマホのカメラを起動させ、目の前の愉快なオブジェクトを連写しつつも周りに説明を求めます。すると周りの視線が何故か私に集まってきました。そのことから私が説明しろと言うことなのでしょう。

 

「ブロリー達はいつものです。虎杖くん達は絆を深めるために自ずとああなりました。今頃は床の下でお互いを見つめ合っているのではないでしょうか?」

「斬新な親交の深めかただね。」

「違うから‼︎ちょっとペナルティをもらっただけだから⁉︎ そうだよな、東堂!」

「虎杖、中学の頃はよく委員長に沈められてはこうやって反省会を開いていたよな……。」

「俺から聞いといてなんだけど東堂はちょっと黙っててくれない⁉︎ 話がややこしくなるから‼︎」

 

 少し悪戯心で捏造した話を五条さんに説明すれば、埋まっていた虎杖くんが慌て気味に復活しました。それに連なって東堂さんも復活しましたが、当たりどころが悪かったのかよく分からない記憶が生えているようです。

 

 それにより話が更にややこしくなり、虎杖くんが慌てています。その姿に過去のブロリー達に振り回されていた頃の私が思い浮かび、思わず微笑ましいものを見るような表情をしてしまいました。

 

 しかし過去の記憶を思い返していくと、ブロリーがベジータごと物を壊し、悟空が備蓄した食材を食い荒らし、パラガスが転がり、トランクスが誰かに挑発しては気弾と共に空へ飛んでいくなど、良い思い出がそこまでありません。

 

「今年は個人戦やらないよ?」

 

 当時の苦々しい思い出によって無意識のうちに頬をひくつかせていれば、その間に話は進んでいたようです。状況を理解するために周りを見渡せば、五条さんの個人戦はやらない発言に皆さんが疑問顔になっています。私と虎杖くんは今年から呪術の世界に入ってきたので何故皆さんが疑問顔になっているのかは分かりませんが。

 

「僕、ルーティーンって嫌いなんだよねぇ。毎年この箱に勝負方法を入れて、当日開けるの。」

 

 五条さんが懐から片手サイズの小さな箱を取り出して隣にいた虎杖くんに渡し、中の紙を取り出すように促します。虎杖くんはそれを受けて箱の中身を漁り、やがて一枚の紙を取り出しました。

 

「んん⁉︎」

「うぉお⁉︎」

「野球ぅ⁉︎」

「居たの⁉︎」

 

 紙に書かれていたのは野球の2文字。それに虎杖くんが困惑していると、いつの間にか虎杖くんの後ろにいた楽厳寺学長と夜蛾学長が驚愕の声をあげています。

 

「どういうことだ、夜蛾。」

「いや、私は確かに個人戦と……! 待てぇ!悟めぇ‼︎」

 

 問い詰める楽厳寺学長に夜蛾学長は困惑気味に返事をしますが、途中で五条さんの独断と察したのか五条さんを呼び止めようとします。しかし楽厳寺学長に問い詰められている間に五条さんはどこかへ行っており、その叫びは虚しく建物内で響き渡るのみとなりました。

 

 両校の学長が個人戦だと考えているのなら、野球は辞めて個人戦に切り替わるでしょう。そう私は考えていたのですが結局はそうならず、一度決めたのだからという理由で次の交流戦もチーム戦。それも野球となりました。

 

 なんだかんだで五条さんの独断を認めるお二人は優しいですね。恐らくあんなことになって人も死んでいるので今回は戦闘する個人戦よりかは皆さんでワイワイ遊ぶ方が良いと判断したのでしょう。

 

 ところで、私は野球に参加しても良いのでしょうか。絶対カオスなことになる予感しかしませんけど。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

「プレイボール‼︎」

 

 翌日、よく晴れた良い天気の日にて、高専が所有する野球場にて五条のよく通る声が試合開始の合図を告げた。

 

 先攻は京都校。先の団体戦で爆睡をかまし、現在の自己評価は役立たずの三輪が真希の投球を打ち上げる。それを見たルールを理解していない西宮が球の行方を見ずに走り出すが、分かりきった通りにアウトになる。

 

 犠牲フライという言葉を聞いた西宮が新たな拷問かと叫んで歌姫に突っ込まれているうちにバッターボックスに加茂が入る。そんな彼は虎杖へ呪術師になった理由を問いかけ、知らぬうちに三振していた。

 

 これでスリーアウト。交代である。東京校からは釘崎が1番目だ。

 

「東北のマー君たぁ、あたしのことよ。」

 

「東北のマー君はマー君だろ。」

「マー君投手だぞ!」

「おかか。」

「えっと、頑張ってくださいね。」

「親父ィ、マー君ってなんだぁ?」

「腐☆腐。マー君とは──」

「ふん、マー君とは誰か知らないがこのサイヤ人の──」

「そんなことよりオラ腹減っちまったぁ。」

「僕もそう──」

 

 釘崎の決め台詞にベンチから飛ぶヤジ。パンダの横に座る舞戸だけは素直に応援しているが、それ以外はマイペースだ。特に舞戸の隣に座るブロリー以下愉快な仲間達は試合を見てすらいない。その癖みんなキチンとユニフォームを着用している。

 

 ブロリーに至ってはミッチミチにユニフォームが張っており、いつ破けるか分からないほどだ。むしろ辛うじてだがブロリーが着れるサイズのユニフォームがあるほうが凄い。

 

 舞戸以外の言葉にこの野郎どもと釘崎が内心でキレていると、真依に運ばれてきたスペアメカ丸(ピッチングマシンの姿)が登場。流石にこれは許せないのか釘崎がヘルメットを投げ捨てて詰め寄る。

 

 突然発生した乱闘に虎杖達が急いで駆け寄る。その背後では明らかにやり過ぎるだろうブロリー達を押さえるために舞戸が両手を広げてステイステイしていた。

 

 結局シラを切る真依に釘崎は問い切れず、スペアメカ丸で続投となった。ヤケクソになった釘崎は気合いで出塁。その後は伏黒が送りバントを行い、パンダがヒット。そして最後に締めと言わんばかりに真希が登場して球を打ち上げた。

 

 周りがホームランだと確信する勢い。この手応えに悠々と塁へ進もうと真希だったが、箒に乗って空を飛ぶ西宮によってボールを取られ、あえなくアウトになる。これには思わず東京校サイドのベンチからブーイング。

 

 しかしこれは人数不足を補うために事前に決められていたルールのためブーイングは却下された。その後は大した活躍もなくスリーアウト。交代となる。

 

「さて、次は私の番ね。」

 

 再び京都校の攻撃となり、バッターボックスに真依が立った。ある程度バットを振るい、手に馴染ませてから真依はピッチャーである真希の姿を捉えようと前を睨む。

 

「投手となったブロリーです。」

「球にされたパラガスでございます。」

 

 が、そこにいたのは真希ではなく筋肉ムキムキのブロリーと謎の乗り物(1人用のポッド)に乗ったパラガス。先程までそこには真希が立っていた筈なのに、いつの間にか筋肉達磨の姿になっていたことに真依の頭は情報の処理を放棄。思わず呆けた顔を数秒ほど晒していたが、ハッと我に返るなり真依はバットを投げ捨ててブロリー達へと詰め寄った。

 

「ちょっと待ちなさいよ‼︎」

 

「今度は京都校の乱闘だぁ!」

「いや、あれは誰でもキレるだろ。」

「しゃけ。」

「ごめんなさい、どうしてもブロリー達が参加したがっていたので……。」

「大丈夫よ。術式の使用は1人に限り許可されているから。」

 

 ブロリー達へ詰め寄る真依を見て虎杖が騒ぐが、彼以外のメンバーはそれぞれの反応を示しながらも誰1人としてマウンドへ近寄らない。理由は様々だが、1番大きいのは仮に乱闘となってもブロリーなら心配いらないだろうという信頼によるものだ。

 

「貴方ねぇ、野球って何か知っているのかしら?」

「野球ってなんだぁ?」

「あら、知らないのね。ならルールを知らないお猿さんはさっさとベンチに引っ込んでもらえるかしら?」

「ヤダァ!」

 

 東京校がワイワイと話し合っている間、真依がブロリーを煽りながらもベンチへ引っ込めようとしているが、伝説の超サイヤ人であるブロリーに煽りは届かない。噛み合っているようで全く噛み合わない会話に真依の額にはいくつもの青筋が立っているが、ブロリーは真依を見下ろしながら笑みを浮かべるだけだ。

 

「埒が明かないわね。なら審判に判定をしてもらいましょう。そもそもそのボールは何よ?馬鹿にしてるの?」

 

 ボール(笑)を馬鹿にしながらも、話が進まないと判断した真依はキャッチャーである舞戸の背後に立つ五条へ視線を向けた。話を聞いていた五条は真依の視線を受けて両腕を頭上に上げる。

 

 その両腕は徐々に頭上でクロスを作り始め、ほら見ろと真依がブロリーを馬鹿にするような笑みになりかけた時、クロスが解かれて大きな丸を作り出した。

 

「な、ん、で、な、の、よ‼︎」

「だって面白そうじゃん。交流会だしある程度は自由にいこうよ。」

「自由すぎるのよ‼︎」

 

 あまり出さない大声で五条の言葉にツッコミを入れる真依だが、審判の判定は絶対。ベンチから歌姫が大声でブーイングをしているが、五条もブロリーも全く気にしていない。そのためこれ以上何を言っても無駄だろうと諦め、真依は大人しくバッターボックスへと戻る。

 

「じゃあ改めて、プレイボール‼︎」

「(正直腹立たしいけれど、あの球?だとどうやってもボールでしょう。)」

 

 五条の試合再開の合図を聞きながら、真依は可能な限りバッターボックスの端に立つ。理由は単純で、死球に当たりたくないだけだ。

 

「うぉぉぉぉおお‼︎」

「えっ?ちょっ、あの中には式神が入ってたでしょう⁉︎」

「あぁ、大丈夫です。いつものことなので。」

「はぁ⁉︎」

 

 しかし突如としてブロリーがポッドを圧縮。中にいるパラガスごと押し潰すことで球はストライクゾーンを通り抜けるほどスリムな姿に大変身。

 

 突然の仲間殺しに真依が驚くが、術式保持者の舞戸が全く気にしていないため余計に混乱する。だがそれも一瞬。そう言うこともあるのかと無理矢理納得し、投げられるボールを待ち構えた。

 

「うぉぉぉおお‼︎‼︎」

 

 そして投げられるパラガス入りのボール。真依が視認出来る速度なのでブロリーを知っている者からすればかなり手加減をして投げられたことがわかる。しかし──。

 

「打てるわけないでしょうが‼︎」

「ストラーイク!」

 

 振ろうとしたバットを引っ込め、思わず真依は叫ぶ。だがそれに被せるように出された五条の判定に驚きながら振り返れば、衝撃で多少後ろに退がってはいたが舞戸はしっかりとボールの先端をミットに収めていた。

 

「ブロリーさん、良い球です。」

「ふふふ、褒められちゃった!」

 

 舞戸がブロリーを褒めつつボールを投げ返し、そのボールをブロリーは片手で受け止める。爽やかな青春の風景だが、ボールが真依の隣を通った際に巻き起こった風がかなりの力を込めて投げていることを証明していた。

 

 2度目の投球。今度はなんとかバットを振った真依だったが、まさかのバットがボールに弾かれる始末。当然ボールはミットに収まった。

 

 3度目の投球。いつもの真依なら馬鹿らしくなって見送るであろう球。だがあまりにも馬鹿みたいな光景に逆にムキになった真依は見返してやると言わんばかりに自身が持つ呪力で両腕を強化。バットを振り上げ、通り過ぎようとするボールを真上から叩きつけた。

 

 先端部分を叩いたことによって、ボールは角度を変えて舞戸のミットに収まる前に地面へと突き刺さる。その際の衝撃によって少なくない砂埃が舞戸を襲い、その視界を覆い隠した。

 

 舞戸が予想していなかった事態に怯んでいるうちに振り逃げをした真依は一塁へ向かって走る。だがブロリー達との模擬戦で砂埃に慣れている舞戸はすぐに復帰。術式で防いで無傷だった五条が砂を被った自分の姿を爆笑するのがイラつくのか、どうせ効かないのだからと片手で五条に気弾を撃ち込みながら、もう片方の手で刺さったボールを引き抜いた。そして槍投げのように振りかぶり、一塁を守る虎杖へ向けてぶん投げる。

 

「うし、取れた!」

「腐☆腐。見事でございます。」

「えっ?それでも喋れるの?ちょっと怖いな。」

「ゑゑッ⁉︎」

 

 飛んできたボールを虎杖は呪力で身体強化を行い何とかキャッチ。自分もそれなりの力で投げられていると自覚があるのかパラガスは見事に受け止めた虎杖を褒め称えたが、潰れたポッドからパラガスの声がするのは驚いたのか、虎杖は素直な感想を漏らした。その感想に何処か刺さるものがあったのか、ポッドの中からパラガスの男泣きが響く。

 

「あ、虎杖くん。パラガスはそのままベンチに置いといてください。初めからそういう約束なので。」

「え、あぁうん。わかった。」

 

 だがその男泣きは誰の心にも響かず、無情にもパラガスはベンチに置き去りにされた。それでもグラウンドへ戻る際に良い子の虎杖は後ろ髪を引かれるように置き去りにされたパラガスを何度も見ていたが、同じ約束でベンチに戻ってきたブロリーがうるさいと言わんばかりに空の彼方へパラガスを放り投げたことにより、気にするだけ無駄だと考えたのか試合に集中するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後も試合は続くが、5回裏の辺りで京都校の一部から不満が発生した。その理由は呪力無しでも馬鹿みたいに動く舞戸だ。虎杖も似たような感じだったので今まで見逃されていたが、東堂が打ったホームランのボールをキャッチャーから外野にポジションチェンジしていた舞戸がただのジャンプでキャッチしたことにより、存在が卑怯とブーイングが起こることとなった。

 

 それを受けた舞戸は自分でもやりすぎな自覚があったのか、素直にベンチへ引っ込むと自分から提案。だが当然東京校メンバーは舞戸の提案を受け入れない。釘崎が舞戸を参加させるためにブーイングを行った一部へニヤニヤ顔をしながら煽りに行こうとした時、主審である五条がとある提案をした。

 

「舞戸の式神を参加させればいいんじゃない?」

 

 その提案は両校に受け入れられ、ブロリーと悟空は東京校。ベジータとピッコロ、悟飯が京都校へと分配された。

 

 ちなみに東京校側のベンチでロン毛のサイヤ人がハァッ☆と言っていそうな顔でグランドに立つ皆んなを見ていたが、謎の力が働いたのか誰も彼に気付くことはなかった。

 

 

 

「ブロリー、本気で来るんだな……。」

「チィ、クズがぁ。」

 

 試合再開。1番目は早速己の力を見せてやると言わんばかりにベジータがバッターボックスへ立ち、ブロリーへ挑発を行う。それを受けたブロリーは気を開放させ、力を漲らせながら球を握る。

 

 ブロリーが投手に戻るならと再びキャッチャーへ戻った舞戸はそのやり取りを見て過去の経験も合わさり碌なことにならないと判断。ブロリーと同じように呪力を放出しながら自身を強化し、後方に岩盤を配置。

 

「ベジータ、まずお前から血祭りにしてやる。」

「来いブロリー‼︎野球界の王子ベジータ──ふぉおぉ⁉︎」

 

「デッドボール‼︎」

 

 ブロリーから放たれた球は気が注入されていたのか緑に発光し、複雑なカーブを描いてベジータの腹部へ命中。セリフを中断させ、舞戸が配置した岩盤へとベジータを送り込んだ。衝突音がグラウンドに響き渡り、それに負けないように五条が声を張り上げる。

 

「仙豆だ、食え。」

 

 ブロリーの一撃でボロボロになり、岩盤からずり落ちてきたベジータに救護係のピッコロが到着。仙豆を食べさせ、親切心で復活したベジータの頭を掴んでそのまま一塁へと連れていったのだった。

 

 

 

 

 

 やはりというかなんというか、ブロリー達が参加した時点で試合は混沌を極めた。

 

 ベジータの次に来た三輪のブロリーの力を下げて欲しいというお願いは、舞戸とブロリー達が使う魔法の言葉(仙豆がある)で却下されたり。

 

 ブロリーの投球した球がストライクゾーンを通過する直前で急停止からのスピンバックで戻ってきて盗塁しようと走っていたベジータに直撃してヤムチャさせたり。

 

 悟空がピッチャーゴロだったのに瞬間移動でランニングホームランをしたり。

 

 舞戸が呼んだタコ科学者によってメカ丸(ピッチングマシンの姿)が超メカ丸になったり。

 

 ホームランのボールを外で待機していたトランクスがキャッチしてアピールしていたり。

 

 五条がこのままだとフェアじゃないと判断したのか、生徒達の術式も解禁したことによってもっと試合が混沌になったりもした。

 

 真希のバットは游雲。東堂の不義遊戯による位置入れ替え。狗巻の呪言による妨害。パンダのゴリラ。伏黒の代わりに走る玉犬・【渾】などなど。

 

 昼頃に行われた試合は休憩を挟みながらも夕方遅くまで続き、その結果、10ー11で東京校の勝利となったのだった。




オリ主……ブロリー達をどうやって野球終了まで大人しくさせておくかを結構真剣に考えていた。その結果、ワンアウトを取るまで参加してもいいけど、その後はベンチで大人しくしておく約束を結ぶことに成功。しかしなんやかんやで参加許可が出たので本人的には満足。

登場時のテロップは『ブロリー達の遊び相手を随時募集中』。


五条……青春させたいのでベンチに引っ込むとかそんなの無し無し。それならみんな術式ありの試合にしちゃうタイプ。その結果グラウンドがボロボロになり、後で夜蛾学長からしこたま怒られる。

東京校メンバー……ぶっちゃけ舞戸と虎杖がいれば負けはしないだろうなとは思っていた。だってゴリラだし。ちなみにブロリー達の配分する時に真っ先にブロリーと悟空を確保した。

京都校メンバー……流石にただのジャンプでホームランをアウトにされたら勝ち目が無いとブーイング。動体視力や反応速度も馬鹿みたいに良いのでボールが外野までノーバウンドで飛んでいけば確実に取られた。
 東堂の術式解禁で勝ち確とか思っていたけど、位置替えを使っても強引に塁に出るわ悟空に至っては舞戸が塁に込めた呪力を目指して瞬間移動するので止めようがなかった。それでも一点差まで迫れたことが凄い。ちなみにあの後もベジータはズタボロにされてその度に仙豆で治される姿を見て三輪がもうやめてあげて的な感じで止めに入っていたりする。


あ、そうだ(唐突)。オリ主の舞戸 砕ですが、呼び名は『まいと さい』です。ルビを付けるべきかと考えましたが、フルネームを出す機会が見つからないのでここで言わせてもらいました。ちなみに舞戸はmadを歪めて、砕はドラゴンボールっぽいなという理由でつけました。

それと今回投稿がかなり遅れましたが、ちょっと事故に遭ってその後始末などで色々やることが出来て完全に執筆のモチベがなくなってました。
 一応どんなに遅くても渋谷事変までは続けるつもりなので気長に待っていてくれればと。
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