転生男子生徒の貞操観念逆転キヴォトス   作:チキ・ヨンハ

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すぁん


アビドスへ

 

 

 

「あー……疲れた」

 

 なーんとか一日目は乗り切れましたわ。……いやまじで疲れた。ただ見学してるだけでもめっちゃ話しかけられるし……まあでもナギサとミカに会えたのは良かったかなぁ……ティーパーティーになった後だと忙しそうで時間とかとれなさそうだし。

 

 ……うん。そう考えると結構良い感じなんじゃないか? 連絡先までゲット出来たし。……というか、そうじゃん。今思ったけど、ミカとナギサが同級生って事は原作の二年前になるやん……ということは、原作が始まるまでに卒業……とかは無い訳であり、あと二年時間があるという事だ

 

 ストーリーを間近で見る……つまり先生の隣に居るという事はどう足掻いてもトラブルが起こる。自分から首を突っ込んで、いざとなったらハイダメでした。なんて事になったら先生や他の人に迷惑がかかる

 

 つまり俺がやるべき事は……

 

「ま、鍛える事だろうな」

 

 先生に降りかかる事件に付き合って行くには生半可な強さでは無理だ。

 まあある程度は先生の指揮でなんとかなるかもしれないが……それでも力は必要だ。幸い、この体にはヘイローがある。ということは他の生徒達のように戦えるという事だろう

 

 もしヘイローが無かったら詰んでたな……先生の様にシッテムの箱を持っておらず、尚且つヘイローが無い等、このキヴォトスで生きるにはハードモードすぎる

 

 ……とりあえず、やるべき事を定めて今日は寝よう。今の目標は……

 

 ・少なくとも、原作のストーリーに着いていける位の強さを手に入れる

 

 ・あと金。今は実家からの仕送りがあるけど、それだけじゃ心許ない。

 

 ・後は他の生徒と仲良くなる! せっかくブルアカの世界に来たんだから、なるべく色んな人と仲良くなりたい! 

 

 ……こんなもんかな。つっても、原作前の事はあんまり分かんないからなぁ……強いて言うなら、ホシノの先輩が死んじまう事位……

 

「あ?」

 

 ホシノの先輩が死ぬのはホシノが一年生の時……原作時点では三年生だったから、死んだのは二年前……つまり……

 

「俺が頑張れば救えるのか……?」

 

 今は原作から二年前、つまり、まだホシノの先輩は生きているという事だ。

 

 ……正直、助けるだけならそう難しくは無い……と思う。ホシノの先輩……彼女で良いか。彼女はアビドスの問題をどうにかする為に砂漠に行き、そこで何者かに殺害されてしまう……。そんな感じだった筈だ。ならば、そもそも彼女を砂漠に行かせなければ良い話だし、どうしても行くというならば、自分がついていけば良い訳だ。

 

「あー……でもなぁ……昔のホシノって性格キツいんだろ? 部外者が行って相手にして貰えるか……? まあそもそも俺にも学校がある訳なんだが……」

 

 ……だが、救えるかもしれない命があるのだ。それをみすみす見逃してしまって良いのだろうか……? 

 

「……まあ、とりあえず行ってみれば良い……か。駄目だったら他の方法を考えよう。幸い、明日は休みだしな」

 

 よし。明日はアビドスに行こう。……あ、なら食料とか買った方が良いか……? 砂漠なら、水も必要だろう

 

「早起きするか……」

 

 ……

 …………

 ………………

 

「うーん……清々しい朝だ」

 

 翌朝、俺はアビドスの駅前に居た。ま、思い立ったら即行動というやつだ。正直、言い方は悪いが、いつ死ぬか分からないのだ。ならば、早め早めに動いた方が良いだろう

 

「……でもなぁ……大丈夫かなあ?」

 

 正直、今俺は自分の体がどの程度動けるか分からないのだ。

 

「そうだな……とりあえず、学校まで走ってみるか」

 

 そう思い立ち、靴紐を確認してから走り始める。……すると、自分が想像していた二倍の速さが出た

 

「うぉっ?! はっや!」

 

 慌てて急停止する。……ビックリした。マジで想像より出た。さすがヘイロー持ちだな……

 

「まあビックリして止まったけど、速いに越した事はないし。とりあえず急ぐか……けど、今日休みだけど人って居るのか?」

 

 ……まあ良いや。とりあえず、着いてから考えよう。もうアビドス自治区には来ちゃった訳だし。

 

「砂嵐が来るかもしれないし、フード被っとくか……」

 

 ……

 …………

 ………………

 

「まったく……あんな調子で大丈夫なんですかね……」

 

 私は、昨日入学した高校の、一人しか居ない先輩の事を考えていた。

 

 ずっとふわふわしていて、何を考えているのか分からない、頼れそうに無い先輩。あの調子で、学校にある莫大な借金を返せるのだろうか……

 

「……ん?」

 

 そう思いながら、自由登校である今日も学校に行くため、道を歩いている最中の事だった。

 

 ふと前を見ると、フードを被った、背の高い人物が立ち止まって、何か呟いているのだ

 

(……怪しいな)

 

 人の少ないここ周辺で、人が居ること自体が珍しく、さらにはその人物がフードを被り、何かを呟いているのを見れば、そんな事を考えてしまうのも仕方が無いだろう。

 

(……微かに聞こえる。一体何を……)

 

「……分か……ねぇ……どっ……なんだ……ア……ドス……高……校は……」

 

 聞こえずらかった為、徐々に近づきながら聞いていた為、最後の方はある程度聞き取れた……が

 

(最後……少し聞こえなかったが、あの言い方からして、恐らくアビドス高等学校と口にしていた……)

 

 昨日からではあるが、自分が入学した高校に不審人物が来ようとしているならば、対処するべきだろう

 

 そう思ったホシノは、音を消して近づき、自分の愛銃であるショットガン、『Eye of Horus』を相手の後頭部に突き付ける

 

「……!」

 

「動くな、妙な素振りを見せたら撃つ」

 

 ヘイローを持っているとはいえ、この至近距離でショットガンの銃撃を喰らえば、タダでは済まない。その事を理解しているのか、相手はゆっくりと手を上げる

 

「アビドスに何の用だ」

 

(返答によっては……)

 

 相手の出方によっては、銃の引き金を引く事に躊躇はしない。そう考えるが……

 

「……怪しい者じゃない……といっても無理があるか」

 

(……? 声が随分低いな。まるで男みたいだ)

 

 実際男なのだが。だが、彼女が勘違いするのも無理は無い。人間の男性がキヴォトスに居ると言う選択肢は彼女には無かったのだから

 

「とりあえずフードを取るから、撃たないでくれよ?」

 

「……良いでしょう」

 

 どうも。といって、相手はフードを取る。後ろからでは分からないが、黒髪で、少し癖のある髪型をしている

 

(何だ……? 何か違和感がある)

 

「さて、そろそろ普通に顔をつき合せて話さないか? ああ、もちろん手は上げたままにするさ」

 

「……分かった」

 

 こちらの返事に、相手は頷くと、ゆっくりこちらを向く

 

(……は?)

 

「やあ。俺は新雲ラセツって言うんだ。仲良くしないか?」

 

「……お……」

 

「お?」

 

「男ォ???!!!!」

 

 彼女らしくない大きな声が、朝の静かな住宅街に広がる

 

 

 






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