学校一のアイドルに告白した俺は何故かそのアイドルの彼女になっていた。 作:ああ
「篠原アリスです。宜しくお願いします」
扉を開けて集まった視線に対して、俺はスカートを広げ、そう挨拶をした。篠原アリス、それがこの姿の俺の名前だ。さっき考えた。
ポニーテールのカツラを付けて、女子高生の制服を着て。何か今更だけど恥ずかしくなって来た。大丈夫だよな?バレてないよな?緊張して、顔を上げる事が出来ない中俺はそう思う。人と目を合わせる事が出来ない。
「篠原ちゃんか、ようこそ。我が
端っこの前の席に座っていた、目を瞑ったままの美少女がそう言った。……うん最後のは聞こえないフリをしよう。
「へえ、ハラアリちゃん……。うーん。ハラリーちゃんって呼んでも良い?」
「え、ええ。構いませんが。失礼ですが、お名前と学年をお伺いしても?」
初対面で俺に変わったあだ名をつける、快活そうな印象を受けた女子にそう言葉を返す。うーん、ムズいなぁ。丁寧なお嬢様キャラで行くか。清楚系の如何にも男が好きそうな感じになるけど良いか。
「あぁ!私はね、天野楓!二年生。それでさっき話しかけたあの目瞑ってる子が
「そろそろ良いかしら?そろそろ時間も勿体無いし、部活を始めたいんだけど」
その声で視線を向けると、いつの間にか彼女が立っていた。白夢紗良はいつもと変わらない表情でそっと微笑む。綺麗だ。今まで思っていた感情全てが消え去り、その感想がただ繰り返されるだけだった。
「今日のやる事は?サイバー」
シンっと静まり返った教室で、彼女の声だけが良く響く。
『先生からのmissionが何個カ。それから、今週中に出さなきゃ行けない書類が二、三個あル』
「なるほど、分かりました。では何個か手分けしてやりましょうか」
そう言って何チームかに組み分けられ、俺は白夢さんのチームに入る事になった。このチームは資料作成チームらしい。俺にも出来るかどうかは不安だけど、頑張るか。
「おやおや、篠原ちゃんと
「此処ですよ、翔子」
後ろから出て来たのは……男子?いや違う。男子用の制服を着て髪を束ねた女性だった。そして手を貸し、立たせたと思ったらそのまま流れる様におんぶをして教室から出て行ってしまった。
「じゃあ私達も行きましょう」
最後列にいた人達が扉を開けて出て行くと、教室に残ったのは……。
「さあ、やっていきましょうか」
『カエデ、そこの戸棚に置いてあるクッキー持って来て』
「はいはい分かりましたよ
『カエデ……』
サイバーさんの動きが止まった。と言うか今。
「先輩?あれ?サイバーさんは……私と同学年な筈。ですよね?」
「皆さん、口を動かしても良いですけど手も動かしてくださいね。篠原ちゃんは私と一緒にこれを。楓ちゃんとサイバーはこれを」
「多い……」
『多イ、二人じゃ無理』
「終わったら手伝いますよ、篠原ちゃんこっちへ」
俺に手招きをすると、話は終わりとばかりに。白夢さんは書類に目を落として何かを書き始めた。二人は異論を唱える様に頬を膨らましていたが、見られる事は無かった。