頂点キヴォトスお嬢様   作:ちゅーに菌

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どうも、ちゅーに菌or病魔ですわ。作者、コラボでブルアカおじさんになってしまいましたわ……(どハマリ)

活動報告で言っていたものですの。コメント大変嬉しく思いましたわ。感想や評価を頂ければ次話投稿のモチベーションにも大きく繋がるので幸いですわゾ。




シャーレお嬢様

 

 

 

 

 

 S.C.H.A.L.E(シャーレ)――。

 

 

 それは数千の学園がそれぞれに運営する自治区と、キヴォトス全体の行政を担う連邦生徒会が管理する地域D.U.とで構成される超巨大連邦学園都市キヴォトスで、新たに発足した機関の通称である。

 

 キヴォトスの行政組織・連邦生徒会を束ねる連邦生徒会長が失踪する以前に設立した独立連邦捜査部であり、この学園都市唯一の"先生"と呼ばれる役職を顧問とし、それはキヴォトスで暮らすあらゆる生徒の相談に応じ、同時に所属や学籍によらず不特定多数の生徒の協力を仰ぐ事が可能なだけでなく、連邦生徒会長によって付与された権限のもとに、あらゆる規約や法律による規制や罰則を免れるという超法規的機関だ。

 

 学園がそれぞれの自治区を統治する超巨大学園都市において学園は事実上の国であり、それ故発生する連邦生徒会名義でも介入の難しい諸問題にも積極的に関与する事が可能。要するに連邦組織のためにキヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを制限なく加入させ、各学園の自治区で制約なしに戦闘活動を行える。故にキヴォトスの勢力図における特異点と言えるだろう。

 

 そして、連邦生徒会の直轄として新設されてはいるが、生徒の為の完全な中立の立場にいる組織という歯の浮くようなものであり、それにも関わらず、内情や実態は一切不明の機関とあって、有力校にとっては安全保障上の不確定要素として捉えられていた。

 

 施設としては、District of Utnapishtimこと通称D.U.区内の連邦生徒会拠点から30㎞離れた外郭地区にあり、六角柱を複数連ねた形をしたビルがシャーレとして機能し、図書室、教室、射撃場、実験室、格納庫、エンジェル24、カフェなど様々な施設を有する。

 

 そんな先生は現在、矯正局を脱走した生徒たちの暴動等を命からがら掻い潜りつつ件のシャーレにある部室に到着し、協力してくれた生徒を残しつつ、シャーレにあるという特別な何かを手にするために地下室へと向かい――。

 

 

 

「それを寄越しなさい……ッ!」

 

 

 

 その扉を開けた瞬間に銃弾が顔の数センチ隣を掠め、これ以上ないほど真顔かつ思考が止まった。

 

 それもその筈、特別な権限こそはあるシャーレの先生であるが、キヴォトスでヘイローを持ち、銃弾が当たっても"痛い"で済むような神秘的な学生らとは異なり、キヴォトスの外から来た先生は、一発の銃弾で死んでしまうほど脆いのである。

 

 つまり先生は今、明らかに死に掛けたのだ。

 

 しかも周りには先生を守る生徒もいない状態であり、地下室は眼の前のため、ぷるぷると震えつつも先生は話し合いで解決出来ないかと中で争っているであろう生徒に目を向けた。

 

 そこに居たのは二人の生徒であり、片方は和装に身を包み、特徴的な狐面で顔を隠した黒髪の少女。先生には気づいておらず、こちらに背を向けているが、彼女が持つ先端に銃剣が付いたライフルの銃口を対峙する生徒に向けたまま白煙が立ち登っている。他にそれらしいものはないため、その銃から"何か"に跳弾した弾が先生を掠めたらしい。

 

 しかし、彼女以上に異様なのは、対峙している生徒の方であった。

 

 

『………………』

 

 

 160cm程の身長に見える黒髪の少女と対峙するその生徒は、少なくとも少女より頭一つ分以上背が高く、先生に協力したハスミという背の高い生徒よりも大きく見えるだろう。また、その頭上で藍色の鉄輪にも思える質感をしたピースマークを象ったようなヘイローが静かに浮いていた。

 

 そして、何よりも異様なのはその服装である。

 

 教会のシスターがしているようなベールを被っているのと、ウェーブ掛かったボリュームのある白みがかった水色のパステルカラーをした長髪をしている事が唯一マトモな要素であった。

 

 ウィンプルの代わりとばかりのガスマスクをし、全身を一切肌を出す事なく包むラバースーツのような衣装に、それと一体化したハイヒールブーツ。加えてラバースーツの表面にはSMプレイの拘束具のような何かが施された装飾をしており、キヴォトスでもアレはヤバいのではないかと一目で先生が思う程の姿である。

 

 しかし、その全てをあまりに無機質かつ威風堂々で荘厳な佇まいで纏めており、更にラバースーツの生徒の片手には、暴動でスケバンが手にしていたようなガトリングガンが玩具に思えるほど彼女に合わせて更に大型化したモノが容易く握られており、最早ゲームやファンタジーのクリーチャーのような風格さえあるだろう。

 

 また、連邦生徒会長代理から教えられた情報と照らし合わせると、勘違いしそうになるが、どうやら和服姿の生徒がシャーレの暴動を招いた"狐坂ワカモ"という生徒であり、ラバースーツの方が襲われているらしい。

 

 ガトリングガンを持つ逆の手に"タブレット端末状の何か"を身体に寄せつつ持っている事から辛うじてそれが読み取れるであろう。

 

「SRTが消えて何処へ行ったのかと思えば……ふふ、うふふふふふ……OWL(オウル)! ここで会ったが百年目……積年の怨みを今……!」

 

『………………』

 

「なんですか、後ろなんて指し……て……」

 

 するとラバースーツの生徒が徐ろに地下室の入口にいる先生を指差し、それに警戒しつつも釣られたワカモと先生の視線が合う。

 

 彼女の方は仮面をしているため、視線が合っているのかは不明だが、何故か彼女の方が明らかに固まって口籠った様子になったため、恐らく間違ってないだろう。

 

 その瞬間だった――。

 

 これまで銃を向けられても石像のように動かなかったラバースーツの生徒が、ゆっくりと動き出し、そのガトリングガンを高く構え、ガスマスクの視線を目の前のワカモの背に見据える。

 

"――危ない!!"

 

「――ッ!」

 

 思わず声を上げてしまった先生により、ワカモがその場から跳び退くのと同時、彼女が居た場所へ離れていた先生がよろける程に凄まじい衝撃と破砕音が走る。

 

 見れば地下室の鋼の床が爆撃でもされたかのように陥没しており、中央には振り下ろされたガトリングガンの銃床が埋まっている。

 

『………………』

 

 するとラバースーツの生徒は埋没したガトリングガンを床から引き上げつつ、ガスマスク越しの視線を先生に合わせたような気がした。

 

「OWL……! 油断も隙も――あっ、でも助けて貰っ……あららら……あ、ああっ……し、し……失礼いたしましたー!!」

 

 その内に何故か挙動不審になったワカモは一目散に逃走し、その場にはラバースーツの生徒と先生のみが残される。

 

『………………』

 

"えっと……"

 

 天井裏目掛けて跳んで行ったワカモを暫く見詰めていたラバースーツの生徒は、やがてガスマスク越しの視線を先生へと向けた。

 

 なんとも言えない時間が幾らか流れ、先生もどう対応したものかと言葉を選んでいると、彼女の方の片手からガトリングガンが離れ、床へと置かれる。

 

 そして、彼女はゆっくりと胸を張りつつ手を自身の顔の高さまで持ち上げ、頬に手の甲を添えた。

 

 

 

 

 

『オーッホッホッホッホッホ!!』

 

 

 

 

 

 その直後、特殊なガスマスク越しでかなりくぐもってはいるが、それを一切感じさせないほど調子外れで、小気味よいほどの笑い声が大音量で響き渡る。

 

 それが目の前のガスマスクの生徒から出ているということを理解するのに先生は数秒時間を要した。

 

 そして、彼女はタブレット端末を片手にこれまでが何だったのかと思う程軽やかな足取りで先生の前まで来る。

 

『あらあらまあまあ! あのようなおクソ性悪破壊狐を助けてしまうとは、シャーレの先生というは人並み外れた人格者であらせられますのね! (わたくし)感服の極みでございますわぁ!』

 

"ええ……"

 

『お噂は会長から聞かされていましたが、まさかキヴォトス屈指の問題児……失礼、矯正局の生徒にまで慈悲を施すとは……。元SRTの私としては声を荒らげるべきかとも思いましたが、やはり真の意味で生徒の為にあらせられるとはこうでなくてはいけないということを身を以て証明なさったのですわね! ホホホ……私、まだまだ浅慮な小娘であったことを思い知り、我が身を恥じるばかりですわ……!』

 

 攻め過ぎたデザインのラバースーツにガスマスク姿の長身女という見た目から想像していたものとキャラが違い過ぎる事に先生は困惑を覚えるが、目の前の彼女は相当なネアカらしい。

 

 すると彼女は首を左右に傾けて鳴らし、肩を小さく回すと自身の背中に手を掛けた。

 

『オホホ、ちょっと失礼しますわね。この正装、人間用なことだけが欠点ですわ』

 

 どうやらそのラバースーツには背中にジッパーが付いているらしく、背中から腰部に掛けてのそれを開けた音が響く。

 

 そして、その直後、一対の青みがかった巨大な白翼が彼女の背に現れた。

 

『あー……窮屈でしたわ。やっぱり普段着には向いていませんね。正装とはいえ、翼の袖を開けるべきですわね』

 

 それはシャーレの施設を奪還するために戦ってくれた4人のひとりである羽川ハスミより大きな翼であり、一目見た先生は"飛べるのではないか?"と単純な疑問を抱く程であった。むしろ、どうやって今までラバースーツに収まっていたのかの方が謎である。

 

『んんっ……申し訳ありません。そもそも名乗るならば私からでしたわ。では自己紹介をば……』

 

 そう言うと彼女はゆっくりと恭しく一礼を行い、それに揃って動いた白翼から数枚の羽根が舞う。

 

『元SRT特殊学園総隊長"OWL"。連邦生徒会長の"長銃"にして、ユスティナ聖徒会において最も偉大と謳われた聖女の直系の子孫。戒律を守護せし者の血統(ロイヤルブラッド)、赫々たる洗礼名を許された名族! 伝説の再誕にして歴代で最も色濃く血を継いだ現代の聖人――』

 

 そして、居住まいを正すとまた自らの頬に手の甲を添え、高らかに宣言する。

 

 

 

 

『"バルバラ"揚野(あげの)ヒカリとは私のことですわ!ほーっほっほっほっほっほ!!

 

 

 

 

 彼女が言っている言葉はほとんどわからない先生であるが、"いきなりすごい娘に出会ってしまった"ということだけは理解出来たのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 






ベアトリーチェが喉から手が出そうなほど欲しがりそうな女。




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