感想や評価を頂けると、作者がまだ余り理解していない設定の把握や、次話投稿のモチベーションに繋がるので、よかったら貰えると幸いですわゾ。
『……んんっ。バルバラ揚野ヒカリとは私のことですわ!ほーっほっほっほっほっほ!!』
目の前のラバースーツ姿の生徒――バルバラ揚野ヒカリは、咳払いをひとつ落としてから何故かもう一度同じ自己紹介をして来た。
理由がわからず呆けていた先生は、彼女的に思っていた反応ではなかったからであろう。
"ごめん、キヴォトスに来たばかりであんまりここの事を知らなくて……"
『…………なるほど、そのレベルでキヴォトスのことをお知りにならないのですわね。わかりましたわ。まあ、それならひとまず私のことはバルバラと呼んでくださいまし。それ以外のことは忘れてくださって結構ですわ』
"いや、ムリだよ"
言動から姿まで奇抜であり、その上、これから先生が務めることになるシャーレの地下室に居たのだから忘れるということの方が不可能だろう。
『これぐらいの服装、キヴォトスでなら普通ですわよ』
"そうなの……?"
どうやらバルバラ曰く、その拘束具付きラバースーツにガスマスクという服装はキヴォトスでは普通らしい。
外から来た先生は半信半疑であるが、生徒同士が普通に銃撃戦を繰り広げている姿を既に目にしているため、否定も出来なかった。
『さてさて、先生への私の些事はこれぐらいにしまして……まず、本題ですわね』
無理矢理会話を切り上げたバルバラは、今までずっと身体で庇うように持っていたタブレット端末を先生へ渡す。
"これは……?"
『はい、どうぞ。こちらどう見てもタブレット端末のようですが、これさえあれば、サンクトゥムタワーへの干渉やクラフトチェンバーの操作などもお手の物。連邦生徒会長が所有していたなまらすげぇオーパーツの"シッテムの箱"ですわ』
更にバルバラは"まあ、詳しいことは私もよく知らないのでリンちゃん様に聞いてくださいまし"とだけ告げ、ヒラヒラと手を振って見せる。
『確かに渡しましたわよ? 会長が失踪する直前、私に言伝した依頼はふたつ。ひとつはこのシッテムの箱が先生以外の手に渡らぬように守ることですわ。そしてもうひとつ――』
バルバラは背中のジッパーに手を突っ込み、すぐに腕を引き抜いて見せる。
『……よっこいしょっと……はい、私のシャーレへの入部届けですわ。こう見えてもそれなりに腕は立つもので、今後はS.C.H.A.L.E専属、延いては先生の銃となります。どうか、構える相手をお間違えなきように』
"今、ラバースーツから出さなかった?"
『現役JKの汗ぐらい気にしないでくださいまし』
先生に渡された書状の入部届けは、若干湿っていた。ついでに人肌に温かい。普段の先生ならば何をしていたのかわからなかったが、真面目な雰囲気を察していたため、どう反応していいのかわからなくもなろう。
"ちなみにこれ受け取らないとどうなるのかな?"
『シャーレの玄関口に百鬼夜行みかんのダンボール箱に体育座りした私が置かれますわ。この正装姿で』
興味本位で聞いてみたら地獄だった。初日にしてシャーレが変態組織の仲間入りである。
『化粧直しをして来ますわ。先に執務室に行っていてくださいませ』
また、それは服装が世間一般的にイカれている事を自認しているように思えるが、先生がその思考に至る前にバルバラはその隣を通って行った。
◆◇◆◇◆◇
「バルバラ、揚野ヒカリについてですか……?」
バルバラの言った通り、連邦生徒会の首席行政官である七神リンからシッテムの箱についての説明を受け、サンクトゥムタワーの権限を連邦生徒会に委譲した後、先生は彼女にそんな質問を投げ掛ける。
「なぜ彼女の名を先生が……? ……なるほど、シャーレに居たのですか」
リンも彼女の所在は知らなかったようだが、リンにバルバラの名前を出すとやや不機嫌そうになったように先生は感じた。
「彼女は連邦生徒会長が、ゲヘナ学園生徒会
SRT特殊学園――。
バルバラも口にしていたそれは、連邦生徒会長直属の学園組織として創設され、連邦生徒会長の権限・命令を以って、あらゆる自治区への介入を可能としているというキヴォトスの法執行機関における最高学府であったらしい。
尤も現在は連邦生徒会長の失踪によって解体され、所属していた生徒たちは一部を除いてヴァルキューレ警察学校に編入したとのことである。
リンの話に出たもう片方の学園の単語は聞き覚えが無かったため、ひとまず記憶に隅に留めておく先生であった。
「ただ、あの人はその……素行が悪いと申しますか、自らがしたいことしかしないと言えばいいのか、兎に角……連邦生徒会長の言うことしか聞かない人で――」
『違いますわよ、リンちゃん様。私は私に勝った者の命令しか受けていないだけですわ』
話し途中のリンの肩に白い厚手のグローブを着けた手が置かれる。
そちらの方にリンが振り向くと、立てられていた指が頬をぷにと突き、ビシリと凍り付いたようにリンは行動を止め、眼鏡が曇ったように見えた。
「…………ちゃんはやめてください」
『ホホホホ、前向きに検討しておきますわ』
そこには白いYシャツに青のネクタイを締め、水色のロングスカートをし、頭にスカートと同じ色の警察帽子を被り、相変わらずガスマスクを顔にしている姿のバルバラの姿があった。
どうやらヴァルキューレ警察学校の制服は長袖とロングスカートらしく、ガスマスクは相変わらずだが、ユスティナ聖徒会の正装のひとつとやらより遥かにマシである。
『私の知る限り会長の最後の依頼により、私はシャーレの先生の護衛をしておりますの。何か命令をしたいのならば、どうぞ私を攻略してみてくださいませ。いつでも……歓迎しておりますわぁ』
その後、リンとバルバラは二言三言言葉を交わし、リンが挨拶をしてから退出した事で、この場には先生とバルバラだけが残された。
それにどうしたものかと先生が考え、バルバラが相変わらずガスマスクをしている事に思い当たる。
"それは外さないんだね"
『ええ、このガスマスクもユスティナ聖徒会の正装でして、理由としては拷問している相手と目を合わせなくて済むようにでしてよ。まあ、拷問をしていたのは遥か昔の話ですの。単純に1年時の終わりの頃からなんとなく付け始めたら存外馬鹿に出来ないもので、今では眼鏡みたいなものになりましたわ』
"眼鏡でなんとなくかぁ"
そんな眼鏡があって堪るかと思いつつも全く冗談を言っている様子でも巫山戯ているようでもないバルバラに先生は何も言えなくなる。
『ちなみにボディスーツの方は人間味のない異形感を印象に与えて自白を引き出しやすくすると共に、身体のアイディンティティを潰して誰がやったのかわからなくするためですわね。返り血を直接肌に浴びないことも含みますわ』
"理由が嫌過ぎるよ……"
『外から来た先生はお知りにならないかも知れませんが、キヴォトスではこれぐらい普通ですことよ?』
"そうかな……そうかも……?"
先生に対して常識の押し売りをしつつ、バルバラはシャーレの執務室の端に積まれていた塔のような書類の山の一部を持って来る。
『さて、先生。早速、お仕事ですわ』
"えっ……?"
『まず、何よりもシャーレの事実上の初稼働に関するものから処理しましょう。それから実質シャーレに対して行われた暴動の始末書と、対峙した矯正局脱走者の狐坂ワカモについての状況報告書ですわね。他にも――』
シャーレ執務室の机に次々と書類を並べていくバルバラ。まさかとは思っていた先生だが、どうやら執務室の天井近くまで積まれた書類は全て仕事らしい。
『後、こちらシャーレ地下室の床の修繕見繕い書ですわね。でっけぇ穴が空きましたわ』
"それやったのバルバラだよね!?"
『オホホホ、今の私はシャーレのものなので、上司である先生にも責任が発生しますわ。それにそもそもの話ならあの時に声を掛けなければ、また矯正局にワカモ様をぶち込めていたので、どちらにせよ私だけでなく先生にも責任はあるかと』
"ぐぅ……"
理不尽と正論を押し付けてくるバルバラ。自身の実力に対して疑いすら一切していない辺り、彼女の人となりがなんとなくわかって来た先生なのであった。
◇◆◇◆◇◆
"………………"
『オーッホッホッホッホッホ!! ご苦労様ですわ、先生!』
約二日後、シャーレの執務室では、あった書類の山を粗方片付け終えた事で燃え尽きている先生と、とても頭に響く高笑いを元気にしているバルバラの姿があった。
シャーレでの事務処理を教わるため、仕事を教わるため呼んでいたシャーレに向かう時に協力した4人のひとりである早瀬ユウカは既にミレニアムサイエンススクールの仕事の為に帰っている。
キヴォトス人の耐久性と活力は凄まじい事を思い知る先生であったが、それ以上に書類の山は、着任初日の先生に仕事を教えつつ先生がしなければならない箇所以外の大部分を彼女とユウカがしており、実質8割強の仕事を2人でしていたにも関わらず、この様子なのだからその事務能力の高さに舌を巻いたものだ。
ちなみに外回りの鎮圧任務があったのだが、それはいつの間にか、バルバラがお花を摘みに行った時に終わらせていたらしい。"花をへし折りましたわ"とはバルバラ談である。
『書類仕事は昔取った杵柄ですわ。確定申告もお任せくださいまし!』
"それは助かる"
いい事を知った先生はシッテムの箱のOSだというアロナが、アビドス高等学校という学校に所属している生徒から手紙のという形のSOSを伝えて来た事を思い返す。
先生が行動するために椅子から腰を上げようとしたところ、その前にバルバラが机の上に数枚の書類を置く。
見ればそれらはシャーレ宛の嘆願書の束であり、稼働したばかりのシャーレに対して既にこのようなものが届き始めている事に驚くと共に、何故か一番上に乗せられていたのが、アビドス高等学校からの手紙であった。
どうやらアロナが伝えて来た情報の大元である直筆の手紙のようだ。
『今来ているシャーレへの嘆願書を上から重要度順に並べてみましたわ。諸事情で廃校になりそうなどという事から飼いネコの捜索まで幅広いですわね。まあ、今日明日でどうにかなるという案件はなくてよ。もし解決したいなら参考にでもしてくださいませ』
"うん、ありがとう。じゃあ……アビドス高等学校について教えてくれるかな?"
『喜んで! 学園の実状については生徒にお聞きした方が情報の精度が高いでしょうし、どちらかと言えばアビドスについて話した方がいいですわね。アビドスは元々は今の三大学園ではなく、四大学園としてそのひとつに数えられ――』
バルバラから聞かされた内容は、概ねアロナから聞いたものと概ね同じであり、話を聞き相槌を打ちつつも出張の支度をしていた。
『――そんなところですわね。あらあら……先生はアビドスを踏破する自信がお有りのようですよね? ならお言葉に甘えて私はシャーレ設備の点検や補充等をしてからアビドスに赴こうと思いますわ。後ほど現地で合流しましょう』
"わかった。じゃあ、後でね"
『はい、それではごきげんよう先生』
そう言ってゆったりと一礼をするバルバラの動作は、やや芝居掛かりつつもそれが却って彼女が、高貴な家の出であるという事を感じさせる。
二人ともアビドスの気候についてや遭難する等と言っていた事が、やや引っ掛かる先生であったが、流石にそんな訳はないだろうと前向きに考え、アビドス高等学校に向かう先生なのであった。
◆◇◆◇◆◇
たすけて |
バルバラ
いわんこっちゃねぇですわ!! |
◇◆◇◆◇◆
「良かった。これだけあればカタカタヘルメット団からも学校を守れます!」
「うんうん、ありがとうございますー」
そう言って微笑むシャーレに便りを出した当人である眼鏡の少女――アビドス高等学校1年生の奥空アヤネと、2年生で柔和な雰囲気で緑の瞳をした十六夜ノノミ、獣耳の生えたツインテールの黒見セリカのアビドス廃校対策委員会の面々を見て、補給物資を用意した先生はほくそ笑んだ。
途中、遭難して動けなくなりバルバラにSOSのモモトークを発信していたところ、獣耳の生えた少女の砂狼シロコに助けて貰い、このアビドス高等学校の部室まで来るという一幕はあったが、無事に役割を果たせてひとまずは安堵したというところであろう。
すると聞き覚えのある高笑いが遠くに聞こえ、思ったよりもかなり彼女が早く来た事に目を点にし――SOSを出した後に連絡をしていなかった事に気づき、顔を青くする。
「…………今のは」
部室にいる3年生で小柄なピンク髪の小鳥遊ホシノが開眼し、ソファーから起きると眠気を失ったオッドアイが遠くを見つめ、そのうちにアビドス高等学校の外で明らかに銃撃や爆弾による炸裂音が幾つも響き渡った。
しかし、それらの騒音は最初こそ大きく響いていたが、徐々に小さくなって行き、悲鳴交じりのものへと変わる。
「うへ〜、カタカタヘルメット団の連中も災難だねぇ。何の用かは知らないけどアレに絡まれるだなんて……。くわばらくわばら……」
「アレとは……?」
「あー、まだ一年生だし、アビドスにはあんまり来ないから会ったことないか、別に会わなくていいけど。バルバラだよー。まあ、あの耳障りな笑い声は間違いないからさ」
「バルバラ……!? キヴォトス最悪の狂人とまで言われる方ですか!?」
「……ん、私は話したことあるよ。変わった人」
「個性的な方でしたねー」
"えっ、ちょっと待ってなにそれ?"
アヤネからの評価がとんでもない事に流石に口を挟んだ先生であったが、そのままの流れで先生は対策委員会の面々に対して、バルバラはシャーレの所属になっており、とても助けになっている事を話す。
その事を対策委員会の面々に驚かれつつも装備を整えたホシノを先頭に外に向かったため、先生も彼女らに付いて行く。
黙って先生の話を聞いていたホシノは、玄関口に差し掛かったところでポツリと呟いた。
「先生……。手遅れかも知れないけど、あんまりアレに肩入れしないほうがいいよ? 有力校を3回転校してるし、なんていうか……どうしようもないぐらいトリニティで、ゲヘナだから」
その一分にも満たない僅かな移動時間で周囲の戦闘音は収まり、余りにも早く開始された戦闘が終わったであろう事に対策委員会の面々は不気味さや異質さから顔を見合わせる一方、若干要領を得ない回答をするホシノの表情は不機嫌で何処かトゲのあるような雰囲気に思えた。
◇◇◇
「いたねー……」
「あれが……」
「あれあの人常連さんじゃ……」
そして、アビドス高等学校の校門の前まで来た面々は、夥しい数のカタカタヘルメット団と思われる者たちが地に沈んでいる光景を目にする。
身じろぎもしないヘルメット団員たちは気絶させられているようでヘイローを喪失し、また全ての団員のヘルメットがひしゃげるか砕けるかしており、原型を留めていない。
そして、その中心で赤い服装のヘルメット団員と一対一で対峙しているヴァルキューレ警察学校制服に身を包んだバルバラの姿を目にした。
正確には、ヘルメット団員はアサルトライフルを構えているが、バルバラの方は銃を持っておらず、片手にメリケンサックをしているだけのように思える。
また、ヘルメット団員は酷く怯えて照準も定まらないほど震え、それとは対照的に巨大な白翼を横に広げてながら抱擁するように腕を構えつつゆっくりと歩いて近づくバルバラの姿が酷く印象に残る。
『ほらほら、もっと狙いなさいな? このままでは怪物に齧られてしまいますわよ?』
「あ、あっ……ああぁぁあぁぁぁぁ!!!?」
そして、ほぼゼロ距離になった直後に感情が爆発したヘルメット団員はアサルトライフルを乱射した。
狙いも何もあったものではないが、距離が近すぎる為、全ての銃弾はバルバラの身体を襲う。
それに対して声を上げた先生であったが、マガジン全ての弾を受けたバルバラの身体は、金属に金属が当たるような異音が響くばかりで衝撃により微動することすらしておらず、その様に閉口するばかりだった。
「ば、化け物……!」
『ホホホ、最初からそう言っているではありませんか? では、ぶっ飛ばしますわぁ……御免遊ばせ』
そして、弾切れにより抵抗手段を失ったヘルメット団員へ掲げられたメリケンを握る拳が振り下ろされ、顔面に突き刺さった一撃は轟音と共にヘルメットを容易く粉砕し、錐揉み回転させながら数十m吹き飛ばして昏倒させる。
その直後、バルバラの真後ろからロケット弾が飛来し、彼女の頭部に命中したが、それにも関わらず、銃弾が当たった時と彼女の様子は大差ない。
ゆっくりと振り返る彼女は、意識を取り戻して辛うじて立ち上がり、ロケットランチャーを向けていたやや離れた場所にいる一般団員を見据え、メリケンを持つ掌を開く。
「がっ……!?」
その直後、バルバラの手から発砲音が響き、残ったヘルメット団員の意識を刈り取る。
見ればメリケンは変形してグリップになっており、握り込んでいたため掌の中に隠れていたシリンダーがあり、奇妙な外観のペッパーボックスのリボルバーとなっていた。どうやらあれが一応、銃という事らしい。
周りにヘルメット団員の残党が他に居ない事を一瞥したバルバラは、白く高級感のあるハンカチを取り出し、グローブで覆われた自らの拳を拭う。拭いたハンカチは拳にこびり付いていた殴った相手の鮮血で真っ赤になった。
そして、先生と対策委員会らに向き合ったバルバラは、十数mほどの距離まで近づき、そこで一旦止まると簡単に会釈して見せる。
『さて、ご無事なようでなによりですわ先生。それからアビドスの皆様方。では折角なので――ぶん殴りますわ』
"えっ……?"
不穏な言葉を発したバルバラがハンカチを丸めて投げ捨てると、それはホシノのズボンに軽く当たり――次の瞬間、距離を消し飛ばす爆発的な加速で跳び出したバルバラが振るったメリケンと、急展開されたホシノのシールドが衝突し、砲弾が炸裂したような爆発音が響き、大気の震えすら先生は感じ取る。
『あらあらホシノ? 少し痩せたのではなくて? もう少し食べた方がよろしいかと』
「うへー、もうおじさんに君の相手は辛いからやめてよー」
バルバラは片手でシールドを押さえ付け、更に二三度殴打をし、その度に砲弾が着弾したような衝撃が発生した。
先生はバルバラに止めるように繰り返すが、全く聞く耳を持たず、笑っているばかりの彼女の瞳には最早先生が映っていないように見えた。
『皆まで言わなくても構いません。利子を返すだけで手一杯の"十億超え"の借金、どれだけ懇願しようと何も動かない連邦生徒会、最早廃校と化したアビドス高等学校、それでも進み続けるアビドスの砂漠化、銀行強盗のシロコさん、犯行動機には事欠かないですわ。そんなところに連邦生徒会所属の先生がノコノコとやってくれば、人質にして連邦生徒会から十億程度を引き出すのはわけないですわね。更に先生からのSOS、状況証拠もバッチリですわ』
「なるほど……その手があった」
「シロコ先輩!?」
「銀行強盗はまだ未遂ですよー?」
"バルバラ!? 勘違いしてるって!"
「安い挑発だねぇ……コイツは喧嘩の理由を作ってるからね。それにどうせ強い奴しか目にないから絶対に皆は手を出さないでよー」
叫びつつシールドを上段に構えて踏ん張るホシノだが、単純な力はバルバラの方が遥か上らしく、振り下ろしてシールドに押し付けたままの拳を更に押し込み、ホシノの身体ごと徐々に後退させていた。
その光景にバルバラは悩ましげに首を傾げていたが、ふとした瞬間に何か思いついたらしく首を下げてホシノの耳元に顔を寄せる。
『――――――』
「――――ッ!!」
バルバラが何かを耳打ちした直後、ホシノは表情を失い、別人のような冷え切った視線と鋭い眼光を宿して、即座にシールドバッシュを行い、バルバラを払い除けるとバルバラのガスマスクと首目掛けてショットガンを構える。
『………………ウフフ』
「………………」
それを待っていたと言わんばかりにバルバラは動きを止めて声を漏らし、暫くそのままの時間が過ぎ、やがてホシノはいつものように表情を戻し、ショットガンの銃口を下ろした。
『…………遊んではくれませんの?』
「遊ばないよ、させてやるもんか」
ホシノのその動作と言葉にバルバラは明らかに落胆したような反応を見せ、大袈裟に戯けるように両手を掲げると、そのまま踵を返す。
『残念ですわ。消化不良なのでこのヘルメット団方の根城でも潰して来ますわね。少々先生を任せますわ』
そして、"では失礼、皆様方"とだけ呟き、伸びているヘルメット団員の一人を掴むと、そのまま歩いて行き、状況が呑み込めない面々が残されるのであった。
名前:バルバラ
フルネーム:揚野ヒカリ
学園:ヴァルキューレ警察学校3年生
部活:連邦捜査部シャーレ
年齢:17歳
誕生日:12月24日
身長:191cm
趣味:暴力、拷問、ゲーム
基本情報:
ヴァルキューレ警察学校所属、しかし単位は既に足りているとのことでいつもシャーレにいる。元SRT特殊学園総隊長"OWL"、連邦生徒会長の"長銃"。
ユスティナ聖徒会の聖女バルバラの血を引く現代の聖人ということを何よりもの誇りとし、その尊大さと名に見合うほど化け物地味た戦闘能力を持つ。一応、どちらかと言えば善人ではあるのだが、普段の言動や素行や服装がかなり奇抜である上、キヴォトス中の問題児と何らかの形で交流を持ち、自身も一二位を争う問題児であるため、極めて悪名が高い。
また、キヴォトスでは珍しく、自身の銃に対して全く拘りを持たないどころか、服装によって変えている節すらある。尚、先生の前では借りて来たネコの如く大人しいらしい。
〜 バリエーション 〜
ヒカリ(ヴァルキューレ制服)
固有武器:カーテシー
ヒカリのアパッチ・リボルバー。キヴォトスの作法あるいは常識として持ち歩いているだけで、ほとんど殴るためだけに使われている。鉄拳聖裁。