ご好評なようでなによりでしてよ! お暇潰しに楽しんでいただけたら幸いですわ!
バルバラ、ちょっといいかな? |
バルバラ
あら、なんですの先生? |
私、これから遅めのお夕飯に行くところですの |
エンジェル24で済まし続けるのに慣れると |
心が死にますわ、ええ |
セリカが拐われた |
バルバラ
笹食ってる場合じゃねぇですわ!! |
◆◇◆◇◆◇
お腹が空くとイライラする私、バルバラ揚野ヒカリですわよ! 貴重なネコミミツインテール枠のセリカさんを拐うだなんて、カタカタヘルメット団をカリカリヘルメット団にしてやりますわ! カリカリですわ! モフモフキュンキュンキュイ!!
ふう……いけませんわ、私。常にどこまでも澄み渡り艶やかな青空のように広く深い心を持って接せねばなりません。右の頬を打たれたら左の頬にクロスカウンターを決めなさい。つまり目には目を歯には歯を。やられたことはやられた分だけしか仕返ししてはいけないということですわ。それこそ許容と慈愛の心ですの。
健全なる魂は健全なる肉体に宿れかし。大欲を抱かず、健康な身体に健全な精神が宿るように望むべきであり、それこそまさに学園都市たるキヴォトスの総意であると言えましょう。ならばキヴォトスにおいて健全な精神とは? 当然、学生の本懐たる学業を示しますわ。なら健康な身体とは勉学に励める身体のこと。そして、ペンは剣よりも強しという言葉もあり、両者において共通することは手であり、学業において手が最も重要であることは自明の理。
すなわち、神は拳に宿りますわ……! おテメェら全員私の健全なる聖拳でわからせてやりますわ! ご指導&ご鞭撻の時間ですわゴラァ!
あらあら? いつの間にやら先生からモモトークが?
ホシノを襲った私自身を棚に上げつつ、経験からの楽観視による遭難と報連相の不備だけは先生に伝えたことを既に直されていただけるとは本当に素晴らしいですわ。
これがゲヘナならまず報連相と遭難の読み方から始めるところですので、先生には頭が上がりませんわ! ゲヘナの皆様方、そろそろ算数ぐらいはできるようになったかしら?
はてさて、内容をば…………ふむふむ……なるほど……へー、カタカタヘルメット団様方ったらおチンピラのクセに戦車なんて持ち出して来てるのですわね。
へー――。
…………………………。
……………………。
………………。
…………。
……。
あっ、カンナ様。お仕事中のところ夜分に申し訳ありません。バルバラですわ。いえ、挨拶などいりませんわ。私はヴァルキューレ上層部のポストに天下りして来ただけのおぺーぺーですし。
それは一先ずは置いて置きまして、貴女様へ単刀直入に申し上げるべきだと考え、電話致しましたの。ええ、要件はですね、先に言っておきますわね。
――公安局の備品を持って行ってしまい、誠に申し訳ありませんでしたわ。
◆◇◆◇◆◇
『さて、先生。先に一つ小言をば。自信があるのは良いことですが、過信は身を滅ぼしますわ。後、何事も報連相は大切ですわ。あらあら、これではふたつでしたわね』
"ごめんなさい"
先生から見たバルバラの印象を思い返せば、超がつくほどの優等生であり、仕事に関しては特に全幅の信頼を寄せており、事実上のシャーレの"事務員"として半ば切っても切り離せない者となっていた。
屡々奇行と暴力に走るが、そちらはキヴォトス的に間違ってないのではないかと思い始める程度には、先生もキヴォトスを理解し始めてもいる。
"謝るところは謝らないとダメだよ"
『ごめんなさい、おミニマムおチビおちんちくりんホシノ。つい、道端の小石のように蹴っ飛ばしてしまいましたわ』
「うへー? あー、背も態度も大きすぎておじさんが見えなかったのかな? 色々と生き難そうだねぇ、同情するよ」
とはいえ、それを窘めるのも先生の役目であり、彼女自身悪いことをしているという自覚を持ちながらしていることが一番の問題である。そのため、このように反省を促し、彼女の舵取りを出来たらいいなと先生は努力する。
ちなみに結局、柴関ラーメンで対策委員会と先生らはラーメンを食べることになり、テーブルに椅子をつけてバルバラが座った結果、トゲのあるバルバラと笑顔で毒を吐くホシノが並んだのだが、なんだかんだ罵り合いつつラーメンをつついている姿に他の対策委員会と先生は、互いに嫌いなだけで別に仲は悪くない姿を温かく見守る事にしたのであった。
ちなみにバルバラのガスマスクは口の部分が外れるタイプの物であり、先生が知る限りでは、食事はそれを外して食べているため、彼女の顔を見ることがまだ出来ていない。先生的に見れずにかなり残念に思うところである。
翌日の明け方――。
『オーッホッホッホッホッホ!! おチンピラの皆様方! ご機嫌麗しゅうございますわ!』
現在、アビドス郊外の砂漠では、聞き覚えの有り過ぎる高笑いと、ブレード翼の回転によるローター音、そして機首下部に付いた30mmチェーンガンによる絶え間ない掃射音が響き渡っていた。
先生が空を見上げれば、そこには水色のボディにヴァルキューレ警察学校の校章が輝く対戦車・対地攻撃ヘリコプターが浮かび、チェーンガンに加えてロケット弾、空対空ミサイル、対戦車ミサイルまで積んでいる殺意の塊である。
二人乗りの機体らしく、前席には多分に見覚えのあるガスマスクを着けたヴァルキューレ制服の生徒が乗っている事が何より印象的と言えた。
『明日のことまで思い悩んではなりません。明日のことは明日自らが思い悩みますの。その日の苦労はその日だけで十分ですわ――つまり、おテメェらに明日は来ませんことよ……! 私という苦難の今日に沈む姿がお似合いですわ、ほーっほっほっほっほっほ!!』
《先生……あの方、味方でいいんですよね? こちらも撃ってきませんか……?》
"先生もちょっと自信ないかな!"
通信越しのアヤネの声はやや震えており、目の前ではカタカタヘルメット団員たちがどうにか反撃しようとしているが、叶わずバタバタと薙ぎ倒されている。
敵の時のカプコンヘリ並みに異常な機動性能と頭の可笑しい攻撃性能と謎の耐久性で襲い掛かり、空対空ミサイルを人へ向けて当ててくるバルバラヘリは、明らかに味方のそれではないため、その感想は尤もだろう。
「ちょうどいいからアレにヘルメット団は受け持って貰おっか。まあ、何もしなくても勝手にやってるだろうし。こっちは救出に専念しよー」
「火力支援たすかる」
「頼もしいですねー」
カタカタヘルメット団が用意していたと思われる戦車が、対戦車ミサイルで吹き飛び、ただでさえ建造物の少ないアビドス郊外の砂漠の物陰へカタカタヘルメット団員が逃げ込んだところにロケット弾が放たれる光景を目にしつつ、先生と対策委員会は特に戦闘もなくセリカを救出したのであった。
◇◇◇
『ん――失礼。あらあら? カンナ様どうかしましたか? えっ、戻って来い? 巫山戯たこと? おうるっせぇんですわッ!! むしろ、誰も使わない新品をお中古にして差し上げたことに感謝されたいぐらいですわ、オホホホ!』
一方的な戦闘が終了し、セリカの救出も無事に終えた対策委員会と先生の近くに攻撃ヘリを着陸させたバルバラは、何処かに電話をしつつ降りて来た。
電話の相手とかなり揉めているらしく、先生の前に来てもまだ彼女は電話を続け、こちらに手で少し待つように会釈だけしている。
『それともブラックマーケット崩れのおチンピラを吹き飛ばしたことへのお咎め? もしくはカイザーコーポレーションの方ですの? 狂犬と呼ばれるお方が、その実、着けられる首輪の相手すら選べないとは惨めですわねぇ……』
そして、更に喧嘩腰の問答を始め、ニ三言強い言葉を放った後、一方的に電話を切った。
「ヒカリって、誰にでもそうなの?」
『撃ちてぇ、殴りてぇと思うお方々だけですわよ、ホシノを含めて』
やや不服そうな半眼で質問を投げ掛けたホシノに対して返答し、"まあ、大方の場合、思ったら既に行動しておりますが"と言葉を締め、持っているバックを弄っているとセリカが彼女の前に出て来る。
「あの……ヒカリ先輩ありがとうございました……!」
『お気になさらず、イカれたラーメン好きの狂人が勝手にしているだけですわ。お柴大将も悲しみますからね』
それだけ言うとバルバラは、紙の書類が綴じられたファイルを先生に渡した。
"これは……"
『カタカタヘルメット団の武装の調査報告書と、団員の自白供述書ですわ。どちらも私が勝手にやっておりますの。内容を要約すると、コイツらが流用している武器やパーツは確定でブラックマーケットのもので、アビドス襲撃の依頼者はカイザーコーポレーションですわ。前者は分解した武器から判断し、後者は捕えた団員が"真摯にお話"してくれましたから確実でしょう』
拷問したと暗に言っているが、それよりもブラックマーケットだけでなく、カイザーコーポレーションという言葉が出て来た事に対策委員会の面々は驚いている。
カイザーコーポレーションと言えば、民間軍事会社、銀行経営、リゾート開発、兵器の販売など、様々な分野を展開している大企業であり、色々と黒い噂が絶えないグレーな企業でもあった。
『短いですが、私はこの辺りでお暇を頂きますわ。少々ヴァルキューレと話を付け、始末書をまとめてからまたアビドス校に向かいますので、多少時間をいただきますわね』
"色々、無茶をしたんだね。ありがとう。バルバラは大丈夫なの?"
『駄目で元々、人生はお博打ですわ! お優しいことは先生の美徳ですが、そうやって今まで重役を転々として来た
"心配せずともヴァルキューレ上層部はそのうち殴り倒しますわ"と最後に不穏な事を話し、また攻撃ヘリに戻るとそのまま飛び去って行ったのだった。
こんなのですが、カンナ様的にはそこそこ理想の上司ですわ。
〜 用語 〜
ブルーサンダー
ヴァルキューレ警察学校の公安局に配備されている最新鋭の武装ヘリ。どれぐらい最新鋭かと言えば、機体も武装も馬鹿に高い上に使用手続きも面倒なため、格納庫の見やすい位置にそっと配備されて以来一度も使われていなかったほど。始末書の怖さで他のヴァルキューレ生徒は誰も使わないため、アビドスに無断で持ち出されて以降、ヴァルキューレ上層部のヒカリの私物と化し、勝手に改造されもている。
バルバラ(ヴァルキューレ制服)のEXスキルにて確認できる。