三雲修と兄(幽霊)のワールドトリガー   作:影後

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三雲修と兄と実力派エリート

放課後、修と空閑の前に木虎が立っていた。

まるでアイドルのように人集りができ、その中でサインなども書いている。

 

「笑えるよな、自分で守れなかった相手から称賛されてくだらない笑いを浮かべてるんだ」

 

「兄さん、言い過ぎだぞ」

 

「始は毒が強いな」

 

空閑も、唐突に入れ替わる二人に慣れ始めている。

何故か、どことなく判るのだ。今喋ったのが誰かというのが。

 

「来たわね、三雲修!」

 

「……帰ろう、空閑」

 

「おっ、そうだな」

 

始の変わりに修が答え、人集りを無視して歩いていく。

しかし、その手をしっかりと木虎は掴んだ。

 

「やめろ、どうせ僕が一刀したのが嘘だって言いたいんだろ?でも、何回もシミュレーターで特訓してきた。相手の動きならある程度判る!実際、軽く斬られたし」

 

「!」

 

事実である、修は努力によって数多のトリオン兵の動きなら理解している。

始のサポートが無くても訓練なら動ける、だが今回の様な実戦の数。

つまり、場数が無いだけなのだ。だが、それも始がいれば解決するが。

 

「…待ちなさいよ!」

 

「………わかったよ」

 

修、空閑、木虎、そして激しい顔をしている始の4人は歩きながら話していた。

 

「……それで、このイレギュラー門の件は今どうなってるんだ」

 

「修、イレギュラーなのか?」

 

「あぁ、空閑。その通りだよ、昨日から市街地の方に門が出るようになってるんだ。運良く非番の隊員が居てよかったけど、今回は僕だな」

 

「ほぉ、つまりその運の良さに家の学校のメンバーは助けられたと」

 

「ッ!?貴方、部外者が居る所で堂々と」

 

「空閑は部外者じゃない、被害者だ。僕らには説明する義務があり、空閑は知る権利がある」

 

木虎を言い負かす修に、始は驚きながらも弟の成長を喜んでいる。

だが…そんなイレギュラー門への説明をしていたのも束の間、上空に門が出現した。始めての敵に騒ぐ木虎、その隣で修は空閑に説明を求めていた。

 

「空閑、アレは」

 

「イルガー、爆撃型のトリオン兵だ」

 

(修、借りるぞ)

 

「なっ!」

 

「トリガー起動!んじゃ、グラスホッパー」

 

グラスホッパーを使用した始は空を自在に跳び回る、正面でコアを破壊し、そしてイルガーの背中に着地した。

 

「……真二つなら終わりだよな!!!!」

 

攻撃を物ともせず、レイガストによって頭から尻尾の様な物の先端まで真二つに斬られるイルガー。始のトリオンがあってこその技である。

 

「後は………4等分いや16等分かな!」

 

グラスホッパーで飛び続け、何度も何度もイルガーの破片を作っていく。

少しでも被害を無くすため、少しでも人を救うため。

始自身はどうでも良いが、修の意思を尊重しているのだ。 

始にとって有象無象などどうでもいい存在だ。真に守るべき存在は家族と友人なのだから。

 

「…凄いな修、即座にサイコロだ」

 

イルガーはサイコロのようにバラバラに斬り落とされて川に落下していく。

そして、華麗に着地してみせた始は煽るように木虎に言葉を放った。

 

「下らないプライドなんて捨てちまえよ、お前。今ウザいだけだから」

 

「三雲修!」

 

木虎が迫るのを見ながら、始は空閑を連れて動く。

 

「さーて、後はエリートA級の木虎藍様がなんとかしてくれるってさ!空閑、行こうか」

 

「待ちなさい!」

 

「BORDERだ!ありがとうございます!」

 

「あっ…いえ、あの」

 

木虎ば即座に民衆に囲まれる、そして嘲笑うように手を降って消えた始を最後まで睨み続けた。

 

「プライドだけの餓鬼が良い気になるなよな」

 

「ハジメ、口が悪いぞ」

 

「失敬。しかし…そうだなぁ空閑。BORDERを利用する気はないか?」

 

「へぇ、面白いね」

 

「兄さん!BORDERを利用するって」 

 

「居るだろう?自称、実力派エリートって言う男がさ」

 

 

 

 

始は嘲笑う様に木虎を診た後、携帯電話で一人の男を呼び出した。

集合地点は警戒区域内部、修、始、空閑の3人いや二人が戦闘した場所である。

 

「それで………体よくお兄さんを使おうと」

 

「俺の秘密を知ってる隊員はアンタだけだからな。笑えるよな、修の顔を見た瞬間、なんで2つも顔あるの?だもん、つい……殺したくなっちまう」

 

「始さんは落ち着いてっと、メガネ君いる?」

 

「はい、迅さん」

 

迅悠一、BORDERの実力派エリートであり黒トリガー『風刃』を扱う。

始の正体を知っている数少ない人材であり、良く足や使い走りにされる。

 

「なんで始さん、なんだ?」

 

「簡単だ、始さんは敵に回したらBORDERが壊滅させられる」

 

「……兄さん」

 

「それで、俺に要件があるのはそっちのちびっ子についてだな」

 

「俺は空閑遊真、背は小さいけど15だよ」

 

「……あー……お前ってあっち(近界)から来たのか」

 

空閑が戦闘体制を取ろうとした瞬間、始が空閑に手を伸ばす。

 

「コイツは未来視とか言う巫山戯たサイドエフェクトを保ってるんだ」

 

「頭の中にスパコン持ってる人に言われたくないな」

 

「修を見た瞬間、俺を見抜きやがって。危うく……殺す所だったぞ」

 

それは修すら聞いたことのない絶対零度の声。

だが、空閑は何度も聞いた事のある声だ、人を殺す事を何とも思わない、殺戮兵器。

修と違いすぎる始に対する驚きばかりが生まれる。

 

「まぁ、と言う訳だ。迅、手を貸せ」

 

「随分と急だね、始さん」

 

「……お前、見えたな」

 

「うん、始さんか、メガネ君、ちびっこ、君達がイレギュラー門の原因を探し出すのを」

 

「そんな、僕たちがだなんて」

 

「なぁ、始。始はわかってるのか」

 

「……NOだ」

 

「嘘つき」

 

急に修から始に変わり、更に空閑のサイドエフェクトで始の嘘が判る。修も、迅も、驚きが隠せない。

 

「…原因はわからん。だが、俺の予想は……いや、理論は間違っていないだろう」

 

始めは修に主導権を渡し、手だけを動かす。

 

「えっ…腕が勝手に?!」

 

「まじで始さんは幽霊なんだよなぁ」

 

イレギュラー門は恐らく、超小型のゲート発生装置によって起こされた人為的な物である。

 

「そんな、それじゃあ」

 

「まて、メガネ君。話を聞くんだ」

 

学校での戦闘時、妙な反応を俺は確認した。

それが何かはわからないが、トリオン反応であったのは確かだ。

 

「へぇ…あの時、そんな事もしてたんだ。お兄さん」

 

ボーダーは体内のトリオンが戦闘できるレベルにある為にトリオン体を形成できる。しかし、元々トリオンは全人類が持っている。民間人から少量のトリオンを摂取し続けた場合、時間はかかれど自在に門を発生できるのではないか?

 

「……見えた、まずいな。今日中にソレ見つけないと面倒だ」

 

他には?

 

「中学校、そこにまだ原因はある」

 

4人がBORDERの捜査を理由に内部に入る。

年の為にトリガーを起動したが、警戒する必要はない。

 

「みっけ」

 

「…コイツが何処から入り込んだかだ。迅、後は任せるぞ。空閑、修、帰るぞ」

 

「帰るぞって?えっ…始さん?!」

 

「母さんに親友となる空閑を紹介しないでどうする。どうせ家も無いんだろ、俺が説得するからホームステイしろ」

 

「ちょっと!兄さんそれは」

 

「安心しろ、部屋は定期的に片してあるし布団の予備もある。後は母さんを説得だ」

 

「そうか、ならお世話になる」

 

「はぁ……説得は頼むよ」

 

始は微笑み、静かに修の中に消える。

 

「迅さん、あの」

 

「…気にするな。始さんと敵対したらBORDERが壊滅する。俺の未来視がそう言ってる。全滅じゃない、壊滅だ。組織としての信用もなくなって、何もできなくなる」

 

それだけじゃない。迅はそう続ける。

顔が青く染まり、激しい嫌悪感と世界の闇を垣間見た様な顔をする。

 

「正直、始さんの事を見ちゃった時恐怖した。今でも怖い。

でも、ある意味メガネ君達には朗報でもある」

 

「…迅さん、何が」

 

「壊滅する時、肉体を持った始さんが大暴れするんだ。

誰も勝てない、S級も、A級も、ただ等しく」

 

「おっと、それ以上は無しだ。迅、その未来、確定させたくはないよな?」

 

修の中にいた始めが動いた。

空閑も、レプリカも認識できなかった。

修の肉体が迅の背中に立ち、レイガストを何時でも突き立てる様にしている。

 

「……すみません」

 

「わかれば良い、あと話すなよ」

 

「はっ……僕は……」

 

修は気が付いて居ないようだった、

空閑とレプリカは理解した、三雲始がどういう存在かを。

場合によっては全てを殺戮する事も厭わない存在だと。

 

「と…取り敢えず、終わりだ。俺は本部に戻るけど二人は」

 

「修と始の家に行く」

 

「修、始、私と遊真を宜しく頼む」

 

「あの、迅さん。ありがとう御座います!」

 

迅は立ち去る修達を見たあと、一度深く呼吸する。

 

「アレ、まじで俺の体を突き刺そうとしてたよ」

 

だが、恐怖している余裕はない。

イレギュラー門の原因が判明した以上、対応しないと時間がない。

 

「……いや、この未来もだめだ」

 

イレギュラー門から大量にネイバーが現れる未来。

しかし、その未来でもBORDERは壊滅しない。

白髪の少年、空閑遊真と眼鏡をした少年三雲修が壊滅を防ぐ。

だが、修が酷く泣いている。その未来が来る事はだめだ。

 

「……やるか、実力派エリートだからね」

 

迅悠一は本部へと走る。

自分よりも恐ろしい存在が大暴れする未来を変えるために。

 

 

 

 

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