物心ついた頃から私には人ならざるものが見えていた。
父と母には見えていないらしい「それ」は、いつも私を見ていた。父と母に「それ」について聞くと顔を怖ばらせていた。幼心に「それ」については話してはいけないのだと何となく悟っていた。
いつしか、私は「それ」を見ないようにしながら生きていた。
「それ」の正体を知ったのは祖母の家に初めて訪れた5歳の時のこと。
初めて会う祖母という存在に少し緊張しながらも私は心を弾ませていた。祖母の家は実家から車で4時間ほど離れた場所にあり、移動中、疲れていた私はいつの間にか目を閉じてしまっていた。
「着いたわよ」
そう言い、私の体をゆする母の声が聞こえ目を開ける。
山の中にあるらしい祖母の家。
眠い目を擦りながら辺りを見渡す。
瞬時に私は見たことを後悔した。
「それ」と目が合ってしまった。
家にしかいないと思っていた「それ」が居たのだ。
1体だけでは無い。祖母の家を取り囲むように、何十、何百と。
全ての目がじっと、私を見つめていた。
正しくは私の家族をなのかもしれないが、その時はそう思ったのだ。
車から降りた私は母にしがみつきながら祖母の家へと足を進めた。
インターホンが押され、しばらくすると扉が開き祖母が迎え入れてくれた。
「久しぶりね」
そういう祖母は母、父、私の順に目を向けていく。
「あら、貴方見えているのね」
私の目を真っ直ぐに見ながら祖母は「怖かったでしょう」と優しく抱きしめてくれた。
祖母の暖かい温もりに私は涙を流していた。
祖母は家に入れてくれると私だけに「それ」が何なのかを教えてくれた。
「それ」は「呪霊」と呼ばれる存在であること。
私は呪力を持ってるらしく、呪力さえあれば呪霊は見えるということ。
呪力を持つ人は家系で現れることが多いらしく祖母は呪術師で、私にもその素質はあること。
母は普通の人に産まれたらしく呪力なんてものには縁遠い為に、祖母の話すことをいつも怖がっていたということを教えてくれた。
「ねぇ、おばあちゃん。呪術師ってなに?」
「そうねぇ。呪霊を倒す…………………………………………………………………あまりいいお仕事では無いけど、やりがいのあるお仕事ね。」
しばらく考えたあとに、そう話す祖母は優しく笑っていた。
それから時は進み、あれから私は呪霊について、呪力についてそして、呪術師についてを沢山調べた。それは執着とも言えるほどに。
そして私は東京呪術高専へと足を踏み入れる。
「今日から1年生ね!」
私こと神凪 まつり。今日から呪術師になるために頑張ります!