Vtuber学パロダンガンロンパ風序盤ギャグガチンコミステリー小説   作:茶鹿秀太

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(非)日常編 第一章 「イキキレル」1

 夏休み。蝉の声は聞こえない。遠くから潮騒が聞こえる。そんな真夏のさなか。蒸し暑い体育館の中。汗の匂いがする剣道部の部室。僕は初めて死体を見た。見知った顔の瞳孔の開いた瞳は、死んだ魚みたいだった。その時初めて知った。人間というのは、生きて動かなければモノのように思えてしまうと。これが僕の、長い長い夏休みのはじまりだった

  

DAY1 Augest

朝 教室

 

「ねぇ、大丈夫? 起きられる? 参ったな……。ぐっすり眠ってるみたいだ」

 

なにか、肩から揺らされる感覚。

 

「うぅ……ん。あれ、ここは……」

 

目覚めると、僕は机に伏して寝ていたようだ。

 

「あ、気がついた? おはよう。良かった。流石にこれ以上の起こし方は難しいと思ってたから……」

 

顔をあげると、白いワイシャツに黒のスラックス。……学生服?それにこの机は、学校でよく見かけるやつだ……。周りを見渡す。ここは……教室?

 

「……あの」

 

何か言おうと思って、ふと思考にもやがかかるような気がする。……何も思い出せない?

 

「あの、ここは……、僕ってどうしてここに……」

 

「あっ、そうか。君もなんだね。困ったな。実は僕たちもそうなんだ……記憶喪失、ってやつなんだと思う」

 

「記憶喪失……」

 

「僕らも胸元にある名札を見て自分の名前を思い出したくらいなんだ。僕の名前は風街ピリカ。どんな風に読んでくれても構わないよ。君の名前は……」

 

教室の窓に反射して自分の顔が映る。青く澄んだ腰までかかる長い髪。意識がまだ戻らないようなぼやっとした目つき。

 

そして、例に漏れず学生服を着ている。ひらひらのスカートだけが、彼との違いだった。窓の奥には、広々としたグラウンド、雑木林。

 

そして、海。まるで絶海の孤島に学校がぽつんと置いてあるような錯覚すら覚える。いや、事実そうなのだろう。

 

机の下にぽつんと落ちてある小冊子。表紙には手書きでクレヨンかなにかで「なつやすみのすごしかた」と書かれ、中央に島の上に学校が建っている絵が器用に描かれていた。

 

胸元の名札を見る。

 

「……僕の名前は……」

 

彼の目を見て、僕は答えた。

 

「秋冬ハル、って名前らしい」

 

それが僕の最初の記憶。

 

 

 

 

DAY1 Augest

朝 体育館

 

 

 

 

「着いたよ。みんなここにいる」

 

教室を出て階段を降りる。体育館へ行くための渡り廊下を通り、重たい扉をスライドさせて開ける。

 

すると、ここに既に来ていた人間たちが一斉にこっちを見た。1、4、7、……僕を入れて、13人だ。

 

全員が学生服を着用していて……どうやら大人はいないようだ。とりあえず、どんな人がいるのかわからないし……。話しかけてみよう。

 

 

1人目 風並 将吾(才能:シナリオライター)

 

「やぁこんにちは。君も今起きて記憶喪失になった人かい?」

 

「うん。僕は秋冬ハル……っていう名前らしい」

 

「な、名前まであやふやなのは君くらいかもしれないね。僕は風並将吾(ふーへーしょうご)。親しい人からはふーへーって呼ばれてるから、そう呼んでくれるとマジで助かるよ!」

 

風並将吾はメガネを掛けた優しそうな雰囲気があった。髪を真ん中で分けて、ハットを被っている。学生服のジャケットを羽織るように来て、なんというか、その。

 

「ヒットマンみたいな着こなしですね」

 

「いやいや、普通におしゃれだからね……? 元々演劇やっててさ。でも演技するより脚本を書くのにハマっちゃって……。台本ばっかやってるかな。あと、風紀委員じゃないけど、結構みんなからの悩みとか解決してたよ」

 

「リーダー気質なんですね」

 

「ところで君も演劇とかやってみない? めっちゃ楽しいよ」

 

「……エンギ……?」

 

「いやそこまで記憶失ってないだろ!?」

 

この人、ツッコミ早いな……。

 

 

 

2人目 速水らいむ(才能;ラップ)

 

「こんにちは。速水らいむです。よろしくね」

 

「すごい。低音女子だ」

 

「はは。うん結構地声低いんだ。めっちゃ歌が好きでさ。バンドでボーカルとか、ラップやってるよ。音楽大好き勢です」

 

「へぇ。今度聞かせてほしい」

 

「うへへ。もうじゃんじゃん聞いて聞いて。めっっちゃキュートな歌とかも歌うから」

 

「すごい低音からでるキュートな歌……?!」

 

低い声でかわいい性格なギャップがすごい人と覚えておこう。

 

 

 

3人目 黒光の亀(才能:武士道)

 

「拙者、黒光の亀でござる。クロカメとでも呼んでくだされ」

 

「さ、侍だ……」

 

大正ロマンを詰め込んだ軍服めいた学生服の着こなし方。夏なのに赤マフラー。きっと只者ではないことは確かっぽそうだ。

 

「ははは。そんな大層なものではないでござるが、武の道を少々嗜んでおりましてな。己が武士道を極めんと剣を振っているでござるよ。おっと」

 

クロカメさんの肩に亀が登ってきた。

 

「黒い亀だ……。なんかかわいいですね」

 

「相棒であり本体で候」

 

「こっちが本体なんだ!?」

 

なんか、不思議な人だ……!

 

 

 

4人目 小春そら(才能:イラストレーター)

 

「小春そらです!普段はこう、絵を仕事にして過ごしてます」

 

「すごい、本職だ……」

 

「まぁ、絵の仕事しすぎて引きこもってばっかりだけどねぇ。だけど今の御時世って疲れることばっかりじゃないですか。私の絵を見てる間は幸せになって欲しいって理由で描いてるんだぁ。とりあえず絵を描くためにあの教室を独占しようと思ってるんだよね!」

 

「あぁ、美術室?」

 

「いやPC室。デジタル派なんですよね。大体そういうとこってクーラー完備だし」

 

「引きこもる気満々だ……! 運動とかは……」

 

「リン●フィットアドベンチャーって知ってる?」

 

究極のインドア派……!

 

 

5人目 岩手大好丸(才能:何でも屋)

 

「ジャッソー。おらあ岩手大好丸ともぉしゃすよぉろしくぅ(よぉ、俺は岩手大好丸っていうんだ!よろしくな)」

 

「え、なんて?」

 

「ん?あーすまんすまん!方言が出ちまった!岩手を愛し、岩手に愛された男! それが俺、岩手大好丸でがす! 大体なんでもできるんでぇ任せとけ!! 地産地消!!」

 

「勢いがすごい」

 

「ところでアンタは岩手についてどこまで知ってる?」

 

「岩手…………。岩手は、いいよね」

 

「アンタ分かってるな!岩手好きに悪いやつはいないって!!!」

 

「あはは」

 

あとで調べよう……。

 

 

 

6人目 亜酔昏ヨイ(才能:医学)

 

「亜酔昏ヨイだ。医学を嗜んでるただの学生さ」

 

「高校生なのに……医学を?」

 

「なんだい?その疑いの目は。常識や倫理に囚われているね。そんなものの中に私を測るものさしはない。出来るものは出来るのだから仕方ないだろう?」

 

「そ、そうなんだ」

 

「ぶつぶつ……(全く、大体なんで医師免許は学歴が必要なんだ。治せればいいじゃないか。医学の発展は未来の発展だろうに)」

 

なんか、すごい現代のブラックジャックっぽさがある人だなぁ……。

 

「あ、とりあえず保健室は独占させてもらう。実践できそうだし。くっくっく」

 

「本当に大丈夫なのかなぁ!?」

 

 

 

7人目 冥城んみ(才能:宗教)

 

「おっすー。冥城んみだよ。よろしく」

 

右側頭部の髪をアッシュグレイに染めて、金色の何かのシンボルのような髪留めを身に着けている。中学生のような背でにっこりとほほ笑む彼だが、どこか真面目さも感じる。

 

「すごい髪だね。自由って感じ」

 

「あーうんまぁ、ちょっと変な話さ、僕って教祖なんだよ」

 

「え?」

 

「宗教団体きゃらめるハイツの教祖でね」

 

「きゃらめる……?」

 

「うんだからこれもシンボルみたいなもんかな。でも学校には流石に宗教は持ち込まないよ。これでも生徒会だよ」

 

「なるほど」

 

「ちなみに興味がある場合は毎週火曜と土曜に礼拝が」

 

「ま、また今度お願いするね」

 

あ、危ない。危険な人じゃないけど気付いたら礼拝に行きそうな勢いがあった。

 

 

 

8人目 威鳴音月(才能:???)

 

「…………」

 

「あの」

 

黒パーカーを深く被り、表情が一切見えない青年。話しかけたが、無視されてしまう。

 

「あの、僕は秋冬ハルです。貴方は……」

 

「…………」

 

「…………」

 

「……。威鳴音月」

 

そう言って青年は僕から離れてしまった。一体何なんだろうか……?

 

 

 

9人目 鈴(才能:演劇)

 

「鈴と申します。よろしくお願いいたしますね」

 

「狐耳だ」

 

「ふふ。実は狐だったりして?」

 

「すごい、狐っているんだ」

 

「まぁ私(わたくし)はそこいらの野狐よりも品がありますし? 人を化かすなんてそりゃもう余裕のよっちゃんだったりして?まだまだ見習いですが」

 

「急に親しみの湧く言葉遣いを……」

 

「私は放送部と演劇部に所属しておりますので、機会があったら演技を見てくださいな。あ、そうそう。先程お話を聞いていたのですが、風並様も演劇関係者だとか!!こりゃあ話を聞くっきゃないですねぇ!」

 

多分、江戸っ子みたいなタイプなんだろうなこの狐さん……。

 

 

 

10人目 ウンフェルス(才能:歴史学)

 

「歴史学者志望のウンフェルスと申します。歴史学や聖書学が専攻、といえばいいんでしょうか。よく大学の、特に図書館に遊びに行かせてもらっていますので、人に教える程度の ことは出来ると思います」

 

「大学に遊びにいくって人生で考えたことなかったかも……」

 

「面白い情報を色々漁っていたら、いつの間にかそうなってましたね。もしお暇な時間があったら私の話も聞いてくださいね」

 

「うぅ、わかるかな……」

 

「ふふふ。変な先入観がない方が、物事は分かりやすいですよ。いつでもどうぞ」

 

まるで学校の先生みたいな人だな……。

 

 

 

11人目 入間るい(才能:科学者)

 

「あ、どうも……入間るいです」

 

最大限警戒されているような気がする。

 

「あの、初めまして」

 

「な、なんですか? この超ぷりちーで愛くるしい見た目をしている私に話しかけるなんて……一体何が狙いなんですか?」

 

「あれ、一言声かけただけなのに警戒レベルマックスじゃない?」

 

「ひぃ……ニンゲン怖い……。やっぱりロボットとかゾンビじゃなきゃあんしんできない……人類は管理されるべきなんだぁ」

 

ディストピア世界のちいかわみたいな人来ちゃったな……。

 

 

 

12人目 風街ピリカ(才能:旅人)

 

「やぁ。だいたい顔合わせは済んだかな?」

 

「……おかげさまで。連れてきてくれてありがとう」

 

「意識もはっきりしてきたね。良かった。改めて、僕の名前は風街ピリカ。普段は……そうだね。旅人、かな?」

 

「旅人?」

 

「うん。色んなところに旅行して、そこに生きてる人たちの営みや自然の美しさとか……そこにある物語を写真にしたり、詩を載せたり、歌にして切り取ってる、っていう生活ばかり送っているよ」

 

「なんかこう、吟遊詩人みたいだね」

 

「あぁそれはいい表現かも! 僕は学生吟遊詩人風街ピリカ、うんうん、自己紹介にしては端的でいいかもしれない」

 

この人も不思議な人だけど、なんだろう。確固たる自分がある感じがするなぁ。何も譲らない感じ。

 

 

 

「これで全員と会話したけど……」

 

にしてもこの後どうすればいいのだろうか。困惑していると、一瞬体育館のスピーカーからノイズ音が聞こえる。

 

「え?」

 

きーんこーんかーんこーん。チャイムの音だ。どこか懐かしいような響きを聞きながら、体育館のステージの方からスクリーン幕が降りてくる。そこに映像が映し出された。

 

「うぷぷぷぷ、なんて笑い方したらまんまになっちゃうかな。はーいみなさーん。みなさんがしずかになるまで、おれは3分間まってやりました。ツイッター(意地)でバルスって書き込む準備はできた? そこにいるおにいちゃんおねえちゃん方、チャンネルはそのままで、SNSにかきこむ前にえんぴつのしんはギリギリまでとがらせた? バトエンはぬすまれないようにきちょうひんぶくろに入れて学校の先生にあずけた? よろしい! えー、せいしゅくにーせいしゅくにー。今から学園長のありがたーいお話をはじめまーす」

 

スクリーンに映し出されたのは、茶髪で首までかかった髪をゆらして、ポメラニアンみたいなよくわかんない犬みたいな形をした金色のチェーンでブリンブリンな装備をした小学生。

 

「どうもみなさん。初めまして。この「アップグレネード学園」の学園長をさせてもらっています。ひとなつおもいでーっす。ぶいぶい。よろしくねぇ〜」

 

「が、学園長?」

 

誰かの間の抜けた声が体育館に響く。

 

学園長は、にやりと、意地悪そうな目で微笑んだ。

 

「今からみなさんには、コロシアイをしてもらいまーっす」

 

 

 

 

(非)日常編 第一章 「イキキレル」

 

 

 

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