Vtuber学パロダンガンロンパ風序盤ギャグガチンコミステリー小説   作:茶鹿秀太

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(非)日常編 第二章 「ウイルスメモリー」

――海鳥の声が聞こえる。どこか遠く、木霊している気がする。

 

かつて在りし日の記憶か、それとも……ただの夢なのか。……誰かと会話している。海が見える景色で、どこかの埠頭のような……気がする。

 

「縺昴l縺ァ縲√↑繧薙〒蜷榊燕繧貞?繧梧崛縺医k繧薙□?」

 

「もし、あの話が才能に寄る部分が大きいなら、多分狙われるのは……だわな。丁度いいから生贄になってくれ」

 

ソイツは、まぁ憎たらしいほど満面の笑みで、男に言った。

 

男は、まったくしょうがないな、と言わんばかりの表情で、女に言った。

 

「縺?d縺ゥ縺???∴縺ヲ繧ょ錐蜑榊?繧梧崛縺医◆繧峨ヰ繝ャ繧九□繧阪?ゅ?繧ク縺ァ縲ゅヰ繝ャ縺ェ縺九▲縺溘i縺ク縺薙?繧茨シ」

 

「そん時は、そうだな。二度と忘れないようにしてやろうぜ。二人で」

 

二人で笑いあって、景色はどんどんかすれていく。

 

海鳥の声が聞こえる。どこか、もう戻れない世界のように、視界は―――。

 

「大丈夫だ。今度こそ。絶対助けるよ。……なぁ、威鳴さん」

 

 

 

 

 

 

 

「待ってっっっっ!?」

 

絶叫。

 

荒くなる息とともに、冷え切った汗が暑さを覚ましていくようだった。

 

なんだったのだろうか。夢? 

 

それとも、妄想? 

 

訳が分からない。

 

それに、なんで。なんであんな奴の名前が……。

 

 

体を起こしても、あの頭の中の映像は、乱雑に消しゴムで消されたみたいにもう思い出せない。

 

僕は誰と会話していたのだろう。

 

男の人だったのは覚えている。

 

僕は……威鳴音月と話していたのか? 

 

「……まだ、記憶は戻らないのか……」

 

僕こと秋冬ハルのことは、結局分からないまま……。

 

 

 

 

 

 

 

Day6  Augest

朝  食堂

 

 

 

 

 

 

 

「思い出したんだよ! VtuberだよVtuber!」

 

岩手大好丸が食堂で叫ぶ。

 

全員がそれにうなずく形で、朝食を取りながら話題を合わせている。……。

 

「うん、スープにするといい味出るよね、Vtuber」

 

「秋冬ちゃん。分からないなら分からないでいいんだよ」

 

速水が困惑しながらこちらをなだめてくれる。

 

ごめんなさい、本当に知らなくて……。岩手が胸を張って話を続ける。

 

「いやよぉ。オラぁてっきり。……アンタは違うのか? 多分この場にいるやつ全員Vtuberなんだよ」

 

「うん、イチゴとか添えると……」

 

ウンフェルスが諦めた顔で僕に説明してくれる。

 

「Vtuberというのは、とても掻い摘んで説明すると……私たちはバーチャルという存在で、様々なプラットフォームで配信活動や、動画投稿を行っているんです。要はストリーマーというやつですね。私たちは学生をしながらそういった行動をしていたみたいなんです。種族も多様性があって、狐娘とかサキュバスとか、私の知っている限り本気でただの犬もいますね」

 

「すると、なんでしょう。僕たちの存在は……架空ってこと……っ!?」

 

「まさか。現実世界でもネットの世界でも、私たちは存在している。それくらいのニュアンスで大丈夫です。間違いなくここは現実で、ネットのブラウザの箱庭の世界に閉じ込められている、なんてことはないでしょう」

 

いまいちピンとこないけれど、ある種のバーチャルリアリティー、現実と仮想の混在ということだろうか。まぁ、正直……。

 

「そのVtuberだからと言って、何かこう、変わるんですか?」

 

「さぁ? なんか特殊能力とか目覚めるんちゃうか?」

 

岩手がぽかぁんとした顔で僕を見つめる。

 

じゃあなんだろう、趣味で配信してる人しかいないっていう情報しかないのか……。

 

風街ピリカが朗らかな笑みで手をあげる。

 

「でも記憶が少しでも戻ったのは良かったよ。ゆっくりでもいいから思い出して、なんとかして生き残る手段を考えよう」

 

「……」

 

なんとなく、思い出してしまった。

 

一昨日の事、風並が死んで、鈴がおしおきという名の処刑をされてしまったこと。

 

そして、絶望に満たされた、少女の事を。

 

「……そういえば、亜酔昏さんは……」

 

僕がそう言っても、みんな目をそらすばかりだ。無理もない。

 

彼女が犯してしまった不慮の事故も、その後の隠蔽も。

 

……お鈴さんが罪を被り、のうのうと生き延びてしまった、彼女の苦悩も、察することしかできないし、……率先して糾弾すらできないことは、普通の事なんだと思った。

 

「――ちょっと、会いに行ってみようかな」

 

ご飯を食べ終わったら、すぐにでも。多分今は部屋じゃなくて、保健室……かな?

 

 

 

Day6 Augest

朝 保健室

 

 

 

 

「そう、私こそ未来の医学界を震撼させなんやかんやふわっと治すタイプの闇医者とか目指したいなんかすごい学生、亜酔昏ヨイだ」

 

「なんかすごいふわっふわじゃないですか!?」

 

明らかに目に隈をつけて、やつれ気味で頭の回っていない彼女は、見ているだけで痛々しかった。

 

「いやほら、正直寝れなかったししんどかったし、朝食とか全部マーライオンしたけどまだ会話できるし元気だよ」

 

「それ元気とは言わないのでは!? 医者の不養生!?」

 

「うんまぁ、でも。償いたいから、いいんだ」

 

心の痛みを必死に食いしばって、彼女は後ろめたい笑顔で、保健室にある回る椅子に座っていた。

 

くるりと回って、窓の外に映る青空を見つめていた。

 

「――勇気がなかったんだ。もしいの一番に駆けつけてたら、……助けられたんじゃないかって」

 

「亜酔昏さん……」

 

「うん。だから、もし助けられる命があったら、なりふり構わず全力で助けようと思うんだ。保健室で、些細な怪我でも最善を尽くそうと思う。それが、あの二人を死なせてしまったきっかけを作った、私の十字架だ」

 

「……。あ、……。うん。……そっか」

 

何を言おうと思ったんだろう。君は悪くないよ、とか。頑張ってください、とか。そんな、いつも使ってる言葉が、何故だか言えなかった。

 

「まぁみんなには嫌われてしまっただろうから、何とも言えないけれど。それでも、さ。私みたいに、なってほしくないから」

 

「……」

 

「ほら、今の私の陰気なオーラに呑まれてはせっかくの朝も台無しだよ。外に出て英気を養うといい。――あぁ、でも」

 

「?」

 

「……、あの。たまに、あの。……もし、ちょっとでも気にかけてくれるというなら、その、たまには、顔を出してくれると嬉しい」

 

たまにでいいけど、と言って、背もたれに体を預けながら、首を曲げて右肩に顔を付けた。

 

「うん、また来るね」

 

そう言って、僕は保健室を出た。

 

扉を閉めて、なんとなく、誰もいない廊下に向かって、声を乗せた。

 

「――こんなこと。都合よく、忘れてくれれば良かったのに」

 

記憶喪失がありなら、もう、彼女を助けるために……。記憶を……。どだい、無理な話なのは、僕だってわかっているけれど。

 

 

 

 

Day6 Augest

昼 学校内

 

 

 

 

「せっかくだし、みんなと交流を深める時間にしよう」

 

困ってしまった。正直みんな少しずつ記憶を取り戻してしまったがためにその話題で持ちきりだ。

 

僕だってみんなとワチャワチャ会話したいのだ。

 

さて、誰に会いに行こうかな……。

 

 

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