Vtuber学パロダンガンロンパ風序盤ギャグガチンコミステリー小説   作:茶鹿秀太

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(非)日常編 第二章 「ウイルスメモリー」2

Day6 Augest

夕方 浜辺

 

ブロロロロ、と空を切り裂くプロペラの音がする。

 

ドローンだ。人よりも大きいが、どう見てもドローンだ。

 

こうしてみると、小型のヘリコプターのようなものだ。

 

ドローンは浜辺に近づくが、決して降り立つことはない。

 

そのまま、ドサリと重たい荷物を下しいく。

 

「……乗り込んで脱出は難しそうだなぁ。あれ、多分30分以上空中を動くドローンにつかまり続ける以外の選択肢無さそうだし、全員は無理だよね……」

 

ここの砂浜は、学校裏にある森の中にある小道を通るとたどり着ける場所で、最初こそここで海で遊んだりした場所だ。

 

気になるのは、打ち上げられた木製の小舟だ。

 

水に浮かべると穴が開いているからどんどん沈んで行って使えないだろう。

 

こんな物があるせいで、あー本当にここ絶海の孤島なんだぁと実感させられる。

 

ドローンが下した荷物はコンテナだった。

 

うようよとその周りに人型のロボットが集まってコンテナを開けた。

 

「ウワーモウニモツトドイタヨーマジカロウシスルッテコレ」

 

「ショーガナイヨネ。ロボットニジンケンナイシネ」

 

そう言いながら、コンテナに入っていた物をそれぞれ役割を分担して仕分けし、各々運んでいく。

 

どこか人間味のあるロボットだが、何故か塗装がゾンビのような顔色をしていた。

 

いや、実際コンセプトとしてはゾンビなのだろう。

 

ゾンビ風の女性型ロボットの群れ。

 

僕たちはなんとなくそれをロボゾンビ子ちゃんと呼んでいた。

 

「アラヨットナァ」

 

正直聞き取りずらい音声で声を出して、自分より大きな荷物を集団で肩に担いだ。

 

まるで神輿を運ぶみたいだ。

 

「あの、すいません。これどこに運ぶんです?」

 

僕が聞くと、ちょっとけだるそうにロボゾンビ子ちゃんは答えてくれた。

 

「エ、アコレ?ショクドウヨショクドウ。ソノオクニショクリョウホカンコガアッテ、ゼンブレイゾウシタリレイトウシタリ、イロイロヨ?」

 

「……なるほど」

 

ぎりぎり聞き取れたのは食堂とか、食料保管庫で冷蔵することくらいだ。

 

もうちょっと、何て言えばいいんだろう。

 

もっといいフリーソフトとかありそうなのに、なんでこんなに音質の悪い声を使っているんだろう。

 

不思議だ。製作者のこだわりだろうか?

 

「アレコレドコダッケ」

「ホケンシツ!」

 

荷物の回収後、空空(からから)のコンテナをドローンは掴んでいき、そのまま上空を飛び水平線の奥に向かっていった。

 

「あ、保健室にも運ぶんだ。……そっか。すごい量の物資が届いているんだ。あれ?」

 

一瞬何かを疑問に思った。

 

いや、なんだろう。

 

些細な違和感だったのに、お腹が気持ち悪くなるくらい、激しく反応してしまう。

 

「……僕たち、コロシアイをさせられてるんだよね?」

 

なのに、なんでこんなに快適に過ごせるよう物資が送られてくるんだ?

 

その日はそのことばかり考えてしまって、気付いたら眠っていた。

 

 

 

 

 

 

 

Day7 Augest

朝 学校

 

 

 

 

「……あれ? 声が聞こえる」

 

学校に向かっている最中、窓の開いた教室から笑い声が聞こえる。

 

かなり盛り上がっているみたいだ。

 

そういう楽しそうなことをしているのなら混ぜてほしいという感情がふっくらと沸き上がり、突撃してみようと思い立つ。

 

教室は2階にあるようで、廊下の真ん中の教室を扉の窓越しに眺めてみる。

 

……ウンフェルスが黒板に何かを書いているようだった。

 

「おはようございますー。何やってるんですか?」

 

躊躇なくとりあえず扉を開けてコミュニケーションを図る。

 

中に入ると、速水、小春、冥城、風街が机に座ってウンフェルスの話を聞いているようだった。

 

「おや、秋冬さんではありませんか。ご一緒にどうですか? 世界史の授業」

 

「世界史の授業ですか!?」

 

「えぇ、前にも言ったかもしれませんが、私は歴史を嗜んでおりまして、せっかく学生同士集まったのですから知識の交流をしたいなと思いまして」

 

「ちしきの……こうりゅう!」

 

「今は本当にとっつきやすい話しかしていませんがね。例えばギリシャ神話。今でもFGOなんかのゲームで題材になったりします。トロイア戦争のヘクトールとアキレウスの戦い、或いはトロイの木馬、アガメムノーンの最後などなど、世界地図や資料を見ながらかつての神話のロマンスに思いをはせたり、様々なことを教えています」

 

「……あぁ!」

 

「聞いていきますか?」

 

「お願いします」

 

みんなの座っている席は、廊下側から小春、速水、冥城、二列目の真ん中に風街がいたので、とりあえず空いている後ろの席に座ることにした。

 

しかしウンフェルスに促されてしまったので、風街の隣、、小春の後ろに座った。

 

「えーそれでは復習がてら最初から振り返るのですが……」

 

正直聴いたことのない話だったが、とても分かりやすく、話を聞いた直後はとても頭の中に入ってしまった!

 

「すごい、僕は天才かもしれない……」

 

速水が同調する。

 

「うん、私もすごい賢くなった気がする。特にトロイの木馬の話とか面白かった」

 

風街がどこから手に入れたか分からなったが、ノートを閉じて微笑みかける。

 

「僕はどちらかというと神話の語り手たち、吟遊詩人に憧れるなぁ。神話の目撃者、実際にギリシャという大地を歩いて、様々な出会いを通してその物語を語りだす。素敵だなぁ」

 

なるほど、そういう意見もあるのか。そう思っていると、冥城がどうにもグフグフ笑って何かを企んでいるような顔をしている。

 

「そうか、信仰とは、宗教とは――僕は、真実に行き着いたのか!?」

 

「帰ってこーい」

 

僕の声は聞こえないようだった。

 

その時ふと、小春がため息をついて、ウンフェルスに話しかけた。

 

「結局、人間ってずっと戦争したりしてるんですね。争い、止まらないのかなぁ」

 

「難しい話題ですね。戦争とは、ある種の交渉なんです。人が人である以上、国が国である以上、人を殺したいという願いではなく、もっと今より良くしたいという願いが、争いの原因になるのかもしれませんね……」

 

……まるで、小学生の疑問のようだ。

 

どうして戦争は起きるんですか? みたいな。

 

この純粋な疑問は、いつか解決する日が来るのだろうか。

 

「うおおおおおおおおっ! 秘儀、美味しいおにぎりっ!」

 

「すげぇえええ! クロカメが竹刀を3本使ってサッカーボールをゴールにねじ込んだぁっ! 」

 

「反則じゃないかこれっ!!! 膝を地面でゴリゴリに削って出血した怪我人がいると聞いたら貴様らどんな超次元サッカーしてるんだいっ!!!」

 

「やっべ保健委員だっ! 逃げろっ! 保健室の説教時間で午後潰れるぞっ!」

 

「南無さんっ! あ、南無さんって人いそうでござるよね。さらばっ」

 

「待て! 消毒させろ! 逃げるな! 包帯と絆創膏から逃げるな!」

 

どうやら窓の外から聞こえてくる声は、グラウンドからのようだ。クロカメ、岩手、そして亜酔昏がワチャワチャと楽しそうにしている。

 

クロカメと岩手は気を使える人だから、いろいろ考えてくれているのだろう。亜酔昏もほんのりと笑顔を浮かべている。

 

後みんなはどこにいるんだろう。

 

入間は、おそらく「私インドア派の天才博士なので~」と言って理科室か部屋で寝ているだろう。

 

威鳴音月は……、分からない。食事の時以外見かけたことがあまりない。

 

まぁきっとこの日常では普通に過ごしているだろう。

 

 

……みんなも、そうやって日常に戻ろうとしている。きっと、あの非日常に目を背けるように。みんなが思い出したVtuberが、何かの良いきっかけとか、脱出の糸口になれば嬉しい。僕は、僕たちは……なんでここに集まっているんだろうか。

 

「ちなみに秋冬さん。授業中に寝る子は廊下に立つというのが昭和の教育らしいですよ」

 

「起きて……たんですっ」

 

僕は廊下に立たされた。

 

 

 

 

Day7 Augest

夜 食堂

 

 

 

 

朝、昼、夜の食事の時くらいしかみんなと会うことがないし、毎回食堂に決まった時間に来る人も少ない。

 

寄宿舎の中って、時計が個室と食堂くらいにしかないから時間の確認もおざなりだ。

 

会ってない人も普通に生活しているはずだろうが、何となく不安になる。

 

最初は冥城が「定期的に集まった方がいい」と言っていたが、死人が出たことで危機感を覚えて誰とも会いたくないと考える人と、警戒心をむき出しにしている人がいたせいでうやむやになってしまった。

 

特に夜に出歩くだけで人は警戒されてしまうのだなと、最近になって思った。

 

正直どうしたものか。

 

僕も悩ましい。何かしたいけれど、何ができるのかという疑問と、何もできないんじゃないかという自身への不信感が止まらない。

 

……あぁ、もう寝よう。きっと夜遅くまで起きているからネガティブな思考が発信されてしまうのだ。

 

そうに違いない。

 

……明日も、せめて楽しい日々でありますように。

 

……そんな日々、あるわけないのに。

 

 

 

 

 

 

Day8 朝 Augest 

朝 学校

 

 

 

 

「さて、授業を始める前に一つ提案があるのですが、よろしいでしょうか?」

 

ウンフェルスが突然そんなことを言い始めたものだから、参加者一同全員頭に疑問符を浮かべている。

 

さて、ウンフェルスの授業は面白く、割と評判になり、亜酔昏も受験対策ということでこっそり後ろの席で受けたりすることもあったし、岩手はがっつり眠っていた。

 

クロカメは文武両道というようにメリハリのある授業の受け方をしていた。

 

入間は「りけい……りけいなので……あと天才だからもう分かっててぇ……ねぇ……ぐすん」とよくわからない言葉を言って逃げていた。

 

多分分からないんだと思う。

 

さて、今日は速水、僕、冥城、風街、無理やり連れてきた入間の5人で話を聞くことにする。

 

「実は授業をやっているときにふと思ったことがありまして。戦争というのは一種の交渉という話をしたと思うんですよ」

 

あぁ、何となくそんな話をした気がする。

 

入間が「え、知らない……」という顔をしているが、空気を読んで気まずそうに座っている。かわいそう。

 

「戦争を止める手段をいくつかピックアップした時、やはり停戦をする理由が必要です。

 

結婚したり、仲良くなったり……。

 

ここで私が企画したいのは、みんなでレクリエーションをしませんかという提案です」

 

「レクリエーション?」

 

レクリエーション……なんだその言葉知らない……。

 

なぜだ? 

 

まるで初体験みたいな衝撃……。

 

記憶の無い僕は、一体…………っ。

 

「冷静かつ冷徹な話をすると、仲を深めることが私たちにとって必要なのではないでしょうか。当たり前ですが、戦場で出会うのはお互いに知らない者同士。ですが、私たちは言葉があり、コミュニケーションが取れる。ならば、お互いに知らない仲ではなくしてしまえば、ある程度の暴力の抑止につながると思いませんか?」

 

「すごくマイルドに表現してしまえば、喧嘩しないで仲良くやっていこう作戦だね」

 

風街が非常に優しい言葉遣いで説明を修正する。

 

「そうともいいます。例えばせっかくの夏休み。キャンプファイヤーでも行って楽しく過ごしたくないですか? 天体観測しかり、改めてBBQしかり」

 

「やりたぁああああああああーーい!(やりたーい(ゃりたーぃ(ぁぃぁーぃ……」

 

冥城、吼える。

 

めちゃくちゃ尻尾を振るような喜びの感情が伝わる。

 

というかセルフでやまびこを表現したよね今。

 

「あのー。グラウンドでキャンプファイヤーをするってことで良いんですよね」

 

「えぇ入間さん」

 

入間が人差し指をもじもじと絡めて、何かこう爆弾発言をしようとしている気配を発している。

 

「あのぉ、ほんと、ほんと一回でいいので、ほんの先っちょだけでいいのでっ、……花火作っちゃっていいっすか? どでかいやつ」

 

「おぉっと学生の領域超えたなぁ」

 

僕のツッコミも聞こえないくらい彼女はうっとりしている。

 

既に作るビジョンを思い描いているに違いない。

 

「それなら僕も楽器とか練習して音楽を流したいな。ギターとかあるかな」

 

風街がのほほんと気持ちの赴くままの行動を開始しようと、何ができるかを思案し始める。うん、これもうやる流れだね。

 

「じゃあ……食堂とかで公募しよっか」

 

僕の提案に、ウンフェルスもにっこりと笑った。

 

なんだろう、楽しくなるといいな。

 

 

 

 

 

Day8  Augest 

昼 食堂

 

 

 

 

「やるぅうううううう!」

 

小春そらが目を輝かせて叫ぶ。

 

この人も子犬属性か。

 

「でも一体何するん? 全力鬼ごっことかなら乗らせてもらうぜ」

 

岩手がキャンプファイヤーを全力の遊びに変更しようとする。

 

流石に僕はしんどいので遠慮するけどね。

 

「スイカ割りなんてどうで御座ろうか! やはり夏の風物詩はやりたい所存!」

 

クロカメの意見は概ね賛同を得たので、まずはスイカを探すところから始まるだろう。

 

あるのかな、スイカ。

 

「はなび、花火……。ふふふ、たまやぁ……」

 

花火に狂ってしまった人がいる……。

 

火薬って、あるのかな、火薬……。火薬は無理だろ。

 

「シンプルに虫よけ欲しいよねぇ……。そのあたり入間ちゃんと作ろっかな」

 

速水がひどく現実を見せてくる提案をしたので、あぁ確かに虫嫌だよなぁ、と顔がしょぼんとしてしまった。でもそういうところはしっかりしないとなぁ。

 

「この男冥城、完璧なる網奉行、やらせていただきます」

 

食品関係は完璧っぽくなりそうだ……。

 

なんか食事でも集団とか捌けそうだもんね、冥城。

 

「みんなでやれることどんどんやってこう。やっぱり楽しいのが一番だしさ」

 

風街が一人一人に声をかけていく。

 

ウンフェルスは既に計算をしながらキャンプファイヤーに必要な薪やら木の数を出していく。

 

「僕の方で亜酔昏さんに声をかけておくよ。後は……」

 

後は、そう、あの黒フードの男だ。威鳴音月もたまたま食堂にいたので、ダメで元々で話しかける。

 

「あー。威鳴さん。今度キャンプファイヤーやるんだけど来る?」

 

「は?」

 

こわい。

 

黒フードを深くかぶった彼の眼光の鋭さが、少し増した気がする。

 

やっぱり駄目かなぁ。あんまりこういうイベント嫌がりそうだし。

 

「……いつまで、そんなことしてるつもりだ」

 

「え?」

 

「……いや、いい。今のお前に言っても意味がない。パスだ。せいぜい楽しんでくれ」

 

「……それって、どういう」

 

「……」

 

黒フードの彼は、黙って食堂を離れた。

 

話しかけてしまったからかあんまり休めなかったのだろうか。

 

申し訳なさが先に来た。ただ、なんとなく引っかかる言葉を言った気がする。

 

ただそれについてもよくわからなかったので、僕はそのまま流してしまった。

 

今にしてみれば、よく聞いておけばよかったのかもしれない。もう聞くチャンスは、残されていなかったのだから。

 

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