Vtuber学パロダンガンロンパ風序盤ギャグガチンコミステリー小説   作:茶鹿秀太

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こぽり、と音がする。電子の海の深いところで、スクリーン越しに男が話す。

「これ以上、計画にほころびがでるのはこちらとしても不都合だ。よって、君には直接向こうで動いてもらう」

――不愉快な、うっとうしい声。怒りがふつふつと沸き上がる。こんな、こんなやつの為に動く理由なぞあってたまるかと。だが、それでは困ることが、大きすぎた。

「君には、アップグレネード学園の生徒を上手く殺してもらう。君の、運営側の人間としての動きだ。出来なければ、……君にとって大切な“ヒト”が死ぬ。それはこちらとしても望ましくない」

――どの口が。そんな言葉も、おそらく向こうには届かないだろう。人質を取って、いい気になった天狗にかける言葉などない。だから、こちらから仕掛ける。舐められている内に、甘い言葉という毒を仕込む。

「――――」

「ふむ。確かにそれは間違いない。分かった。こちらで手はずを整えるので、君も頼んだよ。――特に、運営の裏切者を、入念に殺してくれると助かるよ」

……運営の、裏切者の粛清か。……興味がない。こちらにとって大切なことは、……。
スクリーンが暗転する。ごぽりと音がする。一瞬だけ視界にノイズが走って……。自分の姿は、完全に消滅した。

――あぁ、最悪だ。最悪の物語だ。腹が立つ。ただただ納得できない。そんな物語、大嫌いだ。この絵を描いた作者に文句を言いに行く、それだけなのだ。

この空虚な物語を、終わらせてやる。

そう、まるで唐突にページの左端にでもFINとでも載せるように。



(非)日常編 第三章「マシンナリーズ・マーセナリーズ」1

「あぁ、ここにいたんだ」

 

風街ピリカが、少し熱に浮かされたように浜辺に来た。嫌気がさすほど綺麗な星空。天の川でも見えるんじゃないかと言わんばかりに、綺麗で、冷たい空気だった。そんな冷たい空気の中に、何故か、堂々と焚火を開始している秋冬ハルという構図が、風街には面白く映ったのかもしれない。

 

「……なんか、ごめん。このタイミングでするのも、変なんだけどさ」

 

僕がそう言うと、彼はそのまま、一緒に火を囲むように座った。妙な静けさと、パチパチと音を立てる木材と火花。煙が、月まで届くように伸びていく。

 

「……悔しいんだ」

 

思い起こすのは、本当に先ほどの出来事。……速水らいむが、処刑されたあの瞬間の事だ。彼女の顔が、いまだに忘れられない。……崩れ落ちて、泣き続けたウンフェルスさんのあの姿を、僕は……。謎が解けて嬉しいとか、すっきりしたとか、そんな感情一切湧きあがらないほど、胸が苦しくて仕方がなかった。

 

「生きたくて、足掻いて、頑張って、誰かを守りたくて謎を解いているはずなのに……。謎を解くたびに、残酷な結末になっていくのが、すごくしんどい。どうしてなんだろう。僕は……誰も言ってくれないだけで、僕は推理で人を殺してしまっているんじゃないだろうかっ……? 全部運営が悪いはずなのに……っ、僕が、僕が余計なことをしているから、ただ人を傷つけて……ただみんなの気持ちを、暴いて、晒上げてるだけなんじゃないかって……。ごめん、変なこと言って」

 

こんな夜中だから、僕の声がやけに響いた。がさがさと音が聞こえて、浜辺に何人かまた現れた。……クロカメに、亜酔昏、入間だ。……聞かれてしまったかもしれない。月夜に照らされた彼らの顔は、やけに、苦しそうだったから。

 

「貴方は悪くないわよ。……悪くない」

 

亜酔昏が、風街の隣に座った。

 

「まぁさっきの今でござるからな。話くらいは聞くでござるよ」

 

にこやかに、クロカメが僕の隣に座った。

 

「いやいや、この人たちも一人はいやだったから混ざっただけですしぃ? そんな気にしないでくださいなっと」

 

入間も、亜酔昏の隣に座った。

 

「私は、最初の事件で命を軽んじてしまったから、二人の命を背負ってる。……私が言えた義理ではないけれど、生きて罪を償おうと思うんだ。そうしないとほら、寝目覚めが悪そうだし。あの二人の分まで、しっかりしなきゃなーって感じで。……私結構ズボラなんだけどさ、ちゃんとやらないと、怒られそうじゃん? あの二人にさ。いや、記憶が少しずつ戻っててさ。私れっきとした闇医者だったし」

 

「――そうでござるなぁ。拙者も、時が経つにつれて悩むようになってきたでござるよ。記憶が少しずつ、日を経るごとに蘇ってくる感覚がありまして」

 

「そうなんだ?」

 

「……拙者もVtuberであり、チャンネルがあったでござるよ。こう見えて拙者結構頑張ってやってたでござるよビックリ。……そんな自分に驚いたし、かつての自分の頑張りが、もしかしたらこの一瞬で崩れてしまうと思うと、……あぁ確かに怖いでござるなぁ。死ぬとチャンネル爆破って普通に嫌で草が生えるでござる」

 

亜酔昏とクロカメが自分の事を語ってくれる。あぁ二人は優しいな。きっと僕の本音を聞いて、自分たちも本音を言ってくれたに違いない。入間がじっと火を見つめながら、体育座りで話を続ける。

 

「はぁ。私もこんなことになるなんて思ってなかったですし。というか、ここまで明確に死にかけるような体験したことないですわ」

 

ふふ、と風街が口元を隠しながら笑った。

 

「いやごめんね。そういえば、僕はここに来る前に消えかけたことあったなぁって」

 

「え。あるんですか?」

 

入間がドン引きしていると、どこか火の中にゆらめく何かを追う様に、風街の瞳は、炎の赤を少し揺らした。

 

「うん。記憶が戻ってきたからかな。……僕は、そうだね。いろんな物語を語る吟遊詩人だったんだ」

 

「あ、ぽい」

 

亜酔昏が思わず風街にツッコんだ。

 

「僕は物語を描き続けた。そしたらね、僕は……恨まれてしまった。Vtuberたる理由の一つだったのかもしれないけれど、物語の人物の一人が、意思を持って僕を拒絶したんだ。物語の中の人物たちは、その後も生き続けた。……そのせいで不幸にさせてしまった人がいたんだ」

 

「そんなこともあるんでござるなぁ」

 

「うん。そして僕は現実世界から、彼女を……。仮想の世界へ、未来を紡いでもらいたくて、送った。……友達と今は楽しく過ごしているはずだよ。でも、今の僕を見たら本気で怒ってきそうだ。ハッピーエンドにしろって」

 

「はは。なるほど。……ハッピーエンドかぁ」

 

「でぎるべ、な」

 

ガサガサとまた大きな音を立てて、岩手と、……手を引かれたウンフェルスがこちらに来た。

 

「いや、私は……」

 

「いいっ! 座れ!」

 

岩手が無理やり、輪の中にウンフェルスを座らせる。

 

「……みんなゆるぐねえ! 辛いに決まってる! そもそも生ぎでらだげでしんどいんだけども、こったな状況だがら、みんなよぐわがんねぁー行動してしまうごどだってある。んだども、それでぐよぐよしてらったらそれごそあの学園長の言いなりで死ぬごどになる。おらは生ぎで。帰って、カレー食いでぇ! そうだよ、おらカレー食いでぇよ帰って!! おめらは違うのが? おらは帰りで! みんなのもどに帰りでよぉ!」

 

堂々と、海に向かって吼える岩手。声は響かず、波にのまれる。でも間違いなく、みんなの胸に希望を灯した。

 

「私は……わたしは、間違っていた……けど、すいませんっ、守りたかったっ。私の授業が原因で非行に走った彼女を、自分がどうなろうと、助けたかったっ……助けたかった……」

 

「分がってら。分がってら。みんなで帰るべー。これ以上自分を責めねぁーでいい。帰るべー」

 

「いわてさん……、う、うぐぅ、ううぅうううううううううう」

 

岩手は、ウンフェルスの背中をさすって、慰める。……辛かっただろうに。そして、ウンフェルスは間違いなく、全ての憎しみを背負う心積もりで、戦う覚悟をしていたはずなのに。……それでも、帰ろうと、みんなで帰ろうと、たったその一言で……折れていた心を、みんなに晒せた。

 

「――――やっぱり、このままじゃダメだよね」

 

僕は、空を見た。煙が月に向かって登っていく。あの月の光に、風並や鈴、冥城や速水の面影を重ねる。

 

……このままでは、ダメだ。親交を深めたい気持ちもある。何より、みんなで一致団結したい気持ちもある。でも、それじゃダメだ。みんなで目的を一緒にしなければ、僕らはまた事件を起こしてしまう弱さがある。戦おう。戦うために、一緒にみんなで動くのだ。

 

「僕はなんでこんな事件に巻き込まれたのか知りたい。真実を知りたい。……生きて、みんなの無念を晴らしたい。脱出しよう。僕らは、絶対に生きて帰るんだ」

 

僕の声を聴いていたかのように、学校の3Fで光が揺れる。まるで、僕らの決意をあざ笑うように。その光景を、岩手だけは見ていた。

 

 

 

 

 

 

Day14 Augest

朝  食堂

 

 

 

 

「お、おい秋冬ちゃん!? 昨日話してる途中で学校の3Fに幽霊が見えた気がすんだけど見だ? どう思う?」

 

最近気付いたが、テンションが高ぶるとやはり岩手は方言が強くなるのだろう。学級裁判の時もかなり気持ちが乱れているのかもしれない。故に、これは普通に変なテンションで言ってるだけだろうな。すると横から冷たい目で突然小春そらが鼻で笑った。

 

「いや、流石に幽霊はないよ。え、幽霊信じるタイプなんですね岩手くんって」

 

「……」

 

思いのほかダメージを受けた岩手。ただの話題のつもりだったのに思いのほか幽霊で喜んでいる少年みたいに扱われたのがしんどかったようだ。昨日は輝いていた彼だったので、落差がすごい。でも大丈夫、岩手さんの魅力を分かる人は分かっているのだ。

 

「さて、みんな集まったね。これから、全員で脱出するための計画を練るよ」

 

風街の音頭で食堂に集まった人たち。威鳴以外は、全員そろっている。アイツ、本当に協調性がないな……。

 

「まずなんだけど、改めて自己紹介しようかな。みんなもそうかもしれないんだけど、僕、記憶が戻ってきたんだ。だから改めて自己紹介。吟遊詩人系Vtuberの風街ピリカです。いろんな物語を音楽にして届ける活動をしているよ」

 

……。風街の声に反応して、みんなが頷いて自己紹介をしていく。

 

「拙者は黒光の亀。平成最後の年、バーチャル世界に推参致した武士系Vtuber、……そんな感じで活動していたでござるよ。あと基本みんな分かんないと思ってあらゆる履歴書には人間と書いているでござるけれど実はもともとカメでござって長い時を経て武士道と出会い人間としての生活を開始したでござる」

 

「え、待って」

 

え、待って。カメ? え、カメ? ん? え? ん?

 

「クロカメぇ、アンタも妖怪かぁ! 実はおらも似たようなもんでよ! バーチャル岩手県民の岩手大好丸でがんす! 種族は鬼! 基本人間に化けて働きに出てるから誤魔化したわぁ」

 

「待って」

 

え、ん? 鬼? ……鬼? え、鬼?

 

「おー!鬼でござったか! いやはや何とも不思議なご縁! 当初の賑やかしギャグ路線は放棄してそれぞれ持ち味を生かしていくでござるよ!」

 

「おぅ!」

 

「ま、待ってよ! 僕の頭がパンクしそうだ! じゃ、じゃあなんだぁ? あの前の事件の種族判定装置クソガバガバじゃないか!」

 

なぁにが人間狐だよこの時点で人間二人もいないじゃないか!あの機械作ったやつガバにも程がある! 

 

え、もしや履歴書の情報そのまんま反映させてる? うそぉ? え、もしや学生証の読み取りの際に履歴書情報反映させてるのぉ? こぉのクソ機械がよぉ。記憶次第でどこまでも誤魔化せる仕様だったのかよ!

 

「ま、まぁまぁ。私も真っ当な研究やってる社会の低みを転がる限界闇医者だし。リスナーは診察データ」

 

「私もゾンビとかロボットとかに詳しい過労死寸前の終末研究室の天才科学者ですし。リスナーはゲル状」

 

「いやなシナジーあるんだね二人とも!?」

 

いや本当に変なシナジー発生しているな。怖いよ。

 

「実は私も、在野の研究者をやっていました。どうやら記憶を失う前から動画で様々なことを教えていたみたいですね」

 

ウンフェルスも納得の活動内容だった。ふと僕はマスクをつけている小春そらに目をやってみると、勢いよく両手を振った。

 

「あ、いや。私ほら、大したことしてないよ! リン●フィットとかよくやってる」

 

「リン●フィットに命を懸けすぎでは……っ?」

 

色んな活動者がいるんだなぁ……。そんな風にしみじみ考えていると、風街から話を振られる。

 

「そういえば、秋冬さんはどんな活動を?」

 

「あ、えっと、僕は……」

 

 

……。

 

 

「僕は…………」

 

 

…………………。

 

 

「……なにも、覚えてない……」

 

 

その声だけが、何故か妙に食堂に響いた。

 

 

 

 

 

Day14 Augest

朝  学校

 

 

 

食堂での一件の後、なんとなくいたたまれなくなって学校に来た。

 

そうか、もうみんなはかつての自分を取り戻しているんだ。じゃあ僕は……僕は一体なんなんだ? なんで僕は記憶が戻らないんだ? なにか、何か理由が? もしかして、わざとそうさせられてる?

 

 

そうだ、きっとあの学園長の内通者が僕の記憶に悪さを……してるわけないよなぁ……。

 

そもそも内通者って何かやったのか? ん? 待てよ。あれ? 内通者って……あれ、何かしたっけ?

 

 

そう思っていたら、突然後ろから誰かに何かを被せられて、腕を引っ張られる。

 

「!? !!?」

 

え、何なに? 声出してもこもった声になる。これは……バケツか? え、バケツ被せられて引っ張られてるの僕? え、まさか、僕このまま、死――。

 

 

 

「ぶへっ!?」

 

何か段差に躓く。これは……階段!? 強制的に腕を引っ張られ階段をバケツと共に引きずり上げられる。そして……。

 

「ごふっ」

 

バケツをはがされ、床に倒された。死ぬかと思った。僕に恨みがある人間の犯行だこれ絶対。でもそこまで何かした記憶もないぞ……っ。

 

「うわっちゃー。こんなことになるとは。まぁ出来合いの部品で作ったすんごい伸びるロボットアームですし。このレベルの物が作れるだけまだマシかぁ。あ、どうもどうも~。生きてますか~」

 

「……え」

 

ここは……理科室だ。うつ伏せの状態から、顔を上げると、どや顔で立っている……一人の天才博士がいた。

 

「まぁ、もうこの段階で隠すのもあれなんで。正直に言ってしまおうかと思いまして。しゃ、じゃない、しょ、えーと、秋冬さん」

 

「ずっと名前を間違え続ける君はっ!?」

 

「へへ。すまね。ということで、ご相談なんですよね。ぶっちゃけほら、私の立ち位置だと本気で死にそうですし、ある種の……亡命? 的な? いやぁ~死ぬの嫌なんで助けてほしいんですよね」

 

「……どういう、こと?」

 

いやぁ~、と苦笑いを浮かべながら、天才博士、入間るいは頭を掻いた。

 

「実は私が運営のお手伝いさんだったんですよね」

 

 

 

 

 

Day14 Augest

朝  理科室

 

 

 

 

 

冷静に考えればそうなのだ。おしおきに使われている機械や、死体発見アナウンスや食糧庫のカードリーダーなどの発明、ロボゾンビ子ちゃんや朝食ロボ「フユルダヨッ」を作れる存在……。

 

「いやホント君しかいないじゃないか! なんで気付けなかったんだ僕は!」

 

「まぁ露骨すぎますし? 正直疑われるかなぁとは思ってたんですけど私たち殺人事件に必死でしたし。謎解きパートに全力を注ぐのなんて世の常といいますか」

 

入間は理科室にある水道付きの机の上に座って、足を組んだ。

 

「いや、私も想定外だったんですよね。聞いていた話と違いすぎて。最初に私が聞かされていたのって、Vtuber学パロダンガンロンパ風序盤ギャグガチンコミステリーってことだったんです」

 

「……どういうこと?」

 

「最初はこれ、Vtuberのイベント、って抑えでいたんですよ私。……あぁ、そこから説明した方がいいのかな。んー、……、ごめんなさい。全部最初から最後まで説明したいんですけど、理由があって。話せない理由もちゃんと話すので、今はただ聞いてもらえませんか?」

 

「……」

 

いきなりこの事件の真相を教えると言わんばかりの展開で、正直騙されているんじゃないかとすら思える。

 

それと同時に、……嫌な予感もした。ひょっとしたら、その話をしてしまうことで、彼女も……最初に彼女が言ったように、命の危機を迎えるのではないかと。……なら、今できることは、一つだけだ。

 

「とりあえず、話せるとこまで聞かせてください。後は、自分で判断します」

 

「ひゅ~。いい心構えですね。じゃあ説明しますよ。まず私は、この絶海の孤島でVtuberを集めてマーダーミステリー(事前に用意された殺人事件を解き明かす遊び)を行いたいという企画を聞いて、記憶喪失薬や各種のロボットを作成して、皆さんの様子や機械のメンテナンスを行う予定でここに来ました」

 

「え、記憶喪失も、君が……」

 

「――、はい。記憶喪失といっても、時間が経てば安心して戻るものだし、それくらい希釈したはずだったんです。なのになぜかガンガン飲まされたっぽいですね。それで、最初の事件が起きた時。風並さんと鈴さんが死んだとされた。正直ここの事件で私、「あー演技が強い二人だから、そういうキャスティングしたのかな」と思ってた節がありました。血が出たと言っても別の生き物の血とか使った……とか? 血も洗い流されて、配慮されてるなぁ、みたいに思って。事前に知らせてくれないと困るんですけど、って愚痴ってました。……決定的だったのは、第二の事件。冥城さんの死体が燃やされて、本気で危機感を覚えました。これ、本当に人が死んでないか、って。やっとそこで気付けたんです」

 

「……」

 

「気付いた時にはもう手遅れ。通報してこの島からSOSを送ろうと思った時には、全ての機器でアカウントロックされて、隠してたPCやロボットの権限、全部このデスゲームの運営に奪われちゃいました」

 

「運営……」

 

「はい。運営です。この企画は、今日本でYOUTUBEで全国配信されてて、大盛り上がりしているはずですよ。おそらく、Vtuberのファンは間違いなくこのイベントを見てる」

 

「……待って、それじゃあ関係してたの? ここで死ぬと、チャンネル爆破みたいな忘れてたルールって」

 

「……、そう、ですね。それも、一つのルールです」

 

なんてことだ。全部繋がってきた。僕らは運営と呼ばれる存在に、この絶海の孤島に連れてこられ、記憶を消され……殺人事件を起こされたんだ。そして、死ぬとチャンネル爆破。悪辣すぎる。

 

「くそ、無理やりにこんなことさせられてるのかよ」

 

「いえ、違くて。……全員望んで参加したんですよ」

 

「……え? 望んで? いやそんな馬鹿な。だって死ぬような企画に―――――」

 

耳鳴りがした。

 

 

 

――海鳥の声が聞こえる。どこか遠く、木霊している気がする。かつて在りし日の記憶か、それとも……ただの夢なのか。……誰かと会話している。海が見える景色で、どこかの埠頭のような……気がする。

「それで、なんでーーーーーーを///////////////るんだ?」

「もし、あの話が才能に寄る部分が大きいなら、多分狙われるのは……だわな。丁度いいから生贄になってくれ」

ソイツは、まぁ憎たらしいほど満面の笑みで、男に言った。男は、まったくしょうがないな、と言わんばかりの表情で、女に言った。

「いいけど、そうは言っても            たらバレるだろ? マジで。バレなかったらへこむよ?」

「そん時は、そうだな。二度と忘れないようにしてやろうぜ。二人で」

 

暗転

 

「えぇと、秋冬ハルさんですね?」

「はい」

「こちらの契約書にサインをお願いします。今回の             

で脱落してしまうと、強制的にチャンネル爆破と、Vtuberの引退という形になるのですが、本当によろしいですね?」

「はい。むしろ望むところです」

「ありがとうございます。では、本企画に対しての意気込みなどあればこちらのアンケートに記載を」

「そうですね……。まぁ、せっかくの機会ですので、一番目指して頑張ります」

「ありがとうございました。では以上でアップグレネード――」

 

 

 

「うわあああああああああああっ!?」

 

なんだ、頭が痛いっ。耳鳴りも動悸も、まるで脳みそが爆発しそうな焦燥感。走馬灯のような、記憶の奔流。

 

「……やっべ。ごめんなさい。情報の刺激が大きすぎました。これが全てを言えない証拠です。記憶を取り戻す際、睡眠という過程を踏まないと、光や音などを受け取る感覚が過敏になって、下手すると発狂パートでSAN値チェック1/3d6です」

 

「で、でかすぎ……ぐぅ」

 

正直それを先に言ってほしかった。割れんばかりの頭蓋の悲鳴が耳穴をギコギコとノコギリで潰していくような錯覚すら覚える。

 

「一応、ギリギリ記憶取り戻すか戻さないかレベルの話をしてこうと思うんですけど。どうです? 信頼に足ります?」

 

「うぐううううううう」

 

「よかったー。じゃあ協力してくださいね。裏切ったりしちゃ、 ダメだゾ☆」

 

頭が痛い。

 

 

 

 

 

 

 

 

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