Vtuber学パロダンガンロンパ風序盤ギャグガチンコミステリー小説   作:茶鹿秀太

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(非)日常編 第三章「マシンナリーズ・マーセナリーズ」2

Day14 Augest

朝  2F 廊下

 

「……本当だ。こんなところに隠しカメラがある」

 

小さく、上手いこと壁の中に釘に擬態するように差しこめられている小型カメラが、廊下全体を映すように存在していた。

 

「あとここの廊下だと……。20はあるんじゃないですかね。アングルも盛りだくさんで」

 

「20!? どうしてそんなに……」

 

「これはあれですね。死体発見アナウンスとかで活用するためですね。死体を見たという学習をAIにさせて、上手いことアナウンスを鳴らせるためです」

 

「ふぅん」

 

……何か違和感があったけど、でもそういうことなのだろう。こんなにカメラがあるということは、何かあっても全て映して対応するため、そうとらえていいに違いない。

 

「本当に、僕らの様子が配信されてたんだ……。なんか、嫌だな。見世物みたいだ」

 

「……、まぁ、そうですね。でも私も動揺してるんです。一体どうしてデスゲームが開始されたのか。どうして本当にコロシアイみたいなことが起きてしまったのか。本気で理解できないんです。あの運営が、そんなことを、と」

 

「……運営のこと、結構知ってるの?」

 

「有名ですから」

 

……有名?

 

「まぁ、一旦その話は置いておきましょう。どこに記憶のスイッチがあるか分からないので。秋冬さんにお願いしたいのは、とりあえず1つです。おそらくなんですけど、この島にはデスゲームを起こす前の企画の名残、例えばマーダーミステリーをやろうとしていた証拠とか、そういったものがまだ多く残されてるはずなんです。記憶を失った状態で、先に記憶を取り戻しやすくするための薬とか、プレイを優位に働かせるアイテムみたいな……いろんな準備を入念に行ってました。何もかも嘘だとしたら、そんなもの準備しなくてもいいとも思うんです。何でもいいので、この島にある証拠、手に入れてください。あわよくば、記憶を取り戻す薬をさっさと手に入れて、記憶を戻しちゃってください。その方が、精神衛生上良いと思うので」

 

入間が突然、渋い顔をする。

 

「あの、記憶に関する薬、威鳴音月さんには絶対先に手に入れさせたらダメですからね。本当に」

 

「……理由を聞いてもいいかな」

 

「ダメです。絶対に、聞いちゃいけないです」

 

「……なんだろう。真相に近づいてるはずなのに、全く手ごたえがない感じ」

 

「そりゃもうどうしようもないので、秋冬さんが記憶をさっさと取り戻してくれた方が話速いんでそうしてもらえます?」

 

僕は何となく、入間が過去の自分のことを知っているのではないかと思った。そうじゃなきゃ、早く記憶を戻せなんてことは言わないんじゃないだろうか。

 

「あの、記憶を失う前の僕って……どんな人だったんですか?」

 

入間は、言葉を選び、熟考を重ねたうえでこう答えた。

 

「まぁ……アホなヒトですよね」

 

 

 

 

Day14 Augest

昼  食堂

 

 

僕は彼女に言われたことを思い出しながら、昼食を食べた。

 

 

「お願いですから、記憶をいきなり思い出そうとしないでくださいね。脳の負担が大きすぎると、脳がパニックを起こして元の人格が消える可能性もありますからね」

 

そうか、確かに思い出すことで元の人格が失われてしまったら元も子もない……。脳の痛みが、それがおそらく本当の事だと教えてくれている。悔しいが、彼女は本当のことを教えてくれているに違いない。

 

「ふぅ、ご馳走様でした」

 

食後の後、どうすべきか悩む時間も勿体ないなぁと思い始めてきた。そうだ、結局のところ大事なのは、この島から脱出すること。そのための行動をしないと。絶対にあきらめないぞ。

……。なんてかっこいいことは考えるけれども。結局どうしたらいいんだろう。みんなと協力して、何が出来るんだろう。……今、風街がみんなをまとめていろんなことを考えてくれてる。なら、僕も何かできることを探さなきゃな。……時間は、無いみたいだから。

 

 

 

「なぜ名乗り出たか、ですか? ……これは、オフレコでお願いしますね。……もう1人、いるらしいんです。運営の、お手伝いさんが。私も覚えていたはずなのに覚えていなくて……。多分やられましたね。私は薬を飲んでなかったはずなのに、誰かにやられて記憶失っちゃってます」

 

 

 

 

 

Day16 Augest

朝 食堂

 

 

 

「……何も見つからないなぁ」

 

学校の中には、意識すると見つかる監視カメラはあったが、それ以外の、他の証拠……みたいなものはどこにもなさそうだ。むしろ運営がボロを出すのを待つべきなんだろうか。いや、分からない。僕の探し方が甘いのかな。……運営がいるとして、最初にマーダーミステリーをさせようとしたなら、何か要素があるはずだけど、……先んじて撤去された? 何の為に? もう入間の裏切りは露見している、として……もう1人の内通者の存在が気になる。その人は今、この中にいるとしたら……その人は殺人を肯定的に見ているということ? 馬鹿な、そんな人が僕らの中に、いるわけが……。ダメだ。みんなのことが疑わしく思えてくる。それに、もしかして……内通者はもう死んでいる、とか? 予期せぬデスゲームだったからこそ、正体不明な理由は……既に殺されている? だとしたら。

 

「あっ」

 

そうだ、怪しそうな人物が一人いるじゃないか。僕らの中でコミュニケーションを取らず、会話する前に死んでしまった人間が一人。

 

「……茶鹿秀太。爆破して死んだ人間。あの人が、内通者なんじゃ……」

 

そういえば、彼の死体ってどこにあるんだろう。死体を保管するとなると……冷凍している? ……もう一度、あの場所に行ってみる価値はあるかもしれない。

 

 

 

 

Day15 Augest

朝 食糧庫

 

 

 

食糧庫の中に入ると、やはり例によって冷たい空気が流れてくる。奥へ奥へ進むたびに、冬のように寒さを増していく。冷凍のゾーンに入り、凍らされた食品を眺めていると、一部の壁が、妙に塗装が違うような気がした。……ここだろうか。調べてみると、どうにも壁が横にスライドする構造があったみたいだ。凍った部屋だから、スライドするのも一苦労で、……結局開かなかった。この冷凍の空調を何とかしないと、扉自体が凍らされているみたいだった。冷たくて力が入らないし、何よりスライドするための溝が水滴を凍らせてしまいかなりの力がないと開かなそうだ。

 

「くそ、僕一人じゃどうしたって無理だな」

 

誰かにお願いしようかな。

 

 

 

 

Day15 Augest

昼 食堂

 

近くにクロカメが食堂に寄ってきたのが見えたので、食糧庫の件について手伝ってもらおうと声をかけてみる。

 

「あークロカメさん。ちょっと」

 

「ん? あっ、秋冬殿!? いや、すみませぬ。ちょっと拙者急ぎのようでして……御免ッ」

 

「あ、はい」

 

よそよそしく、なんとなく彼は去っていった。……? 変だな。何かあったのかな。

 

「……」

 

どこか視線を感じたので、後ろを振り返ると、こっちに来るように手招きする亜酔昏さんがいた。

 

 

「……? 亜酔昏さん?」

 

近寄っていくと、彼女が周囲を見渡した。そして、僕の耳元で彼女が話した内容に、僕は愕然とした。

 

「え、嘘だよね」

 

「本当だよ。でも確かに辻褄が合うことは事実なんだよね。秋冬ハルの記憶が戻らないというのは、実は嘘。本当は運営の内通者で、すっとぼけてるんじゃないかって噂が、何故か妙に広がってるんだ。私も、小春ちゃんから深刻な顔で相談されたよ」

 

「なん、で? え、そんなっ」

 

「貴方がそんなことをする人じゃないとは、私も思ってるけど。でも記憶が戻らない理由が……なんとなく全員と違う条件な気がするよね。うーん、なんとかして噂を払しょくしてあげたいんだけど、……どうしたもんかなぁ」

 

「どうしよう……」

 

「あ、でも少なくとも私と小春さんは味方だよ。彼女も噂を何とかしたいって言ってたから」

 

「そっか……ありがたいなぁ」

 

「とりあえず、全員が全員信じてないわけではないと思うんだ。多分日常会話くらいならすると思うし、ただ何かこう、二人っきりで何かする、とかは警戒されちゃうかもしれないから気を付けて」

 

「うん……ありがとう」

 

そうか、記憶が戻らないことで、そんなことに……。なんとか、しなきゃだ。……なんで、僕の記憶はすぐに戻らないんだろう。

 

 

 

Day16 Augest

朝 自室

 

何か音が鳴ったような気がして、目を覚ます。どうやら、チャイムの音が鳴っているようだ。何か、あったのだろうか。

 

『えーテステス。みんな聞こえてるよねこれ? これでひとりで話してるって気づいたときがいちばんの大人へのちかみちってホントですか? えーみなさんにごほうこくがありまーす!』

 

……ひとなつ学園長? 一体何を?

 

『やっぱりジケンも何度もおきちゃうとマンネリ化しちゃうからね。毎回おんなじさんすうのもんだいをとかされ、ならっていないことは丸をつけられないとおこられるのもアキてきた今日このごろ。やっぱり新しいようそがないと学校もつまらなーい』

 

……なんだか、嫌な予感がする。

 

『ということで、せっかくの夏休みですのでー。ミニゲームをよういしましたー! ルールはカンタンです。明日から各教室にぃ、いろんなミニゲームを設置しましたー! ですので、ぜひクリアしてくださいねぇ。あ、そうそう。もちろんミニゲームのクリアけいひんはたくさんあるよ! たとえばー 記憶をすべて取り戻す薬とか』

 

!? や、やられた……。さ、先に回収していたんだ。様々な証拠も、記憶を戻す薬も、全部……、全部っ!

 

『ほかにも、みんなの個人情報の書いてある履歴書だとか、記憶を戻すたくさんのヒントもみんなにあげるよぉ! さぁ夏休みをみんなで楽しんでいこー。というわけでひとなつおもいでした。おつおもい~』

 

プツン、と音を立てて放送は止まった。ふ、ふざけろ……。これは間違いなく……みんなの仲を悪くさせるような、運営の内通者をみんなで暴かせるような人狼ゲームを始める気か……っ。

 

今わかった。運営は……。今から、完全に僕らを殺す気でいる。本気で、コロシアイをさせようとしているんだ……。くそ、くそっ。

 

畜生っ。

 

 

 

 

Day16 Augest

朝 食堂

 

 

 

「明日から……何かが仕組まれるらしい」

 

表情を落とした風街が、疲れたような声を出す。無理もない。せっかく脱出に対しての機運が上がってきたというのに、新たに明らかに罠のような動きが出てきた。あまりにも、嫌なタイミングで。

 

「記憶を戻す薬っていうのがすごい気になるよね……。それを飲めば、真相にたどり着けるのかな」

 

小春が悩ましそうに、興味を示す薬。おそらく事実なのだ。入間から話を聞いた僕からすれば。

 

「ふむ」

 

クロカメがピシャリと手を鳴らした。

 

「腹を割って話しましょうぞ。拙者、これを罠と考えているでござる。例えば、記憶を取り戻すことで、何かの罠が発動するとみた。例えば、今だ姿を出さない内通者の存在。よもや、内通者も記憶を失っており、記憶を取り戻すことで我々を害するのではなかろうか。そして、その内通者候補は記憶の無い秋冬ハル殿が怪しい」

 

「そんなことっ」

 

「落ち着いて話を聞いてほしいでござるよ」

 

庇おうとした亜酔昏を手で制し、クロカメは朗らかに提案した。

 

「秋冬殿を疑う風潮あれど、もはや本人に聞いてもよいのではなかろうか。陰口みたいで嫌でござるし。して、真相は如何に」

 

……難しいな。記憶がないから、どうとでも言えると思われる。でも、……どうしたら。難しい。もうこうなったら、思いのたけをぶつけてみよう。

 

「僕は……運営の内通者じゃないよ。記憶がないから、どうしたって、自分でも分かんないけれど、僕は……。僕は記憶を取り戻しても、こんな殺人に加担するような人間だとは思えない……思いたくない」

 

「なればこそ! 提案なのでござるが、秋冬殿を信用するために、ミニゲームをクリアして秋冬殿の無罪を証明すると言うのはどうでござろうか」

 

……なる、ほど? そうか、せっかく記憶に関するヒントがあるのであれば、もはや積極的に記憶に関するものを集めてしまって、自分を取り戻していくのもありなのか……?

「そしたら、脱出はどうするべ」

 

岩手の疑問を、クロカメが笑顔で流す。

 

「班を分ければよいでござるよ。脱出班とミニゲーム攻略班。同時進行でやっていけば問題ないと思うでござるよ」

 

風街が手を上げる。

 

「でも、実際にミニゲームを見て見ないことにはなにも分からないから、保留だね。実際に明日、みんなでゲームを見て考えたいな。脱出に関しては、正直取っ掛かりが掴めてない。あの飛んでくる物資運びドローンにどうにかして乗り込む計画を立てるか、イカダを作って頑張ってみるかの2択なんだよね」

 

脱出に関しても、現実的なプランの構築はされていないようだ。

 

実際、この島がどこにあるのかも分からないので、そのまま適当に海を漂流するのは、ただの手の込んだ学級裁判発生装置になりかねない。

 

「……完全に手詰まりだね」

 

小春の出した言葉が、全員の胸に刺さった気がした。とても悔しい。話が進んでいるはずなのに、全く状況が進んでいない、この焦燥感。――あぁ、本当に、どうしたら。

 

 

 

 

 

Day16 Augest

髮サ閼ウ荳也阜?夊?蜩。螳、繧オ繝シ繝舌?

 

 

ごぽり、と音がする。不快で、どうしたって自分からは切り離せない音。思考が、0と1の数字の合間を縫って形成されていく。

 

“入間博士が裏切った。

 

残念ながら、協力を仰ぐことができなくなった。

 

彼女も殺さなくてはいけない。さてどうするか。こちらとしては、「アイツ」だけ生き残らせればそれでいい。

 

上手く正体に気づかれず、それでいて、「アイツ」にだけはバレないようにしなくては。……自分の存在を知った時点で絶対にアイツは、バラす。上手くやらなければならない”

 

 

それに、と視界に映る数多の画面を見る。

 

校内や島内に存在する隠しカメラ、全ての映像だ。

 

これらはすべて、職員室によって管理されている。

 

自分がこの映像を見た時に、疑問に思ったことがある。そして、それは何故か誰もが気付かず、スルーしている。

 

……いや、入間博士だけは気付いているはずだ。だからこそ、秋冬ハルという存在を使ったのだ。腹立たしい。やはり最大の障害は、……あの。

 

 

“それに、データ上は爆死したとされている茶鹿秀太。あの探偵を完全に殺し切らなければいけない”

 

 

……お膳立てはされた。決戦は、ミニゲーム。

 

 

 

 

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