Vtuber学パロダンガンロンパ風序盤ギャグガチンコミステリー小説   作:茶鹿秀太

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(非)日常編 第一章 「イキキレル」2

Day2 August   

朝 砂浜

 

「「いやっほぉおい!! 海、サイコ〜!!!」」

 

クロカメと岩手大好丸が海に飛び込んだ。ざっぱーん。波しぶきが小春そらの作っていた「超マジ卍キャンブリィンな宮殿」という砂の城にかかる。

 

「こらー!男子!ちょっとは周りに気を使いなさーい!」

 

小春が油断している隙を見て、風並がニコニコして城を指差す。

 

「この城のここに穴開けてカニの通り道作ろっか」

 

「わーいいですねー」

 

鈴が人差し指で通りがかりのサワガニをつんつんと指でいじる。

 

「全く、せっかくのビーチ。もっとゆっくり過ごせないものかね?」

 

サングラスを付けてハンモックに横になり、パラソルを置いて快適に薄着でトロピカルジュースを飲む亜酔昏ヨイ。

 

「まぁ落ち着いてさざ波に耳を傾けるのもいいでしょうしね」

 

同じく、ウンフェルス。

 

「た、大変だあ! 入間さんが浮き輪のまま潮の流れに乗って遠くに!!!」

 

叫ぶアロハシャツの冥城んみ。

 

「ひぃ、ひぃ、く、クソがよぉ〜」

 

泣きながら悪態をつく浮き輪の入間るい。

 

「つ、釣り竿、釣り竿をつかえば、つ、釣り竿で、なんとか!!!」

 

釣り竿を使って状況を打破しようとする速水らいむ。

 

「なぁにこれぇ」

 

「さぁ。みんな楽しそうで何よりだよ」

 

それを傍目で見ていた僕と風街ピリカ。一体どうしてこうなったんだろうか。

 

 

 

昨日、ひとなつおもい学園長を名乗るやつはこう言った。

 

「君たちにはコロシアイをしてもらいます。……っていうことで、おれたちもじゅんびがんばるので、とりあえずせっかくなので、ここでマッタリと夏休みをすごしてくださーい。まぁほら、ここって海もあるし学校もあるしでけっこう楽しいと思うので、みんなのよろこぶすがたを見せてもらおうかなと思います。というわけで事件が起きるまで、ゆっくりおまちくださーい」

 

そう言って映像と音声は途絶えた。

 

全員が困惑する中、とりあえず学校内を周り、食堂の存在に気づく。そして、食料品が保存されている場所に入り、冥城んみがとある一言を放つ。

 

「もうなんもわかんないからバーベキューしない?」

 

した。美味しかった。全員記憶喪失だったけどバーベキューは美味しかった。そして全員がこう思った。

 

「あ、よくわかんないけどとりあえずこうなったことだし楽しんじゃおっか」と。

 

 

 

「で、でも本当にこんなに楽しんじゃって大丈夫なんだろうか」

 

「大丈夫だよ。せっかくなら君もいろいろハッチャケた方がお得じゃない?」

 

風街ピリカにそう言われたことだし、正直自分の中の理性も弾け飛びそうだった。そうだ。せっかくならみんなと交流を深めつつ、楽しめばいいのではないか。そう結論付けてから、僕は海へと走った。

 

 

 

めいっぱい海を堪能したのち、みんなは学校の中で思い思い過ごすみたいだった。音楽室に飛び込んでいったのは速水らいむ。

 

音響設備が整っているみたいで、目を輝かせていた。教室の一角を使っているのは風並将吾と鈴。演劇に関してお互いに話が出来るみたいで、仲良く演技の話をしていた。

 

美術室には絵が好きな小春そらと写真好きの風街ピリカ。

 

体育館で剣道を始めたのはクロカメ。実験室は入間るいが使っている。

 

生徒会室では冥城んみが出入りしているようで、保健室や図書室をうろうろしているのは亜酔昏ヨイ。

 

学校の花壇や畑を触ったり、雑用仕事なんかをこなす岩手大好丸。みんながみんな好きなことを貫いている感じがする。そうだな……。

 

僕も何かしたいな。でも思いつかない……。はぁ。

 

 

DAY3  Augest

昼 学校 1F廊下

 

今の今までいろんな人とコミュニケーションとりまくったぞ! 

 

よし、仲良く話せたな!

 

そんな気持ちのまま、気分良く過ごせた日々だった。

 

食堂でそのままで昼食まで過ごすのももったいない気がして、学校内を探索中だ。

 

よくよく観察してみたら、ここって学校だけど、何かが足りない気がする。そうだ、賞状とか、掲示物とかがないから……。

 

新築の学校がそのまま置いてある感じ?他にも色々思うところがあるけれど、ぱっと言葉にできない。

 

それが悔しくて仕方ないから、未だ校内をぐるぐると探索しているのかもしれなかった。

 

「……ふぅ。ん? あれって」

 

廊下の奥の方、体育館から非常口を開けて外に出ている威鳴音月がいた。

 

あの人、一体何をやっているんだろう。

 

物音を立てないようにこっそりと近づく。

 

「……か……? ………の………礎……。……犠……」

 

なにか聞こえるけど、駄目だ。内容まではわからない……。

 

「悪……ね。こ……メモ……君……さようなら。…………」

 

「え?」

 

今、名前を呼ばれた気がして。

 

気持ちが騒ぐものだから、ちょっと小走りになって彼の背中に向かって進んで。

 

彼の背中に触れそうな距離に来たら。

 

爆発した。

 

爆風と光が、僕の体をつんざくような錯覚を覚えて、意識を失った。

 

 

 

Day3 August

昼 体育館

 

「はっ!?」

 

耳鳴りが酷くて、目が醒めた。ここは、体育館のようだ。上体を起こすと、どうやらみんなもここにいるようだった。

 

「み、みんな。これは」

 

「目が醒めたんだね、良かった」

 

近くにいたのは、風並将吾さんだった。優しい物腰で接してくれたおかげか、自分でも少し振り返る余裕ができた。

 

「そうだ、さっき体育館の外で爆発が……」

 

「……、うん。それがきっかけになってしまったんだろうね。落ち着いて聞いてほしい。実は僕ら13人以外にも、人がいたらしいんだ。その人は、理由はわからないけど死体で発見された」

 

「……えっ!?」

 

死体が、発見された? どういうこと? え?駄目だ、頭がついてこれない。僕が寝ている間に、人が……?

 

「さっき言ってた体育館外での爆発、実はあれがきっかけで人が亡くなったみたいなんだ。死体は……威鳴くんが見たらしいんけど、もう誰が誰か判別がつかないって。しかも、死体はどこからともなく現れたロボットに撤去されたらしいんだ」

 

「ろ、ロボット?」

 

「とりあえず聞いてほしい。死体が撤去されて、僕らも爆発音を聞いて体育館に行った後、アナウンスが鳴ったんだ。全校生徒は至急体育館に集合せよって。従わない場合は……殺すとも」

 

「!?」

 

「……学園長は、準備をすると行っていた。コロシアイの。もしかすると……僕らはとんでもないことに巻き込まれてしまったんじゃ」

 

きーんこーんかーんこーん。

 

「えっ」

 

チャイムが鳴り響く。無機質で、不気味で、まるで放課後に一人きり取り残された誰もいない学校のような空気感。じわじわと熱が丹田から滲み出る。反面、指先は今さっき氷にでも触れたように震えてる。胸の鼓動が痛い。歯を食いしばって、言いようもない恐怖と戦う。

 

そして、来る。

 

「えー、みなさんたいへんおまたせしました。もうみなさん準備はばんぜんですね。これから、「アップグレネード コロシアイ 学園 夏休み編」について、せつめいします。学園長の話はさいごまできくこと。いーですね?」

 

「……」

 

アップグレネードコロシアイ学園夏休み編というキャッチーな割に物騒なネーミングセンスに突っ込みたい反面、風並の言葉がどこか胸に残っている。人が、死んでいるんだぞ。コロシアイって、どういうことなんだよ。苛立ちと恐怖が、体中を駆け回る。

 

「それじゃあ夏休みのルールを説明するね。夏休みだからってすきかってすごしちゃいけないんだよぉ? そこのおにいちゃんおねえちゃん達はせすじをのばしてしっかり聞くように」

 

 

以下ルール説明。

 

1、 殺人を行った者をクロ(犯人)とする。

 

2、 死体が発見された場合、全体にアナウンスを行う。その後生徒は一定時間捜査を行う。死体発見時のアナウンスは、クロ(犯人)以外の2名が死体を発見した際に行う。

 

3、 その時点の生存している生徒がクロを探し当てる学級裁判を行う。

 

4、 学級裁判後、生徒による投票でクロだと思われる存在を指名する。クロを当てることができたらクロにおしおき(処刑)を執り行う。ただし間違った人間を指名した場合はクロ以外がおしおき(処刑)となる。

 

5、 クロは直接殺害を行った実行犯を指す。共犯者がクロになることはない。

 

6、 クロが生き残った場合、この島から脱出することができる。

 

7、 クロは最大2人まで殺せることとする。

 

 

「以上がこの「コロシアイ学園生活 夏休み編」のすべてです。さっしのいいおにいちゃんおねえちゃん達なら、もうわかったよね。みなさんには、この孤島で、アップグレネード学園でえいえんのなつやすみをすごしてもらいます。この穏やかで、衣食住も保証されて、その上で帰る場所のために、このコロシアイを生き抜いてください。ってせつめいしょにかいてあったわ。わはは。みなさんには学校生活をゆたかにする電子手帳をわたします。がくせいしょとしても使えて、しせつや学校のルールをさいかくにんできます。最後までいきのこるのはだれか、おれもたのしみなんだぁ」

 

「ふ、ふざけるなよ!!」

 

冥城んみが叫ぶ。

 

「こんなの間違ってるだろ! おかしいだろ、コロシアイなんて、誰もしたくないに決まってる!!!!

 

「そ、そうだよ!! 誰もこんなことしたくない!!」

 

小春そらも続いて叫ぶ。

 

「こんなの、日本の警察が黙ってないでござるよ!! というか物騒すぎるから本当にお家に返してほしいんですが!?」

 

クロカメもちょっぴり涙をにじませながらどうしようもない絶望の表情を浮かべる。

 

「おぎゃああああ!? おぎゃああああああ!?」

 

岩手大好丸はただただテンパって幼児返りをした。ひとなつおもい学園長は、にやりと笑って、『ノイズが走り』、こう答えた。

 

「えっ」

 

一瞬の間を置いて、ひとなつはこう答えた。

 

「もうね、ゲームは始まっちゃったから。みんなでいっしょに、おわらないなつやすみをたのしもうね。あぁ、そうそう! コロシアイをしないなんてせんたくしがでないようにさ、おれのなかまをみんなのなかに入れたから!」

 

「!?」

 

「内通者、ってことか……」

 

風街ピリカがつぶやく。全員が全員、辺りを見渡す。

 

この中に、こんな馬鹿げたコロシアイを強要するやつの仲間が……?

 

「それじゃアディオス。おつおもい〜」

 

そう言ってひとなつおもいの映像は途絶えた。

 

「うわあああ!切りやがったあの野郎!」

 

「くそ!! ん? 野郎?」

 

「え?」

 

「いや、女の子じゃないの?」

 

「いや男の子だよね」

 

「いやどう見ても女の子だと思うよぉあれ?」

 

「いや絶対男の子だよ。間違ってるのはそっちだよ」

 

「なんだと!!?」「なにを!!!?」

 

「みんな喧嘩はやめてよぉ!!」

 

全く関係のないところから喧嘩が始まってしまう。全員ストレスが大きいんだ。そうに違いない。

 

「どうなっちゃうんだろう……この後」

 

不安が募る中、喧嘩をしている人たちに向かっていこうとする風並に僕は話しかける。

 

「あの、知らなかったらいいんですけど。爆破で亡くなった人の名前、わかりますか……?」

 

「え? あぁ、僕も詳しくないけど。茶鹿秀太って人が亡くなったらしい」

 

「そう、ですか。ありがとうございます」

 

茶鹿秀太という人が亡くなった。まるで見せしめのように死んだおそらく男の人。実際に死人を出してから、ルール説明をするなんて、とんでもなく悪質だ。デスゲーム、というやつだろうか。それに巻き込まれてしまったのは間違いない。

 

……その現場にいた、威鳴音月はなにか関わっていたんだろうか。あいつが、このデスゲームの運営側の人間?そもそもなんのためにこんなコロシアイをすることに?記憶を失っていることになにか関係があるのか?分からない。何もわからないけれど。

 

明日、誰かが死ぬこともありえる。そんな日常の選択肢が増えてしまった気がして、体が震えた。

 

「みんなちょっと落ち着こう。こんなこと言われても落ち着かないかもだけど、一旦食堂に集まらない?」

 

風街ピリカが周囲に声掛けを始める。確かにもうここまでくると、場所を移した方がいいかもしれない。

 

「そうだね。ここで喧嘩でもしようものなら、むしろ状況を悪化させること間違いなしだ。全員で作戦を立てよう。これ以上犠牲を生まないために……」

風並将吾が風街に乗って周囲を取りなす。この二人がいれば、ある程度の場は落ち着くのだろう。助かった。

 

……でも、本当にどうなるんだろうか。

 

 

 

DAY3 August

夜  自室

 

「結局、あんまり落ち着かなかったなぁ」

 

周囲の人間が、ではなく、それを聴いている自分が。全員が生き残るためにどうすればいいかを話し合う中、自分はその輪に入れなかった。

 

理由は分かってる。僕が僕らしくある記憶が全くないこと。そうだ、気付いてしまった。僕だけが趣味趣向も、自分の名前も、どうやって生きてきたかも記憶がなかったのだ。

 

それに気づいてしまってから、全員と違う存在な気がして仕方なくなった。

 

だから、本当にみんなには申し訳ないけれど。

 

別に終わらない夏休みなんて苦ではなかったし、人が死ななければここで過ごしても別にいいんじゃないかとすら思ってしまったのだ。

 

きっと戻りたい場所があるみんなと、記憶の消え方が特殊なせいで立場が違っているような感覚。

 

でもこれは直感で分かる。これはダメな感覚だ。ダメだ、怖い。殺されることでもなく、自分が何者かが分からないことが。

 

 

「人を殺してはいけない。生きなきゃいけない。生きて、記憶を取り戻したい。そうだ、僕が、秋冬ハルが生きた証を残したいんだ……死にたくない、死んだらもう何も残らない……怖い……」

 

 

ここで初めて、僕は死ぬのが怖くなった。

 

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