Vtuber学パロダンガンロンパ風序盤ギャグガチンコミステリー小説 作:茶鹿秀太
テレビ画面が一つ、玉座の上に置いてある。
玉座から降りる階段の先には、証言台。証言台が計13個、円形に並び立っている。
ここに立つ生徒たち。そしてテレビに映るのは、学園長。
「それではさいしょに、学級裁判のカンタンなせつめーをしておきましょう。学級裁判では、「だれがはんにんか?」を話し合って、そのけっかは、おにいちゃんおねえちゃんの投票によってケッテーします。正しいクロをシテキできれば、クロだけがおしおき。もしまちがった人物をクロとした場合は、……クロいがいの全員がおしおきされ、いきのこったクロだけがこのアップグレネード学園の夏休みをおわらせる権利があたえられます!」
ひとなつ学園長の言葉が、証言台に立つ人間たちに、断頭台に立たせられていると錯覚させた。そんな中、風街ピリカが先に発言する。
「始める前に確認しておきたいんだけど、本当にこの中に犯人がいるの?」
「もちのろんだよぉ。人を殺したクロも、夏休みの宿題をさいごのさいごまでやらずに先生におこられた過去を持つクロも、おにいちゃんおねえちゃんの中にひそんでるんだよぉ」
「あの、始まる前に聞きたいんだけどさ」
僕も声をあげる。どうしても聞きたいことがあった。
「あれ、なに?」
指をさした場所には、風並の顔写真が遺影のように貼られている看板がある。まるで風並も証言台に立っているかのように。
「だってナカマ外れはかわいそうじゃーん? おれのやさしいハイリョだよぉん」
「くっ」
テレビの映像に一瞬ノイズが走り、学園長は微笑んだ。
「ちなみに、学級裁判は100%フェアに行われますので、ごあんしんくださいな。おれはほら、人のバトエンぬすんだやつの味方したりとかキライなんだよね。それではさっそく、はーじめーましょーっ!」
困惑する会場。
「始めましょうって、言われても。何から話し合えばいいんだろう」
小春の声に、速水がクロカメを指さした。
「多分アイツが犯人です。 絶対やったと思います。 ござる口調だし」
「ち、違うでござるぅっ! 本当に、本当に違うんでござるっ! 後ござる口調関係ないよねぇ!?」
「ござるはみんなそう言うんだよ」
「ござるに対する偏見がえぐいっ!?」
ウンフェルスが腕を組みながら人差し指を上に刺して提案をする。
「まず、分かりやすいところからお話ししましょう。凶器について、一緒に考えませんか?」
鈴が首をかしげながら悩む。ウンフェルスが答えを出せるまで微笑んで待つ。
「えーっと、おそらくなんでしょうけれども。模擬刀ですぱっと一発ズバっとドバっと行ってドンガラガッシャーンって感じですよね?」
「スパッと一発ズバッとドバっとドンガラガッシャーンって感じ!?」
「模擬刀の先制攻撃でウウォーリャーヒャッハーズガーンで南無ってことですもんね?」
「ウウォーリャーヒャッハーズガーンで南無っ!?」
ウンフェルスが彼女の特殊な語彙に動揺する。どこか鈴は自慢げだ。二人の会話を、亜酔昏が引き継ぐ。
「えぇ、そこは間違いないでしょうね。死体の状況、頭部のへこみ方を見るに、模擬刀の一撃で死亡しているから、そこを軸に話を進めるべきと進言するわ」
彼女の発言によって、模擬刀によって風並が殺されたことが共通認識となる。でも、違和感は残っている。この違和感こそ、謎を解くカギだ。亜酔昏が話を続ける。
「私の意見を言うわね。まず、頭部外傷による死亡ということは、頭蓋骨を割るほどの威力があったっていうこと。模擬刀っていう鉄の塊を振り回して一発で頭を割るのは、女子には無理ね」
確かに、それだけを聞くと女子には難しそうだ。
「無難なシナリオとしては、やっぱりクロカメが風並を呼び出して、頭部に一撃。偽装工作をして、自分で叫んで犯人ではないことをアピールした、【これ以外無さそうだけれども】」
「【それは違うよ】。クロカメさんだけが犯人である可能性って、意外と否定できる部分があるんだ」
「え?」
「しゅ、秋冬殿ぉ~~っ!」
思わず声をあげてしまう。
でも、このまま間違った情報で話が進んでしまうと、それこそ風並が死んだ理由が分からなくなってしまう。
出来ることをやるんだ。やれることを全部。
「これは僕の目線での話になるんだけど、僕が事件現場に向かった時の話だよ」
剣道部の部室で尻もちをついていたクロカメを目撃した後、死体が発見されたことを知らされるアナウンスが鳴り響いた。
その後に、僕は死体が視界に入った。
「夏休みのルールその2。死体が発見された場合、全体にアナウンスを行う。死体発見時のアナウンスは、クロ(犯人)以外の2名が死体を発見した際に行う。ここがポイントだよ」
風街が手をたたいた。
「そうか。犯人以外の2人が死体を見ることでアナウンスされるのなら、それも一つのアリバイになりかねないんだ」
「うん。犯人がクロカメさんだった場合、クロカメさんが叫ぶ前にクロカメさん以外の人間が死体を2人目撃していたことになるんだ。一応、共犯者がいた可能性もあるかもしれないけど」
「流石に2人も目撃していたら、それはそれで変な話だもんね。じゃあ、クロカメさんが犯人の線は薄いんじゃないかな。むしろ、剣道部の部室で模擬刀で襲われているんだ。偽装工作の可能性、それも考えられそうだよね」
彼はそのまま自分の発言の意図を補足してくれる。これでまず一つ話が整理できた。速水がそのまま疑問を一つ投げかける。
「それじゃあさ。犯人が別にいるとして、いったい誰?」
ここでビシッと、小春そらが岩手を指さす。
「間違いないよ! 犯人は岩手くんだ!」
「んだがらおらじゃねぇってぇっっ!!!! なんでそったなこどになるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
入間が議題を引き継ぐ。
「改めて説明するとね、私が用意したルミノール溶液に岩手さんの靴裏から反応があったんだぁ。最低限血だまりに足を踏み入れてないと、そんな量付かないってレベルで。だから……。【間違いなく剣道部の部室には入ったと思う】」
……あれ? 何か違和感が……。
「そうだよ! だから岩手くんが風並さんを殺して……クロカメさんを犯人に仕立て上げたんだ!」
小春の推理に同調するように、周囲も目の色が変わっていく。
「せ、拙者を犯人に仕立て上げて……擦り付けようとして……風並殿をっ、ゆ、許せぬっ! 天誅にござる! 天誅にござる!」
クロカメの悲鳴にも似た主張に、ウンフェルスが冷静に論理の刃を振りかざす。
「殺人事件とは衝動的に起こると過去の事例からも推測できます。剣道部部室で殺害後、急いで偽装工作を行い、逃亡。クロカメさんが犯人に見えるようにしたと、実に筋が通ってそうですね。どうですか、岩手さん。もし主張がなければ……私たちは」
「ち、ちが。なんでアンタらそったなこど言うんだよぉ。ずっと仲えがったでねぁーが。なぁ、なんでぇ」
風街が手に力を入れて、汗を垂らした。
「岩手くん、何かアリバイはないのかい? でないと」
「いや」
亜酔昏がその言葉を遮るように、岩手の喉元に詰みの一手を掛ける。
「アリバイがあるなら最初に言ってるはずじゃないか? もう既に結論らしい結論が出たような気がする。私の検死における男性の一撃からも矛盾しない」
鈴がどこか、悲しみを抱えたように呟く。
「……風(ふー)並(へー)様は、演劇が好きで、台本もいっぱい書いて、将来の夢も、……私に一杯語ってくれました。こんな、こんなところで死んでいい人じゃなかったのにっ、どうしてぇっ!!! どうして風並様を殺したんですかぁあああ!! 私は、私はぁあっ!!! う、うぅぅぅぅぅぅぅう……」
膝から崩れ落ちる彼女を見て、速水が「もう、決まりでしょ」と泣いた。
「犯人は岩手大好丸、あんたなんでしょ!」
「お、おおお、おらは違う、違う。なぁ、だれが、なんとがいってぐれ」
口惜しさと、苦々しさと、……本気で涙を流して訴える男の姿は。
「おらは犯人でねぁー。なぁ、なぁっ! 誰が!! ……誰が、助げで。助げでぐれよぉおおおおおおおおおおおおおおお!」
なんとも無残で、残酷な姿だった。
――そして。
「……ぷっ」
その様を滑稽と言わんばかりの笑い声が、まるで一陣の風のように吹いた。
「…………おい。なにがおかしいんだ? 冥城」
亜酔昏が、医者の卵が、命ある姿をあざ笑うものを許さないと言わんばかりに目に力を入れる。
「いや、ごめ、ぷっ、あは、あははははははははは、あはははははははははっ!」
突然笑いが止まらなくなる、冥城んみ。天井を見上げ、一つだけ大きな呼吸をした。まるで照明の光を浴びて、その目に何かを焼き付けるように。
――其の神々しさたるや、まるで常識と理屈を超えたように。彼は、光で眩み微睡の狂気を携えて、僕らをあざ笑った。
「――まだ気付かないのかい? いや仕方なし。哀れなる子羊を教え導くことこそまた一つ祖たる自らの役目なればこそ。人皆火を知らぬ猿が如し、されど教えは不変にて燃え盛る怒りと教訓の心の灯火なればこそ」
「……冥城?」
僕が、彼に声をかけた瞬間、彼はぎょろりと僕を見てこう言った。
「結論から言おう。僕がやった」
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………は?」
「いや、本当にごめんw だって、こんな、一瞬で話が終わると思ってなくてwww あれみんなダンガンロンパとかってやったことある? 普通にそれで話終わったらクソゲーすぎるっしょwww いやごめん、なんかみんなのこと侮ってたwww ここまでwww 馬鹿だと思わないじゃんか、なぁあああああああああっっっっ!」
「め、冥城殿………っ、冥城ぉおおおおっ!」
「おめ、何言ってるんだよぉっ!?」
真っ先に疑われた二人が、殺人者と誹謗された二人が怒号を彼に浴びせる。
しかし、まるでそれを喝采か称賛のように、火照る顔で受け止めていく。
「あぁ……これだよぉ。こういう展開を最後に持って来たかったんだよぉ。なのにみんなバカだから……。思う通りの展開にならない……。小説だったら立ち読みして終わりだよこんなの……小説にもKOTYを開催するべきだね……。さぁ、僕は冥城んみ。宗教団体きゃらめるハイツの教祖。諸君。僕の信仰は決して揺るがない。はっきり宣言する。【僕が殺した】【風並将吾は間違いなく僕が殺した】【その為に証拠のすべてがある】【間違いなく僕が殺した】【このことを否定できるものなら、やってみろっ】【冥城んみ犯人説、万全を期して全員叩き潰すっ】」
再び、憎しみを携え議論が始まる。