眠たげ最強幼女は、人気ダンジョン配信者に見つかる   作:雪狐@ただのキツネ好き

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一話

 

 

「それじゃあ、今日も”渋谷ダンジョン”潜るね!」

 

:うぉー!!今日はいつも通り下層五階層まで?

:いやいや、今日こそあのクソボス倒して六層に行くだろ!

:んー、ソロで下層ボスは厳しいから危ないことしないで欲しい…

:とりあえず俺らは凛ちゃんが見れれば満足だから無理はしないようにね!

:とりあえず今日も行こー!

:凛ちゃんのダンジョン探索、開始だー!

 

数十年前に急に現れたダンジョンと呼ばれるもの。

本当に唐突に現れたらしくて、当時はとてもザワついたらしい。

まぁ私が生まれた時にはもう既に法律とかは整備されてたから、特にそんな気はしないけどね。

 

ダンジョンはとても危険だ。

それこそダンジョンに入る人のことを、”命をチップとして賭けるギャンブラー”なんて呼ぶ人もいるくらいには、危険だ。

 

実際に毎日のようにダンジョンの中で行方不明になる人はいる。

それでも入るのを禁止しないのはひとえにダンジョン資源が手に入ると、それだけ国力が上がるからだ。

 

ダンジョンの資源…モンスターと呼ばれる怪物の素材とか、それなりに強いモンスターだけが落とす”魔石”などはその筆頭になると思う。

 

その素材や魔石は組合で売ると、相応の値段で買い取ってもらえる。

そのリターンがとても大きいから、ダンジョンに入る人は後を絶たないのだ。

 

まぁそんな感じに、危険だけど魅力的な場所、というのが今現在のダンジョンに対する考えだ。

かくいう私もそのダンジョンに魅了された者の一人だけどね。

 

でも、さっきも言ったようにダンジョンってのはとても危険なんだよ。

どんな強い人でも少しの油断で簡単に命を落とすような場所…のはずなんだけど…

 

「……これ、なにがどうなってるの?」

 

そんな危険なはずの場所で枕を抱いて、浮きながら眠っている少女を見て私はついそんな言葉を呟いてしまう。

ダンジョン内で眠っているのも謎なんだけど、浮いてるのも謎。

 

見た目は、腰まであるような綺麗で長い金髪に整った顔。

目は閉じているため分からないけど、とりあえず美少女、美幼女?なのは分かる。

 

正直、私もそれなり以上には外見に自信あったんだけど、この子には負ける。

私は腰より少し上辺りまでの白髪に、ダンジョンで見つけた白い猫耳カチューシャを付けていて、目はオッドアイだ。

右目がオレンジで左目が青色だね。

 

そういうスキルかな?

それならまぁ、理解はできる…かな

それよりも何かの罠で眠っちゃったんだろうし、起こさないと流石に危ないよね

 

ここは下層、私よりも小さい――ちなみに私は148cm――子が無防備に寝ているのは危なすぎる。

というか何でこんな子供がダンジョンの下層に居るの…?

 

:わー…すっごい美少女…いや、美幼女?

:なんでこんな無防備に下層で寝てんの?

:凛ちゃんもかなり小さいのにそれより小さいって…ガチの子供じゃ…

:とりあえず保護しよう保護!

:そうだな!流石にこんな小さい子が死ぬのは考えたくもない

:でも、浮くようなスキルかぁ、正直ちょっと羨ましい

:とりあえず一旦起こして話聞いてみない?

 

「あ、確かに、一度起こしてみた方がよさそうだよね?

じゃあ、起こしてみようか。

おーい、起きて、危ないよ?」

 

私はできるだけ優しく寝ている子を起こそうとする。

でも、全然起きてくれない。

少し最悪な想像をしてしまい、不安になり始めた頃にようやく起きて、眠たげな目を擦りながらその少女はこちらを見つめてくる。

 

「ふぁぁ…ん、?

お姉さん、誰ですか〜?」

 

眠たげで、間伸びした話し方の少女はこちらを認識するなりそう質問してくる。

凄く無防備でとっても心配になるけど、とりあえず返事はしないと…

 

「あ、えっと、私は鈴宮 凛(すずみや りん)、あなたの名前も聞いていいかな?」

 

「ん〜、ボクは葉桜 霞(はざくら かすみ)です〜。

よろしくお願いします〜」

 

眠たいのか間伸びしているが、それはまぁ、気にしなくてもいいかな?

それよりも、何でこんなとこで寝てたのか聞かないと…

 

「カスミちゃん…でいいかな?よろしくね。

えっと、どうしてこんな所で寝てたのか、聞いていいかな?」

 

とりあえず聞いてみると、霞ちゃんはどこか不思議そうな表情になっている。

私が、何か変なことを聞いたかな…と不安になっていると返事が返ってくる

 

「えっと〜、眠たかったんで寝てました〜」

 

「…………え?」

 

たっぷり数秒間を空けて、ようやく理解した私は絶句した声を出すのが精一杯だった。

 

 

 

――――――

 

「…………え?」

 

「…?

ふぁ…」

 

なぜか驚いてるお姉さん…鈴宮さんを見ながらボクは一つ欠伸をして、また寝るために枕を抱きながら目を瞑る。

すると、再起動した鈴宮さんがボクに詰め寄る。

 

「いやいや、眠たかったから…って、危ないよ!?

モンスターが来たらどうするの!?」

 

「あ…おっきな牛さん、来たよ〜?」

 

おっきな牛さんとは、人間のように2本立ちで、はちきれんばかりの筋肉があり、頭が牛そのものな不思議な生物だよ。

ボクがそう言うと、鈴宮さんはようやく気付いたようで血の気の引いた表情になる。

そして、なぜかボクとおっきな牛さんの間に立って、腰に差していた刀を抜き放つ。

 

:おっきな牛さん?って、ミノタウロスやんけ!?

:ちょっ、こいつって深層でしかでないんじゃないの!?

:もしかして、イレギュラー!?

:くっそ!こんなタイミングでイレギュラーにな合うなんて……!

:凛ちゃんなら、タイマンならなんとか勝てるかもしれないけど、カスミちゃん守りながらは無理!

:ふたりとも、逃げて!!

 

「…カスミちゃんは、走って逃げて、こいつは、危険なモンスターだからここで倒さなくちゃ…」

 

危険?牛さんが?

牛さんのお肉美味しいよ?

そんなことを考えながらボクは、”いつも通り処理”しようと思い前に出る

 

「ちょっ!!?

いいから逃げて!」

 

後ろから逃げて、と言った言葉が聞こえてきたけど、このお肉は逃がしたくないからさらっと無視する

 

「ブモォォォ!」

 

雄叫びを上げながらボクに向かって突進してくる。

この突進の速度は軽く車を超えており、瞬きひとつすると、目を開いた時には眼の前にいる。

でも、ボクは軽く体を捻って避けて、そのまま牛さんの角を掴む。

 

「ん〜、えい〜」

 

「ブモッ…ォォ!?」

 

掴んでそのまま、軽い掛け声とともに相手の突進の勢いを利用してダンジョンの壁に投げつける。

その威力は、牛さんの頭が壁に埋まるくらいの勢いだ。

今の一瞬の攻防を見ていた鈴宮さんは呆然としていた。

 

「…え?

な、なに、が…?」

 

:……へ?

:えーっと?

:深層モンスター……だよな?

:カスミちゃんが突進当たる!と思ったらミノタウロスが壁に埋まってるんだが

:まてまてまて!どうやって突進中のミノタウロスを掴むんだ!?

:それだけじゃねぇぞ!あの小さな体の何処にそんなミノタウロスを投げる力があるんだよ!?

:ぅゎ、ょぅじょっょぃ

 

「んふー、美味しいご飯、ゲット〜♪」

 

鈴宮さんが呆然としてる間に壁に埋まって動けない牛さんに、さくっとトドメをさす。

すると、ダンジョンの不思議で、角とお肉、それと綺麗な石を落として消え去った。

 

このお肉は、地上だと100g20000円で買い取っているお肉だ。

けど、売るよりもここで食べたいので、ボクはこの1mはあるであろうお肉を焼くために火の準備をする。

 

ポーチから木の枝をいくつか取り出すと適当に地面に置く

少なかった為、もっと取り出してさらに地面に置く。

そして、火種を用意しないといけないのだが、そこはこんな世界だ、魔法でどうとでもなる。

 

「【ファイア】〜」

 

これで火が点いた為、しばらくは火が大きくなるまで待たないと、暇つぶしに寝ようか、と考えていると、鈴宮さんが話しかけてくる。

 

「え、えっと、カスミちゃん?

だ、大丈夫?」

 

恐る恐る、と言った風に近付いてくる鈴宮さんが少し可笑しくて、小さく笑いがこぼれる。

 

「んふふっ、大丈夫ですよ〜?

いつもあの牛さんを倒しているので〜、慣れてます〜」

 

「い、いつもって…この辺だと、あんなのが出るのは稀だよ、?」

 

「いつもはもっと深いところに行ってるので〜」

 

そこまで言うと、鈴宮さんは少し頬を引き攣らせながら

 

「えっと…カスミちゃんって、強いんだね?」

 

そんなことを聞いてくる鈴宮さんに対してボクは、軽く笑いながら

 

「好きに眠るには、ダンジョンは静かでいい場所ですから〜」

 

実際、ある程度深くまで行くと人と会うことも無く、モンスターが徘徊してるだけなので睡眠を取るのにはいいのだ。

 

「えっと、寝てる最中にモンスターに会ったらどうするの?」

 

「ん〜、?

眠らせます〜、こうやって〜

【怠惰】〜」

 

丁度良く近くに居た、ラージボア、おっきい猪さんをスキルを使って眠らせる。

それを見た鈴宮さんは目を丸くして、とても驚いたような顔になる。

 

「そ、それってユニークスキル?」

 

「ん、そうですよ〜?

ゆにーくすきる、です〜」

 

:ふぁっ!?

:あんなに強いのにユニークスキルまで持ってるとか、やばくね!?

:ユニーク使いはスキル頼りが多いのに…よくもまぁこんなに強くなれたね!?

:それにしても…どんなスキルなんだろう?

:【怠惰】って言ってたよな?

:【怠惰】…怠惰っていうスキルなのか…?

:【怠惰】って言えば、七つの大罪…か?

:効果は相手を眠らせる…かな?

:は!?問答無用で眠らせれるなら強すぎね!?

 

「ち、ちょっと!私が言うのもあれだけどスキル詮索はNGだよ!」

 

「ん〜、好きにしていいですよ〜?

ふぁ…お肉を食べて寝たいです〜…」

 

そろそろ眠気がやばくなってきたので、ミノタウロスのお肉を切ったりせず、豪快に火にくべる。

それを見ていた鈴宮さんが苦笑しながら近くに座る。

勿論、ダンジョン内で肉なんて焼いてると、当然のようにモンスターが寄ってくる。

 

だけど、寄ってきても半径50mに入った瞬間全てのモンスターが眠る。

ボクのスキルの一つ、【怠惰】は範囲内のモンスターを無気力状態にすることが出来るんだ〜。

でも、ある程度以上のモンスターだと適当に発動してる状態じゃ効かないから少し真面目にしないといけないのがちょっと面倒だけど…

 

そんなこんなでしばらくすると肉が焼け終わった。

そのまま食べようとすると鈴宮さんに止められた。

 

「ちょっと、そのまま食べるつもり?」

 

「……?

逆に、どうやって食べるんです〜?」

 

「えっと、味付け、しないの?」

 

味付け、そう言われると確かに面倒くさがって味付けをサボった気がしてくる。

まぁ、塩も胡椒も、それ以外でも大抵の調味料は揃っている。

面倒くさくて一度も使ってないのが多いけど…とりあえずこんなのがありますよ、と言う感じに全部取り出してみる

 

すると、とりあえず塩と胡椒だけでも掛けたら?と言われた為、簡単に味付けをする。

 

「んふ〜、あの牛さんのお肉、美味しいですね〜」

 

「ん、そうだね、ホントに美味しいや」

 

最初は、鈴宮さんはお肉を食べることに遠慮していたけど、少し説得をした為、一緒に食べてくれることになった。

鈴宮さんの三倍くらいの量を食べた為少し驚いたような視線を向けられていたけど、特に気にせずに食べきった。

 

…いつも一人だからか、二人で食べたご飯はどこかいつもより美味しく感じた

 

 

 

 

 

 

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