元俳優、タヌキVtuberに転生する   作:桜 寧音

111 / 127
本日2本目!次に目指すのはEランク!【SoF】#4

 枠を建て直して『SoF』を再開。グランベルに来た避難民のためのサブクエストをこなしたり、ギルドにある一般クエストをこなして資金集めと装備集めをしていく。武器は良いものが手に入ったが、防具は良いものが売っていない。

 そもそも冒険者は年齢制限がないものの、普通ギフトを貰ったばかりの子供がなることを想定していないようだった。そのため子供の背丈に合う防具がなく、オーダーメイドで作成してくれるサブクエストをこなしてようやくまともな身体装備を手に入れた。

 靴や装飾品も装備できてそっちは普通に売っているのに、頭装備や胴体の防具は売っていなかった。サブクエストも鍛治屋のおじさんに指定の物を納品して認めてもらってようやくだ。この防具の揃わなさもハードモードを象徴しているんだよな。

 あと、思い出したように物臭神父のドリーに初回無料でギフトを選定してもらえるという話で金額も貯まってきたのでシステム確認の意味もあって訪ねると、男神を模した像がある小さな祈祷室のような場所に案内されて、2人っきりで話すようだ。

 祈祷室の割に物は乱雑に転がっているし、信仰心のようなものが見えるような敬虔な様子はどこにもない。聖書らしき物は机の上で開きっぱなし。部屋の中の清掃も行き届いていないような酷い様子だった。そこでこの世界のシステムの根幹をドリーに教えてもらった。

 

【普通、ギフトは1人1つまでだ。貴族や名家であれば5歳での選定の際に望むギフトでなければ神へ大金を支払うことで望むギフトへ変更できる。金額や与える神父の力量にも左右されるが、持つことができるギフトは1つだけ。だがお前さんは複数持っているな】

 

【そうなの?】

 

【俺とて長年神父をやってきたが、こんな例は初めてだ。それに選定も受けずにギフトを持っていた少女もな。ギフトは選定の儀を通して与えられる。5歳になったら与えられるものではなく、あくまで神から与えられるものだ。お前は特殊すぎる。神が絶対のこの世界で、お前は1人だけルールという鎖から放たれている。まるで世界の関節が外れてしまったかのようだな】

 

「あ、最後のはシェイクスピアの引用ですね。いや、にしてもギフトって1つだけなの……?これどのモードでもいくつもギフトを持てるわけじゃなくて、本当に1つを大金払って付け替えるシステム?」

 

『そうだぞ』

『イージーは最初からめちゃくちゃ強いギフトを金の力で与えられるから、それだけ伸ばしていけば良いという親切仕様。ノーマルは有用なギフトを手に入れるために妥協の繰り返しでマジで金欠っぽい』

『いくらなんでもギフト何個でも持てて全部の効果適用できるとかフォイルちゃんやばすぎですわよ』

 

 そういうシステムなのか。ハードモードはそんな優遇がされていても苦労するっていうのがなんともな感じだ。

 ドリーによると、今持っているギフトを失わずにそのままフォイルへ新しいギフトを付与してくれるらしい。やったことはないができるだろうとのこと。

 そしてバルドフが立て替えるというのは本当で、初回は無料で好きなギフトを貰えることになった。選べるギフトの一覧が表示されて、10個の中から選べるようだ。

 本人曰く、正教の中でも中堅くらいの立ち位置でしかないために選べるギフトはそこまで多くないようだ。グランベルは左遷先のようで彼より上の階級の人は貴族相手や本部に勤めているようで、辺境に飛ばされる人間は正教で何かしらやらかした人とのこと。

 あと、ギフトはあくまで与えられる人に見合うものでなければ与えられないらしく、フォイルには遠距離系のギフトを与える才能がないようだ。魔法使いの才能がなければ魔法系のギフトは与えられず、それは神父側の実力がどれほど高くても、いくらお金を積んでも無理らしい。

 フォイルには魔法を使う素養があったようだ。

 

「せっかくだし魔法を使ってみたいですよね。回復スキルも合わせてMP管理が厳しくなりそうですが、才能的にもこれが唯一の遠距離攻撃手段になりそうですし……。【魔導探求者】にします。MP増加と防御力アップが魅力ですね。ギフトで防御アップ系はまだ持ってなかったのもあってこれ一択レベルです」

 

『良いんじゃね?魔法がどれだけ強いかわからないけど、攻撃手段は多い方が良い』

『これ、結構良いギフトなんじゃね?多分下位互換の【魔法使い(マジック・ユーザー)】があるし』

『覚える魔法が違うんやろか?それならどっちも極めたくなる……』

『マジでG-EXPが足りなすぎる。クエストこなしてたって全然経験値もらえないし』

 

 というわけで4つ目のギフトをゲット。『火球(ファイアボール)』と『ウィンドショット』という魔法を手に入れた。これは実戦で効果を確かめないと。

 あとフォイルが複数のギフトを持っていることはドリーは秘密にしてくれるようだ。バルドフにも秘密にしてくれるらしい。その理由までは教えてくれなかったが、やけに親切だ。

 ドリーがフォイルの特異性に気付いたのはそういうギフトを持っているかららしい。そのギフトのせいで入りたくもない正教に入れられて、長年の苦行に耐えた結果信仰心を無くしたのだとか。

 それでもギフトを与えられるってことはそれだけ神が信仰を気にしていないということじゃないだろうか。お金が欲しいだけなのか?

 昇級試験の前に残っているクエストをクリアしていると【殺戮者(マーダー)】のレベルが7になった。結局優先してレベルを上げているギフトは【殺戮者(マーダー)】だった。そろそろ人型の敵が来そうだと思ってこっちを優先している。

 ギフトもレベルが上昇すれば付与される能力の上昇値も上がる。その上がり幅がバカにならないこともあって育成はしっかりとしていた。

 次がダンジョンで、しかもヴァルモニア開放戦で魔物と戦うことは確定しているので【狩人(ハンター)】も鍛えたいところ。

 【殺戮者(マーダー)】のレベルが7になったことで、悪属性への敵に対するダメージ量増加20%が追加された。

 

「え、つよ。というか悪属性とかあるんですね。魔物図鑑を貰いましたけど、その魔物の詳細情報とか出ていないからどの魔物が該当かわからないんだよな。一応炎属性とかそういうのもあるっぽいですけど、悪属性って見てわかるんだろうか?」

 

『属性とかもおそらくマスクデータじゃね?』

『理不尽に奪ってきた相手への対応と考えると生えるのもわかる効果だな』

『ギフトってやっぱ育て得みたいなところがあるからクエストとか地道にこなした方が良いかも』

『特にハードなんてきちんと育てないと負けるし』

 

 ひとまず目に付くクエストを全部こなしたこともあって、昇級試験たるグルメダンジョンへ。別にダンジョンの中に果樹園や畑があるわけではなく、魔物の肉が美味しかったり、木の形をした魔物がつけている果物が美味しかったり、酒が流れ出る泉がある程度らしい。

 いや、それも十分変なんだけど。

 指定の食料を集めて持って帰ってくることがクエストだった。魔物を倒す必要があることと、昇級試験は何かとイベントがあるために準備をしてからダンジョンに向かった。

 そこで指定のアイテムを集めたり、魔物を倒したりしたがそこまで強いボス級の敵がいることもなく。手間ではあったもののヴァルモニカみたいな連続イベント戦闘みたいなことはなかった。ダンジョンだから普通に敵にはランダムエンカウントとして遭遇するけど、ダンジョンだから普通だし。

 

「これダンジョンを出た後に盗賊に襲われたり、街に帰ってからイベントが起こったりしませんかね?」

 

『リリが疑心暗鬼になってる』

『あれもこれもイベントが起こりまくってるから仕方がない』

『治安悪いのと、魔物が活発になってるからな。有り得なくはない』

 

 そんな心配をしつつも、特に何も起こらずにギルド長のバルドフに報告をしてEランクに。食料が減っていたのでギルドの冒険者にも避難民にも感謝をされつつ、バルドフとの会話は続く。

 

【フォイルにも伝えておこうかの。ヴァルモニア解放戦じゃが、3年後に決まった。上級冒険者も軒並み負傷したり死んだりしたために、今は戦力を整えることが優先だとギルド本部は決定した。開放戦に参加できるのはBランク以上に限定。もし解放戦に加わりたいのなら、ランクを上げることじゃ】

 

【わかった。頑張る】

 

【まあ、そこまで頑張らなくても良いとは思うが。そもそも開放戦をする頃でもお前さんは9歳くらい。そんな子をたとえ上級冒険者であっても送りたくはない】

 

 そのイベントの後に画面が暗転。セーブしますかと聞かれたので新しいセーブファイルにセーブした。これで章の区切りになっているんだろう。

 そのまま黒い画面の中央に、『3年後』と表示される。

 

「ああっ⁉︎まさか年代スキップされた⁉︎」

 

『まあ、幼少期ですし』

『本筋は大きくなってからでしょ』

『たとえ3年経ってたとしてもまだ幼女のはずなんだけどな』

『スタートが幼すぎ』

『幼少期編2があるってこと?どんだけ長いシナリオなんだ、ハードモード……』

『他のモードだと幼少期なんて速攻スキップですぐ青年編から始まるのに』

『幼少期なんてモノローグとちょっとしたイベントで終了だからな。他のモード』

 

 画面が明るくなって、いきなり猪型の魔物を斬り伏せるフォイルの姿が。背丈は伸びているものの、やはりまだ小さい。襲われていた商人を守ったらしい。

 

【おお、さすがC級冒険者様!なんとお強い!】

 

【そういうのいいから。早くグランベルに向かって。何を運んでるのか知らないけど、今度の作戦に必要なものなんでしょ】

 

【クエストでもないのに助けていただいてかたじけない!では拙僧はこれにて!】

 

 商人は馬車を走らせてグランベルに向かう。フォイルも歩いてグランベルへ向かう。他に敵がいないか確認しているようだ。

 ギルドに戻り、クエスト完了の報告をバルドフに行う。どうやら他の街の状況を確認しに行っていたようで、ヴァルモニカ開放戦のための準備がどこまで進んでいるかをチェックしに行っていたようだ。

 

【ふむ、ご苦労フォイル。ここまでクエストをこなされてしまったらBランクへの昇級試験を進めないといけんの。ではBランクの昇級試験を発表する。お前さんが見付けた元初心者ダンジョンの地下2階から続く新ダンジョン『カルガ・エレシア』。あそこの地下5階のマッピングを昇級試験とする】

 

【Bランク以下は調査できないようにしたのに?】

 

【それくらいの実力はあると踏んでのことじゃ。それにあの大百足ほどの魔物も見付かっておらん。アレを倒したお前さんならそこまで問題じゃないだろう。とはいえ初心者ダンジョンと地続きになっているとは思えんほどの強い魔物が出現することも確かじゃ。十分に準備をして臨むのじゃぞ】

 

【わかった】

 

「えー、ランクアップもスキップ?結構楽しみにしてたのに。どうやって2つランクアップしたんでしょうね?3年もあればランクアップしない方が不自然ですけど」

 

『全部描写してたらシナリオが長すぎると思ったんじゃね?』

『これ、まだ幼少期編なんだよね。大人編?青年編?はこれ以上のシナリオになるんでしょ?』

『でもここで止めるってことはここからは重要ってことだよな』

 

 動かせるようになったので3年後のグランベルを動かす、前にメニューで確認だ。レベルとかは上がってないけど、ポップアップが出た。

 3年分の経験を結晶化したアイテムをプレゼント。これを使ってギフトを強化しましょう。と出た。

 

「へー、G-EXPを取得できるアイテム。【殺戮者(マーダー)】もレベル7になったら追加の効果が出たので、他のギフトも強化したら追加の効果が得られるかもしれません。でも魔法ももっと欲しいんだよなあ……。うん、【魔導探求者】にします。レベルどれくらい上がるかな?」

 

『シナリオ進めただけで貰えるとかお得じゃん』

『そういうアイテムもあるんだ。でも次いつ貰えるんだろ?クエストの報酬とかでも貰えないし』

 

 一切育てていなかった【魔導探求者】は一気にレベル5に上がって、新しい魔法の『ライトニングスピア』を手に入れた。やっぱりレベルが上がると魔法を取得するんだな。

 メニュー画面のフォイルの成長した姿を確認しつつ、他に変わったところはないかと見ていたが特になし。使えるようになったものが増えたわけでもないので改めて街を探索。

 どうやらちびっこ凄腕冒険者として街の人たちに信用されているようだ。ヴァルモニアからの脱出の際に活躍を見ていた人もいるようで、フォイルに感謝している人もいるようだった。ここの住人としてちゃんと認知されているらしい。

 サブクエストを受注して、ついでにギルドでも通常クエストを受けてそれをこなしていく。いい加減【復讐者(アン・アガペー)】を上げておきたくて、結果としてクエストをやったおかげでレベルは4まで上がった。

 年代が上がったからか、貰えるG-EXPも多くなってきた。複数のギフトを持っている前提だから経験値も多くなっているのかもしれない。ここがしょっぱいと育てたいギフトが全然伸びないなんてことになるだろう。

 シナリオで手に入れたギフトがレベル1のままなのはどうなのかと思ってこの章からは【復讐者(アン・アガペー)】を上げていくことにする。回復スキルも上の物を取得しないだろうかと期待してのことだ。

 正直ダメージ量が多すぎて、一気に回復する手段が欲しい。回復スキルがこの世界でも希少なら、取得したギフトを育てるのが正攻法だと考えてのことだ。攻略サイトとか見たくないし、いざとなったら回復薬もあるから取得できたらラッキーくらいのものだ。

 

 やれることも一通り終わったので、昇級試験を受ける。『カルガ・エレシア』のマッピングだ。フォイルが初めての昇級試験で見付けた、初心者ダンジョンの奥に続く新たなダンジョン。そこの魔物は強く、最初はCランク以上で調査していたが負傷者が多かったためBランク以上のみが調査隊として行くことができるダンジョンになっていた。

 そこの地下5階のマッピングとか、Bランクへの昇級試験ではなくAランクに任せるような内容だ。未だに仲間もいないままのソロプレイなのでやられたら即終わりだというのになんという内容のクエストをぶつけてくるんだ。

 初心者ダンジョンに向かって、回復薬用の苔が取れる場所の大穴から向かうしかない『カルガ・エレシア』。レベルアップをしたからか、初心者ダンジョンの魔物は簡単に倒せるようになった。前は地下2階でも苦戦していたのに。

 こういうのを見ると成長したなって思う。

 『カルガ・エレシア』は至って普通の洞窟型ダンジョンだ。地下4階まではマッピングされていることもあってミニマップが表示されている。それでもアイテムとかあるかもしれないので全部を回っていく。

 初心者ダンジョンとかはほぼ一本道だったけど、こっちは結構道の分岐がある。その先に宝箱があるのかもしれないというRPGでのお決まりを信じて進んでアイテムを回収しながら魔物と戦っていった。

 魔物はこれまでで一番強いと言えるくらい強かった。装備を整えてレベリングもしてから来て良かった。防具をサブクエストで手に入れてなかったら回復薬の消費が厳しかったかもしれない。

 マップを確認していただけで地下5階に着く頃にはレベルが3つ上がり、28になっていた。経験値が美味しいなと思いながら今度こそ手探りでのマッピングを始める。

 シンボルエネミーはおらず、とにかくマッピング。フォイルが向かった場所は自動でミニマップが更新されるので、移動を続ける。

 そして広い部屋に出ると、イベントムービーが始まった。

 

「ボス戦かな?」

 

『奥に続く階段っぽいのあるな』

『律儀にマップを更新するフォイルちゃん可愛い〜』

『お、地響き』

 

 なんか既視感のある地響きが起こる。奥へ続く階段から駆け上がってくるのはいつか見た大百足。大きさも色も、初めての昇級試験の時と同種の魔物に見える。

 向こうが咆哮をしてきたのでフォイルも剣を抜いて戦闘へ。

 

「リベンジマッチかな?モーション同じだといいな」

 

 俺の呟き通り、攻撃モーションが同じだった。見覚えがあったので遠距離から魔法を使ったり、近寄って剣で斬ったり。

 特に苦戦せず2分ほどで倒してしまった。

 

「おお、強くなったなぁ。めちゃくちゃ時間がかかったのに、2分12秒ですって」

 

『HPとかも同じだったんかな?経験値めちゃんこ美味しいけど』

『これをまだゲーム始めたてに相手させるとか、鬼畜かよ』

『本来ならこんな奥底にいる魔物を5歳で倒したフォイルちゃんって一体……?』

『おそらく世界に1人しかいない特異点』

 

 フォイルも特に感慨なく、マッピングを進める。まだマッピングが終わっていないということでマッピング再開。分岐した道があったのでそちらも調査してマップを完成させることが優先となった。

 今度こそマッピングを済ませたところで帰ることに。そう思ったらまた地響きが。

 うーん、デジャビュ。

 予想通り、ではなかった。大きめの部屋になんと2体の大百足が現れて同時に襲ってきた。

 

「この大百足、もしかしてボスじゃなくて一般POPモンスターってこと?」

 

『一応イベント戦だし』

『更に奥で繁殖してるんじゃね?知らんけど』

『これで4匹目だもんな。特別なボスじゃないだろ』

 

 2体の大百足がその巨体を活かして暴れ回る。戦闘用のフィールドは大きさが決まっているので2体の範囲攻撃を避けるのはかなり難しかった。魔法を使おうにも、どちらか1体は近付いてきて詠唱を邪魔するので魔法を使うのは難しい。

 MPは攻撃スキルに使った方が良さそうだ。回復はとにかく回復薬任せにする。やばい時だけ回復スキルを使うようにしよう。

 まず1体を集中攻撃して倒してしまう。そうすればあとは同じ作業を繰り返すだけ。相手の攻撃は中々痛いものの即死するレベルではなかった。

 目論見通り1体を倒してしまえばもう1体は苦労することなく倒せた。けど9分もかかった。避けるのと連続攻撃によって減った体力を回復させていたらこうもなるだろう。

 

「め、面倒だった……」

 

 街に戻って報告。マッピングついでに現れた魔物についてもレポートを出して無事にBランクへ昇級。これでヴァルモニア解放戦への参加資格を得た。

 フォイルはグランベル方面から攻める部隊に配属。作戦は3日後。各ギルドと世界の武力である正教所属の騎士団も解放戦に参加するらしい。

 正教って宗教なだけじゃなく、戦力まで持ってるのか。いや、十字軍とかそういうのか?大きな要所となる街の奪還に動かなければ宗教として信仰にヒビが入るかもしれないという政治的な理由かもしれない。

 そして解放戦に正教が加わると聞いたドリーに、いつぞやの祈祷室に呼ばれる。

 

【フォイル。解放戦だろうがその回復スキルは隠せ。正教の連中に見付かったら面倒なことになる】

 

【一応同業でしょ……。どうなるの?】

 

【お前が次世代の聖女になる。今も聖女がいるためにすぐに代わることはないだろうが、いつかは名前だけの装置に縛り付けられるぞ】

 

【そんな退屈なんだ。わたしはこの世からブローカー共と、その親玉を殺せれば良いけど……】

 

【そいつらを探しにいく自由な時間もなくなると言っているんだ。ひたすら負傷者を治すだけのつまらないお仕事さ。自由も何もない。宗教によって名声を得るための道具に成り下がる】

 

【それはダメだね】

 

 あ、聖女いるんだ。でも同じ能力を持っていたら次の聖女になるように拉致されそうだ。それだけ希少な能力ってことだろうし。

 

「今の聖女もギフトは【復讐者(アン・アガペー)】なんですかね?となると復讐を願っているような人っぽいですが……?」

 

『やべー奴じゃん』

『同じギフトなんかね?似たような能力のギフトだったり?』

『それこそまんま聖女って名前のギフトかも』

『フォイルちゃんに聖女は向いてなさすぎでしょ。バーサーカーのアベンジャーよ。こんな脳筋が聖女なんて民衆の象徴になれると思う?』

『聖女と真反対の奴だよな。なんで世界で希少な回復スキル手に入れてんですかね……?』

 

 とにかく、次のヴァルモニカ解放戦では回復スキルを使わない方が良さそうだ。縛りプレイかな?でも大変なことになりそうだし、シナリオ分岐とかあるかもしれないから解放戦になったら回復スキルは使わないようにしよう。

 ギルドで睡眠を取ったら解放戦の日まで休みますかというポップアップが出たので、キャンセルする。せっかくBランクになったんだし、クエストやサブクエストがないだろうかとチェックしに行く。

 予想通り新しいクエストがあったのでそれらをこなしていく。次なんて絶対に連続戦闘になるだろうから今の内にレベリングだ。

 レベリングをした結果、【復讐者(アン・アガペー)】のレベルが8になって、念願の回復スキルの新しいものを取得。HPの8割回復は別格の良スキルなんだけど。

 

「多分次のイベント戦では使わない方が良いんでしょうね。すっごい良いスキルなんですけど。状態異常回復もついてるし」

 

『バカほどMP使うけどな!』

『下手したら即死するようなゲームなんだから、いくらMP使おうがHP8割回復してくれる方がありがたい』

『ギフトは大体レベル7か8で新しい効果とかスキルを手に入れるっぽいな』

『魔法は別っぽいけど、こっちは何か条件があるのか?普通のレベルとギフトのレベルが一定数に上がったら取得とか』

『そこら辺は攻略wiki作るような企業勢が調査してくれるだろ』

 

 次は確実に魔物との戦闘なので、育てるギフトに【狩人(ハンター)】をセットする。ヴァルモニカ解放戦の間にレベルアップしないだろうか。まだレベル2だから結構すぐ育ってくれるはず。

 クエストも全部クリアして、やれることがなくなったのでこの次はシナリオが進むヴァルモニカ解放戦だ。時間を確認すると10時過ぎだったのでこの辺りで一旦辞めておこう。

 絶対1時間で解放戦が終わるわけないし、明日は朝配信をしたいので日付が変わるまでやるつもりはない。

 

「良い時間ですし、区切りが良いので今日はここまでとします。また明日の朝配信で『SoF』をプレイして、夜には頑固一鉄さんとドグマ・樹林(きばやし)さんとコラボ配信予定です。ドグマさんのチャンネルになると思いますのでよろしくお願いします」

 

『お疲れー!』

『新人とコラボか。SNSで告知されてたな』

『協力ゲームだよな。楽しみ』

 

 配信を閉じて、SNSで今日の配信の振り返り一言を呟いておく。

 その後お風呂に入ってご飯を食べながら真紀さんと陽菜ちゃんのコラボ配信を見つつ、コメントも残したりして日付が変わる前に寝た。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。