元俳優、タヌキVtuberに転生する   作:桜 寧音

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救急隊7日目!ボイス販売が流行ってる?……知りませんね。【配信者祭GTA7】#7

 【GTA】7日目。この辺りから中型・大型犯罪が激化した。資金とメンバーが集まったからか、各ギャング団が様々な犯罪を受注して暴れ回った。上空ではヘリコプター同士での激突があったり、少し前と同じように豪華客船に挑んで皆して海に落っこちたり。

 様々な場所で死ぬので、救助に行くのが大変だった。平和なのは飲食店の人たちくらいだろう。彼らは平等に商売をして、空き時間で遊んだり、営業をかけたり、人質になったりとこのゲーム内での楽しみ方を確立していた。

 救急隊は、とにかく大忙しだった。これはこれでホストに出勤しなくて済みそうだから良いんだけど。

 これだけ長い間プレイをしていると、さすがにどの人が何をやっているのか判別がついた。それに会っていない人がほとんどいないくらいになる。飲食店のコンプリートがしたくて色々なお店に寄ったし、イソラ先輩たちの他にもクリエイトをしている人たちに何か面白いものが売ってないかと覗きに行ったりした。

 治療ついでに近ければそういう立ち寄りもできたけど、ちょっと犯罪が多すぎててんてこ舞いだった。『ドラッカー』にも顔を出したりと、やることをやっていたら7日目はすぐに終わってしまった。

 そして8日目。飲食店もコンプリートしたこともあって、出回りたい人を優先して病院で待機していたら、救急隊の人にキャバクラに誘われた。暇だから散財しようと言われたが、彼女がいる身でキャバクラに行けるわけがない。

 その事実を言うつもりもなく、丁寧に断ろうとする。

 

「いえ、僕新しい車とか買っちゃったのであまりお金がなくて……。自分用のヘリコプターも欲しくて、今節制しているんですよ。ごめんなさい、ジョシアさん」

 

「ヘリコプター買う気なの?あれ1億くらいするぜ?今いくらあるの?」

 

「8000万ですね……。今日頑張れば明日には買えるかも?」

 

「キャバクラなんて1000万も使わないってー」

 

「シャンパンとか100万じゃないでしょう?ホストよりも高いって聞きましたよ、キャバクラ」

 

「まあ、ぶっちゃけキャストのレベルがやばいから……。スターティンクルの有名どころとか、声優の根本明菜ちゃんとかいるんだぜ!俺根本ちゃんのファンなんだけど、1人は心細いんだって〜。頼むよ、心の友〜」

 

「いつから心の友に……?むしろ僕が行ったらその根本さんと2人きりになれないじゃないですか」

 

 というわけで断る。ストリーマーのジョシアさんはそのまま別の男性の救急隊と一緒にキャバクラに行ってしまった。

 根本さんという声優は、何度か拝見したことがある。配信もそれなりにしている売れっ子声優だ。今回はそういうのもあって参加されているらしい。

 陽菜ちゃんともこの前共演していた方。まだこのゲーム内では会っていないが、『スパイラル・グローリー』の作曲家としてあまり話したくはないというか。

 間宮光希君は間宮沙希君じゃないですかって聞いてしまいそうだ。そんなポカミスはしないと思うけど。

 後、最近知ったのだがプロの声優さんが副業でVtuberをやっているらしい。根本さんのように顔を出して動画配信をしている方がいるのは知っていたが、まさか顔を隠してわざわざ絵を使ってVtuberになっているなんて。そっちの方が話題になるのだろうか。声優業界にも不思議が多い。

 そんな方が1人、このゲーム内に参加されているらしい。菱木さんや根本さんのような声優さんに出会ったらどちらで対応するんだろうか。

 突発的な事故に対応したり、病院に来院した人を治療していると、大量の死亡通知がやってきた。大型犯罪かと思ってマップで場所を確認すると、8045と出ていた。ナナホシさんに確認を取ったが、大型犯罪の場所ではないらしい。

 また同じ8045で死亡通知が続く。事故だろうか。

 

「どうします?僕が向かいましょうか?」

 

「うん、向かってくれる?多分中型でもないとは思うけど、運営さんと警察に確認してみるね」

 

 ガレージから車を出して8045へ向かう。その途中で、救急隊のトランシーバーからさっきキャバクラに向かったはずのジョシアさんから連絡があった。

 

「緊急連絡!8045に来るな!ロケランに巻き込まれるぞ⁉︎あのキャバクラやべえ⁉︎」

 

「え、キャバクラでロケランって、どういうことです?」

 

「支払い渋った男性客にキャストがロケランぶっぱした!あと、このゲーム内で結婚してる相手がキャバクラに通ったからってヤンデレムーブ始めた女がまたロケランぶっぱした!巻き込まれるかと思った!」

 

「えぇ……?」

 

『これにはリリも困惑』

『どうなってんだよ、キャバクラ。むしろ見てえ』

『リリ、向かえ!死んでも構わん!』

『リリに死ねと申すか』

 

 8045ってキャバクラだったのか。それでロケランを撃つほどの事態が同時多発的に起きたと。

 あ、また死亡通知が同じ場所で。巻き込まれたくないから車を停める。

 

「事態が収集するまで救急隊は8045に巻き込まれないように近付かないこと!ジョシアさん、状況は?」

 

「……」

 

「あれ?返答がない?もしかして、巻き込まれた⁉︎」

 

「ピピピピピ!」

 

 ジョシアさんの返事がなく、トランシーバーの連打音だけが聞こえる。ナナホシさんもこれには焦り出す。他にも遊びに行っていた人が何人か巻き込まれたようで、トランシーバーから連打音がめちゃくちゃ聞こえる。

 何で飲食店でロケランがぶっぱされるような事態になるんだ。ロケランって本体も弾もめちゃくちゃ高かった気がするんだけど。

 ロケランも発砲扱いなので、警察も出動したらしい。パトカーがサイレンを鳴らしながら近くを通り過ぎていく。

 事態が収束するまで向かわずに、収まったらお金稼ぎとしてガンガン向かってくれという指示が出たので、近くで待機をすることにする。

 警察がロケランをぶっぱした人を回収していったと確認を取って、キャバクラに向かう。まずは救急隊の面々を治して人手を増やしてから治療に当たった。

 死屍累々で、ロケランの報復でマシンガンなどを使って一般客が結構巻き込まれたらしい。キャストが武装をしているとか物騒すぎる。黒服が武器を持っているならわかるけど、やったらやり返しての大騒動で中にいたほとんどの人が死んでいた。

 知り合いは救急隊だけ。エクリプスで巻き込まれた人たちはいないらしい。『ドラッカー』の女性陣はこのキャバクラでお金を稼ぐより麻薬を作って売ったほうが儲けが良いとかで来る理由がなく、イソラ先輩とハピハピ先輩はこういうのに向いていないからとパス。

 お客としても来ていなかったようだ。

 なんて健全な事務所なんだ。

 ただポラリス先輩が制圧に来て巻き込まれたようだ。可哀想に。

 

「助かったぜ、心の友よ……」

 

「いえいえ、災難でしたね、ジョシアさん。治ったばかりって治療できるんでしたっけ?」

 

「多分できる。金巻き上げるぞー!」

 

 救急隊も増えてきたので、次は警察を優先した。ポラリス先輩を始めとした警察として頑張った人たちを助けて、その次に巻き込まれたお客さん。最後にキャストや黒服という順番で治すことになった。

 その過程で、お客の根本さんを治すことに。絶対に間宮君の話題は出さないぞ。

 

「助かりました〜。えっと、絹田リリさん?どこかで聞いたことがあるような……?」

 

「Vtuber事務所エクリプスに所属しています。以前は僕の同期の水瀬夏希さんがお世話になりました」

 

「ああ、水瀬さんの同期の!パパさん?ということは、『スパイラル・グローリー』の作曲家さん⁉︎タヌキさん⁉︎」

 

「そうなります。あの子はどんな紹介をしたんだか……」

 

『声優さんに一発で伝わるの、すげえ』

『出演してるアニメのOPだからな。そもそも作曲家なんて表にまず出てこないし』

『コイツ、マジで職業なんなん?』

『Vtuber兼作曲家』

『もうそれでいいよ』

 

 認知度がおかしい。まあ、他の声優さんたちからすれば誰ってなるだろう。たまたま縁があっただけだ。

 雑談配信でも話しているけど、俺も水瀬さんも別にアフレコ現場には行っていない。もしかしたらアニメの放送終了後の打ち上げパーティーには呼ばれるかも、と聞いてはいるものの、行くかは微妙だ。陽菜ちゃんは間宮君が行くなら行きたがってたけど、この前の特番で生で会っているだろうに。

 根本さんとはそこまで話すことはなかった。治すべき人がたくさんいたからだ。彼女はキャストというわけではなく、可愛い女の子に癒されに来たら巻き込まれたということ。女性は結構キャバクラに顔を出している印象で、逆にホストにお客として男はあまり行かないのは性差なのだろうか。

 俺がキャバクラに関わったのはそれだけ。全員院外で支払いを貰ったので、かなり稼げた。キャバクラで遊ぼうとしていた人たちだし、お金にそこまで困っていないだろう。

 キャバクラはこんな騒動があったので、一時営業停止。キャストが働く時は武器の所持が禁止になったようだ。お店にはロッカーもあるので、武器を持っている人はそこに預けるか、そもそも持ってこないというルールに変わったらしい。

 同じような事件を起こされても困るし、妥当な指導だろう。

 その後は病院に戻ったり、呼ばれたら行ってということを繰り返していた。僻地での死亡通知が出て、3367という随分遠いところへ向かっている最中。上空を旅客機が通っていた。

 

「あんまり空とか見てなかったんですけど、この空って飛行機が通るんですね。飛行場があるのなら、おかしなことじゃないか」

 

『いや、おかしい!リリ、逃げろ!』

『ヘリコプター操縦してて、飛行機に出会したことあるか⁉︎あいつ落下してくるぞ⁉︎』

『え、やばいの?』

『落下⁉︎これも犯罪の一部ってこと⁉︎』

 

 コメントが一気に加速したからなんだと思ったら、あの飛行機が落ちてくるらしい。

 その速度は結構速くて、かなりの巨体だったこともあって避けられそうになかった。

 これ、死んだな。

 

「これが霜月さんたちがやろうとしていた飛行機ジャックかー」

 

『呑気だな、リリ?』

『まあ、死が軽い世界だし』

『激突!大爆発!』

『リリが死んだ!この人でなし!』

『それはそう。飛行機の電波を狂わせて落下させて、無事な荷物を漁って売っ払うんだから』

『とんでもねえ大犯罪だな?』

 

 飛行機に押しつぶされて死亡。車も大炎上だ。普段使いの方で良かった。高級車の方だったら泣いてたかもしれない。

 これは買い直さないとな。

 この大事件を起こしたであろう人たちが騒ぎながら近付いてきた。

 

「初めての成功だ!さっさとズラかるぞ!というか犯罪やる前に食べ物切らすなって!」

 

「ごめんなさい〜!」

 

「あ、皆さん急いだ方が良いですよ?死亡通知が重なっているので、警察もすぐ来ると思います」

 

「うわあ⁉︎知らない人の声がした⁉︎」

 

「もしかして巻き込んだ⁉︎」

 

「巻き込まれた救急隊ですー。確かこういう犯罪って警察に通知が行くのを遅らせられますよね?でもどなたかと僕が死んだ分で死亡通知が2件警察にも飛んだので、怪しまれてると思いますよー」

 

「ありがとう、救急隊の人!大体奪ったら逃げるぞ!」

 

 アドバイスをしたらさっさと帰っていった人たち。視線は動かせなかったのでプレイヤーネームも見えなかったけど、だいぶ良い声だったな。

 コメント欄を見ていたら声優さんだったらしい。今日からの参加で半グレとのこと。お仕事が忙しくて後半しか参加できなかったんだろう。そのため自由に遊べる半グレをやっているようだ。SNSでリスナーが見たらしい。

 やってきた警察に回収されて病院まで連れて行ってもらった。誰にやられたかは飛行機の残骸に埋もれていたために見えず、多分3人組ということしかわからなかったと伝えた。治療しに行ったら巻き込まれたと。

 本来ならシロ市民を殺してしまったらXXXで指名手配になるのだが、俺がプレイヤーネームを見られなかったために指名手配になっていない。警察も逃げられたようだ。3367は逃げた犯罪者の一味だったと救急隊にも伝えて、何かあれば治療されに来院するだろうと伝えて向かわないことに。

 

「いやあ、酷い目に遭いました」

 

「救急隊ってあんまり死なない職業のはずなんだけどねえ。落ちてくる飛行機、避けられなかったんだ?」

 

「飛んでるのはそういうものかなって思って。というか、落ちてくるスピード結構速くて、避けられませんでしたよ」

 

 ナナホシさんとそんな話をしつつ、ちゃんと動けるように回復してからまた業務に戻った。その前に安い車を買い直す。バイクだと乗せられる人が少ないので車の方が何かと便利だ。

 日程も後半になったからか、犯罪が活発化して色んなところで死亡通知が起こる。犯罪をやっている人たちは結構な人がドラッグを使っていたので、救急隊としてはかなりの儲けになる。『ドラッカー』の人たちもかなり儲けているだろう。

 彼女達は麻薬の売買だけではなく、軽犯罪も行なっているらしい。最終目標はパシフィックの攻略ということで、似通っているミニゲームをやって訓練を積んでいるとか。以前真紀さんと但馬さんが捕まった飛行機墜落事件も、その一環だ。

 後は訓練場で武器の使い方を学んだり、アイテムを使ったミニゲームのやり方を教わったりと、着々と準備を進めているようだ。武器とかも買い漁り、経験も物資も溜め込んでいる時期のようだ。

 俺も準備のために、イソラ先輩の元を訪れる。便利なものはNPCのお店では売っておらず、プレイヤーが自作するしかない。そんな時間がないために、俺はクラフトをやっている人たちに頼ることにした。

 

「変声機、500万だよ。他に必要なものは?」

 

「暗視ゴーグルとかサーモグラフィーが見れる奴とか、犯罪で使いそうなものは一式欲しいです」

 

「うむうむ。リリも悪くなってきたねえ。アイテムの説明とかするからちょっと待ってね」

 

 取説も一緒にやっていただいて、いろいろなアイテムを買い漁る。ヘリコプターを買うための節制とは言っていたものの、この買い物で結構使ってしまった。ヘリコプターは買えたらくらいのお気持ちだったので、まあなくても良しとしよう。性能の良い車は買ってあるから、移動手段はそれで十分だ。

 買ったものは全部自宅のロッカーにしまい、危ないものなんて所持していませんよとアピールをしつつ救急隊に戻る。

 9日目もそんな感じでどこのギャングも暴れて忙しく。

 10日目にはとうとうパシフィックの再チャレンジが行われて、ギャングと警察の総力戦が巻き起こってギャングが勝利を収めて街では花火が打ち上がり。

 最終日の11日目がやってきた。

 

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