GTAというお祭りが終わって、休みもいただいて数日経った、もう月末と呼べるような頃。
真紀さんとコラボでGTAの振り返り配信をすることになった。切り抜きを見て振り返るという内容なのだが、切り抜き鑑賞会だったりクリップ鑑賞会と名前をつけたりしている。関係者各位には切り抜き鑑賞をしたり、名前を出す可能性がありますと伝えておいて、不許可の人がいなかったのでそのまま実行する。
そもそもゲーム内で関わっているのだから切り抜きで名前を出すな、なんて面倒な人はそこまでいないんだけど。たまに事務所の権利的な問題で切り抜きをそもそも禁止していて、切り抜き動画であってもそれは不許可のものなので見ないでください、という人もいる。というか1名いた。なのでその人の動画の切り抜きは見ない。切り抜き内にいたくらいなら問題ないのだが、その人の話題が中心になっているものは禁止ということだ。
契約とかガチガチのところもあるし、その方は結構小さい企業事務所所属で所属しているタレントも2人くらいの零細企業なために、悪質な噂の流布を防ぐために禁止にしているようだ。
切り抜きなどで話題になる気もするけど、そこは事務所の方針だから部外者は口を出さない。今回も知名度アップで参加したはずなのに、それで人気は上がったんだろうか。
あとは無編集な物をただ垂れ流しているだけの切り抜きも見るつもりはない。そういうのは大体再生数が少なかったり、低評価が入っているのでオススメには出てこないはずだ。見てほしい切り抜きもリスナーに募集しておいたので、それらを見ていけばいいだろう。
「皆さん、こんばんはー。霜月エリサです。今日はリリくんとね、最近あったGTAの切り抜き鑑賞会をやっていこうと思います。リリくん、音声は大丈夫かな?」
「はい大丈夫です。皆さんこんばんは、お邪魔しています。絹田リリです。僕と霜月さん、基本は救急隊とギャングで別れていたので11日間の全貌って全然わかっていなくて。エクリプス以外の方々の切り抜きも見ていきますので悪しからず」
『GTA切り抜ききちゃー!』
『ここまでがお祭りってわけよ』
『参加者多すぎて何が起こったのかなんて、配信者もリスナーも運営も誰も全部は把握できないだろ』
『だって11日間を200人以上のメンバーが好き勝手にあの世界で暴れ回ったんだぜ?何時間どころか何ヶ月あれば把握できんのよ?』
『だから気になったところをピックアップしてくれる切り抜きがありがたいんだよね』
今日もコラボで通話を繋げている風にしているが、実のところ俺の家で2人して配信をしている。長時間コースだし、明日は夜まで予定も入れていないのでゆっくりしたい。そういうのもあって2人で少し離れて配信をしている。
環境音やお互いの音が入らないのはテスト配信で確認済みだ。最近の防音設備ってお高いけど優秀なんだよな。エクリプスの事務所が音楽関係だったこともあって遮音性の高い機器については伝手があって、割と格安で揃えさせてもらった。案件配信などもしているくらいだ。
オフコラボをしているなんてわからないように徹底しながら、切り抜き鑑賞を始める。
最初はコウスケ先輩が早速死んでしまったところのショート動画だ。
【え、えっ⁉︎なんか倒れたんだけど⁉︎ポラさん、これ何⁉︎銃撃⁉︎】
【いや、そんなことないでしょ。コウスケ先輩、左下のゲージで真っ赤になってるやつない?それか黒くなってるやつ】
【左下?え、なんか軒並み真っ赤で1個だけ黒いやつあるわ。水滴っぽいマーク】
【ただの脱水じゃん……。真っ赤ってことは空腹とストレスもヤバいんじゃ?そこら辺、HPゲージと変わらないっスよ。救急隊来るまで死んだままですね】
【そんなー!】
「コウスケ先輩、経験者だよね?」
「1年振りでゲージの見方忘れていたそうです」
そこから数分経って俺が来て、俺にダッサと言われて動画が切られていた。コウスケ先輩の言い訳フェーズは意図的に切り取られているっぽいな。今日の配信画面は真紀さんの画面なので視聴者も真紀さんのリスナーが多い。
俺のリスナーだと直に見ていたので言い訳まで聞いていたものの、真紀さんのリスナーは初見の人が多かったのかコメントでもダサいとかコウスケ先輩にガッカリしている人が多い。
久しぶりに触ったゲームの操作方法がわからないのはよくあることだけど、初期配布セットもあるから水分とかの重要性はわかると思うけどなぁ。
次の切り抜きは真紀さんも参加していた麻薬ギャング『ドラッカー』の初日の豪運まとめという切り抜きだ。今回は本当に麻薬関係は切っても切れないほど暗躍していたので『ドラッカー』周りの切り抜きは再生数も多いようだ。
まさか2日目にパシフィック襲撃を計画して、その決定打になったのが麻薬の流通が始まっていたから、なんだもんな。
複数視点での動画が纏められていて、ドロッセル先輩を中心にして『ドラッカー』のメンバーを勧誘しているところと、集まった女性達を班編成して素材集めと研究施設の場所確認とタクシー襲撃班へ別れていった。
「組織編成、ガチすぎません?」
「ドロッセル先輩が凄すぎたよ。大体指示を出してくれたし、初心者には素材回収班に割り振ったり、ブラックマーケットの使い方とか教えてくれたり。あ、レシピが集まり出したね」
「めちゃくちゃ種類あるのに、よく揃いましたね?」
「そこはやっぱり運だと思うよ。初日の最終状況だと割と穴抜け状態だから」
トランシーバーと通話を駆使して、集まった情報をメモ帳に纏めて、それを全員に配布。手に入れた情報を共有しまくって、何が足りないのかをずっと把握させていた。
あとは人海戦術も大きいだろう。タクシーを見つけたら追尾して、銃で脅してトランクの中身を探る。もちろん空のこともあるし、レシピの内容が被ることもある。そんな発見報告なども逐一纏められており、埋まっていく情報を見ていくのはある種快感だった。
「おお、だいぶ埋まる物ですね」
「あ、この後。ミヘッシャさんがタクシー会社見付けるんだよ。多分初日のMVPはミヘッシャさんじゃないかな」
【あ、ああっ!緊急報告!5438にタクシー会社発見!こんな郊外にタクシー会社作るな!街中に行くまでにガソリン使っちゃうでしょうが!】
【え、ナイスー!エリサさん、但馬さん!手が空いているのなら5438に!レシピ分取ろう!】
『ドロッセル物騒だな』
『他の人も皆テンション高いwww』
『初日にノーヒントでタクシー会社なんて普通見付けらんないでしょ』
『こっからレシピ高速回収かぁ』
どんどん埋まっていくレシピの数々。そしてようやく1種目が埋まった時には全員でおめでとうコールがトランシーバーで起こっていた。その後すぐに材料を持って研究施設に向かって生成を成功させ、大量生産をしているシーンで俺が突っ込む。
「あの?研究施設も非公開情報じゃありませんでした?」
「ここでは省略されてるけど、これは他のギャングに教えてもらった情報だったはずだよ。アジト探してたら偶然見付けちゃったって。2個目以降は2日目に見付けたけど」
「研究施設も複数あったんでしたっけ?」
「そうそう。合計3つ。だから警察から逃げるの簡単で。作りたい放題だったよ」
『悪いチームだ……』
『実際警察は普通の犯罪に対処しつつ『ドラッカー』のことも警戒しなくちゃいけないんだから。無理だろ』
『銀行強盗なんてお手軽犯罪、半グレもやってるもんな』
『警察は頑張ってたよ、マジで』
『ギャング辞めて警察になる人も多くて後半は拮抗してたと思う。逆に前半は、ね』
『それでも一応、運営側が人数制限してたんだけどなぁ』
生成したドラッグを早速使って効能チェックをしていて、スマホも出せないデメリットが発覚。そこでドロッセル先輩が口の堅そうな救急隊はいないかとスクロールしたところで俺の名前を見付けて、「あ」と言いつつ見付けたと大声で報告。俺の名前をデカデカと出しつつ、エクリプスでドロッセルの後輩と注釈付きで紹介されていた。
この切り抜き、人の紹介も細かくやっているのも評判な理由なんだろうな。
俺が治療をしているシーンではセリフの前に宣材写真として扱っている立ち絵を丸で囲みながら付けていた。テロップに見事に外部協力者とデカデカと書かれていて笑う。
誰の味方でもないつもりだったんだけどな。
その次に見たのはリリの闇医者リーク集というもの。何か事件があるとすぐに真紀さんへリークしていたことから作られた切り抜きだ。
この切り抜きは俺の動画をよく切り抜いてくれる人が作っていた。見覚えのありすぎる投稿者だった。
とにかく全部をリークして、そのせいで本当に外部協力者扱いを切り抜き動画のコメント欄でされていた。だってそっちの方が面白いじゃないか。
その次は2日目のパシフィック襲撃。エクリプスで関わっていたのは最初のドラッグ販売でドロッセル先輩が出ていただけで、あとは特に関わることなく他の方々の勝負が映っていた。
流石にパシフィックのミニゲームは難しかったのか、失敗判定になってパシフィックの中で10分間の籠城戦をさせられることに。その後なら金塊相当のアイテムを持ち出して逃げ切れれば成功という形になったようだが、ギャング側はドラッグを使っても防衛戦で守り切れずに金持ちの人も倒されて全滅させられていた。
動画を見ていて思ったのが、警察側の動きが凄い良い。
「アーマーとか武器の提供があるとはいえ、警察の皆さんすごく上手くないですか?」
「GTA経験者が多かったみたい。それにパシフィックは告知を出さないといけないから、警察総動員にできて人数差があったのも失敗の大きな要因だよね」
「ああ、そっか。大型は告知を出さないといけないんでしたね。だから不慣れな人以外は全員投入できたのか」
『ギャング側は20人くらいで、警察40人なので、いくら防衛戦とはいえ倍の人数はね』
『それは無理ポ』
『この裏で『ドラッカー』は荒稼ぎしてんのか』
『マジで利益って意味ではドロッセルたちやばかったんじゃね?』
まさかの2日目のパシフィック襲撃の全容も確認できたので次の動画へ。
リスナーに是非見てほしいと言われた『紅のブタ』の犯罪失敗集。コウスケ先輩がリーダーをやってポラリス先輩も参加していた小規模ギャング集団だ。
銀行強盗のような小さな犯罪なら割と頑張っていたのだが、中型になり始めた瞬間、人数が少なかったことや協力してくれるギャングがあまりいなかったので半グレの人しか募集できずに失敗しまくる動画だ。
警察をあと2人くらいまで倒している惜しい時もあったものの、結果としては全部失敗だ。実際操作は上手く、足りない部分はドラッグで補っているものの借金が続き、どんどん解散に向かっていくという衰退の物語になっていた。
画面右上にある総資産の額がどんどん減っていって、最後の犯罪の前にはマイナスになっていた。
そんな一時間に纏まった『紅のブタ』の解散までを見ている途中で、真紀さんがポツリと呟く。
「ポラリス先輩、なんか舞田さんとマレニアさんとその……。距離が近くない?」
「あ、霜月さんもそう思いました?結局3人で警察になっていましたし、仲良かったですよ」
「へー。……へー」
「霜月さん?」
「あ、いや。大丈夫なのかなーって。舞田さんもマレニアさんもかなり人気の方だから、こういうことして大丈夫かなって心配になっちゃった」
「多分大丈夫だったんじゃないですか?」
ポラリス先輩が炎上したって話は聞かないし。でもやっぱり距離感近いよなぁ。それとも男女の交流ってこんなものなんだろうか。
エクリプスの同僚でもなく、同業他社だからなぁ。いまいち接し方というか距離感が迷子だ。救急隊の医院長だったナナホシさんの当たり屋芸は100%間違っている。
動画が進んで、最後の中型犯罪も失敗。最終的な借金は俺が切った請求書の合計が込みになって3470万のマイナス。中型犯罪を成功させればこんなお金も一発で消せたっぽいのに、失敗したために全部が裏目に出ていた。
そうしてこの後はそれぞれの道を行くことになる。他のギャングになる者。警察になる者。そしてホストを経験して結局警察に行き着く者。6人の行く末はまた別の切り抜き動画で出しているようだった。
そして次は、リスナーの求める声の多かった俺がホストとしてエクリプスの面々に接客している切り抜き動画だ。
「これ、何でコウスケ先輩だったの?」
「偽名を使うなら身内が良いかなと思って。それに3Dお披露目で2回も化ているので十八番かなと。ゲーム内にも居たので誤魔化せるかなという浅はかな考えです。そのせいで、ほら。早速ドロッセル先輩に捕捉されてるじゃないですか」
俺の衣装替えでワインレッドのスーツを着て名前をコウスケに変えるところから始まり、宣伝写真をSNSにジョン先輩が上げてすぐドロッセル先輩が見付けていた。コウスケ先輩ではなく俺だとすぐに見破り、即座にイソラ先輩とハピハピ先輩に電話をして一緒に行かないかと誘っていた。
イソラ先輩は即答。ハピハピ先輩はこれから中型犯罪に挑むからと断ったのを聞いてドロッセル先輩は麻薬密売による利益を得るように指示を出していた。こうしてまた警察は犯罪対処中に麻薬ヘイストの通知を受けて『ドラッカー』にヘイトを貯めたのか。
そこのリーダー、ホストで散財しようとしてますよ。
ドロッセル先輩たちは俺のことを一貫してコウスケとして扱うと事前に取り決めをしつつ、リリとして弄ろうとも決めて入店してきた。ジョン先輩もメンツを見て速攻悟って、予約していなかったのに指名客を言い当てていた。
内容については割愛。改めて楽しかったか真紀さんに聞いたら新鮮で楽しかったとのこと。
真紀さんが喜んでくれたのなら良かったけどさ。
その後は自転車のフルカスタムによる暴走チャリ集団に苦労する警察の姿だったり、10日目のパシフィックの熱い攻防。声優さんたちによる半グレ集団の珍道集。イソラ先輩たちクラフト勢が何をやっていたのかの闇の商人っぷり。仔鹿さんの結婚に至るまでのギャグばかりの恋愛劇などを見ていき。
そして最終日の『ドラッカー』メインのパシフィック襲撃を多数視点で見ていた。
「リリくんが参加するなんて本当に知らなかったんだよ。同期にも隠すのは酷くない?」
「サプライズをする相手は同期が一番面白いに決まってるじゃないですか。ドロッセル先輩とナナホシさん、それに運営さん以外、僕が半グレになるの知らなかったんじゃないかな?ジョン先輩にはバレてたけど」
ジョン先輩にはボイスの件で脅されていたので必然的にバレていた。ちなみにボイス集の切り抜きは断固として見なかった。リクエストは多かったけどね。
パシフィックは全員のキルとアシストなどを丁寧な説明文付きで解説しているどの順番でどうやって倒されたのかが見やすい動画になっていた。
コウスケ先輩を倒して、乗っていたヘリを遠隔操作で爆弾にされたところを真紀さんは見ておらず、やられたところは割と間抜けだったので言葉が詰まっていた。コメント欄も結構辛辣だ。終わった後にコウスケ先輩を倒したことは伝えたものの、過程は全然説明してなかった。
コウスケ先輩、なんだかんだで俺と関わりすぎだろう。
ヘリ操作が終わったら俺のパートは終わって他の人々の視点になる。真紀さんは屋上でマシンガンを撃っていた。屋上も侵入されないように重要な防衛線の1つだ。
俺が正面玄関で無言でアシストしていたのを初めて見た真紀さんが、声を大きくする。
「えっ、これは報告しないとダメだよ!マミさんが凄腕なんだって思ってたよ⁉︎」
「良いんじゃないですか?最終日ですし、むしろ無言だったから急に合わせて慌ててやられるとかもなかったですし。強襲は静かにやらないと効果が薄いですよ」
屋上の銃撃戦が激しく、ドロッセル先輩もやられていた。そんな中、俺が第2波として車で突っ込んできた警察を倒して合計4キル1アシストだった。この後金持ちを逃してクリアが決定した時のドラッカーの面々の姿を映して戦績が発表されていった。
上には上がいるもので、6キルしている人がいた。俺はゲストなんだし、こんなものだろう。
「リリくん4キルもやってたの⁉︎影のMVP⁉︎」
「いえいえ、金持ちの方々が頑張ってくれたからですよ。僕なんて外でウロチョロしてただけですし」
「謙遜しすぎるのもダメだよ?」
「うーん。じゃあ頑張ったぞー!でも報酬もちゃんともらいましたし?楽しかったのが一番の報酬ですよ」
『実際、ゲストの半グレの人たちもそこまで戦果を誇らなかったから、リリが誇るのもなぁ』
『あれはゲストの人たちが潔すぎた』
『他の『ドラッカー』の人たちもこの切り抜き見てリリめっちゃやってるじゃんって話題になってたぞ』
1つ1つの切り抜き動画が長かったために、6時間も配信をしていた。他にもたくさんの面白い切り抜き動画があるのは知っているが、全部を見るなんて到底不可能なので俺たちはここまで。
気になった人の本配信などを覗きに行ったり、切り抜きを個々人で楽しんでもらうように言って配信を閉じた。寝る前に他の配信中の人は何をしているのだろうと思って動画サイトを見ていると、深夜だというのに配信中の人たちがいた。
但馬さんとチェリーさんがコラボをしているらしい。鳩禁止でなりきりゲームみたいなものをやってるけど、そんなのに許可って来てたっけ?
怪しくて真紀さんと一緒に見てみる。概要欄なども見て、彼女たちがやろうとしていることを見て。
俺はスマホで通話をかけた。
・
但馬とチェリーがやっていたのは最近発売された『友人コレクション』という昔からある、とある島に様々なキャラクターを住まわせて彼らの生活を神様として観察しようというゲームだ。キャラクターは顔などを描けるために、現実世界の有名人やアニメキャラクター、それこそVtuberなどを登場させられる。
そのため、特にVtuberでは身内を登場させて本人たちではありえないような交友関係を築かせたり、それこそ結婚したりする。その生活の面白さを提供するようなシミュレーションゲームだ。
彼女たちがやっているのはFORを登場させて、リリとエリサを結婚させようという恐ろしい計画を立てていた。そのためにバレたら100%怒られることもあって鳩禁止と動画のタイトルに書いて、SNSでも告知の際にコラボとしか言わずに誰にもバレないようにした。
「どうしてっ!どうしてチェリーの方ではすぐに結婚まで行ったのに、こっちだと付き合ってくれないの〜⁉︎」
「すぐと言っても2時間はかかりましたけどね〜。火乃香さんは神の手でエリサさんと夏希さんが付き合うのを止めたのに」
「これなら恋愛対象を異性にだけ絞れば良かった〜!今からでも変える⁉︎」
「そうしたらエリサさんのお相手は絞られますが……。一応レギュレーション的には自然に任せるというものだったのでは〜?」
「そうだけども!こうも進展がないとどうすればいいか……」
但馬とチェリーで同じ条件で始めて、チェリーはさっさと2人が付き合ったかと思ったらまさかの0日婚。あまりの速さに自身の配信画面を閉じて但馬の方の画面に集中しているような状況だ。
但馬の方は神の手で女子同士が付き合いそうになったのを止めたが、それ以降誰も恋愛をせずにただ3人仲良く暮らしているだけ。リスナーもこれでもう良いんじゃねという諦めムードになっていた時。
但馬とチェリーが使っていた通話アプリに着信が来た。
「え、バレた?もしもし、お疲れ様です。……はい、はい。もしかしてリスナーから鳩が飛んだり……。していない?あ、配信に音乗せますね」
「お邪魔します。絹田リリです。2人共さぁ、こういうのやるなら裏で確認取らないの?」
「「全くもっておっしゃる通りです」」
「仲良いね?というか普通のプレイじゃダメなわけ?何で僕と霜月さんを結婚させようとするのさ……」
『バレてんじゃねえかwww』
『やーい、怒られてやんのー』
『リリ、俺たちは止めたんです!信じてください!』
『このゲームはそういうもんだってわかってるし、チェリーの方で成功したんだから良いんじゃねってコメントはしてたんですよ。本当に』
コメントも自己擁護を始めて、但馬とチェリーはバレることは前提だったのか謝るのを速攻していた。
切り抜きなどをされたらいつかはバレてしまうものだ。まさか当日の深夜にバレるとは思わなかったが。チェリーはリリとエリサの配信が先程終わって、ついでにライブ配信をしている人を探したら見付かったのだろうと正解を引き当てた。
2人がコラボ配信をしている、且つ深夜ということでFORにはバレないまま終わらせるつもりだったのだがバレたのなら誠心誠意謝るだけだ。
そうこうしているとエリサも通話を乗せてきた。
「霜月エリサです。お邪魔します。……チェリーさんの方は仕方がないとしても、但馬さんの方はこのまま自然に任せてプレイをしてみたら?住人も増やして、ゲーム本来の楽しみ方をしてください」
「そんなぁ〜!わっちもお2人のイチャラブ新婚生活が見たいです!」
「「ダメです」」
「あら〜。息ぴったり」
「これでサジェストに結婚とか出てきて燃えたくないんだよ……!僕、2ヶ月前に炎上したばっかりなんだからね⁉︎」
「貰い事故を気にしすぎですよ。大丈夫大丈夫!とうとう結婚したかくらいにしか思われませんって!」
「リスナーの皆さんも乗り気でしたよ〜?」
『見たくないかどうかで言えば、見たい!』
『ゲームだし。そういうもんかと』
『俺たちを売らないで!裏切り者!』
『裏切り者はむしろ俺たちじゃね?』
なぜアンチに餌を与えるような真似をしなくてはいけないのか。リリとエリサは猛反対するものの、動画の評価はかなり高く、視聴者も多い。
結局チェリーのアカウントはそのままに、但馬のゲームは住人を増やして自然の流れに任せるようにという先輩の命令が下った。
最初から許諾を取って、住人も増やした上で自然の成り行きに任せるのならゲームだしそういうものだろうと彼らも認可をしただろうが、強制的に場を整えるという意図的なものなら反対した。
結局後日、自分のアカウントでも結婚したことを報告された時には頭を抱えた。ちゃんと住人も増やしたのに結婚したのなら文句は言えない。
ただその後、「リリ エリサ」と検索をかけると「結婚」がサジェストに出るようになったのはどうしようもなかった。あくまでゲームの中の話だというのに、割と検索をされてサジェストに出てくるのはどうしようもなかった。