続くビンゴ大会。各々の参加者の配信の方でも当たった賞品についてあーだこーだ話し合うライバーたち。本配信でもカラグリオット組が当たった商品をどうして選んだのかを話しつつ、買い物エピソードなどを披露していた。
コウスケはリゴブロックのものを買う時にはスタッフにHPを確認してもらいつつ、住所も事務所にしてもらうことで初の海外ネットショッピングをこなしたこと。ドロッセルは先程のコスプレ一式は専門店へわざわざ行って揃えて、かつウィッグもキャラに合わせてちゃんと専門店の人にカットをしてもらったことなどを話していた。
「本格的なコスプレの専門店って本当に凄くて。色々なキャラの服や靴とか、そこで一式揃えられる上にオプション対応とかもしていただいて。それこそウィッグのカット調整でしたり、メイクに使うにはどんなものが良いのかだったり。コミケも近いからか、結構コスプレイヤーさんの方も来店していましたよ。コミケの注意点を教える初参加者向けの講習会とかもありましたし」
「へー。コミケは聞いたことはあっても参加したことはなくて。企業ブースの物を事後通販で取り寄せたくらいでして。皆様はどうです?」
「俺もなーい。興味はあるんだけど、夏は暑さでやられるだろうし、冬は本当に年末年始だからやること多くて」
「オレもないな。お盆も年末年始も長時間滞在する時間が取れなくて、参加を考えたこともない」
カラグリオット組はコミケにはあまり参加できない集団だと再認識したところでビンゴ再開。
次に当たったのは宗方だった。
「うむ。上位入選ということは豪華な賞品を貰えるということだな。もし良い品だったら母上に渡そう」
「すぐに譲渡の話はしないでいただけると……。お目当てはありますか?」
「母上と話していて11番が良さそうだと」
「11番ですね」
もう宗方がネムリアのことを母上と呼ぶことを誰も突っ込まないまま、中くらいの大きさの袋が開けられる。
そこから出てきたのは、炊飯器だった。
「こちらわたくしセレクトの炊飯器になります。最近の炊飯器はパンが焼けたり様々な機能が付いていますが、こちらは本当にお米専用!お米の種類と予約時間だけボタンがありまして、押すだけでふっくら石釜で炊き上げたかのような美味しいお米が食べられる品ですわ」
「炊飯器!わざわざ火を確認しなくて済むのは本当に助かる故。おこげなども作れるのであろうか?」
「そちらもボタンでできますわ。詳細はネムリア様と一緒に説明書を読んでいただけると」
「うむうむ。良い品を頂けた。先輩方、かたじけない。どうせ事務所からも近いのだから、今度事務所のついでに顔を出していただければ拙者がお米を提供致そう」
「それ本当に米だけ出てくるやつじゃ……?」
『メーカー確認できたけど、これも普通に3万くらいしねえか?』
『だからさぁ、オーフェリアはこの企画の金銭感覚をぶっ壊したいわけ?』
『とりあえずオーちゃんの賞品当てたら勝ち確か?』
『男子は1万位内に収めた賞品用意してんのに……』
『まだドロッセルの大当たり枠があるから、女子が全部壊している可能性がある』
『ちょっと女子〜?』
『それ言われるの男子じゃない時あるんだ……』
宗方が事務所のすぐ近くに住んでいることは周知の事実だったため、この後取りに行くと豪語した後。
やはりイベントの話になり、宗方の主な話としては殺陣指導と最後の勇者との入れ替わりによる殺陣だろう。
「やはり演技というのは難しい!ぼいすも何度かやらせてもらったが一向に上達する気配もない!あの音声を切り抜くのは楽だったから今後は全部あの方式にしてほしいくらいだ」
「それは本人から言われてたからそうしたけど。それと殺陣指導ですっごく助かった。リリと一緒に理想の動きをしてくれるから、むしろそれに合わせるのが難しかったくらいだ」
「いやいや、皆様方の反復練習と質問があってこそ。あれだけ熱心に動きを覚えたのなら、江戸時代であれば皆一角の武士になれたやもしれん」
「マジ?俺も武士になれるかなぁ⁉︎」
「コウスケ殿の場合は10年ほどじっくり基礎の型を覚えればそれはもう立派な人斬りになれたであろう。筋が良い」
「10年⁉︎これって褒められてるのか⁉︎」
「10年程度で人を斬れるなら修練の意味はあるだろう?」
「クリスマスに物騒な話するな!やめやめ!」
『宗方の言葉はどこまで信じれば良いのかわからん……』
『本気か冗談か天然か判別つかないからな』
『10年で人斬りになれるのはコスパ良いのか……?才能ある方?』
『わからん。というかそれ武士じゃなくてどちらかというと暗殺者とか浪人とかでは?』
『そのまんま人斬りやろ』
宗方の天然トークをゴートンが止めて、もう少しイベントの話をして退室。
宗方の家に遊びに行くかどうかはまた検討ということで、ビンゴに戻った。
次に当たったのはチェリー。
「チェリー様、おめでとうございます」
「ありがとうございます〜。炊飯器欲しかった〜」
「あら、もしや自前のものが不調でしたか?」
「いえ、だってアレすっごい良い物じゃないですか〜。アレで食べるご飯は美味しいと評判ですし。本当に宗方さんのお家へお邪魔しましょうか……?」
『宗方ロックオン』
『良いなあ!俺もおっとりエッチなお姉さんにご飯振る舞いてえよ!』
『俺もあの商品買ったらチェリーが来てくれる⁉︎』
『んなわけ』
チェリーが選んだのは16番。これだけ唯一細長く、横も薄いために日用品のタオルが入っているのではないかと予想していた。タオルとかはいくらあっても困らない理論で選んだのだが、開封の前に誰が持ってきた物かネタバラシされる。
「残念だったな、チェリーさん!16番は俺だ!それに日用品じゃない!」
「いや〜〜〜〜〜⁉︎よりにもよってコウスケ先輩⁉︎」
「よりにもよってとは酷いな⁉︎」
「コウスケさんは今までの2年間の行いを振り返ってみては?」
チェリーが嘆き悲しみ、ドロッセルが辛辣なツッコミを入れて、スタッフが袋から出したのはよくある飲み会や忘年会などで使われる「私が主役です」と書かれた蛍光色で作られた大きなタスキだった。
それだけならまだしも、クリスマスらしいサンタの赤い帽子が入っていたり、グルグル模様になっていて前が見えないような鼻眼鏡。更にはよくわからない手品グッズやジョークグッズがたくさん小物として出てきた。
どこからどう見ても、シーズンものである忘年会グッズだ。
「安直では?使い道ありませんよ〜」
「今から忘年会セッティングするか!」
「バカコウスケさん。この時期から予約してお店を確保なんてできませんよ。この時期はクリスマスと忘年会で予約なんて何週間も前からしないと取れませんから」
「え?そうなの?ドロッセル。じゃあ新年会は?」
「そちらはまだ大丈夫でしょうが、新年も皆様忙しくてスケジュール調整だけで大変ですよ」
『忘年会・新年会の幹事舐めるな』
『学生も社会人も一斉にやり始めるからな。特に東京じゃ無理無理』
『全員呼ぶとしたらライバーだけでも20人超えるし。スタッフ込みだともっとだろ?この時期は無理や』
チェリーはプレゼントの内容にだいぶ不服を溢しながらイベントの振り返りに。
魔王軍寄りの中立という立場。今のライバーとしての設定に関わりそうな演出。そしてワイヤーアクションなどチェリーは短い出番ながらしっかりとした役回りだった。
「あのワイヤーアクションとっても楽しかったですよ〜。感想でも『お前が飛ぶんかい!』って結構驚かれていたのが嬉しかったです〜。ゆっくりしていたと思ったらオーフェリア先輩の魔法で一気に降ろされたことだけは結構三半規管がやられましたが。良い思い出です」
「設定周りは2人から出してくれて。唄上が日本人設定だったから桜の精とか鬼とかもすぐ理解できそうってことで出しやすいキャストだった」
「練習中も楽しそうでしたよね。3Dお披露目と並行してのことで大変だったでしょう?」
「いえいえ、原理は同じだったので。そこまで苦労はしませんでしたよ〜」
最後にコウスケへ次に会った時は覚えていてくださいと言葉を残して通話部屋から退室したためにコウスケに怖がられたチェリー。だがコメント欄は「残当」というコメントで埋め尽くされた。
実はユークリムが当てた文鎮よりもお値段がかかっているということでコメント欄が「マジかよ」とドン引き。リスナーがSNSで速報としてプレゼントの総額を出していたために、それが事実として知られわたることになる。
センスの問題だからなとコメント欄が納得したところで、次の当選者が来た。今回は同時に2人が当選したので2人が通話室にやってくる。
「お疲れ様です。亜麻井です」
「一番後輩で一番年上、頑固一鉄です」
「2人同時は今回初ですわ、おめでとうございます。それでどちらから商品を決めますか?」
「レディーファーストだし、先輩優先だろう。亜麻井君、先にどうぞ」
「やったー!1番の横見させてもらって良いですか?」
亜麻井は最初から順番に縦横を見ていき、最終的に1番を選択。四角い箱が複数入っているような形状で、これなら期待できそうということ。
そして一鉄は14番を選択。こちらは亜麻井の物とは逆に、大きな箱が1つだけ入っていそうな形をしていた。
まずは亜麻井のものから開封していく。
出てきたのは『ポケットクリーチャー』のフィギュアだった。それも一番人気の黄色いヤツと、最新作の御三家と呼ばれる旅立ちの際に貰えるポケクリたち。合計4つのフィギュアだった。ウインクをしていたり、片手を上げていたり吠えていたりと、それぞれ個性的なポーズを取っていた。
「1番は私、ドロッセルの賞品でした。最新作の、それも11月に出たばかりのフィギュアですね。結構有名な企業の商品ですし、ポケクリセンターでも売り切れになっていたかと」
「こういうのこういうの!コウスケ先輩、プレゼントってこういう王道で良いんですから!」
「悪かったなぁ邪道すぎて!」
大人気ゲームの高価フィギュアなら誰に当たっても喜んでくれるだろうという見立てで選ばれた無難なものだ。これには亜麻井も大喜びで玄関に飾ると伝える。
続いて一鉄の賞品。袋から出てきたのはそれなりに大きな箱だったが、商品名が書かれているわけでもなく、ただの白い梱包用の箱だった。そのままその箱も開けていき、まず出てきたのは『ウィザーズ&モンスターズ』のストラクチャーデッキという、コンセプトテーマに則った公式の構築済みデッキが4箱出てきた。
カッコイイ系が2つに可愛らしい系が1つ、それにアニメキャラが描かれているものが1つ。それを見て一鉄は大きく頷く。
「アニメーションクロニクル2019⁉︎これ、唄上君⁉︎」
「あ、いえ。わたくしではないですね」
「オレだ、一鉄さん」
「ゴートン君⁉︎だってこのアニメの奴、確か5年前のデッキで『
「高いんですか?一鉄さん」
「高いとも、亜麻井君。あの箱に描かれているのがアニメのラスボスで、あのままのデッキでもかなり強いからと人気のデッキさ。それにあのデッキにしか入っていない専用カードのせいでプレミアがついているはずだ。状態も良いからかなり高いぞ!」
『ストラクで?』
『まあ、デッキに必須のカードではないんだが、ここにしか収録されていない上に、販売が一般販売じゃなくて日本選手権の物販とごく短い時期の通販のみだったから』
『FORの枠でリリが絶叫してる。必死に抽選応募して3箱買ったって言ってんなぁ』
『エリーも自分が使っているデッキだと知って慌て始めた』
『これ再販されてないからもう買えねえし、開けられねえよ』
一鉄は『ウィザーズ&モンスターズ』の復帰勢なのだが、先輩たちのほとんどが紙もやっていることと、開封などは配信者として話題になることもあって最近のカードについて調べていたためにわかったことだった。プレ値がついているような物を用意しているのは噂に聞くオーフェリアなのではないかと思っていたが、用意したのはゴートンだった。
彼も珍しい物は持っていたが、他のデッキは今もカードショップや家電量販店で買える物。あくまで初心者向けで用意した物だった。
そのため、デッキには入っていないカードを保護するためのスリーブを各種と、デッキケース。それに両面プレイマットにダイスやコインなど至れり尽くせりのスターターセットだった。
「復帰勢だからこれは嬉しいよ。どれも持ってない物だったから3つのデッキは早速開けようと思う」
「それは良かった。アプリの方でも良いので普通に遊びましょう」
「頑固様!デッキを組んだらわたくしと是非対戦しましょう!懐かしいカードやデッキも用意していますので!」
「唄上のデッキが最初は荷が重い。初心者にやらせる苦行じゃない」
「苦行だなんて⁉︎わたくしのデッキの何が悪いのです⁉︎」
「レアリティ、金額。高級カードを四重スリーブにしているからって臆面もなく使われるのは心臓に悪い」
「そんな⁉︎」
一鉄は純粋にプレゼントをありがたがり、オーフェリアはバトル相手として勧められないとゴートンに嗜められる。内容自体は1個のデッキを除いて普遍的な物だったので心臓に悪い物でもなく、今度事務所に受け取りに行くことになる。
イベントの話になり、亜麻井は忙しかったので冒頭だけの出番で良かったと吐露した。殺陣もおそらく出来ないだろうからと断ったこと、メルトとの掛け合いはギャグ調で面白かったと語った。
一鉄はだいぶ歳上の役を演じたものの、役としてそこまで演じるということを気にかけておらず、割と素のまま演じたという。当て書きというのもあるが、彼の年齢的にはオーフェリアもドグマも娘息子みたいなものだという。
「それは流石に言い過ぎではありませんか?頑固様、まだお若いですし……」
「30を過ぎると一気におじさんになるというか、歳下を子供だと思うようになるというか……。君たちもなってみるとわかるさ。20代から一気に色々と変わるぞ」
「そういうものですか?」
「それと、ドグマがクソガキすぎる。そのドグマと同級生という役が相手ならこういう出力で良いだろうとリリ君と相談したらまんまいつもの自分だなと」
「適役でした。皆様若いと言いますか、大人の色気が足りない気がしてしまって」
「ポラリス君なんかは良い雰囲気をしていると思うがね?」
「確かに頑固様を除いたらポラリス様もダンディな雰囲気ですわね」
亜麻井と一鉄が帰って、次は1人の当選者だった。
次はハピハピ。KP7に勝って喜びながら、高笑いしながら通話に入ってきた。
「フフハハハハ!KP7に勝った!ビリ回避!」
「あー、そういう勝負してたんだ?ハピさん目当ての番号ある?」
「気になるのは15かな。小さい箱は質で勝負している感じ!15でファイナルアンサー!」
「あ」
そこまで勢い良くハピハピが言ったことで、スタッフが15の袋を開けていく。その動きに入った時にオーフェリアが小さな呟きを溢す。
その意味をカラグリオット組はわかったが、スタッフ含めて他の人間は誰もわからなかった。
袋から出てきたのは、金色のルービックキューブみたいな四角い箱が出てきた。
「え、見覚えある。これ『ウィザーズ&モンスターズ』の主人公が解いたパズル?」
「ええ、そうです。こちらはアミューズ商品で、本題ではなくその中に物が入っています。それは上蓋を外せるようになっているので、こうパカっと」
「ということはオーフェリア先輩のもの?」
スタッフは言われるがままに上蓋を外して、その中身をまずはスタッフが確認をする。
中には入っていたのは1つだけで、それは紫色の、ベルトがついた四角い箱だった。
アニメ初代主人公が使っていた、ベルトに通したデッキケースを模した公式グッズだ。これで主人公ごっこをしたキッズも多く、何度かリバイバル販売がされた代物だ。それさえも本題ではなく、オーフェリアの指示でデッキケースを開けていく。
そこにはちゃんとスリーブをつけられた、デッキがあった。
「え、これ何⁉︎主人公のデッキ⁉︎」
「こ、こいつ……!」
「オーちゃんやりました?」
「これもやった判定ですか⁉︎大当たり枠と比べたらかなり自重したのですが⁉︎」
「自重して15周年記念デッキを持ってくるな!15周年のロゴが入ってるじゃないか!」
『やばいの?』
『まあ、受注生産だし、それにこれ半分だし。情緒酌量扱いでも良いのでは?』
『初代のラストって主人公同士が戦うんだけど、2人はデッキが違うんだよね。こっちは通称裏主人公が使ってた方。神のカードの15周年ロゴ入りはこれだけだったから当時は高騰してたけど、今どうなんだ?』
『そもそも10年ぶりに出てきた状態Aの半分って値段が錯綜しすぎてわかんねえよ』
『今では使えるカードも少ないから、まあコレクションだな』
『リリ、持ってなくて発狂。アイツ今日結構発狂してんな』
『他でも知ってる連中は欲しい連呼してる。やっぱ初代って人気だな』
『やっぱりオーちゃんの家、カドショになってんじゃねえか!』
『多分おもちゃの宝物殿だと思われる』
カードショップにも現品がないために今の値段がわからないと誰も正確な値段が出てこなくてどれだけの価値かわからなかったが、並べられたカードがしっかりスリーブに入っていることと、色焼けなどもしておらず大きなカケなども見られなかったために状態はかなり良いと判断。
カードショップ関係者も来てどれくらいの値段を出すかなどが話し合われて、さながらオークションじみた様相をなしてきた。コメント欄はとりあえず見ないことにして、ハピハピはありがたく受け取る。
イベントの話になって、セリフが少ないからこそ殺陣を頑張ったということと、最後のKP7との演出は様々な反響をもらって嬉しかったとのこと。爪痕を残したくてKP7と相談して決めたということ。
オーフェリアはどれだけこの企画に本気を出しているんだと、全員が引くような光景が生み出されていた。これでまだ折り返し地点。
流石にこれ以上の高額賞品はないと断言したものの、それがどうだかと疑っている同期たち。プレゼントを渡す側もプレゼントの番号が誰の用意したものなのかわかっているだけで、中身は知らなかった。そしてオーフェリア自身の金銭感覚が狂っている可能性が高かったために、この後の残っている自分の商品を思い返して大丈夫かと心配になっていた。