元俳優、タヌキVtuberに転生する   作:桜 寧音

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今週からは元通りのスケジュールで更新予定です。
日曜日更新します。


エクリプスの皆様で新弾開封致しますわ!

「はい、開けましたね。それでは皆様、こんばんは。唄上オーフェリアですわ。今日は先月熱き闘いを繰り広げてくださった勇士の皆様と一緒にウィザーズ&モンスターズの新弾開封配信をして参りますわ。今回わたくしが主催として進行も努めさせていただきます。皆様、自己紹介をお願い致します」

 

「おーっす。コウスケ・フォン・ヤクモだ!今日は自力でたった500枚しかないカードを当ててやるぜ!よろしくぅ!」

 

「ゴートン・リゾマータだ。司会だった身でこんな場所に呼んでいただけるとは思ってなかった。好きなカードは『星砕きのセントレイアだからその絵違い狙いだ。よろしく」

 

「ドロッセル・アン・パルスです。私も司会ながら呼んでいただけて光栄です。ドラゴンカードがいっぱい手に入ると嬉しいなあって思ってます。よろしくお願いします」

 

「1期後期組、真崎杏よ。騎士として先の大会での敗戦の雪辱を晴らしに来たわ。大会で使ったカードはほとんど収録されてないようですが、戦いとなれば全力を尽くすまで。お願い致します」

 

「2期前半組、音無ケインです。ワタシも大会では良いところがなかったのでここで挽回したいところですが……豪運な方が何名かいらっしゃるのでハードラックとダンスっちまわないように気を付けます」

 

「2期後半組、ユークリム・ロゼリーヌ・ワカナでぇっす!今日は後輩も多いので征服できそうな予感!あ、皆さん女の子のカードちょおだい?」

 

「「「ダメでーす」」」

 

 ユークリムのいつものおねだりにコウスケ、ゴートン、音無の3人が否定する。配信でいつもやる男のリスナーにこれを頂戴とおねだりするため、こういうコラボでは男性が拒否するのが常になっていた。

 コメントでも拒否の言葉が流れているが、それを言わなかった唯一の男性のリリがロックオンされる。

 

「おやおや?リリ君は言わなかったねえ?これは侵略完了?」

 

「乗り遅れた……!いーや、あげません!トレードなら可!3期前半組、絹田狸々です。持ってない絵違いが当たれば何でも良いです。お願いします」

 

「えー、同期が先輩に誑かされて悲しくなりました。同じく前半組、霜月エリサだよ〜。今日はそんなリリくんから運を貰っていこうと思います。お願いしまーす」

 

「運はあげられないですよ?」

 

「はいはーい!私もリリちゃんから運を奪っちゃいます!同じく3期前半組、水瀬夏希でっす!『楽園』シリーズが欲しいので当たった人はトレードしてください!お願いしまっす!」

 

「はい。総勢10名で開封をしていきますわ。画面がギチギチですね。なので開封の際には開封者の方のみ画面に表示します。ご了承くださいまし」

 

 全員分の立ち絵だけで配信画面はぎゅうぎゅうだ。そのため実際に開封をする際には画面の中央にスタッフさんがパックを開けている場所を見せて、開封している2人だけ画面に表示する。音声はそのままだ。

 

『多い……。大会以外じゃ最大人数のコラボじゃないか?』

『全員で何BOX開けるの?1人1BOX?』

『リリなんて昨日も開けてたのに今日も開けるのか』

 

「えー、では今日のBOX数を発表しますね。ではスタッフ様、画面お願い致します」

 

 スタッフは唄上に言われて画面に大きなダンボールを映す。それはまだ未開封であり、側面に印字されている内容を見てコメントは一気に早くなる。

 そもそもダンボールが映っていることが異常なのだ。普通はBOXがいくつか鎮座することを想定していたのに初手でダンボールはお店でもないのに買いすぎと言われるレベル。

 

『1カートン⁉︎』

『え?カートンって何箱?』

『24BOX、ですかねえ……』

『24⁉︎』

『おいくら万円……?』

『16万円です』

『うひゃーwww』

『昨日のリリとショームが可愛く見えるな……』

 

 その箱の中身が多すぎて困惑するコメントが多く流れる。その量と値段から趣味にしても高い値段だ。

 今回は例の500枚しかない限定カード『ダーク・マジシャン』のこともあって昨日の時点で既に転売が巻き起こっている。お店からも在庫が消えかけている状況で、それなのにカートンで用意してきたエクリプスの力はどうなっているんだというコメントが溢れる。

 実際人気BOXのカートン買いはカードショップなどの店舗や大手通販サイト以外となると、コンマイのオンラインショップ会員になって最高グレードのパスを持っていないと購入ページに現れない。

 リリは唄上が購入する際に一番上のグレードであるプレミアム会員だったために度肝を抜かれたのだ。プレミアム会員は年間で何十万も使わないとなれないのだが、彼女の個人アカウントはれっきとしたプレミアム。

 彼女曰く、カートンで買うことは珍しいが、それなりに買っていたらなっていたということ。限定品などを全部買っていればプレミアムになれるという。その限定品全部を買っていればそうもなるだろう。あとゲームなどもこのオンラインショップを通してダウンロードしているようで、そういう積み重ねをしていればいつかはなれるとアドバイスをされた。

 リリはそこまでお金を注ぎ込める余裕がないのでおそらく無理だろうと、だからこそ慄いた経緯がある。

 

「はい。というわけで皆様で2BOXずつ開封していきます。ただそうすると4箱余ってしまうので、ここからじゃんけんによる争奪戦を行いますわ」

 

「1BOXはオーちゃんでいいのではないかしら?あなたのプレミアム会員パスがなければカートン買いなんてできなかったわけですから。皆さんも異論はありませんよね?」

 

「ないでーす」

 

「OK!」

 

「い、良いのですか?もう返しませんからね⁉︎言質いただきましたわ!」

 

『テンション高いオーちゃん久々に見た』

『まあ、大会でも優勝したんだし良いんじゃね?』

『オーちゃん、ホビー系と恋愛系でテンション吹っ切れるよな』

『優しい世界』

『やさいせいかつ』

『誰だ今の』

 

 残りの3BOXは宣言通りジャンケンで決めることになった。その結果追加のBOXを手に入れたのはゴートン、ユークリム、水瀬の3人。先輩から順番にBOXを選んでいき、それぞれのBOXに各々の立ち絵の顔がプリントされた紙を貼り付けていく。

 唄上がこのBOXの特徴と当たりカードを画像で紹介。その間に全員でパック開封をしていった。スタッフに渡してからパックを開けていたら時間がかかって仕方がない。そういうわけで唄上の分はスタッフが開けて、他の人は自分で開けていく。

 準備が整ったのでコウスケとドロッセルから開封していく。その際唄上とゴートン、リリが中心となってカードの解説をしていくが、人数が人数なので全部を説明できず絵違いと本当に有名なカードだけの説明になっていた。

 

「あら、『ブルーホーン・ドラゴン』の絵違い。今弾ですとバージョンが3種類くらいあるんでしたっけ?」

 

「あー、良いなあ!大会での俺の魂のカード!何で俺の元に来ないんだ……!」

 

「構図も全然違うんだね。リリちゃん、あれも今回描き下ろし?」

 

「そうそう。全部を原作の佐々木先生が描いてるわけじゃないけど、人気カードだから皆欲しがってるね」

 

 25周年レアこそ出なかったものの、人気のカードはいくつか出た。昨日のリリがおかしいだけで普通はそんなに最高レアリティのカードは出ないのだ。

 絵違いはいくつも出ているので、2人は満足していた。

 ボーナスパックを引くのは最後の最後だ。

 続いて引くのはゴートンと唄上。3BOX同士の開封だ。

 最初に当たりが出たのはゴートン。パック5枚の内、一番後ろのカードの縁からラメ加工が見えたために期待値が上がった。

 

「25周年レア確定!」

 

「綺麗〜。良いなあ、あのキラキラ加工。可愛いカードで欲しい〜」

 

「ドラゴンだったら欲しいぞ、ゴートンさん」

 

「トレードの話は最後にしろ!釣り合うならトレードしてやる!」

 

『トレーディングカードゲームだからな』

『25周年レアは25周年レアじゃないと釣り合わなくね?』

 

 唄上の方はレアが見えなかったので先に見てしまう。ウルトラレアは出たものの絵違いでもなかったので一旦ストップ。画面の中央にはゴートンのカードだけが映される。

 4枚目までは既に出ているカードだったので割愛。そして5枚目。

 アニメの2作品目の主人公が使っていたカードというか、大枠のボス枠である『愛を違わず』というモンスターカードだった。両性という性質を持つレベルの高い特殊なモンスターカード。それの25周年のカードが出た。

 

「キター!ヤンデレが行き過ぎてマジで世界を破壊しちゃう系ヒロイン!これも大当たりだろ!」

 

「絵違い、ではないっぽい?確か元からこんなイラストでしたよね?」

 

「こちらの『愛を違わず』はそもそも佐々木先生の描き下ろしイラストでして。多分そういう意味で今回は絵違いではないのでしょう」

 

「リリくん、このカードヤンデレさんなの?」

 

「アニメ2作目の第3シーズンラスボスで、元々主人公の相棒カードだったんですけど、色々な理由で敵対してしまって主人公と一緒に生きられないなら世界を全て統一して2人だけの世界にしちゃおうっていう、中々な思想のカードです」

 

 このカードは何とレアカードとしても封入されておらず、25周年レアのみで再録されているために買い取り額が高くなっているカードだ。

 あまり再録されていないカードのため、この『愛を違わず』はいつでも高騰している。それに最近強化カードが来たために求めてる人が多い。デッキを全て最高レアリティにしたい層もいるので、今デッキに1枚入れようと需要が増えていた。

 そして3BOXもあったからか、吹上も25周年レアを当てていた。

 

「あら、『ホワイトローズ・ドラゴン』ですわ。これも絵違いですわね。通常の方は既に出ましたが絵違いは初ですわね」

 

「綺麗〜!ドラゴンだけど美しいって表現が似合う!」

 

「ヒロインのエースカードって綺麗なカード多いわよね。これは収集癖が滾るのもわかるわ」

 

『主人公の中の人が主人公とヒロインのカプ厨という珍しい作品』

『あれは中の人が凄いだけ定期』

『『ホワイトローズ・ドラゴン』が主人公に貸し与えられたときに結納とかって言われたの笑った』

『結婚指輪ドラゴン』

『このカードのホロ加工のカードがプロポーズに使われたという嘘か誠かわからんエピソードが……』

『マジで?』

『当時3万円くらいしたなー。この何もかも真っ白のカード』

 

 カードとしてだけではなく様々なエピソードがあるからこそコメントが加速する。

 ちなみにプロポーズとして真っ白に加工されたカードが用いられたのは実話である。

 その後も開封を続けていき、25周年レアも数枚出る。ユークリムが『ダーク・マジシャン・レディ』の絵違い25周年レアを当ててリリを除く男性陣と唄上が悔しがっていた。

 リリと霜月のペアの開封も終わり、最後にボーナスパックの開封となった。これも剥いた順番で開けていき、最高レアリティを目指す。

 

「アッハァ!オーちゃん、『混沌終焉龍イド』の25周年レアです!これも大当たりでは?」

 

「もちろん大当たりですよ。汎用カードですもの。召喚条件も緩いので出しやすいですし」

 

 ドロッセルがラスボスのエースカードを当てたり。

 

「え、は⁉︎『ホネホネ・キング』の25周年レアなんてあるんですか⁉︎」

 

「へー。絵違いもなかったのに珍しいですね。今でもネタカードとして愛されているからでしょうか?」

 

「守備力3000って強いんじゃないの?」

 

「出されたら面倒だけど、今だとそこまでじゃないかな……。出す条件も厳しいし」

 

「いやー、音無君にはピッタリのカードじゃな〜い?」

 

「どこが⁉︎ユークリムさん、訴えますよ!」

 

「名探偵が弁護士気取るな!」

 

「喧嘩しないの。2人とも」

 

 2枚目ライバルキャラが使っていた屈指のネタカードの最高レアリティを当てた音無を揶揄ったユークリムがドロッセルに嗜われたり。

 

「『ホワイトローズ・インパクト・ドラゴン』も絵違いあるんだ……。『ホワイトローズ・ドラゴン』の進化モンスターですね。そもそも通常のカードも見てないからこれも『愛を違わず』のように25周年レア限定封入?」

 

「あ、リリくんと同じカード。緑と赤の差し色が綺麗〜」

 

「エリーとリリちゃんお揃いだ〜。いいな〜」

 

「ごふっ⁉︎」

 

「オーちゃん⁉︎急に噎せないで⁉︎」

 

『結婚指輪ドラゴンその2』

『こっちは本編でヒロインが主人公に貸そうとした時に、返答として主人公がヒロインの左手の薬指にキスをするという正真正銘恋愛の意味でのカード……』

『多分結婚指輪ドラゴンの通称はこっちが初出のはずなんだよな』

『そんな幸せそうな通称があるのに効果としては相手フィールドのカードを全部手札に戻すという割とイかれたバウンス能力持ち……』

『何でオーちゃん噎せてるんや?』

『エクリプスが誇る初代カプ厨やぞ。察しろ』

 

 リリと霜月が意味深なカードを被らせたり。

 全員剥いた後にトレードもして、最高レアリティのカードはしっかりスリーブに入れる作業もして、今日の配信は終わりとなる。

 

「『ダーク・マジシャン』こそ当たりませんでしたが、大当たりと言っていい枚数は当たったでしょう。『ダーク・マジシャン・レディ』だけでお釣りがくる当たりですし」

 

「みんなでわちゃわちゃしながら剥くのも楽しいなー。でも人数的にはかなり無茶があるから次回やったとしても人数を減らすべきじゃね?」

 

「そもそもカートンで買うのが悪い」

 

「ゴートン様⁉︎それは私を責めているのですか⁉︎」

 

「全員で1箱ずつ開ければ良かっただろ。買い過ぎには気を付けないといつか破綻するぞ?」

 

「でも!カートンで買わなければ『ダーク・マジシャン・レディ』も『ホワイトローズ・インパクト・ドラゴン』のペアも見れませんでしたわ!」

 

「……確かに」

 

「そこでオーちゃんを甘やかすのがゴートンさんの悪いところですよ?」

 

 1期前半組のいつものやり取りもしつつ、全員から締めの挨拶をして配信は終わる。

 やっぱり数が多過ぎたことと、平日ということもあって水瀬たち学生のことも考えると次回は数を減らそうとスタッフとも決める。

 ちなみに『ホワイトローズ・インパクト・ドラゴン』被りはSNSで弄られた。存外カプ厨が多いんだなとリリは帰りの電車で思った。現場で弄ってきたのは水瀬だけだったのでそこは大人たちは良識があったのだろう。

 但馬もこのことには反応してSNSで拡散していた。そういう後輩なのだと、リリは諦めていた。

 

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