元俳優、タヌキVtuberに転生する   作:桜 寧音

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後輩との初コラボ・リリ視点2

 素材集めも順調にいったことで2人の拠点作りとなった。簡単な話雨が防げる屋根のある家を作って、ベッドを置いて拠点の周りにモンスターが近付かないための松明をいくつか置いておけば良い。そこからデザインや内装はご自由にって感じだ。

 俺の家はただの木造のログハウスって感じで、内装も何も凝っておらず最低限の家具を置いてあるだけだ。拠点という感覚が強く、地下の銃弾作成工場がメインなところがある。

 先輩方にお礼で貰った物などを設置しているがそれだけだ。家具とかもレシピを解放して作らないといけないから結構手間がかかり、あまりログインしていない俺からするとそこまで力を入れられないなって感じだ。

 こうしてコラボなどで使うから配信に乗せず裏で作業をしていることもあるけど、配信ではあまりやらない。そのせいで前にこっそりログインしてたんだけど、ポラリス先輩にバレて配信に乗ってしまたことがあった。

 案の定切り抜かれて、枠を取れと言われたけど、配信以外でやりたい時もある。

 あとはRPGのレベル上げとか宝箱回収とか。サブイベントがあるならやらないけど、レベリングを長々と見せるのは微妙だと思って裏で進めている。そういう配信者さんは多いらしい。

 

「2人とも、作りたいデザインとかあるの?」

 

「わっちは和風の家!赤瓦の和テイストにしたいので!」

 

「私はツリーハウスですかねえ。まず大きい木を作って、そこに立てかけるように屋上へツリーハウスを置きたいです〜」

 

「となると染料の赤い花と大量の木材が必要かな。なら本島のキヤラド王国付近に花畑と森があったはずだからそこに行こうか」

 

「真崎先輩の領土?行こう行こう!そのまま観光だー!」

 

 但馬さんが和の家、チェリーさんがツリーハウスとなると材料が圧倒的に足りない。だから真崎先輩の領土にお邪魔することにする。この離島にもそこそこ木はあるものの、多分全然足りない。

 水瀬さんの音頭で本島へ。ワープゾーンを通って本島の中心部に着き、そこから観光を始める。

 ワープゾーンの先に、既に観光名所があった。

 ただの掘っ建て小屋。

 コウスケ先輩の拠点だ。

 

「はい。これがエクリプス名物、『世界を救った報酬』だよ」

 

「え?ただの小屋、ですよね……?わっちの目がおかしくなった?」

 

「火乃香ちゃん、きっと内装が凄いのよ〜」

 

 チェリーさんが期待しているところ悪いが。

 中はチェストが大量にあるだけで、あとはベッドしかない。地下もない。

 本当にただの小屋だ。

 

「ええ〜……?」

 

『その反応待ってた』

『正真正銘、ただの小屋だからな』

『マジで改造とかしてないのか』

『本人も寝るためだけの部屋って言ってたし』

 

「チェスト見てみると良いよ?そこだけは圧巻だから」

 

「エリサ先輩、騙そうとしてます?」

 

「これっぽっちも?A型大歓喜のチェストだよ」

 

 霜月さんが促して但馬さんがチェストを開ける。

 俺も前見たけど、これは誇っても良いと思う。

 

「え?これ、項目ごとに整頓されているんですか?しかも1ストックごとある……」

 

「誰かが持ち出してない限り、全素材が64個ずつあるんだって。ここ、1期前半組の倉庫扱いされてるんだよ。コウスケ先輩は『ユービル』にあんまりログインしないから、他の先輩方に好き勝手されてるって」

 

「ここを使ってるの、ドロッセル先輩が一番らしい。好きに持っていっても良いけど、いつか補充しておいてとは言われてる。そこの右2つのチェストが貸し出し証書と、中途半端なアイテムが入ってるやつだから、持って行くならそこに記入して」

 

 ここの使用規約も伝えておく。

 レシピでしか作れないものなどもここには置いてあり、全部の素材を1個受け取るとクラフトレシピが埋まるようになっている。作りたい素材があったらここで借りてレシピを解放して、その素材を集めに行くのが効率が良い。

 だから本島の一番アクセスがしやすい場所に設置されている。

 

「うわっ!ダイヤもダイヤで作る加工品も全部1ストックある⁉︎怖……!」

 

「ええ〜……?どれだけ豪運ならこんなことになるのですか……?」

 

「ドロッセル先輩の雑談配信、ほとんど『ユービル』だからね!リリちゃんほど豪運じゃないから時間を注いでるって言ってたよ?純粋にやり込み時間が桁違いなだけだと思う」

 

「あたしと夏希でログインすると大体ドロッセル先輩が何かしらの作業をしてるから……。この前はエンドコンテンツのドラゴン狩りをソロでやってたんだっけ?」

 

「そうそう。死亡ログも流れてきたけど、いつも枠を取ったら必ず1匹は倒すようにしてるらしいよ?あ、そこの黒いチェスト見てみなよ。凄いことになってるから」

 

 素材などによって色分けされているチェスト。

 その中でも黒色は本当に凄い。最初は俺もよくわからなかったけど、説明されたらおかしいことだと気付いた。

 その中にあるのは、エンドコンテンツのドラゴンを倒した証拠の数々。

 ドラゴンの素材はもちろん、そのドラゴンからしかドロップしない空を飛べるマントなども入っている。

 

「うわあ⁉︎『ふわりマント』まで1ストックある⁉︎え、余りまである……?どれだけドラゴン倒してるんだろう?」

 

「さすがにドラゴンの素材までは1ストックないんですね〜。そこまであったら腰を抜かしてました〜」

 

「加工してるから、100を超える数を倒してるみたいだけど……。この前2期後期組の3人がドラゴン狩りにチャレンジしようと思ったらドロッセル先輩に倒されてたみたいでリスポーンの3時間を待ってたみたいだよ」

 

「このサーバーでドラゴンチャレンジするならドロッセル先輩にお伺いを立てろっていうのが不文律になってるから、気を付けてね」

 

「あとその『ふわりマント』は1人1つは持っていって良いって。観光するならそれが必須だから」

 

『あー、あそこね』

『暇人かよ、ドロッセル』

『勇者よりドラゴンスレイヤーの称号が相応しい聖女様』

『あのドラゴンってソロ狩りするようなやつだっけ?確か雑魚も自爆とかしてくるから対処面倒だったような……』

『昔『周回聖女』でトレンドに入った女だ。もう立ち回りは完璧よ。たまに自爆されて失敗する』

『1行で矛盾するのやめーや』

『ドラゴンスレイヤーにとっては希少アイテムもタダ配りできるってわけね』

 

 俺たちも貰ってるので、チェリーさんも但馬さんも遠慮なく回収する。一応なくさないようにだけ気を付けてもらい、全ロスしたら報告すればまた貰えるとのこと。

 エクリプスが100人を超えるレインボードロップスのようにならなければ全員に配っても問題ないくらい『ふわりマント』は在庫がある。こんなに用意してどうするんだか。

 ドロッセル先輩曰く、ドラゴン狩りはただの習慣になってるようだけど。

 続いて唄上先輩の元の家というデザインの花屋さん、その近くにあるゴートン先輩の占いの館。ドロッセル先輩が勤めていたという教会を巡る。

 教会はステンドグラスなどかなり凝っており、天使と神の宗教画はデザインを外部で用意してデータとして落とし込んだようだ。

 ゴートン先輩の占いの館は名前だけのダンジョンになっていて、クイズを解いていって不正解だったら落下するというバラエティのためのギミックがてんこ盛りになっていた。

 2人だけで挑戦してもらい、FOR組は外で待機。30分ほどかけてクリアしたものの、いくつかは不正解だったらしい。FORで挑戦した時も2問ほど間違えた。

 

「ゴートン先輩と唄上先輩が隠れ幼馴染設定だったなんて知りませんでした……!カプ厨のわっちとしたことが、不覚!」

 

「え、知らなかったんだ?先輩たちの3D企画の時に『コウスケ英雄譚』でその辺りの掘り下げやってたよ?但馬ちゃんのアンテナもまだまだだね〜」

 

「これは夏希ちゃんに煽られても仕方がない……!悔しい〜!」

 

「それよりもリリさん、文章を書くのが苦手とはどういうことですか〜?作詞してましたよね?」

 

「ん、苦手だよ。作詞はない頭絞って書き起こしたんだから。っていうか僕たちの問題も増えてるのか」

 

「リリちゃんは苦手って自認してるからね。だからこそボイス台本は私が書きます!」

 

「よろしくね」

 

『苦手(作詞3曲)』

『苦手とは』

『できるけど苦手ってことだろ』

 

 続いて行ったのは2期前半組の領地。

 そこには天高く浮いている、1つの人工物が聳え立っていた。

 

「コロニー⁉︎」

 

「いえ、スタ○デストロイヤーでは?」

 

『チェリー正解』

『見方によってはコロニーにも見えるか』

『中身見ればもっと驚きそう』

『コロニーだったらハピハピが大喜びしてそう』

 

 初めて見る2人はその建造物に驚きを隠せていなかった。

 それはそうだろう。アメリカでかなり有名なSFの最終決戦地であるス○ーデストロイヤーが浮いていたら、作品をミリしらでもビックリする。

 ちなみに水瀬さんはかの作品を知らず、ただ浮かんでいる超巨大建造物に驚いていた。まあ、元となる作品はかなり古いし、シリーズとして脚光を再び浴びたのも十年以上前。また最近シリーズの続編がやっていたけど前提条件を知っていなければ見辛いだろうし。

 俺と霜月さんはこれがジェネレーションギャップかと恐れ慄いていたけど、後輩たちには通じたようで良かった。

 このス○ーデストロイヤーは2期前半組の皆さんが共同制作したもので、全員の拠点もこの中にある。中に行くにはマントを使って飛ぶか、地上からせっせとブロックを置いて入り口まで登るしかない。

 今回は中に行くためにマントを使って飛んでいく。

 中に入ってまず目に付くのはドッグベイ。そこにある戦闘機へ、歓声が上がる。

 

「うわ〜うわ〜。エックスウィングですわ〜!再現度が素晴らしい!」

 

「えー、コックピットまでしっかり作られてる……。細かい……」

 

「先輩方が再現しようとしたものがいっぱい飾られてるよ。こっちも行こうか」

 

 Xの形で作られた羽を持つ戦闘機もさることながら、こだわりポイントは他にもある。

 2期前半組の先輩方はこの施設を作るために2週間ほど『ユービル』しかやっていなかった期間があるほど。全員で素材集めから作成から凝りに凝ったようだ。

 

「ダースベ○ダーですわ⁉︎」

 

「ライトセ○バーも⁉︎ちゃんと赤と青で戦ってる!」

 

『最終決戦再現ジオラマ』

『ゴーレムで主人公とラスボスを作るな』

『ちゃんと著作権に配慮してゴーレムの名前は伏字を使ってるぞ』

『チェリーの方は結構詳しい感じか?』

『みなちぇは全然知らなかったからなあ。もうこのシリーズも古典だろ』

『ま、まだ新しい作品が出る旬な作品だから……』

『最近のはなんか違う。名前だけ借りてる別物』

『長寿作品あるあるの懐古厨も湧いてます』

『原典の良さは絶対あるから仕方がないね』

 

 再現しているのは最初のシリーズ。いわゆる4・5・6と呼ばれるナンバリングだ。初代が4~6で十年前に作成された前日譚が1~3で、最近のシリーズが7~9と外伝になっている。時系列で並べればその通りなんだけど、初代が1から始まらないのは中々に珍しい。

 宇宙要塞の探索もほどほどに、素材集めの目的地である1期後半組の領地へ向かう。宗方先輩とネムリア先輩の拠点がなく、他の先輩たちの作品があるだけなのはらしいというかなんというか。

 事前に素材が復活する素材ゾーンへ行く。サーバーの設定でリセットをかけるたびに素材が湧くエリアを設定しており、そのエリアには建造物を作るのを推奨されていない。リセットをかけたら消えてしまうからだ。

 俺たちが着いたのは花畑もある森林地帯。ここからなら何を奪っても問題ない。

 

「手分けして素材を集めようか?」

 

「木材班と花収穫班?誰がどっち行く?」

 

「花は2人で大丈夫じゃないかな?パパママは木材よろしく!私は但馬ちゃんと花集めに行ってくるから!」

 

「振り分けはそれでいいけど、パパママはやめてってば。僕が燃える」

 

「ゔっっっっっっっ!FOR家尊ぃ……!」

 

『カプ厨、ステイ』

『なーちゃん、餌あげちゃダメだよ』

『てえてえじゃなくて尊いなの、マジで思ってそうで草』

『パパママデートイイゾお』

『妖精がいるのを忘れんといて』

 

 分け方はそれで良いか。装備をダイヤの斧に変えてひたすら木を伐採していく。

 途中桜の木を見付けたので、それを中心に採取。チェリーさんはその名前からして桜に関する妖精なのでツリーハウスの花はできたら桜にしたいようだ。

 作業をしつつ、新人の掘り下げということで質問をしてみる。

 

「チェリーさんは得意なゲームとかあるの?ライバーになって配信でやってみたいゲームとか」

 

「ホラーゲームですかね〜。アダルトゲームはダメだと運営さんに言われてしまったので、R18Gの方をやりたいかなと。お二方はホラーゲームってどうなのですか?」

 

「僕は幽霊系の奴がダメかな。怪異とかそういうの。ゾンビ系とかビックリ系なら全然」

 

「あたしもホラーゲームは耐性があるから別に……。前やったら淡々としすぎてるってコメントたくさんもらったよ」

 

「うーん。もしかしてエクリプスの皆様ってホラー耐性バッチリだったりします?」

 

「女性陣はそうでもないかも……。イソラ先輩以外は多分得意じゃないって聞いたよ」

 

「それは誘う楽しみができました」

 

 ホラーゲームはなあ。本物かどうかが区別つけば全然怖くないんだけど、俺と他の人の見え方が違うとなると、俺だけ世界に取り残された感じがして怖い。

 母さんも霊媒体質があるらしいけど、配信に母さんを呼ぶわけにもいかないし。母親を呼ぶ配信者や、家族が配信中に入ってくるような人もいるけど。俺は一人暮らしだし、母さんと通話を繋げる意味も見出せないから良いや。

 VRでできるホラーゲームが一番危ないかもしれない。どこに本物の幽霊がいるかわからないんだから。

 

「どなたかアダルト系のお話ができる先輩はいらっしゃいませんか?『人間様』にも聞いているのですが、エクリプスにはいないんじゃなかと言われまして……」

 

「うーん。男性だけの集まりなら男子で際どい会話をするかもだけど、女性と話すかって言うと……。僕は思い付かないや」

 

「案外、イソラ先輩は大丈夫かも?あの人の場合クトゥルフとか触手の話ばかりだけど……」

 

「ああっ、イソラさん!確かにあの方、そういう関連の話がお好きでした〜!盲点!」

 

『あー、イソラね。病的なまでにクトゥルフ好きだからなあ』

『男子と女子でR18な話題はできないだろう……』

『触手かあ。苦手だわ』

『イソラはあくまでクトゥルフが好きなんであって、クトゥルフのエロは好きじゃないんじゃ……』

『そもそもあいつらって本当に触手なの?名状し難きなんちゃらであって、正しい形なんてないんじゃないか?』

 

 霜月さんのアドバイスで今日話したイソラ先輩が上がり、チェリーさんは同志を見付けたみたいに声を上げる。

 イソラ先輩とそういう話をしたことないからわからないけど、どうなることやら。

 彼女の『人間様』、つまりリスナーに聞いても同志がいなかったのならそれが答えなような気がする。

 かなりの数の伐採をして素材を確保したところで水瀬さんたちと合流する。あっちもかなりの数の素材を集めたため、あとはクラフトでアイテムを作ってみて足りるかどうか確認するとのこと。

 拠点を作ることがメインではなく観光が今日の配信のメインなので、拠点はまた次の機会にでも作ってもらう。今日はこのまま真崎先輩のお城を見て終わりにしようと思うが、ゲーム内時間が夜になってしまったのでベッドで寝ることにする。

 夜になるとゾンビとか出てきて襲われるので、それを回避するためだ。面倒だし、自爆する敵も湧くので面倒なことにならないように夜になったら寝ることが推奨されている。サーバー内にいるプレイヤー全員がベッドで寝ることで朝を迎えることができるので全員でベッドを出した。

 

「あっ……。わっちとチェリーは向こうで寝るので、FORの皆様はそちらで……。邪魔はしませんので!」

 

「おやすみなさい〜」

 

「ゲームで寝るだけだから⁉︎別にこの場で寝て良いでしょう⁉︎」

 

「私真ん中!エリーとリリちゃん両脇ね!」

 

「水瀬さんも勝手に決めない!話を聞いてくれ⁉︎」

 

『振り回されているリリが一番輝いてるぞ』

『命と喉を燃やしてるだけなんだよなあ』

『両手に花だぞ。喜べよオラァ!』

『炎上すること考えたら喜べなくね?』

『今更FORが仲良しで炎上するぅ?』

『レインボードロップスでも同期てえてえがSNSで炎上したぞ。ユニコーンどもが嗅ぎつけて若干延焼した』

『ユニコーンどもはさあ……』

『俺たちのてえてえを奪わないでくれ。これが生き甲斐なんだ……』

 

 ゲームで寝て朝になり、地下へ潜る。魔界に通じそうな地面に設置された門を降りていくと、その地底世界には王城があった。

 太陽も届かない地底世界の輝ける白亜の城。これこそがキヤラド王国のあるべき姿なのだとか。

 

「キヤラド王国の完全再現らしいよ?」

 

「あのお城の上にあるのはマカロン……?いや、どら焼き?」

 

「どら焼きだね。国を象徴する恵みの象徴だって」

 

 かなり異物だよなあ、あのどら焼き。そういう設定らしいけど。

 真崎先輩は騎士として仕えると貰えるどら焼きのために仕官して騎士団長にまで登りつめたという設定がある。今では騎士団長の特権でキヤラド王国の特別製どら焼きをかなりの頻度で食べているのだとか。

 そういう設定のおかげか、彼女はいくつものお菓子メーカーさんの案件を貰い、どら焼きのレビューをしまくっている。3ヶ月連続でどら焼き案件をこなした団長としてバズっていた。

 なお、お城の上だけではなく中庭やお城の部屋の中にも数多くどら焼きがあり、後輩たちは困惑していた。

 

「真崎さんって青いタヌキさんだったんですか〜?」

 

「チェリーさん。思い浮かべたのはネコ型ロボットであってタヌキじゃないからね」

 

「リリちゃん嫉妬?」

 

「国民的キャラクターに喧嘩売るわけないでしょ」

 

『どら焼きと言えば、ね』

『あいつがネコ型って言われるの、いまだに違和感があるんだが……』

『グフフフフフ〜』

『声優さん変わってからあの特徴的な笑い、なくなったんだよなあ』

『だってあれ、原作漫画にはない笑いだし』

 

 水瀬さんがとんでもないことを言うけど、キッズアニメの主人公ロボットに喧嘩を売るわけなじゃないか。

 残りの観光地、2期後半組の領地に向かうとそこはコロシアムだったものと、作りかけの名状し難きオブジェの製作途中の様子が見て取れた。

 KP7先輩が作ったただの真っ黒なボックスで作られた拠点は無傷らしいが、ここは観光名所とは言えそうになかった。

 

「コロシアムとあの像は作りかけ?」

 

「像だけは作りかけ。コロシアムはとある男性の先輩たちが暴れまわった結果、ボコスカになってね……。詳しくは『4月のユービル事変』で調べると出てくるよ」

 

「リリくんも被害受けたよね。まさかエイプリルフールにかなりの量を貯蔵した工場がすっからかんにされるなんて……」

 

 コウスケ先輩を筆頭とする男性ライバーが俺の工場を見付けてしまい、大量の弾丸にはしゃいでこのサーバーの壊して良さそうなものをひたすらマシンガンで破壊するという暴挙に出た事件。

 壊せそうなものがほとんどなく、コロシアムなら戦う場所だからいいだろと暴れていたら製作者のハピハピ先輩に見付かり、全員を潰す結果に。その暴れた時の破損で半壊状態になり、まだハピハピ先輩が直していないから作りかけのように見える。

 ハピハピ先輩は壊した人たちに修繕用の素材を要求し、それが全部集まったら直すようだ。壊した人たちはお詫び配信で大理石を作るために地底に篭ったり、加工したりしている。

 ちなみに修繕用に指定した素材の数はコロシアムを完全に作るための素材の数だったようで、ハピハピ先輩もいつか集まればいいねと長期的に見ている。それとコロシアムで戦えた上に直して貰えるなんてお得じゃんと本人的にはあんまり怒っていない。

 そのこともあって直す手間以外には俺の弾丸が根こそぎなくなった以外に被害はない状況だ。俺の工場もまた再開したから、実質ダメージはゼロに等しい。

 あ、いや。ドロッセル先輩のドラゴン狩り用の第二拠点を荒らしたのをこっぴどく怒られてたか。ドラゴン退治をするついでにアイテムを借りたらチェストの中身がぐちゃぐちゃにされていてA型のドロッセル先輩がキレてたっけ。

 そう考えると、カードゲーム大会ではまあまあ抑えていたんだな。ドロッセル先輩。

 

「良い時間なのと巡るべきところは巡ったのでツアーは終わりにしますか」

 

「え〜。まだFORの愛の巣を見てない〜」

 

「但馬さん、愛の巣じゃないから。そもそも僕の工場は離島だし、霜月さんと水瀬さんの森は別の場所だよ?」

 

「あたしたちの拠点もまだ作りかけだから。それにリリくんの拠点は、コウスケ先輩の小屋とあまり変わらないよ?」

 

「そうそう。地下に工場があるだけだから。その工場も効率しか考えてないからね。気になったら個人で向かってください。では配信を閉じますよ。良かったら後輩2人のチャンネル登録をお願いします。それでは、バイバ〜イ」

 

「「「「バイバ〜イ」」」」

 

 ふう、乗り切った。

 危ない発言も多々あったけど、なんとかした方だろう。

 今日の発言で誰も炎上してないよなと不安になってエゴサをしたが、誰も炎上していなかった。後輩2人のデフォルトが知られ渡ったからだろう。

 スタッフさんが何も言わないなら俺からも言うことはない。炎上しないなら存分に先輩の俺たちを使って欲しいくらいだ。

 さて、明日は水瀬さんの引っ越しの手伝いだ。久しぶりに車の運転をするから、疲れを残さないために早めに寝よう。

 

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