激戦だったFPS大会を終えて次の日の夜。
昨日の告知通り、エクリプスのライバー全員で準優勝おめでとう会を事務所のスタジオで行うことになった。リモート参加のネムリア先輩も含めて、参加率は驚異の100%。どうなってるんだ、この事務所は。
めちゃくちゃな人数なために、配信枠を二つに分けた。メイン会場が参加者だった面々が属している2期生と3期前半組。サブ配信の方が1期生と3期後半組なのだが、なんとほぼ全員3Dである。3期後半組と現地にいないネムリア先輩はディスプレイを用意してそこに2Dのいつもの動く立ち絵を映しているが、あっちは3Dで暴れ回るようだ。
お酒も用意されてるし、こうもなるか。
「はーい、というわけで皆さんこんばんはー。今回のお疲れ様会を企画したドロッセルです。メイン配信とサブ配信を用意してますが、音声はどっちも同じなので片方をミュートにしていただけるとどっちの姿も見えると思います。ぜひ2窓して見てくださいねー」
「進行補助の真崎です。特段何かするわけでもないですけど、一応この人数なので補助としていますが、まあ取り纏めでいるだけです」
『お疲れー!』
『うお、マジで二重に聞こえる!サブミュートにすっべ』
『密集率やばあ』
『メインでもみっちりしてるのに、サブはなんというか……。男子組じべたりあんじゃん』
『女子組はめんこい座り方してるのに、男子はさあ』
『今日なんか方言多いな……?』
というわけで配信が始まる。
司会はドロッセル先輩、補助は真崎先輩がやってくれるようだ。正直人が居過ぎて誰が何を喋ってるかなんてわからないだろう。2人ともサブ配信の方にいるけど、音声自体はどっちにも届いているし部屋は同じなのでやることは目に入るだろう。
「はい、じゃあ今回の主旨の立役者から自己紹介しましょうか。ハピハピさんどうぞ」
「はーい。みんなお疲れ様、ハピハピ・ガンスレイブだぞー!今回はね、こんな素敵な会を開いてくれてありがとうございます。今日は飲むぞー!よろしくお願いしまーす。続いて?」
「おっすー!年長者というだけでチームリーダー任せられました、ポラリス・コットンガードだ。まあ、結果として?準優勝になったんだから大満足ってことで!酒は弱いけど今日は飲むぞー!」
「お前ら、それしかないのか?どーも、スパイのジョン・スミスだぜ!今日は女の子がたくさんお酌してくれるっていうからめちゃくちゃオシャレして来ちゃった♡酒持ってこーい!」
「あなたも結局酒の話ではないか……。掃除屋のKP7だ。酒に呑まれることないよう、節度を持って楽しみたいと思う。よろしく」
「ケピナっちとハピちゃんの同期の、ユークリム・ロゼリーヌ・ワカナだよ〜。ジョン先輩にお酌はしませーん。お酌とか大っ嫌〜い」
「え〜⁉︎じゃあ霜月ちゃんとかにしてもらうわ!」
「懲りない悪い先輩がいるけど、女子のみんな言うこと聞かなくて良いからね?よろしくお願いしまーす」
「こちら側の最後に、3期前半組の絹田狸々です。お酒はちょっと前の配信で強くないことが判明したのでそこそこに留めようと思います。よろしくお願いします」
「えー。パパ、いっぱい飲めば良いのに」
「こらそこ!パパ禁止!」
大会を頑張ったメンバーが自己紹介をしていく中でじゃれあいもそこそこする。水瀬さん、この大型コラボでパパは禁止ワードだ。せめてお兄ちゃんにしてくれ。
そして何人かが、ライバーとスタッフを含めて俺と水瀬さんのやりとりを見てニヤニヤしている。あの人たちを弄れるネタはないだろうか。
「人数が多すぎるので私たちと大会メンバーだけの自己紹介で留めようと思ったのですが、流石に新人2人は自己紹介した方が良いかと思いまして。チェリーさんからお願いできますか?」
「は〜い。皆様、お元気ですか〜?桜の精として皆様を見守っている、チェリー・心です〜。初コラボの先輩方ばかりで緊張してますが、いつも通りの自分で頑張っていきたいと思います〜。続いて?」
「鬼と人間のハーフ、自認的には鬼寄りの但馬火乃香とはわっちのこと!今日はお歴々を生で見られてとても感動しておる!推しと推しが隣り合って座ってるとか最高……!あ、カプ厨として気持ち悪い発言が出たり、変な笑い声とか奇声が出ても広い心でスルーしてほしいです!」
『新人さんだ〜』
『カプ厨隠せよ!本人たちが目の前にいるんだぞ⁉︎』
『エリーたちとのコラボでも全く隠さなかった鬼(アホ)の子だから……』
『む?3D組はわかるけど、2D組は誰が誰と隣だかわからないが……。カプ厨が喜ぶ配置?』
『あっ、こりゃあああ!』
『ステイステイ』
一番馴染みが薄い新人組は自己紹介を追加した。その他のメンバーは自己紹介なしだ。それだけでめちゃくちゃ時間を食う。
早速『オーバーステッド』準優勝を祝して、全員が飲み物を手に持つ。成人している人はほとんどがお酒を持ち、未成年組はジュースだ。
乾杯をする前に食事も各々の皿に載せていくのだが、そこでも一悶着あった。
「ただ飯でござる!おーどぶるなる豪華そうな皿は見逃せぬ!」
「そうだよなあ!取ったもん勝ちだぜ!」
「馬鹿野郎、日向っち!コウスケ先輩も!こういうのは大会参加者が優先だろ!」
「ごめんね、宗馬君。ソウくんが迷惑をかけて……。ソウくん、割り込みはダメだよ?」
「割り込みではないのだ、母上!武士はその日のご飯にありつけないことも多々あった故!こここそが関ヶ原!」
「母子てえてえー!この場にいないのにこんな濃厚なやつを受けたら、鼻から色々と溢れて来そう……!」
「火乃香ちゃん、いきなりトップギアね〜」
宗方先輩が我先にとご飯に飛び込み、それに乗じるようにコウスケ先輩もガツガツと食事を取っていた。それを宗馬先輩が止めようとして、ネムリア先輩が注意して。
宗方先輩とネムリア先輩のやりとりに但馬さんが鼻を押さえて、チェリーさんが呆れている。
ちなみに全然テーブルが遠かったので、メイン配信組は問題なく料理を取れていた。種類は違うとはいえ、そこまでがっつくほど食に飢えていない。お酒を入れるから空きっ腹にしないようにしているだけだ。
3D組が動きで視聴者たちを楽しませている中、ゴートン先輩辺りが止めるかなと思っていたけどスタジオを汚さないようにするために手を出さなかったらしい。2人が元の席に戻ってから頭にチョップを下していた。
「はい、それでは皆様。特に大会参加メンバーの方々。大会お疲れ様でした。全部社長からの奢りなので気にせず食べて飲みましょう!改めて準優勝おめでとう!乾杯!」
「「「カンパーイ‼︎」」」
「え、ちょっと待って⁉︎領収書あるよね⁉︎レシートだけじゃないよね⁉︎俺のポケットマネーなんて聞いてないけど⁉︎」
『カンパーイ!』
『開けるべ開けるべ』
『誰か食レポしてくんねえかな』
『社長の肉声、微妙に載ってて草』
『知らなかったんかいwww』
ビールを周りの人の缶と合わせてお疲れ様と言ってから口に含む。うん、キンキンに冷えたビールって美味しい。特に最近はもう暑いからこの喉越しが堪らない。
結構メーカーによって味というか、喉越しが違うんだなあ。美味しいビールだとやっぱり高いんだろうか。機会があったらお高いビールも飲んでみたい。
「リリちゃん、エリー。ビールって美味しいの?」
「美味しいっていうより、喉越しがいいというか……。味としては苦いよ?」
「そうだね。あたしはビールあまり得意じゃないから、リキュールを飲んでるよ。こっちは果汁が入った甘いお酒」
「へー。大人ってなんでコーヒーとかビールとか苦いもの飲むかなあ?甘い奴が幸せじゃない?」
「その苦味がいいんだぞ、夏希ちゃん!これは大人の特権だ!」
「うっわ、ジョン先輩お酒くさっ!パパママ助けて〜!」
「どれだけペース早いんですか、ジョン先輩……」
『なんでって、お酒に逃げたい時があるからだよ。なっちゃん』
『アルコール最高!』
『コーヒーは普通に美味いやろ⁉︎子供舌!』
『みなちぇは実際結構な子供舌だから……』
『ジョン、絡み方最悪や……。それは女の子幻滅するで』
『すぐ頼るのがリリとエリーなのニヤニヤしちゃう』
『まあ、エクリプスの末っ子だし、一番頼りになるのは同期だろうから』
水瀬さんにお酒について聞かれるものの、お酒に逃げたい時以外は好んで飲もうとは思わない。だから冷蔵庫にあまりアルコール類は入っていないし。
ジョン先輩に絡まれたのが嫌だったのか、俺と霜月さんの後ろに隠れる水瀬さん。本当にお酒くさい。もう何本か空けてるな、この人。こんな短時間でお酒くさいってわかるとか、度数の高い奴を一気に飲んだのか?
同期のイソラ先輩が掴んでいく。念願の女性に連れていかれるのは良いことだろう。ジョン先輩も女の人だけど。
「引っ張るな〜。イソラ〜」
「せめてお酒を飲める女の人に絡みなさいよ。水瀬ちゃんは聖域なの」
「じゃあオーフェリア先輩!清楚な方のお酌を受けた〜い!」
「あ゛?私は清楚じゃないと?」
「だってイソラ、名状しがたき何かじゃーん。見た目はめっちゃ清楚っぽいけどさあ」
「コンニャロ!最近ちょっと大会で活躍したからって調子に乗りすぎじゃない?アンタにはオーフェリア先輩は高嶺の花よ」
「そんな〜⁉︎ネムリアちゃんにもお酌受けたーい!」
「リモートの人からどうやってお酌されるつもり⁉︎このバカもう酔ってるんだけどー⁉︎」
『同期てえてえ』
『お酒の場では、高校生は聖域だよなあ』
『オーちゃんのお酌は俺も受けたい!ずるいぞジョン兄ちゃん!』
『そこにいる女性陣だったら誰のお酌でも受けたいからジョンのこと否定できねえ……』
『この後そこそこしたら大会参加者はインタビュー受けるって話じゃなかった?』
『これはもうダメそうですね……』
『イソラのどこが悪いんだよー!ASMRでちょっと危ない世界を教えてくるだけだろ⁉︎』
『じょ、ジョンもめちゃくちゃ活躍はしたんや……。許したって、イソラちゃん……』
イソラ先輩に引っ張られてジョン先輩は連れていかれる。本当に女の人が好きだな、あの人。
そんなジョン先輩が連れていかれたのはポラリス先輩とケイン先輩の前。同期の男の前だった。
「2人とも、こいつのお目付き役よろしく」
「え〜。大会中はバディみたいなもんだったけど、ビーストモード入ってるこいつの相手したくないんだが……?」
「ワタシも勘弁してほしいですね……。ジョンさんのことだから女の子が隣の方が良くないですか?」
「おー、ケイン君はわかってるじゃないか!ホラー、動けないオレの代わりに女の子連れてこいっ!」
「抱き着くなー⁉︎本当に酒クサイな⁉︎誰か、女の人でこの人受け取ってくれませんかー!」
「無理です。同期で頑張ってください。私たちは司会進行があるので」
「こっちは宗方君で手一杯です」
「ケピナ、あの先輩掃除していいよ」
「わかった」
「ウチもNGです!リリちゃんガード!」
「いや、押さないで。霜月さんも僕の後ろに隠れないで」
「ぐはぁ⁉︎」
「火乃香ちゃんが死にましたわ!先輩方のひとでなし!」
「いやいや、関係性オタクが自爆しただけっしょ。ウチは聖女様が強いから何にもしなくていいのは楽だわー」
「そういうところですよ、コウスケ君。少しはゴートンさんを見習いなさい」
各グループが男性陣を前に押し出してジョン先輩の受取拒否をした。女性なのにこんな扱いでいいのだろうか。
1期前半組はゴートン先輩が前に出て、後ろにオーフェリア先輩を庇っている。後半組は宗方先輩がいるからと傍観して誰も前に出ない。2期後半組はKP7先輩に指示をして排除する気だし、ウチは俺を盾にしている。
そんな同期の仲の良さを見せたからか、但馬さんの許容量が超えたらしくチェリーさんに抱えられていた。
カオスだ。
ちょっと前から思ってたけど、実はゴートン先輩とオーフェリア先輩って近くない?同期というにはなんというか近いような……。今もゴートン先輩の服の裾を掴んでるし。これ3Dで見えてるんだよな。
但馬さんじゃなくても色々と感じてしまう人がいるかもしれない。ただお嬢様だから近くの男性を頼っただけだろうか。まあ、そんなこと口にしたらこっちに飛び火しそうだから声に出さないけど。
じゃあリリは霜月さんと水瀬さんとどういう関係?って聞かれたら面倒なことになりそうだし。同期ですできっと満足してくれないだろう、この人たちは。
ジョン先輩がまた陽気にお酒を飲み始めたところで、真崎先輩がインタビューをし始める。
「ハピハピちゃん。ぶっちゃけ大会って大変だった?」
「それはもう!練習が練習じゃないし、大会では新フィールドがいきなり増えるし!対人戦ができてない状態で本番とか前代未聞だよ!」
「ですよねえ。それでよく準優勝までいけましたよね。練習時間は6チームで最長だったとか?」
「配信でやった時間はそうだけど、他のチームも裏では練習をしてたかもしれないからそれはなんとも。でも真剣に頑張ったのは間違いなくウチだよ。みんなありがとう!」
「「「ウエーイ!」」」
ハピハピ先輩が缶を上に掲げたのでノリの良い人が同じように上に掲げる。いや、大学生の飲み会かな?大学生になったことないから想像でしかないけど。
配信でやった練習時間は、間違いなくエクリプスが一番だ。プロチームなんてどっちも一回も配信でやっていなかったから裏でしか練習をしていないだろうし、顔出し配信者チームも3回くらい。スターティンクルもそれくらいで次いで多いのはレインボードロップスの10回だったか。
情報共有を裏でやってた感じ、Vtuberグループで練習をめちゃくちゃやってたのはウチとレインボードロップスだ。そこは確実だ。練習時間だけで語るつもりはないけど、努力は裏切らないってことだろう。
「あとはエリサさんのアドバイスも助かったなー。今回の運営のゲーム会社について詳しくて、アドバイザーをやってもらったから」
「へ⁉︎わたし⁉︎」
「あら、霜月さんがアドバイスを?影の立役者ですね」
「うんうん。助かったよねー。β版と製品版とかの違いとか教えてくれて。正直その手の応募は当たったことなかったから大助かり。ねー、みんな」
「めちゃくちゃ助かったー」
「サンキュー、エリサちゃん」
「ありがとー」
「そんな大層なことしてませんから!」
「えー。データ検証とかエクセル表にダメージ計算表とか纏めてくれたのに?」
「リリくんに刺された⁉︎もしかしてもう酔ってる⁉︎」
『ほう?エリーも手伝ってたんか』
『確かに夜配信が気持ち短かったような……?回数も』
『てっきり運営から配信時間的な意味でストップがかかってたのかと。月末が近かったし』
『縁の下の力持ち、やな!』
『プッwwwリリにチクられてやんのwww』
『いや、結構大事なことやってない?あのクソゲーのデータ収集で、しかも自分は関わってないんでしょ?』
『アーカイブ見直してデータ取ったとか?』
『エリー、マジでありがとう!正真正銘エクリプスチームの一員やで!』
みんなで感謝を言ったのに霜月さんが遠慮するからこっちから手伝ってくれた内容をバラした。助かったことばかりなのに謙遜でお礼を受け取らないことは良くないと思う。
だからって両肩を掴んで揺らさないでほしい。アルコール入ってるから気持ち悪くなる。
「リリくんだってスナイプポイントの測定とか、ダッシュ値の計算を各キャラでやっったの知ってるんだからね⁉︎スキルのリチャージタイムを全キャラ分出したりとか、武器ごとの射程測ったりしてたでしょ‼︎」
「全員でやったから僕だけじゃありませーん!僕だけの手柄じゃなくて全員の智慧の結晶ですー!」
「もう、もうっ!そんなところだけ子供っぽくなって!お酒入ると幼児退行するの⁉︎」
「まだ5%のビールを1本も空にしてないんだから、これくらいで酔うわけないでしょ!『ウルプロ』配信の時はもっと度数の高い梅酒を何杯も飲んでたから!」
「いつもと言動違うから絶対酔ってるからね⁉︎」
『痴話、喧嘩?』
『リリもめちゃくちゃやってるやないかーい』
『おおー、データ勝負で行ったのか。確かにハピハピとポラリスの指示ってめちゃくちゃ自信に満ち溢れてたかも?』
『たった2週間でどれだけデータ集めたんだ……?それをやった上であの出来のゲームをやらされたの?』
『理不尽だべさ』
『リリって酔うと割とどうでも良いやの精神でめちゃくちゃし始めるよね。そこが可愛いんだけど』
『リリ、多分ビールが体質に合ってないんじゃ……?合わない酒って個人差出るし』
『てえてえ』
『てえてえ、んだけど酒の力でのこれだからなあ』
『もう付き合っちまえよ』
『↑と、みなちぇが申しております』
『何でもこの2人の関係性を水瀬のせいにすんなよ!』
『火付け役は確実になっちゃんだから……』
もう、プンプンしないで欲しいなあ。俺はただやった努力は周りに認められて欲しいだけなのに。
芸能界っていう努力が素直に成功に結び付かない場所にいたからこそ、今回しっかりとチームの方針や勝利に携わった霜月さんは色々な人に褒めてもらいたいのに。
この人がデビュー当初からどれだけ頑張ってきたと思ってるんだ。精神科に通うほど危なくなっていたのに配信者として生きていこうと勇気を振り絞って。デビューしても訳のわからない理由でアンチが暴れて。それで危なくなったら誰にも零せず体調を崩して。
今は立ち直って12万人に認められる、世間的に見たら大成功してる配信者だぞ?これで褒めない方がおかしい。
「霜月さんはもっと褒められた方がいい!今回のこと以外でもいっぱい頑張ってるんだから、俺くらいは褒めないと!コメントも社長もスタッフさんも、もっと霜月さんを褒めるべきだ!」
「ネジ外れちゃった⁉︎」
「あら、面白そう。静観しましょうか」
「賛成ー」
「世間ではFORは俺が纏めてるとか思われてるけどさあ、実際纏めてくれてるの霜月さんだからね⁉︎水瀬さんが企画を考えまくって、俺がちょこっと口だして、色々と調整してくれてるの霜月さんだから!オリジナル曲出そうってなった時も僕とスタッフさんの間に立って、MVの納品がどうなりそうとか、どのタイミングであげようかとか考えてるの全部霜月さんだから!霜月さんがいないとFORって存続してないからね⁉︎」
「そうだそうだー!エリーはすごいんだぞー!」
「夏希ちゃんも乗らないの‼︎調整って言ってもほとんどスタッフさん任せだし、楽曲提供とか一番大変なところはリリくんがやってるでしょ⁉︎」
『お、おお?リリマジ酔い?』
『俺たちめちゃくちゃエリーのこと褒めてますけど⁉︎』
『配信の度に可愛いとかゲームが上手いとか褒めてるぞオラァ!』
『そこで面白そうって言う真崎と賛成するハピハピw悪い先輩だなあ』
『リリ、俺出ちゃってる』
『3人揃ってFORだからな。エリーもみなちぇもリリもいないと成り立たんのよ』
『なっちゃん……w幼女か?』
『水瀬は末っ子って言うより幼稚園児だろ』
水瀬さんが同意してくれる。
霜月さんは顔を赤くして頑なに認めてくれない。ならもっと褒めないと。
「楽曲は元々あったものだし、ちょっと作詞しただけでしょ!あれに魂を吹き込んだのは霜月さんだから!霜月さんが歌わなかったらそもそも世間に公表されずに埋没してただけの歌なの!それを形にしてくれたんだから俺は感謝しきれないんだよ!そもそも水瀬さんより歌が下手だって自虐してたけど、普通に上手いから!『polar night/Luna』でデュエットしてて全然見劣りしてない時点で霜月さんは歌が上手いの!自虐するの禁止‼︎」
「いや、だって……。そもそもリリくんの歌がなければ、あんなに早くオリジナル曲なんて発表できなかったし……」
「レコーディングの時、音響さんも褒めてたでしょ!何でその評価が素直に受け取れないの!そもそも俺だってちゃんと認めた人じゃないと自分の歌なんて提供しないから!この人なら俺の歌を真剣に歌ってくれるなって思ってるから渡してるの!それがいっぱい再生されて評価されてるのは霜月さんの歌声に心打たれるものがあるからなんだよ!」
「わ、わたしの力もあるかもだけど、やっぱりリリくんの楽曲っていう土台があったからじゃ……?」
「いーや、霜月さんの力が大きいね!『polar night/Luna』のインストを聞いてもただの俺の曲だなとしか思わないけど、霜月さんと水瀬さんが歌った瞬間めちゃくちゃ良い曲だって思えたんだから歌声の力は大きいんだよ!好きすぎて寝起きのアラーム音に設定してるし‼︎」
「「きゃーーーーー‼︎」」
「ん?何で唄上殿と但馬殿は甲高い声を上げたのだ?」
「多分カプ厨としての本能が叫ぶことを我慢できなかったんだと思う。……そういえばソウ君ってカプ厨のこと知ってる?」
「まったく存じ上げぬ!」
「だよねえ」
『そうだそうだ!エリーは歌が上手いんだ!』
『作詞はちょっとか?苦手って前言ってなかったか?』
『みなちぇも歌上手いけど、エリーも普通に上手くね?』
『音大出身の俺からしても全然上手い方。まあ、そこら辺は過去の出来事とかもあるから。合唱コンクールで弄られて苦手意識を持つとかザラにある。歌わない奴を注意するのは良いけど、声が特徴的とか音痴とか言うんじゃねえぞ!歌うことに意義があるんだからな!』
『グサッ!合唱コンクールとかいう黒歴史を掘り起こすな!』
『目覚ましのアラームに設定してるとか、気に入りすぎだろw』
『実際良い曲よ。ポラルナ』
『¥2424 あら〜〜〜〜〜(^^)』
『口角ないなったわね』
『あのー、電車の中で聞いてるんだけど、マスクの車内販売はないっすか?ニヤケが止まらん』
『そこにないならないっすね』
『¥50000 お疲れ様会でこんな濃厚なイチャイチャを摂取できるとは……。お布施でござんす』
『これにはカプ厨もニッコリ』
『オーちゃんと但馬、見事に喜声上げとるやんけ』
『宗方とネムリアは平常運転っと』
まったく、どうやったらこの頑固者は自分のことに自信が持てるのだろうか。
なら証明してやる。
「スタッフさーん!ピアノありますー?」
「リリくん、何する気⁉︎」
「こんなことがあろうかと、用意はできてる」
「わーい」
「どんなことを想定したらピアノを配信状態にしておくんですか⁉︎」
「調整しよっと。水瀬さんも準備して!」
「はーい、パパ!ほらエリー、歌おうよ!」
「生歌⁉︎わたしお酒入ってるんだけど⁉︎」
「俺も入ってるからイーブン!」
「誰も止めないのは何でですか⁉︎」
「そっちの方が面白いから!インタビューなんていつでも聞けるし、この破天荒さこそエクリプスよ!」
「絶対にそんなことないと思います、ドロッセル先輩!」
『ピアノ⁉︎今から歌枠やるつもりか⁉︎』
『も り あ が っ て ま い り ま し た』
『スタッフー⁉︎こんなこともあろうかとって何⁉︎』
『わーい、じゃないんよリリ。マジで幼くなってないか?』
『なっちゃんも歌うってことは『polar night/Luna』の生歌ってこと⁉︎リリナイスぅ!』
『こんなも面白いこと、先輩が止める訳ねえよなあ⁉︎』
『おん?オーちゃんと亜麻井まではけてどしたん?』
『おおっ⁉︎そのバイオリンは!』
『なんか小さな枠に見覚えのあるドラムセットと、そこに座る亜麻井がいるんだけど?』
『サブ配信面白すぎだろw何でそんな準備までしてるんだスタッフwww』
『即興ピアノバイオリンドラム『polar night/Luna』キチャー‼︎』
『リリちゃんと弾けてて草』
『オーフェリアと円香も弾けるってことは練習してたってことか。後輩の曲好きすぎだろ』
『全部2人で歌ってくれるの⁉︎パート分けなし‼︎』
『やっぱエリー歌上手いじゃん』
『飲み会がライブ会場に早変わりだぜ!FOOOOOO!』