「あとは攻撃ですね。アウトにならずにホームまで帰ってきたら1点と伝えましたが、これの一番わかりやすいのがホームランですね。ホームランであればまずバッターで1点、その上にランナーがいればその人数分点数が無条件で入るので最大4点入ります。足の速さとかも関係ないですし、とにかく目立ちますのでホームランは観戦における一種の華ですね。プロ野球とかだと1試合観に行けば1本くらいは出るので、観戦もオススメですね。東京だと水道橋か明治神宮なので、そこの試合を観に行くとわかりやすいですよ。外野席なら当日券でも割と安く入れますから」
「関東は結構球団多いので、観に行きやすいですよね。千葉・埼玉・神奈川にもあるので試合は確かに調べればアクセスとかも鑑みて行きやすいですよ」
「関東住みの利点ですね」
スポーツ興行的に関東に住んでいると観に行きやすい。結構他のスポーツにしても関東に拠点を置いているチームが多いので、観戦は本当に行きやすい。
1軍は地方に拠点があるものの、2軍以下の拠点は関東にあったりする。1軍よりも2軍の試合にこそ興味がある人もいて、そういう人たちも河川敷にある球場に観に行く人たちもいる。関東はスポーツに限らず、色々なイベントが行われているので本当にアクセスがしやすい。
「ランナーを出す方法について伝えますね。守備の時に四球・死球を伝えましたが、少し情報を追加して他にランナーがいた時の話です。ランナーは四球になっても基本は自分の塁から動けませんが、後ろが詰まっていた時だけ無条件で進塁できます。ランナーが1塁にいたらそのまま2塁に進めますが、2塁にだけいたらそのランナーはそのまま2塁に待機で、バッターランナーが1塁に行くだけです。条件を纏めて来たので表で見ましょうか」
スライドを見せて各条件のランナーの進み方というか、四球になったらどうなるのかの結果を見せる。ランナーが1・3塁の時は満塁になるというのがわかりにくいだろうか。1人は進めてもう1人は進めないというルールなので、俺的には進めないことの方が条件としては正しいと言いたい。
ランナーが3塁だけの時も進めないし。四球でランナーを進めるという考えは持たない方がいい。
得点ができるのも満塁の時だけ。狙ってやることでもない。
「後ろ詰まりをしてたら進めるけど、詰まってなかったら進めないわけですね。四球で得点を狙うのは得策ではなさそうですね」
「相手投手のコントロール次第かなとも思います、ドロッセル先輩。相手がストライクを全然入れられないノーコン投手なら戦法として待球をしても良いでしょうが、狙ってする戦法ではないと思います」
「ですよねえ。つまり押し出し?だったらラッキーくらいな面持ちでいるのが良さそうです」
最後の勝敗がかかる場面で緊張して、ということは現実だとあるだろうけど、ゲームだとあまりない。悪い特殊能力とかでコントロールを下げて、ということで再現しようとしているんだろうけど、対人戦で人がプレイするならかなりコントロールが悪くて悪い特殊能力が多い選手でもどうにかなってしまうことが大半だ。
というか、コントロールの数値があまり信用ならないというのが正しいだろう。これは現実でも一緒で、コントロールがとても良い選手だって年間を通したら1回くらいは死球を出してしまうし、コントロールが悪いとされている選手でも重要な場面で毎回四球を出すわけでもない。
その辺りの調整は、どうともならない。
「あとは基本打つしかないです。ヒット、もしくはエラーですね。エラーは伝えてなかったのでそれも守備の画面で見せますね。というか、エラーしてくれるかな?」
『このチーム、全員守備高いからなあ』
『チーム変えた方が良くない?』
『コンマイもエラー設定とか守備練習の時だけ弄らせてくれよ』
エラーをするかどうかは野手の守備力次第なので、どこにボールを打とうか悩む。守備力が低い選手となるとファーストだからファースト目掛けて強い打球を打つ。
6球目で、ようやく溢してくれた。それを追いかけつつもファーストへ投げるのが間に合わずに表記はEとなる。
「これがエラーです。グラブや身体には当たったんですけど、捕球できなくて1塁へ打者が到達すると守備側のミスとしてヒットではなくエラー扱いで出塁できます。とにもかくにも、送球される前に1塁に到達して出塁するのが目的です。ちなみにヒットもですが、別に1塁で止まる必要もありません。狙えたら2塁でも3塁でも、それこそホームまで一気に走っても大丈夫です」
「え?ホームランと同じことができるの?」
「ランニングホームランだ!昔メジャーリーガーがニュースになってたの知ってます!」
水瀬さんがランニングホームランなんてやって良いの?という声で聞きつつ、但馬さんが知っていたようなので俺としては説明がしやすくなる。
但馬さんの言葉に反応して、ああと何人かが話題になっていたことを思い出したようだ。あれ確かメジャーのオールスターでやったためにとんでもない偉業だったはずだ。
まずは2塁打から。右中間にボールを打って、普通に追いかけて内野に返球した頃にはバッターランナーが2塁に到達していた。
「はい。これが2塁打です。余裕があれば3塁を目指しても良いので、あえてゆっくり捕球してみましょうか」
次も右中間に打球を打って、センターの萩風さんが追いかけるのをゆっくりにさせて、ランナーが2塁を蹴ったのを見て内野へ返した。足が速くないと3塁打なんてできないから、この守備練習ではあえてもたつかないとうまくいかない。
サイクルヒットに3塁打が必要だけど、サイクルヒットは説明する気がないのでパス。
「じゃあお待ちかねのランニングホームランを。これはあえてやりますけど、本当だったら最初の守備位置やボールの軌道、守備の選手の肩の強さや打った本人の足の速さなどもあるので相当難しい条件です。年1回もない希少なことですけど、一応あり得るので見せます」
打球は全く変えずに打つ。その後萩風さんの対処を遅くしてランナーが3塁を蹴った時点で内野に返球することでランナーはホームへ滑り込んでいた。
あり得るパターンとしたらフェンスにぶつかった打球が追いかけていた選手の方向とは別方向に転がったためにクッションボールの処理に戸惑って返球に時間がかかってどうにもならないということが多いようだ。硬球だとそんなに跳ねないからそういう事態にはなりにくいようだ。
逆に小中学生が主にやる軟式野球だとボールがよく跳ねることと野手がそこまで能力が高くないのでランニングホームランも結構見るのだとか。環境の違いというのはあるだろう。
高校野球でも、プロが使う奥行きが広い球場で弱小校相手に強豪校が長打を放つとランニングホームランになってしまうこともあるのだとか。どっちにしろ珍しい現象ではある。
「打者としてはとにかくランナーを進めてランナーを返すことが目的です。一番は打って返すことなんですが、どうしたって打つのが苦手な人もいるので、プロではもちろん、高校野球ではよく見られる送りバントについて説明します。これはまた宗馬先輩に協力いただいたスライドを見せましょう」
「バットを横にしてるの?ああ、振るよりは当てるのはこっちの方が楽ってことだね?」
「イソラ先輩正解です。バットに当ててフェアゾーンに転がすことでランナーは進めますので、それを効率的にするのがバントです。ボールを打ち上げてしまうとフライでアウトになってしまうので、ランナーも進めません。ランナーがいる状態でバッターがフライやライナーを打ったら自分のいた塁に戻らないといけないんですよ」
「バッターランナーがアウトになるのは当然として、ランナーも戻らないといけない?あ、じゃあ盗塁してたら?」
「戻らないといけないんですよ、ドロッセル先輩。ランナーが走りつつ打者が何か行動をするのをエンドランって言うんですけど、それはあまり実戦でも使われないので説明は省略しますね。ボールが浮いたらランナーは戻らなくちゃいけない。それくらいの認識で大丈夫です」
地頭が良いからポンポンと思いつくことが出てくるのは凄いと思う。
水瀬さん辺りはそろそろ限界そうだけど、もしわからなかったらケースごとにこうなるんだよと教えても良い。
彼女、勉強配信とかで学校の勉強を見てみたことがあるけどあまり成績は良くなさそうだった。俺もちょっと前のことだから思い出せたことが多かったけど、俺の不真面目な学生生活を思い出しても正直そこまで成績は良く思えなかった。
家庭環境がアレだったから、それは仕方がない部分もあると思う。
「バントは転がせればほぼ確実にランナーを次の塁に進められるので戦術としてはかなり堅実なんですが、やったバッターはほぼアウトになるのでアウトカウントを増やしてしまうのがリスクではあります。ただ三振になるよりはよっぽど良いので、バントを選択するチームはプロでも結構いますね」
「ゲッツーとかになるよりはバントの方がアウトカウントは結果的に増えないし、チャンスになるからやる価値はあるのか。よくできた戦術ですねえ」
「そうなんですよ、ケイン先輩。ただバントには特別ルールがあって、2ストライクの状態でバットに当てたもののファウルにしてしまうと、野手が捕れる捕れないに関わらず強制的にアウトになります」
「え?強制的にアウト?」
「当てやすいから、バントでファウルにするのは簡単で、それで粘られるのを防ぐためのルールかな?」
「霜月さん正解です。ファウルで簡単に当てられるのでそれを防止するルールです。あと、バントの構えをずっとしたままボールに当てられなければ、それも空振り扱いになるので下手な人はやりたがらない戦術でもありますね。特にプロの打てる人だとバントが苦手だから打つ方がいい、って人も結構聞きます」
バントは堅実とも言えるけど、上手い下手が出やすい。下手な人は本当に下手だとか。
ファウルにした時のリスクもあるけど、上手い人は本当に上手くて送りバントがヒットになったりもする。白線の上に転がして野手が諦めてしまいファウルでアウトにしようと思ったら外に出なくてヒット、みたいなこともある。
これは送りバントというよりセフティーバントの時が多いか。
「これの派生系でセフティーバントというのがあります。あえてバントで弱いゴロを転がしてそのボールを追いかけている間に頑張って1塁を駆け抜ける技法ですね。足が速い人だとよくやりますよ」
「ああ、そっか。ヒットにしたいなら無理に打たなくても転がして走っちゃえばいいのですね」
「やれるのは相当足が速くてバントが上手い人だけですけどね。送りバントですと内野がバント用の守備位置にしたりしますが、セフティーバントだと警戒していないので守備位置が後ろだったりします。そうすると対応が遅くて1塁へ投げるのに時間がかかってヒットになることもあります。ドロッセル先輩の言うように足の速い人なら有効な手段ですが、普段からやる人だとデータで知られていたら警戒もされます」
「そのデータを利用してバントではなく打ったも良いのでは?」
「そこは駆け引きですね、ケイン先輩。バントの構えから打つ方に切り替えるバスター打法というのもあります。そういう打ち方があるのは後で見せますね」
まずはバント関連の話だ。
送りバントとセフティーバント、あとバスターの話もしたのならスクイズも話さないといけない。
プロ野球では滅多に見ないが、高校野球では重要な得点方法だ。犠牲フライを打つ打力がなければスクイズくらいしか得点を奪う手段がない場合もある。
「ランナーが3塁の時のバントはスクイズって呼ばれます。基本ピッチャーの前に転がしますし、ランナーが3塁だと内野は前進守備をするので、転がしたとしてもホームへ投げる時間が短いです。なのでスクイズをするとしたら3塁ランナーはホームに向かって走ります」
「ボールが転がったか確認してから走ったら間に合わないから?あれ?でもバントでも浮いちゃったらまずいんだよね?」
「マズイよ、水瀬さん。だからスクイズはしっかりと転がさないといけない。転がしたとしても強い打球で転がしたらホームでアウトになりやすいからそこも気を付けないといけないね。それにランナーが走っていることもあってバッターはたとえボール球だとしても当てないとランナーがキャッチャーにタッチアウトされちゃうからリスクがたくさんある戦法だね」
「え?じゃあ何でやるの?」
初心者らしい質問だ。スクイズってわかったらピッチャーもだいたいボールを外すし、そうなるとバッターは飛びついてでも当てようとするけどフライにもなりやすいのでかなり難しい戦法だ。これで空振りしようものならビッグチャンスを潰す、リスクが大きすぎる手段。
でもこの後説明する犠牲フライだって上手く外野に飛ばせたとしても浅かったらタッチアップはできないし、内野フライだったらただのアウト。内野ゴロも間を抜けなかったらホームに帰ってくるのも難しいし、チャンスでヒットを確実に打てる保証なんてない。
プロ野球の打てる打者と言われる人だって打率は3割。つまりは7割は凡退するわけで、ヒットは高望みというのが大体の認識だ。
アマチュアの高校野球なら更に打てる打者は少ないだろう。そうなったら打力がなくても得点になるスクイズは練習もするし、戦術として採用もするだろう。特にこれでサヨナラにできるとなればやるチームも多い。
その辺りを説明すると、まあまあの納得を得られた。凡退するよりはマシ、くらいの認識で大丈夫だ。
「打つ自信がないからスクイズをするってこと?」
「満塁でもないと四球でも点は入りませんからね。ただアウトになるよりはリスクを取ってでもやる価値はあると」
「7割凡退って聞いちゃうとスクイズもありかなって思っちゃうな……」
「内野ゴロでもランナーが足が速ければそれでも良いんだろうけど、そこもランナー次第?」
「リリくん、他にもこういう場面で得点できる手段ってあるの?」
「あとは犠牲フライと呼ばれます。打者が外野フライでアウトになる代わりに、ランナーが生還するので犠牲って付きますね。これはバッターがフライを打ったら塁に戻らないといけないっていうルールの延長線上の話なんですけど、野手がボールを捕球した後だとランナーって実は好きにして良いんですよ」
「え?そうなんですか?」
「そうなんだよ、但馬さん。正確なルールだと、プレイ中だったらランナーはいつ走っても良いってなってる。通常のプレイ中だとアウトにする方法がたくさんあるからランナーも好き勝手に走ってないだけで、こういう犠牲フライとかの場合は、ルールを守っているので後は好きにさせてもらいますねって感じですね」
霜月さん、これもしかしてルールについて軽く勉強してきたのかな?質問が鋭すぎる。
ワイルドピッチなどを除いた特殊な得点方法の最後として犠牲フライについて説明する。
野手が捕球した際にランナーは自分のいるべースを踏んでいないといけないが、捕球した後ならフリーランが許可されている。なので捕球した後に次の塁に進むのはランナーの自己判断だ。
タッチアップはどこの塁にいても許可されている範疇なので実施して良いが、犠牲フライだけ別扱いされているのは打者の打率に関わってくるから。3塁以外のランナーがタッチアップをしても打者の打率は凡退として下がるだけだが、犠牲フライで得点になると打率は下がらず凡退でもヒットでもなく打率は変わらなくなる。
これは送りバントでも四球・死球でも同じで打数計算から除外される。やっていることはタッチアップと同じなのに犠牲フライだけ別扱いな理由はこれだ。
説明した後、レフトフライを打って犠牲フライを成立するのを見せる。
「もちろんこれも、外野手がホームへ凄い返球を見せてキャッチャーがボールを持ったミットでランナーにタッチしたらアウトにできます。2つアウトが貰えるので、犠牲フライは外野手にとっても見せ場ですね」
「じゃあ浅いフライだったら犠牲フライにならないね。それに外野手の肩次第?ランナーの足の速さもあるか」
「となるとせっかく打ってもアウトになるくらいだったら、スクイズも選択肢に出てくるかぁ」
「ヒットを打てたら良いけど、打てなかったら確かにスクイズも視野に入れないとダメだね」
「と、こんなところで野球の基本的なルールは大丈夫だと思います。細かいルールとかもありますけど、今日の内容を把握していたら観戦には十分かと。PDFは欲しければ渡しますので、その時は声をかけてください。最後に質問コーナーを設けましょうか」
質問がいくつか出るが、なんてことのない内容だったので即答する。エンドランについても聞かれたのでランナーが走りつつバッターが何かをすることで、バントエンドランと、ヒットエンドランについて説明した。利点も多いものの、失敗したらリスクも大きいのであまり見ない。
高校野球だったら見るかもしれないけど、プロ野球だったらスクイズと一緒であまり見ないプレイだろう。
というわけで勉強配信を閉めた1時間後くらい。
それはとある個人Vtuberさんからの大型企画の発表で、その内容で今日俺がこの配信をした理由に納得が産まれていた。
『
『ドロッセルがリリに教わってたの、これか!』
『ドロッセルが監督ってマジ?ウチだとリリが一番上手くね?まあ、メンツ的に女子しか監督がいないか……』
『ほら、スターティンクルがその辺り五月蝿いから』
『選手は全員自分の事務所のライバーにすること。エクリプスなら全員選手になれるかな?』
『監督のドロッセルを除いて20人だからベンチメンバーピッタリじゃね?』
『プロチームとして登録するから実はそこまでピッタリ20人にしなくて大丈夫。むしろ成績によって入部希望者の人数が増減するから、そこでライバー全員選手になれるかが決まるっていう……』
『じゃあドロッセル次第か』
そう、他の事務所とも連携して大型企画があるのでドロッセル先輩に野球知識を教えたわけで。
この後ドロッセル先輩が更に練習配信でまた俺に講師をしてもらうという告知をしていた。大型企画の開始が7月下旬からなので、その前、FORのハーフアニバーサリーの後にコラボ企画だ。
この大型企画周りで今月末から忙しくなるんだよな。手伝うって言ったのは俺だから、精一杯やるけど。