BAWSの逆襲 作:スカウトマニア
報酬 330,000c
作戦領域 ベリウス西部 - グリッド086上層外殻
僚機 ヘッドブリンガー(G5イグアス)、ハーミット(G6レッド)
敵戦力 汎用兵器、C兵器シースパイダー
作戦目標 グリッド086上層外殻突入、および大陸間輸送用カーゴランチャー到達
なお事前のミッションは『ドーザー他勢力排除』と『機密情報漏洩阻止』を合体させて、イグアスとレッドが味方に。敵にトランスクライバーを追加したものになっています。
ランドクラブを撃破し、ガレージも兼ねる輸送ヘリに乗ってドックに帰還する道中のこと、ラスティから入った通信に621は耳を傾けていた。三局に送るように、戦闘データを編集していた最中のことである。
手伝ってくれていたエアも作業の手を止めて、ラスティからの通信に集中している様子だ。
『レイヴン、君の戦いぶりを間近で堪能させてもらったよ。フロイトが君を気に入るわけだ。……共にアームズフォートを迎撃した仲だ。一つ、伝えておこう。今回、アーキバスは君を捨て駒にするつもりだった。「壁越え」でもそうだったが、独立傭兵に露払いを指せ、私たちヴェスパー部隊で本命を獲る。それがアーキバスのやり口なのさ』
それは621も知っている。壁越え阻止の際にラスティが出撃する前に、さんざん独立傭兵達を相手にして、ツィイーと共に鉄くずにしてやったのだから。
『だが君はアームズフォートを退けてみせた。フロイトと渡り合い、「壁越え」を阻止し、今日もまた戦果を挙げた君の名前を、上層部も覚えたことだろう。もちろん私も。
これからのルビコンは中央氷原が戦場の中心になる。そこで君はなにと、どう戦うのだろうな。願わくは君と私の歩む道が交差することを祈るよ。それでは、また縁があったら会おう、レイヴン』
口枷を嵌めた狼のエンブレムが画面から消えて、通信が終わる。ラスティが投げかけていった言葉を、ほんの少しだけ反芻して、作業を再開した。エアはそんな621になにかを言うことはなかった。
長い休養で鈍った体と勘は十分に研ぎ直せたと判断し、エアの提案に従ってグリッド86上層区画のカーゴランチャー確保に向かう、とエアに伝えれば彼女は621が提案を認めてくれたことに素直な喜びを示した。
《グリッド86に向かうのですね、レイヴン。私も役に立てて喜ばしい限りです。以前にも伝えましたが、グリッド86を占拠するドーザーは、「RaD」を名乗る非常に好戦的な武器商人です。戦闘になる可能性は極めて高い。準備を怠らずに行きましょう》
エアの言うことはもっともだった。というかこのルビコンで戦闘にならずに済む場所と、621はとんと縁がない。独立傭兵という立場もあるが、どこもかしこも炎上中の火種だらけなのだから。
ベイラムからの依頼を遂行がてら、グリッド86を目指す為、ドックに戻って小休憩と機体のチェックを終えたら、すぐにアセンブルを組み直して再出撃だ。
なんとも忙しないが、集積コーラルに近付く為にはのんびりと構えてもいられない。それくらいは621にも分かる事だった。
621がグリッド86を目指して着々と準備を進めている頃、三局のいつものメンバーは送られてきたデータを共有し、メリニット社に送るとともに次の製品開発に生かすべく意見を出し合っていた。
いつものブリーフィングルームで、合成コーヒーやら合成紅茶やら思い思いの飲み物のカップを手に、遠慮のない意見を出し合う、恒例のスタイルだ。
「バズーカは、心配していませんでしたけど、KRBAは無事に戦闘の負荷にも、耐えられてよかったで、すね」
まずサザンカが、KRBAが不具合を起こさず戦闘に耐えきった結果に、分かりやすく安堵する。他のメンバーも大なり小なり同じ気持ちだ。
ただのEN武器ではなくマルチEN武器だ。開発の順序を間違えていると指摘されてもおかしくないが、見本があった為、それなりの完成度に仕上がったKRBAはきちんと機能してくれている。
「向けられた先がランドクラブというのは、何とも言えませんね。どうやらフラットウェルさんの指示を無視して、独断で動いていた部隊のようですが、それでも貴重なAFとMT、それに人命が無為に失われる結果となりました」
苦み走った声を隠さないのはリンドウである。自分達の開発製造した製品が、同じルビコニアンの命を奪ったのもそうだが、それ以上に稚拙で感情に任せた行動に出た解放戦線側に対する憤りがある。
それだけの戦力と人員をきちんと運用出来ていたなら、どれだけの戦果をあげられただろう。中央氷原に渡る為に戦力と物資を集めている企業は格好の的ではあるが、あちらも当然それに備えているのだ。ただ勢いだけで攻めたところで、戦果を積み重ねられるものか。
「KRBAから逆算してぇ、レーザー兵器やプラズマ兵器を開発できそうねえ。それともぉ、マルチENハンドガンでも作るのかしらぁ」
キキョウはこれ以上、自社製品の挙げた戦果について話すのは建設的ではないと判断して、すぐに別の話題へと話の矛先を誘導する。目配せを受けたサクラはキキョウの心遣いに感謝しながら答えた。
「EN武器に関してはアーキバスが一歩も二歩も先を行っているから、彼らの隙間を縫うタイプの武器を作る方向性で行こうと思っているよ。メリニットからは次々と新しい武器の設計データが届いているし、実体剣について新しいアイディアがあってね」
メリニットやタキガワと共同開発した新武装については、製造をこちらで引き受けて三局内のメンバーと今回の621のように、信頼のおける相手に実働データの収集を依頼している。
人類の広大な版図の中でも継続的な戦闘の続いているルビコンでは、新鮮なデータが得られると各企業から熱視線が向けられている。地元企業とのつながりを得たメリニットとタキガワは、ここぞとばかりに新製品のテストを行っていた。
そしてメリニットとタキガワの両社と交わした約定の為に、三局は送られてきた設計データをもとに製造し、実働データを集めなければならない。
エルカノも星外企業との交渉を重ね、協力を取り付けており秘かにアーキバスとベイラムを、助走を付けてぶん殴る用意が進められている。
「メリニットはここぞとばかりにアイディアを押し付け……送って来るけど、タキガワはまだ控えめだね。製品として流通することを前提としたモノを開発しているから。
またレイヴン君にテスターを依頼する機会も近いだろう。ウォッチポイント・デルタで回収したデトネイティングバズーカとかね。ところでスイレン君、MTの方はどうだい?」
ストライダーを襲撃してきたウィーヴィルとヘリアンサスのことだ。どちらもコーラルジェネレータの代わりにAC用のジェネレータを搭載し、独自の改装を施して生まれ変わらせている。
ウィーヴィルはジャガーノートのようにブースタを増設し、火力と機動性は維持・向上を目指し、その代わりに燃費は悪化したため、短期決戦向けと割り切っている。
ヘリアンサスの改良型は中心部にMTを搭載し、車輪部分のブレードとミサイルのみを固定装備として火炎放射器の他、ガトリングガン、マシンガン、バズーカなどをMT部分が必要に応じて装備する仕様だ。
どちらも従来のMTを上回る性能は間違いないが、コーラルジェネレータ搭載時より出力や速度はどうしても落ちてしまうのを、有人機に変更してパイロットの技量と経験で補う想定である。
「レイヴンがアーレア海を渡ったら、あんまり会えなくなる、ね。でも仕事だから仕方ない……。私達も向こうに渡る?」
スイレンはレイヴンへの執着もあるが、ルビコンを巡る戦火の中心地が移動したことから、自分達も移るべきか? と疑問を抱いたらしい。
「いや、僕達はあくまでこちらがホームさ。新製品の開発はしてもあちらで活動するのは、しばらく控えよう。ベリウスから企業が完全に消えるわけじゃない。彼らの基地も工廠も残るのだからね。
それにウォッチポイント・デルタの襲撃と強制監査の妨害、ルビコンへの不法進駐の継続が重ねっている。そろそろ惑星封鎖機構が大きく動いてもおかしくないよ。解放戦線にも企業叩きに熱中して、背中が隙だらけにならないよう忠告しておこう」
「はい。……レイヴンはもう中央氷原に渡ったかな?」
スイレンは三局のメンバー以外ではもっとも懐いている強化人間仲間を思い、ひっそりと溜息を零した。
*
スイレンに心配されている当の621はエアの助けを受けつつグリッド86へと侵入し、立ちはだかるRaDのMTやACマッドスタンプ、ビタープロミス、改造重機スマートクリーナーの全てを蹴散らし、頭目「灰被り」のカーラに協力を取り付けることに成功していた。
だがすぐにカーゴランチャーが使えるかというとそうも行かず、621とエアは若干の足止めを余儀なくされる。
RaDと敵対関係になるドーザー最大派閥ジャンカー・コヨーテスからの襲撃を受け、621によって戦力を蹴散らされたRaDは、これに満足な迎撃態勢を整えられなかった。
この責任を求められた621はジャンカー・コヨーテスの撃退を求められ、更にグリッドに侵入したハッキングドローンの発見と破壊まで押し付けられていたのである。
したたかなカーラに言いくるめられた621が外部から侵入してくるMTを蹴散らし、内部に侵入したMTとハッキングドローンを片付ける段に移った時、新たなAC二機がグリッドに侵入してきたのだ。
621への依頼とは別に大陸間の輸送手段を探し求めるベイラムが派遣したG4イグアス、G6レッドの二名である。レッドのACハーミットは以前と変わらなかったが、イグアスのヘッドブリンガーは武装に変化が見られた。
右腕のリニアライフル『CURTIS』がより火力に優れた『HARRIS』へ、左腕のマシンガン『LUDLOW』はパイルバンカー『ASH MADE』になって、より攻撃に特化した構成になっている。
右肩も四連装ミサイルから六連装ミサイル『BML-G2/P03MLT-06』になり、左肩の円形パルスシールドは大豊の軽量ガトリングキャノン『SHAO-WEI』になるなど、ヴォルタとの連携前提のアセンとは大きく異なる。
コヨーテスと戦っている最中に現れた二人は、海を渡る手段を探して来いと、レッドをお目付け役にミシガンから命令されたのだという。
幸いだったのは、二人がコヨーテスのRaD襲撃の依頼を受けていない点にあった。
命じられたのが海越えの手段探しなら、地元企業に負けない技術力を持つ武器商人のRaDを訪ねるのは妥当な判断だ。
イグアスと組んでいることの多いヴォルタは、グリッドの構造がタンクACには不向きであることと、解放戦線の襲撃とソレに乗じた独立傭兵やドーザーから基地を守る任に就いているのだという。
ガリア多重ダムで自分を打ち負かした621の存在に、イグアスは一気に不機嫌のゲージを高ぶらせたが、レッドのとりなしとカーラの口出しによって、三人の共闘でコヨーテスのMTを蹴散らす事になった。
コヨーテスを撃退した後、更に外部から例のステルスMT部隊が、トランスクライバーに率いられて襲ってくるという一幕もあったが、レッドガンのコールナンバー持ち三名を前に興味深いジャンクへとなり果てている。
既にウォルターは621がカーゴランチャーを使って海を渡ろうとしているのを知り、若干、気苦労を感じさせる溜息と共にその判断を認めて行動を許していた。
実はウォルターとカーラには秘密裏の繋がりがあり、カーラとしては今回の621の訪問は腕試しと人となりを確かめる意味合いもあったのだが、それを知るのはカーラくらいのものだ。
体よくジャンカー・コヨーテスの撃退に621だけでなく、イグアスとレッドにも手伝わせた口の達者さは、カーラの機転の良さと年の功だろう。
更にグリッド上層部へと昇り、惑星封鎖機構が監視するエリアから、カーゴランチャーを三人仲良く目指す。
上層部にはイカのような見た目でふわふわと浮かぶ無人防衛兵器の他、はるか頭上の封鎖衛星からのレーザー狙撃が待ち構えており、頭のネジが吹っ飛んだドーザー達が時折度胸試しをして、消し飛ばされているという。
『ちい、耳鳴りがするだけでも鬱陶しいってのに、上から面倒なレーザーなんぞ降らしやがって……』
イグアスは渋々621と行動を共にするようになってから、不快な耳鳴りが頻発するのに、しきりに顔をしかめている。強化手術の後遺症というには、彼が手術を受けてから年月が経っている。
まさかガリアのダムで野良犬に落とされたせいか? と余計に機嫌を悪くするイグアスを他所に、カーゴランチャー近辺の無人兵器を片付け終えたレッドは、注意深く周囲をスキャンしている。日頃の訓練が染みついているのが見て取れる。
レーザー狙撃と無人機の特攻によるダメージは三機とも軽微で、飛んできた補給シェルパを使えばすぐに万全の状態に元通りだ。
実際に見たカーゴランチャーは一回当たりで輸送できる量がそう多くは無さそうで、輸送に使用する機材などを考慮すると、カーゴランチャー一基では到底足りない。
中央氷原の調査に必要な規模の人員や機材、戦力を継続的に送り込むのはかなり難しいのではないか、とレッドとイグアスが思う中、海越えの最後に立ちはだかる障害が降ってきた。
巨大な機械仕掛けのヒトデか、松ぼっくりか。惑星封鎖機構が接収し、運用しているC兵器『シースパイダー』。動力にコーラルを利用した巨大兵器が、上層区画に侵入した三人を排除しようと襲い掛かって来たのだ。
思わぬ未知の敵の出現に誰もが驚愕する中、真っ先に動いたのは621。
上層部の状況から当初は軽量高機動、火器も最低限のアセンを組もうとしたのだが、惑星封鎖機構のLC機体や大型武装ヘリの出現を想定し、火力を重視したアセンに変更しておいたのは、不幸中の幸いだった。
両肩に背負った小型連装グレネードランチャー『SONGBIRDS』が愛らしい鳴き声を発し、正気を取り戻したイグアスがHARRISのチャージを待たずトリガーを引く。
さらにイグアスが両肩の武装を開放したところで、レッドも大豊製のバズーカと6連ミサイル、8分裂ミサイルのトリガーを引く。621も右腕の強化バーストライフルを撃ち続けた。
着地の体勢から立ち上がるまでの間に、シースパイダーの巨体は暴力的な破壊の嵐に飲み込まれて、大きなダメージと限界を超えた負荷によってACSが機能停止し、スタッガー状態へと陥る。
『合わせろや、野良犬!』
『援護します、先輩、G13!』
イグアスのヘッドブリンガーがアサルトブーストで恐れ知らずの突撃を敢行し、チャージしたパイルバンカーをシースパイダー中心部へと叩き込まんとするのに、621とレッドは迅速に応じた。
ハーミットがクロスレンジで右腕のハンドガンを連射し、シースパイダーに更なるダメージと衝撃を与え続けるのを傍目に、LOADER 4もアサルトブーストによって一気に距離を詰めた。
愛機の左腕には、三局から特別に優先販売された近接武器『MURAKUMO』が装備されている。
左腕の下部に装備された鞘から後方へと向けて鋭い刃が展開し、シースパイダーの中心部の目前で機体が左から右へと回転して大きな斬撃を刻み、更に返す刃で下方から抉るように刃を突き立てる。
チャージしたパイルバンカーに装甲を貫かれ、機体内部に浸透した衝撃に揺れるシースパイダーに深々と斬撃痕が刻まれ、そのまま機能停止してもおかしくないような見た目に早変わりだ。
621とイグアスが刃とパイルを引き抜き、シースパイダーが血の代わりにコーラルとスパークを散らして身もだえする姿に、憐れみを覚える者は一人も居なかった。
技研の狂った遺産の出現に対してカーラとエアがそれぞれの反応を見せる中、実際に戦っている三人はというと、相手に本領を発揮させる間もなく迅速に撃墜するべく即興の連携で行動を起こしている。
イグアスは621がエアと交信する度に襲ってくる耳鳴りに悩みながら、HARRISのチャージ射撃とガトリングキャノンの猛打をシースパイダーに叩き込み続ける。
シースパイダーの放つコーラルキャノンによる大砲撃を回避し、合間に放たれるコーラルガンの連射を三機がバラバラに動くことでターゲットを絞らせず、被弾を最小限に抑え込み、三名のレッドガンは着実にシースパイダーを追い込んでいた。
ほどなくしてシースパイダーが六本の脚を開き、ラフレシアかなにかを思わせる形態に移行すると、あろうことか飛行し始めて621達の頭上からコーラルを利用した兵器を次々と浴びせてくる。
『ちっ、昔のルビコンの連中はこんなもんばっかり作ってやがったのかよ』
『今もジャガーノートやストライダーを作る連中です。性根は昔からなんでしょう!』
『ちげえねえ! やるぞ、レッド』
『了解です、先輩!!』
降り注ぐコーラルミサイルの爆風とコーラルガンの雨を掻い潜りながら、AC二機分の火力が空を飛ぶヒトデボックリに群がる。再びパイルバンカーを見舞うタイミングを狙うイグアスは、621がシースパイダーの頭上を取っているのに目敏く気付いた。
『野郎!』
シースパイダーの攻撃が足元のヘッドブリンガーとハーミットに集中している間に、ブースタを吹かして頭上を取った621は再びMURAKUMOを起動し、チャージからの斬撃と突き込みをシースパイダーに上から見舞った。
六本の脚の一本が付け根から斬り飛ばされて宙を舞い、621がそのまま至近距離から合計四発のグレネード弾を撃ち込めば、爆発しながらシースパイダーは高度を維持できずにゆるやかに降下し始めた。
『相変わらず良い所を持っていきやがるが、トドメは俺がもらう!』
この好機を逃すイグアスではない。機体を加速させてこれ以上ないタイミングでチャージしたパイルバンカーを、シースパイダーの下部と上部を繋ぐ箇所を狙いすまし、撃ち込む!
『くたばれや、ガラクタがぁ!!』
再びパイルバンカーの一撃を受けたシースパイダーは機体の耐久限界を迎えて、内部のコーラルジェネレータが誘爆を引き起こし、621とレッドは素早く距離を置いたが、パイルバンカーを撃ち込んだイグアスは、そのまま飲まれていた。
『うおおおおお!?』
『せ、先輩!』
幸い、APの消耗がそれほどでなかったヘッドブリンガーは、コーラルの誘爆に巻き込まれつつも撃墜は免れて、シースパイダーの残骸の傍らに膝を着いた姿勢で固まる。
慌ててレッドのハーミットが傍に近付き、COMにイグアスの状態を調べさせれば、意識が混濁しているものの命に別状はないのが分かる。
『やれやれ、技研のC兵器をたったの三人でほとんど完封したと思ったら、最後にとんだオチがついたねえ。そいつの面倒はウチで診てやるから安心しな。さあ、ビジター、あんたはコンテナにアクセスするんだ。カーゴランチャーの操作はこっちでやる』
『G13、こちらのことは気にするな。先輩もどうやら命に別状はないようだし、俺もミシガン総長に状況の報告を行わなければならない。お前は我々からの依頼の通り、中央氷原の先行調査を遂行することを考えろ』
621はこちらを気遣うレッドに了解の意味を込め、機体の頭を立てに動かしてから、カーゴランチャーのコンテナにアクセスする。
こうして想定外の戦いを終えた621は、星外企業が海越えに手間取っている間に、独立傭兵のフットワークの軽さもあって、真っ先に海を越えて中央氷原へ到達することに成功する。
なおこの後、意識を取り戻したイグアスは、忌々しいレイヴンが人間の搭乗を想定していないカーゴランチャーで飛ばされた、と聞かされ、初めて野良犬と蔑む相手に同情の念を覚えた。
エアは気づいていなかったのか、見逃したのか。カーゴランチャーは物資の輸送用であって、人間の輸送に適した輸送手段ではなかったのだ。
いくら強化人間でも耐えられるか怪しい負荷と、海を渡るほどの長距離を過ごさなければならない621の消耗がどれほどひどいものだったか。イグアスが同情してしまうほど過酷だったのは、間違いない。
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BAWS社製BRADE
『MURAKUMO』
BAWS第三技術開発局が新たな近接武器として開発した、鞘付きの実体剣。
待機状態では刃が前方に向けて折りたたまれており、起動と同時に肘側に刃が展開される。刃は極めて強固な素材で作られているが、間合いは短く使いこなすのには習熟と技量が求められる。
通常攻撃時は左から右への横一文字→右下から左上への切り上げ→真一文字の肘落としからの最大三連続攻撃。チャージ攻撃は前方に突撃しながらの回転斬り→突き込みの二連続攻撃となる。
命中時の自機の速度によって攻撃力及び衝撃力が上昇する特性を持つ。
価格 155,000コーム
攻撃力 912
衝撃力 824
衝撃残留 603
連続攻撃回数 3
チャージ攻撃力 915×2
チャージ衝撃力 855×2
チャージ衝撃残留 606×2
直撃補正 223
PA干渉 119
冷却性能 418
重量 3060
EN負荷 212
MURAKUMOについては比較対象に困って難しい数値設定になりました。ご意見いただけると嬉しいです。