BAWSの逆襲 作:スカウトマニア
大変な新年の始まりとなりましたが、通常通り、投稿させていただきます。
少しでも気を紛らわせる役に立てばなによりです。
開拓惑星ルビコン3のコーラルを巡る戦いが中央氷原に主な舞台を移したころ、BAWS第三技術開発局はウィッチポイント・デルタで回収したACの解析を終え、新たな商品開発に応用するべく話し合いを重ねていた。
『44-141 JVLN ALPHA』、オールマインドの開発した特殊バズーカで、着弾を起点とした連鎖爆発を引き起こし、対象に多量の衝撃を与える特殊性を備える。
オールマインドの開催している戦闘ログ収集、通称ログハントの報酬の一つで、それなりの腕前の独立傭兵なら所持していてもおかしくはない。
通過軌道にロープ状の爆弾を残して連鎖爆発を引き起こす特殊ミサイル『45-091 JVLN BETA』、エンタングルに採用されていた二脚『06-041 MIND ALPHA』もログハントの報酬だ。
アセンブルそれ自体は独立傭兵ならあり得ないモノではないが、先日、BAWS第2工廠を襲ったACが同じようにオールマインド製のパーツで構成されていたこともあり、三局のメンバーはオールマインドの関与を大なり小なり疑わざるを得ない。
残念ながらエンタングルの機体内部のデータはほとんど消失しており、パイロットのスッラが誰から依頼を受けたのか、ウォッチポイント・デルタでなにをしようとしていたのかは、不明のままだ。
調べても分からないものは調べても仕方がないと、割り切って新製品開発に舵を切り、今はサクラとサザンカがガレージの一角に吊るされたJVLN ALHRAやMIND ALPHAを見上げている。
一度分解してから徹底的に調査し、再度組み立てたものだ。回収したエンタングルやトランスクライバーなど、興味深いAC本体もEPHEMERAと同じ別のガレージに収容されている。
なおレーザーオービットも回収しているが、EN兵器とオービット技術に関する知見が乏しい為、開発は難航中だ。
「エンタングルから、回収したデトネイティングバズーカ、デトネイティングミサイル、二脚パーツの解析も、どうにかなりましたね」
「傭兵支援システム『オールマインド』、いつからかこのルビコンで活動する独立傭兵達を支援するシステムとして、根を張っていた謎の存在だね。
運営者も資金源も不明ながらウチやエルカノばかりか、星外企業の製品も取り扱い、独立傭兵達にいくつものガレージを提供できるだけの拠点も確保している。
アイビスの火から立ち上がるのに随分時間が掛かったとはいえ、どこの馬の骨とも分からない存在に根付かれてしまったものだ」
「企業所属でも登録できるのは、情報収集の為、でしょうか」
例えばレッドガンのG7ハークラーは、オールマインドのシステムに登録している。本来、オールマインドは独立傭兵の為のシステムである為、企業所属の場合にはパーツショップの利用などに、一定の制限が設けられている。
所属している企業の利益の為にオールマインドのシステムを利用され、本来、恩恵を受けるべき独立傭兵達に損失が生じないようにする為の措置となれば、納得できなくはない。
「アリーナなんてものを運営しているのも、その一環だろう。大豊がACのアセンブルを依頼した外部アーキテクトも、オールマインドの可能性が高いと見ているよ。微妙なアセンだったけど。
そうでなくても、企業のバックアップもなしにこれほどのレベルの製品を開発した技術力は、称賛するしかない。その技術力を僕達が最大限応用してあげようじゃないさ。なにしろ社名に“応用”って入っているくらいだからね、ウチは!」
「今頃は、ドーザーを相手に、弾切れになるくらい、撃っている頃でしょうか……」
「景気よくぶっ放してくれているさ!」
昨今、ベリウス地方の企業勢力が中央氷原への移動に熱中している頃、警備が手薄になった基地や拠点を狙って、ドーザーと一部の独立傭兵達の動きが活発になっていた。
特にジャンカー・コヨーテスのベリウス出張組は、グリッド086に攻め込み、621とイグアス、レッドに叩きのめされた事で減った戦力を補充しようと、他のドーザーの吸収に加えて独立傭兵を積極的に雇い入れているという。
これの対策としてBAWS三局が主導してエルカノや独立傭兵、さらにアーキバス、ベイラムの居残り組に働きかけて、ベリウスに残るジャンカー・コヨーテスを壊滅させる準備を進めている。
星外企業の協力が得られる可能性は低いが、ドーザーに大きい顔をされては地元ルビコニアンの生活も脅かされる為、彼らの駆除は必要不可欠。
この場に居ないリンドウ、スイレン、キキョウは事前準備として、ベリウス各地のドーザーをコヨーテスに合流される前に、新製品のテストがてら潰す為に出撃中なのだった。
ACに乗って戦闘に参加しているのはリンドウとスイレンで、キキョウは大型輸送ヘリの操縦士兼オペレーターとして、後方からの支援を担う。
リンドウは愛機キョウカスイゲツの構成を、脚部のみCATARINAにしたTOUSEIフレームで出撃している。
武器は右手に強化バーストハンドガン『SAMPU-S』、左腕にバスターソード『SHIDOU』、右肩にベアリング弾投射機『SHOUFUU』、左肩のウェポンハンガーにはレーザーブレード『IZEN』をセットしてある。
一方、スイレンのセツゲツカは四脚のAKEIに、その他をKAKEIで統一していた。
リンドウが近接武器を主軸にしたアセンを組んでいる為、こちらは中~遠距離に対応した構成となっている。
右腕にはBAWS製デトネイティングバズーカ『JVLN OKN』、左腕に強化バーストライフル『RANSETSU-SRF』、両肩には『JVLN HSMC』だ。
大型輸送ヘリで同じく運んできた四脚MT二機を引き連れて、RaDとBAWS製のMT並びに独自の改造が施された非正規品MT部隊を掃除している。
崩落したグリッドの残骸に手を加えて拠点化されており、設置されたガトリング砲台やミサイル砲台が後先を考えずに発射されている。ドーザーにしては用意周到な連中だ。
「砲台から潰していこー」
スイレンが戦闘に対する緊張感が欠片もない声を出し、軽量化したデトネイティングバズーカで砲台と周囲のMTを効率よく吹き飛ばし、両肩のJVLN OKNを追加で発射。
セツゲツカの両肩からロープ付きのミサイルが弧を描き、遮蔽物代わりのグリッドの残骸を回り込んで、その背後に隠れていたMT達を吹き飛ばす。
『ぐわぁああ』
『BAWSの奴らが、なんで俺達を!!』
『殺して身ぐるみ引っぺがせ!』
『囲め、囲め。砲台もあるんだ。火力を集中させりゃ、敵じゃない』
コーラルを常飲して脳をパチパチさせているドーザー達は、襲ってきた三局を相手に意気揚々と襲い掛かる。向こうからやってきた獲物くらいに思っているのだろう。
RANSETU-SRFで近寄ってくるMTをけん制しつつ、JVLN OKNでコーラルに酔っ払う連中を空のお星様に変えて行く。更に引き連れてきた無人機達も、それぞれに構えた武器を使って、同じメーカーのMTを叩き潰している。
BAWSのMT製造を担っている第2工廠から送られてきた、より大型化した四脚MTと、三局がバルテウスのコアを担っていたLCを改修したものの二機だ。
四脚MTは機体を一回り大型化して装甲を厚くし、重くなった分は高出力のジェネレータとブースタでカバーという頭の悪い仕様だ。
これまでの四脚MTと違い、センサー類を集中した頭部を備え、背部武装を二か所装備できるなど、よりACに近い戦闘向きの設計思想の産物だ。
従来の四脚MTと同じ武装を装備可能だが、現在は両腕を占有する大型のハンマーを持ち、九連バズーカを右肩に、グレネードキャノンを左肩に背負っている。三局では『SUMOU』と愛称を付けて、運用している。
もう一機の三局が改修したLC機体は新開発の近接武器スタンスピアを左腕に、右腕にはバーストマシンガン、両肩に四連ミサイルポッドとACを上回る基本性能でもって、群がるMTを相手にスタンスピアをメインウェポンとして戦い、次々と突き倒している。
三局のメンバーがこれまでの戦闘データを選別してRaD頭目カーラの協力の元、開発した無人OSは、RaDのチャティ・スティックには及ばないものの、なかなかの出来だ。
この機体はなんちゃってLCと呼ぶべき完成度だが、スモウとのコンビネーションは上手く働いており、BAWS製LC『RYUUGARI』は及第点以上の働きを見せていた。
ドーザー側の反撃のマシンガンやバズーカを食らっても、SUMOUの装甲はちょっとやそっとではダメージを負わず、反撃のバズーカやグレネードをMTの機動力では回避しきれず、更に距離を詰められた上で振るわれたハンマーでペシャンコに叩き潰される。
より機動力に優れたRYUUGARIは言わずもがな、下手なパイロットより優れた技量のAIは、ドーザーをかく乱しつつスタンスピアで確実に急所を貫き、鉄くずの山を築く。
セツゲツもまたがホバリングして頭上を取り、一方的に撃ち下ろしている間に、リンドウのキョウカスイゲツはSIDOUを振り上げ、薙ぎ払い、真っ二つにされた汎用兵器とMTの数を増やしていた。
リンドウは強化バーストハンドガンで散らしつつ、近接戦闘用に調整したブースタが生み出す加速で距離を詰める作業を繰り返す。
ドーザーのMT達が火力を集中させるが、重量ACとして開発されたTOUSEIとCATARINAの装甲は、ちょっとやそっとで抜かれはしない。
脚部にパイルバンカーを装備した改造MT達が正面、左右の三方向から一斉に飛び掛かってきたのに対し、TOUSEIの右肩武装が火を噴いて迎え撃つ。
「考えが甘い!」
SHOUFUUの前面装甲が展開し、内蔵したベアリング弾を左右に広く一斉に発射し、パイルバンカー付きのキックを叩き込もうとしていたMTと、周囲の施設を巻き込んで破壊する。
ベアリング弾の射程の外に、背部のスナイパーキャノンをこちらに向ける四脚MTをセンサーが捉えた瞬間、リンドウはアサルトブーストを起動し、重量機体を一気に加速させる。
「ちぇえりおおお!!」
必要のない独特の叫びと共に機体を加速させて、左腕一本で振り上げたバスターソードが近接戦闘に特化したチューニングを施されたTOUSEIの腕部で振るわれ、スナイパーキャノンごと四脚MTの胴体を叩き斬る。
それで既に機能停止するのに十分なダメージだが、更に更に刃が押し込まれて、ついに四脚MTを両断するに至る。刃を振ってべったりと着いたオイルを払い、びしゃっと音を立てて地面を濡らす。
バスターソードを振り下ろした瞬間を狙い、地面に突き立つ壁の裏から飛び出してきたNTを、バーストハンドガンの点射が怯ませ、そこにバスターソードの切っ先を突き込んで串刺しにする。
ACと比較しても巨大な刃に貫かれたMTをガードメカ目掛けて叩きつけ、さらにブーストキックを叩き込む。
加速のついた重量をぶちかまされて、バラバラになりながら吹っ飛んで行くMTを見送り、リンドウは次の目標を探してレーダーに目をやる。
周囲から降り注ぐマシンガンとミサイルがキョウカスイゲツを叩き、APが減ってゆくがまだリペアキットは三回分残っている。
敵の残数と機体の状況を判断し、リペアキットはまだ不要、敵機の掃討を優先とSHOUFUUで施設ごと敵を吹き飛ばしながら、拠点の最奥部を目指す。
無防備なくらいに突き進むキョウカスイゲツを、後方から発射されたデトネイティングバズーカとデトネイティングミサイルが追い抜き、キョウカスイゲツを狙っていた砲台とMT達を巻き込んで巨大な爆発を巻き起こす。
痒いところに手の届くスイレンの援護に、リンドウは口元を綻ばせながら疑問を口にする。そうするだけの余裕があった。
「連鎖爆発か。グレネードとはまた違った扱いの難しさはあるけれど、悪くない武器だ。それにしてもどうしてオリジナルには、あんなに大きな銃剣が付いていたんだろう?」
回収したオリジナルのデトネイティングバズーカの長い砲身の下には、それなりの長さと厚みを持った銃剣が装着されており、密着した状態や弾切れした後の使用を考慮したにせよ、重量を大きく増す原因となっており三局では不要と結論付けられている。
その他の機構も見直して修正した結果、軽量化に成功したJVLN OKNは取り回しの良いデトネイティングバズーカに仕上がったと言える。その成果をドーザーの諸君は、自分達の命と引き換えに堪能していた。
ベリウス地方からドーザーを排除する為の動きは、それなりに順調に進んでいった。
自分の開発したパーツを好き勝手に弄繰り回されたオールマインドが、なにを考えていたのかどう感じていたのかは謎である。少なくともBAWSに抗議の連絡は入ってきていない。
その一方で中央氷原には徐々に企業勢力が渡り始めており、解放戦線のスティグロがフロイトにより撃墜され、ギガベースもまたレッドガンの手で破壊された結果、企業勢力も本格的に集積コーラルを巡る戦いに本格的に参戦することとなる。
企業勢力の中央氷原進駐に対し、中央氷原支部をまとめた上げたルビコン解放戦線も、迎撃の用意を整え、ベリウスの本部と連携して企業勢力の排除に向けて虎視眈々と好機を狙っている。
そして未だベリウスに留まるサクラは、新製品の開発とは別の行動を起こしていた。昔の伝手で残していた連絡先に通信を繋げれば、返ってきたのは苦行に身を置く僧侶のような老人の声だ。
「やあ、サム。相変わらずコーラルは飲まないままかい?」
『……誰かと思えばお前か。BAWSで好き勝手にやっているそうだな』
「ははは、今の職場は僕の肌に合っているよ。逆に君は今の解放戦線やルビコニアンの考えが、気に入らないようだけれどね。さて、さっそくで悪いが今日は旧交を温める為に、連絡を取ったわけではないんだ」
『お前は私に表に立って皆を鼓舞しろ、という性格ではなかったな。では今更、私になんのようだ?』
「そうだねえ、君に寄り添うフレディ君を大切にしろとか、解放戦線のAC乗りに近接戦闘のイロハを叩き込めとか、色々言いたいことはあるが、今、言う事ではないかな」
通信画面の向こうで、サクラがそれまで浮かべていた微笑を消す。
「いつだったか君の口にしていたコーラルリリースの情報、そしてザイレムについて。君が今、僕に話してもいいと思える範囲で構わない。それを教えて欲しい。どうかな、サム?」
『お前は、どこでその知識を得た?』
「技研の遺産漁りをしている内に、ね? それにC兵器を運用し、コーラルの井戸を求める連中が暗躍している様子だし、これからのルビコンの未来を考えると、君の知識も把握していた方がよさそうだ」
ドルマヤンはしばしの沈黙を選んだ。彼を支配する罪悪感と諦観が、旧知の相手から求められた知識は、彼にとって今も治りきらぬ傷を暴き立てるものだ。彼が岩のように口を閉ざすのも、無理のない事だった。
サクラはドルマヤンが求めに応じるにせよ、拒絶するにせよ、どちらでも受け入れるつもりで待ち続けた。彼の心の傷に振れている自覚はあったから。
「お前の求める知識は……」
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BAWS社製強化バーストハンドガン
『SAMPU-S』
BAWSの再設計プロジェクトにより開発された強化バーストハンドガン。
命中率と瞬間衝撃力、総合的な攻撃力の強化を目指して設計を見直している。例によって生産性を維持する為、給弾機構やマガジン、弾薬などは従来のSAMPUと共通している。
スイレン「SAMPU-SのSは流石のS」
価格 96,000
攻撃力 117×2
衝撃力 138×2
衝撃残留 88×2
直撃補正 126
射撃反動 18
性能保証射程 80
有効射程 160
速射性能 5.0
マガジン数 12
総弾数 300
リロード時間 1.7
弾単価 40
重量 990
EN負荷 66
BAWS社製デトネイティングバズーカ
『JVLN OKN』
オールマインド製特殊バズーカに独自の改修を施して開発された、BAWS製特殊バズーカ。
着弾を起点に周囲に爆発を引き起こす特性を維持したまま、BAWS目線で不要と思われるパーツを排除し、重量の変化に伴う再調整が施されている。
メリニット社も興味を示しており、共同開発でこそないが、開発に当たってアドバイスを与えている。今のところ、オールマインドからのクレームは届いていないようだ。
OKNは『奥の細道』より。
価格: 197,000
攻撃力: 1016
衝撃力: 1330
衝撃残留: 844
爆発範囲: 18
直撃補正: 211
射撃反動: 72
有効射程: 740
総弾数: 53
リロード時間: 4.1
弾単価: 750
重量: 5100
EN負荷: 244
BAWS社製デトネイティングミサイル
『JVLN HSMC』
オールマインド製特殊ミサイルに独自の改修を施して開発された、BAWS製特殊ミサイル。
飛翔体の通過軌道に対し、ロープ状の爆弾が追従して連鎖爆発を引引き起こす特性を維持したまま、ファーロン・ダイナミクス社のアドバイスを踏まえた上で調整が施されている。
特に大きな問題点は見当たらなかった為、量産に向けて扱いやすくなるように廉価版となっている。今のところ、オールマインドからのクレームは入っていないようだ。
HSMCは『奥の細道』より。
価格: 190,000
攻撃力: 741
衝撃力: 700
衝撃残留: 524
爆発範囲: 22
直撃補正: 155
誘導性能: 366
有効射程: 366
誘導ロック時間:2.1
最大ロック数: 1
総弾数: 36
リロード時間: 3.6
弾単価: 410
重量: 4020
EN負荷: 400