BAWSの逆襲   作:スカウトマニア

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本編開始です

ミッション:移設型砲台防衛
依頼社   BAWS第三技術開発局
報酬    100,000コーム
特別加減算 なし
作戦領域  ベリウス南部-汚染市街
敵戦力   汎用兵器、軽MT
作戦目標  大豊混成MT部隊の殲滅



ミッション:移設型砲台防衛

 BAWS第三技術開発局所属の強化人間スイレンは、愛機セツゲツカと四脚MT三機を連れて、三局本部のガレージに帰還したところだった。

 グリッド135付近にある汚染市街に展開するルビコン解放戦線に、注文を受けたMTと弾薬を納品に行ったその帰りである。

 

 近頃、汚染市街付近にベイラムが部隊を展開しているのと、惑星封鎖機構のサブジェクトガード(SG)が巡回しているという情報から、納品の護衛を務めていたのだ。

 警戒していたのが功を奏し、ベイラムの専属AC部隊レッドガンのメンバー、G7のコールサインを持つハークラーと遭遇し、双方痛み分けの末、撤退することとなった。

 

 幸い運び込んだ品に損失はなく、セツゲツカもいくらかの被弾で済んでいる。

 ガレージに機体を預けて、整備を依頼している間、手の空いたスイレンは本部内にある別のガレージへと足を向ける。

 アイビスの火以前にルビコンで普及していた最初期のACの保管庫であり、今では生産終了の骨董品から、ジャンクから組み上げたものまで、相当数のACが鎮座している。

 

 いざとなれば乗り込むか、あるいはAIを組み込んで防衛線力にする予定である。スイレンは自分と同じ古い時代の置き土産達を眺めるのが、それなりに好きだった。同類に対する憐れみかもしれない。

 ガレージの奥には厳重にセキュリティを張り巡らされた一角があり、そこにはサクラがどこからか入手してきた、ルビコン調査技研がかつて開発した無人機が眠っている。

 

 コアパーツに大穴が開き、ジェネレータが吹き飛んでいた以外は、大きな損傷の無かった機体は修理も終わり、次世代AC開発の為の貴重なサンプルとなっている。

 IA-C01L:EPHMERA。それが無人機ACの名前だ。こちらもいざとなれば乗り込み、戦力化することも可能だ。ジェネレータと武装以外のパーツは販売しようと思えばできるが、貴重な技研の遺産を他企業の手に渡すつもりは無い為、販売の予定はない。

 

「あなたも、ここが居場所になるといいね」

 

 ACでも破壊するのに手間取りそうな扉の向こうで眠るEPHMERAに、なんとなく声を掛けてから、スイレンはその場を後にした。

 

 

 コーラル再発見の情報が星外にリークされて、ルビコンが半世紀ぶりの争乱と望まぬ戦いに見舞われている中、地元企業BAWSは勢力を問わず商品を販売する一方、ある意味、当然の流れで地元勢力であるルビコン解放戦線に肩入れしていた。

 同じ地元企業のエルカノと協力し、星外企業のシュナイダーやファーロンにも働きかけ、ベイラムとアーキバスの足元をすくい、顔面に鉄拳を叩き込むべく日夜努力している。

 

 いつでも出撃できるようにパイロットスーツを着込み、その上に社名の入ったジャケットを着ているスイレンは、シミュレーターに籠って技術向上に勤しんでいた。

 星外から次々と優秀なACパイロットが訪れており、スイレンよりも新世代のより優れた強化人間達も少なくない数が居る。恵まれたこの場所を失わない為に、スイレンなりに努力を欠かさずにいた。

 

「スイレンちゃん~。ちょっとお仕事を頼んでいいかしらぁ~」

 

 聞こえてきたのは少し間延びした話し方が癖のキキョウだった。背はスイレンよりも低いくらいだが、柔らかな物腰と包容力はスイレンにとって心地よいものだ。シミュレーターを停止して応じると……

 

「どんな仕事?」

 

「忙しい時にごめんねぇ。またグリッド135の汚染市街なんだけどぉ~」

 

 グリッド135と言われて、スイレンはG7との戦闘と遠目に見かけた惑星封鎖機構の重武装ヘリを思い出す。正面から戦うには手ごわい相手ではあるが、倒せと言われるのならなんとしても倒す。それくらいの覚悟はあった。

 

 

『621、仕事だ。ルビコンの星内企業BAWSのばら撒き依頼だ』

 

 傭兵支援システムオールマインドに手配された専用ガレージの中、乗機LOADER 4のコックピットで独立傭兵レイヴンこと強化人間C4-621は、雇用主であるハンドラー・ウォルターからの通信に耳を傾けていた。

 この星に眠るコーラルを手に入れて、再手術を受け、脳を焼かれて失った機能を取り戻す為に、独立傭兵としての実績作りを始めようと受けた依頼だ。

 

『独立傭兵の皆さん。依頼の内容は、現在、グリッド135に展開中のルビコン解放戦線が運用する、弊社製の移設型砲台をメンテナンスする間の護衛です。

 現地ではベイラムないしはその傘下企業の活動が確認されています。汚染都市防衛の要である移設型砲台が、メンテナンスの為に稼働できないのは、彼らにとっては絶好の機会です。襲撃を受ける可能性は極めて高いと弊社では考えています。

 なお弊社からもACを一機派遣いたします。現地では僚機として共同で護衛に当たってください。独立傭兵の皆さん、弊社はいつでも皆さんの協力をお待ちしています』

 

『襲撃がない可能性もあるが、星外企業はそれほど甘い相手ではない。油断はするな、621』

 

 油断を戒めるウォルターの言葉に後押しされて、621は輸送ヘリによって機体ごと汚染市街へと運ばれた。

 汚染市街の入り口近くで機体を下ろされ、メインシステム=自分が戦闘モードを起動したのをCOMが音声で告げる。

 センサーを動かすと手近なところにある砲台の周囲に、作業用のMTが取りつき、修繕作業を行っているのが映る。

 

 すべての砲台のメンテナンスが終わるまでの間、敵を近づけないのが今回の任務だ。

 ほどなくして友軍の識別タグを貼ったACの接近をCOMが伝える。BAWS所属ACセツゲツカ。フレームを第二世代ACとして開発されたKAKEIでまとめたアセンだった。

 右腕にバーストライフルRANSETSU-RF、左腕にエルカノと共同開発したロングソードASTLA、両肩にファーロン・ダイナミクス社製の四連装ミサイルBML-G1/P20MLT-04といった武装だ。

 

 KAKEIの頭部は前後にやや長い長方形をしており、バイザー状のカメラアイを持っていて、顎回りは分厚いチンガードで守られている。

 RaDの探査用フレームを参考にしているのか、腕部の肩は前方に突き出す形だ。直線で構成された武骨な造りで、二の腕と前腕部はBASHOによく似ていた。

 コアはRaDのORBITERの中央の突き出た部分を削り、平面的なパーツに置き換えたデザインだ。

 脚部は621も使っているCRAWLERによく似ていて、BASHOの要素はあまり見受けられない。股関節部分の前後と側面にアーマーが追加されているのが、大きな変更点だろうか。

 

「初めまして。貴方が依頼を受けてくれた傭兵さん? 私、BAWSのスイレン。機体はセツゲツカ。よろしく、ね?」

 

 ばら撒き依頼で応じる独立傭兵の質はたいがい怪しいものだが、スイレンの態度に見下すものはない。不自然なくらいに友好的だ。

 ACを操縦する以外の機能をほとんど喪失している621だが、友好的なあいさつを交わされれば、それに答えようかと少し考えるくらいの情緒はあるらしい。どう答えようか、と考えているとウォルターからの警告が届く。

 

『621、接近中の機体群を確認した。反応は汎用兵器とMTの混成部隊。ACは居ないが気を緩めるな』

 

 続けて今回の依頼でBAWS側のオペレーターを務めるリンドウが、621とスイレンに追加の情報を齎す。

 

『こちらでも確認しました。ベイラム・インダストリーの傘下企業、大豊核心工業集団の部隊です。弊社がカスタマーケアサービス中の旨を伝えましたが、無視するようですね。

 ルビコン解放戦線の拠点で作業中となれば、流石に話は別ですか。次回、大豊に製品を販売する時には、迷惑料を吹っ掛けるとしましょう』

 

『したたかなことだ。621、打って出るか、そのまま留まって守るかはお前に委ねる』

 

 ウォルターの指示を聞き終え、隣のセツゲツカに目をやれば左腕のASTLAを掲げて、抑揚のない声で威勢のいいことを言っていた。

 

「とつげきー」

 

 有言実行というわけか、スイレンのセツゲツカがアサルトブーストを起動して、前方の崖上から接近中の敵部隊へと一直線に突撃してゆく。ソレを見て621も行動を決める。

 同じくアサルトブーストを起動し、パーツの性能差で少しずつ距離を離されつつも、敵部隊の哨戒ヘリを真っ先に捕捉する。

 ルビコン解放戦線は汚染都市に留まったままだ。このまま二機で総勢三十数機の敵部隊を殲滅しなければならない。

 

「レイヴン、私は左から仕掛ける、ね? いい?」

 

 621はイエス、と答える代わりに機体の進行方向を右に傾けて、お互いのロックオンが重複しないよう調整する。敵機を撃破しても追加報酬が出ない以上、撃墜数に拘泥する理由はなかった。

 

「ありがとう」

 

 スイレンはお礼を言うが早いか、マルチロックを終えた左肩の四連装ミサイルを一斉に発射した。哨戒ヘリがまとめて四機、ミサイルの追尾を振り切れずに撃墜される。そのまま勢いに乗って崖に飛び上がれば、敵部隊が移動速度を緩めて、迎撃行動に移り始める。

 

『ルビコン、いや、独立傭兵か!』

 

『BAWSのAC! 構わん。囲んで叩け。たかがAC二機だ』

 

 襲撃するはずが襲撃された敵部隊だが、たった二機のACが相手と分かると大した戦力ではないと士気を高める。実際、ルビコンで活動中のAC乗りの大半は、MTに数で押されればそのまま撃墜される。

 その数少ない例外が今はレイヴンを名乗る621だ。スイレンも手厚いバックアップの下で戦闘を重ね、訓練に熱心なこともあり優秀なAC乗りとして成長している。

 

 621の駆るLOADER 4の進む先では、ベイラム製のアサルトライフルが次々とMTに銃弾を叩き込み、盾を構えるMTは左腕のパルスブレードが閃いて、敵機に対して適切な装備を間違えずに選択し続けている。

 ジャンプからの自由落下とクイックブーストを交えたブースト移動で、絶え間なく動き回る621を武装トラックや武装ヘリ、MTは追い切れず、マルチロックで発射されたミサイルの餌食となる。

 

『独立傭兵がここまでやるのか!?』

 

『くそ、これならこちらもACを用意していれば……!』

 

 後悔の味を噛み締めるMTにアサルトライフルを撃ち込んで沈黙させ、621は機体のEN管理に神経の一部を割きながら、アサルトライフルのリロードが終わるのを待つ。

 先にルビコンで密航した際に遭遇した惑星封鎖機構の大型武装ヘリに比べれば、格段に脅威度の低い敵ばかりだが、ウォルターからの忠告通り猟犬に油断はなかった。

 

 621が順調に敵機を撃破している一方で、スイレンも恨みはないが敵対的な星外企業を相手に、容赦なく攻撃を加えていた。

 ルビコンに来てからアセンを変更するパーツがなく、そのままの621に対して、恵まれた機体に乗っているスイレンだが双方の戦果はほとんど変わらない。それだけ621の技巧が卓越しており、同じ機体に乗っていたなら話は違っていただろう。

 

 ASTLAの左袈裟斬りでMTの構えた盾を斬り飛ばし、右から左へと描かれる半月の斬撃でMT本体を沈黙させる。

 距離を詰める前に撃ったミサイルが周囲の敵機をけん制する間に、バーストライフルを打ち込めばガードメカや武装トラックは簡単に炎上爆発する。

 

 ミサイルを免れた敵機の撃つマシンガンの雨に晒され、少しばかり機体にダメージを受けながら、スイレンは621にささやかな対抗心を燃やして、次の敵を狙い定める。

 独立傭兵のACやレッドガンのコールナンバー持ちも居ない部隊では、621とスイレンは明らかに過剰な戦力だったのが、大豊部隊の不幸であった。

 

 

「レイヴン、とても優秀。味方でよかった」

 

 一方的に大豊の部隊を殲滅し終え、リペアキットも使わずに戦いが終わった後、迎えの輸送ヘリを待つ621に、スイレンは嘘のない正直な感想を伝えてきた。こちらもまた手術の影響で情動は希薄だが、その分、口から出てくる言葉に嘘はない。

 

『独立傭兵レイヴン。私もスイレンと同じ意見です。今回、もし大豊の部隊に貴方が居たなら、移設型砲台は全て破壊されていたでしょう』

 

「リンドウ」

 

『スイレン? ……分かりました。独立傭兵レイヴン、追加報酬としてエルカノと共同開発したロングソード『ASTLA』を手配します。ぜひお使いください。これからもBAWSをどうぞご贔屓に』

 

「同じ強化人間仲間。初めて会った。これからもよろしく。いぇい」

 

 621と比べると随分と感情豊かなスイレンだ。表には出てこないが、実際には喜怒哀楽がしっかりと備わっているのは、三局のメンバーの間では知れ渡っている事だった。

 こうして密航を果たしてから初めて受けたミッションを無事に完遂した621は、この次にアーキバス系列のシュナイダーから受けたグリッド135に展開する大豊のMT部隊殲滅の依頼を、ASTLA片手に達成するのだった

 

 

***********

 

 

BAWS社製第二世代AC『KAKEI』

 

 ベイラムのMELANDER、アーキバスのVPなど星外企業の第二世代ACに対抗する為、開発されたBAWS製の第二世代AC。BASHOの武骨さを受け継ぎつつ、性能向上と量産性の両立を目指した機体。

 

KAKEI頭部

価格 86,500コーム

AP   1,040

耐弾防御 184

耐EN防御 172

耐爆防御 167

姿勢安定性能   439

システム復元性能 110

スキャン距離   410

スキャン持続時間 6.0

スキャン待機時間 4.7

重量  3120

EN負荷  132

 

KAKEIコア

価格 190,000コーム

AP  3190

耐弾防御 430

耐EN防御 404

耐爆防御 409

姿勢安定性能 452

ブースタ効率補正 100

ジェネレータ出力補正 104

ジェネレータ供給補正 100

重量 15400

EN負荷 324

 

KAKEI腕部

価格 93,000コーム

AP  2250

耐弾防御 239

耐EN防御 235

耐爆防御 226

腕部積載上限 14910

反動制御 108

射撃武器適性 101

近接武器適性 125

重量 13700

EN負荷 255

 

KAKEI二脚

価格 163,000コーム

AP  4040

耐弾防御 358

耐EN防御 361

耐爆防御 347

姿勢安定性能 834

積載上限 59900

水平跳躍性能 110

垂直跳躍性能 21

重量 18400

EN負荷 372

 

BAWS・エルカノ共同開発ロングソード

『ASTLA』

 BAWSが蓄積したAC用実体近接武器のノウハウをエルカノに提供し、同社の優れた金属加工技術により鍛え上げられたAC向けロングソード。共同開発の為、両者の命名法則から外れている。まさしく騎士の持つ直剣を思わせるデザイン。

 

価格 50,000コーム

攻撃力  860

衝撃力  650

衝撃残留 540

連続攻撃回数 2

チャージ攻撃力  1386

チャージ衝撃力  1150

チャージ衝撃残留 1000

直撃補正 205

PA干渉  144

冷却性能 465

重量  2400

EN負荷  121




G7 ハークラー
モンキー・ゴート
トーマス・カーク
の生存ルートです。
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