BAWSの逆襲 作:スカウトマニア
ミッション
『輸送ヘリ護衛』
依頼社 BAWS第三技術開発局
報酬 90,000コーム
特別加減算 輸送ヘリの破壊 -15,000コーム
作戦領域 ベリウス南部-汚染市街
敵戦力 汎用兵器、軽MT、AC
作戦目標 ルビコン解放戦線の物資輸送ヘリの護衛
『621、名指しの依頼だ。お前宛にBAWSの第三技術開発局から依頼が入っている』
汚染都市に設置された移設型砲台の防衛、グリッド135に展開する大豊MT部隊の殲滅と所属不明機の撃墜、アーキバス系列シュナイダー社の依頼で大豊のテスターAC撃破と、順調に依頼をこなしてきた621もいよいよ指名を受けるだけの知名度を得たようだ。
それなりにコームを稼ぎ、オールマインドの開催している初等傭兵教育プログラムをクリアして、少しばかりアセンの幅も広がった頃合いである。
コックピットに座る621はウォルターからの通信に耳を傾けながら、機体を通して依頼内容を視認している。
『依頼主はBAWSの第三技術開発局。ばら撒き依頼の縁かもしれんな』
画面が切り替わって三局からの依頼内容説明が始める。前回はリンドウがオペレーターを務めたが、今回、映し出されたエンブレムは桔梗の花だった。
『はじめましてぇ、独立傭兵レイヴンさん。BAWS第三技術開発局のキキョウと申しますぅ。以前は弊社からの依頼を無事完遂していただきぃ、ありがとうございました。
今回は貴方の実力を見込んで、指名させていただきましたぁ。
さっそく、依頼内容をお伝えしますねぇ。作戦領域はベリウス南部の汚染市街です。前回はメンテナンス中の砲台を守っていただきましたが、今度は物資輸送用のヘリ、全部で六機を守っていただきたいんです』
新たに映し出されたのは崖に挟まれた作戦領域だ。三か所に分かれて輸送ヘリが配置されており、出発までの間、この輸送ヘリを守るのが今回の依頼であるらしい。
ルビコン解放戦線のMT部隊が護衛についており、その中には四脚MTが一機含まれている。水準以上のパイロットが乗り込んだACでも、苦戦は必至の戦力と言っていいだろう。
『最近、ベイラムやアーキバス傘下の部隊が積極的に動いているんですよぉ。まず間違いなく、出発の直前を狙ってぇ、襲撃があると予想しています。
輸送ヘリは私達第三技術開発局で用立てた資材や部品を積み込んでいますから、これを届ける前に壊されるのは、困るんですよぉ。
最近、解放戦線がかなり頑張っているのでぇ、ひょっとしたらレッドガンACの出撃もあり得ますから、十分に気を付けてくださいね~』
提示されたマップデータや報酬、作戦内容を改めて反芻し、621は依頼の受託をハンドラーに伝える。有無を言わさず従えられるものを、可能な限り621の意思を尊重するウォルターは、一抹の不安要素はあるものの否を口にしなかった。
『いいだろう。レッドガンはベイラム専属のAC部隊だ。これまでお前が相手をしてきたMTとは一味違う。もし戦場で邂逅したなら、無理はするな』
こちらを案じる言葉を残して通信を終えるハンドラーに、621はわずかに口を開いた。そこから言葉が出ることはついぞなかったし、621自身も自分の行動に気付いてさえいなかったが。
*
レイヴンに依頼を出した方の三局側はと言えば、キキョウは間延びした口調とは裏腹に現地のルビコン解放戦線への根回しは終えていて、輸送ヘリ出発のスケジュールの確認も済み、ミッション開始に向けた諸々の準備を手早く終えていた。
いよいよコーラルを巡る争奪戦が本格化し、BAWS本社の存在するベリウス地方ばかりでなく、あちこちで戦火が燃え盛っている。
戦う力を持たない民間のルビコニアン、コーラルに酔いしれるドーザー、一獲千金を夢見て命懸けの密航を果たしてきた独立傭兵も薪の内の一つだ。
「スイレンちゃんには悪いことをしたかしらぁ。あのこ、レイヴンさんを気に入っているみたいだしぃ」
そしてミッション当日、派遣した飛行型ドローンを通じて、安全な管制室からレイヴンこと621の様子を観察していた。
スイレンは強化人間同士だからなのか、あるいは明らかに自分より技量に優れているからか、621にやけに懐いているのは三局内部では周知の事実となっている。
近頃は三局の周辺に流れてきたドーザー達を蹴散らす為に、出撃中だった。いわゆる野良ドーザーはコーラルドラッグの蔓延により、簡単には根絶には至らない。
特に最大勢力のジャンカー・コヨーテスは統率の取れていない烏合の衆とはいえ、数だけは馬鹿みたいに多く、企業勢力もそれなり構えて当たらねばならないほどだ。
現地では崖上に四機の輸送ヘリが待機し、そこには四脚MTと複数のMTが配置されていて、最も戦力が充実している。
その隣は壇上の崖になっており、そこにも輸送ヘリが一機。こちらも複数のMTや武装トラック、砲台に守られていて、並みの独立傭兵やMT部隊なら十分な防備だ。
最後の六機目の輸送ヘリは向かいの崖下に待機されているが、配置されたMTの数が少なく、もっとも撃墜しやすい配置となっている。
レイヴンは五機目と六機目の輸送ヘリの中間地点で、待機していた。もし怪しい動きを見せれば、ルビコン解放戦線側が挟み撃ちに出来る場所でもある。
「あららぁ、すっかり警戒されちゃってぇ~。ウチの紹介でも警戒を緩めるには、至りませんかぁ~」
キキョウがドローン越しに現地の様子を記録し始めて十数分後、接近中のベイラム部隊を発見したことで、にわかに慌ただしくなり、リードを手放された猟犬が動き出す。
最初に接近してきたのはマシンガンやクラスターガンで武装したMT部隊だ。どの勢力も使っているBAWS製MTで、621も既に見慣れた感がある。
『解放戦線のACを確認。急速に接近中!』
『MT部隊と連携を取らせるな。先に叩くぞ!』
所詮はゲリラ組織と侮り、ベイラムMT部隊のパイロット達が通信を交わす矢先、彼らにLOADER 4の両肩の『BML-G1/P20MLT-04』から、合計八発のミサイルが白煙の尾を引いて殺到する。
一発や二発なら耐えられるMTも三発、四発と着弾が続けば堪ったものではない。咄嗟に脱出レバーを引いたのは、常日頃の訓練がモノを言った。
ベイラム側の出鼻をくじくミサイル掃討劇の後、MTの起こす爆炎が収まる前に621は機体を加速させ、ベイラム部隊の鼻先をかすめるようにカーブを描きながら、右手のアサルトライフル『RF-024 TURNER』の弾幕を浴びせて行く。
ベイラム製の普及型アサルトライフルでベイラムの戦力を削るのだから、なんとも皮肉なものだ。常人のみならず、強化人間でも滅多に見られない耐G性能でクイックブーストをはじめとする高負荷に耐え、621は明らかに別格の動きで敵を蹴散らし続ける。
ルビコン解放戦線やBAWSに特別な思い入れがあるわけではない。妥当な報酬を提示され、依頼を受託した以上は仕事をこなす。少なくとも、621は交わした契約を果たすことに誠実ではあった。
リロードの間にできる空白を肩のミサイルの発射タイミングと、左腕のパルスブレードの冷却と組み合わせ、常になにかしらの攻撃ができるように調整し、攻勢を続ければ攻め寄せてきたベイラムの部隊は見る間に三分の一以下にまで減る。
ドローン越しに見ているキキョウも、賞賛の言葉以外思いつかない戦いぶりだ。
崖上から姿を見せた第二波が輸送ヘリに肉薄する場面も見られたが、ミサイルを撃ちながらアサルトブーストで駆け付けて、パルスブレードを振るい、見る間に敵機を撃墜する621の戦いぶりに、ルビコン解放戦線側は621が敵ではなかった幸運を噛み締めていた。
そうしてベイラムMT部隊に多大な出血を強いた後、ようやくといったタイミングで姿を見せたのは、レッドガン所属のAC、パイロットはG7のコールサイン持ち、ハークラーだ。
『解放戦線にしちゃ、動きがいい。だが、レッドガンを敵に回したのが運の尽きだ』
ハークラーのACは頭部とコアがMELANDER、腕と脚部はTIAN-QIANGで構成され、右腕に大豊のバズーカXUAN-GE、左腕にベイラム製マシンガン『MG-014 LUDLOW』、右肩に星外企業メリニット社の小型連装グレネードキャノン『SONGBIRDS』、左肩はウェポンハンガーにベイラムの火力型アサルトライフル『RF-025 SCUDDER』。
機体の堅牢さに任せて多少の被弾は許容し、左腕の武装で敵機の牽制と足止めを行い、隙を突いて右腕と右肩の武装で仕留める、といったコンセプトか。
『輸送ヘリの前にてめえからぶっ潰してやるよ!』
ドスの利いた声で宣言し、ハークラーは右手のバズーカを早速、LOADER 4へと見舞った。易々ともらう621ではない。回避した先を狙って放たれたマシンガンにも反応し、跳躍と共に回避して、空中からアサルトライフルとミサイルを発射。
ハークラーはアサルトライフルが機体を叩く衝撃を味わいながら、ミサイルの回避を優先し、空中から加速してこちらに突っ込んでくるLOADER 4を睨む。
『ちっ、強化人間か? この間の野郎を思い出させやがる』
LOADER 4の起動したパルスブレードの一撃目こそ、後方へのブースト移動で回避できたものの、二撃目を避けきれずにコアパーツの装甲を斜めに斬り裂かれる。傷は浅く戦闘にすぐさま支障が出るレベルではない。
ハークラーは汚染市街で遭遇戦を演じた強化人間──つまりは三局のスイレンのことだが──を思い出しながら、高機動戦では人体を弄繰り回したあちらに有利と即断。ダメージレースに持ち込もうと腰を据えて、両手、両肩の武器をフル稼働させる。
格下と侮っていた相手に一撃を入れられて苛立ちこそすれ、機体の操縦に一切の乱れはない。乗機の特性をよく理解し、活かすクレバーさは流石ベイラムの精鋭レッドガンの一員と言えた。
だからこそ多くの面で劣る機体で、立ち回りを演じ、攻防を繰り返す中で動きを研ぎ澄ませてゆく621の規格外さが浮き彫りになる。いくら強化人間とは言え、同じカテゴリーの中でも格の違いは存在する。その中で621は紛れもなく“当たり”だった。
空のマガジンがいくつか地面の上に転び、ミサイルやグレネード、バズーカの爆風で吹き飛ばされるのを幾度か繰り返した時、621が仕掛けた。
ハークラーの機体が放ったSONGBIRDSのグレネードを空中でミサイルを使って撃ち落す、という離れ業を演じ、お互いのモニターを爆炎が覆いつくす中、一気に機体を加速させる。
アサルトブーストの急加速と爆炎の揺らぎ越しにハークラーの目と機体のセンサーをくらませる為に、急停止からのクイックブーストと切り返しを交えた変幻自在の動きで一気に距離を詰める。
跳ねるように、舞うように、滑るように、絶え間なく。
ハークラーの愛機は左腕のマシンガンをアサルトライフルに交換する瞬間であり、バズーカを握る右腕には四発のミサイルが突き刺さって、爆炎の中に飲み込んだ。
全て一瞬の間に621が見切った“間”だった。パルスブレードの連続斬撃が機体に深刻なダメージを見る間に与え、アサルトライフルのフルオート射撃が更に追い込んでゆく。
『ちぃ、総長の怒鳴り声が聞こえてくるぜ!?』
先日の汚染市街での戦い以来、どうにもケチがついて回る、とハークラーは愚痴をこぼしながら脱出レバーを引いた。最後の敵機の機能停止をウォルターから伝えられて、621は機体の足を止めて、冷却機構がフル作動する音と振動に身を委ねた。
護衛対象の輸送ヘリは全機健在。流れ弾で施設に小さな被害が出たが、防衛戦力のMTに被害は出ていない。レッドガンのACを相手にしたと考えれば、完璧に近い戦果と言えただろう。
ミッションの終了を確認して、ガレージに帰還してから届いたキキョウの通信内容からもそれは確かだった。
『お仕事お疲れさまでしたぁ、レイヴンさん。お陰様で先方に物資を届けられましたよぉ。解放戦線の皆さんもとっても、喜んでくださいましたぁ。貴方のお陰です。
レイヴンさんに依頼した私達三局も、とってもお鼻が高いですぅよぅ。これからもレイヴンさんとの縁を大切にしてゆきたいですねぇ。約束の報酬もぉ、振り込んでおきましたから、きちんと確認してください~。
それと、レイヴンさんを弊社商品の優先販売対象に推薦しておきましたぁ。オールマインドのショップでぇ、購入できる品が増えていると思いますのでぇ、一度ご覧くださいねえ~』
通信画面の向こうでニコニコと笑顔を浮かべているのが見える声で、キキョウは通信を終えた。
約束通りの報酬に加え、キキョウの言う通り、ショップのラインナップが増え、あのレッドガンのコールサイン持ちを撃退したことで621の知名度が広がるなど、多くのものを得たミッションだった。
*****
BAWS社製バーストアサルトライフル
『MA-J-201-Ⅱ RANSETSU-SAR』
BAWS第三技術開発局が再設計したバーストアサルトライフル。
解放戦線の新兵向けに生産されたRANSETSU-ARをベテラン向けに、火力向上を主題に再設計された。
使用されている弾薬、マガジン、給弾機構はARと共通しており、手元にあるのAR、弾薬はSARの為に使用できない、という事態を回避している。
スイレン「SARのSはスゴイのS」
価格 121,000コーム
攻撃力 99×3
衝撃力 88×3
衝撃残留 22×3
直撃補正 196
射撃反動 8
性能保証射程 173
有効射程 299
連射性能 3.4
マガジン弾数 20 → 21
総弾数 500 → 480
リロード時間 2.0
弾単価 40
重量 3810
EN負荷 137
BAWS社製ジェネレータ
『MASAHIDE』
BAWS第三技術開発局の開発した現行世代AC向け内燃型ジェネレータ。
YABAをベースにBAWS単独での更なる高性能化を目指し、同社のKAKEIに合わせて開発された。星外企業に追いつくのではなく追い越すことを目標としている意欲作。具体的にはVP-20SやVP-20C。
価格 260,000
EN容量 3,000
EN補充性能 955
供給復元性能 500
復元時補充EN 1050
EN射撃武器適性 98
重量 5110 → 5000
EN出力 3400
商品に紹介文を入れ始めました。
SARのマガジンと弾数を修正しました。
SARの説明文を修正しました。