BAWSの逆襲   作:スカウトマニア

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ミッション:武装採掘艦護衛

依頼社  BAWS第三技術開発局
報酬   270,000コーム
作戦領域 ベリウス西部 - ボナ・デア砂丘
僚機   キョウカスイゲツ(リンドウ)、セツゲツカ(スイレン)、軽MT、ストライダー
敵戦力  軽MT、四脚重AT、AC(独立傭兵)、C兵器、自立型破砕機
作戦目的 ルビコン解放戦線の巨大兵器、武装採掘艦「ストライダー」護衛




ミッション:武装採掘艦護衛

 ガリアの多重ダム防衛を成功させた後、621は細々としたミッションを片付けながら、更にコームを貯め込んでいた

 ガレージに収容した愛機のコックピットに籠り、パーツショップを眺めては、どれを購入しようかとページをめくる。

 

 またこの頃になると機体のペイントやデカール、エンブレムの作成などにも関心を持ち始めていた。独立傭兵としてレッドガンを二度に渡って撃退しことで、それなりの知名度を手にしているが、エンブレムやパーソナルカラーは分かりやすい象徴だ。

 戦闘以外の事に関心を示すのは、わずかずつだが、621に失われたはずの機能が戻りつつある証拠だろう。

 

『621、お前宛に仕事の依頼だ。相手はBAWSの第三技術開発局。……すっかり馴染みになったな』

 

 ウォルターとしては、アーキバスやベイラムのような企業グループから「買い」が入るのを想定したが、ルビコンの地元企業であるBAWSも悪い取引相手ではない。増殖したコーラルの位置について、星外企業よりも詳しいはずだ。

 ウォルターに促されてペイント作業を中止した621は、三局からの通信画面を開いた。機能を大きく喪失している聴覚も、機体を通じれば明瞭に音声を拾ってくれる。

 

『ご機嫌、よう。独立傭兵レイヴン、さん。BAWS第三技術開発局、のサザンカです。先日の、多重ダムの防衛、の成果は聞き及んでいます。あなたとご縁を結べたことは、我々、にとっても望外の幸運、でした。

 それでは今回、の依頼についてお話、します。ルビコン解放戦線の運用する、武装採掘艦ストライダーの、護衛、です』

 

 不思議な調子と抑揚で話すサザンカの言葉に続いて、621の視覚にキロメートル単位の巨体を誇るストライダーが映し出される。以前はコーラルを採掘する為の巨大な自立歩行採掘船だったのが、今は移動する軍事拠点と呼べる存在に変わっている。

 

『ストライダーは以前、は純粋な採掘艦でしたが、星外企業の侵入に伴い、ルビコン解放戦線からの依頼、により我々第三技術開発局が、武装化して、現在に至ります』

 

 元々はドーザーに武装化の依頼を出そうとしていたのだが、それなら地元企業に正式に依頼を出そうと真っ当な意見が出たことで、この世界では三局の手による武装化が施されている。

 三両編成は変わらないが、採掘艦としての機能を取り払い、完全に戦闘艦艇として改修されている。不要と見做された艦首のバゲットホイール、船体底面の採掘機、六本の脚の全てが取り払われ、陸上戦艦と化していた。

 

 脚の代わりに巨大なホバーユニットが追加され、移動速度の向上に成功している。最大の武器はメインジェネレータと直結している巨大レーザー砲『アイボール』。

 最大の弱点でもあるコレを守る為、増設されたサブジェネレータによって、シールドが常時展開されている。

 

 採掘機能の撤廃と引き換えに船体内部の設計も見直されて、全四基のサブジェネレータは堅牢な船内に収容されており、シールドの突破はACやMTでは至難の業だ。

 不安定な足を取り払った分、全高が低くなって取りつきやすくなった為、船体各所にミサイルと機関砲をハリネズミのように搭載し、更に51cm連装砲を甲板にずらりと並べて、MTレベルなら一撃で木っ端みじんにする火力を、アイボール以外にも確保している。

 

 ストライダーの艦長を任せられていた人物は、ルビコン解放戦線の中でもかなり先鋭的な人物で戦意に溢れる烈士ではあるのだが、では有事に具体的な指示が出せるかというと、かなり怪しいところがあった。

 ストライダーの採掘艦としての機能を取り払う改造案に対しても、断固として反対して解放戦線の中でも大きく問題となったのだが、それは621に関係のない話。なお現在のストライダー艦長は別の人物が務めている。

 

『ストライダーはアイボール、周りを中心とした定期、点検の時期です。点検中はアイボール、を起動できません。それでも他の武装は、問題なく使えますがこの隙を狙って、アーキバスが部隊を、動かす予兆、があります。

 点検中、あなたにはストライダーの護衛、をお願いしたい、のです。点検の為に弊社から人員を派遣しますので、その護衛としてリンドウ、スイレンが同伴、します。もし襲撃があったなら、戦闘に同行、します。

 レイヴンさん、どうかよろしくお願いします』

 

 サザンカが画面の向こうで頭を下げているのが容易に想像できる声で通信が終わり、ウォルターは621へ依頼の受託を問いかけた。

 アーキバスやベイラムの依頼も受けているが、昨今、BAWS系の依頼を多く受けている。若干、偏りが生まれつつあるのは確かだ。逆にアーキバス系列のシュナイダー社からは、ストライダー破壊の依頼も来ていた。

 

『621、シュナイダーからはストライダー破壊の依頼が来ている。敵対する両陣営から、同時に依頼とはな。報酬額は……同額だ。シュナイダーの依頼を受ければ、BAWSのACとストライダーが相手になる。

 BAWSの依頼を受ければ、おそらくシュナイダーがお前の代わりに雇った独立傭兵やMT部隊が相手となるだろう。どちらを受け入れるかは、お前が決めろ』

 

 621の心情を推し量るように言葉を重ねるウォルターに対して、621はしばしの沈黙を置いてから、自分の選択を告げた。選んだのは武装採掘艦の護衛。この時、621の脳裏に移設型砲台防衛ミッションで共闘したスイレンの声が、蘇っていたかもしれない。

 

『……解放戦線につくことを選んだか。結果を出せば名前を売れるのが、独立傭兵の利点だ。ミッションの領域は遮蔽物の少ない広大な砂丘となる。複数の方向からの襲撃が想定される。三局のACと解放戦線のMT部隊が居るとはいえ、油断はできない。気を付けて行け』

 

 とはいえ621に取りうる選択肢はあまり多くない。複数の味方が居るとはいえ、襲撃に対応する為、移動速度と継戦能力を重視するべきだろうか。なるべく射程の長い武器を持って行く方がよいか。

 素早く敵を殲滅する為には、ある程度の打撃力も居る。手持ちの札の少なさの中で、機体構成はほとんど変更の使用もなく、武装について多重ダムから少しだけ手を加えた。

 

 両肩というか背部というかは変わらず四連装ミサイル、右腕に初等傭兵教育プログラム1で貰ったベイラムのマシンガン『MG-014 LUDLOW』、左腕には大豊のバズーカ『DF-BA-06 XUAN-GE(玄戈(シュエングァ))』を持たせた。

 マシンガンはMT、ACの牽制用、バズーカは弾数が多く継戦能力を重視しているという謳い文句と使い勝手を確かめた上での選択となる。このアセンが吉と出るか、凶と出るかは、もう間もなくわかる。

 

 輸送ヘリに運ばれて、砂丘の中で定期点検の為に停止しているストライダーへと向かう。ストライダーを遠目に除く位置で下ろされた後、警戒中のMT部隊に所属を問われる一幕もあったが、BAWSから依頼を受けた独立傭兵と言えばすんなりと引いてゆく。

 先日、ガリアの多重ダムを守ったレイヴンの名は、解放戦線の中でそれなりに広まっているようだ。ストライダーの巨体を機体のカメラ越しに眺めていると、ほどなくしてセツゲツカとキョウカスイゲツが頭上からやってきた。

 

『レイヴン、やっほほい、スイレンだよ。戦場だけど、一緒になれて嬉しい。ふんふふん』

 

『お久しぶりです、リンドウです。この度は弊社の依頼を受けてくださり、誠にありがとうございます。レイヴン氏の助力が得られれば、百人力というものです』

 

 ふわりとLOADER 4の傍らに舞い降りたキョウカスイゲツは、頭部、コアをBASHO、腕部をBASHO Kai、脚部は四脚MTからの応用で開発したAC用四脚パーツ『AKEI』の組み合わせだ。AKEIの名前は野沢凡兆の俳号の一つ阿圭からとったものだろう。

 下手なACより強いと評判の四脚MTの脚部外装を、BASHOと取り換えたようなデザインだ。地上での走行性能と姿勢安定性能を重視したが、その分、ホバリング性能は控えめとなっている。

 

 武装は右腕にRANSETU-RF、左腕にファーロンのハンドミサイル『HML-G2/P19MLT-04』、左右の肩はファーロンの六連装ミサイル『BML-G2/P03MLT-06』とミサイルに偏ったチョイスだ。マルチロックによる同時複数攻撃を重視しているのだろう。

 その一方で621とウォルターの目を引いたのは、セツゲツカだった。脚部以外がKAKEIで統一されているのは前のままだが、その下半身の四脚パーツが異様の一言に尽きる。

 

 通常、ACの四脚用パーツは機体を中心に、四方へ向けて四本の脚が伸びているものだが、セツゲツカの四脚は同じ方向を向き、本体は前部に置かれている。

 また機体の最後部からは、バランサーを兼ねるテールスタビライザーが伸びていて、ウォルターは情報でのみ知っている、とある動物を連想した。

 

『そのパーツは、馬をモチーフにしているのか?』

 

『レイヴンのハンドラーは博識、だね? そうだよ。これはね、実在の動物を参考に、開発したパーツなの。名称はUMAだよ? 猪とか、虎とか、狼とか、ダチョウとか、牛とか、候補は他にもあったよ』

 

 人類ではない生物を模すことで、ACに新たな可能性を見出せるのではないか、と実験的に開発された四脚パーツだ。逆関節の脚部を発想の原点に置き、最初に目を付けたのが馬だったという話である。

 オールマインドが異物混入による人体感覚の変化に着目して、独自の逆関節パーツを開発したようなものだ。

 

 BAWS四脚パーツ『UMA』は地上での移動速度、前方への跳躍性能と蹴りの威力に優れているが、ホバー性能に関してはAKEI共々お察しである。

 武装面は右手にメリニットの小型バズーカ『LITTLE JEM』、左手にメリニットの小型グレネード『IRIDIUM』、左右の肩にはファーロンの十連装ミサイル『BML-G2/P05MLT-10』と、三機の中でもっとも火力が高い。

 

『アーキバスのMTもACも木っ端微塵にしてやるのだー』

 

『いずれにせよスイレンのやる気は本物です。弊社にアーキバスと本格的に事を構える意図はありませんが、ストライダーはアーキバスのコーラル調査と採掘をたびたび妨害しています。

 MTの供給源である工廠が対象というわけでもありませんし、我々が作業していても容赦なく襲撃を仕掛けてくるでしょう』

 

 スイレンは相変わらず棒読みに近い調子だが、リンドウはそれに慣れ切った様子で、至極真面目にこれからの予想を口にする。既にストライダー内部では三局のスタッフが、ジェネレータをはじめとした、船体内部の点検を進めているのだという。

 散々、アーキバスの邪魔をしてきたストライダーの動きを、アーキバス側が見逃していないのは、シュナイダーからの依頼でも明らかだ。

 

 そして予想通りにシュナイダーからの依頼を受けた独立傭兵とMTからなる混成部隊が、三方向からストライダーへと殺到し始めたのは、621の合流から間もなくのことだった。

 足を止めたストライダーだが51cm連装砲やミサイル、機関砲による援護は活きており、また解放戦線のMT部隊も居たため、それほど数の不利がある状況ではない。

 

 621、リンドウ、スイレンはそれぞれ三方向に分かれて、アーキバスMT部隊の迎撃を始める。

 三時の方向から迫りくるMT部隊が放つマシンガンを軽やかに避け、砂の中を突き進むMTへ機体のロックオンよりも速くマシンガンを発射し、穴だらけになったMTを次々と量産する簡単なお仕事を済ませて行く。

 

 MTに限れば攻めるもBAWS製、守るもBAWS製とルビコンではありふれた光景だ。

 その中に混じる異物は、やはり独立傭兵の操るACだろう。

 621の前に立ちふさがったのは、天槍の平たい頭部と巨大なコア、シュナイダーの腕部NACHTREIHER/46E、足はBASHO、両手にレーザーハンドガンVP-66LH、左肩にファーロンの高誘導ミサイルBML-G3/P04ACT-01というアセンの機体だ。

 企業を問わずにアセンを組めるのは、企業に紐で繋がれていない独立傭兵ならでは。

 

 お互い戦場で会えば戦うのみと、さっそく相手はレーザーハンドガンの乱射から、高誘導ミサイルを撃ってくる。青白いレーザーハンドガンの軌跡がモニターを埋め尽くす中、あえて速度を落とされた高誘導ミサイルの軌道にも注意しなければならない。

 右へのクイックブーストからブースト移動へ切り替え、敵機を中心に円を描くように動けば、それだけで相手はこちらの動きを追従するのに苦労し始める。

 

 マシンガンのトリガーを引けば、面白いように命中してゆき、クイックブーストもあまり活用しておらず、パイロットがそれほどG耐性に優れていないのだろう。

 慌てたようにレーザーハンドガンの連射を続けるものだから、あっという間にオーバーヒートしてしまい、攻撃の手が緩む隙を見せてしまう。せっかくの高誘導ミサイルも621に易々と振り切られていた。

 大胆に距離を詰めた621が正面からワンマガジン分の弾丸を叩き込み、遅れて命中したミサイルによってスタッガーに追い込まれた敵機へ、トドメとばかりに左手のバズーカが直撃する。

 

『こ、コイツ、動きが違う!? なんで、こんな奴が!』

 

 爆炎に包まれる敵機から聞こえてきたのは若い女性の声だったが、621の操縦へ何の影響も与えはしなかった。APを大幅に削られた敵機へ張り付くように動き回り、リロードが終わる度、銃弾とバズーカを叩き込めば敵機が沈黙するまでに大した時間はかからなかった。

 敵ACを相手にする片手間に周囲のMT部隊も片づけていた621は、スイレンとキキョウの戦況を確認する。

 

 まだ決着がついてないようなら、救援に向かおうと考えていたのだが、二人が相手をしている独立傭兵も、アリーナのランキングに乗れないような木っ端だったようだ。

 曲がりなりにも企業所属パイロットとして、普段から鍛え上げている二人を相手に既に撃破されて、機体反応を停止させている。ストライダーからの援護砲撃によって、景気よく敵MT部隊が吹き飛ぶ中、ウォルターからの通信が届く。

 

『621、気を付けろ。高速で接近する機影を探知した。これは!?』

 

 ウォルターの焦りを含む声に621が警戒の意識を深める中、機体のレーダーもまた接近してくる新たな機影を捕捉する。

 反応は二種だ。砂を巻き上げて高機動型ACにも負けない速度で迫ってくるのは、一機はMTと大差が無いように見える機体と高速回転する丸のこぎり、あるいは刃の生えた車輪、かろうじて向日葵のような珍妙な物体だった。

 

『な、なんだこれは! 企業の兵器か?』

 

『いや、アーキバスの連中にも攻撃を加えているぞ。ぐあ!? 早すぎる』

 

 ストライダーと解放戦線MT部隊の困惑した通信に続いて、スイレンとリンドウの声も聞こえてくる。

 

『おおう、回転する向日葵。これにはスイレンもびっくりどっきり』

 

『見た目はふざけていますが、MTモドキも速いし、搭載している武装も強力……。見た目はこんななのに!』

 

 ストライダーや解放戦線のMT部隊、スイレンとリンドウの挙げる驚きの声が通信越しに乱れ飛ぶ中、621はあくまでストライダー護衛の任務を全うする為、新たな敵の排除に集中する。

 621に向かってきたのはMTモドキ──ウィーヴィル、ゾウムシを意味する機体と回転する火吹き向日葵、ヘリアンサスが二機ずつ。

 

 ウィーヴィルは右肩に二連速射砲、胴体に十連発ミサイル二基、左肩にグレネードキャノン、ヘリアンサスは回転する機体そのものが武器であり、また火炎放射器と六連発ミサイル二基で武装している。

 どちらも恐ろしく速い動きで、立体的な挙動は今のところ見られないが、複数で行動しているのと搭載している火器の威力から、そこらの独立傭兵が駆る同数のACよりも手強そうでさえある。

 そしてコックピット内部に鳴り響くアラート、アラート、アラート! 正面からグレネード、左右からミサイルが次々と迫ってくる。かろうじて回避できる隙間がある程度、という密度だ。

 

『621、それらの機体からコーラル反応を探知した。かつてルビコン技研都市で開発された、コーラルを動力にした兵器群、C兵器だ。まさかまだ稼働していたとはな』

 

 グレネードを避け、殺到してくるミサイルを右腕のマシンガンで撃ち落す。爆炎の向こうに居るヘリアンサスをマシンガンが叩くが、高速回転する機体にあっさりと弾かれてしまう。

 狙うならブレードのない側面か。もう一方のウィーヴィルは見たところ、特に装甲の弱い面は見受けられないが、通常のMTにはあり得ない速度と火力は、十分な脅威だ。

 

『話の通じる相手ではない。応戦しろ、621』

 

『レイヴン、聞こえる? 回転向日葵と動きの速いMT、こっちにも来た。アーキバスの部隊はついでに壊滅したけど、こっちをやっつけたらすぐに、助けに行く』

 

『レイヴンさん、こちらも謎の機動兵器と会敵。交戦中です。申し訳ありません。回転向日葵には側面からの攻撃が有効な模様です。ミサイル、あるいはバズーカの爆風を狙ってくだ……』

 

 621と同じくスイレンとリンドウもC兵器に襲われたらしく、こちらを気遣う通信の声には焦りが滲んでいた。かつてない脅威に晒される中で、621の精神に乱れはない。

 そこまでの情緒が育まれていないのもあるが、ACのパーツには確かに不要な機能であるだろう。前後から時間差で突撃してくるヘリアンサスを跳躍で回避し、そこを狙って飛び上がってきたウィーヴィルのキックを、こちらも合わせて蹴り返して地面にたたきつける。

 

 衝突を回避する為に至近ですれ違ったヘリアンサスの片方が、進行方向の先になったアーキバスMTの残骸と衝突し、わずかにバウンドして斜めに傾ぐ。体勢を立て直す余裕を与えまいと、621の狙いすましたバズーカが側面を捉えた。

 更に降り注ぐミサイルがヘリアンサスを機能停止に追い込み、機体のセンサーとレーダーが捕捉したウィーヴィルへ銃口を向ける。ウィーヴィルは二機ともが排熱の為なのか、動きを止めて隙だらけの姿を晒している。

 

 一機に向けてマシンガンの銃弾を集中させ、一気に距離を詰める。残るヘリアンサスが背後に回り込み、火炎放射を放ってくるのを、クイックブーストで横にスライドして回避し、決してウィーヴィルから狙いを外さない。

 リロードが終わった瞬間にバズーカを再び叩き込み、吹き飛ぶウィーヴィルを空中で捕捉して、機体各所のブースタをマニュアル操作で個別に細かく噴射させて、踵落としを叩き込む!

 

 地面に叩きつけられて、耐久限界を超えたウィーヴィルがバラバラに砕けるのを見届けて、機体を立て直した残るウィーヴィルの放ったグレネードを、踵落としの反動を利用し、機体を逸らして命中を避ける。

 更にアラートが鳴り響く中、ヘリアンサスの放ったミサイルを、アサルトブーストを起動し、正面から突っ込んですり抜けるように回避。

 

 動きは速いが回転移動の為、機動そのものは単調だ。既に速度に慣れた621は、マシンガンを置くように銃弾を発射して見事にヘリアンサスの側面を乱打する。

 高速で回転する為、横からの力に極端に弱いヘリアンサスは、マシンガン数発の衝撃でもぐらりと揺らされてしまう。

 そこにロックを終えた両肩のミサイル八発が殺到して、火炎放射器を内蔵する分、複雑で脆い装甲を粉砕。露出した内部へマガジンの残弾全てが撃ち込まれて、ヘリアンサスを内側からズタズタに破壊しつくす。

 

 コーラルを動力として、従来のジェネレータを上回るエネルギーを得て、縦横無尽に動き回るウィーヴィルもヘリアンサスも、特異な武装と速度から並々ならぬ脅威だが、無人機の悲しさか。

 既にその動きのパターンを621に読み切られ、一対四の状況から瞬く間に一対一に追い込まれる。こうなれば、621に敗北はあり得なかった。

 

 残る一機のウィーヴィルを撃破した後、621はリペアキットの二つ目を使う寸前のスイレンと、リペアキットを使い切ったリンドウの救援に間に合った。

 621より技量で劣る二人だが、彼女らの援護を行っていた解放戦線のMT部隊の存在もあり、這う這うの体になりながらC兵器の猛攻に耐えきれていた。

 

『レイヴン、凄い。一人であいつらをやっつけた、ね?』

 

『助けに行くと言いながら、助けられるとは。なんとも情けない。レイヴンさん、ありがとうございます。それにしてもあの機体群はいったい?』

 

『ストライダーを狙っていたから、コーラルを採掘されると困る人達? アーキバスも攻撃していたから、ベイラム?』

 

『ベイラムがあんな代物を用意できるなら、とっくに『壁』攻略に使っているでしょう』

 

『じゃあ、惑星封鎖機構? でもストライダーから採掘用の装備を撤去したのは、知っているよ、ね?』

 

『ええ。まあ、撤去した装備は保管してありますから、元通りにするのに大して時間はかかりませんが……』

 

 ウィーヴィルとヘリアンサスがC兵器とは知らない二人は、しきりに首を傾げていたが、その正体を知っていたウォルターは押し黙ったまま、彼女達とは別の疑問を胸の中にいただいていた。

 彼の口から出てこない以上、その内容を推し量ることは621にも出来なかったが、621の胸中にあったのは無事にミッションを終えたという確認と、スイレンとリンドウ、そして自分が生き残ったという事実だけだった。

 

『レイヴン、予定にない敵も倒して貰ったから、後で何か贈る、ね?』

 

『スイレン? いえ、それもそうですね。ではクーポンコードでいかがでしょう。弊社商品をお買い上げいただく際に、割引が適用されます。私からは二十パーセント引きのコードを』

 

『じゃあ、私は三十パーセント引きのクーポンコードを上げる』

 

 スイレンがリンドウに対して妙な対抗心を燃やしたおかげで、621はお得なクーポンコードを二つ、追加報酬として得られるのだった。

 

**********

 

BAWS社製四脚パーツ

『AKEI』

 BAWSのベストセラー四脚MTの脚部機構を応用し、開発されたルビコン初の換装四脚パーツ。地上での走行性能と姿勢安定性能を重視している。

 これまで四脚パーツがルビコンの地元企業に存在しなかった点を考慮し、扱いやすさを念頭に置いた初心者向け。

 

価格 288,000

AP  4700

耐弾防御 389

耐EN防御 366

耐爆防御 379

姿勢安定性能 1400

積載上限   72700

水平跳躍性能 96

垂直跳躍性能 15

重量  32,200

EN負荷 655

 

BAWS社製四脚パーツ

『UMA』

 BAWSが独自開発した異物型四脚パーツ。元々四脚パーツは人体に対する異物と言える構造だが、実在の四脚生物を参考にする形で開発が行われた。

 本パーツは地球に生息する『馬』をモチーフとしている。本パーツを装備したACはさながらケンタウロスのような姿を得る。開発は至って真面目に行われたが、初見の相手を困惑させたのは言うまでもない。

 蹴りのモーションも馬を参考にしており、独特なものとなっている。試作品としての面が強く、BAWS製品にしては高価。

 

価格 401,000

AP  4400

耐弾防御 373

耐EN防御 381

耐爆防御 369

姿勢安定性能 1302

積載上限   78800

水平跳躍性能 115

垂直跳躍性能 23

重量     38,600

EN負荷    777

 

 

現在の621

 

頭部:VP-44S

コア:CC-2000 ORBITER

腕部:AC-2000 TOOL ARM

脚部:2C-2000 CRAWLER

 

ブースタ   :BST-G2/P04

FCS(火器管制):FCS-G2/P10SLT

ジェネレータ :MASAHIDE

 

 

BAWS第三技術開発局はウィーヴィルとヘリアンサスの残骸を手に入れた!




ちゃっかりストライダーが魔改造されています。サブジェネレータが船内に収納されているので、アイボールのバリアは解除されません。脚部がホバーユニットに変わったので、転倒もしません。51cm連装砲が二両目、三両目にずらずら並んでおり馬鹿すか撃ってきます。手強くなっておりますね。
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