呪術廻戦『全ての不幸の元凶を消す者』獲得RTA 乙骨世代チャート 作:一般死滅回游泳者
心情描写回、今回は日下部さんと三輪ちゃんです。ちょっと短めでごめんちゃい。
三輪ちゃんはかわいそかわいい(異論は認める)。
エミュって難しいね。
〈side 日下部篤也〉
俺がそいつ……健一と初めて会ったのは、まだ赤ん坊の頃だった。
その時はなんでもないただのガキで、思ったことと言えば、はとこなのに苗字は変わらねえんだな、とかその程度のことでしかなかった。
その認識が覆ったのは、健一が5歳の時だった。親戚の集まりで健一を見かけた時。俺は思わず飲んでいた酒を吹き出しそうになった。
なんと、健一が風のような呪力を使い、手遊びをしていたのだ。
(嘘だろオイ!5歳でもうアレだけの呪力操作ができてるのか!?しかも見たところ普通の呪力じゃねえな!?)
思わず硬直し、何かの間違いだと首を振って改めて見直しても、俺の視界はそれが現実であるという事を突き付けてくる。それどころか、いつの間にか飛んでいた蠅頭を撃ち落として見せた。それを見せられては、流石に受け入れるしかない。
「おい健一、お前ちょっと来い」
「どうしたの篤也兄?」と首を傾げる健一の手を引き、親戚連中から離れる。多少話しても聞こえないところまで来ると、俺は健一の肩を掴んで問いただした。
「今の奴誰に習った?」
「誰にも?自分で遊んでたらできたんだ」
その返答は、5歳児が独学で呪力操作を身につけたということの証左で。
天才だ、と思った。こいつは間違いなく強い呪術師になれる、そう確信した。
「なあ健一、それは呪術って言うんだが……どうだ?もっと色々やってみたくないか?」
その言葉に目を輝かせて頷いた健一を、俺はシン・陰の道場に入門させた。幸いにも健一の両親は放任主義で、俺が適当に説得したらあっさりと許可が下りたのは助かったな。
5歳で道場に放り込んだにも関わらず、健一はメキメキと実力をつけていき、9年目で免許皆伝という異例の快挙を成し遂げた。
俺の目に狂いはなかった。健一がもっと強くなれば、俺がより楽できるだろう。俺の呪術師ライフの未来は明るい。
そんなことを考えていたその時の俺は、楽をするとかそういう次元じゃない事態に呪術界が陥ることを、微塵も想像していなかった……
〈side 三輪霞〉
私が彼と初めて出会ったのは、私が中学一年の時、シン・陰流の師範にスカウトされて道場に入門したその日でした。
私が師範に連れられて道場に入ると、そこには素振りをしている一人の少年がいました。
「おお、ちょうどよかった。これ健一、ちょっと来なさい」
「フッ!……ん?なんです師範?」
師範に呼ばれた少年は、木刀を置いてこちらに駆け寄ってきました。
見たところ、彼は私と同級生のようでした。中学一年生にしては少し低めな身長に黒髪黒目。顔はかなり整っていて、少しどきりとさせられてしまいました。
「この子が今日から入門することになってな。同い年じゃろ?仲良くしてあげなさい」
「わかりました。俺は日下部健一、君は?」
「あ、三輪霞です」
「霞ね、わかった。これからよろしくな」
「はい、よろしくお願いします!」
私は、ニコッと笑って手を差し出してきた日下部くんの手を取った。この時から、私と日下部くんは友達になった。
日下部くんは5歳の時から道場に通っているようで、私の何倍も強かったです。それでも日下部くんは私といつも一緒に修行をしてくれました。道場には年上の人ばかりで、同い年なのがお互いだけだったのが理由かもしれません。私たちはあっという間に仲良くなりました。
私はなかなか上達しない時はつきっきりで教えてくれて、初めて簡易領域が使えるようになった時は我が事のように喜んでくれました。時には夜遅くまで一緒に修行していた時もありました。
そんな日常を二年ほど続けて……私はいつの間にか、日下部くんのことが好きになってしまいました。きっかけというきっかけはなくて、本当にいつの間にか、という感じです。
人生で初めての恋に、私はどうしていいかわからなくなりました。どうやら意識しているのは私ばかりのようで、日下部くんは今までと同じ距離感で接してきます。日下部くんは割と無防備で距離感が近いところがあって、私はその度にドキドキさせられてしまいました。
そんなこんなで私が勝手にすったもんだしているうちに、月日は流れ、中学生活も終わりに近づいてきました。来年からは私たちは呪術高専に行くことになります。私は家の都合上、京都の高専に行くことになっているのですが、日下部くんは東京の高専に行くようです。
結局私は日下部くんに想いを伝えられていません。いや、正確にはバレンタインで、わかりやすく本命チョコを送ったりはしてみたけれど、日下部くんは全く気づいてくれていないようでした。
「はあ……」
寒い冬の道場で、私はため息をつきます。別々の高専に行くことになれば、会う頻度は大幅に少なくなってしまいます。
お母さんに無理を言って東京の方に行かせてもらうわけにも行かないし、日下部くんに気持ちを伝えて、一緒に京都に来てもらう勇気は出せません。私はにっちもさっちも行かなくなってしまいました。
どうにか勇気を出さないと……
その瞬間、私の頬に温かいものが押しつけられました。
「うひゃあっ!?」
「や、霞。何してんのさ」
「くくく日下部くん!?」
その正体は、いつの間にか近づいてきていた日下部くんが手に持ったあったかいお茶のペットボトルでした。
「もう、驚かさないでくださいよ……」
「はは、悪い悪い。よいしょっと……」
私の抗議をさらりと流し、日下部くんは私の隣に腰を下ろしました。あ、相変わらず距離が近いです……
「いよいよ俺たちも高専入学かぁ……」
「そう、ですね……」
ちょうど悩んでいたことを切り出され、私は言葉を詰まらせてしまいます。
「霞は京都だっけ?俺は東京のほうに行く予定なんだよね。あの五条悟がいるらしいし、楽しみだなぁ。別々になっちゃうけど、お互い頑張ろうぜ」
「……うん……」
……やっぱり、勇気を出さなきゃ。
「あ、あの、日下部くん。私──」
「あ、そういや師範に呼ばれてたんだった。悪い霞、また明日な!」
『あなたと一緒にいたいから、私と一緒に京都の高専に来て欲しいんです』。そう言う前に、日下部くんは立ち上がり、駆けていってしまいました。
「あ……」
私は一人取り残されてしまいました。
結局その後、もう一度勇気を出すこともできず、私たちは別々の高専に入学しました。
でも、諦めたわけじゃありません。どうやら高専では、姉妹校交流会という催しがあるそうです。その時に想いを伝えられるように、三輪、頑張ります!
シン・陰流周りに関しては100%妄想です。公式の描写がねえ!
エミュって難しいね(二回目)。
三輪ちゃんはかわいそかわいい(二回目)