シロコとシロッコ   作:メイショウミテイ

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難産。

戦闘描写もう少し上手くなりたい。

もっと色々な本読むしかないよね。


アビドス編 17

 一発の銃弾が、乾いた音を響かせながら空を裂く。

 

 

 

 先に動いたのはホシノ。展開式シールドを正面に構えながらシロコへと肉薄していく。寧ろ望む所だと言わんばかりにシロコも距離を詰めていく。

 

 

「変わらないね、シロコちゃんは」

 

「今度は負けるつもりないから」

 

 

 戦闘距離が縮まって良い事があるのは勿論、得物がショットガンであるホシノの方だろう。近中距離に小さな拡散弾を撒き散らすという武器の性質上盾を構えて前衛を張っているホシノにはもってこいな武器であり、その火力を活かし切る技量をホシノも持ち合わせている事も相まってその危険性は高い。

 シロコの武器種はAR(アサルトライフル)であり中距離が主な主戦場になるのは言うまでもないが、それでも彼女は好んで接近戦を行う節がある。相手の方が有利な距離だとしても自分を曲げてまで距離を取って戦える程、シロコはよく出来ていない。

 

 

「──フッ!」

 

「甘いよ」

 

 

 シロコの放った正確な射撃──ホシノの顔面に容赦無く狙いを付けたソレは、割り込んできた盾に糸屑を払う様に簡単に弾かれてしまう。流石にそう簡単に事が運べるとは思っていないが、簡単に捌かれてしまうのも面白くはない。廃車へと身を隠し一瞬で息を整えるシロコ、そこへショットガンを乱射して車そのものを破壊しようとするホシノ。ホシノの放った散弾の一発が廃車のタンクを貫通、残っていた僅かなガソリンに引火し大きな爆発を起こす。

 

 大きなダメージにはならなかったものの爆発の余波に吹き飛ばされてしまったシロコに対し、その隙を逃さずに飛び蹴りを放ったホシノ。辛うじて態勢を立て直したシロコはなんとかその攻撃を銃で受け止めるが、彼女の攻勢は当然これだけでは終わらない。シールドバッシュ、蹴撃、合間に放たれるショットガン、どれもこれもが致命傷になりかねない威力を孕んだ一撃であった。しかしながら、シロコはその悉くを間一髪で回避し続けていた。彼女の研ぎ澄まされた感覚は、攻撃の瞬間を何倍にも引き延ばして知覚させていた*1

 

 ホシノだって今回に限っては油断も容赦も無かった、当然シロコの実力を鑑みれば手など抜いてられないのが当然なのだが。あんな啖呵を切って戦いを挑んで来たシロコが、潔く負けを認めて降伏する事は全く考えられない。だからこそ全力で彼女を打ち負かしてしまいたかった。そうする事で後腐れなく別れを告げられるだろうと、そう思っていたから。

 

 実際シロコを戦闘不能に追い込むべく、ホシノは自らの持つ神秘を攻撃に注ぎ込む事で火力の底上げを行なっていた。それも大いに関係して、彼女の火力は従来のそれとは比べ物にならない。そして、それは火力だけではなく、彼女の身体能力に至るまでブーストされていた。普段の彼女とは比べ物にならない程の速度で動くホシノ、それはシロコの知らない姿であった。いつも彼女がホシノと模擬戦をする時、明らかに手を抜かれている事は分かっていた。その時の速度とは比べ物にならない程の速度なのは、何度も戦っている彼女であれば直ぐに分かる。

 

 だというのに。

 

 

 それほどまでに力を出して戦っているというのに。

 

 

「(押し切れない……っ!)」

 

 

 フルパワーに近い力を発現させながらも、後輩一人落とし切れないでいるホシノ。全体的に圧倒している筈なのに、最後の一手が届かない。

 

 

「シロッコ!」

 

『任せたまえ』

 

 

 そして、彼女が気にすべきはシロコだけではなかった。

 

 何かを感じてかホシノが後方へと飛び退った直後、ビームの光が大地を貫き大きな爆発を起こす。遠方より接近するのは勿論、シロッコの操るグラシュティンでありホシノを狙いを付けてビームを放っている。その姿を認めたホシノは止めていた足を再び回転させ始める。

 

 

 ──この前の戦闘の報告書を改めて文字にして読んでみれば、現実離れした報告だと感じるだろう。正体不明の兵器が放った光は、一撃で風紀委員を昏倒させる事が出来る程の火力を持っている。確かにその火力は凄まじい、掠ってもヤバいことも本能で分かる。

 

 

 だとしても。

 

 

「当たらなければ……ってね」

 

「私も忘れてもらっちゃ困る」

 

「忘れてないよ〜」

 

 

 ビームが放たれる間隙を縫ってシロコの正確な射撃が放たれる。しかしそんな事も織り込み済みのホシノには届かない、ヒラヒラと蝶が舞う様に避けられてしまう攻撃。まぁシロコも当たってくれるとは思ってはいないし、当たらなくても牽制射にはなる。無駄な攻撃などないのだ。

 

 

『とはいえ、このままでは千日手だ』

 

「何、それ?」

 

『決着が付かない、という事だ。決定打に欠けるとも言うが』

 

「どうすればいい?」

 

『一撃の火力を持って、小鳥遊ホシノに大きなダメージを与える』

 

「私はそんなもの持ってないけど……」

 

『言われずとも分かっているとも。これを使え!』

 

 

 そう言って空中を飛び回っているグラシュティンから落とされたのは、機首部分に付いていた目新しい砲塔だった。確か前回の事件でこれを見た時には付いていなかった武装だと、シロコは思い出せるだろう。見た感じ銃火器のように見える長物だが、具体的な事は彼に聞いてみない事には何一つ分からない。

 

 

「これは?」

 

『ハイパー・メガ・ランチャーだ……と言っても、キミには上手く伝わらないだろうが、要はグラシュティンの背中に2門付いているモノと同じと思ってくれていい』

 

「ビームが出るって事?」

 

『モノは試しだ』

 

「……ん、分かった」

 

 

 シロコがこのランチャーを手にしてからというもの、ホシノの戦闘スタイルが明らかに変化していた。これまでは盾とショットガンを使ってのインファイトを仕掛けていたが、初めて見る武器を警戒しての事なのだろう、小さな身体を極力盾の範囲内からはみ出さない様に立ち回っていた。簡単な話が、攻撃重視から防御重視になったという話だ。さしものホシノも未知の武器に対しては慎重にならざるを得ない。そういう事を考えられる程に、彼女は戦闘慣れしているとも考えられるが。

 

 

「シロコちゃん、それなぁに?」

 

「私にも分からない」

 

「ホントかなぁ?」

 

 

 ズッシリとした重みを感じる長物──HML(ハイパー・メガ・ランチャー)だが、その威力は折り紙付きである。やはり直撃を貰えば一撃で戦闘不能に追い込まれる程の火力を秘めているソレを、自分が向けられているという事実はじわりじわりとホシノの精神へ影響していく。

 

 まず避け切れる物なのか、躱せなかったにせよ盾で凌ぎ切れる物なのか、まず前提として撃たせてはいけない物なのか。盾を構えている裏で、じっくりと考えを巡らせているホシノ。彼女の凄まじい点は、ソレを回避行動の一環に同時処理している事だろう。メインで物事を考えながらも、他の事に意識を割くというのは並大抵の努力でこなせる様になる物ではない。

 

 

 シロコの持ったHMLの砲口が淡く光り始めたのを黙示で確認したホシノ、恐らくはアレの攻撃が来る。自分の直感がガンガンと警鐘を鳴らしているのをイヤという程に感じている、集まったエネルギーが限界まで引き絞られ。

 

 

「これで!」

 

 

 瞬間、ホシノの視界が光で包まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『手応えは、ないな』

 

「うん」

 

『つくづく、この世界の人間は凄まじいと感じる。全く不思議な事だ』

 

「言ってる場合じゃない!」

 

 

 光に包まれた先にあったのは、ホシノが常に携行し愛用している盾だけであった。持ち主は既にその裏には居なかった。

 

 では彼女は何処に? 

 

 

「貰ったよ」

 

『上!』

 

「ん!」

 

 

 高く跳躍したホシノは、HMLから放たれたエネルギーを完全に回避した上で、シロコの頭上を獲った。このまま無防備な彼女にショットシェルを浴びせ掛けてゲームセット、で済めばいいのだが。ホシノ自身の並外れた戦闘センスはこれでも決着は付かないと、とはいえ厄介な長物をそう何発も連射させる訳にはいかない。

 頭上より放たれた散弾の雨は、シロコの身体を瞬く間に傷付けていく。これは少なくないダメージだと思われるが、しかし。

 

 

「散弾では!」

 

「まだ倒れてくれないのね……」

 

 

 シロコも一瞬の判断の下、シロッコから授かったHMLをその場に置き捨てて大きくバックステップを踏む。ホシノを倒し切れる火力を失った事は残念だが、グラシュティンとの波状攻撃でホシノも少なくないダメージが蓄積されている。だが、シロコの身体にはそれと比較して見れば被害の程度は大きい。細かな被弾を貰っていた事もあるが、極め付けはやはり先ほどの一幕であった。そういった事もあり、このままジワジワと戦っていれば先に倒れるのはシロコの方である。そのことは両者とも分かっている事だろう、一応は仕切り直しという事になったが状況はシロコが大きく不利であった。

 

 

「どうかなシロコちゃん、ここらで降参してくれないかな〜? おじさんは疲れちゃったよー」

 

「……」

 

 

 まだまだ余裕そうな態度のホシノと、若干息の上がってきたシロコ。学校に来ても普段から昼寝ばかりでまともに活動している姿を見かけないというのに、一体どうしてあんなにも素早く、粘り強く、そしてパワフルに動けるというのか。シロコは内心はてなマークで一杯だった、別に今に始まった事ではないが。

 

 

『私に策がある』

 

「(ん)」

 

『──、──。やれるか?』

 

「(それで、ホシノ先輩を止めれる?)」

 

『上手くいけば。ダメならば、またその時さ』

 

 

 呼吸を整えるついででシロッコに対して頷くシロコ。その姿を見てまだまだ戦いが続くことを感じ取ったのか、いきなり急加速で突進してくるホシノ。その手にはショットガン、もう一方には盾を。

 

 

「二度も同じ手は!」

 

 

 今度のシロコは全力で後退。持ってきたグレネードを適当に放りながら距離を取ろうと画策するが、ホシノはソレを難なく回避しながらもその差を縮めつつあった。もう少し接近出来ればショットガンの最大火力発揮が見込めるといった所だが、ソレはさせまいとグラシュティンからの援護が挟まる。常識から外れた火力は流石に無視できないのか、足を止めないまでもシロコ追跡の最短ルートからは徐々に外れてしまっている。ビームの乱射を悉く回避しながら、シロコの背中へショットガンを射掛けているホシノ。

 

 そんな攻撃の嵐の中で僅かな時間を見つけて2つのドローンを起動したシロコは、ホシノを両サイドから挟み撃ちする様に囲い込ませて自分が頭を抑えるという、即席にしてはよく出来た三方同時攻撃を目論む。三方向より放たれるミサイルと銃弾の嵐ならば、致命傷は難しくともダメージの蓄積には繋がるかもしれないと、淡い希望を信じて行動に移す。

 

 しかし、やはりそんな希望は、儚く溶けゆくだけだった。シロコの銃撃とドローン二機の攻撃のラグ──正確には、ドローンから発射されるミサイルの速度と、シロコのARから放たれる銃弾が着弾する際の僅かな隙──を利用、一瞬でどれから対処すべきかの優先順位を選定。銃弾を盾で防ぎつつ、両側より追尾してくるミサイルを後方へ跳躍する事で一方向に纏めたホシノ。こうする事で見るべき場所は、正面から追いかけて来るミサイルの大群のみとなった。ショットガンからばら撒かれる散弾がミサイルを捉えると、迫っていた大量のミサイルは大きな爆発となって跡形もなく消え失せ、後にはそこにミサイルが存在していた事を証明するかの様に爆煙が漂うだけであった。

 

 

「やるね、シロコちゃん。ちょっと焦っちゃったよ」

 

「よく言う……!」

 

「ホントだよー。こんな攻め方、今までのシロコちゃんだったらやって来なかったし」

 

「……」

 

「これも、あのシロッコって言う人の入れ知恵かな〜?」

 

「そう思う?」

 

「シロコちゃんは正面切っての戦いが好きだからね、そう思うな」

 

 

 軽口を叩ける程に余裕綽々なホシノの態度に焦りを覚えるシロコ、アレだけ攻めのリソースを使って起こした行動が最も簡単に捌かれてしまうとは予想外だった。少しでも余力を奪いたかった、何なら大きな打撃を加えたかった。その願いはホシノには届かず、眼前で五体満足且つまだまだヤレるといった風に立っていた。

 今の攻撃でドローンの攻めは看破されてしまった、被害は受けていないがこれ以降は不意打ちとして使う事は出来ないだろう。各ドローンのミサイルの残弾は斉射1セットのみ、ARの残弾は3マガジン、手榴弾は全て喪失、虎の子のHMLもホシノから少し離れた距離に転がっている。グラシュティンの援護もホシノには刺さりが悪い、バッテリー駆動という懸念点もある。

 

 ハッキリ言って手詰まりだった、シロコにこれ以上打つ手はない。

 

 

「終わりにしよっか」

 

「くっ……」

 

 

 これが最後の攻撃だと言わんばかりに、ショットガンを乱射しながら走り寄って来る。避ける方向を読んでいるのか回避させないという意思表示なのか、右に左に散弾を撒きながら詰め寄って来るホシノ。どういう意図があったにせよ、シロコは回避という卓が取りづらくなったのは事実、しかし破れかぶれに突撃してもホシノには堅牢な盾がある。致命の一撃を加え入れる事は難しい、万事休すとはこの事。

 

 

 

 ──と、彼女は考えているのだろうか。

 

 勝利の瞬間にこそ、人間は油断しやすいもの。しかし、ホシノはその限りではなく、全くと言っていい程油断などしていなかった。勝利が目前に、あと少しで手が届くというタイミングであっても、常に目の前のシロコに目線を向けて即座に対応出来るようにと心を強く持っていた。流石はアビドスを一人で守って来ただけの事はある。

 凄まじい火力の武器は無力化した、ドローンのような支援も直ぐには出せない、空を飛んでいる機械だってこうも距離が近ければシロコにもビームが当たってしまう関係上撃てないハズ、手榴弾もありったけ使わせた、シロコには最早ARという豆鉄砲くらいしか残っていない、ソレなら盾で完封出来る。

 

 ここまで勝ちの要素を積み重ねた上で尚油断しないホシノの姿勢は、最早見事としか言えない程に完成されていた。きっと彼女はシロコを打ち負かした後でさえ微塵も油断などしない事だろう。

 

 

「今!」

 

『手立てが無いと思ったか!』

 

「──ッ!」

 

 

 完全に獲ったと思われるタイミングでシロッコの秘策が発動される。

 

 グラシュティンの武装であるHMLは機体に接続されている場合は勿論、機体と切り離して手持ちの武器として使う事が出来るのは既に知っている事だろう。その時はホシノの機転もあり攻撃が成功する事は無かったが、それすらも布石となっていたのだった。

 

 しかし、ここで第三の選択肢としてシロッコは一計を巡らせる。

 

 

 元はと言えば宇宙用の設計であったメッサーラ・グラシュティン、これを無理くり大気圏内で運用できるように再設計したものが今のグラシュティンである。その為、以前までの宇宙を想定していた設計の名残りがあった。その最たるものにSFS*2として運用出来るような機体の形状があった。結果的にこれはシロコが乗ったりもして移動手段になっているから、これはいい。しかしそれ以外にも、こういった名残りがあったりする。

 

 その中の一つとして、グラシュティンにはアンカーが取り付けられていた。これは宇宙空間においてMSを牽引する事を想定して付けられた物だったが、これが活きる場面は今のところ無かった。

 

 

 シロコへショットガンを向けるホシノ、その背後にはグラシュティンが迫る。が、ホシノが思った通り攻撃はして来ないらしい、攻撃後の後隙を狙っているのだろうか。それを頭に入れつつ、目の前で無防備を晒しているシロコへ照準を──付けずに彼女を飛び越えていった。

 

 

 ホシノが先程まで居た場所を、グラシュティンから発射されたアンカーに繋がれたHMLの狙撃が通り過ぎていった。

 

 

 何故気付かれたのか、何故気付けたのか。両者共に極度の緊張状態に入っていた。

 

 

「今のも、避けられるなんて……」

 

「ハァ……ハァ……、ふぅ……」

 

 

 早鐘を打つ心臓を必死に抑え込むホシノ、両膝に手を付いて息を整えようと必死な様子だ。彼女の人生の中で数多くの危機を経験しているとはいえ、今以上の事は無かった。正しく生きるか死ぬか、といって差し支えないレベルの体験だった。完全に意識外から放たれた高速で迫り来るビームの閃光、どうして反応出来たのか──いや、何故分かったのか、彼女にすら分からない。彼女に秘められた神秘をフルで回していたのが幸いしたのかもしれないが、とにかくホシノは初見でこれに対応して見せた。

 

 こうなると困るのがシロコであった。必殺の思いで組み上げたこれまでの戦法が灰燼に帰したのだから。

 疲労に喘ぐ身体を無理矢理にでも動かし、ホシノの意識の中から『手放したHMLがそこにある』という要素を消し去る事、それがシロッコから齎された起死回生の一手だった。グレネードを惜しげもなく使って距離を離そうとした事も、あのドローン2機と組んだ三方同時攻撃も、それを悟らせない為の攻めであったし、これが破られても最後の策があると思っていたからこそ耐え切れていた。

 

 しかし、シロッコの策もホシノには届いていない……という訳でも無かった。

 

 

「チ……」

 

『どうやら完全に避けられたという訳でもない様だな』

 

「盾……」

 

 

 ホシノが離さず持っていた盾、それはHMLからのビームを防いだ為に遥か彼方に飛ばされていた。彼女がしっかりと防御姿勢を取れていれば盾が吹き飛ばされる事は無かっただろうが、攻撃を察知して咄嗟に飛んでしまった事がいけなかった。空中という不安定且つ支えもない場所で、凄まじい火力の一撃を受ければ受け切る事は不可能だった。

 ホシノがあそこまで息を荒げているのは間近に迫った恐怖を感じ取ったから、というのではなく、超危険な攻撃を身をもって味わってしまったからという事に尽きる。もし盾で受ける事が間に合わなかったら、身体に直撃を貰ってしまっていたら、そう考えてしまうと流石のホシノの中にも怯えと恐怖が芽生える。彼女は強く、それを理性で抑え込む事だって容易だが、復帰には少しだけでも時間が掛かる。

 

 

 満身創痍のシロコと、目に見えて動揺した様子のホシノ。どちらも疲労が溜まってはいるが、それでも両者共に二本の足で力強く大地を踏み締めている、ならばまだ決着は付いていないという事に違いないのだ。

 

 このままの流れで最終ラウンドが始まる、と思われたが。

 

 

「ホシノ先輩、シロコちゃん」

 

「ん……?」

 

「……んぇ?」

 

「何を、やっているんですか、これは?」

 

 

 予期せぬ3人目の登場で、その流れは断ち切られる事になった。救いとも取れるし、邪魔にも思われたが、ともかく。

 

 

「……あー」

 

「えーっとね……ノノミちゃ──」

 

「言い訳は、中で聞きますから。砂を落として、早く来てくださいね」

 

「……」

 

「あー……」

 

「返事が聞こえませんよ?」

 

「わ、分かった……」

 

「う、うへ……」

 

 

 今回の決闘は、勝者なし、分けの決着と相なった。

 

 

 これはきっかけ、分かり合える日が来るのか。それとも。

 

 

 

*1
リフレックスモードみたいな感じ。

*2
サブフライトシステム。所謂MSの乗り物。人間からしてみればMSこそ乗り物なのに、その乗り物を載せる乗り物って何よって思われるかもしれない。しかし、MSが高速で動くには推進剤が必要になり、それは有限なのでなるべく節約しないといけない。いざ戦闘になった時に推進剤がないので戦闘できませんでは困るから。だから戦闘空域までMSを乗っける為だけの乗り物があれば、少なくともMSが移動で使う分の推進剤の節約くらいにはなるよね、って事で開発された物がSFSという訳だ。




終わりが見えている以上、なんとか続けていきたいところ。


前回だったか前々回の更新だったかで、ありがたい事に評価ゲージが赤でMAXになりました。まっこと有難い限り、嬉しいです。評価くださっている方々、コメント下さっている方々、お気に入り登録して頂いている方々、拙作を開いて読んで下さっている方々。

篤い支援の程、心より感謝します。皆様の期待に応えられるよう、なんとかなんとか邁進していきたい所であります。

これからも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

本編完結後の展開について

  • 最終編+アビドス三章
  • 2部+最終編+アビドス三章
  • 3部+最終編+アビドス三章
  • 時間掛かっても良いから全部見たい
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