シロコとシロッコ   作:メイショウミテイ

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連日投稿にて失礼します。

次は未定です。まだまだ忙しいです、細かくストーリーを練ってる時間すら確保出来ません。

いっその事全部書き上げてから投稿しようかなとかも考えています。どうするかはその時の気分で決めますが。


ミレニアム編 3

 ミレニアムプライスの開催から早い事で半年近くが過ぎていた。

 

 あれ以来エンジニア部からはちょくちょく試作品のテスター依頼が飛び込んで来るようになり、大きな額面ではないものの外貨を獲得する事が出来ていた。予想通り、ミレニアムで買い込んだお土産のどれよりもアヤネの感度が上がっていたのはその件についてであり、誠意を込めて良い物を書き上げようと奮闘している姿が委員会室で度々見掛けられるようになった。実働部隊ではない彼女は前線に出て一緒に戦えない事を若干負い目を感じている部分もあり、それも一つのモチベーションになっているのだろう。各々が得意な事を、出来る事をやっているだけなので、アヤネが前線に出て来ないからといって文句を言うような人間は、大前提誰一人としてアビドス対策委員会には居ないのだが。

 

 エンジニア部の方もアヤネの良質かつ忌憚の無い意見が満載のレポートの虜になっているので、毎月大体同じような日付に多種多様な発明品が送り付けられるようになっている。最近では向こうがわざわざ専用のレポート用紙を同封して来るようになっており、アヤネのレポートを滅茶苦茶楽しみにしている事が簡単に分かる。形は特殊な物だが、アビドスもミレニアムと関係を結べた事は良い事と言えるハズだ。学園の規模が正しく桁違いなので、軽い気持ちで手を借りようなんて考えれば一瞬で潰されてしまうのは態々言葉にする迄も無い事だが、それでも赤の他人である事と知り合い──というよりも仕事仲間や取引先と言った方が正しいか──であるかどうかは、考えずとも天と地程の差がある。仕事関係の繋がりと言いつつも、一種の文通というか交換日記みたいな和気藹々とした空気感ではあるのだが。

 

 

 

 そんな誰にでも平等な数ヶ月の間に、学園都市キヴォトスでは過去に類を見ない大事件が巻き起こっていた。外交の「が」の字も無いアビドスにとっては特段関係がある事では無かったけれど、対策委員会にとっても、そしてシロコにとっても、大きな意味を持った事件であった。

 

 キヴォトス三大校の一つであるトリニティにて起こった一連のテロ事件──広い見方をすればトリニティ内戦と捉える事も出来るが──は、遠い昔にトリニティから排斥されたと古文書に記載があったらしいアリウス派の怨恨目的での犯行だったらしく、そんな下らない開戦事由が原因で、連邦生徒会長の悲願であった『エデン条約』の調印式は全部パァになってしまった。ゲヘナとトリニティ両校の友好の証として歴史の残る筈だった調印式は、他人の足を引っ張る事しか考えて来なかった凡俗の手によってちゃぶ台返しにあう結果になってしまったが、最終的にはシャーレの先生の仲介もあり締結にまで漕ぎ着けることが出来た。

 

 ゲヘナ・トリニティ双方に甚大な被害を出し、調印式の会場でもあった長い歴史を持ったトリニティ大聖堂は原型も残らない程に破壊され尽くされたが、それでもテロの規模を考えて死者が誰一人居なかったというのは奇跡とも言える。先生自身も負傷したというが、そんな彼の力が犠牲者無しという結果を導き出した事に大きく寄与している事は、誰の目にも明らかだろう。

 

 

 アビドスはこの事件に巻き込まれた──というか巻き込まれに行ったような物だが一応は当事者として事情聴取やらに協力していた事で、一時期のようにバタバタとした生活を送っていたアビドス対策委員会の面々。事情などほぼほぼ知らない上に、事態を察知したのも事件の中継を見ていたに過ぎないので、知っている事は非常に浅く表面上の事しか知らなかったので時間だけ無駄に頂いてしまったような物だったが。

 全員平等に忙しかったのはそうだが、特にアヤネは一年生ながら実質的な委員会のまとめ役みたいな役回りだった事も相まって、介入の際に使った弾薬・燃料費の算出や万が一が無いように介入時のアリバイ工作、それ関係の話も含めてホシノの付き添いでトリニティ首脳とのお茶会やらで、彼女は特に落ち着く暇が無かったと言えよう。

 

 別にセリカだってノノミだって、勿論シロコだって色々忙しかった。勿論、委員長であるホシノはいつもと違った様子は見られずのんびりマイペースに動いていたが、それでも学園としての面子に関わる局面ではどこからか持って来た威圧感と風格を纏っていた。ちゃんと出来るのにしないのが小鳥遊ホシノという少女なのだ。

 

 

 

 

 さて。

 

 事件に巻き込まれなかった者にとっては前からずっと続いていた日常だったが、関係者達にとってはようやく落ち着ける日々が戻って来た。未だ事件の傷跡は色濃く残っているが、それでも。

 

 アビドスもそれに違わず、各々のやりたい事が出来る生活が戻りつつあった。

 

 アヤネは未だに事後処理に関わっているみたいだが、つい先日送り付けられてきたエンジニア部の“例のアレ”に関するレポートを作業の隙間を縫って纏め上げていた。今回はそこそこ大型の製品だったがその実態はどのような物だったのか、シロコにはよく分かっていない。それよりも、作業の隙間で別の作業を進めているのはなんというか……ワーカーホリックみたいな状態ではないかと、最近の対策委員会では専らの話題になっているがともかく。

 

 それの提出をいつも通りシロコは頼まれており、グラシュティンに飛び乗ってミレニアムへと向かっていた。前まではグラシュティンではなく愛用のロードバイクで往復していたが、流石に何度も通い続けているとちょっぴり飽きが来る事は仕方がなかった。色々なコースを組んで走っていたが、そうであっても何処を見ても通った事のあるような道や風景ばかりでは、どうしても退屈に感じてしまうらしい。運動がメインなのか、仕事がメインなのか、彼女にとっては相当に重い要素なのだ。

 

 そして何より、距離の都合上どうしても泊まり掛けになってしまうのは頂けなかった。ロードバイクが長距離移動に耐え得る移動手段であっても、それは時間的猶予があればこその話。先日の事件から流石に危機感を抱いたシロコは、アビドスを離れる際にはどのような些細な用事であってもグラシュティンを連れていくようになっていた。何かアビドスで有事の際に素早く駆けつける為の移動手段として、先日のような出先での備えとしても、暇な時にシロッコが遊び道具にしていたグラシュティンは優れている。使わずに格納庫で埃を被らせるには勿体無いわけだ。

 

 

『いくらキヴォトスとはいえ、早々あの規模の騒動が起こるとも思えんが』

 

「キヴォトスなら起こるよ。火種なんて、少し探してみればすぐに見つかると思う」

 

『……連邦生徒会長はどうやって直ぐに喧嘩を始める学園都市を治めていたのだ。少なくとも今とは比べ物にならない程に治安が良かったというのだろう?』

 

「アビドスは今も昔も大して変わらないけどね」

 

『笑えない状況だ、全く』

 

「退屈はしないとか思ってるでしょ?」

 

『試作品のテストを行う機会には良く恵まれている、その点は有難いと思っているよ』

 

「どうだか」

 

 

 柔らかい雰囲気の中で軽口を叩き合う二人。いつぞやより二人の間にあった“ズレ“は解消されており、以前までのような空気感へと戻っていた。

 

 グラシュティンを使えばミレニアムであってもそう長いフライトにはならない、少しの間他愛の無い会話を続けていれば直ぐにミレニアム自治区へと侵入出来た。実のところ、ミレニアム上空を飛行するには特別な許可が必要*1なのだが、自治区の警戒網程度はグラシュティンであれば余裕で振り切れる程に脆弱*2である。許可を一々取っても良いのだが、その場合はミレニアムにグラシュティンの存在を知らせなければならない。シロッコにとってはそれは許容できないらしい、ので致し方なく検問破りを毎度の事ながら行わせて頂いているのだった。警備部隊の皆々様には重ね重ね謝罪申し上げます、シロコの内心はいつだって冷や冷や物だった。

 

 

 学園中心部から少し離れた場所へと隠し、そこから徒歩で構内へと向かうのがいつもの流れであった。アヤネから渡された最早見慣れた書式のレポートがスクールバッグに入っている事を確認してから、寄り道せずに学園へと向かうシロコ。このままの歩みならなんとか日の入りまでに到着出来そうなペースであった。

 

 

「今回はどんなのだったの?」

 

『キミもざっと目は通していただろう……。活字に慣れるのもまた、一つの経験だぞ』

 

「ん、文字は嫌い」

 

『……まぁいい。一輪車にBluetooth機能と機関銃とエンジンを搭載、その上で自爆機能が搭載されているとんでもない代物だった。いつ、どこで、どのような用途で活躍出来るのか、全く想像が出来ない奇妙な兵器だった。アヤネはもう少しオブラートに包んで評価していたが、正直アレはダメだろう』

 

「面白そうな兵器だね」

 

『……。面白そう……』

 

 

 芳しくない反応を示すシロッコだが、まぁそういう物かと呑み込む。特にそういった化学や兵器に関してそこまで興味がある方ではないシロコは、たとえ送られて来た製品が何の戦略的な使い方が見つからない兵器(笑)の事を特に深く考えてはいないらしい。いや確かに見た目といい機能面といい、まともな兵器ではないので面白いと言われればそうかも知れないが。

 

 

『アレを大真面目にレポートにしなければならないのは、少しばかりアヤネに同情する気持ちが湧いてくるな』

 

「ん、お金の為の犠牲だね」

 

『……その発言、間違えてもアヤネの前では言わない事だ』

 

 

 本心からぽろっと出た忠告を聞き流しつつ、シロコは見慣れた豆腐形状の部室を視界に捉える。いつも通り少しだけ話をしてシロッコの暇潰しをしてから帰ろうかなんて考えながら、貸与されているキーカードを入口横のデバイスへとスキャンさせる。一瞬の後に認証が完了され、カチャンとドアのロックが外れた音がした。

 今回は──というより、ここ最近は──アポを取らずに訪問しているのだが、大体どのタイミングであっても誰かしら常駐しているからと、こちらの好きなタイミングで提出に来て構わないらしい。彼女たちが言うには、自分達よりもアビドスの方が色々*3忙しいだろうから、それぐらいの融通はするとの事だった。その一環で部室のキーカードを借り受けているという事情もあり、半分は部員のような扱いを受けているシロコであった。

 

 

『む……』

 

「誰もいない?」

 

『らしいな』

 

 

 いつもであれば誰かしらが入って来た事に気付いて、これまたいつもの応接間へと通されて論評会が始まるのだが、珍しく今日は誰の姿も見えない。これは一体どういう事なのか。

 

 

『仕事中に急用でも入ったのかもしれん、片付けがされていないようだ』

 

「うーん……、どうしよう」

 

『暫く待ってみるか。少し席を外しているだけかもしれん』

 

「分かった」

 

 

 と、人が居ないのをいい事に部室内を物色しながら時間を潰していたが、待てども待てども誰一人として部室に帰ってこないまま。仕事を途中で放っぽり出して一向に帰って来ない、流石にこうなっては何かの事件を疑わなければならない段階だろう。

 

 

「ユウカなら何か知ってるかな」

 

『有り得るな。セミナー所属の彼女なら、学園で起こる物事の大半は網羅しているだろう。聞いてみる価値はある』

 

「そうだよね」

 

 

 スマートフォンを操作してユウカの連絡先を呼び出し……、数瞬で彼女との接続がオンラインになった。

 

 

『もしもしシロコ?』

 

「うん。ごめん、いきなり電話して」

 

『良いけど、今は余り時間が無いの。手短にお願い出来るかしら?』

 

「忙しいんだ、分かった。……今、エンジニア部の部室に来てるんだけど、誰も居なかった。何処にいるか知ってたりする?」

 

『あー、えっと……』

 

 

 考えているのか調べているのか、その質問に対しての答えは少しばかり待たされる。

 

 

『……ごめんなさい。ちょっとわからないわ』

 

「嘘、だね」

 

『えっ?』

 

 

 ただの直感。シロコはしかし、その直感を信じてみる事にした。

 

 そうは言っても考える時間が必要だった以上、彼女も少し怪しい雰囲気を感じる。鎌を掛けるつもりで

 

 

「知ってるでしょ、何処にいるか。いや、それだけじゃない。近くにいる……一緒に何かやってる……?」

 

『え、どうしたの、シロコ……?』

 

「知っているけど答えられない……巻き込みたくない……。ユウカもエンジニア部と一緒に居るんでしょ?」

 

『……』

 

「……来ないで欲しいんだ。戦ってるってことかな。何処で……?」

 

『……切るわね』

 

 

 冷たい別れの言葉が最後に発せられ、電話口からはツー……ツー……と寂しい機械音だけが残された。

 

 

「切られちゃった」

 

『私が言っても意味はないと思うが。今のキミ、話しているユウカは相当怖かったと感じていただろうな』

 

「そうかな?」

 

『自分の心の中を何となく読まれているのだ。恐怖を感じずとも、それに似た感情を抱く事は必定だろう』

 

「嫌われちゃったかな」

 

『さてな』

 

 

 此方も冷たく突き放すような口振りだが、シロッコは先程までの電話を聴いていて満足している。

 

 それもそのはず。最近のシロコは彼に言われるまでもなく、自分の力の使い方を模索し始めていたからだ。彼女の成長を何よりも願っているシロッコは、彼女にその兆候が見られているのは素直に褒めてやりたいと思っていた。

 

 この傾向はあの事件(エデン条約)以降は顕著に見られるようになっている。自分に何が出来るのかを知っておく事は良い事だ。いざという時に選択肢が増える上に、それを見越した戦術も取れるようになる。ニュータイプという研究が進んでも進んでも未知の部分が多い──というよりも新しく出来る事が増えていく能力だからこそ、その価値は十二分に存在すると確信出来る。

 

 

『しかし、手掛かりがない現状、情報は足を使って集めるしかないな』

 

「ん、まずはセミナーに殴り込む」

 

『いきなり本丸か、面白い』

 

 

 意気揚々とセミナー本部へと勇んで向かったシロコだったが、ノックして反応を伺ってみたが人の気配を感じなかった。シロッコも同じように考えており、内部には人っこ一人居ないのだろう。となると、一体セミナー連中は何処に居るというのか。手掛かりは依然ゼロのままであった。

 

 それからもミレニアム構内を我が物顔で歩き回って情報を集めようとしたが、一向に情報は集まらないまま時間だけが過ぎていった。幸いにしてミレニアムをほっつき歩けるだけの大義名分は、貸与されたキーカードが担ってくれている。それもあってか、道行く生徒に情報を気軽に求める事が出来ているのだが。

 

 それでも、ミレニアム部の行方もセミナーの目的も、有力な情報を掴む事が出来ずにいた。

 

 

 既に陽は完全に落ち切ってしまい、辺りには静寂と暗闇が広がっていた。先程までは談笑しながら寮に帰っていく集団や部活中の生徒達が多数行き交っており賑わいを見せていたメインストリートも、今となってはその面影もない程に静かに落ち着いていた。こうなってしまっては最早情報を得る術は無い、文字通り手詰まりである。

 

 

「念の為戻ってみたけど、変わってないか」

 

『……こうなっては仕方あるまい。些か消化不良と言わざるを得ないが、今日は引き上げるしかあるまい』

 

「ん、そうだね。レポートだけ置いて帰ろうか」

 

 

 仕方がないという諦めの思いだけを心に残したまま、ウタハの作業机にレポートの挟まったクリアファイルを置いて立ち去ろうとした──そんなタイミングだった。

 

 

 

そ、そんなチートみたいに! 

 

これで終わりです

 

バカ言え! まだまだこれからだろうが! 

 

もう止めて下さい会長! こんな事は! 

 

 

 

「っ! シロッコ! 

 

『ああ、聞こえているとも。案内は任せてもらおう』

 

 

()()()と同じように、何者かの切羽詰まった様子の思念を拾ったのは。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 状況は最悪の一言に尽きる。

 

 エンジニア部はアヴァンギャルド君を打倒した時点でダウン。C&Cは未だ健在だが、トキのパワードスーツ『アビ・エシュフ』の異次元の火力と機動性に翻弄され、有効打を与えられていない上にダメージばかりが蓄積させられている。ゲーム開発部も当然アビ・エシュフに対抗する手段を持ち合わせておらず、徐々に戦力を擦り減らされてしまっていた。

 ミレニアム最高戦力と名高いネルであってもアビ・エシュフに対して有効な攻撃を加えられないままであり、スタミナも集中力も消耗させられている。

 

 

 利害の一致──という建前──で実働部隊に同行してくれているセミナーのユウカも、打つ手が無いのか苦々しい表情を浮かべている。まだ逆転の一手を必死に考えて続けているノアだったが、こちら側の全ての戦力をトキとパワードスーツに圧倒されている状況下では、その糸口も見つけられないようだった。

 

 誰もが諦めていないが、それでもどうすれば良いのか分からない状況。ここを打開する手段があるかどうかも見えていない彼女達と同様、先生も勝ち筋が見えていなかった。

 自分が何とかしなければと考え続けている先生だったが、みんなの力を結集してもトキを押し留める事さえ出来ずに居た。

 

 

『唯一の変数である先生。貴方の指揮能力を奪い、この戦いの終止符を打たせてもらうわ。──トキ、先生のエスコートを』

 

「イエス、マム」

 

 “くっ……! ”

 

 

 どうすれば、どうすれば彼女を打倒できるんだ。

 

 彼女をどうにか出来ないと、アリスの下に辿り着くなんて出来ないのに。

 

 一歩一歩重厚な駆動音を響かせながら、先生を確保すべく接近してくるトキ。

 

 

 もう、ここまでなのか。先生の目が閉ざされ──

 

 

『トキ!』

 

「っ!」

 

 “……えっ? 何が……”

 

 

 突如として、眼前に迫っていたトキが飛び退ったと思えば、上空に向かってスーツ両腕に搭載されたガトリングを撃ち放っているではないか。その上空からはいつの日にか見た閃光が、地上のトキを目掛けて降り注いでいた。

 大きな図体でありながら直撃を受ける事なく回避していくトキだったが、先生との距離はみるみる内に離されてしまっていた。先生を確保するなどとは言えない状況へ一気に変化した事に通信先のリオは、助けられた先生以上に驚いていたのだった。

 

 

『……どういう事? なぜ、あの機体が此処に……?』

 

 “あれは……っ!”

 

「一体、何が……。急に回避予測が働いて……」

 

 

 先生は見慣れた機体を視界に収め、トキは乱数軌道による回避を実行し終わった後で、落ち着いて攻撃を仕掛けて来た敵影を視認した。

 

 

 

 

 上空より高速で戦闘エリアに接近してきた灰色の機影。その背中に跨っているのは、風の抵抗を受けて銀色の髪と特徴的な獣耳を靡かせている彼女。

 

 

「……()()()、間に合った」

 

『ウム。とはいえ、間一髪といった所か』

 

 

 灰色の機体から勢いよく飛び降りてきたその人影は──。

 

 

「ん、バッチリ」

 

 

 ──額に『2』の文字が縫い付けられた青い覆面を被り、ミステリアスさを感じる生徒がそこに立っていた。

 

 

 

 

 

 

*1
いわゆる領土・領空・領海のような概念。国家の代わりとして学園があるので、そういった要素も共通しているとは思う

*2
警戒網が脆弱なのではなく、グラシュティンが振り切れ過ぎなだけである。ミレニアムの警戒を物ともしなければ他の自治区であっても捕捉する事は出来ないだろう

*3
当然借金返済や治安維持活動など、アビドスはエンジニア部以上に忙しいのは最早当然の事である




次回から戦闘シーンの描写に入るので、余計に時間が掛かるかもしれません。

ちゃんと書き上げたい意欲だけは満載です。

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