シロコとシロッコ   作:メイショウミテイ

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凄い難産だった。

シロコとシロッコって題名だから、先生にそこまでフォーカスしないつもりだったんですけど、そもそもブルーアーカイブって物語が先生を主軸にしてる以上ある程度は記述入れておかないとまずいのが難しい所です。


とりあえず、サブタイトルはこのまま番号振り続ける感じで行きます。考えるのもやはり面倒くさいので。

話作る上で、原作からの大幅なコピーで話消されるのが本当に怖いので若干話の流れ変えてます。ご了承くださいませ。


アビドス編 1

 シロッコがこちらの世界にやって来て(?)から早くも一か月が経った。

 

 その間にもキヴォトスでは重大インシデントとして、連邦生徒会長が失踪したという事件があった。原因は不明でありどこに行ったのかも謎のままだが、とにかくキヴォトスの全てを担っていたと言っても過言では無い連邦生徒会長の失踪は、アビドスにとってもキヴォトス全体にとってもとんでもなく悪い出来事であった。それに関連してか、D.U.の辺りに建っている矯正局から脱走者が出たとか、何とかの騒ぎになっていたらしい。あの『災厄の獣』と称される凶悪犯罪者が野に解き放たれる事態にもなったらしい。

 

 しかし、その出来事に対応しての事なのか、公式に『連邦捜査部S.C.H.A.L.E(シャーレ)』が発足したのだという。シャーレは連邦生徒会長から与えられた何者をも圧倒する程の権限を有しており、キヴォトスで起こっている様々な事柄に介入できるという、これまたとんでもない部活である。自分がこうなる事が分かっていたのか、連邦生徒会長が任命していたという先生がそれを率いていく事になっているらしいが、アビドスには果たして関係のある話題なのだろうか。

 

 

『ふぅむ、連邦捜査部か……』

 

「何か気になるのシロッコ?」

 

『余りにも胡散臭いと思ってな』

 

 

 シロコの隣でホバリングしている光景がすっかり様になってしまったシロッコ(ドローンの姿)は、そのようにシャーレを捉えていた。これまでの秩序は連邦生徒会が、というよりも連邦生徒会長のワンマンパワーがあって実現していたモノだ。彼女が居なくなった事で、キヴォトスは空前の大犯罪ブームが到来している。一つのデータでは犯罪率が2000%増加したとかいう、意味不明なデータも上がっている。もしこれが事実なのだとしたら、余程治安維持組織が優秀でもなければキヴォトスは間違いなく崩壊するだろう。

 

 そんな状態に変化しつつあるキヴォトスを、連邦生徒会長が選んだ人物であるとは言え、先生という人物が収集しきれるとは到底判断できない。それこそ連邦生徒会長に匹敵する、もしくは上回るだけの能力を持っていなければこのキヴォトスを導いていく事は間違いなく不可能だと、シロッコは断定する。それほどまでにキヴォトスという世界の治安はクソだと、シロッコは一か月間過ごしてみて分かっている。

 

 

「どんな人なんだろう、先生」

 

『少なくとも、圧倒的権力を扱う以上有能でなければ務まらんな』

 

「運動は好きな人なのかな」

 

『フットワークは軽いだろうな』

 

 

 話が嚙み合っているのか怪しいラインだが、とりあえず話題は先生の事に関してらしい。シロコとしては運動が好きな人だったら、他はなんでもいいのかも知れない。

 

 

「でも、今は気にしないでもいいかな」

 

『生徒の為に動く組織らしいが、真偽は定かではないし妥当な判断だろうな』

 

「今は目の前の借金の方が重要だね」

 

『同感だ』

 

 

 そうして話を切り上げた二人*1は朝の準備を済ませた事もあり、学校へと向かっていく。シロコはいつも愛用しているロードバイクに跨って、さすがにシロッコは学校にまで付いていく事はせず基本的にはアビドス高校上空で滞空している事が多い。*2しかし、シロッコとしてはただ学校の上空で滞空しているだけでは退屈なので、ちょくちょくアビドス旧市街などを観光……もとい、視察に出ていたりもしている。

 

 そうして、シロコは一人でロードバイクで学校へと走り始めた。

 

 学校の向かっている時も含めて、ロードバイクに跨って風を感じている時間はシロコにとって何物にも代えがたい憩いの時間でもある。サイクリングのコース決めやバイクの整備も確かに楽しい時間ではあるが、やはりこの時間に勝るものはない、とシロコは個人的に思っている。感じ方は人それぞれだが、対策委員会の皆には残念ながらあまり理解はしてもらえていない。

 

 砂に包まれつつある住宅街や商店街を通りすぎる時は、いつも心の何処かに暗いモノを感じてしまうのは仕方のない事だろう。人間は逆立ちしても、自然を支配する事は出来ないものだ。アビドス自治区は様々な手立てを考え、そして実行してきたが迫り来る砂の勢いに対抗する事は出来ず、今やアビドス自治区の大半が砂に呑み込まれておりとても人の住める環境ではなくなっている。現在に至るまで、砂漠化の原因は何も掴めておらず、住まう人々はただただ自分の故郷が砂によって作り変えられていくのを見つめる事しか出来なかった。自分の故郷が徐々に作り変えられ、記憶の中の姿からかけ離れていく光景に耐えられなくなった住民は、そのほとんどが別の自治区へと移り住んでいった。

 

 アビドス高等学校もその例に漏れず、元々はキヴォトスでも有数のマンモス校として名を馳せていたが、それも最早昔の話。今では、対策委員会に所属している五人の生徒以外にアビドス高等学校に籍を置いている者は存在せず、この五人がアビドスの廃校を阻止すべく活動している。

 

 シャッターが閉められた店舗が立ち並ぶ商店街を通り抜け、まだ砂に覆われていない住宅街を駆け抜けていく。

 

 いくら廃れてしまった街とは言え全ての住人が居なくなってしまった訳ではなく、少しでも長く故郷に住み続ける事を望んでいる人々も少なからず居た。そういった人々は、砂に浸食されていない住宅へ移り住み、既に使われていない空き家を拝借して生活を行っていたりする。苦しい生活ではあるのだろうが、そうしてでもこの土地に残り続ける諦めの悪い人間たちもそれなりに居るのである。

 

 

「まだ、ここは大丈夫そうだね」

 

 

 大きな住宅街を半分ほど通り過ぎた頃、道のど真ん中に何かが横たわっていた。

 

 

「……ん。人、かな?」

 

 

 アビドスで生きている住人であればここに住み続ける為の心得は身に付けているハズなので、このように行き倒れるような事態は滅多に起こらない。きっと、アビドスの自治区外からやって来た人なのだろうな、とはシロコも考えていた。

 

 

「生きてる……のかな?」

 

 

 こんな所で死んでもらっては目覚めが悪い事この上ないが、さすがにスルーしてしまう選択肢はシロコには無かった。恐る恐る、倒れている人に向かっていき──

 

 

「……あの……?」

 

 

 ──運命は、そこから動き出した。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 どうやら、ただの行き倒れだったらしい。シロコが話を聞いた感じ、アビドス高等学校に用があるらしく数日前に自治区へとやって来たらしいが、生憎とアビドスには食べ物を販売している店など限りなく少なく、持ち込んだ食料をちびちび消費して来たがとうとう限界が来たのだと。

 

 驚くべき事に、先ほどまで遭難していた何とも頼りないこの大人は、最近話題になっている『シャーレの先生』という存在らしい。今朝シロッコとの会話で話題に挙がっていたあの人である。そういえばつい先日、対策委員会の後輩である奥空アヤネがシャーレに対して支援要請を送ったとかなんとか、いつもの定例会議で話していた事をシロコは思い出す。それを受けてやって来てくれたのであればありがたい限りだが、下調べも無しに自治区に踏み込んできたのはちょっとばかり無謀である。

 

 まぁ、しかし。このアビドス自治区に踏み込んできたという事は、アビドスの事を何とかしてくれる人なのだろうとシロコは思った。用がなければこんなところには来ないだろうし。

 

 

 そんな先生はシロコに背負われている状態であり、正直言ってとっても情けない姿である。シロコが駆け抜けている住宅街にあまり人が居なくて良かった、情けない姿を目撃した人間はそう多くはないだろう。

 その上、先生はシロコの首筋に顔を密着させており彼女の匂いを楽しんでいる始末。何だこの醜い姿は、教育者の姿か? これが……

 

 その状態で走り続ける事十分ほどすると、シロコの通っているアビドス高等学校が見えて来た。ここも例に漏れず砂に覆われつつあるが、最低限学校としての体を保つためにたった五人の生徒たちは校門や対策委員会の教室など、普段から自分たちが使っているスペースは掃除をするようにしている。事実校門は──とりわけ校門横に彫られている『アビドス高等学校』の表札は、アンバランスと思える程に綺麗に磨き上げられている。

 

 

“ここが、アビドス……”

 

「そうだよ、先生。アビドス高等学校」

 

 

 先生は担がれた状態のまま、精一杯格好つけて呟いた。その体勢のお陰で全く威厳ある先生としての立場は示せていないが、一応先生としての最初の仕事になるのだ。ここからは気を引き締めていかなければならない。

 

 

“じゃあ、悪いんだけど()()()()部室まで案内してもらってもいいかな? ”

 

「……うーん。思ってた人とは違ったな……

 

 

 結局、先生は担がれたまま対策委員会の部室へと持っていかれる事となった。別にキヴォトスの人間ならば人ひとり担ぐ事自体然程苦ではないし、当然シロコにとっても朝飯前な事はここまで学校まで担いできた事を鑑みても容易に分かる事だろう。

 

 ──ただまぁ一つ付け加える事があるとすれば、シロッコという真面な大人の姿を見ているので内心シロコはちょっぴりがっかりしていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「──うわっ!? 何!? そのおんぶしているの誰!?」

 

「この人は先──」

 

「わぁ! シロコちゃんが大人を拉致してきました!」

 

「え、違──」

 

「拉致!? もしかして死体!? シロコ先輩がついに犯罪を……!?」

 

「皆落ち着いて、急いで死体を隠す場所を探すわよ! 確か体育倉庫にシャベルがあるから、それを使って──」

 

「……うーん」

 

 

 普段から銀行強盗とかをシミュレートしているシロコは、対策委員会の仲間たちからしてみれば犯罪者予備軍のように見られていたのかもしれない。悲しい事だが、普段の行いを顧みればそう思われても仕方ないかもとシロコ自身も思う事だろう。

 それでもシロコが責められる事は無く、寧ろ死体を隠そうと画策している──犯罪であっても手伝おうとしている事から、決してシロコを一人にはしないという意思が感じ取れるようだ。

 

 ちょっと複雑ではあるが、このままでは話が進まないのでシロコも持ってきた荷物を降ろして話を進めて貰う事にしたようだ。

 

 

「よいしょ」

 

“いてっ”

 

「あ、ごめん」

 

 

 丁寧に置いたつもりだったが、学校の硬いリノリウムの床に打ち付けられた先生は呻き声を挙げる。ここまで運ばされた事に対する意趣返し、なんてことをシロコは考えておらず素直に謝罪したが、先生も手を挙げて大丈夫だとアピールしている。

 

 

「え、生きてる人なの?」

 

「うん、一応シャーレの先生なんだって」

 

「えっ!? それって……!」

 

“支援要請を受けて飛んできたよ! シャーレの顧問先生です、よろしく!”

 

 

 胸を張って自己紹介したのは、連邦捜査部シャーレの先生。これまでの様子を見るにあまり威厳のありそうな人間では無いが、少なくともアビドスが現在直面している喫緊の問題は解決できそうだった。確かにアヤネは最近キヴォトスで話題になっているシャーレの力を借りようと支援要請を送ったが、こんな辺鄙で潰れかけの学校に支援の手が差し伸べられるのは遥か先の話になるのではないかと、考えていた。

 きっとその頃にはアビドスがどうなっているか分からないが、アビドスの為に出来る事をしないのは嫌だったアヤネはダメで元々要請を送ってみたのだという。

 

 

「支援要請を出したのは三日前ですよ!? まさか、こんなに早く来てくださるなんて……!」

 

「よかったですね、アヤネちゃん!」

 

「ってことは、何とか弾薬の補給を受けられそうね……! ナイスタイミングよ先生!」

 

「補給品もこれで何とかなりそうです!」

 

 

 対策委員会の面々からは早くも感謝の声が齎された。

 財政の『ざ』の字もないようなアビドスではあるが、それでも学校を不定期的に襲ってくるヘルメット団から学校を守るにもお金が掛かる。医療キットや銃弾一発であってもタダなんてことは決してない。ゲヘナ*3やトリニティ*4であれば銃弾や補給品の値段を考える事無く、湯水の如くぶっ放せるだろうが。

 

 

「ホシノ先輩にも知らせてくるわ、隣の部屋に居るだろうし」

 

 

 そういってセリカは教室を飛び出していき、すぐ隣の部屋でぬくぬくしている対策委員会唯一の三年生を起こしに行ったようだ。それを横目に先生も本来の目的を果たそうと動き出した。

 

 

“奥空さん、持ってきた補給品はどこに置けばいいかな”

 

「えっ、どうして私の名前を?」

 

“君たちの状況は分かっているつもりだよ。色々事前に調べておいたからね!”

 

「それならあんなところで遭難なんかしないと思うんだけど……」

 

“うっ……”

 

 

 シロコにジト目を向けられる先生。当然の反応だが、こればかりは先生も一概に悪いとは言えない。先生が保持している『シッテムの箱』というタブレットには当然マップ機能も付いているが、アビドスのマップ情報は砂に包まれる前のモノで更新が止まっていたのだ。

 前も後ろも砂だらけで、進んできた道も進むべき道も分からない。その上マップの情報すらも信じられなければ遭難するのも仕方ないだろう。

 

 

“空のクレートの辺りに出せばいいかな?”

 

「お、お願いします先生!」

 

「わぁ☆ タブレットから弾薬や補給品が出てきますよ~! 凄いですね☆」

 

「ん、これが大人の力……」

 

 

 中身が殆どなくなっているクレートの上に先生がタブレットを傾けると、綺麗にパッケージングされた様々な種類の銃弾がぼとぼと放り出されていく。それだけに留まらず、所謂IFAKと呼ばれる応急処置キットや非常食のような物までそこに含まれていた。先生にもどういう理屈なのかは分かっていないが、ある程度の大きさの物まではシッテムの箱の機能を使えば持ち運びが可能らしい。

 流石にこの光景を見れば、先生の事をちょっと頼りなく思っていたシロコも考えを改めたようで驚いていた。

 

 

「ふわぁ……、もーなにさ~。人が気持ちよく寝てたってのにー」

 

「ほらホシノ先輩! シャーレの先生が来たの!」

 

“あなたが委員長の小鳥遊さんだね、シャーレの先生です。よろしくね”

 

「──うへ、よろしくね~先生。補給物資ありがとね、ちょうど底をつきかかってたからちょうどいいタイミングで来てくれたよ~」

 

 

 先生にはのんびりとした雰囲気の委員長というイメージを意図的に植え付けながら、ホシノは無礼と自覚しながらも先生という存在を見定める事をやめない。そうやってホシノはアビドスのみんなを守ってきたのだ。

 

 先生という『大人』が信頼に値するだけの人間なのか。

 

 ホシノは少し前に、D.U.で起こった騒動の一件を思い出す。矯正局から脱走したという災厄の獣を撃退*5し、サンクトゥムタワーの制御権を取り戻した*6事は、先生の力を確認するという意味では十分すぎる。先生がシャーレに着任してからというもの、治安レベルは格段に上昇した*7事も間違いない。

 

 そういう考え方をすれば、実力の面では信用に値するとホシノは判断する。しかし、その本質の部分はどうか。

 

 幸いな事に──まったく幸いなことではなく寧ろ不幸な事だが──ホシノの知り合いには『悪い大人』に分類される奴が居る。子供の事を道具として利用する事しか考えていない、くそったれな大人が。

 

 

“えっと、私の顔に何かついてるかな?”

 

「んーん、優しそうな顔だと思ってさ。ごめんね先生、じろじろ見ちゃって」

 

“そうかな? そんな事言われたの初めてだよ”

 

「私がそう感じただけだからね。でも、先生は優しい人でしょ?」

 

“……そうありたいとは、思っているよ”

 

 

 短い問答だけがそこにはあった。後ろではシロコ達が放出された銃弾や各種補給品を、やいのやいの言いながら整理している最中であった。話している内容はキヴォトスの外から来た先生にとっては物騒な話ではあったが、それでも楽しそうにしている彼女たちの姿を先生は微笑ましい顔で見つめる。

 

 ホシノはその先生の様子を見て、ひとまず警戒の眼差しを向けるのをやめたようだった。次に先生がホシノを見た時には、出会った時に見たような柔らかな雰囲気の表情になっていた。

 

 

「そっか。それじゃあ改めて、よろし──」

 

 

 そういってホシノが先生と握手をしようとした瞬間。

 

 

「っ! 爆発音!?」

 

「銃声も聞こえた。こんな時に……」

 

 

 遠くの方で爆発音が聞こえて来た。それに次いで複数の銃声も鳴り響いている事に、対策委員会は気付く事だろう。先生も事前に情報を集めておいたお陰で、アビドスがカタカタヘルメット団という珍妙な名前のチンピラ集団に敵視されている事情を知っていた。もしやと思い、先生は窓の外を見てみればやはり、襲撃者は漏れなくヘルメットを被った覆面集団であった。

 

 

“あれが、ヘルメット団って子達?”

 

「そうです! 不定期で学校に襲撃を仕掛けてくるんです!」

 

「アイツら、性懲りもなく!」

 

「この前もお仕置きしたんですけどね~」

 

「まだやるっていうなら、容赦はしない」

 

「みんなヤル気だねぇ、おじさんは休んでちゃダメかな~」

 

 

 こういった突然の襲撃に慣れてしまっているのか、アビドス対策委員会は平然とした様子で迎撃のための準備を始めている。

 

 先ほど譲与した銃弾を素早い手つきで空弾倉に詰め込んでいき、それとグレネードをスクールバックに詰め込んでいくシロコ。

 同じように替えのマガジンを用意したセリカは一足先に教室から飛び出していった。それに続いて、ノノミもとんでもなく重そうな重火器を引っ提げて教室を後にした。

 アヤネは補給品の準備を手早く済ませて、これらの物資を投下する為のドローンの準備に取り掛かっている。

 

 ホシノは緩慢な動きではあるが、一発一発に魂を込めるかの如く丁寧にショットシェルをローディングしている。そんなホシノに先生は決意の籠った目で、一つの提案をする。

 

 

“小鳥遊さん。戦闘が始まったら、私の指揮下に入って欲しい。まだ信用できないかもしれないけど、悪い事には絶対させない”

 

「……確かに、私はまだ先生の事を信用している訳じゃない。だからって、差し伸べられる手を振り払ってばかりなのも、自分たちの為にはならないのも分かってる」

 

“……”

 

「ホシノ先輩……」

 

「分かってるよアヤネちゃん。きっと先生は、良い大人だと思う。信じられないのは、私のせいなんだ」

 

 

 先生はホシノの身に起こった事を何も知らない。何かがあった事は今のやり取りで察せようが、きっとそこに踏み込む資格は今の先生には無い。

 小鳥遊ホシノというちっぽけな生徒に積み重なった様々な荷物を、先生が肩代わりできるようになるには。

 

 絶対的に信頼が足りないのである。

 

 

“小鳥遊さん”

 

“今回の一度だけでいい。私にチャンスを下さい”

 

“それだけあれば、私には十分。君たちを導くに足る存在だって、証明してみせるよ”

 

 

 気迫を込めて、そう宣言する先生。その覚悟の決まった様子に折れたホシノは。

 

 

「先生、期待してるからね」

 

 

 指揮下に入る事を許可したのだった。ホシノは今日会ったばかりの、どこの誰とも知らない大人に。

 自分と、大事な委員会の命を預けたのだった。昔のホシノを知っている人物であれば、こんな選択をするとは思いもしないだろう。

 

 

“任せて”

 

 

 短く一言、先生は応えた。

 その言葉を聞き終えたホシノはピンクに染め上げられた愛銃を手に取り、愛用の盾を肩に掛け教室を後にした。

 

 先生としての真価は、今こそ発揮される。

 

 

 ──その光景を、上空から怪しい視線が見つめていた事を先生は知る由もない。

 

 

*1
ちなみにシロッコの声はニュータイプの能力を使った一種のテレパシーである為、会話・交信する為にはニュータイプ能力を保持している必要がある。つまり、アビドスにおいてシロッコと交信できるのは、シロコのみである。何ならシロコは喋ることなく交信が出来るが、本人はわざわざ声に出して喋っている。この事実に気付くことは果たしてあるのだろうか。

*2
シロッコがドローンに乗り移っている為、燃料・電池を必要ではなくなった事もあり永遠に空中で待機し続ける事も可能。シロッコ自身の力でドローンを動かしている関係上、素の状態のドローンよりも機動力の面が大幅に向上している。バッテリー駆動も可能だが、シロッコが動かしている時よりも格段に性能が落ちる。操縦者のシロッコの意思のままに、キヴォトスのそれを遥かに凌駕する機動性で動き回り、ドローンとは思えない程の硬い装甲に包まれている。文字通り時代を先取りしすぎたイカレマシーン。

*3
キヴォトスで一,二を争う程に生徒数が多く、キヴォトスで一,二を争う程に治安レベルがクソな学園。その自治区の中に美食をこよなく愛するテロリスト集団や、温泉の匂いを何処からか嗅ぎ付け勝手に掘削活動を始める反社会的勢力を抱えている。連邦生徒会長が失踪する前はまだマシであったが、失踪後は日常的に銃撃・爆発の音が絶えない。

*4
キヴォトスで一,二を争う程に生徒数が多く、キヴォトスで一,二を争う程に歴史が長い総合学園。治安はゲヘナに比べれば天と地の差があり、比較的良い状態で治安は維持されている。しかし、その自治区内には多くのチンピラが紛れ込んでおり、日常的に生徒が拉致され身代金を要求されている。

*5
勝手に何かを感じて帰っただけ。

*6
シッテムの箱の管理AIが殆どやってくれた

*7
単に暴動の主導者的立場であったワカモが居なくなって自然消滅してだけとも言う。




これは話とはまっっっっったく関係ない話なんですけど。

当方、常日頃からブルアカの二次創作を色々掘ったりしてるんですけど、なんだかオリ主転生が受け付けなくなっている感じがあるんですよね。
何というか、一人称で語るのが悪いのか、軽いノリで転生しちゃったぜみたいなノリがダメになって来たのかよく分からないけど、一話で切っちゃうことが多くてなんだか損をしている気分になります。

自分もこうして作品を作るうえで評価は絶対数ほしいと思っているので、最初はそういった手法を真似て作品を作ってみたんですが、あまりしっくり来るような形には作り出せず悶々としておりました。

だからこそ、出来るだけ三人称に拘って、二次創作をしているという自分語りになります。

ここまで読んで頂けた方々には感謝申し上げます。お見苦しいモノをお見せしてしまい申し訳ないです。
これからも本作の事を少しだけでも応援いただけたら、これ以上の喜びはありません。
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