さて、それでは最新話をお楽しみください!!
中央歴1640年1月28日 9時8分 フェン王国首都 アマノキ
『皆様は我々が責任をもってお守りします!!慌てず、列に並んでお待ちください!!繰り返します…』
展開したうちの数機のFFが合成音声で放送し、混乱に陥りかけた群衆を元に戻す。
先程の襲撃で一瞬混乱しかけた群衆だったが、陸自FF部隊の到着や、迎えの艦隊が見えたことで落ち着きを取り戻していた。
部下「隊長、先程のワイバーンは…」
狭霧「山中で待機し、気を伺って強襲してきたらしい。海自が事前にE-2を展開していなければ気づけなかった。」
今のは正直危なかった。
護衛艦とさの第1護衛隊群航空団は現在侵攻部隊のワイバーン部隊を対処している。しょうかく型二隻の航空部隊は爆装で敵前哨司令部や大型兵器の排除に動いており、task force252に当てられた2機のCAP機は、別方向の海上から迫るワイバーン部隊を対応しており、対応が遅れ、火炎弾の発射を許した。
だが、事前に今回の部隊の現地司令部(護衛艦とさ)からFFを先行させる指示が功をそうし、結果FFによる防御と反撃で被害ゼロに抑えることができた。
沙霧「地上部隊の展開状況は?」
部下「陸自の水陸機動団が09:10に揚陸開始予定、部隊の展開完了は09:15を予定しています。避難艦隊の港への到着予定時刻は09:30を予定、そこから海上輸送群と海保の各艦艇から第42即応機動連隊と西武方面戦車隊が上陸を開始、10:00に完了し2中と3中が避難民の対応、その他部隊と戦車隊、水機が我々第一人型兵器連隊とアマノキ防衛戦を展開します。」
さて、ここで疑問が生まれるだろう。
全高18mに及ぶバカでか人型兵器が、果たして市街地戦で
確かに、よくみるロボット兵器ならそうだろう。
しかしこのFF、何の因果か元ネタの戦術機の相手であるBETAよろしく対人探知能力がかなり高いのだ。
現に、
部下「隊長、あそこ。」
狭霧「ああ、こちらでもすでに捉えている。」
その先には、一見すると緑に覆われた山の斜面が映っていた。
しかし、FFのディスプレイには十人ほどの人間が潜んでいると表示されていた。
このように、対人探知システムを使わずとも簡単に人間を探知できる。
狭霧「念の為に日本人かどうかの確認。並びに対人探査システムを起動し確認。火器が認められた場合は発報を許可。」
部下「了解。」
ふと海岸を見ると、水陸機動団が揚陸を開始していた。
後ろでは、部下が確認のために茂みに近づく。
不意に嫌な予感がする。
狭霧「おい、お前対人探査システムを起動しているか?」
部下「え、隊長さっき対人探知システムって……?」
茂みを開けながら部下がそう返す。
その中には杖と銃を構えた敵兵が。
部下「なッ!!!!」
パ皇兵『喰らえ!!ファイアーボール!!』
音声が聞こえると共に赤い火球が向かってくる
幸いにも咄嗟に腕でガードしたことにより、装甲が少し焦げたものの、システム自体に異常はなかった。
狭霧「キサマら…!!」
狭霧のFF-1が機関砲を向け、放つ。
たちまちミンチになる潜伏兵たち。
おそらくこいつらが強襲のタイミングを指示したりしていたのだろう。
部下「申し訳ありません、隊長。迂闊でした。」
落ち込んだ声で部下が言う。
狭霧「気にするな。確かに迂闊な部分も否定はできないが、さりとて対人“探査”システムと対人“探知”システムに関連するミスが多発している点はこのFF-1の欠点でもある。あまり気にするな。」
部下「ありがとうございます。」
すると、別の部下から報告が来る。
部下「隊長、水陸機動団の揚陸と部隊展開が完了しました。」
これには狭霧も驚く。
狭霧「速いな、さすが水陸機動団だ。」
現在時刻は想定よりも1分速い09:14。
しかし、簡単している暇などない。
戦場は目まぐるしく動く。
司令部から通信が入る。
HQ「HQより各部隊へ。ヘビーハンマー隊(しょうかくのF-35BJ部隊のひとつ)が敵前哨司令部への爆撃に成功。
これにより敵前哨司令部は壊滅したと思われるが、なおも敵部隊の侵攻は止まらず、09:13にアマノキ市街へ侵入した。
これに対し当初からの作戦を変更、第42即応機動連隊と西部方面戦車隊を待たず、そのまま第一人型兵器連隊と水陸機動団はアマノキ市街へ突入、応戦し可能ならこれを撃破せよ。
第42即応機動連隊と西部方面戦車隊は展開が完了次第、先行した水陸機動団と第一人型兵器連隊の援護に迎え。
以降、水陸機動団と第一人型兵器連隊をグループA、第42即応機動連隊と西部方面戦車隊をグループBとする。以上!!」
狭霧「了解。2中はここで42即機連と戦車隊が展開するまでここで待機。その他部隊は行くぞ。」
部下たち「「「了解。」」」
合成音声を流し、周囲の民間人に警告する。
FF『これより離陸します。ご注意ください。繰り返します。これより離陸します。ご注意ください。』
ひとしきり警告し終えると、腰部に接続されているジャンプユニットが唸りを上げる。
狭霧「行くぞ。」
轟音と共に飛び立った鋼の巨人たちが、パーパルディア兵の命を喰らいに行く。
一見すると江戸時代のように見えるアマノキ市内。その風情ある景観のなかを、違和感しかない二つの勢力が進む。
一つの勢力は、マスケット銃を持ち、長い帽子に藍色の服などといった、如何にも19世紀初頭のヨーロッパの兵士といった姿のパーパルディア陸軍。
もう一つは、全身緑色の装備を纏った陸上自衛隊の水陸機動団。
そしてそれとともに進む各種28式。
水陸機動団は28式の無人型数両を先行させ、その少し後ろを水機の歩兵28式無人型、最後尾を28式の有人型。
両勢力は浸透するようにアマノキ市街を進んでいく。
永倉「小隊長、フェン陸軍は?」
沖田「敵がLD通過後にC1地点で戦闘をしていたようだが、壊滅し一時C3まで後退。現在はFF連隊が増援に入ってC2まで押し返しているらしい。」
司令部はアマノキ市街を縦A~C、横を1~4に分けている。
パーパルディアが攻めてくる方向が1、日本国民が避難している地点の方向が4となってる。
こういうと、一時期とはいえ、とても危ういところまでパーパルディアが迫っていたかかわかるだろう。
現在水機はA2〜B2 にかけて展開している。
現在、A2地点ではすでに28式がカノン砲を伴う敵中規模部隊をいくつか殲滅している。
さらに、敵小規模部隊ともすでに複数接敵、撃破している。
沖田「そろそろこっちでも戦闘が始まるだろうな。」
沖田の言う通り、B2地点でもついに戦闘が始まろうとしていた。
パ皇兵「な、なんだあれは!!」
パーパルディア軍のカノン砲運用部隊の前に、巨大な箱が現れる。
パ皇兵「カノン砲の射撃の準備をしろ!歩兵は前へ!」
マスケット銃を装備した歩兵が前に展開し、銃を構える。
バァンバァンバァンバァンバァン!!!!!
火薬の爆ぜる音が当たり一帯に響く。
しかし、マスケット銃の発砲音よりも、はるかに重い音。
その音の主は、パーパルディア軍のマスケット銃ではない。
陸自隊員「敵混成部隊前衛を撃破。されど後衛に敵砲兵部隊を目視、引き続き射撃を続行する。」
発射されていたのは、28式に搭載された無人砲塔の30mm機関砲。
その破壊力は絶大であり、一瞬にしてマスケット銃を装備したパーパルディア軍の前衛部隊は肉塊と化した。
再び射撃ボタンを押す。
しかし、彼には30mm機関砲の衝撃も爆音も伝わってこない。
なぜか?
理由は単純である。
男はその場にいないからである。
どう言うことか。
先ほどにもちらりと述べたが、28式には有人型と無人型が存在する。
詳しくは〈陸上自衛隊架空装備品〉を見ていただければ幸いなのだが、28式無人型は有人型から遠隔操作することができる。
この陸自隊員は、水機最後方に展開する28式有人型から最前線の無人型を操作している。
だからこそ、男に実際に伝わるものはディスプレイからの映像とヘッドセットからの立体音響のみだった。
陸自隊員「敵中規模混成部隊を撃破。次の目標が確認された地点に移動します。」
キャタピラが唸りをあげ前進、やがて角を曲がり、次の目標をまたミンチにするために消えていく。
パ皇兵F「はあっはあっはあっ………」
パ皇兵A「おい!」
パ皇兵F「ひっ!!」
驚いて声の聞こえた方向に銃を向ける一人のパーパルディア皇国兵。
パ皇兵A「こっちだ。」
家の奥の角から顔を出して手招きするのは、同じパーパルディア軍の生き残り。
家の奥に隠れている彼らの元に向かう。
数は5人ほどだろうか。
パ皇兵C「他の奴らは?」
集団の一人が問う。
それに対して先ほど合流した一人が返す。
パ皇兵F「俺以外は全滅だ。緑の装備で身を包んだ奴らが来て、俺以外はやられた。連中の銃の連射速度は異常だ。こっちが一発打つ間に50発以上ぶち込んでくる。………ちくしょう。」
パ皇兵A「……そうか。」
パ皇兵F「そっちは?」
疲れた顔で合流した兵士が集団に問う。
パ皇兵E「俺らも2グループが合流したんだ。」
パ皇兵B「俺とAとCがカノン砲運用部隊の周辺護衛だ。少し離れたところにいて、ものすごい速度の連続した砲撃音が聞こえて見に行ったらカノン砲運用部隊が全滅していた。」
パ皇兵D「俺とEが歩兵遊撃部隊だ。俺たちのところは…」
そう言いかけて、不意に口を塞ぐ。
ブウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥン…………
虫の羽音のような音が聞こえる。
パ皇兵F「……何の音だ?」
パ皇兵B「虫…?」
パ皇兵E「いや違う、これだ…!」
羽音がどんどん近づいてくる。
パ皇兵A「これってなんだ!」
パ皇兵「この音だ!この音が聞こえたあとに、俺らの部隊は!」
そこまで言うと、家の角からナニカが姿を現す。
それは、本と似たような大きさに四方向にそれぞれ棒が生えており、その下にはまた別の箱が付けられている。
パ皇兵C「なんだ、これ……?」
パ皇兵D「うわぁぁぁぁぁ!!!」
ついに耐えかねたDが悲鳴を上げる。
それを待っていたかのようにソレは急速に近づいてくる。
パ皇兵A「逃げr」
そこでEの意識は途切れた。
陸自隊員「敵部隊を撃破。」
陸自分隊長「よくやった。」
現在時刻は10:54。
アマノキに侵攻したパーパルディア軍の排除は現在B1まで完了しており、敵残存勢力との最後の掃討戦がB1で行われている。
HQの見立てでは11:30までに掃討作戦が完了する。
アマノキ防衛戦で投入された戦力は水陸機動団と第一人型兵器連隊のみだった。
これにより、本来消耗が予定されていた第42即応機動連隊と西武方面戦車隊は万全の状態で次の作戦に臨むことができる。
展開が完了した42即機連の隊員が、パトリアAMVに搭乗し始める。
目標はパーパルディア陸軍フェン制圧本隊。
本来なら、ギム防衛戦の如く爆撃だけでもいい。
しかしそうしないのには理由がある。
否。
罰である。
日本人の尊厳を踏み躙った猿どもへの、罰。
鉄槌が、ついに振り下ろされ始める。