ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり   作:通りすがりのポケモントレーナー

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 リコの祖母に会うため、ガラル地方に向かうことになったシンヤたち。だが、今は船のメンテナンスをしているため、ガラル地方に向かうのは、船のメンテナンスが終わってからということになった。メンテナンスが終わるまで、リフレッシュも兼ねたピクニックに行こうとフリードから提案されたので、シンヤたちはピクニックに行き、サンドイッチ作りをして楽しんだ。そして、ピクニックが終わって船に戻ると、いよいよガラル地方に出発かと思ったが、まだ船のメンテナンスは終わっておらず、船の近くにスピネルとゲーチスの姿があった。


第14話『忍び寄る魔の手!レアコイルとオーベム! 』

 

 ブレイブアサギ号・ドットの部屋

 

 カタカタカタカタッ(キーボードを押す音)

 

 ビィーーッ(エラー音)

 

 ドット「やっぱりダメだ。再起動しても、電源を落としても、やり直しても。なんでダメなんだ!」

 

 ドットの部屋の前

 

 リコ「ドット、落ち着いて」

 シンヤ「スマホロトムも圏外のままだな」

 

 ドット『ぶっちゃけ対応策がない!』

 

 フリード「けど、エンジン部分は電送系と関係ないから、ひとまず飛んでみるってのは…」

 

 ドット『だめ〜〜っ‼︎』

 

 シンヤ・リコ「「うわっ⁉︎」 」

 

 フリード・マードック「「おおっ!」」

 

 ピカチュウ・キャプテンピカチュウ「「ピカ…!」」

 

 ニャオハ「ニャッ!」

 

 ドット『飛んだって舵がきかないから、真っ直ぐにしか進めない!計器類も狂ってるのに危険すぎ!』

 

 フリード「わかったわかった」

 

 マードック「まあ、ロイもまだ戻ってきてないし、そんなに焦らなくてもいいんじゃないか。ドットも、状況はわかったから冷静にな!」

 

 ドット『わかった』

 

 マードック「よし!リコ!シンヤ!気晴らしに買い物に行こう!」

 

 リコ「えっ?」…(マードック、切り替え早いです)

 

 シンヤ「悪い。俺はフリードに聞きたいことがあるから、買い出しはリコと行ってきてくれ」

 

 マードック「わかった。リコ、行こう」

 リコ「うん。じゃあ行ってくるね」

 

 シンヤ「行ってらっしゃい。楽しんでこいよ」

 ピカチュウ「ピィカッピカッ!」

 

 シンヤはそう言いながらピカチュウと一緒に手を振ると、買い物に出かけるリコとマードックを見送った。

 

 フリード「っで、俺に聞きたいことって何だ?」

 

 シンヤ「船の再起動のことだよ。メンテナンスは3時間もあれば終わるって言ってたのはドットだろ。それがまだ終わってない。それにスマホロトムも圏外だし、こんな立て続けにトラブルが起きてるなんて、なんかおかしくないか?」

 

 フリード「…実はな。スマホロトムが圏外になってたのは、《レアコイル》の仕業だったんだ」

 

 シンヤ「レアコイル⁉︎」

 

 フリード「お前たちがオリーヴァのいる森に行ってる間に、ドットから付近一帯で通信障害が発生してるって連絡をもらってな。それを聞いた後、すぐにお前たちを捜しに行ったら、レアコイルが上空で磁気嵐を発生させてたのを見つけたんだ。キャップの電撃をレアコイルに浴びせたら、レアコイルは慌てて逃げて、そのあとスマホロトムを確認したら、スマホロトムは普通に使えるようになって…んっ?」

 

 シンヤ「…(T_T)」

 

 フリード「どうした?」

 

 シンヤ「なんでそんな大事なことを今まで話さなかったんだ!」

 

 フリード「あれ?言ってなかったか?」

 

 シンヤ「ったく」…(待てよ。今もスマホロトムが圏外で使えないってことは、近くにレアコイルたちがいるって可能性がある。野生のレアコイルがイタズラに磁気嵐を発生させているとは思えないし……まさか、そのレアコイル、エクスプローラーズのポケモンなんじゃ!)

 

 ヨルノズク『ホォォォォッ‼︎』

 

 フリード「ヨルノズク?」

 シンヤ「どうしたんだ?」

 ピカチュウ「ピィカッ?」

 

 見張り台

 

 フリード「どうしたんだ?ヨルノズク」

 ヨルノズク「ヨルッホ!」

 

 シンヤ「ん?……あれは!」

 

 シンヤとフリードが廊下で話をしていると、見張り台にいたヨルノズクが大きな鳴き声を上げた。それが気になったシンヤとフリードは互いに自分のリザードンに乗ると、一緒に見張り台にいるヨルノズクのもとに向かった。シンヤたちが見張り台に到着すると、ヨルノズクが翼で前の方角を差した。シンヤとフリードがその方角を見ると、そこには一塊になって浮かぶレアコイルの集団がいた。

 

 多数のレアコイル「「「レァァァッ!」」」

 

 フリード「レアコイル?…まさか!」

 

 シンヤ「そのまさかだろうな。リザードン!レアコイルに『かえんほうしゃ』だ!」

 

 シンヤのリザードン「リザァァァッ!」

 

 ヨルノズクが騒いでいたのは、船の前方にレアコイルの集団がいたからだった。そのレアコイルたちを見たフリードは、シンヤたちを捜しに行った時に見かけたレアコイルが磁気嵐を発生させていたことを思い出し、レアコイルが磁気嵐を発生させていたとさっきフリードから聞いたシンヤは、リザードンに「かえんほうしゃ」を指示した。

 

 ドォォォン!

 

 多数のレアコイル「「「レァァッ⁉︎」」」

 

 ドットの部屋

 

 ドット「もぐもぐ…」

 

 ピコン!(ネット回線が繋がる)

 

 ドット「んぐ!あっ、システムが繋がった!」

 

 いきなりリザードンの「かえんほうしゃ」が飛んできたので、レアコイルたちは驚いてパニックになると、磁気嵐を発生させるのをやめてしまう。すると、ドーナツを食べているドットは急に回線が繋がったことに驚き、シンヤとフリードは自分のスマホロトムを確認すると、メールの着信が次々と入ってきていることに気づいた。

 

 シンヤ「スマホロトムが繋がった。やっぱり、あのレアコイルたちがスマホロトムが圏外になったり、船のメンテナンスが終わってない原因だったのか?」

 

 フリード「多分な」

 

 レアコイル「レァァァッ〜」

 

 シンヤ「ん?なんだ?あのレアコイル、1匹だけでどっか行っちまったぞ」

 

 フリード「シンヤ、あのレアコイルを追うぞ。こんな船の近くにたくさんのレアコイルがいて、そのレアコイルたちが磁気嵐を発生させていたんだ。これには何かあるとしか思えねぇ」

 

 シンヤ「わかった。リザードン、レアコイルを追ってくれ!」

 

 フリード「リザードン、お前もレアコイルを追うんだ!」

 

 シンヤのリザードン「グオオオオッ!」

 フリードのリザードン「リザァァァッ!」

 

 シンヤとフリードが自分のリザードンに乗ってレアコイルを追跡している頃、カイデンを見に行ったロイは…

 

 ロイ「いないなぁ。こっちに来たと思ったのに…」

 ホゲータ「ホゲェェッ…」

 

 シンヤとフリードがレアコイルを追っている頃、ロイはホゲータと一緒にさっき遭遇したカイデンを捜しに来ていた。

 

 ロイ「ん?……見つけた!カイデンだ!」

 

 捜していたカイデンを見つけると、ロイは草陰に隠れてカイデンの観察を始めた。

 

 カイデン「…」

 

 草陰

 

 ロイ「なんで群れから離れてるんだ?一緒に行けばいいのに」

 

 ロイはずっとカイデンを観察していたが、カイデンは岩の上に止まったままじっとしていて、そこから動こうとはしなかった。カイデンの真正面には他のカイデンの群れがいるのに、その中に入ろうともしなかった。

 

 それからもロイは、岩の上に止まったカイデンを不思議そうに見ていた。しばらくすると、カイデンの群れが一斉に羽ばたき、空を飛んで近くの高台に移動するが、カイデンはずっと岩の上で止まったままだった。ロイがスマホロトムでカイデンのことを調べていると、ロイの近くにいたホゲータのところに甘い香りが漂ってきたので、ホゲータは匂いのする方に向かった。そこには3匹の《ミツハニー》がいたのだが、ホゲータがミツハニーたちのところに行くと、ミツハニーたちはホゲータに驚いて逃げてしまう、すると、花が咲いてる茂みの中からミツハニーたちの親と思われる《ビークイン》が現れた。

 

 ロイ「図鑑には群れで行動するって書いてあるのに、なんで…」

 

 ホゲータ「ホンゲェ〜ッ!」

 ロイ「ホゲータ、静かに…」

 

 ビークイン「ビィィィィッ!」

 ロイ「いっ⁉︎」

 

 ホゲータが急に大声を出すので、ロイは後ろを振り向いてホゲータを注意しようとしたが、いきなりビークインが迫ってきたので驚いてしまう。

 

 ホゲータ「ホゲホゲホゲ…ホゲ〜!」

 

 ロイ「わわ…待って!あわわ…どど、どいて〜!」

 カイデン「カイ?…カァァイッ⁉︎」

 

 ロイ「うわぁ〜〜!なんで追いかけてくるの⁉︎」

 ビークイン「ビィィィィィッ!」

 

 どうやらビークインは、ホゲータがミツハニーたちに危害を加えようとしたと勘違いをして、それでホゲータを追いかけているようだ。ホゲータがロイの所にやってくると、ロイもビークインから逃げることになってしまい、さっきから観察していたカイデンの前に走って行くと、カイデンはビークインに追われているロイとホゲータの姿を見てびっくりしてしまい、慌てて前に走り出した。それからしばらくの間、ロイたちはその場をぐるぐる回りながらビークインから逃げ回っていた。しかし、逃げるのに必死になって前を見ていなかったロイとホゲータは川に落ちてしまい、ロイとホゲータを見失ったビークインはどこかに飛んで行ってしまう。

 

 ホゲータ「ホンゲ〜」

 ロイ「びっくりした〜」

 

 カイデン「カイ…カァァァイッ!」

 ロイ「えっ?大丈夫だよ!」

 

 カイデンが自分とホゲータを崖上から見ていることに気づくと、ロイはカイデンに大丈夫だと伝えた。すると、ロイは崖を登ってカイデンのいる所までやってきたが、カイデンはロイに威嚇行為をした。

 

 ロイ「待って、バトルしに来たんじゃなくて、友達になりにきたんだ」

 

 スッ(オレンのみを出す)

 

 カイデン「カァァァッ!」

 

 ロイがカイデンに友達になりにきたと伝えると、リュックの中からオレンのみを取り出してカイデンの前に差し出した。ロイがオレンのみを地面に置くと、カイデンはオレンのみを食べ始め、ロイはカイデンの近くに腰を下ろした。

 

 ロイ「何でみんなと飛ばなかったの?さっきも崖から飛んで逃げなかったし」

 

 カイデン「カイ?」

 ロイ「飛べばいいのに!」

 

 カイデン「カイ…デカッ!」ビシッ(翼をまっすぐに伸ばす)

 

 ロイ「おっ、かっこいい!だったら次は…見ててよ!」

 カイデン「カイ?」

 

 カイデンが翼をまっすぐに伸ばして空へ飛び立つポーズをすると、ロイは急に立ち上がり、ジャケットとリュック、そして帽子を地面に置くと、少し後ろに下がって距離を取った。そして、そのまま川に向かって走り出すと、川に向かってジャンプをして飛び込んだ。それを見たホゲータとカイデンは、慌てて崖の上からロイを見たが、ロイはすぐに川から飛び出てきた。

 

 ロイ「プハッ、最高!ほら、カイデンもおいでよ!気持ちいいよ!」

 

 カイデン「カカカ…」ブルブル(体が震える)

 

 ロイ「ほら、カイデン!」

 

 カイデン「カカカカカ、カイカイカイ…」

 

 ロイは川に飛び込むと、空を飛ぶ時の楽しさをカイデンに教えようとした。そして、カイデンにこっちにおいでと伝えるが、川との距離を見た途端、カイデンの顔つきが青く変わり、首を横に振って川に飛び込むことを拒否した。

 

 イワンコ「ワンワン」

 ニャオハ「ニャャァッ!」

 

 マードック「仲がいいなぁ。ニャオハとイワンコ」

 

 リコ「うん!で、マードック、買い出しって何を買うの?」

 

 マードック「……」

 リコ「んっ?」

 

 マードック「リコ、ありがとう!」

 

 ペコッ(マードックが頭を下げる)

 

 リコ「えっ?」

 

 マードック「ドットをピクニックに誘ってくれて。アイツ、口では言わなかったけど、本当はすごく嬉しかったんだと思う」

 

 リコ(…もしかして、そのことを伝えるために、買い出しに行こうって)

 

 マードック「これからも、ドットの友達として、仲良くしてやってくれ」

 

 リコ「もちろん!私もぐるみんのファンと友達になれて嬉しいし。それに、ドットが私のことを心配してくれて嬉しかったから」

 

 マードック「んっ?どういうことだ」

 リコ「実は…」

 

 リコはマードックに、抹茶ケーキとコーヒー豆を買いに行った帰りに、アレックスから旅をしていいと許しをもらったことをブレイブアサギ号のみんなに報告に行ったことを話し、自分の部屋に立ち寄った時に、自分の部屋の前にドットが描いたブレイブアサギ号の絵と、そこで楽しく笑う自分とニャオハの絵が描かれていた紙が置いてあったことをマードックに説明した。

 

 マードック「そうか!アイツがそんなことを」

 リコ「うん!…」

 

 マードック「んっ?どうした?」

 リコ「えっと、船、大丈夫かなって」

 

 マードック「大丈夫だ。こんなトラブルなんて、今まで何度もあった。その度に、みんなで力を合わせて乗り越えてきたんだ。それが俺たち!」

 

 リコ「ライジングボルテッカーズ…だよね!」

 

 マードック「ああ。…おっ!アイス屋があるな。食べるか?」

 

 リコ「えっ、いいの?」

 

 ニャオハ「ニャオハ!」

 イワンコ「ワン!」

 

 ロイがカイデンと仲良くなっている頃、買い出しに行っていたリコとマードックは街に到着していて、シンヤとフリードはレアコイルを追跡していた。

 

 シンヤ「あのレアコイル、野生のレアコイルにしては動きが変だな。明らかに誰かの指示で動いてる」

 

 フリード「ああ。おそらく、あのレアコイルにはトレーナーがいるだろうな」

 

 ロトロトロト…ロトロトロト…ピッ

 

 フリード「オリオ、どうした?」

 

 オリオ『ドットがシステムの再起動を始めたよ。そっちは?』

 

 フリード「もう少し時間がかかる。何かあったら連絡する」

 オリオ『了解!』

 

 ピッ(電話を切る)

 

 シンヤ「オリオ、何だって?」

 

 フリード「ドットがシステムの再起動を始めたって」

 

 シンヤ「そうか。それにしても、一体どこまで行く気だ?」

 

 帰り道

 

 マードック「へへッ、大漁!大漁!あとは秘伝からスパイスがあればよかったんだが」

 

 リコ「あれ?さっきシンヤに貰ったんじゃなかったけ?」

 

 マードック「ああ。1つだけ秘伝からスパイスはあったけど、ワガママを言えば、さっきの街に秘伝からスパイスが売ってればよかったんだがな。それより悪いな、リコ。本当に買い出しになっちまった」

 

 リコ「ううん、大丈夫。アイスおいしかったし。ご馳走様。ニャオハとイワンコも、アイスおいしかったね」

 

 ニャオハ「ニャオハ!」

 イワンコ「ワン!」

 

 買い出しを終えたマードックはリコたちにアイスをご馳走すると、ブレイブアサギ号に戻ろうとしていた。だがそこに、船に戻ろうとしているリコたちを見ている何かがいた。

 

 ???「オーベッ」

 

 帰り道

 

 ロイ「行くぞ。それっ!」

 

 ダンッ(藁にジャンプする)

 

 ロイ「こんな感じに飛んでみなよ」

 カイデン「カイ?」

 

 リコ「ロイ?」

 ロイ「リコ、マードックも」    

 

 マードック「何してるんだ?」

 ロイ「特訓してるんだ」

 

 リコ「特訓?…もしかして、この子がロイの話してたカイデン?」

 

 ロイ「うん。そうだよ」

 

 カイデン「デカッ!」

 マードック「特訓って、ジャンプの練習か?」

 

 ロイ「うん。このカイデン、飛ぶのが苦手みたいだから、これなら大丈夫かなって」

 

 カイデン「カイッ…。カー、カカカカッ…」

 

 カイデンは段差がある場所から飛ぼうとするが、やはり飛ぶのが怖いのか、後ろに後退りしてしまう。

 

 マードック「確かに飛ぶのが苦手そうだな」

 ロイ「だから特訓してるんだ」

 

 リコ「なるほど」

 

 ロイ「カイデンも仲間たちと一緒に飛んでみたいって気持ちはあるみたいなんだ。だから、どうしてもカイデンに飛んでほしくて」

 

 カイデン「……カイッ!」

 マードック「おっ、行くのか!」

 

 ロイ「頑張れカイデン!」

 リコ「しっかり!」

 ホゲータ「ホゲ、ホゲ」

 

 カイデン「カァァァッ!」

 

 飛ぶ特訓をしていたカイデンは勇気を振り絞ると、翼をまっすぐに伸ばした。そして、ロイやリコたちがカイデンに頑張れとエールを送ると、カイデンは下に敷いてあった藁にジャンプした。

 

 全員「「「おぉ!」」」

 

 ロイ「かっこいい!」

 リコ「決まった!すごいね!」

 

 カイデン「カァァッ?」

 

 ロイ「飛べたんだよ、カイデン!自分の力で!」

 

 カイデン「カイ?…カァァイッ!」

 

 ハッコウシティ・上空

 

 フリード「おいおい、ハッコウシティまで来ちまったぞ」

 

 シンヤ(何か嫌な予感がするな)…「リザードン、レアコイルの後を追ってくれ」

 

 シンヤのリザードン「リザァァァッ!」

 

 レアコイルを追ってシンヤとフリードが辿り着いたのは、ピクニックの時に見ていたハッコウシティだった。シンヤが自分のリザードンにレアコイルの追跡を頼むと、リザードンはレアコイルの追跡を続けた。すると、レアコイルが建物の隙間にある路地裏に入って行ったので、シンヤとフリードのリザードンはレアコイルを追って路地裏に入って行った。そして、レアコイルが路地裏の奥まで進んで行くと、その先には壁があって行き止まりになっていたので、レアコイルは一旦そこで止まった。レアコイルが止まると、シンヤとフリードは自分のリザードンから降りた。すると、壁の目の前で止まっていたレアコイルが、シンヤたちの方にゆっくりと振り向いた。

 

 シンヤ「なるほどな。ここまで来れば、もう逃げる必要はないってことか」

 

 スチャ(シンヤがモンスターボールを取り出す)

 

 ピカチュウ「っ⁉︎ピカッビィカッ!」

 

 シンヤ「どうしたピカ…!」

 

 オーベム「ォォォベッ!」

 

 目の前のレアコイルとバトルしようとシンヤがモンスターボールを構えると、ピカチュウが背後から何かの気配を感じ取ったので、シンヤとフリードは後ろを振り向いた。するとそこには、ブレインポケモンの《オーベム》が宙に浮いていた。

 

 シンヤ「《オーベム》!」

 

 「デェェェスッ」

 

 シンヤ・フリード「「っ!」」

 

 シンヤとフリードが後ろにいるオーベムに気を取られていると、前からレアコイルとは違うポケモンの声が聞こえてきたので、シンヤとフリードは前の方を向いた。そこにいたのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 デスカーン「デェェェスッ!」

 

 シンヤ「《デスカーン》!」

 フリード「待ち伏せか!」

 

 レアコイルの隣に現れたのは、かんおけポケモンの《デスカーン》だった。オーベムたちに囲まれると、これが罠だと理解したシンヤとフリードは、互いに背中合わせになった。

 

 フリード「なるほど。レアコイルがここまで俺たちを誘導して、オーベムとデスカーンで挟み討ちってことか」

 

 シンヤ「フリード。俺はレアコイルとデスカーンの相手をするから、オーベムは任せてもいいか?」

 

 フリード「ああ!」

 

 スピネル『レアコイル、『でんじほう』!』

 ゲーチス『デスカーン、『シャドーボール』!』

 

 レアコイル「プルルルッ‼︎」

 デスカーン「デエェェスッ‼︎」

 

 フリード「リザードン!『かえんほうしゃ』!」

 シンヤ「リザードン!お前も『かえんほうしゃ』だ!」

 

 シンヤのリザードン「リザァァァッ!」

 フリードのリザードン「ザァァァァッ!」

 オーベム「オォォベッ‼︎」

 

 シンヤのリザードン・フリードのリザードン「「リザァァァッ⁉︎」」

 

 シンヤ「これは、『サイコキネシス』!」

 

 レアコイルとデスカーンが攻撃しようとしてくると、シンヤとフリードは自分たちのリザードンに「かえんほうしゃ」を指示した。リザードンたちは「かえんほうしゃ」で「シャドーボールと」と「でんじほう」を粉砕しようとするが、「サイコキネシス」を発動したオーベムによって身動きが取れなくなると、シンヤのリザードンに「シャドーボール」が、フリードのリザードンに「でんじほう」が命中してしまう。

 

 シンヤ「リザードン!近くにトレーナーがいる気配はないのに、どうして!」

 

 フリード「おそらく、遠隔でポケモンに指示をしてるんだ。とんだ恥ずかしがり屋だな」

 

 シンヤ(このデスカーンの動きとパワー…まさか、《ゲーチスのデスカーン》か⁉︎)

 

 どこかの部屋

 

 スピネル「世界チャンピオンと聞いて少しは警戒していたのですが。この程度とは」

 

 ゲーチス「それにしても、あなたに貰ったこの機械は素晴らしいですね。これさえあれば、その場にいなくても作戦を実行できます」

 

 スピネル「お褒めに預かり光栄ですよ」

 

 ゲーチス「では、そろそろ2人には退場してもらいましょうか」

 

 シンヤの予想通り、目の前にいるデスカーンはゲーチスのポケモンだった。スピネルとゲーチスは、離れた場所からデスカーンたちに指示を出し、シンヤとフリードの2人とバトルしているのだ。

 

 スピネル『オーベム、『メテオビーム』、レアコイルは『でんじほう』です』

 

 ゲーチス『デスカーン、『サイコキネシス』で2体のリザードンの動きを封じておきなさい!』

 

 オーベム「オォォォベェッ!」

 レアコイル「レアァァァッ!」

 デスカーン「デェェェスッ!」

 

 シンヤ「やばい!あれを食らったらリザードンたちが!」

 

 フリード「くっ、こうなったらやるしかないか!」

 

 シンヤ「どういうことだ?」

 フリード「こういうことだ!」

 

 スッ(テラスタルオーブを取り出す)

 

 シンヤ「《テラスタルオーブ》!フリード、テラスタルできるのか?」

 

 フリード「ああ、一気に決めるぞ!」

 

 シンヤ「なら、俺もリザードンをパワーアップさせるか!」

 

 フリードがテラスタルオーブを取り出すと、シンヤはポケットから、キーストーンが埋め込まれているメガリングを取り出して左手にかけた。シンヤはメガシンカで、フリードはテラスタルでこの状況を変えようとして、それぞれメガリングとテラスタルオーブを構えた。

 

 シンヤ「行くぜリザードン!進化を超えろ!メガシンカ!」

 

 フリード「リザードン!可能性を超えろ!」

 シンヤのリザードン「リザァァァッ‼︎」

 フリードのリザードン「リザァァァーーーッ‼︎」

 

 シンヤがメガリングに埋め込まれているキーストーンに触れると、シンヤの持つキーストーンと、 リザードンの持つ《リザードナイトX》が共鳴するように光り出し、二つの石から光の糸が出現すると、二つの石から出現した光の糸が結びつき、リザードンは虹色の光に包み込まれて姿を変え始めた。首筋には数個の黒い突起が出てきて、両肩の前後からは水色の突起物が2つずつ生えてきた。そして、羽がギザギザに変化すると、頭の角も4本に増えていき、口角と尻尾からは高温の青い炎を噴き出し、体の色もオレンジ色から黒色に染まっていった。

 

 メガリザードンX「グオオオオオッ‼︎」

 

 フリードがテラスタルオーブを構えると、テラスタルオーブにエネルギーが蓄積されていき、チャージが満タンになると、フリードは自分のリザードンに向かってテラスタルオーブを投げ飛ばした。テラスタルオーブはフリードのリザードンの頭上でエネルギーを解放すると、リザードンは結晶石に身を包み込んだ。リザードンを包んだ結晶石が弾け飛ぶと、そこには全身がクリスタル化し、ステンドガラスに不気味な笑みを浮かべる悪魔を描いたような王冠を被っているリザードンがいた。

 

 リザードン(あくテラスタイプ)「リザァァァァッ‼︎」

 

 シンヤ「ん?フリードのリザードンって、ほのおテラスタイプでもひこうテラスタイプでもなく、あくテラスタイプなんだな」

 

 フリード「ああ」

 

 スピネルとゲーチスのいる場所

 

 スピネル「リザードンのテラスタル。…あくタイプに変化し、エスパータイプの『サイコキネシス』を無効化したのか」

 

 ゲーチス「そして、シンヤのリザードンはメガリザードンXにメガシンカした。トレーナーの持つキーストーンと、ポケモンの持つメガストーン。そして、ポケモンとトレーナーの絆によって起きる現象。これがメガシンカですか」

 

 フリード「行くぞリザードン!『テラバースト』!」

 

 リザードン(あくテラスタイプ)「リッザァァァァッ‼︎」

 

 シンヤ「決めるぞ、リザードン!『ブラストバーン』!」

 

 メガリザードンX「グオオオオオオッ‼︎」

 

 ドッカァァァァァン‼︎

 

 レアコイル「レァァァッ⁉︎」

 オーベム「オォォォベッ⁉︎」

 デスカーン「デエェェェスッ⁉︎」

 

 あくテラスタイプになったフリードのリザードンは、オーベムに「テラバースト」を放ち、シンヤのメガリザードンXは握りこぶしにした右手に青い炎を纏うと、それを地面に強く打ち込んだ。すると、地面から噴き出した赤い火柱がレアコイルとデスカーンに向かっていき、それぞれのリザードンが放った技がオーベムとレアコイルとデスカーンに同時に直撃すると、オーベムたちは地面に倒れてシンヤとフリードのリザードンは元の姿に戻った。

 

 シンヤ「勝負は終わりだ!姑息なことをしてないで姿を見せろ!」

 

 スピネル「フフッw、なるほど。アメジオが敗北するのも納得です。…ですがっ」

 

 オーベム「オォォベッ…」

 デスカーン「デェェスッ…」

 レアコイル「レァァッ…」

 

 シンヤとフリードのリザードンの攻撃を受けて倒れたオーベム、デスカーン、レアコイルの3体は意識を取り戻すと、ゆっくりと空に浮かび上がった。

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 シンヤ「まだ戦えるのか!」

 

 シュン‼︎(テレポートする音)

 

 シンヤ「なっ⁉︎」

 フリード「『テレポート』だと⁉︎」

 

 浮かび上がったオーベムたちが攻撃してくるのかと思ったので、シンヤたちはいつでも反撃できるように構えたが、オーベムが「テレポート」を発動すると、オーベム、デスカーン、レアコイルの3体はシンヤたちの前から姿を消したのだった。

 

 フリード「完全に気配が消えたな」

 

 シンヤ「ああ…さっきのオーベムとレアコイルは、エクスプローラーズのポケモンと見て間違いないな」

 

 フリード「ん?デスカーンはエクスプローラーズのポケモンじゃないのか?」

 

 シンヤ「あのデスカーンは、多分、ゲーチスのポケモンだよ」

 

 フリード「ゲーチス?……ああ、サザンドラに乗ってたあの男か」

 

 シンヤ「前に戦ったことがあるから間違いない。しかし、俺たちを狙ってきたのは何でだろう?奴らの狙いはリコのペンダントのはずなのに?」

 

 フリード「そのことだが、このことは俺とお前だけの秘密にするぞ」

 

 シンヤ「えっ?何で?マードックたちに報告した方がいいだろ」

 

 フリード「お前がさっき言ったように、さっきのデスカーンがゲーチスって奴のポケモンだとして、今回はリコのペンダントじゃなく、俺たちを狙ってきた。ということは…」

 

 シンヤ「…俺とフリードをこの場に誘い込むのが、奴らの目的だった」

 

 フリード「最初から俺たち2人を狙っていたのだとしたら…」

 

 シンヤ「俺とフリードの実力を探ってきた。そういうことか?」

 

 フリード「おそらくな。それに、みんなには余計な心配をさせたくないんだ」

 

 シンヤ「ホント、フリードってチャライ感じに見えるのに、そういうところはしっかりしてるな」

 

 フリード「だから、チャラいは余計だ。それに、お前だってリコに心配かけたくないだろう?」

 

 シンヤ「…まあ、そうだな。今回のことをリコが知れば、めちゃくちゃ心配するのが容易に想像できるし」

 

 フリード「じゃ、約束だぞ」

 シンヤ「わかったよ」

 

 みんなに余計な心配をかけないため、路地裏でオーベムたちと戦ったことは内緒にしておこうと約束したシンヤとフリードは、自分たちのリザードンの背中に乗ると、急いでブレイブアサギ号に戻って行った。

 

 スピネルとゲーチスのいる場所

 

 シュン‼︎(オーベムたちが現れる)

 

 オーベム「オォォォベッ!」

 レアコイル「レァァァッ!」

 デスカーン「デェェェスッ!」

 

 スピネル「お疲れ様でした」

 ゲーチス「ボールに戻ってください」

 

 シュルルーーン 

 

 スピネル「見たいものは見られましたが。出来れば、ミライドンという未知のポケモンの力を見ておきたかったのですが」

 

 ゲーチス「シンヤの力はわかっていましたが、あのフリードという男も中々やりますね」

 

 スピネル「そうですね。しかし、やはりシンヤというトレーナーをどうにかしなければなりません。彼はターゲットの少女とよく一緒にいるようですから、なんとか引き離さなければ、ペンダントを奪うのは容易ではありませんからね」

 

 ゲーチス「あのリコという少女からシンヤを引き離すことなど、簡単なことですよ」

 

 スピネル「ほう、そんな方法があるなら、是非教えていただきたい」

 

 ゲーチス「もちろん教えますよ。その方法は…」

 

 上空

 

 シンヤ「すっかり遅くなっちまった」

 フリード「もう夕方か」

 ロイ「カイデン、頑張れ!」

 

 シンヤ「ん?あれは、ロイか」

 

 フリード「リコにマードックまで」

 

 シンヤ「おーい!みんなー!何やってんだ!」

 

 リコ「あっ、シンヤ、フリードも」

 

 デスカーンたちとのバトルが終わって、船に戻る途中でリコたちと会ったシンヤとフリードは、ロイたちから何をやっているのかと聞くと、カイデンの飛ぶ特訓をしていたと聞いた。もうそろそろ夜になるので、カイデンの飛ぶ特訓はまた明日することになり、ロイたちはシンヤたちと一緒に船に戻ってきた。

 

 ブレイブアサギ号

 

 モリー「カイデンの飛ぶ特訓か、そんなことしてたんだ」

 

 オリオ「で、フリードはどこに行ってたの?」

 フリード「んっ?あぁ、まぁ、ちょっとな」

 

 リコ「そういえば、シンヤはフリードと何の話をしてたの?」

 

 シンヤ「えっ?…ああ、まあ、いろいろとな」

 リコ「?」

 

 シンヤとフリードはさっき約束した通り、みんなに余計な心配をさせないために、路地裏でデスカーンたちとバトルしたことを黙っていた。

 

 ロトロトロト…ロトロトロト…ピッ

 

 フリード「ドットか?システムの再起動は?」

 

 ドット『今晩いっぱいはかかるかな。再起動はできても、磁気嵐の影響がどこにあるかわからない。だから入念にチェックするよ』

 

 フリード「わかった。明日ドットのチェックが終わったら、ガラル地方に出発する」

 

 リコ「ついに出発か!」

 ニャオハ「ニャオハ!」

 

 シンヤ「やっとガラル地方に行けるのか」

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 甲板

 

 ロイ「う〜ん。どうやったら飛べるかな?」

 ホゲータ「ホゲホゲ」

 

 シンヤたちがミーティングルームで話をしていると、ロイは甲板で、一体どうすれば、カイデンは高所恐怖症を克服して空を自由に飛べることができるだろうと考えていた。すると、ロイのいる所に釣竿を持ったランドウが通りかかる。

 

 ロイ「あ…」

 ランドウ「んっ?」

 ロイ「じっちゃん、お願いがある!」

 

 次の日の朝。船のメンバーのみんなはいつものように、ミーティングルームで朝食を食べていた。今日の朝のメニューは、キッシュのパイに、クロワッサンやバターロールと揚げ物に、モリーの好きなスープだった。

 

 ミーティングルーム

 

 リコ「今日もおいしそう!」

 オリオ「いただきま〜す!」

 

 マードック「さっきドーナツを届けた時にドットから聞いたんだが、船のチェックは順調に進んでるらしい」

 

 フリード「そうか」

 リコ「…あれ?ロイは?」

 

 オリオ「朝食だって伝えたら、なんか忙しいって言ってたよ」

 

 シンヤ「珍しいな。飯の時間には誰よりも1番にくるのに」

 

 リコ「…シンヤ」

 シンヤ「ああ。ロイを呼びに行こうか」

 リコ「ぁ、うん!」

 

 ブレイブアサギ号・船底

 

 ロイ「よし、できた!」

 シンヤ「ここにいたのか」

 リコ「ご飯が冷めちゃうよ」

 

 ロイ「あ、シンヤ、リコ」

 シンヤ「何だそれ?カイデンの人形か?」

 

 シンヤたちがロイを見つけた場所は、きのみが入っている箱などが置いてあるブレイブアサギ号の船底だった。そこでは、ロイがダンボール箱を切ってカイデンの人形を作っていて、その人形をランドウから借りた釣り竿に縄を使って括り付けていた。

 

 リコ「何それ?」

 

 ロイ「ヘヘッ、いいこと思いついたんだ。僕、朝ごはんを食べたらカイデンの所に行ってくるよ!ガラル地方に行く前に、カイデンを飛べるようにしてあげたいんだ」

 

 リコ「…シンヤ、あの…」

 

 シンヤ「わざわざ言わなくてもわかってるよ。ロイ、俺たちも付き合うぜ」

 

 ロイ「ありがとう!シンヤ!リコ!」

 

 ブレイブアサギ号・ランドウの釣り場

 

 ランドウ「釣るだけが、釣りではない」

 

 朝食を食べ終わったロイは釣り竿を持つと、早速シンヤたちと一緒にカイデンのいる場所に向かった。

 

 ロイ「カイデン、おはよう」

 カイデン「カイ?」

 

 シンヤたちがやってくると、カイデンはロイが持ってきた自分そっくりの人形を見て首を傾げた。

 

 ロイ「これはこうやって使うんだ。見てて!こうしてゆっくり下ろすと」

 

 ロイは縄に引っ掛けてあるカイデンの人形をゆっくりと川の下に降ろしていくと、首を傾げるカイデンに人形を使った手本を見せた。

 

 ロイ「これなら絶対に落ちないから、これで飛ぶ特訓をしよう」

 

 カイデン「カァァァイッ!」

 シンヤ「どうやら理解したみたいだな」

 

 カイデンに手本を見せたロイは、人形のカイデンを釣り竿から外すと、今度は本物のカイデンを縄に引っ掛けた。

 

 ロイ「これでバッチリ!」

 リコ「命綱ってことね」

 

 ロイ「うん。これならカイデンに勇気が出て、仲間のいる場所まで飛べると思うんだ」

 

 リコ「そうだね」

 

 ロトン(メールが届く)

 

 シンヤ(ん?俺のスマホロトムか。え〜と、差出人は…!)

 

 リコ「シンヤ、どうしたの?」

 

 シンヤ「ちょっと出かけてくる。すぐに戻るから、ミライドン!」

 

 ポーーン

 

 ミライドン「アギャアア!」

 シンヤ「ピカチュウ、行くぞ!」

 ピカチュウ「ピッカッ!」

 

 シンヤはボールから出したミライドンに乗り込むと、そのままどこかに行ってしまった。

  

 ロイ「シンヤ、どうしたんだろう?」

 

 リコ「わからない」…(シンヤ、なんか怖い顔をしてたように見えたけど)

 

 ロトン(メールが届く)

 

 リコ「んっ?店からのお知らせ…」

 

 シンヤがミライドンに乗って出かけたタイミングで、今度はリコのスマホロトムにメールが届いた。リコが送られてきたメールを開くと、そこには、昨日マードックが買いそびれた秘伝からスパイスが数量限定で販売すると書いてあった。

 

 ニャオハ「ニャオ!」

 

 リコ「うん。これを買えたら、マードック絶対に喜ぶよ。私、ちょっと買い出しに行ってくる。すぐ戻るから!」

 

 ロイ「うん!わかった!」

 

 マードックを喜ばせるために、リコがニャオハと一緒に秘伝からスパイスを買いに街に出かけると、ロイはカイデンの飛ぶ特訓を再開した。

 

 ロイ「じゃあ始めようか」

 カイデン「デカッ…カイカイカイカイ」

 ロイ「いいよ!その調子だ!」

 

 ロイが縄に引っ掛けてあるカイデンをゆっくりと川の下に降ろしていくと、カイデンは体を大きく揺らしながら翼を勢いよく羽ばたかせ始めた。すると、風を受けたカイデンの翼は電気を作り始め、翼から電気がバチバチと放出した。

 

 バチンッ(縄が切れる)

 

 カイデン「デカッ⁉︎」

 ロイ「カイデン!」

 ホゲータ「ホゲ!」

 

 カイデンが翼から電気を放出すると、命綱のロープが切れてしまい、カイデンはそのまま川に落ちてしまった。ロイとホゲータは慌ててカイデンを見たが、川の中にカイデンの姿はなかった。すると、前の方からカイデンの鳴き声が聞こえてきたので、ロイとホゲータは川の前の方を見た。そこには、頑張って翼をはためかせて飛んでいるカイデンがいた。すると、急に強い突風が吹いてきて、吹いてきた突風に巻き込まれたカイデンは、一気に上まで急上昇して仲間のカイデンたちと合流すると、そのまま一緒に高台まで飛んで行った。カイデンが高台で飛ぶことができた嬉しさの雄叫びを上げると、カイデンの群れのみんなも喜びの声を上げてくれた。

 

 カイデン「カァァイッ!」

 カイデンの群れ「「「カイカイカイカイ!」」」

 

 マードック「お〜い!ロイ!」

 ロイ「マードック!」

 

 マードック「あっちから見てたぞ。アイツ、とうとう飛べたんだな」

 

 ロイ「うん。羽がバチバチしてさ、仲間たちとあそこまで飛んで行ったんだ」

 

 マードック「そうか!特訓の成果が出たな!さぁ、そろそろ出航だ。船に戻ろう」

 

 ロイ「あ…うん!お〜い!カイデン!元気でね〜!」

 ホゲータ「ホ〜〜ゲッ!」

 カイデン「カイ?」

 

 ロイは大きな声でカイデンにお別れを伝えると、マードックと一緒に船に歩いて行った。カイデンはロイが船に帰って行くのを見ると、高台から飛んでロイのもとに行こうとしたが、まだ飛ぶのが怖いのか、飛ぶのを躊躇ってしまう。だが、仲間のカイデンたちに頑張れとエールを送ってもらうと、覚悟を決めたカイデンは高台から飛び出した。

 

 マードック「んっ?ロイ、どうした?」

 ロイ「カイデンが飛べてよかった…はずなんだけど」

 

 マードック「んっ?…ロイ、あれを見てみろ」

 ロイ「えっ?…カイデン!」

 

 カイデン「カァ〜〜イッ!」

 

 ロイ「カイデン…なんで?」

 

 マードック「ロイと一緒に行きたいんだろう。ほら」

 

 スッ(ロイにモンスターボールを渡す)

 

 ロイ「…でも、あのカイデン、仲間と飛ぶために頑張ったのに…」

 

 マードック「だから今度は、ロイと仲間になりたいってことだろうな」

 

 ホゲータ「ホゲ、ホゲ」

 

 ビュゥゥゥゥ(突風が吹いてくる)

 

 カイデン「カァァァイッ⁉︎」

 

 カイデンが翼をはためかせてロイのもとに向かっていると、カイデンのいる上空に突風が吹いてきた。すると、カイデンはバランスを崩して川に落ちそうになってしまう。

 

 マードック「まずい!このままじゃ川に落ちる!」

 ロイ「ッ、届け〜〜!」

 

 ブンッ!(モンスターボールを投げる)

 

 コンッ(モンスターボールがカイデンに当たる音)

 

 シュルルーーン 

 

 ロイ「よっと!」

 

 ロイは川に落ちそうになるカイデンに、マードックから貰ったモンスターボールを投げた。ロイが投げたモンスターボールがギリギリでカイデンの体に当たると、カイデンはモンスターボールの中に吸い込まれた。カイデンの入ったモンスターボールはそのまま川に落ちそうになるが、ロイはその場から全力で走ってモンスターボールを両手でキャッチし、モンスターボールがロイの手の中で3回揺れると、ポンという音がなって揺れが止まった。

 

 ポワン…ポワン…ポワン……ポンッ!

 

 ロイ「カイデンゲット!」

 マードック「よくやったな。ロイ」

 

 ロイ「へへへ…ありがとう、マードック」 

 

 ポーーン

 

 カイデン「カァァイッ!」

 

 こうしてロイは、見事にカイデンをゲットすることができた。カイデンはモンスターボールから出てくると、ロイに飛びつき、自分の頬をロイの頬にこすりつける。そして、ロイがカイデンにこれからよろしくと言うと、ホゲータとカイデンとロイは3人で楽しそうに笑っていた。その頃、秘伝からスパイスを買いに行ったリコとニャオハは…

 

 街の中

 

 リコ「秘伝からスパイスが買えたら、マードック喜ぶよね!」

 

 ニャオハ「ニャオハ!」

 

 リコ「地図だと…この先だ!」

 

 リコはスマホロトムを見ながら、秘伝からスパイスが売られているお店を探していた。そして、小さな路地裏に入るとゆっくり歩いていったが、そこは行き止まりだった。

 

 リコ「あれ、行き止まり?地図だと、ここのはずなんだけど」

 

 ニャオハ「ニャオ…」

 

 ドンッ(人とぶつかる)

 

 リコ「わっ⁉︎」

 ???「おっと!」

 

 カラン(スマホロトムを落とす)

 

 ???「失礼、大丈夫でしたか?」

 リコ「あ…はい。大丈夫です」

 

 シュン‼︎(オーベムが現れる)

 

 リコ「あっ…」

 

 オーベム「オーベッ…」

  

 ・・・・・

 

 リコ「はっ……あれ?」

 ニャオハ「ニャ?」

 

 ???「《大事なもの》をなくしてませんか?」

 

 リコ「大事なもの…」

 ニャオハ「ニャァァッ…」

 

 ???「では…」スッ(取り出す)

 

 チャラ(リコのペンダント)

 

 スピネル「とても簡単な任務でしたw」

 

 リコのペンダントがスピネルに奪われてしまった頃、ロイとマードックは…

 

 マードック「んっ?そういえば、シンヤとリコは?」

 

 ロイ「シンヤなら、ちょっと出かけるってどこかに行ったよ。リコは秘伝からスパイスを買いに行ったけど」

 

 マードック「っ⁉︎秘伝からスパイス⁉︎あれは一度売り切れになったら、当分は再販されない品物だぞ!」

 

 ロイ「えっ!だって、リコのスマホロトムにお店からのお知らせってメールが来て、秘伝からスパイスが数量限定で販売するって…」

 

 ロトロトロト…ロトロトロト…ピッ

 

 ロイ「シンヤからだ。シンヤ、どうしたの?」

 

 シンヤ『ロイ!リコは一緒か?』

 

 ロイ「え?…ううん。さっきシンヤが出かけた後に、秘伝からスパイスが数量限定で販売するってメールが届いたから、それを買いに行ったんだ。今、マードックと一緒なんだけど…」

 

 シンヤ『マードックに代わってくれ!』

 ロイ「え、わかった。マードック、シンヤから」

 

 マードック「えっ…シンヤ、代わったぞ」

 

 シンヤ『マードック!今すぐブレイブアサギ号に戻って、フリードにリコが危ないと伝えてくれ!』

 

 マードック「えっ⁉︎リコが?一体どういうことだ⁉︎」

 

 シンヤ『俺も一度ブレイブアサギ号に戻る。フリードから昨日の話を聞けばわかるから』

 

 ピッ(電話を切る)

 

 マードック「昨日の話って」

 ロイ「シンヤ、なんか焦ってたけど…」

 

 マードック「とにかく、一度ブレイブアサギ号に戻るぞ」

 

 シンヤの言っていたことがよくわからなかったが、2人はシンヤに言われた通り、急いでブレイブアサギ号に戻って行った。

 

 …数分前、リコがペンダントを奪われてしまった頃と同時刻…

 

 シンヤ「ふざけたメールを送ってくれるな」

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 さっきシンヤのスマホロトムに送られてきたメールにはこう書かれていた。

 

 『シンヤへ。今からあなた1人で、昨日デスカーンたちとバトルした場所に来ていただきたい。このことは誰にも話さないように。そこで1対1のポケモンバトルをしましょう。もしあなたが勝つことができれば、マツブサ、アオギリ、フラダリ、そして、私の目的を教えて差し上げましょう。ゲーチス』

 

 シンヤ「やっぱり、あのデスカーンはゲーチスのだったのか…上等だぜ!もう1回ぶちのめしてやる!」

 

 ミライドンに乗って数分後、昨日デスカーンたちとバトルした場所に到着すると、シンヤは念の為に手持ちのポケモンたちを全てをボールから出し、ミライドンをボールに戻した。

 

 ポーーン

 

 エンペルト「ペェェェルッ!」

 ゲッコウガ「コォォウガッ!」

 リザードン「リザァァァッ!」

 ジュカイン「ジュカァァッ!」

 ルカリオ「ガァァウッ!」

 

 シンヤ「みんな、これはゲーチスの罠かもしれない。気をつけろよ」

 

 シンヤのポケモンたち『『『おぉーー!』』』

 

 ボールから全てのポケモンを出したシンヤは、ポケモンたちと一緒に建物の隙間にある路地裏に歩いていく。だが、そこには誰もいなかった。

 

 ハッコウシティ・路地裏

 

 シンヤ「ゲーチス!どこにいる?姿を見せろ!」

 

 ゲーチス「フフフ、やはり来ましたか。理想の勇者よ」

 

 シンヤ「っ⁉︎ゲーチス!」

 

 シンヤが後ろを振り向くと、かつてイッシュ地方で戦ったプラズマ団のボスであるゲーチスが立っていた。

 

 シンヤ「メールアドレスを教えた覚えはないけど。まぁ、そのことはどうでもいい。約束通り1人で来たんだ。さぁ、ポケモンバトルを始めようぜ!」

 

 ゲーチス「フフフ、私はバトルをしても構いませんが。今この瞬間にも、あの《少女》がどうなっていますかね」

 

 シンヤ「少女だと……!まさか!リコの持つペンダントを奪うために、俺からリコを引き離したのか!」

 

 ゲーチス「ご名答。少女の近くにあなたがいては、ペンダントを手に入れることが難しいと言われたので、私が彼に、ターゲットの少女からあなたを引き離すことのできる作戦を教えたのですよ」

 

 昨日・スピネルとゲーチスのいる場所

 

 スピネル『ほう、そんな方法があるなら、是非教えていただきたい』

 

 ゲーチス『簡単ですよ。その方法は、彼を誘き寄せればいいだけです』

 

 スピネル『?どういう意味ですか?』

 

 ゲーチス『彼は正義感も強いのです。そんな彼が、もし私や、マツブサ、アオギリ、フラダリから1人で来るようにと言われれば、彼は必ず1人で来るでしょう、その隙に、あなたは少女をおびき寄せてペンダントを奪えばいいのです』

 

 スピネル『もし手持ちのポケモンたちを、ターゲットの少女のガードにつけていたら?』

 

 ゲーチス『その心配はいりませんよ。彼も生半可な力では私たちに勝てないことはわかっていますから、手持ちポケモンが6体の状態で私たちのもとに来るでしょう』

 

 スピネル『それはいい。彼に連絡を取る方法なら、メールで構いませんか?』

 

 ゲーチス『ええ。さっきデスカーンたちと戦っていた場所に、1人で来るようにメールを送ってください。誰にも話さないようにと書いてね』

 

 スピネル『そのあと、私が少女をおびき寄せ、ペンダントを奪えばいいわけですか?』

 

 ゲーチス『ええ』

 

 ハッコウシティ・路地裏

 

 ゲーチス「というわけです。そして私の予想通り、あなたはたった1人でここに来た」

 

 シンヤ「しまった!狙いはリコだったのか!」

 

 ゲーチス「少女に連絡をしてみてはどうです」

 

 シンヤ「……」スッ(スマホロトムでリコに連絡を取る)

 

 ロトロトロト…ロトロトロト…プー、プー

 

 シンヤ「っ⁉︎お前ら!リコに何をした!」

 

 ゲーチス「さぁ?彼の作戦は成功したようですから、私はこれで」

 

 シンヤ「逃すか!」

 ゲーチス「いいんですか?少女を捜さなくて?」

 

 シンヤ「くっ!」

 

 ゲーチス「ですが、せっかくここまで来ていただいたのですから、我々4人のの目的を教えて差し上げましょう」

 

 シンヤ「聞かなくてもわかる。マツブサは《グラードン》、アオギリは《カイオーガ》、お前は《キュレム》を、フラダリは《ジガルデ》をゲットする。それがお前らの目的だろう?」

 

 ゲーチス「ほう、気づいていたのですか」

 

 シンヤ「狙いは、自分たちが手に入れかけた《伝説のポケモン》たちか」

 

 ゲーチス「その通りです。それをエクスプローラーズの皆さんが探す協力をして、我々4人がゲットする。それが脱獄の条件だったのです。しかし、私の目的はキュレムだけではなく、《レシラム》も手に入れることにある」

 

 シンヤ「レシラムだと⁉︎レシラムはNのポケモンのはずだ!」

 

 ゲーチス「ええ。あなたは《ゼクロム》を、Nはレシラムを手に入れた。そのあとあなたたち2人は、我らプラズマ団の城でフルバトルをして戦いましたね」

 

 シンヤ「…懐かしい話だな」

 

 ゲーチス「勝者はあなただった。そのあと、私もあなたとフルバトルをしましたが、私は敗北し、その結果プラズマ団は壊滅。Nも姿を消し、私はジュンサーに捕まった。…しかし、エクスプローラーズの皆さんの協力のおかげで、私は今ここにいる。…そういえば、ゼクロムはお元気ですか?」

 

 シンヤ「…」

 

 ゲーチス「いえ、無粋でしたね。Nとのバトルの後、ゼクロムは《ダークストーン》に戻ったのですから。でもあなたのことだ。今ダークストーンは、そのリュックの中にでも入っているのでは?」

 

 シンヤ「さあな、奪って確かめてみるか?」

 

 ゲーチス「……フッ、では、またいずれ」

 

 スッ(後ろを振り向く)

 

 ピカァァァァン!

 

 シンヤ「うわぁ⁉︎」

 シンヤのポケモンたち「「「「⁉︎」」」」

 

 ゲーチスはモンスターボールの形をした閃光玉を懐から取り出すと、それを地面に投げた。すると、そこから眩い光が発生し、シンヤとシンヤのポケモンたちの視界を遮る。光が収まると、シンヤとピカチュウたちは目を開けたが、路地裏にゲーチスの姿はなかった。

 

 シンヤ「…とりあえず、ロイに電話しないと!」

 

 ロトロトロト…ロトロトロト…ピッ

 

 ロイ『シンヤからだ。シンヤ、どうしたの?』

 

 シンヤ「ロイ!リコは一緒か?」

 

 これが、さっきシンヤがロイに電話するまでの流れだ。……一体、今リコはどこにいるのだろうか?

 

 To be continued

 

 行方不明になったリコを捜すため、街の中を捜索するシンヤたち。だが、リコがどこにいるのかわからないため、シンヤたちは手詰まりになってしまう。そこでドットは、リコを捜すためにある人物に連絡を取った。その人物とは、ハッコウシティのジムリーダーだった。

 

 次回「ナンジャモ登場!ぐるみんと一緒にリコを捜せ!」

 





 秋月 了さん、10星評価ありがとうございます

 
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