ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり   作:通りすがりのポケモントレーナー

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 シンヤとリコとロイの3人は、ホゲータとカイデンとバトルをしたキャップが一瞬だけ空を飛んだことに気づいたので、その謎を探るために、ライジングボルテッカーズのメンバーのドットに話を聞きに向かった。


第18話『フリードとキャップの出会い!ライジングボルテッカーズ結成!』

 

 ブレイブアサギ号・ドットの部屋

 

 

 ドット「キャップが空を飛んだ?」

 

 シンヤ「昨日、バトルをしていたキャップがホゲータの攻撃をかわそうとした時、尻尾を揺らして飛んだのを見たんだ」

 

 リコ「私にもそう見えた」

 

 ロイ「僕も」

 

 ドット「そんなこと無理に決まってるじゃん。シンヤだってピカチュウを持ってるんだから、ピカチュウが空を飛ばないことぐらいわかるだろう?」

 

 シンヤ「普通のピカチュウならな。だけど、特別なピカチュウだったらどうだ?」

 

 ドット「それは…」

 

 リコ「ドットは、私たちよりこの船に長くいるでしょ」

 

 ロイ「だから、なにかキャップのことを知ってるんじゃないかと思って」

 

 ドット「そう言われても、僕がこの船に乗った時には、キャップはキャップだったし。……そうか、当たり前すぎて気づかなかった」

 

 リコ・ロイ「「気になるよね!」」

 

 ドット「…興味はある」

 

 シンヤ「だったらさ、フリードからキャップが空を飛ぶ理由を聞き出そうぜ!」

 

 リコ「そうだね!」

 

 ロイ「ドットも来るよね?」

 

 ドット「僕はパス。めんどくさいし……だけど、協力はするよ」

 

 

 カチャ(撮影用カメラ)

 

 

 リコ・ロイ「「えっ?」」

 

 シンヤ「なるほどな」

 

 

 というわけで、ドットから撮影用カメラを受け取ったシンヤたちは、キャップが空を飛べる理由をフリードに聞きに向かった。

 

 

 操舵室の前

 

 

 リコ「よ…よっす!」

 

 ロイ「ポケモントレーナーのみんな!」

 

 シンヤ「リコロイチャンネルの動画だぜ!」

 

 クワッス「クワァァスッ!」

 

 ホゲータ「ホゲェェェッ!」

 

 ニャオハ「ニャァァァッ〜」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 

 ドットの提案で、シンヤとリコとロイの3人は動画を撮りながらリポーターをすることになり、フリードからキャップが空を飛んだ理由を聞くために突撃インタビューをすることになると、フリードとキャップがいる操舵室の部屋の前にやってきた。

 

 

 シンヤ「2人とも、今回の企画は?」

 

 リコ「はい!」

 

 ロイ「それは!」

 

 リコ・ロイ「「《空を飛ぶピカチュウの謎》を追え!」」

 

 シンヤ「なぜピカチュウが空を飛べるのか、その謎に迫っていきたいと思います」

 

 

 ガチャ(操舵室の扉を開ける)

 

 

 リコが操舵室の扉を開けると、船の舵の前には、いつものように尻尾で立つキャップがいた。

 

 

 操舵室

 

 

 キャプテンピカチュウ「ピカ?」

 

 

 ヒョコ(フリードが横から顔を出す)

 

 

 フリード「なんだ?」

 

 リコ・ロイ「「あっ」」

 

 フリード「シンヤまで一緒になって何やってんだ?3人揃ってぐるみんに弟子入りしたのか?」

 

 シンヤ「いやぁ、一緒に映ってくれってドットに頼まれてさ」

 

 ドット『面白い動画が撮れると思ってね。それに、世界チャンピオンのシンヤが一緒に映れば、動画がバズって再生回数もシビルドン登りするはず。僕がナンジャモ姉さんの人気を超える日も近い!』

 

 フリード「だったらシンヤだけじゃなくて、お前が出なきゃ意味ないだろ?ってか、面白い動画ってなんのことだ?」

 

 シンヤ「動画作りとは別に、俺たち4人は、キャップの秘密を聞きたいんだ」

 

 フリード「キャップの秘密?」

 

 ロイ「昨日、ホゲータが『たいあたり』でキャップを攻撃した時、キャップが尻尾を使ってホゲータの攻撃をかわしたでしょ?その時に、キャップが空を飛んでるように見えたから」

 

 リコ「だから私たち、キャップは空を飛べるんじゃないかって思ったの」

 

 フリード「ああ、そうだな。かもしんないな」

 

 ロイ「フリードは、キャップとどこで出会ったの?」

 

 リコ「なんで、ピカチュウの名前がキャップなの?」

 

 フリード「いいじゃないか。キャップはキャップ、俺たちの頼れる船長だ」

 

 キャプテンピカチュウ「ピィカチュ」

 

 

 シンヤたちはキャップの秘密を直接フリードに聞いたが、フリードは何も話してくれなかった。そして、フリードに操舵室から追い出されたシンヤたちは船の甲板にやってきた。

 

 

 甲板

 

 

 ロイ「…誤魔化されたね」

 

 リコ「ますます気になるね」

 

 シンヤ「ドット、どうする?」

 

 ドット『こういう時は、地道なネタをするんだ。他の船のメンバーに聞いてみよう』

 

 

 フリードが話してくれないなら、他のライジングボルテッカーズのメンバーからキャップの秘密を聞いてみることにしたシンヤたちは、モリーからキャップのことを聞くために救護室に向かった。

 

 

 救護室

 

 

 モリー「キャップについて?あの子はタフだね。ほとんど治療したことがない」

 

 シンヤ「キャップが空を飛んだところを見たことは?」

 

 モリー「空を?身軽だから空を飛んでいるように見えるけど」

 

 

 キッチン

 

 

 マードック「キャップはいいヤツだ。好き嫌いがないから、なんでもおいしく食べてくれる。あのパワーとスピードは、栄養があるからこそだな」

 

 ロイ「聞きたいのは、料理のことじゃないんだけど」

 

 

 モリーとマードックからキャップのことが聞けなかったので、シンヤたちはランドウからキャップの話を聞くことにして、ランドウがいつも釣りをしている所に向かった。

 

 

 ランドウの釣り場

 

 

 ランドウ「キャップ…それは《始まりの絆》」

 

 リコ「始まりの絆?」

 

 ロイ「キャップが最初のメンバーだってこと?」

 

 ランドウ「うむ。フリードがキャップと出会っていなければ、ライジングボルテッカーズは結成しなかったじゃろうな」

 

 シンヤ「あっ、そういえばさ。このブレイブアサギ号って、元々ランドウのじっちゃんが持ってた釣り船だったけど、それをオリオが飛行船に改造したんだよな?」

 

 ランドウ「そう。ワシもオリオもフリードに手を貸したが、フリードの心に火をつけたのは、紛れもなくキャップじゃ。キャップとフリード、この2人が出会ったからこそ、新たな世界が広がった。そして、このブレイブアサギ号と、ライジングボルテッカーズが誕生したのじゃよ」

 

 シンヤ「…」

 

 

 ランドウから話を聞くと、シンヤたちは最後のライジングボルテッカーズのメンバーであるオリオの元に向かった。

 

 

 ミーティングルーム

 

 

 オリオ「なるほどね。それで船のメンバーに、片っ端から話を聞いて歩き回ってるんだ」

 

 ロイ「でも、結局フリードは何も話してくれないし」

 

 オリオ「ハハハハッw。照れくさいんだよ、昔のことを喋るのとか。アイツ、カメラに撮られるのとか苦手だしね」

 

 シンヤ「ん?なんかオリオ、昔からフリードのことを知ってるような口ぶりだな」

 

 オリオ「ああ、そっか。シンヤたちには言ってなかったっけ。私とフリードは幼馴染なんだよ」

 

 リコ・ロイ「「ええっ⁉︎」」

 

 シンヤ「へぇ〜w」

 

 オリオ「んっ?どうしたの?」

 

 シンヤ「もしかして、フリードとオリオってそういう関係なのか?」

 

 オリオ「?そういうって?」

 

 シンヤ「俺とリコみたいな関係ってことだよ」

 

 リコ「っ⁉︎///」

 

 オリオ「残念だけど、私とフリードはシンヤとリコみたいな関係じゃないよ」

 

 シンヤ「な〜んだ。美男美女でお似合いなのに」

 

 オリオ「おっ、嬉しいこと言ってくれるねw」

 

 シンヤ「ついでに言えば、たまに俺とリコを揶揄ってくるみたいに、逆に揶揄ってやろうと思ってたんだがな」

 

 オリオ「それは残念だったね。私とフリードがそういう関係じゃなくて」

 

 シンヤ「まぁ、それは置いといて。フリードとオリオは幼馴染なんだろ?」

 

 オリオ「うん。私とフリードは小さい頃、カントー地方に住んでたんだ。昔はよく一緒に遊んだりしてたんだけど。ある時に、私は親と一緒にホウエン地方に引っ越しちゃってね。フリードと再会したのは、この船を…んっ?」

 

 リコ「その話…(✨∇✨)」

 

 ロイ「詳しく聞きたい!(✨∇✨)」

 

 

 オリオがフリードとの昔話をシンヤたちに話すと、リコとロイはフリードとオリオの昔話に興味を持ったようで、目をキラキラさせながらオリオにそのことを聞きたいと詰め寄った。

 

 

 シンヤ「オリオがキャップの秘密を知ってるなら、フリードから聞かなくて済むんだけど」

 

 オリオ「別に内緒ってわけじゃないから、私としては、別に話してもいいんだけど。あとでフリードに文句を言われそうだしな。…そうだ!」

 

 

 オリオは何か閃いたようにスマホロトムをタッチすると、ライジングボルテッカーズアプリをタッチし、船のメンバー全員に連絡をした。

 

 

 オリオ「ピンポンパンポーン!今からミーティングルームにて、フリードとキャップの運命的な出会いについて話しま〜す!聞きたいメンバーは、至急ミーティングルームに集まるように!」

 

 

 ピッ(通話を切る)

 

 

 シンヤ「こんなんでフリードが来るのか?」

 

 

 ダダダダダッ!(誰かが廊下を走ってくる)

 

 

 オリオ「ほら、来た来た!」

 

 

 ガラガラッ(ドアを勢いよく開ける)

 

 

 フリード「オリオ!いきなりなんだよ!」

 

 シンヤ「マジで来たよ…(・_・)」

 

 オリオ「3人がアンタたちのことを聞きたいってさ。話してあげなよ」

 

 フリード「まだ聞いて回ってたのか。まぁ、なんつうか…」

 

 シンヤ「パルデア地方でピクニックした時、俺にミライドンのことやパルデアの大穴でのことをしつこく聞いてきたのに、自分は答えないってのはずるくないか?」

 

 ロイ「シンヤの言う通りだよ!」

 

 リコ「そうだよ!」

 

 フリード「いや、それはだな…」

 

 オリオ「仲間のこと、もっと知りたいって思うのは当然だろ?」

 

 

 ヒョコ(マードックとモリーとランドウが出てくる)

 

 

 マードック「壁にミミロル、障子にメタング!」

 

 モリー「馴れ初め、気になルンパッパ」

 

 ランドウ「ニッ(笑)」

 

 フリード「お前らな…」

 

 

 みんながライジングボルテッカーズを結成した時の話を聞きたいように集まってくると、観念したフリードはため息をついた。

 

 

 フリード「…わかったよ。いい機会だ。教えようじゃないか。俺とキャップの出会いを。それこそが、ライジングボルテッカーズ結成の始まりになったんだ!」

 

 キャプテンピカチュウ「ピィカチュ!」

 

 

 シンヤたちがミーティングルームの椅子に座ると、フリードも椅子に座り、ライジングボルテッカーズが結成するきっかけになった話を始めた。

 

 

 フリード「あれは、俺がとある企業の研究員を辞めて、休暇を過ごしていた時のことだ」

 

 シンヤ「企業?研究員?もしかしてフリードって、ポケモンのことを調べるところで働いてたのか?」

 

 フリード「昔のことだけどな。けど、辞めちまった」

 

 シンヤ「じゃあ、仕事を辞めた後はカントーに帰ったのか?」

 

 フリード「いや、ランドウのじっちゃんの船に世話になってたんだ。休暇もパルデア地方で過ごしてたからな」

 

 

 …数年前

 

 

 パルデア地方・マリナードタウン

 

 

 ランドウ「いい天気じゃのう」

 

 フリード「そうだなぁ」

 

 ランドウ「釣れぬのう」

 

 フリード「そうだなぁ」

 

 

 ここは、パルデア地方のマリナードタウン。研究員を辞めたフリードは、よくランドウの釣り船にやってきて、ランドウと一緒に釣りをしていた。

 

 

 ランドウ「お主、何日そうしているつもりじゃ?」

 

 フリード「あぁ?」

 

 ランドウ「若い頃は、ただ獲物を待たずに自ら動いて得るものじゃよ」

 

 フリード「って言ってもなぁ。他にやることもねえし…」

 

 

 グググッ(竿が引っ張られる)

 

 

 フリード「おっ!」

 

 ランドウ「大物じゃぞ!フリード!」

 

 フリード「ぐっ、ぐぅぅっ!でやぁ〜っ!」

 

 

 バッシャァァァァン‼︎(水飛沫)

 

 ドスンッ!(船に落ちる)

 

 

 ヤドラン「ヤ〜ドッ」

 

 

 フリードが勢いよく釣り竿を振り上げると、やどかりポケモンの《ヤドラン》が釣れた。フリードに釣られたヤドランは鳴き声を上げると、船から飛び降りて海の中に戻っていった。すると、フリードは気力がなくなったのか、船の甲板に寝転がってしまう。

 

 

 フリード「なんもねぇ…じっちゃんは船があるからいいよな。どこにでも行けそうだ」

 

 ランドウ「お主にも翼があろう」

 

 フリード「コイツも最近こんな調子だからなぁ」

 

 リザードン「リザ〜〜(あくび)」

 

 フリード「あ〜ぁ、これからどうすっかねぇ?」

 

 

 ロトロトロト…ロトロトロト…(スマホロトムに着信が入る)

 

 スッ(電話の相手を確認する)

 

 

 フリード「んっ?」

 

 

 チャンプルタウン・宝食堂

 

 

 ガラガラッ(ドアを開ける)

 

 

 宝食堂の店員「いらっしゃいませ!お一人様でしょうか?」

 

 フリード「あ、いえ、先に来てると思うんですけど…」

 

 ルッカ「あっ、フリードくん!こっちこっち!」

 

 

 フリード(物足りない毎日に退屈をしていた俺は、ある日、俺の学生時代の担任だった《ルッカ先生》から連絡をもらって、先生に会いに宝食堂に行ったんだ)

 

 

 ルッカ先生「リザードン、大きくなったね」

 

 リザードン「リザァァァッ」

 

 フリード「まさか、先生がパルデア地方にいるとは思いませんでしたよ」

 

 ルッカ「結婚してから、カントーからパルデアに引っ越したの」

 

 フリード「じゃあ、学校の先生は退職されたんですか?」

 

 ルッカ「ううん。子育てが落ち着いたら復帰するつもりよ」

 

 フリード「親か…俺には想像もできないな」

 

 ルッカ「フリードくん、どうして会社を辞めちゃったの?ポケモン博士として、たくさんが研究できるってあんなに喜んでたじゃない」

 

 フリード「研究室にこもるってのは、俺の性に合いませんでしたから」

 

 ルッカ「だったら、外で好きに研究すればいいじゃない」

 

 フリード「十分やりましたよ。俺はね、天才ポケモン博士なんです。もうポケモンについて知らないことはないんですよ」

 

 ルッカ「…迷ってるのね」

 

 フリード「っ!…別に、晴れて自由の身になれたんですから、しばらくは気軽に暮らしますよ」

 

 ルッカ「…ねぇフリードくん。明日の朝、時間ある?」

 

 フリード「えっ?」

 

 ルッカ「今のきみに会ってほしい子がいるの」

 

 

 次の日の朝

 

 

 フリード「ねみぃ、こんな朝早くに誰と会おうってんだ」

 

 リザードン「リザァァァ〜〜(あくび)」

 

 

 ルッカ「おはよう!時間通りに来たわね」

 

 

 次の日の朝、リザードンに乗っているフリードは、ルッカと待ち合わせに決めた場所に向かっていた。時間通りに待ち合わせ場所に到着すると、そこにルッカが来ていたが、いるのはルッカだけだった。

 

 

 フリード「先生、俺に会ってほしい子って誰ですか?」

 

 ルッカ「ほら、あそこを見て」

 

 フリード「…あれは…」

 

 

 ルッカが海岸添えに生えている一本の巨大な樹木の下の方を指差すと、フリードはそこに目を向けた。するとそこには、尻尾がギザギザで赤い頬袋をしている体が黄色いポケモンがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 野生のピカチュウ「zzz〜zzz〜(ー ー;)」

 

 

 フリード「あれって、《ピカチュウ》じゃないですか」

 

 ルッカ「あの子、最近この辺りで有名なの」

 

 フリード「もしかして、俺に合わせたい子って、あのピカチュウですか?」

 

 ルッカ「そうよ」

 

 フリード「ルッカ先生。悪いんですけど、ピカチュウのことなら俺は知り尽くしてる。生態も特徴も、使える技も全部。だから今更…」

 

 ルッカ「見てればわかるわ」

 

 フリード「えっ」

 

 リザードン「リザッ、リザリザ!」

 

 フリード「どうしたリザードン?」

 

 

 フリードはピカチュウのことに関しては知り尽くしていたため、今更ピカチュウを見てもと思っていた。すると、ピカチュウを見ていたリザードンが急に慌て出したので、フリードはピカチュウに目を向けた。ピカチュウはいつの間にか寝ていた樹木の根元から出てきており、走りながら電気を身に纏い始めると、円を描くように周りを走り出した。すると、黒い巨大な竜巻が空高く舞い上がり、竜巻が晴れると、そこには宙を浮かぶピカチュウの姿があった。それを目にしたフリードは驚いていたが、ルッカは微笑んでいた。

 

 

 フリード「嘘だろ!」

 

 リザードン「リザァァァッ…」

 

 ルッカ「驚いた?あの子、《空飛ぶピカチュウ》なの」

 

 フリード「空飛ぶピカチュウ……アイツ、面白い!」ダッ!

 

 

 ピカチュウが空を飛ぶところを初めて見たフリードは、ポケモン博士としての火がついたのか、その場からピカチュウの元に走り出した。

 

 

 樹木の根元

 

 

 野生のピカチュウ「ピカ…ピ…」

 

 

 空を飛んだピカチュウはさっきまで寝ていた樹木の根元に戻ると、再び眠りにつこうとした。すると、そこにリザードンを連れたフリードがやってきて、

ピカチュウに話しかけた。

 

 

 フリード「よう。空を飛べるなんて、お前すごいピカチュウだな」

 

 野生のピカチュウ「ピカ?」

 

 フリード「俺はフリード。こう見えて、天才ポケモン博士なんだぜ」

 

 野生のピカチュウ「…」

 

 フリード「お前が空を飛んだところを見て興味が湧いたんだ。良ければ、お前を研究させてくれないか?」

 

 野生のピカチュウ「ピッカァァァッ‼︎」

 

 

 ドォォォォン‼︎

 

 

 フリード「うっ⁉︎」

 

 

 ピカチュウの目の前にやってきたフリードは、ピカチュウに研究させてほしいと頼んだが、ピカチュウはフリードの腹に向かって思いっきり体当たりをすると、勢いよくフリードを突き飛ばした。

 

 

 野生のピカチュウ「ピッ」プイッ(顔をそらす)

 

 フリード「て…手厳しいな」

 

 ルッカ「大変!」ダッ!

 

 フリード「大丈夫ですよ。こんなの大したこと…」

 

 

 ヒュゥゥゥ(フリードのいる所を通り過ぎる)

 

 

 フリード「えっ?」

 

 ルッカ「あなた怪我してるじゃない。大丈夫?」

 

 フリード「って、ピカチュウの心配かよ!」

 

 

 ルッカは怪我をしているピカチュウに駆け寄ると、傷薬をかけて手当てを行った。よく見れば、ピカチュウは全身がボロボロだった。

 

 

 フリード「その傷、もしかして…」

 

 野生のピカチュウ「ピカッピカッ!」

 

 

 ルッカに傷薬をかけてもらうと、ピカチュウはどこかに走り去ってしまった。

 

 

 フリード「こんなことで、俺は諦めないぞ。早速ピカチュウの研究開始だ!」

 

 

 それからフリードは、毎日ピカチュウの観察を始めた。仲を深めるために声をかけたり一緒に走ったりして、お腹を空かしているピカチュウにお近づきのしるしにと、リザードンと一緒に取ってきたきのみをあげたりして、ピカチュウに好き嫌いがあるかどうかも確認した。それでも野生のピカチュウは、フリードに心を開かなかった。しかしフリードは、来る日も来る日もピカチュウの観察を続けた。そして、ピカチュウの観察を続けていくうちに、色々とわかってきたことがあった。

 

 

 フリード「数日ピカチュウを観察してわかったのは、アイツは体が軽くて、足の力もハンパない。だからあんなに早く走れる。そして、それを活かした『ボルテッカー』に空を飛べる秘訣があった。電気を体に帯びて突進するこの技を使って周りをぐるぐる走り回ることで、エネルギーの渦を発生させる。そして、アイツは鍛え上げた自分の尻尾をバネにして飛び上がり、発生させた渦の中を一気に上昇する。これが、アイツが“空飛ぶピカチュウ”と呼ばれる理由だ。そして、上空で尻尾をはためかせることで、少しの間なら浮遊ができる。…それにしても、アイツはすごい」

 

 リザードン「ザァァッ?」

 

 フリード「きっとアイツは、何回も失敗しても諦めずに、チャレンジを続けたんだろうな。それに比べて俺は…なにが天才ポケモン博士だ。ポケモンのこと、まだ全然わかっちゃいなかった」

 

 

 それからもフリードは、ピカチュウの観察を続けた。その理由は、もう一つ気になることがあったからだ。……それは、ピカチュウが空を飛ぶ理由だった。

 

 

 ピカチュウが空を飛ぶ時間帯は、決まって1日1回、夜が明けて朝日が昇る時だけだった。使えば反動でダメージを受ける「ボルテッカー」を使ってまで、なぜピカチュウは空を飛び続けるのか、ポケモン博士として、一人のポケモントレーナーとして、フリードはそれが知りたがっていた。そしてある日、フリードはいつものように観察用のカメラを用意しようとしたが、途中でやめてしまう。

 

 

 フリード「…やめた」

 

 リザードン「リザッ?」

 

 フリード「観察にデータ分析。これを続けていても、ピカチュウの気持ちはわからない。だったら動くしかない!リザードン!頼む!」

 

 リザードン「リザァァァァッ‼︎」

 

 

 リザードンは雄叫びを上げると、フリードを乗せてピカチュウの所に向かって飛び始めた。同時に夜が明けて朝日が昇り始めると、ピカチュウもいつものように「ボルテッカー」を発動して周りを走り始めた。そして、エネルギーの渦を発生させ、尻尾をバネにして高く飛び上がると、エネルギーの渦の中を勢いよく駆け上がっていった。

 

 

 フリード「もっと高く!もっと高く!俺たちも昇るんだ!リザードン!」

 

 リザードン「リザァァァァァァァァッ‼︎」

 

 

 ピカチュウ「ピカピカピカピカピカピカ、ピカピカピッカァァァァッ‼︎」

 

 

 リザードンはピカチュウの後を、渦の外から全速力で飛んで追いかけた。そして、ピカチュウと同じ高さにまで昇りきると…

 

 

 フリード「すげえ…俺たち、太陽よりも高い場所にいるぞ」

 

 野生のピカチュウ「ピカァァ〜ッ」

 

 フリード「この景色が見たくて、ピカチュウは空を飛んでいたのか」

 

 

 フリードとリザードン。そして、野生のピカチュウが太陽より高い場所から見ている今の景色は、昇ってきた太陽がパルデア地方の海を眩く照らし出す美しい景色だった。ピカチュウが1日1回、朝日が昇ってきたタイミングで「ボルテッカー」を発動し、反動でダメージを受けてまで空を飛んでいた理由は、この美しい景色を見るためだったのだ。

 

 

 フリード「ピカチュウ!お前、サイコーだな!」グッ(親指を立てる)

 

 野生のピカチュウ「ピカチュー!」グッ(親指を立てる)

 

 フリード「…ところでお前、尻尾は?」

 

 野生のピカチュウ「ピカ?」

 

 

 ピカチュウは景色を見るのに夢中になっていて、空で尻尾をはためかせて浮遊することを忘れていたので、そのまま地面に落ちていってしまう。

 

 

 野生のピカチュウ「ピー、カー、チューッ‼︎(涙)」

 

 

 フリード「まずい!リザードン!」

 

 リザードン「リザァァァッ!」

 

 

 ビュン!(ピカチュウの元に急ぐ)

 

 

 野生のピカチュウ「ピッカチュ…ピッカ…ピカ?」

 

 フリード「危ないところだったな」

 

 

 フリードの指示を受けたリザードンが落下したピカチュウの元に急ぐと、フリードは地面に当たる擦れ擦れのところでピカチュウを掴んで助けた。そして、リザードンが地面に着地すると、フリードとピカチュウはリザードンから降りた。

 

 

 フリード「ピカチュウ」

 

 野生のピカチュウ「ピカ?」

 

 フリード「お前は俺たちに、見たことのない景色を見せてくれた。空飛ぶピカチュウか。世界は広いな。まだまだ俺の知らないことがたくさんある。ピカチュウ、俺と一緒に来ないか?太陽よりも高く昇って、世界中を見て回ろう!」

 

 野生のピカチュウ「……ピッカッ!」

 

 

 フリードの言葉を聞いたピカチュウは、フリードが前に出した右手に尻尾でハイタッチした。そして、フリードはピカチュウをゲットすると、新たな未来に向かって動き出した。

 

 

 パルデア地方・マリナードタウン

 

 

 フリード「じっちゃん、頼みがある」

 

 ランドウ「ん?」

 

 フリード「アサギ号を、俺に預けてくれないか」

 

 ランドウ「…お主、よき出会いに恵まれたな」

 

 ピカチュウ「ピカチュゥゥ」

 

 フリード「ああ」

 

 

 ホウエン地方・オリオが働いてる仕事場

 

 

 オリオ「いきなり呼び出して何なの?こっちは仕事中なんだけど?」

 

 フリード「オリオ、お前の腕を見込んでのお願いだ。このアサギ号を、世界一の飛行船に改造してくれ!」

 

 ランドウ「うむ、うむ、えっ?」

 

 オリオ「…アンタ、馬鹿なの?」

 

 フリード「出来るのか?」ニッ(笑みを浮かべる)

 

 オリオ「……やったろうじゃんw!」

 

 

 フリードは、ランドウにアサギ号を預けてほしいと頼んだあとに、幼馴染のオリオに連絡を取ると、急いでホウエン地方に向かった。そして、久しぶりに再会したオリオに、アサギ号を世界一の飛行船に改造してほしいと頼んだ。最初はバカだと呆れたオリオだったが、フリードに出来るのかと言われたことで心に火がついたオリオは、フリードの喜んで依頼を引き受けた。そして、数日後にオリオが作った飛行船が完成すると、それを見たフリードとピカチュウは驚いていた。

 

 

 フリード「すっ…す…すげえ〜っ‼︎」

 

 ピカチュウ「ピィカァ〜!」

 

 フリード「なんて勇敢な姿だ。名付けるなら、そう、《ブレイブアサギ号》だ!」

 

 オリオ「アンタ、昔からネーミングセンスないわよね」

 

 フリード「どうだピカチュウ?これなら世界のどこにでも行けるぞ」

 

 ピカチュウ「ピカピカ」

 

 フリード「さすがオリオ。最高のメカニックだ!ありがとう…」

 

 

 スッ(オリオが右手を前に出す)

 

 

 フリード「って、んっ?」

 

 オリオ「船のお代」

 

 フリード「あ⁉︎これから少しずつ、ちゃんと払うさ」

 

 オリオ「…は、いらない。その代わり、私も船に乗せて」

 

 フリード「え?」

 

 オリオ「船のメンテナンスをやる人が必要でしょ?それに、今の仕事に退屈してたんだ」

 

 フリード「整備士か、いいね!それらしくなってきた!」

 

 オリオ「それで、この船の船長はフリードなの?」

 

 フリード「いや、俺じゃない」

 

 

 スッ(帽子を取り出す)

 

 ポンッ(帽子をピカチュウに被せる)

 

 

 ピカチュウ「ピカ?」

 

 フリード「ピカチュウ、お前がブレイブアサギ号のキャプテンになってくれ。今日からお前は《キャプテンピカチュウ》だ!」

 

 キャプテンピカチュウ「ピカチュー!」

 

 フリード「お前が『ボルテッカー』でライジングしたように、どこまでも高く飛んでいこう!今日から俺たちは、チーム《ライジングボルテッカーズ》だ!」

 

 キャプテンピカチュウ「ピカピッカ!」

 

 フリード「さぁキャップ。いざ、出航だ!」

 

 キャプテンピカチュウ「ピッカァァチュ!」

 

 

 ミーティングルーム

 

 

 フリード「これが、俺とキャップの出会い。そして、《ライジングボルテッカーズ》が誕生した話であり、俺たちライジングボルテッカーズの、ブレイブアサギ号で世界を自由に巡りながら、ポケモンの謎を追いかける冒険の旅が始まったんだ」

 

 キャプテンピカチュウ「ピカピカ」

 

 フリード以外の全員「「「おぉ〜!」」」

 

 

 パチパチッ(シンヤたちが拍手する音)

 

 

 リコ「お…、おお…」

 

 フリード「どうしたリコ?そんなに感動した…」

 

 リコ「お母さんがフリードの先生だったの⁉︎」

 

 

 ズコッ(フリードがコケる)

 

 

 フリード「そこかよ!」

 

 モリー「言ってないことだらけ」

 

 マードック「だな」

 

 フリード「リコ。ルッカ先生がいなかったら、俺とキャップは出会ってなかった。お前のお母さんは、俺とキャップの恩人なんだ」

 

 キャプテンピカチュウ「ピカッ!」

 

 

 ブレイブアサギ・展望室の前

 

 

 リコ「まさか、フリードとキャップの出会いに、お母さんが関係あったなんて…」

 

 ニャオハ「ニャァァッ」

 

 シンヤ「そりゃ驚くよな。自分のお母さんが、ライジングボルテッカーズ結成の立役者だったなんて」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 

 フリードとキャップの出会いの話を聞いたあと、リコはシンヤとピカチュウとニャオハと一緒にブレイブアサギ号の展望室の扉の前に来ていた。すると、展望室のドアが開き、中から相棒ポケモンを抱っこしているロイとドットがやってきた。

 

 

 ロイ「リコ、シンヤ」

 

 シンヤ「ロイ、ドット」

 

 ドット「撮った動画の編集が終わったけど、どうする?」

 

 クワッス「クワッ!」

 

 リコ「うん、公開はしないかな」

 

 ロイ「だよね。フリードとキャップの絆、痺れたなぁ!僕も、ホゲータともっと仲良くなるぞ!」

 

 ホゲータ「ホンゲホンゲ!」

 

 リコ「私、自分がここにいる意味がやっとわかった」

 

 ドット「えっ?」

 

 リコ「お母さんがいたから、フリードとキャップは出会って、ライジングボルテッカーズが、私と出会って、ロイやドットたちにも出会えて、友達になれた。それに、シンヤとも出会えて、こ…恋人になれたし…///」

 

 シンヤ「…フッw、そうだな。一つ一つの出会いが繋がって、それが俺たちの出会いに繋がったんだよな」

 

 ピカチュウ「ピカッピカチュウ!」

 

 リコ「うん。今度お母さんに会ったら、ニャオハのこと、いっぱい話したいな!」

 

 ニャオハ「ニャオハッ!」

 

 シンヤ「おっ、見えてきたぞ!」

 

 ドット「あれが…」

 

 リコ「《ガラル地方》」

 

 

 パルデア地方を出発してから数日後、ついにブレイブアサギ号は、目的地のガラル地方に到着した。果たしてガラル地方では、どんな冒険が始まるのだろうか。

 

 

 To be continued

 

 

 次回予告

 

 

 ガラル地方の《エンジンシティ》にやってきたシンヤたちは、ドットの頼みでバトルカフェへと向かった。そこでマードックの知り合いの《ミッチェル》という男性に出会ったのだが、なにやら2人は険悪な雰囲気の様子で…

 

 

 次回「マードックとマホイップの思い!」

 

 

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