ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり   作:通りすがりのポケモントレーナー

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 パルデア地方を出発してから数日経った頃、シンヤたちを乗せたブレイブアサギ号は、リコの祖母がいるガラル地方に到着し、エンジンシティの上空を飛んでいた。





第19話『マードックとマホイップの思い!』

  

 エンジンシティ・上空

 

 

 ロイ「うわぁ〜!でっかい機械と歯車!かっこいい!」

 

 ホゲータ「ホゲゲェェッ!」

 

 リコ「シューって出てる白いのは蒸気かな?」

 

 シンヤ「ああ。このエンジンシティは、機械や歯車が多いのが特徴の街だからな」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 ロイ「シンヤはここに来たことあるの?」

 

 シンヤ「ああ、ジム戦をするためにな」

 

 

 ガチャ(展望室の扉が開く)

 

 

 フリード「お前らここにいたのか」

 

 マードック「よぉ」

 

 シンヤ「フリード、マードックも」

 

 リコ「どうしたの?」

 

 

 シンヤたちが展望室の近くでエンジンシティを眺めながら話をしていると、キャップを肩に乗せているフリードとマホイップを肩に乗せているマードックが展望室からやってきた。

 

 

 マードック「コーヒーを飲まないかと思って持ってきたんだ」

 

 リコ「あっ、ありがとう」

 

 ロイ「飲みたいけど、コーヒーって苦いんだよな」

 

 シンヤ「俺は飲めなくはないけど、苦すぎるのは無理だな」

 

 マードック「そう言うと思った。マホイップ、頼む」

 

 マホイップ「イップゥゥゥゥッ!」

 

 

 マホイップは両手から生クリームを出すと、それをシンヤたち3人のコーヒーカップに入れて綺麗にデコレーションした。

 

 

 マードック「マードック特製、《ホイップコーヒー》だ」

 

 

 ズズッ(コーヒーを飲む音)

 

 

 ドット「激甘じゃん、これ」

 

 シンヤ「ドット、いつの間にそこに居たんだ?」

 

 マードック「甘すぎたか?」

 

 ドット「別に」

 

 

 ズズッ(シンヤたちがコーヒーを飲む)

 

 

 ロイ「美味しい!」

 

 シンヤ「コーヒーも甘くなってちょうどいいな」

 

 リコ「うん、飲みやすいね」

 

 マードック「そうだろ。マホイップの生クリームは最高だからなぁ」

 

 マホイップ「マッホッ!」

 

 フリード「さぁて、それを飲んだら準備してくれ」

 

 リコ「準備?」

 

 ロイ「って、なんの?」

 

 フリード「エンジンシティからは、船を降りてナックルシティに向かう…って、言ってなかったか?」

 

 リコ・ロイ・マードック「「「聞いてないよ!」」」

 

 シンヤ(おいおい、また肝心なことを言い忘れてるよ)

 

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 ロイ「でも、わざわざ船を降りなくても、この船で行けばいいんじゃ?」

 

 シンヤ「ブレイブアサギ号で行ったら目立つし、エクスプローラーズに見つかる可能性があるだろ」

 

 フリード「そうだ。ブレイブアサギ号は目立つ。このまま空を飛んで、エクスプローラーズに見つかったりしたら、奴らをリコのお婆さんのところまで案内することになるからな」

 

 

 というわけで、ブレイブアサギ号がエンジンシティから少し離れたところに着陸すると、船を降りたシンヤたちは電車に乗ってナックルシティに向かおうとした。

 

 

 ロイ「早く電車に乗ろうよ!」

 

 フリード「そうしたいんだが。実は、さっきスマホロトムで電車の出る時間を調べたら、どうやら今日は車両整備をしていて、電車は運休しているらしいんだ」

 

 シンヤ「じゃあ、ナックルシティに行くのは?」

 

 フリード「明日だな」

 

 オリオ「だったら、私は船の部品を探しに行ってくるね!船になにかあった時のために、予備の部品を調達しておきたいし、エンジンシティはそういう品が充実してるんだ!ってことで、いってきま〜す!」

 

 

 オリオはそう言い残すと、メタグロスの頭に乗ってエンジンシティに行ってしまった。

 

 

 リコ「行っちゃった」

 

 フリード「お前たちも、今日は好きに過ごしていいぞ」

 

 シンヤ「って、急に言われてもな」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 リコ「それなら、エンジンシティの案内を頼んでもいい?」

 

 シンヤ「えっ?案内?」

 

 ロイ「うん。さっきシンヤ、前にここに来たことあるって言ってたでしょ?僕たちはエンジンシティに初めて来たから、どこに何があるのかわからないし」

 

 リコ「だから、シンヤにエンジンシティを案内してもらって、街を見て回りたいなって」

 

 シンヤ「じゃあ、今日はエンジンシティを見て回るか。俺が一緒なら、エクスプローラーズも迂闊に手を出せないだろうし」

 

 ロイ「やった!」

 

 リコ「ありがとう、シンヤ!」

 

 

 以前リコを一人にした結果、リコはスピネルのオーベムによって記憶を失ってしまい、ペンダントを奪われてしまった。それを考えると、なるべく自分がリコのそばにいた方が思ったシンヤは、リコのボディガードも兼ねて、エンジンシティの案内役を買って出ると、リコとロイを連れてエンジンシティに向かおうとした。すると、シンヤたちのいる所にマードックがやってきた。

 

 

 マードック「おっ、3人ともここにいたのか」

 

 リコ「マードック」

 

 シンヤ「どうした?」

 

 マードック「これから買い出しに行くから、一緒に行かないかと思ってな」

 

 シンヤ「買い出しって、もしかして食料か?」

 

 マードック「ああ。ガラル地方にしかない食材を見たいと思ってな」

 

 シンヤ「俺はいいけど、リコとロイもいいか?」

 

 リコ「もちろん!」

 

 ロイ「いいよ!」

 

 マードック「そっか、ありがとう!みんながうまい飯を食って喜んだ顔を想像すると、今から楽しみだよ」

 

 ロイ「僕はレックウザの情報を集めたいな」

 

 

 ロトロトロト…ロトロトロト…(マードックのスマホロトムに着信が入る)

 

 ピッ(電話に出る)

 

 

 マードック「ドット、どうした?」

 

 ドット『エンジンシティに行くなら、《バトルカフェ》に行ってきて』

 

 シンヤ「バトルカフェって、エンジンシティにある、スイーツが売ってる店だよな?」

 

 ドット『そう。そこで売ってる《ペロフワコットンキャンディ》を買ってきてほしいんだ』

 

 

 ドットからそう聞いたシンヤは、スマホロトムをタッチしてネットを開くと、バトルカフェで売っているというペロフワコットンキャンディを見つけた。

 

 

 リコ「ペロフワコットンキャンディって…」

 

 シンヤ「どう見ても綿あめだな…」

 

 ドット『そう。ペロッパフみたいなふわふわなコットンキャンディなんだ。ぐるみんの動画の小道具に使いたいから買ってきてほしい』

 

 リコ「えっ⁉︎ (✨∇✨)わぁ…。ぐるみんと綿あめか〜、絶対にかわいいよ!」

 

 シンヤ「リコ(T_T)……わかった。それは帰りに買ってくるよ」

 

 ドット『それに、カフェなら人もたくさんいるし、レックウザを見た人もいるんじゃない?』

 

 ロイ「確かに!」

 

 シンヤ「じゃあ、早速エンジンシティに行くか」

 

 

 こうして、リコとロイはシンヤにエンジンシティを案内してもらいながらマードックの買い出しを手伝うことになり、買い出しが終わったあと、ドットに頼まれたペロフワコットンキャンディ買うことになった。

 

 

 エンジンシティ・街中

 

 

 シンヤ「あれ?マードック、イワンコじゃなくてマホイップが一緒なんて珍しいな」

 

 マードック「イワンコなら、モリーのスペシャルブラッシングタイム中だから、今日は船で留守番してる」

 

 シンヤ「ああ、あれか。ピカチュウもやってもらったことあるけど、すごい気持ち良さそうな顔してたもんな」

 

 ピカチュウ「ピィカァッ!」

 

 リコ「フフッ、ピッカピカのサラッサラになっちゃうね」

 

 マードック「だな。ハハハ」

 

 

 シンヤたちは楽しくお喋りしながら、先に買い出しを済ませるために食品が売ってるお店に向かっていた。すると、リコはさっきから気になっていることをシンヤに聞いた。

 

 

 リコ「ねぇシンヤ、なんで《サングラス》をかけてるの?」

 

 シンヤ「ああ、これか。気にすんな。ただのイメチェンだ」

 

 ロイ「シンヤがサングラスをかけてるなんて珍しいね」

 

 

 プシューーー(蒸気の出る音)

 

 

 リコ・ロイ「「わっ!」」

 

 

 シンヤたちがエンジンシティの街中を進んでいると、目の前に巨大な歯車がある所にやってきた。すると、その歯車から蒸気が出てきたので、リコとロイはその音にびっくりしていた。

 

 

 ロイ「何これ?」

 

 シンヤ「エレベーターだよ。これで上に行けるんだ」

 

 マードック「さあ、乗るぞ」

 

 リコ「うん」

 

 

 シンヤが誰も乗っていないエレベーターに先に乗り込むと、リコたちも後に続いてエレベーターに乗った。

 

 

 シンヤ「上にまいりま〜す、ってな」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 

 カチッ(ボタンを押す音)

 

 

 シンヤがエレベーターに設置されているボタンを押すと、歯車がゆっくり回ってエレベーターが上にあがり始めた。

 

 

 ニャオハ「ニャオハッ!」

 

 リコ「わっ!」

 

 シンヤ「おっと、大丈夫か?」

 

 リコ「ご、ごめん!バランスを崩しちゃって」

 

 

 エレベーターが動き出すと、ニャオハはリコに飛びつき、リコはよろけてシンヤの方に倒れてしまうが、シンヤはリコの両肩を掴んでリコを受け止めた。そして、エレベーターが半周すると、シンヤたちはエレベーターを降りた。そのあと、シンヤとリコはマードックの買い出しの手伝いをして、ロイは黒いレックウザのことを街にいる人たちに聞いて回った。街の中には《ガラルマタドガス》や《ホシガリス》というガラル地方に生息するポケモンたちでいっぱいだったので、リコとロイは目をキラキラさせながらガラル地方のポケモンたちを見ていた。

 

 

 シンヤ「マードック、買い出しは終わった?」

 

 マードック「おう。あとはドットに頼まれた綿あめだけだ」

 

 シンヤ「じゃあ、昼飯はバトルハウスで済ませて、綿あめを買って船に戻ろう」

 

 マードック「そうだな。ロイは黒いレックウザの情報を聞けたのか?」

 

 ロイ「レックウザを見た人はいなかったけど、ジムリーダーの《カブ》さんなら何か知ってるんじゃないかって教えてもらったんだ。レックウザはホウエン地方の伝承に出てくるポケモンだし、カブさんはホウエン地方の出身らしいから」

 

 シンヤ(へぇ〜、カブさんはホウエン地方の出身だったんだ)…「じゃあ昼飯を食べたら、ジムのある《エンジンスタジアム》に案内するよ」

 

 ロイ「本当!ありがとう!」

 

 ホゲータ「ホォォゲェェッ!」

 

 

 食料の買い出しが終わったあと、シンヤたちはドットに買ってくるよう頼まれた“ペロフワコットンキャンディ”が売っているバトルカフェに向かっていた。そして、シンヤたちはバトルカフェに到着すると、テラス席の椅子に座ってメニュー表を見ていた。

 

 

 バトルカフェ・テラス席

 

 

 シンヤ「さ〜て、何を頼もうかな?」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 リコ「ご飯を食べる時ぐらいサングラスを外したら?」

 

 シンヤ「船に戻るまで無理だ」

 

 リコ「何で?」

 

 シンヤ「色々と事情があるんだよ」

 

 マードック「おすすめはカレーか」

 

 シンヤ「あれ?ペロフワコットンキャンディがメニューに載ってないな」

 

 

 ゾウドウのトレーナー『いけ!ゾウドウ!』

 

 

 シンヤ「ん?店内でポケモンバトルをしてるのか?」

 

 ピカチュウ「ピィカッ」

 

 

 バトルカフェに着いたシンヤたちは、メニュー表を見て何を頼もうかと考えていると、ペロフワコットンキャンディがメニュー表に載っていないことに気づいた。すると、右隣から大きな声が聞こえてきたので、シンヤたちが声の聞こえてきた右の方に顔を向けると、隣にあるバトルフィールドでは2体のポケモンがバトルをしていた。バトルしているポケモンは、どうぞうポケモンの《ゾウドウ》と、しんせつポケモンの《バニプッチ》だった。すでにバトルは終わりそうになっていて、ゾウドウのトレーナーが「アイアンヘッド」を指示し、ゾウドウの攻撃がバニプッチに直撃すると、バニプッチはそのまま戦闘不能になり、バニプッチのトレーナーと思われるパティシエの男性がバトルフィールドの中に歩いてくると、自分のバニプッチを抱えてモンスターボールに戻した。

 

 

 マードック「あっ、あいつは…⁉︎」

 

 

 ???「う〜ん。このバトル、私の負けだな」

 

 ゾウドウのトレーナー「やりぃ!」

 

 ゾウドウ「バオーン!」

 

 ミッチェル「おいしさトレビアーンなバトルだった。バトルに勝ったお客様には、このミッチェル特製の《ペロフワコットンキャンディ》をプレゼントします!」

 

 ペロリーム「ペェェロッ」

 

 

 リコ「ねぇ、あのポケモンが持ってるのって…」

 

 シンヤ「ああ。ペロフワコットンキャンディだな」

 

 

 ミッチェルはペロリームからペロフワコットンキャンディを受け取ると、それをゾウドウのトレーナーに渡した。するとゾウドウのトレーナーは、ゾウドウと一緒にペロフワコットンキャンディを美味しく食べ始めた。

 

 

 シンヤ「あのミッチェルって人、本気でバトルしてないな」

 

 リコ「えっ?」

 

 ロイ「わかるの?」

 

 シンヤ「バニプッチの動きを見てたらわかる。でも、あの《ペロリーム》はレベルが高いし、よく育てられてる。もしバトルしてたのがあのペロリームだったら、ゾウドウが負けてる可能性があったな」

 

 リコ「じゃああの人、わざとバトルに負けたってこと?」

 

 ロイ「なんでわざと負ける必要があるの?」

 

 シンヤ「それは俺にもわからないけど」

 

 

 ミッチェル「さぁ!次はどなたが挑戦いたしますか?ここはバトルカフェ!このペロフワコットンキャンディを手に入れたければ、このミッチェルにバトルを挑み、そして勝利することが条件ですよ!」

 

 

 シンヤ「あの綿あめは、あの人とのバトルに勝てば貰えるのか」

 

 リコ「でも、チャレンジできるのは1日に一度だけってネットに載ってる」

 

 ロイ「チャンスは1回か」

 

 シンヤ「じゃあ、誰がバトルするか決めよう。マードック、どうする?」

 

 マードック「…」

 

 ロイ「マードック?」

 

 マードック「えっ?あぁ、すまん。何か言ったか?」

 

 

 シンヤとリコとロイの3人は、誰がミッチェルとポケモンバトルをしてペロフワコットンキャンディを手に入れるかとマードックに声をかけたが、マードックはさっきからミッチェルを見ていたのでシンヤたちの話を聞いていなかったようだ。

 

 

 シンヤ「どうかしたのか?さっきから、あの店員さんばかり見てるぞ」

 

 マードック「き、気のせいだろ…」

 

 シンヤ「もしかしてマードック、あの人と知り合いなのか?」

 

 マードック「い、いや、別に…」

 

 

 スッ(背後からミッチェルが現れる)

 

 

 ミッチェル「お〜や、おやおや、そこにいるのはマードックじゃないか」

 

 マードック「ミッチェル…」

 

 シンヤ「やっぱり、マードックの知り合いだったのか」

 

 ロイ「えっ、そうなの?」

 マホイップ「マッホッ!」

 

 ミッチェル「!マホイップ…」

 

 

 突然ミッチェルがマードックの後ろにやってくると、マードックの肩に乗っていたマホイップがミッチェルに声をかけた。すると、ミッチェルは一瞬動揺した。

 

 

 ミッチェル「…マードック、こんなところで何してるんだい?」

 

 マードック「姪っ子に、ここのペロフワコットンキャンディを買ってきてほしいと頼まれて、それで来ただけだ」

 

 ミッチェル「なるほどね。でも、私はきみとバトルするつもりはないよ」

 

 リコ・ロイ「「えっ⁉︎」」

 

 

 ミッチェルはマードックにそう言い残すと、店内に歩いていった。そのいきなりなことに、リコとロイは唖然としていた。

 

 

 シンヤ「やっぱりマードックは、あのミッチェルさんと知り合いだったんだな」

 

 マードック「……あぁ、そうだ。俺とマホイップとミッチェルは、パティシエ仲間だったんだ」

  

 シンヤ「パティシエ仲間だった?」

 

 ロイ「じゃあ、もう一度ミッチェルさんに頼みに行こうよ。そしたら…」

 

 マードック「嫌だ!」

 

 リコ・ロイ「「えっ!」」

 

 マードック「俺たちは仲間だった。だが、それはもう昔の話だ。今はもう、あいつと関わる気はないんだ!」

 

 リコ・ロイ「「えぇっ⁉︎」」

 

 シンヤ「マードック、仲間だったってどういう意味だ?」

 

 マードック「えっ?」

 

 シンヤ「昔、あの人と何があったんだ?俺たちで良ければ話しを聞くけど」

 

 

 ここまで声を荒げたマードックは見たことがなかったので、過去にミッチェルと何かあったことを察したシンヤは、過去にミッチェルと何があったのかをマードックから聞こうとした。

 

 

 マードック「ぁっ…」

 

 リコ「マードック、よかったら話してほしい。ミッチェルさんと何があったのか」

 

 マードック「……すまん、さっきは大人気ない言い方をしたな。フッ、どうもミッチェルのことになると、取り乱しちまってなぁ。…昔、マホイップがマホミルだった頃、俺とミッチェルは、小さなスイーツの店で一緒に働いてたんだ。マホミルはスイーツ店の看板ポケモンで、俺とミッチェルはパティシエ仲間でもあり、腕を競うライバルで、マホミルの生クリームを使ってよくケーキを作ってたんだ。けどある日、マホミルがマホイップに進化したんだ」

 

 シンヤ「もしかして、マードックとミッチェルさんの仲が悪くなった原因って、マホミルが《ルビーミックス》のマホイップに進化したからか?」

 

 マードック「あぁ、半分はそうだ。ルビーミックスのマホイップが出す生クリームは、俺の作るルビーケーキと相性が良くて、俺のケーキはたくさん売れるようになった。反対に、ミッチェルのケーキは俺の半分も売れ残るようになったんだ。それから何日か経った仕事が終わったある日の夜、店の片付けをしていた俺とミッチェルは、一息ついてお菓子を食べていたんだが、そのお菓子にマホイップが生クリームを乗せてくれたんだ。そしてマホイップが、ミッチェルに生クリームを乗せたお菓子を渡そうとしたんだが、ミッチェルはそれを食べなかった」

 

 リコ「それが原因なの?」

 

 マードック「いや…そのあと、もう一度マホイップがお菓子を渡そうとしたんだが、ミッチェルがいらないと手を出して、お菓子を地面に落としたんだ」

 

 シンヤ「それって、わざと手を出してお菓子を落としたってことか?」

 

 マードック「いや、わざとじゃない。咄嗟に手が出たんだろう。だけど、スイーツを粗末にするやつにパティシエを名乗る資格はない。俺はそう言ってミッチェルに怒って、マホイップを連れて店を出たんだ」

 

 リコ「そんなことが…」

 

 マードック「あぁ…きっとミッチェルは、マホミルに《ミルキィ抹茶》に進化してほしかったんだろうなぁ。今ならわかるんだ、あいつの気持ちが。だけど、あんな喧嘩をしたあとで、今更あいつになんて言えばいいのかわからないんだ。どうしたら、またあいつと…なんて、いつまでも悩み続けてる。ハハ」

 

 リコ(知らなかった。優しくて、みんなに頼られてて…ずっとずっと、大人だと思ってたマードックにも、こんな悩みがあったんだ)

 

 マードック「悪いな。こんな話を聞かせて」

 

 シンヤ「いや、話を聞きたいと言ったのは俺とリコだから」

 

 リコ「うん。話してくれてありがとう…ん?」

 

 

 マードックにこんな重い過去があるなんて知らなかったので、話を聞いたシンヤとリコとロイは、マードックにかける言葉が見つからずに困惑してしまう。するとリコは、後ろから誰かがこっちを見ている気配に気づいた。

 

 

 シンヤ「んっ?どうしたリコ?…あっ」

 ピカチュウ「ピッ?」

 

 

 店内

 

 

 ミッチェル「あっ…」タッ!

 

 

 シンヤたちを見ていた気配の正体はミッチェルだった。ミッチェルはシンヤとピカチュウとリコに見られていることに気づくと、慌てて店内の奥に去っていった。

 

 

 ボソッ(小声で話す)

 

 

 リコ『ミッチェルさん、今こっちを見てたよね?』

 

 シンヤ『ああ。多分、マードックとマホイップを見てたんじゃないか?』

 

 リコ『だよね』…(もしかしてミッチェルさん…)…「マードック」

 

 マードック「うん?」

 

 リコ「もう一度、ミッチェルさんにバトルを申しこみに行こう」

 

 マードック「えっ?リコ、さっきの俺の話を聞いてたよな?」

 

 シンヤ「リコには、何かいい考えがあるんだろう。それにマードックだって、ミッチェルさんと仲直りしたいんだろう?」

 

 マードック「それは…」

 

 ロイ「そうだよ!行こうよマードック!」

 

 マードック「…」

 

 リコ(いっ、言っちゃった///でも、でも、でも、このままじゃいけない気がしたから!)

 

 

 ミッチェルがマードックとマホイップを見ていたことで、ミッチェルが何を考えているか察したリコは、マードックを連れて店の中にいるミッチェルの元に向かうと、ミッチェルにバトルを申し込んだ。

 

 

 店内

 

 

 リコ「お願いします!マードックと私と、ダブルバトルをしてください!」ペコッ(頭を下げる)

 

 ミッチェル「…」

 

 ロイ「ほら、マードックも」

 

 シンヤ「リコだけに頭を下げさせるのか?それにドットのためにもさ」

 

 マードック「……頼む」スッ(頭を下げる)

 

 リコ「お願いします!」

 

 ミッチェル「…ふぅ、レディーにそこまで頼まれたら断れませんね。いいですよ。バトルを受けても」

 

 リコ「わぁw、ありがとうございます!」

 

 ミッチェル「ですが。私、強いですよ」

 

 ロイ「さっきは負けてたのに?」

 

 ミッチェル「午前のバトルはお客様へのサービスです」

 

 シンヤ(だと思った)

 

 リコ(すごい。シンヤの言ったこと当たってる)

 

 ミッチェル「それに、マードックが相手なら、このバトル負ける気がしません」

 

 マードック「それはどうかな」

 

 ミッチェル「泣きますよきみたち」

 

 マードック「泣かせてみろ」

 

 シンヤ(おいおい、仲直りしたいんじゃねえのかよ)…「とにかく任せたぞ、リコ」

 

 リコ「うん!マホイップのためにも頑張るよ!」

 

 ロイ「マホイップのため?」

 

 

 こうして、“ペロフワコットンキャンディ”を賭けた、リコとマードック対ミッチェルの変則バトルをすることが決まると、リコたちはバトルフィールドのトレーナーゾーンに向かった。そして、リコがニャオハ、マードックがマホイップ、ミッチェルがホイップポケモンのペロリーム。そして、りんごじるポケモンの《タルップル》を繰り出すと、リコたちのポケモンバトルを見ようとバトルカフェに来ていた人たちがテラスに集まってきた。

 

 

 バトルカフェ・バトルフィールド

 

 

 ミッチェル「トレビアーンでいきなさい!ペロリーム!『わたほうし』!」

 

 ペロリーム「ペェェェロッ!」

 

 

 リコ「ニャオハ!避けて!」

 

 マードック「マホイップ、気をつけろ!」

 

 

 最初の攻撃はミッチェルから始まり、ペロリームはふわふわのわたを取り出してニャオハを攻撃した。ニャオハが周りに浮かんでいる「わたほうし」を見ていると、そのまま「わたほうし」に捕まってしまい、体をわたに包まれてしまう。

 

 

 リコ「ニャオハ!」

 

 

 シンヤ「わたに捕まったか!」

 

 ピカチュウ「ピカッ!」

 

 

 ミッチェル「タルップル!ニャオハに『りんごさん』!」

 

 タルップル「タプッ、タァァァプゥゥッ!」

 

 

 ダァァン‼︎

 

 

 ニャオハ「ニャァァァッ⁉︎」

 

 

 ミッチェル「マホイップにもだ!」

 

 マードック「マホイップ!『とける』だ!」

 

 

 ニャオハがわたに捕まって身動きが取れなくなると、タルップルが「りんごさん」でニャオハを攻撃してきた。ニャオハに「りんごさん」が命中すると、今度はマホイップを狙ってきたので、マホイップは「とける」を発動すると、体を回転させてタルップルの「りんごさん」を耐え切り、ニャオハの体を包んでいるわたを取り除いた。

 

 

 ニャオハ「ニャオハ!」

 

 マホイップ「マホッ!」

 

 

 ロイ「すごいぞマホイップ!」

 

 ホゲータ「ホォォォゲッ!」

 

 シンヤ「ナイスアシスト!」

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 

 リコ「ありがとう、マードック!」

 

 マードック「今度はこっちの番だ。マホイップ!『デコレーション』!」

 

 マホイップ「マッホッ!」

 

 

 マホイップは生クリームを両手から作り出すと、それをニャオハの頭の上に乗せて巨大な生クリームの塊を作り出した。

 

 

 ロイ「うわっ、テラスタルみたい!」

 

 シンヤ「いや、アイスクリームだろ」

 

 

 マードック「リコ、今だ!」

 

 リコ「うん!ニャオハ!『ひっかく』!」

 

 ニャオハ「ニャァァァッ、ハッ、ハッ!」

 

 

 マホイップの「デコレーション」の効果で、ニャオハの「こうげき」と「とくこう」が2段階上がり、ニャオハが「ひっかく」でペロリームとタルップルの2体に同時に攻撃をすると、ペロリームとタルップルに大きなダメージを与えた。

 

 

 ミッチェル「なかなかやりますね。ですが、負けません!おいしさ、トレビアーン!」

 

 

 スッ(ミッチェルがボールと泡立て器を構える)

 

 

 リコ「えっ⁉︎」

 

 

 シンヤ「ボールと…泡立て器?」

 

 ロイ「なんで、バトル中にあんなものを出すの?」

 

 

 マードック「やりやがったな、ミッチェル!だったらこっちも…俺たちの味をとくと味わえ!」

 

 

 スッ(マードックがボールを構える)

 

 

 リコ「味わう?」

 

 

 ロイ「2人とも、何をする気?」

 

 シンヤ「まさかあの2人、バトル中にケーキを作る気か?」

 

 

 マードックとミッチェルは、ペロフワコットンキャンディを賭けたポケモンバトルをしている途中に、互いにボールと泡立て器を取り出した。そして、マードックはマホイップに生クリームを、ミッチェルはペロリームに「わたほうし」を、タルップルには「りんごさん」をボールに注ぎ込んでもらうと、それを泡立ててケーキ作りを始めた。

 

 

 ロイ「ポケモンバトルが…」

 

 リコ「スイーツバトルになっちゃった?」

 

 ニャオハ「ニャオハッ! (✨∇✨))

 

 シンヤ「けど、2人ともいい顔してるよ」

 

 ピカチュウ「ピッカッ!」 

 

 マードック「リコ!いい感じにケーキにデコレーションしてくれ!」

 

 リコ「えっ?デコレーションって…あっ、ニャオハ、ケーキに『このは』!」

 

 ニャオハ「ニャァァァオッ、ハァァァッ!」

 

 

 ケーキ作り始めたミッチェルとマードックは、さっきまで喧嘩をしていたことなど忘れて、互いにケーキ作りを楽しんでいた。しかし、ケーキ作りを楽しんでいたのは、マホイップやペロリームにタルップルも同じだった。そして、マードックにデコレーションを頼まれたリコは、ニャオハに「このは」の指示を出した。そして、ニャオハの放った「このは」がマードックの作ったケーキを包み込むと、マードックとミッチェルの作ったケーキが完成した。

 

 

 ミッチェル「見た目も香りもトレビアーン!」

 

 シンヤ「ニャオハの『このは』の匂いつきケーキか。いい匂いだ」

 

 ピカチュウ「ピッカッ!」

 

 

 マードックとミッチェルは、互いにたくさんのケーキを作り終えると体力が無くなってしまったのか、その場に座り込んでしまう。

 

 

 マードック「ハア、ハア…」

 

 ミッチェル「ハア、ハア…」

 

 マードック「綿あめを賭けたバトルはどうしたんだよ?」

 

 ミッチェル「さぁ、ケーキを作るのに夢中になってたからね」

 

 

 パクッ…モグモグッ(ケーキを食べる)

 

 

 シンヤ「美味い!」

 ピカチュウ「ピッカッチュウッ!」

 

 ロイ「美味しい!」

 ホゲータ「ホゲェェッ!」

 

 リコ「マードック、ミッチェルさん」

 

 マードック「リコ、すまんな。綿あめを賭けたバトルが、ケーキ作りになっちまった」

 

 リコ「ううん、すっごい楽しかった。それに、マホイップはずっとこうしたかったんだと思う」

 

 マードック・ミッチェル「「えっ⁉︎」」

 

 マホイップ「マッホォォッ」コクッ

 

 リコ「マホイップは昔みたいに、マードックとミッチェルさんと一緒に、ケーキ作りをしたかったんだと思う…なんて、そんな気がしてます」

 

 シンヤ「だろうな。ケーキを作ってる時のマホイップ、顔がとても生き生きしてたし」

 

 マードック「そうか……ミッチェル、あの時は悪かった。お前の気持ちも考えずに」

 

 ミッチェル「マードック……ここで待っててくれ」タッ!

 

 マードック「え?」

 

 リコ「ミッチェルさん?」

 

 シンヤ「どうしたんだろ?」

 

 

 マードックがミッチェルに過去のこと謝ると、ミッチェルは急に立ち上がり、厨房へと向かっていった。そしてしばらくすると、ミッチェルはケーキが乗った皿を持ってマードックの前にやってきた。

 

 

 マードック「ミッチェル、それは?」

 

 ミッチェル「このバトルカフェの裏メニュー、抹茶ケーキさ。でも、まだ完成じゃない。…マホイップ、このケーキの上に、きみのクリームを乗せてくれるかい?」

 

 マホイップ「マホ?…イップ!」

 

 

 ビュゥゥゥ(生クリームをケーキに乗せる)

 

 

 ミッチェル「ありがとう。…このケーキは、きみたち2人がここに来た時に食べてもらおうと、ずっと考えていたケーキなんだ」

 

 マードック「ミッチェル…」

 

 ミッチェル「あの時、マホイップのクリームが私のケーキに合わなかったのは、私の技術が未熟だったからだよ。なのに勝手に拗ねて妬んで…きみたちを傷つけてしまった。私の方こそすまなかった!喧嘩をやめよう。仲直りをしてほしい。頼む!」

 

 マードック「っ⁉︎もちろんだ!ほら、マホイップ」

 

 マホイップ「マホッ!」

 

 

 ミッチェルがマードックに過去のことを謝ると、マードックはミッチェルの持ってきたケーキを手に取り、それを半分にしてマホイップと食べた。

 

 

 マードック「美味い!」

 マホイップ「マッホッ!」

 

 ミッチェル「本当かい⁉︎」

 

 マードック「あぁ、スイーツを愛してる者が作る味だ」

 

 ミッチェル「マードック…」

 

 

 ぎゅっ(互いに抱きつく)

 

 

 マードック・ミッチェル「「うお〜〜!(涙)」」

 

 ロイ「すごい泣いてる。大人なのに…」

 

 リコ「うん。でも、大人でも泣いていいんだよ。私と、私たちと同じなんだから」

 

 ロイ「そうだね」

 

 シンヤ「リコ、お前が2人を仲直りさせたんだ。すごいぞ」

 

 リコ「そ、そうかな?///えへへ///ありがとう///」

 

 

 ???「素晴らしいバトルを見せてくれてありがとう」

 

 

 シンヤ「ぁっ!この声は!」

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 

 マードックとミッチェルが仲直りできて一件落着となると、『素晴らしいバトルを見せてくれてありがとう』とリコたちに声をかける男性がいたので、シンヤとピカチュウがその男性の声が聞こえてきた方に振り向いた。するとそこには、カフェテラスのテーブルに座ってコーヒーを飲んでいる一人の男性がいた。

 

 

 ミッチェル「《カブ》さん、いらしてたんですか?」

 

 リコ「えっ?」

 

 ロイ「もしかして、エンジンスタジアムのジムリーダーの、カブさんですか?」

 

 

 スッ(座っている椅子から立ち上がる)

 

 

 カブ「いかにも」

 

 

 To be continued

 

 

 次回予告

 

 

 カブに出会ったシンヤたちは、早速カブから黒いレックウザの話を聞こうとしたのだが、カブがエンジンスタジアムに向かったので、カブを追ってエンジンスタジアムにやってきた。そこで黒いレックウザのことをシンヤたちが聞くと、カブは黒いレックウザの話をする前に、リコとロイの実力を確かめることにした。

 

 

 次回「カブ登場!リコとロイのバトル修行!」

 

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