ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり   作:通りすがりのポケモントレーナー

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 六英雄を探して旅を続ける、シンヤたちライジングボルテッカーズ。今シンヤたちは、ダイアナから話があると言われたので、ミーティングルームに集まっていた。


第31話『海の白い霧・歌声の謎』

 

 ブレイブアサギ号・ミーティングルーム

 

 シンヤ「白い霧の歌声ですか?」

 ピカチュウ「ピカッ?」

 

 ダイアナ「ああ。といっても、船乗りたちの間で囁かれている、噂だけどね。なんでも、霧で迷った船を歌で導いて助けてくれる、不思議なポケモンがいるんだ」

 

 ロイ「歌で⁉︎」

 リコ「なんだか素敵!」

 

 シンヤ「そのポケモンの正体は?」

 

 ダイアナ「そのポケモンは、光り輝くラプラスだと言われているんだ」

 

 リコ「ラプラス…」

 ロイ「それって、六英雄のラプラス⁉︎」

 

 ダイアナ「いや、それはまだ分からない」

 

 フリード「が、特別な能力を持つラプラスっていう可能性もある」

 

 シンヤ「ダイアナさんはもしかして、この謎を調べたことが?」

 

 ダイアナ「昔、若い頃にね。でも残念ながら、ラプラスには会えなかった」

 

 シンヤ「そうだったんですか」

 

 ダイアナ「何度もラプラスの噂を聞いて会いに行ったけど、その時には、ラプラスの姿はなかった。その繰り返しでね。それで諦めたのさ」

 

 シンヤ「でも、そのラプラスが六英雄のラプラスなら、必ず会わないと」

 

 リコ「うん!テラパゴスをラクアに連れて行くためにも」

 

 シンヤ「だけど、どうやってラプラスを探すか?手掛かりでもあればいいんだけど」

 

 ダイアナ「大丈夫、抜かりはないよ」

 

 シンヤたちはダイアナから、昔船乗りたちから囁かれている噂話を聞いて、それが六英雄のラプラスがどうかを確かめるために、これからどうするかを考えていた。すると、ミーティングルームの映写機が起動して、海域の全体図が映ると、次々と赤い点が記されていった。

 

 シンヤ「この赤い点のところは、ラプラスが現れた場所ですか?」

 

 ダイアナ「流石だねシンヤ。正確には、突然霧が発生した場所だけどね」

 

 リコ「えっ?これおばあちゃんが⁉︎」

 

 ダイアナ「まさか、ドットに頼んだのさ」

 

 ドット『最近この海域に、相次いで霧が発生してるらしいよ』

 

 シンヤ「さすが情報屋。仕事が早い!」

 

 ピカチュウ「ピカッ!」

 

 ドット『大袈裟だよ。ネットで調べれば簡単だって』

 

 ダイアナ「科学の力はすごいねぇ。ドット、アンタ大したもんだよ」

 

 ドット『ど、どうも』

 クワッス『クワッス!』

 

 リコ(いつの間にかドットと打ち解けてる。さすがです、おばあちゃん!)

 

 ダイアナ「私1人じゃ、ラプラスに会えなかった。船だって持ってないしね。…だけど、今は違う」

 

 フリード「ブレイブアサギ号があります」

 

 ダイアナ「ああ、私1人では無理だけど、アンタたちとならできる気がする。ラプラスに追いつける!」

 

 ドット『それと、ラプラスを見たって人が、この近くの港にいるみたいだけど』

 

 フリード「よし、そこに行って話を聞いてみるか」

 

 リコ・ロイ「「おおぅ!」」

 

 霧が発生している海域に向かう前に、シンヤたちはラプラスを見た人という人に話を聞きにいくため、近くの港町に向かうことにした。そして、港町に到着すると、ブレイブアサギ号を港につけ、シンヤ・リコ・ロイ・フリードの4人は、ラプラスを見たという貨物船の船長の元に向かった。

 

 港町

 

 フリード「初めまして、話を聞きに来た、ライジングボルテッカーズのフリードと言います。早速ですが、霧の中で何があったのか、詳しく教えてください」

 

 船長「あれは突然のことだったよ。貨物を島に届けようとしていたら、突然白い霧が発生して、進路が分からなくなってしまったんだ。そしたら、急に歌を歌いながらラプラスが現れて、まるでついてこいと言ってるみたいで、どうしようか考えたんだが、とりあえずラプラスを信じてみることにしたんだ。歌で船を誘導してくれたから、岩礁にもぶつからずに済んだし、それは綺麗な歌声だったよ」

 

 フローゼル「フロッ!」

 

 シンヤ「そのラプラスは、どの辺りの海域で見ましたか?」

 

 船長「沖の方だったよ。でも霧が晴れると同時に、ラプラスは姿を消したんだ」

 

 シンヤ「じゃあその後、ラプラスが向かった先は?」

 

 船長「残念ながら、ラプラスがどこに行ったのかは分からない」

 

 船員「船長!貨物の積み直しを始めま〜す!」

 

 ブイゼル「ブイブイッ!」

 

 船長「ああ、よろしく頼む!」

 

 シンヤ「貨物の積み直し?船に何かあったんですか?」

 

 ピカチュウ「ピーカッ?」

 

 船長「それが、霧の中で船が強く揺れてね。そのせいで、船に積んでいた荷物が、全部海の中に落ちてしまったんだ」

 

 リコ「ええっ⁉︎」

 ロイ「大変だ!」

 

 シンヤ「…船が強く揺れたんですか?」

 

 船長「ああ、もう一度貨物を仕入れることになったが、まあ船は無事だったし、噂のラプラスにも会えたから、まあ良しとするよ」

 

 フリード「ありがとうございます。さあ、船に戻ろう」

 

 リコ・ロイ「「うん!」」

 

 シンヤ「ああ…」

 

 ピカチュウ「ピカッ?」

 

 船長からラプラスの話を聞いたシンヤたちは、ブレイブアサギ号に戻ると、船長から聞いた場所の海域に向けて出発した。フリードは操縦室で舵を取り、シンヤたちはランドウがよく釣りをしているところに移動し、リコはスマホロトムの図鑑機能を使い、ラプラスのことを調べていた。

 

 ラプラス のりものポケモン みず・こおりタイプ

 

 人間の言葉を理解するほど賢く、心優しいポケモン。綺麗な歌声を響かせながら、海の上を泳いでいく。

 

 

 リコ「人の言葉を理解するポケモンか…」

 

 ロイ「それに、ラプラスは凄く優しいんだよ」

 

 リコ「ロイは、ラプラスに会ったことあるの?」

 

 ロイ「うん!海辺によくラプラスが通りかかって、島のみんなを背中に乗せてくれたんだ」

 

 リコ「へぇ〜、シンヤはラプラスに会ったことある?」

 

 シンヤ「ああ、カントー地方を旅してた時に出会ったことがあって、そのままラプラスをゲットしたんだ。船がない時には、よく次の島まで乗せてもらってた」

 

 リコ「シンヤ、ラプラスをゲットしたことあるんだ」

 

 シンヤ「ああ、今はナナカマド研究所にいるよ」

 

 リコ「私も仲良くなったら、ラプラスの背中に乗せてもらえるかな?」

 

 シンヤ「ラプラスは優しいポケモンだから、大丈夫だろ」

 

 リコ「楽しみ!」

 

 クワッス「クワッス!」

 

 シンヤ・リコ・ロイ「「「んっ?」」」

 

 ランドウ「3人とも、好奇心旺盛のようじゃな」

 

 シンヤ「ランドウのじっちゃん。それにクワッスも」

 

 リコ「クワッス、それって撮影用カメラだよね?」

 

 シンヤとロイからラプラスの話を聞いたことで、リコはラプラスに会うのが楽しみなようだ。そして、ピカチュウとニャオハとホゲータが木の実を食べていると、シンヤたちのいるところに、釣り竿を持ったランドウと、撮影用カメラを持っているクワッスがやってきた。

 

 ドット『バッチリ撮らせてもらうよ。六英雄のラプラスを』

 

 クワッス「クワッス!」

 

 シンヤ「ぐるみんで配信するのはまずいだろ」

 

 ドット『分かってる。あくまでこれは、個人的な興味だよ。それに、六英雄のラプラスは、僕にだって刺激的だからね』

 

 シンヤ「まだ六英雄のラプラスと決まったわけじゃないけどな」

 

 ピカチュウ「ピーカッ」

 

 リコ「あれ?なんか船の高度が下がってない?」

 

 ロイ「本当だ」

 

 ロトロトロト…ロトロトロト…ピッ

 

 フリード『みんな!これから船を着水させるから、しっかりつかまってろよ!』

 

 シンヤ「着水?船を海の上につけるってことか?」

 

 フリード『そうだ。ラプラスを探すなら、この方法がいいからな。ブレイブアサギ号、空の旅から海の旅へとご案内!』

 

 キャプテンピカチュウ『ピーカチュー!』

 

 シンヤ「ああ、そっか。この船は元々じっちゃんの釣り船だったな」

 

 ランドウ「その通り。だから海の上でも問題ない」

 

 シンヤたちが話をしていると、急に船の高度が下がった。すると、突然フリードから連絡が入り、海の上からラプラスを探すため、船を海の上に着水させるとのことだった。そして、徐々に高度を下げたブレイブアサギ号は、水飛沫を立てながら、ゆっくりと海に着水した。

 

 シンヤ「こりゃ絶景だな!」

 ピカチュウ「ピッカッ!」

 

 リコ「うわぁ〜〜!」

 ニャオハ「ニャオハ!」

 

 ロイ「すげぇ!」

 ホゲータ「ホンゲェ!」

 

 ピカチュウ「ピカッチューウ!」

 

 シンヤ「どうしたピカチュウ……んっ?あれは?」

 

 空の旅から海の旅に景色が替わり、シンヤたちが目をキラキラさせながら興奮していると、海面に何か浮いているのをピカチュウが発見した。

 

 リコ「空箱…」

 シンヤ「みたいだな」

 ロイ「あっちにもある」

 

 テラパゴス「パゴー!」

 リコ「テラパゴス?」

 

 シンヤ「この反応からすると、六英雄のラプラスなのか?」

 

 ロイ「絶対そうだよ!」

 

 ロトロトロト…ロトロトロト…ピッ

 

 フリード『みんな、目標の海域に入った。これより船は速度を落として、海の上をゆっくり回る。シンヤ、リコ、ロイ、それにダイアナさん。しっかりラプラスを見つけてくれよ』

 

 ピカチュウが発見したのは、中身のない空箱だった。そして、船はそのまま海の上を進んでいき、ラプラスの現れた海域に入ったことで、フリードは船の速度を落とし、シンヤたちはラプラスがいつ現れてもいいように準備を始め、シンヤ・リコ・ロイの3人は船の前方で、ダイアナは展望室で待機した。

 

 マードック「終わったらドーナツでパーティーだ。今作ってるから待ってろよ!」

 

 リコ・ロイ『『わ〜い、ドーナツ!』』

 

 フリード『おいおい、ピクニックに行くんじゃないぞ』

 

 シンヤ『じゃあフリードは食べないのか?』

 

 フリード『そんなわけないだろ。マードックの作ってくれたドーナツだ。ちゃんと食べる』

 

 シンヤ(おいおい)…「まぁ、ガラルファイヤーと違って、大人しい六英雄であることを願うよ。ガラルファイヤーの時は少し大変だったからな」

 

 ピカチュウ「ピカッピカッ」コクッ

 

 ロイ「でも、ガラルファイヤーと違って、すぐに分かってくれるんじゃないかな?」

 

 リコ「船を助けるポケモンだもん。きっと私たちの力になってくれるよ!」

 

 ランドウ「2人とも、思い込みは禁物じゃぞ」

 

 リコ・ロイ「「えっ?」」

 

 ランドウ「よく知るものほど、初めてのように見なければ、真実は見通せぬ…」

 

 (霧が出てくる)

 

 シンヤ(霧が出てきたか)

 

 ガラルファイヤーの時と違って、迷った船を助けるラプラスなら、すぐに自分たちの力になってくれると考えていたリコとロイ。しかし、ランドウはリコとロイに、思い込みは危険だと忠告する。すると次の瞬間、突然ブレイブアサギ号の周りに霧が発生した。

 

 操舵室

 

 フリード「急に霧が出てきたな。ってことは…」

 

 キャプテンピカチュウ「ピカピカ」

 

 ランドウの釣り場

 

 リコ「さっきまであんなに晴れてたのに」

 ロイ「何も見えなくなったね」

 

 ♫♫♫(歌声)

 

 リコ「ハッ!」

 シンヤ「お出ましのようだな」

 

 ドクンッ!

 

 シンヤ「ハッ……⁉︎」

 

 ………守れ…………………を……

 

 シンヤ(えっ?誰の声だ?)

 

 …………俺は必ず後から行く。お前たちは……と行け!

 

 シンヤ(な、なん…だ?これ…は、この人は一体?)

 

 ……シ

 

 ……シン…

 

 シ…ンヤ……

 

 シンヤ「えっ?」

 

 リコ「シンヤ!」ぎゅっ

 

 シンヤ「え、リコ、どうした?」

 

 ロイ「どうしたじゃないよ!ラプラスの歌が聞こえてきたと思ったら、いきなりシンヤが止まったから。リコ、シンヤのことを心配してたんだよ!」

 

 シンヤ「えっ?じゃあ、あの声は俺にしか聞こえなかったのか?」

 

 リコ「え?声って?」

 

 グラッ(船が大きく揺れる)

 

 シンヤ「うわっ!」

 リコ「キャッ!」

 

 シンヤ「おっと!」ぎゅっ

 リコ「あ、ありがとう。シンヤ」

 

 ロイ「な、何!」

 

 シンヤ(これって、さっき船長さんが言ってた…)

 

 ロトロトロト…ロトロトロト…ピッ

 

 フリード『みんな、前方を確認してくれ!』

 

 突然霧の中から聞こえてきた、ラプラスの歌声。その歌声を聞いた瞬間、突然シンヤの脳裏に、1人の男の声が聞こえてきた。そして、リコが何度もシンヤに声をかけると、止まっていたシンヤは我に戻り、安心したリコはシンヤに抱きついた。すると、今度はブレイブアサギ号が突然大きく揺れ動いた。シンヤは倒れそうになったリコを支えると、船長の言っていた言葉を思い出した。すると、シンヤのスマホロトムに、操舵室にいるフリードから通信が入り、船の前方を確認してくれと言われたので、シンヤたちが船の前方に顔を向けると、船の前方の霧の中に、何かが光っているのを発見した。

 

 シンヤ「視界が悪くて見えづらいが、何か光ってるな」

 

 リコ「シンヤ、大丈夫?さっき具合悪そうだったけど?」

 

 シンヤ「ああ、もう大丈夫」

 

 展望室

 

 ダイアナ「……これは妙だね」

 

 操舵室

 

 フリード「俺たちを助けに来てくれたのか?キャップ。とりあえずラプラスについていこう」

 

 キャプテンピカチュウ「ピーカチュー!」

 

 霧の中から抜け出すため、フリードはとりあえず、ラプラスの後を追いかけてみることにした。

 

 ランドウの釣り場

 

 スッ(前に出る)

 

 テラパゴス「パーゴ!」

 

 リコ「テラパゴスは、ラプラスを呼んでるのかな」

 

 ロイ「でも、ラプラスには聞こえてないみたい」

 

 シンヤ(……やはりおかしい。突然霧が発生して、その後にラプラスが現れる。そして、さっきからあのラプラスは、霧の中で姿を隠してる。まるで、俺たちの視線を自分に集めてるようだ。でも、何のためにそんなことを?)

 

 リコ「シンヤ、一緒にラプラスを呼ぼう」

 

 シンヤ「えっ、ラプラスを?」

 

 リコ「うん、大きな声でラプラスを呼んだら、テラパゴスがここにいるって、気づいてくれるんじゃないかな」

 

 シンヤ「ああ、そうだな。そうするか」

 

 ロイ「僕もやるよ!」

 

 ラプラスの歌声を聞いていると、突然テラパゴスが動き出し、シンヤたちの前を歩いていき、いつもランドウが座っている釣り場に乗ると、遠い霧の中にいるラプラスに向かって、大きな声で自分はここにいると呼びかけた。テラパゴスが必死にラプラスに呼びかけている姿を見たリコは、シンヤに大きな声でラプラスを呼ぼうと言うと、シンヤはそうするかと言って、ロイも一緒にラプラスを呼ぼうとする。

 

 シンヤ・リコ・ロイ「「「ラプラ…」」」

 

 ホゲータ「ホンゲー‼︎」

 

 リコ「ホゲータ⁉︎」

 ロイ「どうしたの⁉︎」

 

 エテボース「エボッ!」

 

 リコ「ポケモンがいる⁉︎」

 

 ランドウ「もう1人、海の上からの客人がおるみたいじゃ」

 

 ヒョイヒョイ(木の実を拾う)

 

 リククラゲ「リクッ?」

 

 シンヤ「あれは、《エテボース》に《リククラゲ》!なんで船に⁉︎」

 

 リコはテラパゴスを抱えると、シンヤとロイと一緒に、大きな声でラプラスを呼ぼうとした。すると、突然背後から、ホゲータの叫び声が聞こえてきた。シンヤたちが後ろを振り向くと、シンヤたちが見たのは、手のような2つの尻尾を持つ、おながポケモンの《エテボース》が、ホゲータの持っているマトマの実を奪おうとする姿だった。そして、さっきピカチュウやニャオハたちが食べていた木の実が置いてあるところには、きくらげポケモンの《リククラゲ》がいて、置いてある木の実を拾っていた。

 

 ピカチュウ「ピカッ!」

 ニャオハ「ニャー!」

 クワッス「クワッ!」

 

 シンヤ「リコ、とりあえずエテボースたちを止めるぞ」

 

 リコ「わ、分かった」

 

 シンヤ「ピカチュウ!エテボースに「アイアンテール!」」

 

 リコ「ニャオハ!「でんこうせっか!」」

 

 ピカチュウ「チューウ!ピッカッ!」

 ニャオハ「ニャ、ニャ、ニャオハ!」

 

 ダァァァン‼︎

 

 エテボース「エボッ⁉︎」

 リククラゲ「リクッ⁉︎」

 

 どうして船の上に、エテボースとリククラゲがいるのか分からなかったが、エテボースとリククラゲが木の実を盗もうとしていたので、ピカチュウは「アイアンテール」でエテボースを、ニャオハは「でんこうせっか」でリククラゲに攻撃し、エテボースたちにダメージを与えた。

 

 エテボース「エボッ!」ダッ

 リククラゲ「リクッ!」ダッ

 

 リコ「あっ!」

 ロイ「海に飛び込んだ!」

 シンヤ「馬鹿な!逃げられるわけがない」ダッ

 

 ピカチュウとニャオハの攻撃を受けたエテボースとリククラゲは、ピカチュウたちから逃げるために海に飛び込んだ。しかし、海に飛び込んでも逃げ場がないため、シンヤはどうする気なのかと思った。そして、シンヤたちがエテボースとリククラゲが海に飛び込んだ場所を確認すると、エテボースとリククラゲの姿はどこにもなかった。すると、ドットの撮影用カメラに、海を移動する大きなポケモンの影が写っていた。

 

 ドットの部屋

 

 ドット「これは?」

 

 ランドウの釣り場

 

 リコ「霧が…」

 

 シンヤ「晴れていくな。ラプラスも消えたみたいだ」

 

 ロイ「また振り出しか…」

 

 シンヤ「いや、収穫はあった。それも驚くほどのな」

 

 リコ・ロイ「「収穫?」」

 

 シンヤ「ああ。とりあえず、フリードたちにこのことを報告しよう」

 

 エテボースとリククラゲが消えると同時に、ブレイブアサギ号の周りに発生していた白い霧が晴れていき、ラプラスも消えてしまった。そして、さっきのエテボースとリククラゲのことをフリードたちに説明するために、シンヤたちはミーティングルームに向かった。

 

 ミーティングルーム

 

 ダイアナ「ラプラスを見失っちまったね」

 

 フリード「せっかく見つけたのに」

 

 オリオ「でも、船が無事で良かったよ。霧の中で何か起きようものなら…」

 

 モリー「船が壊れるね…」

 

 オリオ「ラプラスありがとう!」

 

 シンヤ「それより、気になることがある。さっき俺たちは、船の上で木の実を奪おうとしたポケモンと遭遇したんだが」

 

 フリード「木の実を奪おうとしたポケモン?」

 

 マードック「お腹が空いてたんだろ。大めに見てやれよ」

 

 シンヤ「木の実を奪おうとしたことを咎めてるんじゃない。本来ここに来れる筈のないポケモンたちがいたんだ」

 

 フリード「ここに来れる筈のないポケモン?」

 

 シンヤ「ああ、エテボースとリククラゲだった」

 

 フリード「なんだって!本当か!」

 

 ランドウ「ワシも見たぞ。あれはエテボースとリククラゲじゃった」

 

 フリードはシンヤから、この船にいないはずの、しかも、陸に住んでるエテボースとリククラゲがこの船にいたと聞くと、スマホロトムを操作して、ミーティングルームの映写機にエテボースとリククラゲを映した。

 

 ロイ「間違いないよ。コイツらだった」

 

 リコ「うん。私も見た!」

 ニャオハ「ニャオハ!」

 

 フリード「エテボースもリククラゲも、陸に住んでるポケモンだ。海では生活できない」

 

 シンヤ「だから驚いてるんだ。こんな海のど真ん中に、なんでエテボースとリククラゲがいたのか」

 

 ピカチュウ「ピカッ」

 

 マードック「近くにトレーナーがいたとか?」

 

 ダイアナ「いや、そんな気配はなかったよ。オマケにこの辺りに陸地はないから、エテボースとリククラゲはどうやって来たのか。それも気になるね」

 

 ピッ

 

 ドット『みんな、これを見てくれ』

 

 リコ「ドット?」

 

 シンヤ「見てくれって何を?」

 

 ドット『クワッスの持ってた、撮影用カメラに写ってたものなんだけど」

 

 シンヤたちはミーティングルームで、どうやってエテボースとリククラゲがこの船に乗ってきたのかを話していると、エテボースとリククラゲを写しているし映写機からドットとクワッスが映り、シンヤたちに1枚の写真を見せた。その写真は、さっきクワッスが持っていた撮影用カメラに写っていた写真を拡大したものだった。霧で姿はよく見えないが、海を移動している大きなポケモンの姿が写っていた。

 

 シンヤ「なるほどね。これで納得できた」

 リコ「えっ?どういうこと?」

 

 シンヤ「あのエテボースとリククラゲは、このポケモンの背中に乗って、俺たちの前に現れたんだ」

 

 リコ「えっ⁉︎」

 

 フリード「ああ。それに、気になることは他にもある」

 

 シンヤ「霧の出たタイミングだろ」

 

 ダイアナ「やはり、シンヤも気づいていたのかい」

 

 シンヤ「えっ。じゃあ、ダイアナさんも気づいてたんですか?」

 

 ロイ「なんの話?」

 

 リコ「どういう意味なの?」

 

 フリード「霧が出る時は、一定量の水蒸気と、気温の低下、大気中の空気を激しく攪拌するような風が吹いてなければ発生するものなんだ」

 

 シンヤ「だけど今の季節に、海に海霧が自然に発生する可能性はあまりに低い」

 

 ロイ「えっ、じゃああの霧は?」

 

 シンヤ「ラプラスの仕業だ」

 

 リコ「ちょっと待って!ラプラスは私たちを助けてくれたんだよ。現に霧から出られたのだって、ラプラスが歌で…」

 

 シンヤ「俺も最初はそう思ってた。でも、違和感があった」

 

 リコ「違和感?」

 

 シンヤ「そう、おかしいと思わないか?船が霧に包まれるたびに、偶然ラプラスが現れる。そして、歌で船を導いて助ける。あまりに話がうまく出来すぎてるんだ。考えられる理由は一つしかない」

 

 リコ「えっ?」

 ロイ「どういう意味?」

 

 シンヤ「あの霧は、ラプラスが「しろいきり」という技を使って、意図的に船を霧で包み込んだってことさ」

 

 フリード・ダイアナ以外の全員「「「えっ!」」」

 

 フリード「やっぱりシンヤも気づいてたか…」

 

 シンヤ「ああ。そう考えれば、いろいろ辻褄が合うからな」

 

 オリオ「でも、どうしてそんな自作自演をする必要があるの?」

 

 フリード「それは、もう一度ラプラスに会えば分かる。オリオは機関室に、じっちゃんには船の操舵を任せたい」

 

 オリオ「OK!」

 ランドウ「造作もない」

 

 フリード「マードックとモリーは、別の任務を頼む」

 

 モリー「別にいいけど…」

 

 マードック「何をしようってんだ?フリード」

 

 フリード「なぁに。ちょっと風向きを変えたくてね」

 

 シンヤ「フリード。俺のエンペルトは「きりばらい」が使えるから、霧が発生したら、エンペルトに「きりばらい」を頼むよ」

 

 フリード「いや、霧はキャップがなんとかするから、シンヤには、またエテボースたちが来た時のために、リコたちと一緒にいてほしい」

 

 シンヤ「分かった」

 ピカチュウ「ピカッ」

 

 どうやら、シンヤとフリード、そしてダイアナは、何かを掴んでいるようだった。そして、もう一度ラプラスに会うために、ブレイブアサギ号をもう一度海域に戻すことになり、オリオは機関室に向かい、ランドウが船の舵をして、シンヤたち3人は、またエテボースたちが現れてもいいように準備をしていた。

 

 ランドウの釣り場

 

 リコ「ねぇシンヤ。どうしてラプラスが、「しろいきり」を使う必要があるの?」

 

 シンヤ「その答えはもう出てるよ」

 ロイ「もう出てるって…」

 

 ドンッ(荷物を置く音)

 

 リコ「えっ⁉︎」

 ロイ「何してるの⁉︎」

 

 何故ラプラスが「しろいきり」を発生させ、迷った船を導いて助ける必要があるのか、リコがその理由をシンヤに聞いていると、後ろからドンッという音が聞こえてきた。気になったリコとロイが後ろを見てみると、船の倉庫から荷物を運んでいる、モリーとマードックの姿があった。

 

 リコ「2人とも何してるの⁉︎」

 

 マードック「フリードが、倉庫の箱に入ってる《ポケモンフーズ》を、ありったけ甲板に運んでくれって」

 

 ロイ「ポケモンフーズを?」

 リコ「どういう意味があるんだろう?」

 

 シンヤ(やっぱり、フリードも分かってたか)

 

 ウィングデッキ

 

 フリード「もうすぐだな。俺とシンヤの推理が正しければ…」

 

 (霧が出てくる)

 

 モリーとマードックが、甲板にポケモンフーズの入った箱を並べている頃。フリードとキャップはウイングデッキの側に立っており、船の羽がバトルフィールドの形に変形すると、フリードはバトルフィールドの前に歩いて行き、何かを待っていた。すると、再びブレイブアサギ号の周りに、白い霧が発生した。

 

 フリード「おいでなすったな」

 

 ドォン(船が大きく揺れる)

 

 シンヤ「来た!」

 リコ「えっ?」

 

 ウィングデッキ

 

 フリード「ほとんど何も見えないな。…だが…」

 キャプテンピカチュウ「ピカ!」

 

 フリード「フッ、キャプテンピカチュウにかかれば大したことないな。いくぜ、キャップ!」

 

 キャプテンピカチュウ「ピカッ!」ダッ‼︎

 

 再び白い霧が発生すると、次の瞬間、船が大きく揺れた。すると、キャップは体に電気を纏って、円を描くように周りを走り始めた。そのエネルギーは雷雲の竜巻を生み、周囲に大きな竜巻を発生させた。

 

 フリード「太陽よりも高く‼︎ライジングボルテッカー!」

 

 キャプテンピカチュウ「ピカピカ、ピカピカ、ピカピカ、ピカピカ!ピカピッカッ‼︎」

 

 キャプテンピカチュウが雷雲の竜巻の中を駆け上がり、空高く飛んだ瞬間、ブレイブアサギを包んでいた白い霧は吹き飛ばされた。そして、空を飛んでいたキャプテンピカチュウは、海のある場所を指差した。キャップが指を差した場所をフリードが確認しに向かうと、そこにはたくさんのポケモンたちがいた。

 

 エテボース「エボッ」

 リククラゲ「リクッ」

 ビーダル「ビダッ」

 ガメノデス「ガメッ」

 バルジーナ「バジィ」

 プルンゲル(♂)「プルッ」

 プルンゲル(♀)「プルッ」

 オクタン「オクッ」

 

 マンタイン「マンタッ」

 ブロスター「ブロッ」

 ドラミドロ「ドラミッ」

 ガラルヤドラン「ヤドッ」

 ダダリン「ダダッ」

 テッポウオ「テポッ」

 ヤルキモノ「ヤルキッ」

 ホエルオー「ホエーール」

 

 ロイ「アイツらさっきの!」

 

 シンヤ「やはりあの写真に写ってたのは、ホエルオーだったのか!」

 

 リコ「じゃあまさか!」

 

 シンヤ「ああ、陸にしかいない、エテボースとリククラゲを運んで来たのは、あのホエルオーだったんだ」

 

 フリード「やっぱり、お仲間がいたってことか。迷った船を導いて助けるなんて、とんだ食わせ者だったな…ラプラス!」

 

 さっきドットの見せてくれた写真に写っていた、海を移動している大きなポケモンの正体は、うきくじらポケモンの《ホエルオー》だった。そのホエルオーの背中には、さっきのエテボースやリククラゲ、エテボースの仲間のポケモンたちが乗っていた。そして、シンヤとリコが船の前方を確認すると、ブレイブアサギ号の前方に、一体のポケモンがいるのを発見する。背中に大きな甲羅を背負い、左の目元に大きな傷をもった首長竜のようなポケモン。そう、ラプラスがいたのだ。

 

 六英雄のラプラス「プラァァァッ!」

 

 シンヤ「やっと会えたな。六英雄のラプラス!」

 

 ピカチュウ「ピカッ!」

 

 ズキッ‼︎

 

 シンヤ(痛ッ!)

 

 ドクンッ!

 

 シンヤ(また頭に痛みが、何だこの光景は?)

 

 ……………から、必ずお前たちとラクアを守るから!

 

 シンヤ(えっ?どうなってるんだ?一体俺に何が起きてるんだ⁉︎)

 

 To be continued

 

 次回予告

 

 ついにシンヤたちは、六英雄のラプラスと出会うことに成功した。しかし、六英雄のラプラスは、いきなりシンヤたちを攻撃してきた。そして、テラパゴスとラプラスが会う時、再び不思議な現象が起きる。

 

 次回「ラプラスの気持ち・仲間を思う心」

 

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