ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり   作:通りすがりのポケモントレーナー

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 シンヤたちライジングボルテッカーズは、パルデア地方に向けて旅を続けけおり、今ブレイブアサギ号は、夜遅くに嵐の中を飛んでいた。


第38話『ワッカネズミからSOS‼︎ミブリムの新たな可能性!』

 

 ザァァァァーー(外の嵐の雨)

 

 ブレイブアサギ号・機関室

 

 フリードのリザードン「リザァァァ」

 

 オリオ「船を着陸させるしかないか…」

 

 マグマッグ「マグッ!」

 トロッゴン「ゴンッ!」

 

 ブレイブアサギ号は嵐の中を飛んでいたが、これ以上嵐の中を進むと、船にトラブルが起きるかもしれないので、ブレイブアサギ号が空から陸に降りていくと、ちょうど森の中に船が着陸できる場所を見つけたので、岩にアンカーを放出し、船を固定しながら地面に着陸させた後、船のメンバー全員は就寝した。それから夜が明けた次の日、昨日の嵐が嘘のように、今日の空は晴天だった。

 

 フリード「いやぁ〜。昨日の嵐が嘘みたいないい天気だ。なあキャップ」

 

 キャプテンピカチュウ「ピカピカ」

 

 船首付近

 

 ロイ「あっ!旗がボロボロに破けちゃってる!」

 

 シンヤ「枝でも飛んできて当たったか?」

 

 ピカチュウ「ピーカッ」

 

 ロイ「よし、旗を直そう」

 ホゲータ「ホンゲェ」

 

 シンヤ「え?ロイ、裁縫が出来るのか?」

 

 ロイ「うん!裁縫道具を取ってくるよ」タッタッ

 

 フリード「裁縫道具なら、オリオのところだ」

 

 ロイ「オリオのところだね」

 

 フリード「そのついでに、オリオに伝言を頼む。他のところの点検も宜しくってさ」

 

 ロイ「分かった!」

 

 ロトロトロト…ロトロトロト…ピッ

 

 フリード「モリー、どうした?」

 

 モリー『フリード。しばらく停泊するなら、船のポケモンたちの健康診断を済ましてもいいかな?』

 

 フリード「ああ、分かった」

 

 キャプテンピカチュウ「ピカチュー」

 

 ランドウ釣り場

 

 ランドウ「嵐の後の静けさ。穏やかに見えるこの時、喜ぶものもあれば、悲しむものもあり。さて、今日のわしらは、果たしてどちらに転ぶかのう…ほっ」

 

 カランッ(缶を釣る)

 

 ヌオー「ヌオー!」パチパチ

 

 こうして、ブレイブアサギ号が停泊している間に、モリーは船に住み着いている野生のポケモンたちや、シンヤのポケモンたちの健康診断を行っていた。今はユキワラシの診断を行なっていて、ユキワラシの健康状態が問題なさそうだったため、ユキワラシがラッキーから氷をもらって部屋を出て行くと、リコとニャオハが救護室に入ってくる。

 

 救護室

 

 モリー「リコ、どうしたの?」

 

 リコ「モリーが健康診断をしてるって聞いたから、ミブリムを診てほしくて」

 

 モリー「ミブリムを?」

 

 リコ「なんか、ミブリムの調子が…」

 

 ミブリム「ミー…」

 

 シンヤ「それって、昨日の嵐が原因じゃないか?」

 

 ピカチュウ「ピーカッ」

 

 リコ「あっ、シンヤ、ピカチュウ、おはよう」

 

 シンヤ「おはよう」

 

 ピカチュウ「ピッカチューウ」

 

 モリー「そうだね。シンヤの言う通り、昨日の嵐が原因かな。前のことを思い出したのかもしれない」

 

 リコ「え?」

 

 シンヤ「ほら、ミブリムと会う前の日も嵐だったし、ガラル鉱山に行くまでずっと雨が続いてたろ」

 

 リコ「そう言えば…」

 

 モリー「何か気持ちを切り替えられる、いい方法があればいいんだけど」

 

 ラッキー「ラッキ」スッ

 

 スッ(タオルでミブリムを包む)

 

 ミブリム「ミー、ミー、ミー」

 

 ミブリムに元気がないため、リコはモリーにミブリムを診察してもらった。すると、シンヤとピカチュウが救護室にやってきて、ミブリムの調子が悪いのは、昨日の嵐が原因で、リコたちと会う前にも嵐の中で怖い思いをしたから、その時のことを思い出したのかもしれないとシンヤに言われる。以前モリーが、ミブリムを診察した時にも言ったが、外傷は治せても、心の治療はモリーにもそう簡単に治せるものではなかった。シンヤたちは、ミブリムの気持ちを切り替えられる、いいアイデアがないかと考えていると、ラッキーがふわふわのタオルを持ってきてくれて、それをミブリムに包み込むように被せた。すると、ミブリムは少し元気になったようで、シンヤたちはほっとしていた。

 

 フリードのリザードン「ギャオ…」

 マグマッグ「マグッ…」

 トロッゴン「ゴンッ…」

 

 シンヤ「かなり疲弊してるな」

 

 モリー「昨日の嵐の中、頑張ってくれたね。診てあげるからそこに座って」

 

 ドサッ(リザードンが診察室に腰を下ろす)

 

 モリー「ラッキー、リザードンをお願い。私はマグマッグとトロッゴンを診るから」

 

 ラッキー「ラッキー」

 

 ミブリムが少し元気を取り戻した直後に、フリードのリザードンと、機関室で仕事をしていた、トロッゴンとマグマッグが救護室にやってきた。リザードンたちは昨日の嵐の中、休まずに仕事をしていたため、相当疲弊していた。そして、モリーがマグマッグとトロッゴンの診察をしていると、ラッキーがリザードンの目の前に歩いて行き、リザードンの前で止まると、お腹のポケットの中に入ってる卵を取り出し、それをリザードンに渡すと、リザードンはその卵を丸呑みして飲み込んだ。すると、リザードンは体力を回復し、あっという間に元気になった。

 

 フリードのリザードン「ギャオ!ギャオ!ギャオ〜!」

 

 リコ「すごい!リザードンがあっという間に元気になった!」

 

 ミブリム「ミーミー」

 ラッキー「ラッキー」

 

 シンヤ「ラッキーの卵は栄養満点で、ものすごくおいしいと聞いたことあるけど、ポケモンの体力まで回復させる程なんだな」

 

 ピカチュウ「ピーカッ…」

 

 モリー「リコ、シンヤ、2人とも悪いんだけど、私の仕事を手伝ってくれない?まだまだ診察しなきゃいけないポケモンたちがいるから」

 

 リコ「分かった!」

 シンヤ「ああ、別にいいよ」

 ピカチュウ「ピカチュウ」

 

 それからシンヤとリコは、モリーと一緒に、船に住んでいるポケモンたちの健康診断の手伝いをすることになり、モリーは次々に救護室に入ってくるポケモンたちを診ていた。モリーは、以前ポケモンセンターで働いていただけあって、ポケモンが普段とは違う行動をしているだけで、何が原因かを見つけると、的確にポケモンたちの治療をしていた。シンヤから見ても、モリーの医者としての腕や知識と技術は、一流だと納得するものが多かった。

 

 リコ「最後はツボツボだよ」

 ツボツボ「ツボツボ…」

 

 ミブリム「ミー…」

 リコ「ミブリム?」

 

 シンヤ「モリー、ツボツボの足に何かあるんじゃないか?」

 リコ「えっ?」

 

 最後に救護室にツボツボが入ってきたのだが、ツボツボはなにやら元気がなく、片足を引きずりながら進んできた。すると、ラッキーはツボツボを持ち上げて椅子に座らせると、モリーはツボツボが引きずっていた足を見た。

 

 モリー「うん。棘が刺さってるね」

 

 シンヤ(やっぱりか)

 

 モリー「すぐ抜くから、ちょっと我慢してね」

 

 モリーはツボツボの足を見ると、ツボツボの足に小さな棘が刺さってるの見つけると、ピンセットを取り出してツボツボの足に刺さっている棘を摘み、棘を引っこ抜いた。

 

 リコ「本当だ。すごく小さい棘がある。シンヤもよく分かったね」

 

 シンヤ「足を引きずって進んでたからな。それぐらい分かるよ」

 

 モリー「ラッキー、《いやしのはどう》をツボツボに」

 

 ラッキー「ラッキー!」

  

 ツボツボが元気がなかった理由は、足に棘が刺さっていたからだった。そしてモリーは棘を抜いた後、ラッキーに「いやしのはどう」を指示した。ラッキーが「いやしのはどう」を発動させると、棘を取り出したツボツボの足が光り出すと、ツボツボの足の怪我は治り、ツボツボはすっかり元気になった。ツボツボはモリーとラッキーにお礼を言うと、そのまま救護室を出て行った。すると、リコのフードの中にいたミブリムが、ラッキーの「いやしのはどう」を見ていたので、自分も「いやしのはどう」を発動させる真似をした。

 

 シンヤ「ラッキーの「いやしのはどう」の真似か?」

 

 ミブリム「ミー!」

 

 リコ「どうやらそうみたい」

 

 モリー「アハハハハ!ラッキーにかわいい弟子ができちゃったね」

 

 シンヤ「確かにミブリムは「いやしのはどう」を覚えられるけど、時間がかかるだろうな」

 

 ピカチュウ「ピーカッ」

 

 リコ「そうなんだ。ミブリム、頑張って「いやしのはどう」を覚えようね」

 

 ミブリム「ミーッ!」

 

 シンヤ「ハハ、覚えられるといいな。「いやしのはどう」を」

 

 ミブリム「……ミッ!」

 

 リコ「どうしたの?」

 

 ミブリム「ミッ‼︎」

 

 バッ(リコのフードから飛び出す)

 

 シンヤ「とりあえず、ミブリムについていこう」

 

 ミブリムが「いやしのはどう」の真似をしていると、突然リコのフードの中から飛び出し、救護室を出て外に向かって行った。すると、シンヤたちはミブリムの後を追いかけた。シンヤたちがミブリムの元にやってくると、ミブリムは船のスロープの手前で止まっていて、シンヤたちがミブリムの見ているスロープの下の方に目を向けると、そこには傷だらけになって倒れている、白い体のポケモンがいた。それを見たモリーは、すぐにラッキーに声をかけると、ラッキーは救護室の中にある、医療キットをまとめた鞄を持ってやってきて、モリーはスロープで倒れているポケモンを抱き上げた

 

 ワッカネズミ「ミッ…ミッ…」

 

 シンヤ「コイツは《ワッカネズミ》だ」

 

 モリー「ひどい怪我だ」

 

 リコ「ロトム、ワッカネズミのことを教えて」スッ(スマホロトムを取り出す)

 

 ワッカネズミ カップルポケモン ノーマルタイプ

 

 巣の材料になりそうなものを前歯で切り出して運び去る。どんな時でも2匹は一緒。

 

 リコ「2匹?でも、ワッカネズミは1匹しかいない…」

 

 シンヤ「恐らく、昨日の嵐でこのワッカネズミは怪我をして、もう1匹のワッカネズミと離れ離れになったんだろうな」

 

 モリー「これは緊急事態かも…」

 

 ミブリム「ミー……」

 

 リコ「大丈夫だよ。ミブリム」

 

 ミブリム「ミー」

 

 リコ(ミブリム、おびえちゃってる……きっと、この子の気持ちを受け取っちゃってるんだ)

 

 モリー「とりあえず、お急処置はしたから、ワッカネズミを救護室に運んだ後、私たちはもう1匹のワッカネズミを見つけよう」

 

 シンヤ「OK」

 リコ「うん!」

 

 ワッカネズミ「ミッ‼︎」ダッ

 

 モリー「あっ!ちょっと!どこに行くの⁉︎」

 

 シンヤたちは、治療を終えたワッカネズミを救護室に運んだ後、離れ離れになったもう1匹のワッカネズミを探しに行こうとした。すると、ラッキーが抱き上げていたワッカネズミが飛び出し、スロープを降りて森の方に歩いていくと、急に後ろを振り向き、シンヤたちについてきてくれと声をかけた。

 

 ワッカネズミ「ミッ!ミッミッ!」

 

 リコ「ついてこいってことかな?」

 

 シンヤ「ってことは、離れ離れになったもう1匹のワッカネズミは、森の中にいるってことか?」

 

 モリー「2人とも、ワッカネズミの後を追うよ」

 

 こうしてシンヤたちは、ワッカネズミの後を追って森の中を進んで行き、ワッカネズミは木が倒れて道が塞がれている、洞窟の前で止まっていた。

 

 洞窟の前

 

 シンヤ「昨日の嵐で木が折れたんだ」

 

 シンヤたちが洞窟の前に倒れている木を見ていると、洞窟の中からポケモンの声が聞こえてきた。

 

 ???「ミーーッ!」

 

 リコ「これってもしかして、ワッカネズミのパートナーの声?」

 

 モリー「多分ね。声の感じからすると、だいぶ弱ってる。怪我をしてるのかも…」

 

 リコ「早く助けないと!」

 

 シンヤ「リコ、モリー、そこをどいてくれ。ジュカインの「リーフブレード」なら、こんな木ぐらい簡単に切れる」スッ(モンスターボールを取り出す)

 

 モリー「待った!この木を切って穴が塞がれたら、ワッカネズミのパートナーを助けられなくなる!」

 

 シンヤ「じゃあどうする?」

 

 リコ「…この木と洞窟の隙間を広げるっていうのは?」

 

 シンヤ「あっ!そうか、その手があった!倒れている木と、洞穴の隙間を、俺たちが通れるくらい掘ればいいんだ!リコ、ナイスアイデアだ!ピカチュウ!地面を掘ってくれ!」

 

 ピカチュウ「ピッカッ!」

 

 リコ「よしっ!ニャオハもいくよ!「ひっかく!」」

 

 ニャオハ「ニャァ!」

 

 ピカチュウ、ニャオハ、ワッカネズミの3人は、倒れている木と、洞窟の隙間の地面を掘り始める。しばらくすると、ピカチュウたちが頑張ってくれたお陰で、ある程度は地面が掘り返された。そして、一旦穴掘りをやめてモリーが穴の中に入ろうとしたが、大人のモリーでは穴が小さすぎるため、洞窟の中に入れなかった。

 

 モリー「ダメだ。私じゃ通れそうにない」

 

 シンヤ「モリー、俺が行ってくるよ」

 

 モリー「えっ?」

 

 シンヤ「ギリギリだけど、子供の俺なら入れるだろ」

 

 モリー「……分かった。お願いするよ」

 

 シンヤ「ああ」

 

 リコ「シンヤ、私も行く!」

 

 シンヤ「リコ……分かったよ。一緒に行こう」

 

 リコ「うん!ミブリムは外で待ってる?」

 

 ミブリム「ミー!ミー!」フルフル

 

 リコ「分かった。ワッカネズミを助けたら、すぐに外に出ようね」

 

 ミブリム「ミッ」コクリッ

 

 モリー「2人とも、気をつけてね」

 

 シンヤ「ああ」

 リコ「うん!」

 

 モリーでは隙間に入れないため、シンヤとリコが洞窟の中に入り、洞窟の中にいるワッカネズミのパートナーを探すために、倒れている木と洞窟の隙間を通り、洞窟の中に入っていった。洞窟の中はとても狭く、リコの背でもやっと通れるほどで、リコより背の高いシンヤは進むのに一苦労だった。そして、シンヤたちが中を歩き続けて奥に進むと、そこには、倒れているワッカネズミのパートナーがいた。

 

 パートナーのワッカネズミ「ミィ…」

 

 リコ「いた!」

 

 シンヤ「すぐにモリーのところに届けよう!」

 

 リコ「うん!」

 

 倒れていたワッカネズミのパートナーを見つけたシンヤたちは、すぐに倒れていたワッカネズミを抱き上げ、モリーのところに運んで行った。

 

 シンヤ「モリー、頼む」

 

 スッ(パートナーのワッカネズミ)

 

 モリー「OK」

 

 リコ「よかった」

 

 ワッカネズミ「ミッミッ…」

 

 シンヤ「ん?」

 ピカチュウ「ピィカァチュウ?」

 

 リコ「ワッカネズミ、どうしたの?」

 ニャオハ「ニャァ?」

 

 リコ「さっきの子なら外にいるよ。今モリーたちが見てくれてるよ」

 シンヤ(……待てよ。確か、ワッカネズミって進化すると…)

 

 シンヤたちがパートナーのワッカネズミを見つけ出すと、洞窟の外にいるモリーに渡したので、これで解決かと思った時、ワッカネズミが泣きながら、洞窟の奥に向かって叫び声を上げた。

 

 シンヤ「この奥に、ワッカネズミの仲間がいるのかもな」

 リコ「えっ⁉︎」

 

 モリー「2人ともどうしたの?早く出ておいで」

 

 リコ「モリー。もしかしたら洞窟の奥に、まだ怪我をしたワッカネズミの仲間がいるかもしれない」

 

 モリー「えっ?」

 

 リコ「私とシンヤは奥に行ってくるから、ミブリムをお願い!」

 

 モリー「リコ……シンヤ、リコを頼んだよ!」

 

 シンヤ「ああ、分かってる!」

 

 泣いているワッカネズミの反応を見たシンヤは、おそらく洞窟の奥に、まだワッカネズミの仲間がいるかもしれないと言うと、リコはミブリムを下におろし、モリーにミブリムを頼むと、シンヤたちと一緒に洞窟の奥に進んで行き、モリーとラッキーはワッカネズミのパートナーの治療を始めた。洞窟から出てきたミブリムは、洞窟の中を見て何かを考えた後、ワッカネズミの治療をしているモリーたちを見て、もう一度洞窟の方を振り向くと、大声を出してラッキーを呼んだ。

 

 ミブリム「ミーッ!ミッ、ミーッ!」

 ラッキー「ラッキ。……ラッキー!」

 

 モリー「ラッキー、どうしたの?」

 

 ラッキーがミブリムの元にやってくると、ラッキーはお腹のポケットの中の卵を取り出し、それをミブリムに渡すと、ミブリムは卵を受け取った。モリーは、ミブリムが卵をリコたちに届けようとしていると理解すると、医療キットに入っていたタオルを取り出し、卵をタオルにくるめて、それをミブリムに背負わせた。

 

 モリー「これでよし。卵をリコたちのところに運んであげて」

  

 ミブリム「ミッ!」

 

 洞窟の中

 

 (分かれ道)

 

 リコ「分かれ道…」

 シンヤ「ワッカネズミ。どっちに行けばいいんだ?」

 

 ワッカネズミ「ミィ…ミィ…」

 

 バタリッ(ワッカネズミが倒れる)

 

 ニャオハ「ニャー?ニャー⁉︎」

 

 ピカチュウ「ピッカッ⁉︎」

 

 シンヤ「やっぱり、まだ体力が完全に回復してないんだ」

 

 リコ「シンヤどうしよう?」

 

 シンヤ「このままじゃ、ワッカネズミが危ない。一度モリーに診せる為に、出口に…」

 

 ミブリム「ミーッ!ミーッ!」

 

 シンヤ「この声って!」

 リコ「まさか⁉︎」

 

 ワッカネズミの案内で、洞窟の中を進んでいたシンヤとリコは、奥に進んで行くと、右と左に分かれている道にさしかかり、ワッカネズミにどっちに行けばいいのかと聞いたが、ワッカネズミはその場で倒れてしまう。すると、シンヤたちはワッカネズミをモリーに診てもらおうと、倒れたワッカネズミを抱き上げ、歩いてきた道を戻ろうとすると、シンヤたちの歩いてきた道から、ポケモンの鳴き声が聞こえてきた。シンヤたちが後ろを振り向くと、そこには、ラッキーの卵を背負いながら、シンヤたちの方に走ってくるミブリムがいた。

 

 リコ「ミブリム⁉︎何で?外に出たんじゃなかったの?」

 

 シンヤ「あれはラッキーの卵!もしかして、ワッカネズミのために、卵を運んできてくれたのか?」

 

 ミブリムがラッキーの卵を背負ってここまで来てくれたのは、シンヤたちにとってもラッキーだった。ラッキーの卵を食べさせれば、ワッカネズミは体力が回復出来る。そう思っていたシンヤとリコだが、ミブリムはシンヤたちの横を通り過ぎて行き、分かれ道の前で足を止めると、体を震えさせていた。

 

 シンヤ「ミブリム。お前さ、ワッカネズミが助けたがってるポケモンたちの気持ちを感じているのか?」

 

 リコ「ミブリム。無理はしないでね?」

 

 ミブリム「ミーッ…」

 

 ミブリムはしばらく、分かれ道の真ん中に立っていたが、しばらくすると右の道を歩いて行った。恐らくミブリムは、右の道にいるワッカネズミの仲間の気持ちを感じたのだろうと、シンヤとリコは思った。そして、シンヤとリコは、ミブリムの後を追って右の道を進んで行った。そして、シンヤとリコが洞窟の奥を進んで行くと…

 

 イッカネズミの子供「ミィ…」

 イッカネズミの子供2「ミィ…」

 

 リコ「いた!しかも2匹も!」

 

 シンヤ「これは、イッカネズミの子供だ!」

 

 リコ「イッカネズミ?」スッ(スマホロトムを取り出す)

 

 イッカネズミ ファミリーポケモン ノーマルタイプ ワッカネズミの進化形

 

 いつの間にか2匹の子どもが増えていた。 家族のようにも見えるが、真相は分からない。

 

 リコ「この子たち、ワッカネズミじゃなくて、イッカネズミだったんだ!」

 

 シンヤ「恐らく、俺が抱っこしているワッカネズミと、モリーの治療しているワッカネズミは親で、親のイッカネズミたちは、この子供たちを助けたかったから、俺たちをこの中に案内したんだ。そして、その気持ちをミブリムが感じ取り、ここまで案内してくれたんだろう。そうだろうミブリム?」

 

 ミブリム「ミーッ!」コクッ

 

 シンヤ「よし!リコ、イッカネズミの子供たちを運んで、すぐにここから出るぞ!」

 

 リコ「うん!」

 

 バキバキ(天井にヒビが広がる音)

 

 リコ「何?」

 

 シンヤ「まずい!天井が崩れる!」

 

 ドドドッ(天井の壁が崩れる音)

 

 リコ「危ない!」

 

 ニャオハ「ニャーオ!ハーーッ!」

 

 シンヤ「ピカチュウ!「アイアンテール!」」

 

 ピカチュウ「チューウ!ピッカッ!」

 

 ドォォォン!

 

 リコ「ありがとうニャオハ」

 ニャオハ「ニャオハ!」

 

 シンヤ「助かったぜ。ピカチュウ」

 ピカチュウ「ピーカッ!」

 

 シンヤとリコがイッカネズミの子供たちを運ぼうとしたその時、天井の壁にヒビが広がっていき、その直後に天井の壁の岩が崩れてきた。リコは咄嗟に身を挺して、イッカネズミの子供たちを守ろうとした。すると、シンヤはピカチュウに「アイアンテール」を指示して、ニャオハは「このは」を発動した。ピカチュウとニャオハが岩を粉々にしてくれたお陰で、シンヤたちは怪我をせずに済んだ。しかし、シンヤたちが歩いてきた道が、崩れた岩によって埋まってしまった。

 

 リコ「帰り道が埋まっちゃった」

 

 シンヤ「大丈夫。ルカリオの「あなをほる」で外に脱出すれば……あれ?」

 

 リコ「シンヤ、どうしたの?」

 

 シンヤ「……すまん。モンスターボールを部屋に忘れてきた」

 

 リコ「ええーーーっ⁉︎」

 

 シンヤ「本当にすまん!モリーの健康診断の後、咄嗟にワッカネズミを追ったから」

 

 リコ「スマホロトムは?ナナカマド博士にポケモンを転送してもらえば?」

 

 シンヤ「それが、スマホロトムも部屋に置いてきて、ピカチュウ以外なにも無い。リコのスマホロトムでは、俺のポケモンは転送出来ないし」

 

 リコ「そんな!」

 

 どうやらシンヤは、自分の部屋にスマホロトムと、ポケモンたちが入っているモンスターボールを置いてきてしまったようだ。シンヤたちは脱出方法も無くなり、完全に洞窟の中に閉じ込められてしまった。しかしこのままでは、また岩が崩れてくる可能性もある。それに、イッカネズミの親と子供たちの体力も減ってきている。

 

 ミブリム「ミーッ」

 

 スッ「ラッキーの卵」

 

 リコ「そうだね。ラッキーの卵を食べれば、イッカネズミの体力は回復するかも」

 

 シンヤ「いや、無理だ」

 

 リコ「どうして⁉︎」

 

 シンヤ「イッカネズミたちは体力が減ってきてるから、卵を食べる元気もないはずだ。卵を切ったりしようにも、道具も無いから、それも出来ない」

 

 リコ「そんな。じゃあ、どうすればいいの?」

 

 シンヤ「…イッカネズミたちを助ける方法が、一つだけある」

 

 リコ「えっ⁉︎イッカネズミたちを助ける方法があるの⁉︎」 

 

 シンヤ「ああ、洞窟から出る方法はないけど、イッカネズミたちを助ける方法だけはある」

 

 リコ「教えて!その方法を!」

 

 シンヤ「……「いやしのはどう」だ」

 

 リコ「「いやしのはどう」……あっ!」

 

 イッカネズミたちを助ける方法が「いやしのはどう」だとシンヤに言われると、ラッキーが「いやしのはどう」を使って、ツボツボの足の怪我を治した時のことをリコは思い出した。

 

 リコ「ミブリム……今ここで、「いやしのはどう」をやってみよう」

 

 ミブリム「ミッ?」

 

 シンヤ「リコ、俺はイッカネズミを助ける方法が、「いやしのはどう」とは言ったけど、ミブリムはまだ「いやしのはどう」を覚えてないだろ?」

 

 リコ「うん。確かにミブリムは、まだ「いやしのはどう」を覚えてないけど……私は、ミブリムが「いやしのはどう」を使えるって信じてる!」

 

 シンヤ「ぉっ……フッ、そうだな。自分のポケモンを信じるのは、トレーナーとして当たり前のことだよな」

 

 リコ「うん!ミブリム、あなたなら「いやしのはどう」が出来るよ!」

 

 ミブリム「ミッ……ミッ!ミッミッ、ミーッ!」

 

 このままでは、イッカネズミたちの命が危ないため、リコはこの場で、ミブリムに「いやしのはどう」をやってもらおうとした。ミブリムは少し不安がっていたが、リコの励ましもあり、「いやしのはどう」を発動させようとしていて、シンヤもミブリムの可能性に賭けてみることにした。その時、ミブリムの耳の先端が緑色に光り始める。

 

 リコ「これって?」

 

 シンヤ「「いやしのはどう」だ!ミブリム、「いやしのはどう」を覚えたんだ!」

 

 ピカチュウ「ピーカッ!」

 リコ「凄いよミブリム!」

 

 ミブリムが「いやしのはどう」を覚えて喜んだシンヤたちは、「いやしのはどう」を続けているミブリムを見ていると、緑の光はそのままオーラになってイッカネズミたちを包み込んだ。そして、光のオーラが消えると、イッカネズミたちの傷は消えていて、イッカネズミたちは立ち上がり、元気に喜びの声を上げた。

 

 イッカネズミの親「ミィ!」

 イッカネズミの子供「ミィ!」

 イッカネズミ子供2「ミィ!」

 

 シンヤ「ミブリムのお陰で、イッカネズミたちは元気になったな!」

 

 リコ「うん!ミブリム、本当に凄いよ!「いやしのはどう」を覚えたんだね!」

 

 ニャオハ「ニャァ!」

 

 ピカチュウ「ピィカァー!」

 

 シンヤ「後はここを出られればいいんだが…」

 

 リコ「あっ、そうだった」

 

 イッカネズミたち「「「ミィー!」」」

 

 シンヤ「んっ?どうしたイッカネズミ?」

 

 ミブリムが「いやしのはどう」を覚えたお陰で、イッカネズミたちは助かったが、シンヤたちが洞窟の中から出られない状況は変わらなかった。そして、シンヤがどうやって洞窟から出るかを考えていると、突然イッカネズミたちが声を上げる。そして外では、モリーがフリードたちに連絡を取ってくれていて、モリーから事情を聞いたフリードたちは、シンヤたちを助けるために、倒れている木にロープを巻いて、それを船のメンバー全員で引っ張ろうとしていた。

 

 洞窟の外

 

 フリード「みんな準備はいいか?」

 

 全員「「「ああ!」」」

 

 フリード「せ〜の!」

 

 全員「「「フンッ‼︎」」」

 

 ズズズズッ!(洞窟の入り口に倒れている木を引っ張る)

 

 ロイ「やった!」

 

 フリード「よし!これで洞窟に入れる!」

 

 フリードたちは全員で力を合わせ、洞窟の入り口に倒れている木を引っ張り、洞窟の中に入れる道を作ると、洞窟の中に入ってシンヤたちを捜しに行こうとした。すると…

 

 リコ「ちょっと待って!」

 シンヤ「こっちこっち!」

 

 モリー「リコ!」

 フリード「シンヤ!」

 

 フリードたちが洞窟の中に入ろうとした時、シンヤとリコがフリードたちに声をかけた。そして、フリードたちがシンヤとリコの声の聞こえてきた方に顔を向けると、フリードたちがいる場所から少し離れた崖下に、大きな穴が広がっていた。そしてそこには、イッカネズミを抱き上げているシンヤとリコがいて、シンヤとリコの足元には、ピカチュウとニャオハ、それにミブリムがいた。

 

 フリード「どうしてそんな所に?さっきここら辺を調べたが、出入り口はお前たちが入った道しかなかったぞ」

 

 シンヤ「イッカネズミたちのお陰さ。イッカネズミたちが、ミブリムの「いやしのはどう」で元気になった後、洞窟の中を掘って進んでくれて、大きな出入り口を作ってくれたんだ」

 

 リコ「その後を進んだら、ここに出られたの」

 

 フリード「そうか。みんな無事でよかった!」

 

 モリー「ミブリム、「いやしのはどう」を覚えられんだ。おめでとうミブリム」

 

 ミブリム「ミーッ!」バタンッ(ミブリムが倒れる)

 

 リコ「あっ!ミブリム!」

 

 シンヤ「大丈夫。気力を使い過ぎて倒れただけだ。イッカネズミたちの気持ちを感じ取ったり、「いやしのはどう」を使ったりで、ミブリムは疲れたんだろう」

 

 リコ「そっか。ありがとうミブリム。頑張ったね」

 

 こうして、イッカネズミたちを助けることができたシンヤたちは、ブレイブアサギ号に戻って行った。そして、イッカネズミたちがまだ完全に体力が回復しているか分からないため、モリーがイッカネズミをブレイブアサギ号に連れて行き、救護室で検査をしようとしたのだが…

 

 ブレイブアサギ号・救護室

 

 モリー「こら!少しはじっとしてな!」タッタッ!

 

 イッカネズミたち「「「ミィーッ!」」」タッタッ!

 

 モリー「まだ検査の途中なんだってば!」

 

 シンヤ「あれだけ元気に走れれば、もう大丈夫だろう」

 

 ピカチュウ「ピーカッ」

 

 リコ「イッカネズミとワッカネズミって、似てるようで違うポケモンなんだね」

 

 シンヤ「ああ、ワッカネズミは2匹だけど。進化してイッカネズミになると、親子の4匹、あるいは3匹になるんだ」

 

 リコ「図鑑には、親子か分からないって」

 

 シンヤ「そこは俺にも分からないんだ。ポケモンの不思議な謎だな」

 

 こうしてブレイブアサギ号に、新たな仲間のイッカネズミたちが加わり、シンヤたちはパルデア地方に向けて旅を続けた。

 

 To be continued

 

 次回予告

 

 ある日。ドットが部屋で動画の撮影をしていると、突然撮影用の機材が壊れてしまい、動画の撮影が出来なくなってしまった。しかし、偶然次に向かう街が、工業製品で有名なテツロンタウンという場所だったので、ドットはそこで機材を調達することにした。そして、ドットはそこであるポケモンと出会った。

 

 次回「ドットとカヌチャン。こだわりハンマーの思い!」

 





 路徳さん、5星評価ありがとうございます。
 リーサさん、8星評価ありがとうございます。
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