ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり 作:通りすがりのポケモントレーナー
テラパゴスのことを調べる為に、パルデア地方に向かって旅を続けている、シンヤたちライジングボルテッカーズ。新たな仲間のイッカネズミも加わり、ますます賑やかになっていくブレイブアサギ号。そして今日今日は、ぐるみんがライブ配信をしているようだ。
ブレイブアサギ号・ドットの部屋
ぐるみん「よ〜っす!ポケモントレーナーのみんな、ぐる〜びんしてる?」
クワッス「クワッス!」
ぐるみん「ぐるみんのライブ配信の時間なのだ〜!今日も一緒に、ポケモンについて、みんなで楽しく学んで…」
ザザッ(ノイズの音)
ぐるみん「あれ?音が…」
シュウウウ〜(パソコンから煙が噴き出す音)
ぐるみん「も、もしかして!」
ドカァーーン!(パソコンが爆発する音)
パルデア地方に向かって進んでいるブレイブアサギ号の中で、ぐるみんがライブ配信をしていたようだが、突然機材から煙が噴き出した。すると次の瞬間、機材が爆発したのだった。ぐるみんのライブ配信を見ていたシンヤとリコは、ドットに何かあったのではと心配になり、ドットの部屋の前にやってきた。
ドットの部屋の前
コンッコンッ(ドアをノックする音)
リコ「大丈夫?何があったの?」
シンヤ「爆発音がしたけど、大丈夫か?」
ドット「あ〜ちょっと待っ!うわぁ⁉︎」
リコ「は、入るね」
ガチャ(扉を開ける音)
ドット「プハッ」(ぐるみんの着ぐるみを脱ぐ)
リコ「うわぁ!み、見てないよ!ぐるみんはぐるみんだから、中に人なんていないから〜」
シンヤ「それはもういいって。ドット、大丈夫か?」
ドット「うん。だけど、今日の配信は中止だな…」
シンヤたちがドットの部屋のドアを開けると、ドットがぐるみんの着ぐるみを脱いだタイミングだったので、それを見たリコは慌てて顔を隠した。どうやら、パソコンにトラブルが起こってしまったため、ドットはライブ配信を中止することにしたようだ。その後フリードに呼ばれたシンヤたちは、ミーティングルームに移動し、これからのことを話し合っていた。
ミーティングルーム
フリード「次に向かう街は《テツロンタウン》だから。物資の補給を頼む」
オリオ「良かった!ちょうど船の修理に使う鉄が足りなかったんだ!」
リコ「テツロンタウンって?」
モリー「機械なんかの工業製品で有名な街だよ。機械の材料を扱ってる店が多いんだ」
リコ「そうなんだ」
シンヤ「ブレイブアサギ号って、鉄を使って修理するんだ」
オリオ「もちろんだよ!鉄は船の修理に欠かせないからね」
シンヤ「なるほどね」
ロトロトロト…ロトロトロト…ピッ
シンヤ「ドットからだ。どうした?」
ドット『街に行くなら、マイクを買ってきて!コンデンサータイプでカーディオイド。単一指向性のを頼むよ』
シンヤ「ちょ、ちょっと待って、コンデン?カーディ?たんいつしこ?」
リコ「ドット。シンヤが混乱してるから、ちょっと待って…」
ドット『マイクの種類だよ。マイクが壊れちゃって、配信出来ないから困ってるんだ』
シンヤ「前にも言ったけど。俺、スマホロトムならまだしも、機械は苦手なんだよ。パソコンだって満足に使えないし」
リコ「私は、そのへん疎いからなぁ」
シンヤ「ドットが直接店に行って、マイクを見たほうが早いだろ。一緒にテツロンタウンに行こうぜ」
リコ「そうだよ。ドットも一緒に行こうよ!」
ドット『えっ、いや、それは、ちょっと』
ロイ「いいじゃん、一緒に行こうよ!」
マードック「ダメダメ!ドットにはやってもらうことがたくさんあるんだ。ましてや、街で買い物なんて…」
シンヤ「……まさかさ。ドットって生まれてから、一度も買い物に行ったことが無いなんて…言わないよね?」
マードック・ドット『「ッ!」』
リコ「シンヤ、いくらドットでも」
ロイ「1回も買い物に行ったことが無いなんてありえないよ。ねぇ、ドット、マードック」
ドット『えっと…』
マードック「それは…」
シンヤ「……図星か」
ピカチュウ「ピーカッ」
リコ「嘘!」
ロイ「一回も買い物に行ったことないの?」
シンヤ(部屋に籠ってぐるみんの配信ばかりしてるせいだな)…「偶には外に出ろよ。部屋に籠ってばかりだと、体に悪いぞ」
ドット『むむむ……分かった。一緒に買い物に行くよ』
こうして、物資の補給をするために、シンヤたちはテツロンタウンに向かうことになり、テツロンタウンの近くの砂地にアンカーを放出して船を着陸させた後、ドットは壊れたマイクの代わりを買うために、シンヤたちと一緒にテツロンタウンに歩いて行った。
テツロンタウン・部品売り場
シンヤ「替えのマイクが見つかってよかったな」
リコ「うん。マイクが無事に買えてよかったね。ドット」
ドット「これぐらい出来て当然だよ」
シンヤ「よし、買い物も終わったし、船に戻るか」
ドット「あっ、ちょっと待って!僕、行きたい所があるんだ」
シンヤ「行きたい所?」
ロイ「どこに行くの?」
ドット「ついてくれば分かるよ」
テツロンタウンの部品売り場で、ドットが替えのマイクを買うことができたので、シンヤが船に戻ろうと言った時、ドットが行きたい所があると言い出した。そして、ドットと一緒にテツロンタウンの中をしばらく歩き続けると、そこには、ドットがさっき買った新品のマイクのような物とは逆で、古いテレビなどが売られていた場所にやってきた。
テツロンタウン・専門エリア
ロイ「ここは?」
ドット「《専門エリア》だよ。ここには、よりマニアックなものが売ってるんだ」
ロイ「面白そう!」
リコ「早速行ってみよう!」ダッ
ドット「あっ、ちょっと」
シンヤ「リコまで……ドット、俺たちも行こう」
ドット「うん」
ドットが行きたがっていた場所は、テツロンタウンの専門エリアだった。売られている電化製品を見てみると、かなり古い電化製品ばかりが並んでいて、リコやロイは、興味深そうに電化製品を見ていた。
リコ「これって、昔のテレビ?すごい大きいけど…」
シンヤ「これが最初のテレビなんだよ。このダイヤルを回すと、テレビの電源がつくんだ。昔はリモコンも無かったしな」
リコ「へぇ、シンヤ詳しいね」
シンヤ「前に見たことがあるからな。このテレビって、ダイアナさんぐらいの年齢の人が、俺たちぐらいの頃に売り出された物らしい」
リコ「そうなんだ。じゃあ、おばあちゃんもこれでテレビを見てたのかな?」
シンヤ「多分な。今はスマホでもテレビが見られるから、いい時代になったと思うぜ」
ロイ「ねぇシンヤ、これは何?」
シンヤ「ああ。それはラジカセといって、そこにあるカセットテープを入れて音楽を聴くんだ」
ロイ「凄い!こんなので音楽を聴いてたんだ」
シンヤがリコとロイに昔の電化製品の説明をしていると、ドットは動画の小道具のマイクを見ていた。
ドット「これ、動画の小道具にいいかも。うん、これください」
店の店員「まいど!」
クワッス「クワッ?クワッ!」
ドット「どうしたクワッス?……あれ?リコとロイは?」
シンヤ「えっ?リコとロイならそこに……あれ?」
ピカチュウ「ピーカッ?」
ドットが動画の小道具のマイクを買っていると、クワッスに声をかけられた。ドットは近くで古いテレビを見ていたシンヤに、リコとロイはどこにいるのかと聞くと、リコとロイが自分のそばからいなくなってることにシンヤは気づいた。そして、周りを見てもリコとロイがいなかったため、シンヤとドットたちは、リコとロイを捜すためにテツロンタウンを歩き回った。
ドット「どこに行ったんだ?」
シンヤ「さあな……しょうがない。こうなったらスマホロトムで連絡を」スッ(スマホロトムを取り出す)
ドット「ちょっと待った!」
シンヤ「えっ、何?」
ドット「こっちから連絡したら、僕たちが迷子だと思われるよ」
シンヤ「いや、はぐれたのはリコたちだし、俺がちゃんと後で説明するから。連絡を入れ…」
???「こら!またか!」
ドット「うん?」
クワッス「クワッ?」
シンヤ「何だ?」
ピカチュウ「ピーカッ?」
はぐれたリコたちを捜していたシンヤたちだったが、シンヤはこのままでは埒が開かないと思い、スマホロトムを取り出し、リコに連絡しようとした。すると、シンヤたちのいる路地の奥から、男の怒鳴り声が聞こえてきたので、気になったシンヤたちは路地の奥を進んで行った。
テツロンタウン・工場
工場の作業員「いい加減に離せ!」
???「カッ!」
シンヤ「あのポケモンは!」
シンヤたちが路地を進んで行くと、そこにはハンマーを持っている作業員の男性と、その男性の持っているハンマーを掴んでいるピンク色のポケモンがいて、男はハンマーを掴んでいるポケモンを力ずくで振り払った。
工場の作業員「何度言ったら分かるんだ!この鉄はうちの鉄で、勝手にハンマーを作っちゃダメなんだ!分かったな!」
???「カッ……カヌッ」
工場の作業員「もう二度と来るなよ!」
作業員の男性がその場を去ろうすると、ピンク色の体をしたポケモンが男性の後を追いかけようとすると、ポケモンはつまづいてこけてしまい、手に持っていた自分のハンマーを落としてしまう。ドットはそれを拾うと、こけたポケモンの前に差し出した。
ドット「ほら、大丈夫か?」
???「カヌッ!」
バッ(ドットが差し出したハンマーを取る)
ドット「え〜、ハンマーを渡しただけなのに…」
シンヤ「コイツはカヌチャンってポケモンだ」
ドット「カヌチャン?」スッ(スマホロトムを取り出す)
カヌチャン かなうちポケモン フェアリー・はがねタイプ
鉄くずを叩いてハンマーを作る。納得がいく物が出来るまで、何度も作り直す。
ドット「カヌチャンか…」
カヌチャン「……カヌッ⁉︎」
(ドットの買ったマイク)
カヌチャン「カッ〜✨……カヌッ‼︎」
ササッ(ドットの買ったマイクを取る)
ドット「ちょっと待った!それ、買ったばかりのマイク!」
トントン(マイクを叩く音)
ドットがカヌチャンのことを図鑑で調べていると、カヌチャンはさっきドットが買った小道具のマイクを見て目をキラキラさせていた。すると、ドットが足元に置いたマイクを取った後、それを地面に置き、片手に持っていた自分のハンマーでマイクを叩き始めた。
ドット「マイクでハンマーを作るのか?」
シンヤ「ああ。図鑑の説明通りだな。さっき工場の作業員の人が怒ってたのは、こういうことが何回もあったからだろうな」
ドット「……ったく…変な奴」
クワッス「クワ?」
シンヤ「マイクをハンマーにされてるけど。いいのか?」
ドット「いいよ。あれじゃあマイクはもう使えないし…」
リコ「シンヤ〜!」
ロイ「ドット〜!どこ〜?」
シンヤ「リコとロイの声だ。行こう」
ドット「うん」
カヌチャンがドットの買ったマイクをハンマーにしていると、リコとロイが自分たちを捜している声が聞こえてきたので、シンヤとドットたちは、リコとロイと合流しようとその場を後にした。シンヤたちが路地の道を戻ろうとすると、カヌチャンはドットたちの方を見るが、マイクをハンマーにする作業を続けた。
テツロンタウン・路地の道
ロイ「ドット〜!」
ドット「ここだよ!」
リコ「シンヤまでどこに行ってたの?迷子になっちゃったかと思った」
シンヤ「いや、迷子はお前らのほうだからな。勝手にどっか行っちゃったし」
ロイ「うっ!それは…」
リコ「その…ごめんなさい」
シンヤ「…さあ、買い物が終わったなら、もう船に戻るぞ」
リコ・ロイ「「は〜い!」」
シンヤとドットは、リコとロイと合流するとブレイブアサギ号に戻って行った。その頃、カヌチャンはマイクをハンマーに作り終えていた。
カヌチャン「カーヌッ!」
(ハンマーを作り終える)
カヌチャンは手作りのハンマーを作り終えると、そのハンマーをドットに返すために、ドットの元に行こうとしていた。
ブレイブアサギ号
ロイ「ただいま〜!」
マードック「おかえり!大丈夫だったか?怪我はないか?心配してたんだぞ!買い物も出来るようになったんだな!偉いぞ!」
ドット「大袈裟だよ」
シンヤ「マードックは過保護だから、ドットを甘やかしすぎなんだよ。ドットの為を思うなら、買い物ぐらい行ってもらわないと」
ピカチュウ「ピーカッ」
マードック「まあいいじゃないか。よし!今日はパーティーだ!何が食いたい?」
ロイ「僕、カレーがいい!」
リコ「いいね。カレーパーティー!」
ドット「昨日もカレー食べたじゃん」
シンヤ「本当にカレーが好きだね〜、2人とも」
シンヤたちがブレイブアサギ号に戻ってくると、マードックはドットが初めて買い物が出来た事に喜んでいた。そして、シンヤたちがスロープを登って船の中に戻って行くと、スロープの下の砂が少し盛り上がっていた。
ランドウの釣り場
ランドウ「波は穏やか。しかし、嵐の予感」
プチッ(釣り糸が切れる音)
ランドウ「嵐が、あら?静かにやってくる。嵐が、あらし、ずかに…」
テラパゴス「ファー!」(あくび)
物置部屋
イッカネズミたち「ミィー」
ズンッ!
イッカネズミたち「ミィー!」ダッ
ガラガラ(鉄が倒れる音)
イッカネズミたちが物置部屋で遊んでいると、そこになにやら、得体の知れない何かが船に入り込んで来て、それを見た途端イッカネズミたちは逃げ出してしまった。
そして数分後…
オリオ「さ〜て、たくさん買った鉄でどこから修理しようかな?水回りや天井か?いや、やっぱりエンジン回りかな。もうガタきてるもんな……えええ〜〜〜⁉︎」
オリオは船の修理をする為に、テツロンタウンで購入した鉄を取りに物置部屋に向かっていた。そして、スロープを降りて物置部屋にやってくると、オリオは突然大声を上げた。その声を聞いたランドウ以外の船のメンバーは、船底の物置部屋に向かった。
物置部屋
(ボロボロになった鉄)
シンヤ「これがさっき買った鉄か?」
ロイ「メチャクチャになってるし」
シンヤ「ほとんど無くなってるな」
オリオ「一体誰の仕業なの!怒らないから名乗り出なさい‼︎」
フリード「もう怒ってるけどな」
シンヤ(相当ご立腹だな)
シンヤたちが買い物から帰ってきて、オリオが船を修理しようと物置部屋に行くと、船の修理の為にテツロンタウンで購入した鉄がほとんど無くなっていて、残っているのは残骸ばかりだった。シンヤたちが物置部屋に行った時には、オリオは既にカンカンに怒っていた。
オリオ「マードック、アンタが鍋やフライパンにしたんじゃないでしょうね?」
マードック「は?いや、俺はずっと厨房にいたぞ!」
オリオ「だったらモリー?」
モリー「私が鉄を使って何をするっていうの?」
オリオ「それはそうだけど…」
シンヤ(この鉄の部分って、もしかして…)
ドット「鉄…もしかしたら」
船のメンバー全員が船下の物置部屋に集まっていた頃。ブレイブアサギ号によじ登ってきて、甲板に上がってきたポケモンがいた。そのポケモンは、さっきシンヤとドットが出会ったカヌチャンだった。
ブレイブアサギ号・甲板
カヌチャン「カヌッ」スタスタッ
ドンッ(何かにぶつかる)
カヌチャン「カヌ…カッ?」
アローラベトベトン「ベト?……ベトー!」
カヌチャン「カーーーッ!(涙)」
アローラベトベトン「ベト〜〜⁉︎」
カヌチャンは甲板に登ってくると、ドットを捜そうと船の甲板を歩き始めた。するとカヌチャンは、なにやら柔らかい物体にぶつかる。その物体の正体は、アローラベトベトンだった。カヌチャンはぶつかったアローラベトベトンを見ると、びっくりして大声を上げてしまい、その場から逃げてしまう。そして、アローラベトベトンはカヌチャンの大声にびっくりしてしまい、気を失ってその場に倒れてしまう。アローラベトベトンから逃げたカヌチャンは、船の中に入って行くと、開いていた部屋の中に逃げ込んだ。だがそこには…
機関室
マグマッグ「マグッ?」
トロッゴン「トゴー!」
カヌチャン「カヌカヌ……カーーッ!」
カヌチャンが逃げ込んで入った部屋は、ブレイブアサギ号の機関室だった。カヌチャンが機関室の中に入ると、マグマッグとトロッゴンがカヌチャンを見てきたので、カヌチャンは泣きながら大声を出すと、機関室から飛び出てきた。
ブレイブアサギ号・物置部屋
ドット「何だ?これ?」
クワッス「クワ?」
シンヤ「穴だな。しかも大きい」
ピカチュウ「ピーカッ」
ドット「ポケモンの仕業なのか?でも、カヌちゃんには出来そうにないよな」
シンヤ「ああ。カヌチャンがやったにしては、穴が大きすぎる」
カヌチャンが船を走り回っている頃。シンヤとドットは、物置部屋の奥に大きく開けられた穴を見つけた。しかし、こんな大きな穴は物置部屋には無かったから、誰かがこの穴を開けたのではないかと、シンヤとドットはそう考えていた。ドットとシンヤは、穴を開けたのはポケモンの仕業だと考えていて、ドットはさっき出会ったカヌチャンのことを考えていたが、カヌチャンには、こんなことは出来そうにないと思っていた。そしてシンヤも、穴を開けたのはカヌチャンではないと思っていた。それから船を走り回っていたカヌちゃんは、電気が消えている通路に走ってきた。すると、カヌチャンのいる反対の方向から、変な形をした影が近づいてきたので、カヌチャンは泣きながら走って逃げてしまう。
カヌチャン「カカ……カーーッ!」
エレキッド「ビッ?」
メタグロス「メタッ?」
カヌチャンが通路で見た影の正体は、エレキッドとメタグロスが戯れて重なった影だった。
ブレイブアサギ号・物置部屋
ドット「この穴を開けたのって一体?」
シンヤ「それは…」
カヌチャン「ヌチャァァアーー!(涙)」
シンヤ「⁉︎この声って…まさか!」
ピカチュウ「ピッカッ!」
ドット「まさか、カヌチャン?」
クワッス「クワッス!」
シンヤとドットが物置部屋で、大きな穴を開けたのは誰なのかと話し合っていると、突然船の中から、カヌチャンの叫び声が聞こえてきた。シンヤとドットはその声がカヌチャンだと分かると、カヌちゃんを捜しにスロープを登って行った。するとそこに、泣きながら階段を降りてくるカヌチャンの姿があった。そして、ドットは階段を降りてくるカヌチャンを捕まえると、カヌチャンを地面に下ろした。
カヌチャン「ヌチャ」
シンヤ「やっぱりカヌチャンだったか」
ドット「お前、何でこの船に?」
カヌチャン「カヌチャン!」
スッ(マイクから作ったハンマー)
シンヤ「これってもしかして、さっきドットが買ったマイク?」
ドット「えっ?あのマイクをハンマーに作り直したのか?」
カヌチャン「カヌッ!」コクッ
シンヤ「もしかして、それをドットに返すためにここまで来たのか?」
カヌチャン「カヌッカヌッ」コクッ
ドット「そうだったのか。……でも、それはお前にやるよ」
カヌチャン「カヌッ?」
ドット「頑張って作っていいハンマーにしたんだろう。大事に使ってくれよ」
カヌチャン「カッ……カヌッ!」
ドット「ねぇシンヤ、あの穴を開けたのも、物置部屋の鉄をあんな風にしたのも…」
シンヤ「ああ、カヌチャンじゃない。他に犯人がいるはずだ」
カヌチャンは、マイクから作ったハンマーをドットに返そうとしたが、それは頑張ってカヌチャンが作ったからとドットが言うと、カヌチャンはハンマーを握りしめて喜んでいた。すると、シンヤたちのいる場所に、リコとロイがやってきた。
リコ「シンヤ、ドット、その子は誰?」
ロイ「ポケモンだよね?」
シンヤ「あっ、リコ、ロイ」
ドット「コイツはカヌチャンっていって、僕にハンマーを返しに来たんだ」
シンヤ「カヌチャンは、鉄からハンマーを作り出せるポケモンなんだよ。さっき、ドットが買ったマイクをハンマーに作り…」
マードック「鉄を⁉︎」
シンヤ「お、マードック」
マードック「まさか、ソイツが鉄をあんなにボロボロにした犯人か⁉︎」
シンヤ「ああ、それは…」
カヌチャン「カヌッ!」ダッ
マードック「あっ、逃げた!」
ロイ「追わなきゃ!」
リコ「うん!」
ドット「おい、犯人はカヌチャンじゃないって!」
シンヤ「……ドット、カヌチャンのことは頼む。俺はフリードの所に行ってくるから」
ドット「えっ!わ、分かった!」
シンヤがカヌチャンの特徴をリコとロイに説明しようとすると、そこにマードックがやってきて、カヌチャンが物置部屋の鉄をボロボロにした犯人だと勘違いをしてしまい、マードックたちに詰め寄られたカヌチャンは、その場から逃げ去ってしまう。マードックたちが逃げたカヌチャンを追いかけると、シンヤはフリードの所に行ってくるからと、ドットにカヌチャンのことを任せた。それからカヌチャンは、マードックたちから逃げ回り、ミーティングルーム・船の甲板、最後に物置部屋に逃げて行ったが、物置部屋には、モリーとオリオが居たため、カヌチャンは逃げ道がなくなってしまった。
ロイ「逃がさないよ!」
オリオ「何?みんなどうしたの?」
マードック「ソイツが鉄をボロボロにした犯人だ!」
モリー「この子が?」
カヌチャン「カヌ……(涙)」
ドット「待って!」
リコ「ドット」
ドット「カヌチャンは犯人じゃない!カヌチャンは、作ったハンマーを僕に返そうと、この船に来ただけなんだ!それに、あっちには大きな穴が開いてた。他の何かがこの船の中にいるんだ。鉄をあんな風にした。真犯人が!」
逃げ道がなくなり、マードックたちに囲まれたカヌチャンは、今にも泣き出しそうな顔をしていた。すると、ドットがカヌチャンの前に立ち、カヌチャンは犯人じゃないと、ここにいる全員に必死に強く伝えた。すると、そこにシンヤとフリードがやってきて、2人の肩にはそれぞれ、ピカチュウとキャプテンピカチュウが乗っていた。
フリード「ああ、ドットの言う通りだ。カヌチャンは犯人じゃない」
シンヤ「カヌチャンが犯人だったら、鉄はあんなにボロボロにはならないからな」
リコ「シンヤ、フリード」
ロイ「どうしてそう思うの?」
シンヤ「カヌチャンが犯人じゃない証拠が3つもあるからだ」
リコ「3つの証拠?」
シンヤ「ああ。一つ目の証拠は、カヌチャンが鉄をあんな風にボロボロにしたなら、そこら辺に作ったハンマーが何個かあるはずだ。ドット、さっき買ったマイクを覚えてるよな?」
ドット「えっ、うん。小道具のマイクでしょ?」
シンヤ「そう。それが今、カヌチャンが手に持っている、マイクから作り直したハンマーだ。小道具のマイクでそんな小さいハンマーが作れるなら、鉄から作ったハンマーが、何個かここに落ちていてもおかしくない」
ドット「あっ、そっか!」
シンヤ「そして二つ目は、カヌチャンが鉄をハンマーに作り直していたら、カヌチャンがハンマーで鉄を叩く作業をする時に、トントンって大きな音が船の中に響くはずだ。でも、そんな音は聞こえてなかった。俺とドットは、さっきカヌチャンがマイクをハンマーに作り直す作業を見て、その時にトントンって音を聞いたからな」
ドット「そう言えば、カヌチャンがマイクを叩いた時にトントンって音がしてた」
シンヤ「そっ。そして最後の三つ目は、あの鉄がヒントなんだ」
リコ「鉄?」
フリード「そう。鉄は食べられたんだ。あの鉄には、ポケモンが齧った跡が残っていたからな」
シンヤ「カヌチャンは鉄をハンマーにする習性はあるけど、食べる習性はないからな。この3つが、カヌチャンが犯人じゃない決定的な証拠だ」
リコ「シンヤ凄い!」
ロイ「名探偵みたい!」
シンヤ「じゃあついでに、真犯人に登場してもらおうか」
リコ「えっ?真犯人に登場してもらうって?」
ドォォォォン‼︎
シンヤ・フリード以外の全員「「「えっ!」」」
シンヤがカヌチャンが犯人じゃない証拠を言い終え、鉄を食べた真犯人に登場してもらおうかと言うと、大きな穴が開いていた物置部屋の奥から、突然何かが爆発したような音が聞こえきて、そこから煙が上がった。そして、シンヤたちが煙が舞い上がった方を見ると、そこには体を紐で縛られて動けなくなっている、この船にはいないはずのポケモンがいた。
ミミズズ「ズズッ⁉︎」
シンヤ「アイツが鉄を食べたポケモンだ」
リコ「あのポケモンは」スッ(スマホロトムを取り出す)
ミミズズ ミミズポケモン はがねタイプ
乾燥した砂地に住んでいる。土の中の鉄分を食べて、金属の体を保っている。
オリオ「あれってもしかして、シンヤとフリードが仕掛けた罠なの?」
シンヤ「ああ、さっきマードックたちがカヌチャンを追いかけた時に、フリードと一緒に仕掛けておいたんだ」
フリード「想定より大物の《ミミズズ》だな」
ブチッ!(紐を噛みちぎる)
ミミズズ「カァッ‼︎」
シンヤ「やべぇ!」
フリード「来るぞ!みんな逃げろ!」
ミミズズは体を巻き付けていた紐を噛みちぎると、シンヤたちに襲いかかって来た。ミミズズの攻撃を避けるため、ドットがカヌチャンを抱えて後ろに下がろうとした時、カヌチャンは手に持っていたハンマーを落としてしまい、そのハンマーをミミズズが口に咥えて、そのまま船の下を掘り進んで外に逃げてしまった。
シンヤ「すげぇパワーだ…」
リコ「感心してる場合じゃないよ!」
カヌチャン「キュー…(涙)」
ドット「カヌチャン、ハンマーを取り返そう。頑張って作ったんだろう?」
カヌチャン「カ…カヌッ!」
ドット「よし、行こう!」
ガシャン(アンカーを切られる音)
リコ「うわっ!」
ニャオハ「ニャオハッ!」
荒野の砂場
ドット「みんな!」
ミミズズ「ズズッ〜」
ドット「お前、アンカーを切ったな!」
ドットとクワッスとカヌチャンは、ハンマーを取り返すため、ミミズズが開けた穴を通って船の外に飛び出してきた。しかし、ミミズズが外に出る前に、船のアンカーを噛み切ってしまったため、船はバランスを失って横に傾き始め、今にも倒れそうになった。すると、自分のリザードンに乗ったシンヤとフリードがやってきて、リザードンたちにアンカーを引っ張ってもらったことで、船はバランスを倒れずに済んだ。そして、船の甲板の上にリコたちがやってきた。
リコ「ドット!」
ロイ「ミミズズはどこに?」
シンヤ「土の中だ!」
ピカチュウ「ピーカッ」
フリード「ドット、こっちは俺たちでなんとかするから。お前はカヌチャンのハンマーを取り返せ!」
ドット「フリード……うん!自分スイッチ、オン!」
船はシンヤとフリードたちに任せ、ドットはカヌチャンのハンマーを取り返すため、カチューシャで前髪を上げると、ミミズズと1対1のポケモンバトルを始める。
ドット「クワッス!「みずでっぽう!」」
クワッス「クワッスゥゥ!」
こうして、カヌチャンのハンマーを取り返すためのバトルが始まった。最初にクワッスが「みずでっぽう」で攻撃を仕掛けるが、その攻撃をミミズズは素早くかわすと、カヌチャンの目の前にやってきた。そして、カヌチャンを揶揄うような顔をすると、濡れていない地面を進んで行った。それを見たドットは、ミミズズの弱点を瞬時に理解した。
ドット「そういうことか!クワッス、あっちに「みずでっぽう!」」
クワッス「クワッスゥゥ!」
ドット「それでいいんだ」
フリード「ほう…」
シンヤ「ミミズズの弱点に気づいたか」
ドット「もう一度「みずでっぽう!」」
クワッス「クワッスゥゥ!」
ロイ「どうしてミミズズの進んでる方向に、「みずでっぽう」を撃ってるんだろう?」
リコ「きっと、ドットは何かを狙ってるんだよ」
ドット「クワッス!まだまだ「みずでっぽう!」」
クワッス「クワッスゥゥ!」
ドットはクワッスに、ミミズズが進む方向に「みずでっぽう」を指示すると、クワッスは「みずでっぽう」を発射していく。これに何の意味があるのかとロイは思っていたが、リコは濡れている砂場を見て、すぐにその理由を理解した。
リコ「そうか!ミミズズが逃げられないように、追い詰めてるんだ!」
ロイ「どういうこと?」
オリオ「ミミズズは水に濡れれば、簡単に錆びてしまうポケモンなの」
マードック「それでさっきから、ミミズズの進んでいる道に、「みずでっぽう」を放っていたのか」
シンヤ「それにクワッスは、自分たちのいる周りに水を撒かなかった。だからミミズズはもう、ドットたちが今立っている、濡れていない砂場の前を進むしかない」
ミミズズ「ズズッ!」
ドット「掛かった!クワッス!「はたく!」」
クワッス「クワァァスッ!」
ダァァァァン!
ミミズズ「クッハ⁉︎」
プハッ(ハンマーを吐き出す)
ドット「今だ!カヌチャン!」
カヌチャン「カヌッカヌッ!」ダッ
ガシッ(ハンマーを取り返す)
カヌチャン「ヌーーッ!」
ドォォォォン(ミミズズの体にハンマーを叩きつける)
ミミズズ「クハーーッ⁉︎」
シンヤ「よし!」
ロイ「いいぞ!」
クワッスの「はたく」攻撃がミミズズに命中すると、ミミズズの口からハンマーが出てきた。そして、ミミズズの口から出てきたハンマーをジャンプして取り返したカヌチャンは、そのままミミズズに向かってハンマーを振り下ろし、思いっきりミミズズの体にハンマーを叩きつけた。すると、ミミズズはその場で気を失ったが、すぐに意識を取り戻すと、そのまま地面の中に逃げて行った。その後、ドットとクワッスはカヌチャンの側に駆け寄った。
ドット「カヌチャン!ハンマーを取り返せたな」
クワッス「クワッス!」
カヌチャン「カーー!」
それから時間は過ぎていき、気がつけば夕方になっていた。シンヤとドットはカヌチャンを見送るために船の前に行き、リコとロイとマードックは、カヌチャンに謝るために船の下に来ていた。
ブレイブアサギ号・スロープの前
リコ「カヌチャン、さっきは追いかけ回してごめんね」
ロイ「僕もごめん」
マードック「すまなかった。勝手に犯人だって決めつけて」
カヌチャン「カヌカヌッ」
シンヤ「じゃあ、船に戻るか」
ピカチュウ「ピーカッ」
ドット「カヌチャン、じゃあね」
カヌチャン「カヌッ…」
リコとロイとマードックがカヌチャンに謝ると、カヌチャンは許してくれた。その後、シンヤたちは船に戻ろうとするが、ドットは歩いている途中に足を止めてしまう。そしてカヌチャンは、ドットからもらったハンマーを握りながら、涙目でドットを見ていた。
カヌチャン「カヌ〜〜(涙)」
ドット「こういうとき、どうしたらいいんだっけ…」
リコ「……シンヤ」
シンヤ「大丈夫だ。答えはすぐに出る」
出会い方はどうであれ、ドットとカヌチャンの関係は、この数時間で大きく変化していた。リコはシンヤにどうすれば良いのかと聞くが、シンヤは大丈夫だとリコに言った。ドットとカヌチャンが別れを惜しんでいると、ドットの足元にいたクワッスがドットに声をかけた。
クワッス「クワッス!」
スッ(空のモンスターボール)
ドット「モンスターボール……クワッス」
クワッス「クワースƪ(˘⌣˘)ʃ」
シンヤ「ドット。クワッスには、お前の気持ちがお見通しみたいだぜ」
ドット「クワッス、シンヤ……カヌチャン。君をゲットしてもいいかな?」
カヌチャン「カッ!カヌッ‼︎」
コンッ(ハンマーでモンスターボールのボタンを叩く)
シュルルーン…ポワン…ポワン…ポワン…ポンッ!
ドットの気持ちを察したクワッスは、空のモンスターボールを持ってきて、それをドットに渡した。そして、手のひらを上に向けて、やれやれと言っているような顔をした。どうやらドットの気持ちは、クワッスにはお見通しだったようだ。そして、ドットがカヌチャンにゲットしていいかと聞いた後、モンスターボールを前に翳すと、カヌチャンはハンマーでモンスターボールのボタンを軽く叩くと、自分からボールの中に入って行き、モンスターボールの音が鳴り終わると、ドットはカヌチャンをゲットした。
ドット「ありがとう。でてこいカヌチャン!」
ポーーン
カヌチャン「カヌッ」
ドット「これからよろしくな。カヌチャン」
カヌチャン「カヌー。カーッ!」
シンヤ「なっ、すぐに答えが出たろ」
リコ「うん!」
オリオ「船の修理は増えたし、鉄をまた買うことになったけど」
モリー「それ以上に得るものも大きかったんじゃない?」
フリード「ああ、プライスレスだ」
マードック「子供の成長は本当に早いな。(涙)」
キャプテンピカチュウ「ピカ」
こうしてドットの手持ちに、新たな仲間のカヌチャンが加わった。それから数日後、ドットは久しぶりに、ぐるみんのライブ配信をした。
ドットの部屋
ぐるみん「よ〜っす、ポケモントレーナーのみんな!ぐる〜びんしてる?ぐるみんのライブ配信の時間なのだ!」
クワッス「クワーッス!」
ぐるみん「前回は機材が爆発して配信を休んだが。もう機材は爆発しないから安心してくれ!」
クワッス「クー!」
ぐるみん「更に嬉しいお知らせだ!ぐるみんとクワッスの新しい仲間を紹介するぜ!」
カヌチャン「カヌー!」
ぐるみん「カヌチャンだ!どうだ?すっげぇかっこいいハンマーだろう?カヌチャンは鉄に目がないポケモンなんだ」
コツン(ハンマーが着ぐるみのファスナーに当たる)
カヌチャン「カッ!✨」
ぐるみん「えっ⁉︎」
動画の投稿が始まると、早速ぐるみんとクワッスは、ぐるみんの動画の新メンバーのカヌチャンを紹介した。しかし、カヌチャンの持っていたハンマーが、ぐるみんの着ぐるみのファスナーに当たると、カヌチャンは目をキラキラしてファスナーに飛びついてしまい、中にいるドットの正体がバレそうになるとクワッスがカメラに飛びついたので、ライブ配信はまた中止になった。
シンヤ「ハハッ、これから大変だな」
ピカチュウ「ピーカッ」
To be continued
次回予告
ニャオハとホゲータのバトル中に、怪我をしてしまったリコ。ニャオハはリコを傷つけてしまったことを後悔すると、ある場所に向かった。そしてその後、ニャオハが向かった場所をランドウから聞いたシンヤとリコは、すぐにニャオハの後を追った。ニャオハを追ってシンヤたちがやってきたのは、リコのニャオハが育った場所だった。
次回「ニャオハとお別れ?明かされるニャオハの過去」
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