ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり 作:通りすがりのポケモントレーナー
ミミズズが開けた穴の修復をするため、しばらくの間、テツロンタウンの近くの砂地で船を停泊することにして、フリードたちブレイブアサギ号のメンバーは、朝から船の修復作業をしていた。
ブレイブアサギ号・スロープの下
コンコンコンッ(金槌で釘を叩く音)
シンヤ「朝から釘打ちの仕事かよ」
フリード「しょうがないだろ。穴を塞がないと、風が入ってきて危ないからな」
シンヤ「何で俺まで付き合わされるの?」
フリード「いいじゃねえか。前にロイの開けた穴を塞いだことがあるんだから、釘打ちは得意だろ」
シンヤ「そりゃあそうだけどさ」
オリオ「コラッ2人とも、口より手を動かす」
シンヤ・フリード「「はーい」」
カヌチャン「チャチャ、カーヌッ!」
ドット「ああ、カヌチャン!勝手に行くなって!」
クワッス「クワッス…」
フリード「ハンマーの材料の買い出しに行くのか」
シンヤ「ドットが一緒なんて珍しいな」
マードック「くぅぅ、自分から買い物に行くなんて、本当に成長したな。ドット(涙)」
シンヤ「泣くほどのことなのか?」
オリオ「マードックは過保護だからね」
シンヤとフリードとオリオ、そしてマードックの4人は、昨日ミミズズが開けた穴を塞ぐため、木の板に釘を打って穴を塞いでいた。ドットとクワッスは、昨日ゲットしたばかりのカヌチャンの面倒を見ていて、カヌチャンが作るハンマーの材料集めのために、テツロンタウンに向かった。
ブレイブアサギ号・甲板
リコ「ほら。ピカチュウ、ミブリム、綺麗になったよ」
ピカチュウ「ピーカッ!」
ミブリム「ミーッ!
そしてその頃。甲板では、リコがお湯の入っている泡だらけの小さいビニールプールに、テラパゴスとミブリムと、シンヤから預かったピカチュウを入れて、ピカチュウたちの体を洗っていた。テラパゴスはビニールプールの中ではしゃいでいたが、ミブリムとピカチュウはおとなしくしていた。リコはその間に、ピカチュウとミブリムの体を綺麗に洗い終える。そんなリコたちの様子を、ニャオハは近くで見ていた。
リコ「ウフフフ。あっ、ニャオハも体を洗う?」
ニャオハ「ニャー」プイッ
リコ「ニャオハ……」
リコがニャオハに体を洗うかと聞くと、ニャオハはリコの顔を見ようともせず、船の後ろに歩いて行ってしまう。するとニャオハは、森の中に建っている猫の形をした建物を見つけると、それをずっと見ていた。
ニャオハ「ニャー」
甲板
テラパゴス「パーゴ!パーゴ!」
シンヤ「あ〜疲れた。手がいてえ〜」
ピカチュウ「ピーカッ!」
シンヤ「おう、ピカチュウ。風呂に入ってサッパリしたか?」
ピカチュウ「ピッカッチュウ!」
シンヤ「そっか。ありがとなリコ。ピカチュウまで洗ってもらって」
ピカチュウ「ピーカッ」
リコ「ううん。ピカチュウおとなしかったから、大丈夫だよ。修復作業は終わったの?」
シンヤ「ああ。これでいつでも飛べるってフリードたちが言ってた。ほんと疲れたよ。ミミズズの開けた穴の修復作業」
リコ「フフッ、お疲れ様」
バッ!(突然現れる)
ロイ「リコ!ポケモンたちのお風呂が終わったなら、バトルしようよ!」
ホゲータ「ホゲ!」
リコ「うん、いいよ。行こうニャオハ!」
ニャオハ「ニャー?」
リコがポケモンたちを洗い終えると、船の修復作業を終えたシンヤが甲板に歩いてきた。フリードたちが言うには、これでいつでもブレイブアサギ号は空を飛ぶことができるようだ。そしてそこに、ロイとホゲータがやってきて、リコにポケモンバトルの相手を頼むと、リコがいいよと言うので、ポケモンバトルをするために、リコたちはウイングデッキに移動した。
ロイ「ホゲータ!「ひのこ!」」
ホゲータ「ホー…ゲーーッ!」
リコ「かわして「でんこうせっか!」」
ニャオハ「ニャー!ニャー、ニャー、ニャー!」
ロイ「「チャームボイス」だ!」
ホゲータ「ホッ、ホゲ〜〜ッ!」
リコ「ニャオハ、ホゲータから離れて!」
シンヤ「最初の頃に比べたら、リコもロイも本当に強くなったな。ニャオハとホゲータも進化する日が近いかもな」
ピカチュウ「ピーカッ!」
テラパゴス「パゴーッ!」
ミブリム「ミーッ?」
リコとロイのバトルを、バトルフィールドの中央で観戦していたシンヤは、最初の頃に比べると、リコとロイは本当に強くなったなと感心していて、ニャオハとホゲータがいつ進化してもおかしくないと呟いていた。すると、ウイングデッキの近くに、テラパゴスとミブリムがやってきて、テラパゴスがリコのいるところまで歩いて行き、ミブリムもテラパゴスの後について行く。
リコ「ニャオハ!「このは」いっぱい!」
ニャオハ「ニャオハッ!」
ロイ「そう来ると思ったよ。ホゲータかわせ!」
ホゲータ「ホンゲ!」
テラパゴス「パーゴッ!」
ミブリム「ミーッ!」
リコ「あっ…」
ロイ「あっ……」
シンヤ「テラパゴス!ミブリム!何で⁉︎」
ピカチュウ「ピカッ!」
ニャオハ「ニャー!」
リコ「危ない!」
ビュウウウ‼︎(このはの風)
リコ「うっ…うっ…キャーッ!」
ドンッ(手首を捻る)
リコ「うっ!」
ニャオハ「ニャー…」
ロイ「リコ!」
リコがニャオハに「このは」の指示を出し、ホゲータがその「このは」をかわすと、その先には、いつの間にかバトルフィールドの中に入っていた、テラパゴスとミブリムがいた。リコはテラパゴスとミブリムを守ろうと、咄嗟に2人の前に移動すると、そのままニャオハの「このは」の風に流されて後ろに飛ばされてしまい、フィールドに倒れた時に左手首を捻ってしまった。リコが倒れると、ロイたちはリコの前に駆け寄り、シンヤはリコの左手首の状態を確認し、ニャオハはその様子を近くで見ていた。
シンヤ「リコ、大丈夫か!」
リコ「うん…ちょっと転んだだけだから」
シンヤ「見せてみろ」スッ
ズキッ‼︎
リコ「いっ!」
シンヤ「骨は大丈夫だけど、手首を捻ってるな」
ニャオハ「ニャー…」
リコ「大丈夫だよ。ニャオハ」
シンヤ「モリーに診せたほうが早いな。リコ、ちょっとごめんな」
リコ「えっ?」
シンヤ「よっと」
ヒョイ(お姫様抱っこ)
リコ「ふぇぁ///シンヤ⁉︎///」
シンヤ「このままモリーのいる救護室まで運ぶよ」
リコ「シ、シンヤ!大丈夫だよ!手首が痛いだけから、足は怪我してないから」
シンヤ「怪我人はおとなしくいうことを聞く」
リコ「は、はい!」
シンヤ「ていうか、リコ軽すぎ。ちゃんとご飯食べてる?」
リコ「た、食べてるよ。っで、いつも一緒にご飯食べてるでしょ!」
シンヤ「ああ、そうだったな。リコが羽毛みたいに軽すぎるからさ。じゃあ行くぞ」
リコ「う、うん。……ありがとうシンヤ」
シンヤ「どういたしまして」
ニャオハ「……ニャー」
リコが左手首を捻ってしまったので、シンヤは右手でリコの両足首を支えて、左手でリコの左腰を掴むと、そのままリコを持ち上げた。シンヤは所謂、お姫様抱っこをして、リコをモリーのいる救護室まで運んで行った。その様子を見ていたニャオハも、シンヤたちの後を追った。
救護室
ペタッ(湿布を巻く)
リコ「ううっ…」
モリー「これでよし。治るまで、手をあまり動かさないようにね」
リコ「うん…」
ニャオハ「ニャー…」
モリーに手当てされるリコを、ニャオハは救護室の扉の外から心配しながら見ていた。リコは笑いながら大丈夫だと言っていたが、ニャオハはリコを傷つけたことに責任を感じていた。それからニャオハは、扉の前から船の甲板にやってきて、甲板から下の道に続いているスロープを降りていく。その時、さっき見ていた猫の形をした建物を見つけると、しばらくその建物を見つめていたが、なにやら決心を固めた顔つきになると、そのままスロープを降りていき、1回ブレイブアサギ号の方を振り向くと、森の中にある建物の方に向かって歩いて行った。そして、そんなニャオハの様子を見ている1人の人物がいた。
ブレイブアサギ号・ランドウの釣り場
ランドウ「………」
救護室
モリー「無理しなければ、すぐに治るから。左の手で、重たいものを持ったりしちゃダメだよ」
リコ「ありがとう。モリー」
シンヤ「かすり傷で済んだのは、不幸中の幸いだったな。傷が残ることになったら、洒落にならなかったからな」
ロイ「うん。大したことなくてよかったよ」
ピカチュウ「ピーカッ!」
ホゲータ「ホゲー!」
ミブリム「ミーッ」
テラパゴス「パゴ…」
リコ「大丈夫。モリーのおかげで、もう痛くないよ。ニャオハも心配しないで……あれ?」
シンヤ「ニャオハ?」
ニャオハが森の中の建物に向かっている頃。リコの治療も進んでいて、最後にモリーから左手首にサポーターを巻かれて、左手で重たいものを持たないようにと言われた。そして治療を終えたリコは、テラパゴスたちに大丈夫だと伝えると、そこでようやく、ニャオハがいないことに気がついた。
森の中
ニャオハ「ニャー」
その頃、森の中を進んでいたニャオハは、猫の建物の前に到着していた。そして、入り口の空いている猫の形をした鉄の門扉を通って、建物の中に入って行った。
森の中の建物の中
???「あら?あの子は?」
ブレイブアサギ号・甲板
リコ「ニャオハが森の中に歩いて行った?」
ランドウ「うむ。あの屋根が見える建物の方にな」
シンヤ「あの森の中に建っている建物の方に?」
ランドウ「うむ。何やら元気がなかった顔をしていたが」
リコ「そう…ありがとう。ミブリム、私はニャオハを捜してくるから、テラパゴスのことを見ててくれる?」
ミブリム「ミーッ」
シンヤ「じっちゃん、俺もリコと一緒に行ってくるよ。エクスプローラーズがいつ来るかも分からないし。手持ちポケモンがいないリコを1人にさせるわけにはいかないからさ」
ランドウ「分かった。フリードたちには、ワシから言っておこう」
シンヤ「ありがとう。ピカチュウも来てくれ。念の為だ」
ピカチュウ「ピッカッ!」
リコ「ありがとうシンヤ」
ランドウからニャオハが森の中に向かったことを聞いたリコは、ニャオハを捜しに行こうとすると、ミブリムにテラパゴスのことを見てくれるように頼んだ。手持ちポケモンがいないリコを1人にさせるわけにはいかず、エクスプローラーズがいつ現れるかも分からないので、シンヤはリコのボディガードとして、リコと一緒に森の中の建物に向かい、ニャオハを捜すことにした。
森の中
リコ「ニャオハ〜!どこ〜?」
シンヤ「ニャオハ〜!どこにいる?」
ピカチュウ「ピカビ〜カッ?」
リコ「ねぇシンヤ、ニャオハはどうしていなくなったのかな?」
シンヤ「えっ?」
リコ「いつもの気まぐれだと思ったけど、船から出ていっちゃうなんて、初めてだから」
シンヤ「ああ、それは多分…」
ピカチュウ「ピーカッ!」
シンヤ「んっ?どうしたピカチュウ?」
ピカチュウ「ピッカッ!」ビッ(前を指差す)
シンヤ「あっ、ここって」
リコ「うん。ランドウのおじいちゃんが言ってた建物だよ」
森の中に入ったシンヤたちは、大きな声でニャオハを呼び続けたが、ニャオハから返事は返ってこなかった。やはりランドウの言う通り、森の中に建っている建物に向かったのかもしれないとシンヤは考え、リコと一緒にその場所を目指して森の中を歩き続けた。するとリコが、シンヤにニャオハがいなくなった理由を聞いてきた。確かにリコのニャオハは気まぐれな性格だが、船から出ていくというケースは今までなかった。だからこそ、リコはニャオハがいなくなった理由が分からないのだ。しかし、シンヤは少しだが、その理由に気づいているようで、それをリコに伝えようとすると、シンヤの肩に乗っていたピカチュウが大きな声を上げる。そして、ピカチュウが前の方を指差すと、目の前には猫の形をした門扉と、その奥には猫の顔を模した建物が建っていた。
リコ「ここにニャオハが来たのかな?」
シンヤ「とりあえず入ろう」
リコ「うん」
ピカチュウ「ピーカッ」
シンヤ・リコ「「失礼しま〜す…」」
ピカチュウ「ピーカチューウ」
シンヤとリコは失礼しま〜すと言った後、入り口の開いていた門扉を通って、建物の敷地内に足を踏み入れた。敷地内の中はとても広く、ポケモンたち専用の遊具があった。すると…
建物の敷地内
ビュン!(何かが前を通る)
リコ「えっ?」
シンヤ「今のって、もしかして?」
ピカチュウ「ピッカッ!」ダッ!
シンヤ「お、おいピカチュウ!勝手に行くなって!」
シンヤたちが建物の中に入ってニャオハを捜していると、3人の前を、緑色の体をしたポケモンが通り過ぎて、建物の裏に入って行った。すると、シンヤの肩に乗っていたピカチュウが飛び降りて、緑色の体のポケモンを追いかけて、建物の裏に向かって走り出した。シンヤとリコは慌ててピカチュウの後を追いかけると、ピカチュウは建物の裏に入って行って、緑色の体のポケモンの目の前で止まっていた。そして、シンヤたちの前を通り過ぎた緑色の体のポケモンの正体は…
ニャオハ「ニャー?」
リコ「あれ?」
ニャオハ「シャーッ…(威嚇)」
シンヤ「リコ、このニャオハって」
リコ「うん。私のニャオハじゃない。この子は違うニャオハだよ」
ヒョコ(ニャオハが出てくる)
ニャオハ「ニャー」
ヒョコヒョコ(ニャオハが出てくる)
ニャオハ「ニャー」
ヒョコヒョコヒョコ(ニャオハが出てくる)
ニャオハ×6「「「ニャァ?」」」
リコ「えっ…え〜っ⁉︎」
シンヤ「ニャオハがいっぱいいる⁉︎」
ピカチュウ「ピーカッ⁉︎」
???「こんにちは」
シンヤ「ん?」
リコ「え?」
ピカチュウ「ピッ?」
建物の裏に入って行ったのはニャオハだった。しかし、リコはそのニャオハ見ると、自分のニャオハではなく、別のニャオハだと気づいた。すると茂みの中から、別のニャオハたちが5匹も出てきたので、シンヤたちは思わずびっくりしてしまう。すると、後ろからシンヤたちに向かって声をかけてきた、紫色の髪をした1人のお婆さんが、リコたちに笑顔を向けながら立っていた。
???「ニャオハばっかりで驚いた?何かご用?」
シンヤ「あ、すいません。勝手に建物の中に入ってしまって」
リコ「あの、私たち…」
???「あら、あなたは、確か……そうそう、思い出した!セキエイ学園のリコさん!」
リコ「えっ?え〜っ‼︎」
シンヤ「リコ、知り合い?」
リコ「ううん。初めて会う人だよ」
シンヤ「えっ?じゃあ何で?」
???「とりあえず立ち話もなんだから、こっちで座って、お話をしましょう」
シンヤとリコはお婆さんに案内をされ、建物の入り口の扉近くの階段に移動すると、そこに座り、お婆さんからこの建物の話を聞いた。
リコ「ネコポケモン専門のブリーダーさん…ですか?」
マーニャ「ええ、私はここの管理をしている《マーニャ》っていうの。ニャオハの他にも、色々なネコポケモンを育てているの。だってやっぱり、ネコポケモンはかわいいもの。あなたたちもそう思うでしょ?」
リコ「は…はい…」
シンヤ「そうですね…」
シンヤとリコが出会った女性の名前は《マーニャ》といって、ネコポケモン専門のポケモンブリーダーで、この建物の管理をしているらしい。敷地内にある遊具の方を見てみると、確かにここにいるポケモンは、全部ネコポケモンばかりだった。《ニャスパー》、《ニューラ》、《ニャビー》、《ガラルニャース》、《ニャルマー》、《エネコ》、さまざまな地方のネコポケモンばかりが集まっていた。そして、ピカチュウは遊具のあるところで、ネコポケモンたちと戯れて遊んでいた。
シンヤ「あの、どうしてマーニャさんは、リコのことを知ってたんですか?リコは初めて会うって言ってたのに?」
マーニャ「確かに、会うのは私も初めてだけど。巣立って行った子たちのことは忘れないわ。そのパートナーになってくれた、相手のトレーナーの人たちもね」
リコ「えっ、じゃあ、ニャオハ…私のニャオハをここで育ててくれたのって?」
マーニャ「ええ。私なの」
シンヤ(偶然立ち寄ったテツロンタウンの近くに、まさか、ニャオハの育った場所があるなんて)
物資の補給のために立ち寄ったテツロンタウンの近くに、マーニャの管理しているネコポケモン専門の施設が建っていて、そこはなんと、リコのニャオハが育った場所で、リコのニャオハを育てたのは、このマーニャだった。この施設でニャオハは育ち、セキエイ学園でリコと出会った。思い掛けない偶然か、奇跡か、運命か……なんにせよ。マーニャがここでニャオハを育ててくれたからこそ、リコとニャオハはセキエイ学園で出会うことができて、お互いに仲の良いパートナーになれたのだ。
マーニャ「ここではね。トレーナーになる人に、パートナーになるポケモンを引き合わせるお手伝いもしているの。セキエイ学園の生徒さんとも何度かご縁があってね。特にあなたのことはよく覚えてるの」
リコ「えっ?」
マーニャ「あのニャオハは個性的で、変わった子だったから」
リコ「個性的?変わった子?」
シンヤ「ニャオハは元々気まぐれで、マイペースなところがあるポケモンだって、図鑑に載ってるけど。トレーナーに甘えたがるポケモンでもあるから、自分のトレーナーが他のポケモンと仲良くしてるのを見ると、ヤキモチを焼くんだよ。リコも経験したろ?」
リコ「あ、そう言えば。パピモッチやテラパゴスの時も、ニャオハ、ヤキモチ焼いてたね」
マーニャ「そうなの。ニャオハは、元々気まぐれでマイペースなポケモンだけど、あの子は特にそれが強い子で、他の仲間のニャオハたちとも、なかなか馴染めなくてね」
シンヤ「ああ〜、それは簡単に想像できる」
リコ「だよね。ニャオハって、ここでもそうだったんだ…」
マーニャ「さっき、ここに来たのを見かけた時も、元気がなかったから心配してたの」
リコ「さっき…」
シンヤ「やっぱり、ニャオハはここに来てたのか」
マーニャ「えっ?ニャオハと一緒にここに来たんじゃないの?」
シンヤ「それが…」
リコ「えっと、急にどこかに行ってしまって…」
シンヤ「一緒に旅をしている人が、ニャオハがここに歩いて行ったのを見たらしくて。それで、俺とリコはここに来たんです」
マーニャ「あら、そうだったの。もしかして、喧嘩でもしたのかしら?」
リコ「あっ、いえ、そんなことは…」
マーニャ「そう…偶にいるのよね。パートナーのトレーナーの元を離れて、勝手にここに帰ってくる子が」
リコ「えっ?…どうして?」
シンヤ「トレーナーとポケモンにも相性がある。出会って一緒にいても、どうしても相性が合わないトレーナーとポケモンの関係は珍しくもない。うまく言えば、パートナー解消ってことだ」
リコ「…マーニャさん。その場合、パートナーポケモンはどうなりますか?」
マーニャ「残念だけど、どうしても気が合わなくて、パートナー解消になったポケモンは、こっちで引き取るっていうことに…」
リコ「パートナー解消⁉︎い…いえ、大丈夫です。私とニャオハ、すごく気が合いますから!あの…私、ニャオハを捜して来ます!」ダッ!
シンヤ「あっ、リコ!ちょっと待ってて!」ダッ!
それからシンヤとリコは、ニャオハを見つけるために、施設内を歩き始めた。
シンヤ「ニャオハ、どこにいるんだ?」
リコ「ニャオハのことは、私が1番よく分かってる。きっとニャオハは、日当たりが良くて、1番見晴らしがいい場所に……あっ!いた!」
シンヤ「おっ、本当にニャオハがいた」
リコ「ほらね。ニャオハのことは、私がよく分かってるんだから」
自分のニャオハの特徴を考えながら、リコはニャオハを捜していた。自分のニャオハは、日当たりが良くて高いところが好き。そんなことを考えながら、リコが建物の上の方を見てみると、建物の屋根の上に、リコのニャオハは空を見ながら座っていた。
リコ「ニャオハ!」
ニャオハ「ニャー?」
リコ「やっぱりここにいたんだ」
ニャオハ「ニャー⁉︎」
チラッ(サポーターを見る)
ニャオハ「ニャー…」
シンヤ「やっぱりか」
リコ「えっ?」
シンヤ「きっとニャオハは、リコが手首を捻って怪我をしたのは、自分のせいだと思ってるんだ。だから船を出てここに来たんだ」
リコ「そうだったんだ。ニャオハ!もう大丈夫だから!この怪我はニャオハのせいじゃないから!」
ニャオハ「……」
リコ「マーニャさんから聞いたよ!ニャオハ、ここで育ったんだってね。いいところだね。懐かしくなって、ここに戻ってきちゃったの?」
ニャオハ「……」スタッスタッ
リコ「あっ…待ってニャオハ!」
屋根の上にいたニャオハを見つけると、リコはニャオハに声をかけた。ニャオハもリコに気づくと、リコの元に行こうとしたが、怪我をさせてしまった罪悪感があり、リコの元には向かわず、そのまま建物の屋根の上を歩いて行ってしまう。
リコ「あっ、そうだ!帰りにニャオハの好きな抹茶ケーキ買って…」
ヒョイ(屋根の上から建物の中に入る)
リコ「あっ…」
シンヤ(これはかなり重症だな)
建物の中
リコ「ねぇ、そろそろ船に戻らない?ホゲータとバトルの続きをしようよ。それとも、オヤツが先かな?ニャオハもお腹空いたでしょ?」
ニャオハ「………」
シンヤ(リコの声を無視して顔を見ようとしない。リコを傷つけたことに相当責任を感じてるんだな)
建物の中に入っても、リコはニャオハの後を追いかけ、いろいろ話しかけたが、ニャオハは聞こえてないふりをして、リコから離れて歩き続けた。その頃、テラパゴスとミブリムは…
建前の前
テラパゴス「パーゴッ?」
ミブリム「ミーッ?」
どうやらテラパゴスは、リコの後を追って、マーニャが管理している建物の前に来てしまったようだ。そしてミブリムは、テラパゴスが船にいないことに気づき、テラパゴスを追いかけて、建物の前に来たらしい。そして、リコとニャオハは…
リコ「ニャオハ!」
ニャオハ「ニャー!」
リコ「ニャオハ!ねぇ、私の話を聞いて!」
ニャオハ「ニャー〜〜」
リコ「怒ってる?悩んでる?悲しんでる?私たち、パートナーだよね?冒険も、バトルも一緒にしてきたよね?パートナー解消なんてしないよね?ねっ?」
ニャオハ「ニャー‼︎」
ガリッ!(リコの右手の甲を引っ掻く)
リコ「痛っ⁉︎」
シンヤ「リコ!」
ポケモンたちのいる遊具の場所で、ニャオハに追いついたリコは、ニャオハを捕まえると、力ずくで抱き寄せて言葉をかけるが、ニャオハを聞く耳を持たず、リコの手の中で暴れていた。すると、ニャオハは爪を立ててリコの右手の甲を引っ掻き、リコが手を離した隙に走り去ってしまう。そんなリコとニャオハの様子を見ていたシンヤは、リコの元に駆け寄った。
シンヤ「リコ、大丈夫か?」
リコ「う、うん…」
ガサゴソ(ポケットの中を漁る)
シンヤ「確かここに…あった!」
シンヤはリコの元に駆け寄ると、ズボンのポケットから消毒液と絆創膏を取り出すと、慣れた手つきでリコの手を消毒した後、最後に絆創膏を貼った。
シンヤ「念の為に、消毒液と絆創膏をポケットの中に入れといてよかったよ。…こうしてると思い出すな。リコと初めて会った日のことを」
リコ「…うん。でも、ニャオハも私と出会った頃に戻ったみたい…私…ニャオハに嫌われちゃったのかな…」
シンヤ「それは違うよ。…俺はさ、ニャオハがリコを傷つけたことを気にしてるのは間違いないと思うんだ。だけど、それだけであんな態度を取るわけがない。恐らく他に理由があると思うんだ」
リコ「理由?」
シンヤ「そう。それを知ってるとすれば…」
マーニャ「リコさん、シンヤさん、ニャオハは見つかった?」
ピカチュウ「ピーカッ?」
シンヤ「あっ、ピカチュウ、マーニャさん」
リコ「それが…」
シンヤ「マーニャさん、ちょっとお聞きしたいことがあります」
マーニャ「聞きたいこと?それなら、お茶でも飲みながら聞くから、中にどうぞ」
ニャオハに拒絶されて、リコはすっかり落ち込んでいた。するとシンヤは、ニャオハが「このは」でリコを傷つけたことを気にしているのは間違いないと思っていたが、それだけで、ニャオハがあんな態度を取るのかと考えていた。恐らく、それには何か理由があるのだと考え、ニャオハのことをよく知っている人に、話を聞いた方がいいと思っていた。リコのニャオハを知ってるとすれば、マーニャただ1人しかいない。そこでシンヤは、マーニャからリコと出会う前のニャオハのことを聞くため、マーニャのところに行こうとするが、そこでタイミングよく、シンヤとリコの元に、マーニャとシンヤのピカチュウが歩いてきた。そして、シンヤはマーニャに聞きたいことがあると言うと、マーニャはお茶でも飲みながら話を聞くから、中にどうぞと言ってくれたので、シンヤたちは建物の中に移動し、ソファーに座りながら、紅茶を淹れてくれているマーニャを待っていた。しばらくすると、ニャースを模したカップにお茶を淹れてくれた、マーニャがやってきた。
マーニャ「はい。どうぞ」
シンヤ「ありがとうございます」
リコ「いただきます」
シンヤ「あれ?この匂いって…」
リコ「抹茶…ニャオハの好きな味だ」
マーニャ「ええ。あの子、抹茶味が大好きで、よくこれを飲んでいたの」
ズズッ(抹茶のお茶を飲む)
シンヤ「渋い!けど…」
リコ「うん。なんか、ホッとするね」
マーニャ「良ければ、お菓子もどうぞ」
リコ「ありがとうございます」
マーニャ「それで、聞きたいことって言うのは?」
シンヤ「その、ニャオハのことなんですけど」
リコ「なんで、ニャオハが私を避けるのかなって…」
マーニャ「…フフッ、ポケモンは自分のトレーナーに似るって言うけど、アナタたちも似てるわね。あの子も、よ〜くそんな顔をしてたわ」
リコ「えっ?あの子って…?」
シンヤ「もしかして、リコのニャオハのことですか?」
マーニャ「ええ、リコさんと出会う前は、あの子もそんな顔をしてたの」
リコ「そうですか…あの、良ければ教えてくれませんか。昔のニャオハのことを」
マーニャ「…あれは昔のことなんだけど。リコさんのニャオハは、お気に入りの屋根の上で、いつも日向ぼっこしながら、ああ、つまんない、もっと面白い場所に連れてって、言いたそうにしてたわ。他のニャオハたちが楽しそうに遊んでいても、私には関係ないわって感じでね」
シンヤ・リコ((簡単に想像できる…))
マーニャから昔のニャオハのことを聞いたシンヤとリコは、頭の中で、その頃のニャオハの様子が簡単に想像できていた。
マーニャ「それから何日か経ったある日に、仲間のニャオハたちが屋根の上で、バトルごっこしていた時なんだけど、1匹のニャオハが屋根から滑り落ちてしまってね。それを見たリコさんのニャオハが、咄嗟に「このは」を使って、地面に落ちそうだったニャオハの体をふわりと浮かばせて、仲間のニャオハを助けたの。それを見た時は驚いたわ。すごい威力の「このは」だったから。あの子には、バトルの才能があると思ったわ」
シンヤ「確かに俺から見ても、ニャオハの「このは」は「リーフストーム」と同じくらいの威力があったし。特性の《しんりょく》が発動したわけでもないのに、ものすごい威力だったからな」
リコ(シンヤがそこまで言うってことは、やっぱり、ニャオハの「このは」ってすごいんだ)
マーニャの話を聞いたシンヤは、ブレイブアサギ号のウイングデッキでアメジオとバトルした後に、ニャオハの撃った「このは」のことを想像していた。あの時ニャオハが発動した「このは」は、今まで見たことのない程のものすごい威力の「このは」だったから、その光景が今でも脳裏に焼きついていた。
リコ「それからどうなったんですか?」
マーニャ「それからは、すごい「このは」を撃つ子だって、他のポケモンたちにも慕われるようになって、自分から屋根を降りて、仲間のニャオハたちと遊ぶようになったの」
シンヤ「へぇ〜、いい話じゃないですか」
リコ「うん。ニャオハ友達ができたんだ。よかった。ニャオハ、独りぼっちじゃなかったんだ」
マーニャ「それがねぇ、そうでもないの」
シンヤ・リコ「「えっ?」」
マーニャ「ある日に、仲間のニャオハたちと、果樹園に実っているオレンの実を「このは」で撃ち落として、仲良く食べていた時に、トラップポケモンの《ワナイダー》がやってきてね」
リコ「ワナイダー?」
ピッピッ(スマホロトムをタッチする音)
シンヤ「コイツさ」スッ(ポケモン図鑑を見せる)
ワナイダー トラップポケモン むしタイプ
丈夫でネバネバの糸を縄張りの中に張り巡らせて、侵入者を罠にかける。
リコ「このポケモンがどうかしたんですか?」
マーニャ「時々、この敷地内に入り込んでよく悪さをしていてね。その時に、仲間のニャオハたちを糸で捕まえてぐるぐる巻きにしたの」
リコ「それから、ニャオハたちはどうなったんですか?」
マーニャ「リコさんのニャオハは、仲間のニャオハたちを助けようとして、「このは」をワナイダーに撃ったんだけど、ワナイダーが「このは」を避けた時に、捕まっていた仲間のニャオハたちに「このは」が当たってしまって、そのまま木にぶつかってしまったの。それからすぐに、ニャオハたちを施設に運んで治療はしたんだけど、それから仲間のニャオハたちは、リコさんのニャオハをすっかり怖がってしまってね。ニャオハを避けるようになってしまったの。それ以来、あの子は「このは」を撃つことはなく、最初の頃と同じように、1人で屋根の上で毎日を過ごしていたの」
リコ「そんなことが…」
マーニャ「仲間のニャオハたちは、先にパートナーが見つかってここを出て行ったけど。あの子はずっと屋根の上に」
シンヤ「リコのニャオハに、そんな過去があったんだ」
ピカチュウ「ピーカッ」
リコ「そう言えば、ニャオハと出会ったばかりの頃…シンヤたちと特訓する前に「このは」の特訓をしてたけど……あれは、辛い過去があったから、「このは」を撃つ気になれなかったのかな?」
シンヤ「なるほどな。あの時、「このは」は失敗したんじゃなくて。辛い過去を思い出したから不発に終わったのか。……でも、マーニャさんから話を聞いて、分かったこともあったな。
リコ「うん。仲間のニャオハたちを傷つけたことが怖かったから…もしかしたら、「このは」のせいで私が怪我をしたから、仲間のニャオハたちみたいに、私が去っていくって思ったのかな?」
シンヤ「リコの話を聞こうとしなかったのも、リコに怖がられたくなかったし、嫌われたくなかったからかもな」
リコ「だから、自分からここに?こんなの平気だって言ったのに」
マーニャ「でもね。だからこそホッとしたの。セキエイ学園の面談で、あの子とあなたが初めて会った時は」
リコ「えっ?面談?」
マーニャ「入学の前に、ポケモンたちとの顔合わせがあったでしょう?」
リコ「は、はい!ポケモンたちと顔合わせをしました」
マーニャ「私もその時、横で見ていたんだけど。その時に、リコさんを見て確信したの。この女の子なら、ニャオハの最高パートナーになってくれるって。ニャオハの目を見た時にね。画面越しにあなたをじっと見つめて…きっと運命の相手だって、本能的に感じていたんでしょうね」
リコ「運命…」
マーニャ「だからあの子が、自分からここへ帰ってきたとしたら。その理由は、もう二度と、大切な人を傷つけるのは嫌だって、思ったからじゃないかしら」
リコ「……」
シンヤ「リコ、行こうぜ。ニャオハのところに」
ピカチュウ「ピカビーカ!」
リコ「シンヤ、ピカチュウ……うん!」
リコはマーニャから、自分のニャオハの過去の話を聞き、シンヤにニャオハのところに行こうと言われると、ニャオハを捜しに向かった。その頃、ニャオハは果樹園の近くを歩いていた。
果樹園
ニャオハ「ニャー…」
リコ「ニャオハ、見つけた!」
ニャオハ「ニャ⁉︎」
リコ「ハァ…ハァ…」
リコは敷地内にいるニャオハを走りながら捜していたため、息を少し切らしていた。だが、ようやくニャオハを見つけることができて、リコは喜んでいた。しかし、ニャオハはまだリコに怪我をさせたことを気にしており、その場から去ろうとした。しかし、リコも今度はニャオハを逃がさないように、ニャオハの前に回り込んだ。すると、ニャオハはジャンプして、リコの真上を飛び越えようとするが、リコはニャオハの体を掴み、自分の近くに引き寄せた。
リコ「もう逃さないよ!この〜っ!」
コチョコチョ(ニャオハの脇をくすぐる)
ニャオハ「ニャーニャーニャー!」
果樹園近くの木の影
シンヤ「ハハハッ、リコ楽しそうだな」
ピカチュウ「ピッカッ!」
ニャオハ「ニャー」
スッ(ニャオハが爪を立てる)
リコ「いいよ。引っ掻いても」
ニャオハ「ニャー…」
リコ「初めてニャオハと出会った時も、引っ掻かれたよね。あの日からいろいろ始まって、今日までいろいろあったけど、毎日楽しくて、ホント、ずっとドキドキだった。ニャオハが攫われたり、飛び降りたり、駆け回ったり、知らない街を旅したり、初めてで分からないことや、怖いことばっかりだったけど、ニャオハと一緒だったから、私は、いつも最後は笑えたんだよ。私ね、どんなに怖くっても、痛い目にあっても、ニャオハがいるから乗り越えられるし、これから全部の初めてを、ニャオハと超えていきたいの。ニャオハは?」
ニャオハ「ニャァ……」
スッ(立てた爪を戻す)
ニャオハ「ニャー…」
ポンッ(肉球をリコの頬に当てる)
リコ「ニャオハ…」
ニャオハ「ニャー」
ぎゅっ(ニャオハを強く抱きしめる)
シンヤ「どうやら、元の鞘に収まったな」
ピカチュウ「ピーカッ」
「ミーーッ‼︎」
シンヤ「今の声って!」
リコ「もしかして!」
ピカチュウ「ピッカッ!」
ニャオハ「ニャー!」
リコがニャオハに自分の気持ちを伝えると、ニャオハも自分の気持ちに正直になり、立てた爪を戻すと、リコに頬をさすりつける。そんな2人の様子を、シンヤとピカチュウは微笑みながら見ていた。すると、森の中からポケモンの叫び声が聞こえてきたので、シンヤたちはすぐに、ポケモンの声が聞こえてきた方に走って向かった。
森の中
リコ「ミブリム!テラパゴスまで!」
ミブリム「ミーッ!」
シンヤ「何でここにいるんだ?」
ビュルル(糸が垂れる)
ピカチュウ「ピッカッ‼︎」
ニャオハ「ニャー‼︎」
バシッ‼︎(ミブリムとテラパゴスが糸に捕まる)
リコ「あっ!」
シンヤ「あれは!」
シンヤたちが聞いたポケモンの叫び声は、やはりリコのミブリムの声だった。リコはミブリムとテラパゴスに、なんで森の中にいるのかと聞くと、ミブリムとテラパゴスの後ろに、白くて細い何かが垂れてきた。すると、ピカチュウとニャオハは、木の上から何かの気配を感じ取って大声を出した。そして、突然ミブリムとテラパゴスの体を白い糸が巻き付けると、テラパゴスたちは上に引っ張られた。シンヤたちが上を向くと、そこには、手から出した糸でミブリムとテラパゴスを吊るしている、一匹のむしタイプのポケモンがシンヤたちを見ていた。
ワナイダー「ワナァ〜〜!」
マーニャ「ワナイダー!」
シンヤ「テラパゴスたちを助けないと!」
ピカチュウ「ピーーカッ!」
シンヤ「待てピカチュウ!今でんき技を使ったら、糸に電気が伝わってテラパゴスとミブリムもダメージを受ける」
ピカチュウ「ピーカッ」
シンヤ「俺の手持ちポケモンはどれも攻撃が高いし。ワナイダーを攻撃しようとして、もしテラパゴスたちに技が当たったら」
リコ「シンヤ、今回は私とニャオハに任せて!」
シンヤ「リコ……分かった。頼んだぞ!」
リコ「うん!」
ニャオハ「ニャー…」
リコ「大丈夫。ニャオハならできるよ!今までのバトルを思い出して!」
テラパゴスとミブリムを糸で捕まえたのは、さっきマーニャが話していた、トラップポケモンの《ワナイダー》だった。ピカチュウは電撃を放ってワナイダーを攻撃しようとするが、もし電撃を撃ったら、テラパゴスとミブリムまでダメージを受けてしまうため、シンヤはピカチュウを止めた。するとリコが、今回は自分とニャオハに任せてほしいと言うので、シンヤはリコとニャオハに、ワナイダーの相手を任せることにした。しかし、ニャオハは過去のトラウマのせいで、ワナイダーに攻撃をすることを躊躇っていた。だが、リコから大丈夫だと言葉をかけられると、ニャオハはワナイダー攻撃をする決意をする。
リコ「ニャオハ!「このは‼︎」」
ニャオハ「ニャーオ…ハーーッ‼︎」
シンヤ「あれは!」
ドォォォォン‼︎
ワナイダー「ワナァーーッ⁉︎」
リコがニャオハに「このは」の指示を出すと、ニャオハはワナイダーに「このは」を放った。「このは」は真っ直ぐ、ワナイダーの方に飛んでいったかと思ったが、「このは」は急に右に軌道を変えて、そのままワナイダーに命中した。そして、その時の「このは」の葉が、ミブリムとテラパゴスを巻き付けている糸を切り裂き、テラパゴスとミブリムを自由にしたのだった。
テラパゴス「パゴ!」
ミブリム「ミーッ!」
リコ「やった!ニャオハ!やったね!」
ニャオハ「ニャーニャー」
シンヤ「今の技って、「マジカルリーフ」か」
リコ「マジカルリーフ?」
ニャオハ「ニャッ?」
マーニャ「あなたとニャオハの絆が、技を進化させたのね」
リコ「すごいよニャオハ!新しい技を覚えたんだね!」
ニャオハ「ニャー!」
リコ「テラパゴス、ミブリム、大丈夫だった?」
テラパゴス「パーゴ」
ミブリム「ミーッ」
マーニャ「やっと出会えたのね。素敵な家族に」
こうして、ニャオハはトラウマを乗り越え、新たな技、《マジカルリーフ》を覚えることできたのだった。それからワナイダーのことだが、このままワナイダーを放っておけば、またこの建物にやってきて、悪さをするかもしれないため、一度ワナイダーをゲットして、今向かっているパルデア地方の、森の中に逃した方がいいとシンヤが提案した。
リコ「ワナイダーをパルデアまで?」
シンヤ「元々ワナイダーは、パルデア地方に生息するポケモンだ。それに怪我が治ったら、また悪さをするためにここに来る可能性もある。他の猫ポケモンたちや、マーニャさんも不安じゃないですか?」
マーニャ「そうね。そうしてくれるなら、ワナイダーをパルデア地方まで送ってもらおうかしら」
シンヤたちが話し合った結果。ワナイダーを一度ゲットして、パルデア地方に着いたら、ワナイダーをパルデアの森の中に逃すということに決まり、シンヤたちはさっきのワナイダーを捜し始めた。それからすぐにワナイダーは見つかり、ニャオハにコテンパンにされたことで、ニャオハを見ると謝り始めた。そして、シンヤはモンスターボールをワナイダーに構える。
シンヤ「ワナイダー。お前がまたここで悪さが出来ないように、パルデア地方にまで送るから、一度ゲットされてもらうぞ。パルデアに着いたら、お前をパルデアの森の中に逃がしてやる」
ワナイダー「ワナッ⁉︎ワナッ!ワナッ!ワナッ!」
ピカチュウ「ピカ〜〜⁉︎」
シンヤ「ん?ピカチュウ。ワナイダーは何て言ってるんだ?」
ピカチュウ「ピーカッピカッピカッ、ピカチュウ!」
シンヤ「えっ、俺はこの森で生まれてここで育ったから、ここを離れたくないって?」
ピカチュウ「ピーカッピーカッ」
シンヤ「もう二度と悪いことはしないし、反省するからこの森の中にいさせてくれって?」
ピカチュウ「ピーカッ」コクッ
ピカチュウがワナイダーから聞いた話では、ワナイダーはこの森で生まれて、ずっとここで育ってきたから、ここを離れたくないようだった。ピカチュウから話を聞いたシンヤは、生まれ故郷から引き離すのは気が引けるため、ワナイダーをどうするか考えた。すると、シンヤたちの話を聞いていたマーニャが、ワナイダーが二度と悪さをしなければ、ここにいてもいいと言ってくれたので、今までのことを反省したという意味を込めて、ワナイダーはしばらく、マーニャを手伝いながら、猫ポケモンたちのお世話をすることになった。ニャオハは少し複雑な顔をしていたが、リコも許してあげようと言い出したので、ワナイダーを許した訳ではないが、ワナイダーがここに残ることは許した。それからシンヤとリコは、マーニャにお礼を言うと、建物を出てブレイブアサギ号に戻って行った。
夕方・ブレイブアサギ号・ウィングデッキ
ロイ「ホゲータ!「ひのこ!」」
ホゲータ「ホ…ゲーッ!」
リコ「でんこうせっか!」
ニャオハニャオハ「ニャー!ニャッ、ニャッ、ニャッ!」
リコはブレイブアサギ号に戻った後、さっきのバトルの続きをしようと、ロイとホゲータにバトルを挑んだ。その頃には、リコの左手首の怪我も治っていて、リコは手に巻いていたサポーターを外し、ウイングデッキにやってくると、ロイとポケモンバトルを始めた。
ロイ「じだんだ!」
ホゲータ「ホゲ、ホゲ、ホゲ…ホゲーッ!」
リコ「ニャオハ、ジャンプでかわして!」
ニャオハ「ハッ!」
リコ「マジカルリーフ!」
ロイ「マ、「マジカルリーフ⁉︎」」
リコがニャオハに「マジカルリーフ」の指示を出すと、ロイは驚いていた。そしてそのまま、「マジカルリーフ」がホゲータに命中すると、ホゲータは目を回し戦闘不能になってしまう。
ホゲータ「ホンゲェ…」
ロイ「ホゲータ!」
オリオ・マードック・モリー「「「おお〜っ!」」」
フリード「いつの間に「マジカルリーフ」を覚えたんだ」
キャプテンピカチュウ「ピカ…」
ドット「また強くなってる…」
リコ「ナイス。ニャオハ!」
ニャオハ「ニャオハ!」
パチンッ!(ハイタッチ)
シンヤ「リコもニャオハも、確実に成長しているな。なっ、ピカチュウ」
ピカチュウ「ピカピーカ!」
また一歩、ポケモントレーナーとして大きく成長したリコ。ニャオハも「マジカルリーフ」を覚え、リコと更に絆が深まった。そしてブレイブアサギ号は、パルデア地方に向かって旅を続けた。一方その頃、シンオウ地方の空港では…
シンオウ地方・シンオウ空港
タッタッ(走る足音)
???「ヴィヴィアンさん。すいません。遅くなりました」
ヴィヴィアン「そんなに慌てなくても大丈夫よ。リュウガ君。ねっ、ナナカマド博士?」
ナナカマド博士「全く。お前がパルデア地方に行きたいと言うから、わざわざヴィヴィアン君が飛行機のチケットを取ってくれたのに、ギリギリで来るとは何事だ!」
リュウガ「悪かったって……それよりヴィヴィアンさん。今シンヤは、パルデア地方に向かってるんですよね?」
ヴィヴィアン「ええ。この前あの子から、そうメールが来たけど」
リュウガ「そうですか。なら、パルデア地方に着いたら、早速シンヤにバトルを挑むか!」
ナナカマド博士「リュウガ。ポケモンバトルもいいが…」
リュウガ「分かってるよ。新種のポケモンの情報を手に入れたから、それをシンヤに伝えて、そのポケモンを調べるのをシンヤに手伝ってもらうんだろ?」
ナナカマド博士「そうだ。お前にも手伝ってもらうぞ。ワシは用事があってパルデアには行けないのだからな」
リュウガ「分かってるって。だけど、そのポケモンのことを調べる前に、シンヤとポケモンバトルをするぜ!ジョウト地方とシンオウ地方でゲットしたコイツらを、早速シンヤとのバトルで試したいんだよ!」
ヴィヴィアン「後、これをあの子に渡さないと」
カランッ(ブラックバードフライ)
ナナカマド博士「ヴィヴィアン君は確か、オレンジアカデミーに用があるんだったな?」
ヴィヴィアン「ええ。その時にシンちゃんに会えれば、いろいろ話をしようと思っています」
リュウガ「オレンジアカデミーって、パルデア地方の学校ですか?」
ヴィヴィアン「ええそうよ。実はオレンジアカデミーの校長から呼ばれてるの。手伝ってほしいことがあると言われてね」
To be continued
次回予告
パルデア地方に向かっているブレイブアサギ号に、1人の人物がやってきた。その人物とは、マードックの妹で、ドットの母親のブランカだった。
次回「キョーレツ母ちゃんやって来る!ドットの母、ブランカ!」
クレイトスさん、9星評価ありがとうございます。
新章の六英雄と六竜編を、六竜編だけに変えました。投稿したにもかかわらずすみません。