ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり   作:通りすがりのポケモントレーナー

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 ついに始まった、パルデア地方を舞台とした、リコたちのテラスタル研修。最初にテラスタル研修を受けるのはリコなので、シンヤたちはセルクルタウンを目指して歩いていた。


第47話『リコとニャローテ、初めてのテラスタル!』

 

 セルクルタウン道中

 

 ドット「ハァ、ハァ、ハァ…。もう無理!」

 

 ロイ「運動不足だよ」

 

 シンヤ「ロイの言う通りだ。ドットも研修を受けている間に体力つけないと。今までブレイブアサギ号で冒険をしていた時と違って、当分は歩く冒険が続くんだから」

 

 ドット「嫌だ!僕は頭脳派だから、クレバーにバトルするんだ!」 

 

 シンヤ「たくっ、しょうがないな」

 

 ポーーン‼︎

 

 ミライドン「アギャアア!」

 

 シンヤ「ミライドン、ドットを乗せてやってくれ」

 

 ミライドン「アギャアア」

 

 ドット「サンキュー。シンヤ、ミライドン」

 

 

 セルクルタウンを目指して歩いていると、ドットが歩き疲れたと言うので、シンヤはミライドンをボールから出すと、ドットを乗せるよう頼み、ミライドンはドットを乗せて、シンヤたちと一緒にセルクルタウンにやってきた。シンヤたちがセルクルタウンの中を歩いていると、街の中にはミニーブがたくさんいて、いっぽんヅノポケモンの《ヘラクロス》が、オレンの実がたくさん入ったカゴをトラックに乗せたり、いとだまポケモンの《タマンチュラ》が子供と遊んでいたり、バッタポケモンの《マメバッタ》や、ビビヨンを含む、むしタイプのポケモンの姿が多く見られた。

 

 

 セルクルタウン

 

 

 ロイ「むしポケモンがたくさんいる!」

 

 シンヤ「この町のジムリーダーの《カエデ》さんは、むしタイプの使い手だからな」

 

 ドット「うん。だから、むしタイプのポケモンたちにとっては、居心地がいいのかも」

 

 ロイ「なるほど」

 

 リコ「………」

 

 ニャローテ「ニャァッ?」

 

 リコ「えっ、あっ、大丈夫だよ。ニャローテ」

 

 ドット「リコ、どうしたんだ?さっきから静かだぞ?」

 

 リコ「え、えっと…」

 

 シンヤ「もしかして、テラスタルをうまくできるか不安なのか?」

 

 リコ「……えっ、う、うん。そうかもしれない」

 

 ロイ「大丈夫だよ!あの六英雄のレックウザと戦えたんだから!」

 

 シンヤ「そうだな。テラスタルオーブをうまく使えるかより、どっちかって言うと、レックウザとバトルする方が不安だと思うぜ」

 

 リコ「そ、そうだよね」…(でも、本当にうまくできるかな。全然自信ない。いきなり、テラスタルオーブを使ったバトルなんて…)

 

 シンヤ(こういう内気なところは、出会った頃と変わってないな。まぁ、練習無しでいきなりぶっつけ本番ともなれば、緊張するのも当然かもな)

 

 クンクンッ(ロイとホゲータが匂いを嗅ぐ)

 

 ロイ「なんかいい匂いがする!」

 

 ホゲータ「ホンゲェ!」

 

 ロイ「あっちからだ!」ダッ!

 

 ホゲータ「ホゲッ!」ダッ!

 

 シンヤ「あっ、ロイ、ホゲータ」

 

 ピカチュウ「ピィカッ!」

 

 ドット「勝手に行くなって!」

 

 リコ「あっ、待ってよ!」

 

 

 シンヤたちと一緒に冒険をしてきて、リコはポケモントレーナーのとして確実に成長してきているが、内気なところは少し変わっておらず、テラスタルオーブを使ってうまくバトルができるかどうかで悩んでいた。すると、シンヤたちのいるところにいい匂いが漂ってきて、ロイとホゲータがその匂いがする方に走って行くと、シンヤたちはロイとホゲータの後を追った。そして、シンヤたちがやってきたのは、《ムクロジ》という洋菓子が売っているお店だった。

 

 

 パティスリームクロジ

 

 

 リコ「ここって、ケーキ屋さん?」

 

 シンヤ「ちょうどよかったな」

 

 ロイ「えっ?」

 

 リコ「どういうこと?」

 

 シンヤ「このセルクルタウンのジムリーダーのカエデさんは、このムクロジで店長をしている人で、パティシエでもあるんだ」

 

 リコ「じゃあ、この中にカエデさんが…」

 

 シンヤ「ああ、多分いるはずだ」

 

 ロイ「じゃあ、お店の人に聞いてみようよ!」

 

 パシッ!(つぼみでリコの手を引っ張る」

 

 リコ「うわぁ!」

 

 ニャローテ「ニャァッ」

 

 リコ「どうしたのニャローテ?」

 

 ニャローテ「ニャッァ!」

 

 ビッ(ケーキショーケースを指差す)

 

 リコ「ニャローテ、ケーキ食べたいの?」

 

 ニャローテ「ニャッァァ!」

 

 ピカチュウ「ピィカァ…」

 

 シンヤ「ピカチュウもケーキを食べたいのか?」

 

 ピカチュウ「ピッカッ!」

 

 リコ「そろそろおやつの時間だし」

 

 シンヤ「そうだな。休憩も兼ねて、おやつの時間にするか」

 

 ???「あら、だったら私もご一緒してもいいかしら?」

 

 シンヤ「ん?……母さん⁉︎」

 

 ヴィヴィアン「ヤッホー。シンちゃん!」

 

 リコ「ヴィヴィアンさん!」

 

 ヴィヴィアン「あらリコちゃん。久しぶりね」

 

 リコ「あ、はい!お久しぶりです!」

 

 シンヤたちがムクロジのお店にやってくると、ホゲータはケーキショーケースに張り付き、涎を垂らしながら売られているケーキを見ていた。そして、ピカチュウとニャローテがケーキを食べたいと言うので、シンヤたちは休憩も兼ねてムクロジのケーキを食べることにした。するとそこに、シンヤの母のヴィヴィアンが歩いてきた。

 

 シンヤ「あ、そうだ。母さん、紹介するよ。ロイとホゲータ、ドットとクワッス」

 

 ロイ「こんにちは!」

 

 ドット「は、初めまして」

 

 クワッス「クワッス!」

 

 ヴィヴィアン「初めまして、シンヤの母のヴィヴィアンです。シンヤから話は聞いてるわ」

 

 シンヤ「それより、なんで母さんがここに?学校の授業はいいのかよ?」

 

 ヴィヴィアン「仕事は明日からなの。だから今日は、セルクルタウンのムクロジでケーキを食べようと思ってね。そしたらシンちゃんたちがいるから」

 

 シンヤ「友達がいる前でシンちゃんはやめろよな」

 

 ヴィヴィアン「それと、はいこれ」

 

 カランッ(ブラックバードフライ)

 

 シンヤ「あっ、俺のカメラだ」

 

 リコ「えっ?シンヤのなの?」

 

 シンヤ「父さんから貰ったものなんだ」

 

 ヴィヴィアン「スマホロトムがあるのに、わざわざそれで写真を撮らなくても…」

 

 シンヤ「別にいいだろ」

 

 ヴィヴィアン「はいはい。あっ、あとこれもね」

 

 スッ(モンスターボール)

 

 リコ「モンスターボール?」

 

 シンヤ「このモンスターボールって、もしかして…」

 

 ポーーン‼︎

 

 ヴィヴィアンはロイたちに挨拶をすると、シンヤにブラックバードフライカメラと、1つのモンスターボールを渡した。すると、モンスターボールが勝手に開いて、中から一体のポケモンが出てきた。そのポケモンは、外側がオレンジ色になっている大きく尖ったV字の耳と、腰から生えている小さな羽が特徴的なポケモンで 、大きく丸い顔に大きな青い目。そして、上顎に2本の八重歯が生えている、妖精のような姿をした、とてもかわいいポケモンだった。

 

 

 

 

 シンヤ「《ビクティニ》!」

 

 ビクティニ「ティニッ!」

 

 リコ「かわいい!何このポケモン!」

 

 ロイ「見たことのないポケモンだ!」

 

 ドット「これって、イッシュ地方の幻のポケモン…ビクティニ‼︎」

 

 シンヤ「おいおい!なんでビクティニを連れてきた!」

 

 ヴィヴィアン「シンちゃんに会いたいって言うから、家から連れてきたのよ」

 

 シンヤ「気軽に幻のポケモンを連れて来るなよな…」

 

 ピカチュウ「ピィーカ!」

 

 ビクティニ「ティーニッ!」

 

 ドット「このビクティニ、シンヤのポケモンなのか?」

 

 シンヤ「ああ。イッシュ地方を旅してる時に、《リバティガーデン島》って場所でゲットしたんだ」

 

 ドット「ねぇシンヤ!ビクティニの写真を撮っていいかな?幻のポケモンなんてそうそう会えないし!頼む!」

 

 シンヤ「あ〜、ちょっと待ってくれ。ビクティニ、お前の写真を撮ってもいいか?」

 

 ビクティニ「ティニッ!」コクッ

 

 シンヤ「いいって」

 

 ドット「ありがとう!」

 

 イッシュ地方の幻のポケモン、勝利ポケモンのビクティニがモンスターボールから出てくると、ドットは驚きの声を上げ、リコとロイは興奮していた。そして、ドットがビクティニをスマホロトムのカメラで撮ると、シンヤたちは自分たちとポケモンたちの食べるケーキを頼み、バトルフィールドが近くにあるテラスの方に移動し、荷物を置いて椅子に座った後、注文したケーキが来るのを待っていた。そしてしばらくすると、シンヤたちが頼んだケーキを持ってきた、コックコートを着ている女性店員とアブリーがやってきた。シンヤたちが頼んだケーキは、ムクロジ名物の《タマンチュ・ラ・トルテ》というケーキで、飴細工で金色の蜘蛛の巣を作り、巣にタマンチュラを模した小さいケーキを乗せ、飴細工の蜘蛛の巣をケーキの上に突き刺すという、ムクロジの人気ケーキだった。

 

 

 ムクロジ・テラス席

 

 

 女性の店員「ごゆっくりどうぞ」

 

 アブリー「アブッ」

 

 

 ロイ「これが…」

 

 リコ「ムクロジ名物の…」

 

 ドット「《タマンチュ・ラ・トルテ》」

 

 

 カシャ(ドットが写真を撮る)

 

 

 ヴィヴィアン「さぁ、いただきましょう」

 

 リコ「すいません、ケーキを奢ってもらちゃって…ニャローテたちの分まで」

 

 ロイ・ドット「「ありがとうございます!」」

 

 ヴィヴィアン「いいのよ。シンヤが船でお世話になってるし。…リコちゃん、あとでシンヤと3人でお話をしまょうか。私も明日には、オレンジアカデミーに戻らないといけないし、せっかく時間ができたからね」

 

 リコ「はい!」

 

 ロイ「じゃあ早速」

 

 全員「「「「いただきま〜す!」」」」

 

 パクッ…モグモグッ(ケーキを食べる)

 

 ロイ「すっごくおいしい!」

 

 ドット「しっかりとした甘みの奥に、わずかなビター…こんな味初めてだ」

 

 ヴィヴィアン「うん。やっぱりパルデアでケーキを食べるなら、ムクロジが一番ね」

 

 シンヤ「うん。やっぱりここのケーキはうまいな」

 

 リコ「シンヤ、ここのケーキ食べたことあるの?」

 

 シンヤ「ジム戦が終わった後、カエデさんにケーキをご馳走してもらったことがあってな」

 

 リコ「そうだったんだ」

 

 シンヤ「ビクティニはケーキじゃなくて、マカロンを食べてるのか」

 

 ビクティニ「ティーニッ!」

 

 シンヤたちがケーキを食べた後、シンヤの母であるヴィヴィアンが、シンヤがリコと出会ってからの冒険の話を聞きたいと言うので、シンヤは紅茶を飲みながら、ヴィヴィアンに今までの旅の話をしていた。セキエイ学園でリコと出会い、その後、エクスプローラーズと呼ばれる組織が、リコのペンダントを狙ってセキエイ学園にやってきて、リコの母親であるルッカがリコを守るために依頼した、フリードたちライジングボルテッカーズと出会って一緒に冒険することになったこと。ライジングボルテッカーズと冒険をしているうちに、ロイが住んでる島に立ち寄り、ロイが仲間になったこと。そして、古の冒険者と呼ばれるルシアスが、リュウセイや六英雄というポケモンと一緒に、ラクアという楽園を目指したこと。ガラルの古城でダイアナと出会ったことなど、シンヤはヴィヴィアンに詳しく話した。

 

 ヴィヴィアン「なるほどね。そんなことがあったの」

 

 リコ「あの、ごめんなさい。シンヤさんを巻き込んでしまって」

 

 ヴィヴィアン「いいのいいの。この子、いっつも自分からトラブルに突っ込んで行くから」

 

 シンヤ「人をトラブルメーカーみたいに言うなよな」

 

 ロイ「おいしかった!」

 

 ドット「うん」

 

 マードック「お客様方。私が作ったタマンチュ・ラ・トルテ、ご満足いただけましたかな?なーんてな!」

 

 シンヤ「マードック!」

 

 リコ「何でここに⁉︎」

 

 マードック「みんな元気そうでよかったよ!……あれ?こっちの人は」

 

 シンヤ「俺の母さんだよ。母さん。この人が前に話した…」

 

 ヴィヴィアン「ライジングボルテッカーズの方ですね。初めまして。シンヤの母のヴィヴィアンです」

 

 マードック「ああ、シンヤのお母さんですか!初めまして。船でコックをしてるマードックです!」

 

 ヴィヴィアン「いつもシンヤが船でお世話になっています」

 

 マードック「いえいえ。俺たちの方こそ、シンヤには色々助けてもらってばかりで」

 

 イワンコ「ワン、ワン」

 

 マードック「ドット、その新しい服、よく似合ってるぞ」

 

 ドット「う、うるさいな!服を選んでくれたモリーのセンスがいいだけだよ」

 

 ロイ「でも、なんでマードックがここに?」

 

 マードック「船の修理はオリオに任せて、俺は資金調達のために、このムクロジでアルバイトをしてるのさ」

 

 シンヤ「確かに、マードックが作るケーキはうまいし、ここのアルバイトにはピッタリだな」

 

 マードック「ああ。ムクロジの洋菓子はどれも大人気で、毎日大忙しなんだけど、店長がすごくいい人でな。働いてる店員の人たち全員に、特製ケーキをご馳走してくれるんだ」

 

 ロイ「なんか楽しそうだね」

 

 マードック「あぁ、なんたって…」

 

 ???「ちょっと!一体どうなってんのさ!」

 

 シンヤ「この声…まさか!」

 

 ロイ「行ってみようよ」

 

 シンヤたちがケーキを食べて雑談していると、ムクロジでアルバイトをして資金を調達しているマードックがやってきた。そして、ヴィヴィアンとマードックが挨拶をして、マードックがムクロジで楽しそうにアルバイトをしていることをシンヤたちに話していると、ムクロジのお店の方から叫び声が聞こえてきた。シンヤたちがそこに向かうと、人だかりができていて、がんめんポケモンの《オニゴーリ》を連れた1人の女の子が、こぐまポケモンの《ヒメグマ》を連れている、コックコートの服を着ている店員に向かってクレームを言ってるようだ。

 

 ???「オニだるぅ。ムクロジの限定ケーキが食べたくて、わざわざセルクルタウンに来たんですけど」

 

 ???「あら〜、そう言われても〜」

 

 ヒメグマ「ヒンメッ…」

 

 ???「売り切れになったって、また作ればいいだろ!こっちは客なんだから!」

 

 ???「あらあら、困ったわ〜」

 

 ???「早くケーキを作れ!作れ!作れ!」

 

 オニゴーリ「オー二ッ!」

 

 ドット「すごいクレーマーだ」

 

 リコ「あの、店員さんも困ってます」

 

 ロイ「そうだよ。やめなよ」

 

 サンドウィッチ「あぁ、何だ⁉︎……あっ、お前らは!」

 

 リコ「あっ、サン…サンドウィッチさん!」

 

 シンヤ「お前、何でここに?」

 

 店員にクレームを言っていたのは、シンヤとリコを監視するためにオレンジアカデミーの生徒になり、サンドウィッチという偽名を名乗っている、エクスプローラーズの幹部の《サンゴ》だった。

 

 サンドウィッチ「決まってんだろ。せっかくパルデアに来たんだから、セルクルタウン名物の、タマンチュ・ラ・トルテを食べに来たんだよ」

 

 ロイ「ああ、さっき僕達が食べ……」

 

 パッ(ロイの口を塞ぐ)

 

 シンヤ「ロイ。少しだけ黙っててくれ」

 

 どうやらサンゴは、タマンチュ・ラ・トルテを食べに来たようだが、ケーキショーケースの中には、タマンチュ・ラ・トルテどころか、他のケーキも売っていなかった。シンヤたちがここに来た時は、まだたくさんケーキが売ってあったのだが、この数分でケーキが全て売られているとなると、ムクロジのケーキがどれほど人気かよく分かる。

 

 ヴィヴィアン『リコちゃんたちって、あの子と知り合いなんですか?』

 

 マードック『エクスプローラーズのことはご存知ですか?』

 

 ヴィヴィアン『さっきシンちゃんたちから聞きました』

 

 マードック『アイツがその1人です』

 

 ヴィヴィアン『あんな子供が⁉︎』

 

 ドット『昨日、オレンジアカデミーにいきなり現れて』

 

 マードック『恐らく、リコたちの監視だろうな。後でフリードに連絡を入れておくよ』

 

 クワッス「クワッス…」

 

 シンヤ「……ん?そのヒメグマ……あっ!カエデさん!」

 

 ピカチュウ「ピィーカ!」

 

 サンゴにクレームを言われている、店員の足元にいるヒメグマを見たシンヤは、そのヒメグマを連れている店員をよく見ると、その人のことをカエデと呼んだ。そのカエデと呼ばれた人物は、虫の繭のように編み込まれた後ろ髪に、左頬に小さなほくろがあり、エプロンに飾られた蜘蛛の巣が特徴的で、帽子や袖にもアリの触角のような模様がついている。笑顔でニッコリしている優しい人だった。

 

 カエデ「んっ?あら〜、シンヤさん、ピカチュウ」

 

 リコ「カエデさんって……もしかして!」

 

 シンヤ「ああ。この人がセルクルタウンのジムリーダーにして、このムクロジの店長さんでもあり、パティシエの…」

 

 カエデ「初めまして、カエデです〜。ようこそ、セルクルタウンへ〜」

 

 ヒメグマ「ヒンメッ」

 

 リコ「は、初めまして!テラスタル研修を受けにきた、リコです!」

 

 ロイ「ロイです!」

 

 ドット「ドットです」

 

 カエデ「はいは〜い。テラスタル研修のお話は伺っていますよ。リコさん、早速テラスタル研修を始めましょうか」

 

 リコ「あ、えっと…」

 

 サンドウィッチ「おい、待てよ!バトルをするなら、このサンドウィッチちゃんにもやらせろよ!」

 

 リコ「えっ?」

 シンヤ「何でお前が?」

 

 サンドウィッチ「わざわざセルクルタウンに来たのにケーキも食べられなかったんだ。派手に暴れなきゃ、こっちの腹の虫がおさまんねぇんだ!」

 

 オニゴーリ「オーニッ!」

 

 カエデ「あら〜、今日はお店のこともあるし〜。お相手できるのは、1人かしらね」

 

 サンドウィッチ「なら、まずコイツとバトルする!そんで、バトルに勝ったほうとバトルしやがれ!」

 

 マードック「おいおい、カエデさんは仕事があって忙しいんだ。無茶を言うのも…」

 

 サンドウィッチ「うっせぇ〜‼︎関係ないおっさんは黙ってな‼︎」

 

 マードック「あっ、は、はい。(◞‸◟)」

 

 シンヤ(子供に言い負かされてどうすんだよ、マードック。しかもエクスプローラーズ相手に…(-_-))

 

 ピカチュウ「ピィカァ…」

 

 リコたちがカエデに挨拶をすると、カエデは早速テラスタル研修を始めようとするが、その時サンゴことサンドウィッチが、自分にもバトルをやらせろと言ってきた。どうやら。ケーキを食べられなかった腹いせに、それをポケモンバトルで晴らそうとしていた。それをマードックが止めようとするが、あまりのサンゴの威圧に押されてしまい、言い負かされてしまった。リコはしばらく顔を下に向けて考え込んでいたが、顔を上げると…

 

 リコ「……分かりました。そのバトル、受けます!」

 

 シンヤ「お、おい!リコ!」

 

 リコ「カエデさん。サンドウィッチさんとのバトルで、《テラスタルオーブ》を使っちゃダメですか?」

 

 カエデ「研修生同士のバトルでは、テラスタルオーブを使うことは禁止ですよ」

 

 リコ「はい。研修を受ける前に聞きました」

 

 カエデ「それなら、どうしてテラスタルオーブを使いたいと?」

 

 リコ「私、まだテラスタルオーブを使ったことがなくて、テストの前に使っておきたくて…」

 

 サンドウィッチ「はああ?このサンドウィッチちゃんを練習台にしようってか?上等じゃんか!返り討ちにしてやるよー!コノヤロー!」

 

 カエデ「まあまあ、サンドウィッチさん落ち着いて。…リコさん」

 

 リコ「あっ、はい」

 

 カエデ「テラスタルオーブを使ったことがないから、試しておきたいという気持ちは分かります。確かに、練習は大事です。…だけど、練習と本番は違います。リコさんがサンドウィッチさんとバトルをして、テラスタルオーブを使ってしまったら、本番にならなくなってしまいます」

 

 リコ「ぁっ」

 

 リコはサンゴの挑戦を受けると、カエデにテラスタルオーブを使っていいかと聞いた。どうやら、リコはカエデとバトルする前に、サンゴとバトルをして、テラスタルオーブを使っておきたいようだった。しかし、サンゴとのバトルで、リコがもしテラスタルオーブを使ってしまったら、それは本番にはならない。カエデの言う通り、練習と本番では違いすぎる。

 

 パンッ(手を合わせる)

 

 カエデ「では、こうしましょうか。リコさんとサンドウィッチさんの2人には、ポケモンバトルをする代わりに、これからケーキを作ってもらいま〜す」

 

 リコ・サンドウィッチ「「えっ?……ケーキ⁉︎」」

 

 こうして、カエデの提案でケーキを作ることになったリコとサンゴ。そして、リコたちがムクロジの厨房に移動すると、カエデがケーキを作るのに必要な道具と材料を用意してくれたので、あとは2人がケーキを作るだけだ。

 

 ムクロジ・厨房

 

 シンヤ「リコ、ケーキを作ったことあるのか?」

 

 リコ「前にマードックに教えてもらったけど、1人で作るのは初めてだよ」

 

 コソッ(マードックがシンヤに小声で話す)

 

 マードック『シンヤ。リコが俺にケーキの作り方を聞いてきたのは、お前に自分で作ったケーキを食べてほしいからなんだぞ』

 

 シンヤ『えっ?』

 

 マードック『ほら、前にお前、船で甘いものが好きだって言ってたろ?』

 

 シンヤ『そう言えば、ブレイブアサギ号に乗って何日か経った日に、マードックが作ってくれたケーキを食べた時、甘いのが好きだって言ったっけ。…リコ、俺のためにケーキ作りを…』

 

 マードック「リコ、前に教えたとおりに作れば大丈夫だ。焦るなよ」

 

 リコ「うん!」…(1人でケーキを作るのは初めてだけど、でも、テラスタル研修を受けるために頑張らなきゃ!)…「ニャローテ、手伝いをお願い!」

 

 ニャローテ「ニャッァァ!」

 

 カエデ「それじゃあ、始め!」

 

 ヒメグマ「ヒンメッ!」

 

 カエデの合図で、リコとサンゴは同時にケーキを作り始めた。リコは抹茶ケーキを作るため、ニャローテに手伝ってもらいながら、最初に抹茶クリームを作り始めた。最初にちゃんと分量を計った後、ボールに抹茶と砂糖を入れて、それをホイッパーで混ぜていき、クリームを少し入れると、湯煎にかけてホイッパーで混ぜながら完全に溶かし、抹茶が完全に溶けたのを確認した後、残りのクリームを加えて混ぜていき、氷水に当てて冷やしながら泡立てていくと、抹茶クリームは完成した。

 

 リコ「よし!次はスポンジケーキだ」

 

 ニャローテ「ニャッァ!」

 

 次はスポンジケーキを作るため、卵3つと分量を計った砂糖をボールに入れると、それを一回混ぜていき、次はボールを湯煎にあてると、ホイッパーで混ぜ続けながら、卵液が温かくなるまで加熱し、湯煎から外すと、ハンドミキサーで泡立てていった。その中に裏ごしを使って、分量を計った薄力粉をふるいながら加えると、ゴムベラを使って生地をしっかり混ぜていき、混ぜ終えると、スポンジケーキを作る型の中にケーキ敷紙を敷いた後、混ぜ合わせた生地を入れて、軽く上からトントンと3回落とし、中の空気を抜いた後、余熱で温めておいたオーブンの中に生地を入れて焼いていった。そして、スポンジケーキができたのを確認すると、さっき冷やしておいた抹茶クリームを、パレットナイフを使って塗っていき、最後にニャローテの威力の小さい「このは」を加えて、リコは抹茶ケーキを作り終えた。

 

 リコ「できました!」

 

 シンヤ「おおっ!」

 

 パチパチ!(拍手)

 

 カエデ「リコさんはうまくできましたね。サンドウィッチさんはどうですか?」

 

 リコ(そうだ、あっちはどんなケーキを作ったんだろう……)

 

 

 

 

 

 (ぐちゃぐちゃのケーキ)

 

  

 サンドウィッチ「あぁ、もう無理!ケーキなんて作ったことないし!」

 

 シンヤたちがサンゴの作ったケーキを見てみると、生焼けの生地の中に、ぐちゃぐちゃになった木の実が入っていて、もはやケーキとはいえないものが皿に盛りつけられていた。

 

 ドット「…何、それ?」

 

 シンヤ「…謎の物体?」

 

 サンドウィッチ「うっせえな!オニゴーリがちゃんと手伝わないからだぞ!」

 

 オニゴーリ「オニッ…」

 

 シンヤ「オニゴーリは手足がないんだから、手伝えるわけないだろう。できることなんて、こおりタイプの技でクリームを冷やすことぐらいだ」

 

 サンドウィッチ「ああもう!こうなったらやけだ!オニゴーリ!「ふぶき」でかき氷にしちゃえ!」

 

 オニゴーリ「オーーーニッ!」

 

 ケーキをうまく作ることができなかったサンゴは、やけになってオニゴーリに「ふぶき」の指示を出した。すると、オニゴーリが厨房で「ふぶき」を放ち、サンゴの作ったケーキを凍らせると同時に、厨房に冷たい冷気が流れた。すると、部屋の温度はドンドン下がっていき、厨房の至る所が凍ってしまい、シンヤたちは寒さで体がかじかんでしまう。

 

 ブルブルッ!

 

 ロイ「さ、寒い……」

 

 ヴィヴィアン「うぅ……」

 

 シンヤ「あぁもう!ビクティニ!威力弱めで、部屋に「かえんだん!」」

 

 ビクティニ「ティニッ!ティーーニッ‼︎」」

 

 バァァァァン!

 

 シンヤがビクティニに「かえんだん」の指示を出すと、ビクティニは両手に小さい火の玉を作り、それを上に向かって放つと、厨房の天井近くで炎が弾け飛ぶと、部屋の温度はドンドン上がっていき、厨房を凍らせた氷は溶けていき、部屋は少し温かい温度になった。

 

 シンヤ「サンキュービクティニ!」

 

 ピカチュウ「ピィカァ!」

 

 ビクティニ「ティーニッ!」

 

 ピース(ビクティニが手でVを作る)

 

 サンドウィッチ「何すんだよ!」

 

 シンヤ「それはこっちのセリフだ!厨房で「ふぶき」を使うバカがどこにいる!」

 

 サンドウィッチ「だったらもう一回!オニゴー…」

 

 カエデ「サンド〜〜ウィッチさん…」

 

 サンドウィッチ「んっ?……∑(゚Д゚)」

 

 カエデ「洋菓子は、むしポケモンと同じです」

 

 サンドウィッチ「ぁ、ぁ、ぁ」

 

 カエデ「弱そうに見えても、大きな力を持っています。おいしさという、大きな幸せを込めるために、丁寧にケーキを作るんです。出直してきなさ〜い」

 

 サンドウィッチ「あ……はい……」

 

 再びサンゴがオニゴーリに「ふぶき」を指示しようとすると、サンゴの後ろからカエデが声をかけてきた。カエデの顔は笑ってはいるが、顔の上半分に影が広がっていて、内心すごく怒っているということが分かる。その迫力に、サンゴは口角をひくつかせていて、怯えながらカエデの話を聞いていた。そして、オニゴーリをボールに戻すと、サンゴは厨房を出て行った。

 

 ドット「す、凄い迫力だった」

 

 マードック「ああ。普段はニコニコして優しい人なんだが、お菓子作りにかけては真剣な人で、厳しいところもあるんだ」

 

 クルッ(顔をリコたちに向ける)

 

 カエデ「っと、いうわけで、勝負はリコさんの勝ち。これからリコさんには、基礎テストを受けてもらいます」

 

 リコ「はい!お願いします!」

 

 カエデ「その前に、リコさんが作ったケーキを、皆さんで召し上がってください」

 

 サンドウィッチが厨房を出ていき、カエデがリコたちの方を向くと、カエデの顔から影が消えていて、ニッコリとした優しい表情に戻っていた。そして、リコにテラスタル研修を受けてもらうと言い出し、研修を始める前に、リコの作ったケーキをみんなで食べることになった。

 

 パクッ(ケーキを食べる)

 

 ロイ「おいしい!」

 

 ドット「うん!」

 

 マードック「リコ!ちゃんとうまくできてるぞ!」

 

 リコ「よかった!……あれ?シンヤは食べないの?」

 

 シンヤ「すまん。俺、抹茶ケーキは苦手でな」

 

 リコ「ぁっ…そうなんだ」

 

 ヴィヴィアン「……あっ!リコちゃん。ちょっと耳貸して」

 

 リコ「えっ?」

 

 ヴィヴィアン「………で、………をしてあげるの」

 

 リコ「えっ⁉︎///」

 

 ヴィヴィアン「大丈夫よ。そうしたら、シンちゃんは絶対食べてくれるから!」

 

 リコ「は……はい!」

 

 せっかくリコが作ってくれたケーキだが、シンヤは抹茶味が苦手なため、リコの作ったケーキを食べようとしなかった。初めて作ったケーキをシンヤに食べてもらえないことをリコが残念がっていると、ヴィヴィアンがリコに耳打ちをしていた。すると、リコは抹茶ケーキを一口サイズに切り分け、それを皿に乗せるとシンヤの前に歩いていき、フォークで切り分けたケーキを刺すと、それをシンヤの前に差し出した。

 

 シンヤ「ん?リコ?……どうした?」

 

 リコ「……シンヤ///……ア〜〜ン///」

 

 スッ(フォークに刺した抹茶ケーキを差し出す)

 

 シンヤ「ッ⁉︎///……母さんの入れ知恵だな!」

 

 ヴィヴィアン「せっかく彼女が頑張って作ってくれたケーキを食べないなんて、彼氏として失礼なんじゃないの?それに、リコちゃんが頑張って恥じらいを捨ててまで、ア〜ンってしてくれてるのに……」

 

 シンヤ「あのな!リコは恥ずかしがり屋なんだぞ!」

 

 ヴィヴィアン「私は強要はしてないわよ。シンちゃんにこうしたら、ケーキを絶対に食べてもらえるとは言ったけど。テヘペロ(*´꒳`*)」

 

 シンヤ「あのなぁ〜〜!」

 

 ヴィヴィアン「別にアレルギーはないんだから食べられるでしょ?案外好きな味かもしれないわよ」

 

 シンヤ「グググッ……ハァ……あ〜」

 

 パクッ(抹茶ケーキを食べる)

 

 リコ「どうかな?」  

 

 シンヤ「……ッ!うまい!」

 

 リコ「よかった!」

 

 リコがヴィヴィアンの入れ知恵で、顔を赤くしながら、あ〜んと言いながらケーキをシンヤに差し出すと、シンヤは目を閉じて口を開けた。そして、リコが抹茶ケーキをシンヤの口に運ぶと、シンヤは抹茶ケーキを食べると、ヴィヴィアンとマードックとカエデの大人3人と、シンヤのポケモンたちは、その光景を微笑みながら見ていて、ロイとドットはポカンとした顔をして見ていた。リコは内心恥ずかしかったが、いつかシンヤにあ〜んとしたいと思っていたし、折角頑張って作ったケーキをシンヤに食べて欲しかったから、羞恥心に耐えながらも、なんとか頑張ったのだ。

 

 ヴィヴィアン「あらあら、部屋が暑くなってきたわね。ビクティニちゃんの「かえんだん」じゃなくて、シンちゃんとリコちゃんが原因かしら〜」

 

 シンヤ「おい!」

 

 リコ(ヴィヴィアンさん、シンヤが私を揶揄う時と顔が似てる。やっぱり親子だ…)

 

 カエデ「ウフフフ。練習と思わずに、一生懸命ケーキを作りましたものね」

 

 リコ「えっ…はい!」

 

 カエデ「ケーキは作るその瞬間から、気持ちを込めた分だけおいしくなり、ふっくら膨らみます。それはテラスタルも同じ。パートナーと心を込めて思いっきりやれば。一度しかない、最高にデリシャスなテラスタルができます」

 

 リコ「…そうだ。私、考え過ぎてた」

 

 カエデ「ん?」

 

 リコ(今までのバトルだって、1つ1つが本番だった。失敗することも、成功した時だってあった。テラスタルオーブも、テストの中で使ってみよう!)

 

 カエデ「いい顔になりましたね。では、バトルフィールドに移動しましょう」

 

 

 カエデの言葉を聞くと、リコは今まで自分がしてきたバトルを思い出した。今までのバトルは練習じゃなく、どれも本番だったこと。失敗もあったが、成功もしたことがあった。初めてだって関係ないのだと。そして、テラスタル研修を始めるため、リコはカエデがジム戦の時に使う、ムクロジのお店の上にあるバトルフィールドに移動し、シンヤたちは観戦場所に移動した。

 

 

 バトルフィールド

 

 

 リコ「いよいよだ」

 

 カエデ「それではリコさんには、これから私の甘〜いバトルで、おもてなしをさせていただきます」

 

 リコ「よ、よろしくお願いします!」

 

 

 バトルフィールド・観戦場所

 

 

 ドット「甘〜いバトル?」

 

 ロイ「手加減してくれるってことかな?」

 

 シンヤ「いや、そんなんじゃない」

 

 マードック「ああ。カエデさんのバトルには、ビターが香るんだ」

 

 ロイ・ドット「「ビターが香る?」」

 

 シンヤ「バトルを見てれば分かるさ」

 

 カエデ「じゃあクマちゃん、いってらっしゃい」

 

 ヒメグマ「ヒンメッ!」

 

 シンヤ「やはり、カエデさんのポケモンはヒメグマか」

 

 

 リコ「ヒメグマ…」スッ(スマホロトムを取り出す)

 

 

 ヒメグマ こぐまポケモン ノーマルタイプ。

 

 手のひらに甘い蜜がたっぷり染み込んでいる。不安な時は、手のひらを舐めて笑顔になる。

 

 

 ドット「ヒメグマはノーマルタイプのポケモンだ」

 

 ロイ「あんなかわいいポケモンが相手なら、リコが有利だね」

 

 シンヤ「それはどうかな?」

 

 ピカチュウ「ピィーカ」

 

 ロイ・ドット「「えっ?」」

 

 カエデ「テラスタルとは、すなわち羽化。ポケモンが持っている、大きな力を引き出してくれるのです。あなたは、その力をうまく使えるかしら〜?テラスタル研修!バトルスタート!」

 

 リコ「行くよニャローテ!「でんこうせっか!」」

 

 ニャローテ「ニャッ!」ダッ!

 

 シンヤ「先手はリコが取ったか。…だが」

 

 カエデ「クマちゃん、「あまえる!」」

 

 ヒメグマ「ヒメメメ〜❤️」 

 

 ニャローテ「ニャッ⁉︎ニャッ⁉︎」

 

 ポカンッ(ヒメグマを優しく叩く)

 

 リコ「えっ⁉︎」

 

 ロイ「あれじゃダメージにならないよ!」

 

 カエデの合図で、ついに始まったリコのテラスタル研修。バトル開始早々、リコはニャローテに「でんこうせっか」の指示を出すと、ニャローテはヒメグマに向かって走って行った。すると、カエデがヒメグマに「あまえる」の指示を出すと、ヒメグマはつぶらな瞳をしながらニャローテに顔を向けた。そのヒメグマの顔を見たニャローテは、ヒメグマの前でブレーキをかけると、優しくヒメグマの頭を叩いた。

 

 カエデ「ウフフフフッ。私のヒメグマちゃんは、とっても甘え上手なんです。……だけど」

 

 

 ニッ!(ヒメグマが顔を変える)

 

 

 ヒメグマ「ヒンメッ!」

 

 カエデ「クマちゃん、「きりさく!」」

 

 ヒメグマ「ヒメッ!ヒンメッ!」

 

  

 ザァァァン!

 

 

 ニャローテ「ニャッロウ⁉︎」

 

 リコ「ニャローテ!」

 

 カエデ「ちょっとビターなところも、あったり〜」

 

 リコ「だったら、距離を取って攻撃を当てれば…」

 

 カエデ「…クマちゃん、羽ばたくように両手を振って〜」

 

 ヒメグマ「ヒメッ?……ヒンメッ!」

 

 リコ「ニャローテ!そこから「マジカルリーフ!」」

 

 ニャローテ「ニャッァ!…ニャッァァ…

 

 リコ「えっ?ニャローテ⁉︎」

 

 ロイ「なんだか、すごくいい匂いがしてきた…」

 

 カエデ「クマちゃんの「あま〜いかおり」です。とってもいい匂いでしょう?」

 

 リコ「ニャローテ、しっかりして!」

 

 カエデ「クマちゃん。もう一度「きりさく!」」

 

 ヒメグマ「ヒンメッ‼︎」

 

 

 ザァァァン!

 

 

 ニャローテ「ニャッァァ⁉︎」

 

 ヒメグマはさっきの甘え仕草をした顔から、ちょっと怖い顔に変わると、ニャローテを「きりさく」で攻撃してきた。ニャローテが「きりさく」の攻撃を受けると、リコは「あまえる」を警戒して、ヒメグマから距離を取って戦おうとする。すると、ヒメグマが両手を広げてパタパタと手を振ると、ヒメグマの方からいい匂いがしてきた、その匂いを嗅いだニャローテは目を閉じると、集中力をなくしているようなリラックスしている顔になった。そのいい匂いの正体は、ヒメグマの「あまいかおり」という技だった。そして、ニャローテが目をつぶって「あまいかおり」のいい匂いを嗅いでいると、ヒメグマは「きりさく」でニャローテを攻撃してきた。

 

 マードック「あのヒメグマ、思ってる以上にやるぞ」

 

 シンヤ「ああ、あのヒメグマの厄介なところは、あの「あまえる」と、「あまいかおり」なんだ」

 

 ドット「近づけば「あまえる」を使われるし、離れても「あまいかおり」を使われて、最後に「きりさく」で攻撃される」

 

 シンヤ「そう。これが…」

 

 リコ(カエデさんの言ってた、甘いバトル。一体どうやって攻略すれば?)

 

 カエデ「そろそろ仕上げといきましょう。クマちゃん、フィールドを「あまいかおり」の匂いで満たして!」

 

 ヒメグマ「ヒメメメメ、メッ!」

 

 リコ「ニャローテ!「マジカルリーフ!」」

 

 ニャローテ「ニャッァーーッ‼︎」

 

 ヒメグマ「ヒメメメメッ!」

 

 バァァァン!

 

 リコ「えっ?」

 

 ロイ「何で?」

 

 シンヤ「「あまいかおり」が効きすぎて、ニャローテの集中力が削がれてるんだ」

 

 リコはカエデの戦略に翻弄され、手も足も出せずにいた。そして、カエデがもう一度ヒメグマに「あまいかおり」を指示すると、ヒメグマは両手をパタパタさせて、フィールドに「あまいかおり」の匂いで満たそうとした。すると、リコはニャローテに「マジカルリーフ」を指示して、「あまいかおり」を吹き飛ばそうとする。しかし、ニャローテはバトルに集中できていないため、「マジカルリーフ」は不発に終わってしまう。そして、ヒメグマは「きりさく」攻撃をしてきて、ニャローテはダメージを受けてしまう。

 

 ヴィヴィアン「まずいわね。これじゃテラスタルする前に、カエデさんに負けてしまう」

 

 シンヤ(リコ……)

 

 リコ(どうすれば?どうすればいいの⁉︎)

 

 シンヤ「リコ!」

 

 リコ「えっ、シンヤ?」

 

 シンヤ「こんなピンチの状況、お前は旅をしている中で、何度も経験してきた筈だ!」

 

 リコ(あっ…そうだ。こういうピンチは、船で旅をしてた時に何度もあった。それに…」

 

 

 リコの回想…

 

 

 カエデ『テラスタルも同じ。パートナーと心を込めて思いっきりやれば、一度しかない、最高にデリシャスなテラスタルができます』

 

 

 リコの回想が終わる。

 

 

 リコ「って、カエデさんも言ってたし」

 

 

 スチャ(テラスタルオーブを取り出す)

  

 リコ「ニャローテ!」

 

 ニャローテ「ニャロッ?」

 

 リコ「私、最初はうまくテラスタルオーブを使えるか不安だった。……でも、ニャローテと思いっきりやれば、テラスタルオーブを使いこなすことができる!だからニャローテ!2人で思いっきり、バトルを楽しもう!」

 

 ニャローテ「ニャッァ!」

 

 リコ「ニャローテ!満開に輝いて!」

 

 カエデの戦略に翻弄されぱっなしだったリコだが、シンヤの言葉を聞き、さっきカエデに言われたことを思い出すと、リコはテラスタルオーブを取り出し、ニャローテにバトルを楽しもうと伝えた。そして、リコがテラスタルオーブを構えると、テラスタルオーブにエネルギーが蓄積されていき、チャージが満タンになると、リコはニャローテに向かってテラスタルオーブを投げ飛ばした。テラスタルオーブはニャローテの頭上でエネルギーを解放すると、ニャローテは結晶石に身を包み込んだ。そして結晶石が弾け飛んだ時、そこには全身がクリスタル化し、頭に花の王冠を被るニャローテがいた。

 

 (くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャッァァーーーッ!」

 

 リコ「やった!うまくできた!」

 

 カエデ以外の全員「「「おおっ‼︎」」」

 

 カエテ「あらあら……」

 

 リコ「ニャローテ!「マジカルリーフ‼︎」」

 

 (くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャッァァーーーッッ‼︎」

 

 バァァァァン‼︎

 

 ヒメグマ「ヒメ、ヒンメェェーー⁉︎」

 

 カエデ「あらあら、クマちゃん」

 

 リコ「やったぁ!」

 

 ニャローテ「ニャッァロゥ!」

 

 

 ロイ・ドット「「やった!」」

 

 マードック「あと一息だ!」

 

 シンヤ「ああ。だけど、恐らくそろそろ…」

 

 ピカチュウ「ピィーカ…」

 

 リコはニャローテをテラスタルすると、「マジカルリーフ」の指示を出した。そして、ニャローテが力を解放すると、花を模した王冠の輝きも増し始め、ニャローテが「マジカルリーフ」を放つと、ヒメグマの放った「あまいかおり」ごとヒメグマを吹き飛ばしてダメージを与えた。そんなリコたちのバトルを見て、ロイたちは喜んでいた。

 

 カエデ「……どうやら、ちょっとお砂糖が多すぎたようですね」

 

 スチャ(テラスタルオーブを取り出す)

 

 シンヤ「やはり!」

 

 ピカチュウ「ピカァ!」

 

 カエデ「サナギを破り、強く大きく育ちましょう!」

 

 ヒメグマがダメージを受けたことで、どうやらカエデも本気になったようで、テラスタルオーブを取り出した。カエデがテラスタルオーブを構えると、テラスタルオーブにエネルギーが蓄積されていき、チャージが満タンになると、カエデはヒメグマに向かってテラスタルオーブを投げ飛ばした。テラスタルオーブはヒメグマの頭上でエネルギーを解放すると、ヒメグマは結晶石に身を包み込んだ。結晶石が弾け飛んだ時、そこには全身がクリスタル化し、蝶の王冠を被るヒメグマがいた。

 

 (むしテラスタイプ)ヒメグマ「ヒンメッ‼︎」

 

 ロイ「カエデさんもテラスタルした!」

 

 シンヤ「むしタイプになったか!」

 

 リコ「これで決めるよニャローテ!「マジカルリーフ!」」

 

 (くさテラスタイプ)ニャローテ「ニャッァァァロウ‼︎」

 

 カエデ「クマちゃん!「れんぞぐぎり‼︎」」

 

 (むしテラスタイプ)ヒメグマ「ヒメ!ヒメッ、メッ、メッ、メッ、ヒンメッ‼︎」

 

 ザッザッザッザッ、ザンッ!

 

 ニャローテ「ニャッァァァ⁉︎」

 

 バタンッ!

 

 ヒメグマ「ヒンメッ」

 

 カエデ「バトル終了〜!」

 

 リコ「ニャローテ、大丈夫?」

 

 ニャローテ「ニャッァ…」

 

 リコ「ありがとう。頑張ってくれて」

 

 ヒメグマがテラスタルすると、リコは勝負をつけようとニャローテに「マジカルリーフ」の指示を出した。すると、花を模したテラスタルジュエルが輝きを増すと、ニャローテは「マジカルリーフ」を放った。そして、カエデがテラスタルしたヒメグマに「れんぞくぎり」を指示すると、ヒメグマのテラスタルジュエルが光を放ち、ニャローテの放った「マジカルリーフ」を切り裂いていき、そのままニャローテを連続で切り裂いた。ニャローテにむしタイプの技は効果抜群のため、ヒメグマの「れんぞくぎり」を喰らったニャローテが地面に倒れると、ニャローテは戦闘不能になってしまい、ニャローテとヒメグマのテラスタルは解除され、元のニャローテとヒメグマの姿に戻った。そして、カエデの合図でバトルが終わると、リコはニャローテのそばに駆け寄り、ニャローテを抱きしめた。すると、カエデがリコとニャローテの近くに歩いてきた。

 

 パチパチ(拍手)

 

 カエデ「は〜い。リコさん、合格ですよ」

 

 ヒメグマ「ヒンメッ!」

 

 リコ「えっ?どうしてですか?私、カエデさんに負けちゃったのに?」

 

 カエデ「テラスタル研修に、バトルの勝ち負けは関係ないんです。私が見たかったのは、リコさんがちゃんと、バトルに『心を込められるか』どうかだったんです」

 

 リコ「心を込める…」

 

 カエデ「パートナーと息を合わせ、心を込めてテラスタルオーブを使いましたね。そして、最高のタイミングで、ニャローテをテラスタルさせることができました。……本当は、それで合格だったんですけど。バトルを最後までやりたくなってしまいました〜」

 

 リコ「……フフッ」

 

 カエデ「リコさん、結構なお手前でした。バトルもふっくら、膨らみましたね〜」ピッ(スマホロトムをタッチする)

 

 ポンッ!(リコのスマホロトムに合格のスタンプが送られてくる)

 

 リコ「ありがとうございました!カエデさん、私、もっとテラスタルの力を引き出せるよう頑張ります!」

 

 カエデ「フフフッ、あなたとニャローテがどう育つのか、楽しみ〜」

 

 シンヤ「やったな、リコ!」

 

 ピカチュウ「ピッカッ!」

 

 ロイ・ドット「「おめでとう!」」

 

 マードック「いいバトルだったぞ」

 

 ヴィヴィアン「おめでとう、リコちゃん」

 

 リコ「ヴィヴィアンさん、ありがとうございます。みんなもありがとう!」

 

 カエデ「基礎テストで疲れたでしょう。さぁ、ティータイムにしましょう」

 

 マードック「リコが合格したお祝いだ!ムクロジのケーキを腹いっぱい食べていけ!」

 

 ロイ「やったぁ!お腹一杯食べるぞ!」

 

 ホゲータ「ホンゲェ!」

 

 カエデ「リコさん。いつだって、今この瞬間を楽しむこと、忘れないでください」

 

 リコ「はい!」

 

 こうして、リコは基礎テストを無事に合格し、カエデから基礎テストの合格の証として、スタンプがリコのスマホロトムに送られてきた。そして、リコの合格にみんなが喜んでいると、カエデとマードックが腕によりをかけて作ったケーキを、ムクロジの店員がたくさん運んできてくれた。そして、みんながケーキを食べ終えると、シンヤとリコとヴィヴィアンは、マードックたちから少し離れた場所で、3人で話をしていた。

 

 ヴィヴィアン「リコちゃん。本当におめでとう」

 

 リコ「ありがとうございます。ヴィヴィアンさん!」

 

 ヴィヴィアン「これからもシンヤのことをお願いね。この子、目を離すと勝手にどっか行っちゃうから、気をつけてね」

 

 リコ「えっ?…あの、私とシンヤさんのこと、認めてくれるんですか?」

 

 ヴィヴィアン「どうして私が反対するの?大事なのは、シンヤとリコちゃんの気持ちでしょ?」

 

 リコ「あっ、はい!ありがとうございます!」

 

 ヴィヴィアン「うん。…あっ、でも、2人には早く結婚式を挙げてもらって、2人の子供の顔を見せてもらいたいわね」

 

 リコ「///結婚式///子供///」

 

 シンヤ「おい!///いきなりなんつーことを言うんだ!」

 

 ヴィヴィアン「だって、早く孫の顔が見たいんだもの。なんなら、明日にでも式を挙げてもいいの…」

 

 シンヤ「早くオレンジアカデミーに戻れ‼︎」

 

 ヴィヴィアン「はいはい。じゃあリコちゃん、またね」

 

 リコ「あ///はい!今日はありがとうございました!」

 

 シンヤ(ったくもーーっ、恥ずかしい。こんなのが母親なんて!///)

 

 リコ(シンヤって、お母さんが絡むとこんな顔をするんだ)

 

 

 3人は話を終えると、シンヤとリコはロイたちと合流して、ヴィヴィアンは明日から授業をするため、オレンジアカデミーに戻ろうとする。そして、シンヤがヴィヴィアンとビクティニに、じゃあまたなと伝えた。

 

 シンヤ「母さん、ビクティニ、じゃあまたな」

 

 ビクティニ「ティニッ……」

 

 シンヤ「どうしたビクティニ?」

 

 ヴィヴィアン「あなたと一緒に行きたいんじゃないの?」

 

 シンヤ「えっ?そうなのか?ビクティニ?」

 

 ビクティニ「ティーニッ!」

 

 ヴィヴィアン「連れてってあげたら?」

 

 シンヤ「えっ、手持ちポケモンは決まってるのに?」

 

 ヴィヴィアン「今の手持ちポケモンは?」

 

 シンヤ「えっ?えっ〜と、ピカチュウ、エンペルト、リザードン、ジュカイン、ルカリオ、ゲッコウガだけど」

 

 ヴィヴィアン「そのメンバーって、チャンピオンシップスで優勝した時のメンバーじゃない!」

 

 シンヤ「そうだけど」

  

 ヴィヴィアン「たまにはメンバーを変えたら?ナナカマド博士から聞いたんだけど、ロイ君と出会った夜に、そのメンバーに変えたんでしょ?そんなことしてたら、他のポケモンたちが成長できなくなるわよ」

 

 シンヤ「うっ(・_・٥)……確かに」

 

 ヴィヴィアン「ピカちゃんやリザードン、ゲッコウガやジュカインと出会う前に、あなたが旅をして出会ったポケモンたちにだって、強いポケモンたちがいるじゃない。それとも、そのメンバーじゃなきゃ信用できない?」

 

 シンヤ「…そう言われれば。確かに最近、手持ちを入れ替えてなかったな」

 

 ヴィヴィアン「家で待ってる子たちも、あなたと冒険したがってるのよ。ピカちゃん以外のメンバーは変えたら?」

 

 シンヤ「エンペルトもか⁉︎」

 

 ヴィヴィアン「エンペルトは充分育ってるでしょ」

 

 シンヤ「う〜ん。……分かったよ。まあ、パルデアの大穴の中に行くまでは、他のポケモンたちで戦うか。…ビクティニ、一緒に行こうぜ」

 

 ビクティニ「ティーニッ!」

 

 シンヤはナナカマド博士に連絡を取ると、ピカチュウ以外のポケモンたちをナナカマド博士のところに送り、新たなメンバーとして、《オーガポン》、マッハポケモンの《ガブリアス》、ふういんポケモンの《ミカルゲ》、むすびつきポケモンの《ニンフィア》を送ってもらった。

 

 シンヤ「まぁ何かあったら、またメンバーを変えればいいし」

 

 ヴィヴィアン「じゃあまたね。ティニちゃん」

 

 ビクティニ「ティーニッ!」

 

 こうして、ヴィヴィアンはオレンジアカデミーに戻って行くと、シンヤとリコは、ロイとドットと合流した。そして、4人で次はどこに行くかと決めると、次に研修を受けるのはロイに決まったので、シンヤたちはコルサのいるボウルタウンに向かうことにした。だが、辺りはすっかり暗くなり、夜になってしまったので、シンヤたちはセルクルタウンの近くの丘でテントを張って、今日はそこで寝ることにした。シンヤが夜ご飯を作ってくれているので、リコたち3人は、さっきのニャローテのテラスタルのことで話をしていた。

 

 セルクルタウン・近くの丘の上

 

 ロイ「すごかったなぁ!ニャローテのテラスタル!」

 

 リコ「もう、何回それ言うの」

 

 ドット「でも、すごく刺激的だった」

 

 リコ「うん。テラスタルってすごい。ポケモンの力をあんなに引き出せるんだもん。もっと使いこなせるようにならないと」

 

 ロイ「うん。よ〜し、今度は僕の番だ!」

 

 シンヤ「お〜い!シチューができたぞ!サンドイッチも好きな具材を挟んで食べろ」

 

 ピカチュウ「ピィーカ!」

 

 リコ・ロイ「「は〜い!」」

 

 ドット「いただきます!」

 

 

 To be continued

 

 

 次回予告

 

 

 テラスタル研修にリコが見事合格したので、シンヤたちが次に目指したのは、コルサのいるボウルタウンだ。しかし、ロイはなにやら焦っているようで、それをコルサに見透かされてしまう。

 

 

 次回「炎のアート!輝けホゲータ!」

 





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