ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり 作:通りすがりのポケモントレーナー
無事に基礎テストの合格をしたリコとロイ。そして、最後の基礎テストをドットが受けるため、シンヤたちはハッコウシティに向かっていた。
ハッコウシティ道中
ロイ「テッ、テッ、テラスタル。キラキラ輝くテラスタル」
ホゲータ「ホッ、ホッ、ホッホッゲー!」
リコ「ふふっw。ロイ、すごく嬉しそう」
シンヤ「基礎テストを無事に合格しただけじゃなく、コルサさんにリベンジもできたからな」
ピカチュウ「ピッカッ!」
ドット「それに、無事に合格できたから、肩の荷が下りたんだろうな」
シンヤ「最後はドットの番だな」
ドット「う、うん」
リコ「だ、大丈夫だよ!私にだって合格できたんだから、ドットだって合格できるよ!」
ドット「リコ、気を遣いすぎだよ」
クワッス「クワッス」
ロトトン!
リコ「あっ!ぐるみんの新着動画だ!」
シンヤ「いつの間に配信したんだ?」
ドット「テラスタル研修を受ける前に撮り溜めておいて、それを予約配信にしておいたんだ。研修中は動画を撮れないからね」
シンヤ「研修を受けながらじゃ、動画撮影はできないからな」
リコ「…ねぇドット。例えば、ぐるみんが外でロケする配信とかは、ないのかな、なんて…」
シンヤ「そう言われると、外で配信をしているところを見たことないな」
ドット「ぐるみんはロケしないから」
リコ「あ、そうなんだ……」
ドット「…まぁ、いつかはしてもいいけど」
リコ「ホントに⁉︎」
クワッス「クワッス?」
シンヤ(ぐるみんがロケするってだけで、そんなに盛り上がれるのか…)
ロイ「3人とも!着いたよ!《ハッコウシティ》に!」
ナンジャモから基礎テストを受けるため、ハッコウシティに向かって歩き続けていたシンヤたち。ここまで歩いて長かったが、シンヤたちはようやくハッコウシティに到着した。そして、このハッコウシティの近くにある《ドック》には、《ブレイブアサギ号》を修理しているフリードたちがいるため、ナンジャモから研修を受ける前に、先にフリードたちに連絡を入れておいた。
ハッコウシティ・街中
フリード『そうか。今ハッコウシティにいるのか』
シンヤ「ああ、さっき着いた」
オリオ『なら、研修を受ける前に、先にドックに寄りなよ』
モリー『ハッコウシティにいる間は、ここに寝泊まりすればいいから』
マードック『カエデさんから貰った、タマンチュ・ラ・トルテもあるぞ!』
シンヤ「分かった。先にドックに寄るよ」ピッ
ドット「フリードたち、何だって?」
シンヤ「研修を受ける前に、先にドックに寄ったらって。それとマードックが、カエデさんから貰ったタマンチュ・ラ・トルテのケーキもあるって」
ロイ「やったぁ!」
ナンジャモ『おはこんハロチャオ!』
ハラバリー『ハラハラ!』
リコ「わぉ!」
ドット「ナンジャモ姉さん…」
ドットが研修を受ける前に、先にフリードたちの寝泊まりしている場所に向かおうとすると、ハッコウシティのビルに取り付けられている音声付きモニターが流れ始めた。すると、このハッコウシティのジムリーダー《ナンジャモ》と、よくナンジャモと一緒に動画に出ている、でんきがえるポケモンの《ハラバリー》が映った。
ナンジャモ『ハッコウシティ名物の、このワサビソース!この辛さが癖になるんだよね!』
ハラバリー『ハーラハラ!ハーララ!ハーラ!」
通行人「ナンジャモだ!」
通行人2「かわいい!」
ロイ「ナンジャモさん、すごい人気だね」
シンヤ「このハッコウシティのジムリーダーでもあり、人気動画配信者だかなら」
ピカチュウ「ピィカァ!」
リコ「また会えるかな?」
シンヤ「ドットの基礎テストの相手はナンジャモなんだから、バトルフィールドで会えるだろう」
リコ「あっ、そっか」
ドック近くの宿舎
ナンジャモ「ドモドモー!生ぐるみん氏、そして生ぐるみん氏のリア友たち、お久しブリリアント物語!」
リコ「基礎テストを受ける前に…」
シンヤ「会えちゃったな… 」
ピカチュウ「ピカァ…」
シンヤたちがフリードたちの寝泊まりしている宿舎の中に入ると、そこにはフリードたちだけではなく、宿舎のソファーに座っているナンジャモがいた。
ドット「ナンジャモ姉さん、どうしてフリードたちと一緒にいるの⁉︎」
ナンジャモ「どうしてって、ドックを紹介したのも、この宿舎を手配したのも、この僕、ナンジャモなんだよ〜」
シンヤ「そうだったのか?」
フリード「ああ。ドットの仲間ってことで、ドックを紹介してもらって、寝泊まりする場所を提供してもらったんだ」
キャプテンピカチュウ「ピィカァ」コクッ
ドット「だからって、ここは姉さんの家じゃないんだから…」
ナンジャモ「固いことは言いっこナシナシ。僕と君たちの仲じゃないか〜」
ハラバリー「ハーラ、ハラハラ」
マードック「まぁ、とにかく食べろ!ほら、タマンチュ・ラ・トルテだぞ!」
リコ「わぁ!」
ロイ「待ってました!」
マードックがタマンチュ・ラ・トルテを持ってきてくれたので、話はケーキを食べてからにしようということになり、シンヤたちはタマンチュ・ラ・トルテを食べ始め、ピカチュウやブレイブアサギ号に乗っているポケモンたちには、マードックが別のケーキをご馳走してくれた。
ナンジャモ「おいしい!やっぱり、カエデ氏の作ったケーキは最高だね!」
フリード「研修の方はどうだ?」
シンヤ「リコとロイが基礎テストの合格を貰ったから、後はドットがナンジャモから合格を貰えば基礎テストは終わりだ」
フリード「そうか。…ところでシンヤ、お願いがあるんだが…」
シンヤ「ん?お願いって何?」
フリード「ドットがナンジャモから基礎テストを受けるまでの間だけ、ビクティニを研究させてもらってもいいか?」
シンヤ「ビクティニを?」
フリード「ああ。マードックから、お前がビクティニをゲットしてるって聞いた時から、ビクティニを研究したくなってな。幻のポケモンなんて滅多に会えないし。頼む!」
シンヤ「ビクティニが良ければ俺はいいけど。ビクティニ、いいか?」
ビクティニ「ティニッ!」
シンヤ「いいって」
フリード「そうか!恩に着るぜ!」
ナンジャモ「あっ、生ぐるみん氏!基礎テストを受ける前に、僕のお願いを聞いてくれる?」
ドット「えっ?」
ドック近くの港
ズピカx21「「「ズピッ!」」」
ハラバリー「ハーラハラ、ハラー!」
ドット「何これ?」
クワッス「クワッ?」
ケーキを食べ終えると、シンヤたちはナンジャモに連れられて、ドックの近くの港にやってきた。そこにはハラバリーの進化前である、でんきおたまポケモンの《ズピカ》たちがいた。ズピカたちは円を作り、頭の電気を発電させると、今度はナンジャモのハラバリーが円の中心に飛んできて、お腹にあるへそのように見える発電器官の「へそダイナモ」で大電力を発電させた。
シンヤ「…この演出…いるのか?」
ピカチュウ「ピーカッ…」
ナンジャモ「生ぐるみん氏!僕の基礎テストは、《ドンナモンジャTV》のスペシャル生配信中に行うよ!」
ドット「えっ⁉︎」
ナンジャモ「んでんで、今日はそのリハーサルをしちゃうよ〜!」
ドット「リハーサル⁉︎それに基礎テストを配信するの?」
ナンジャモ「そっ、…はっ!」
スマホロトムx6「「「ロトッ」」」
ドット「うっ…カメラまで…」
クワッス「クワッ…」
どうやらナンジャモのテラスタル研修は、『ドンナモンジャTV』という、ナンジャモが配信している動画チャンネルの生配信中に行われるようで、今からそのリハーサルをするようだ。そして、ナンジャモが6台のスマホロトムを取り出すと、6台のスマホロトムはドットの目の前に飛んで行った。
ナンジャモ「リハといっても、本番と同じようにバトルをしてもらうよ〜!…でもでも、今日僕がバトりをするわけにいかないから、対戦相手は、生ぐるみん氏のリア友にお任せするね〜」
ロイ「任せて!リア友代表、ロイだよ〜!」
ホゲータ「ホンゲェェ!」
モリー「流石お調子者コンビ」
オリオ「浮かれてるねぇ〜」
フリード「シンヤ、研修を受けている間、ロイも成長してるんだろ?」
シンヤ「ああ。リコもロイも、どっちもレベルアップしてるよ」
フリード「そうか。ロイの成長ぶりを見るのも楽しみだ」
キャプテンピカチュウ「ピカ」
ナンジャモ「んじゃ〜、早速バトりといこう!今回はリハだから配信はないけど、テラスタル研修の時は、全世界の皆の者の目玉が、生ぐるみん氏に注目するからね!」
ドット「うっ……」
リコ「あれ?ドットの様子がなにか変…」
ニャローテ「ニャァ?」
ナンジャモ「ではでは、バトりスタート!」
ハラバリー「ハッラー!」
ロイ「行くよ!ホゲータ!」
ホゲータ「ホンゲェ!」
ドット「いけ、クワッス!」
クワッス「クワッス!」
ロイ「ニトロチャージ!」
ドット「じゃあこっちは……あっ」
スマホロトムx3「………」
ドット「…カメラ…」
ナンジャモの合図で始まった、ドンナモンジャTVのリハーサル。早速バトルが始まると、ロイはホゲータに「ニトロチャージ」を指示した。ドットもクワッスに指示を出そうとするが、自分を映しているスマホロトムが気になってしまい、ドットは目の前が真っ白になってしまう。そして、クワッスにホゲータの攻撃が命中し、次は「じだんだ」、その次は「かえんほうしゃ」がクワッスに命中していき、ドットがクワッスに指示をできないまま、ドットの負けでバトルは終わってしまう。
クワッス「クワ……」
ドット「クワッス、ごめん!」
リコ「ドット、いつもと様子が違ってた」
シンヤ「ああ。一体どうしたんだ?」
ピカチュウ「ピーカッ?」
ナンジャモ「ありゃりゃ〜、生ぐるみん氏、一体どうしたの?」
ドット「…それが、カメラがこっちを向いているのを見たら、頭が真っ白になってきて…」
リコ「カメラ?」
ロイ「いつもぐるみんで配信をしてるのに?」
ドット「それは……」
シンヤ「ドット、ぐるみんの着ぐるみを着ないで、素顔で配信したことは?」
ドット「……ないよ」
シンヤ「だろうな。着ぐるみを着ていれば緊張しないけど、素顔を晒して配信をやるとなると、ドットは緊張してしまうわけか」
ドット「………」
リコ「ドット…」
ナンジャモ「なるへそ物語!でも大丈夫!この僕がぐるみん氏に、とっておきのアドバイスを授けよう!」
シンヤ「アドバイス?」
ピカチュウ「ピィカァ?」
ナンジャモ「インフルエンサーにもテラスタルにも必要なのは……映えだ!」
シンヤ「映え?」
リコ「テラスタルに?」
ロイ「何で?」
ナンジャモ「テラスタルオーブを使うことで、ポケモンはきらびやかにテラスタルする。そうすれば、バトルを見ている皆の者を楽しませる。映えて、映えて、目玉をエレキネットすれば、バトリもバズりも、間違いな〜し!」
モリー「そうなのかな?」
フリード「まぁ、かもしれねぇわな」
キャプテンピカチュウ「ピカビィカ?」
ドット「でも、ぐるみんじゃない僕に、映えるバトルができるわけ…」
ナンジャモ「ならこうしよう!今回の基礎テスト、特例として、ぐるみん氏で受けることを認めよう!」
全員「「「えっ⁉︎」」」
シンヤ「そんなことしていいのか?」
ナンジャモ「以前ぐるみん氏とコラボした後、再生数とチャンネル登録者数がシビルドン登りになったからね!もう一回コラボをやれば、バズりまくること間違いないなし!ニッシッシッシッ…」
シンヤ「動機が不純だな。いいのかそれで?」
ナンジャモ「いいのいいの」
ナンジャモはそう言い残すと、ジムリーダーとしての仕事があるからとハッコウジムに戻って行き、フリードたちも船の修理に戻って行くと、シンヤとリコとロイの3人は船の甲板に移動した。
ブレイブアサギ号・甲板
ロイ「ぐるみんで基礎テストを受けられることになってよかったね」
リコ「……でも、本当にそれでいいのかな?」
ロイ「どういうこと?」
リコ「……だって、ドットはぐるみんだけど、ぐるみんはドットじゃないし…」
シンヤ「ぐるみんの着ぐるみを着れば、ドットはぐるみんになるし。ぐるみんの着ぐるみを脱げば、ドットに戻るだろう」
リコ「そうじゃなくて……なんて言えばいいんだろう…」
ロトトン!
シンヤ「あ、ぐるみんのライブ配信が始まるぞ」
リコ・ロイ「「えっ?」」
ぐるみん『よっす〜ポケモントレーナーのみんな!ぐる〜びんしてる?』
カヌチャン『チャチャーッ!』
クワッス『クワッス〜』
シンヤ「ん……おい!2人とも、あれを見ろ!」
リコ・ロイ「「えっ、えっ?ええっ⁉︎」」
シンヤたちが甲板で、ドットのテラスタル研修のことを話していると、シンヤたちのスマホロトムに、チャンネル登録しているぐるみんの動画から、ライブ配信が始まると通知が来る。そして、突然ぐるみんのライブ配信が始まった。シンヤはライブ配信を見ていると、いつもの部屋の背景ではなく、青空の景色が映っていることに気がつく。そして、ランドウが船で釣りをしている場所を見ると、そこでぐるみんがロケをしているところを発見する。
ブレイブアサギ号・ランドウの釣り場
ぐるみん「今日は久々のライブ配信なのだ!」
リコ「ぐるみんがロケしてる!」
シンヤ「へぇ〜、本当にロケしたんだ」
ぐるみん『早速だけど、ぐるみんからみんなに、大、大、大発表があるぜ!」
シンヤ「大発表?」
ピカチュウ「ピィカァ?」
ぐるみん『それは、ぐるみんが、あることへの挑戦を決めたことだ!』
ロイ「それって…」
リコ「ぐるみんの格好でテラスタル研修を受けること、言うつもり⁉︎」
ぐるみん『その、あることとは……』
リコ・ロイ「「あることとは…」」
ぐるみん『それは…』
リコ・ロイ「「それは…」
ぐるみん『……後ほど報告するのだ!』
リコ・ロイ「「だぁっ⁉︎」」コケる
シンヤ(……ああ、そういうことか)
ぐるみんのライブ配信を見ているシンヤたちは、ぐるみんの着ぐるみを着てライブ配信をしているドットが、ぐるみんの格好でテラスタル研修を受けることを言うつもりだと思っていた。しかし、ぐるみんはしばらく黙り込むと、それは後ほど報告すると言ってきた。それを聞くと、リコとロイはその場でコケてしまうが、シンヤはドットの意図が分かったようだ。すると、ぐるみんは船を降りていき、ハッコウシティの《チュロスにチュ》というお店にやってきて、クワッスとカヌチャンの分のチュロスを買うと、そこで撮影を始めた。
チュロスにチュのお店
ぐるみん「おいしいだろ?クワッス、カヌチャン」
クワッス「クッ…クワッス」
カヌチャン「チャーッ!」
ぐるみん「みんな大好き!チュロスにチュで売られている、おいしいチュロスに大注目だ!」
茂みの後ろ
ロイ「ぐるみん、すごく楽しそうに配信してるね」
リコ「うん。…でも…」
シンヤ「………」
ぐるみん「みんなも、ハッコウシティに来た時は是非、チュロスにチュで売られているチュロスを食べよう!なっ、クワッス!」
クワッス「クッ…クワッス」
シンヤ・リコ「「クワッス?」」
ぐるみんたちがチュロスにチュのお店の前で撮影しているところを、シンヤたちは近くの茂みの後ろから見ていた。ロイには、ぐるみんたちが楽しく撮影しているように見えているようだが、シンヤとリコの2人には、クワッスが元気のないように見えていた。それからぐるみんたちは、ハッコウシティの街中を歌いながら歩いていた。
ぐるみん「ペラップがラップ、イキリンコがさわぐ。クワッスがダンス、始まるカーニバル」
クワッス「クワッス」
カヌチャン「チャーッ!」
通行人1「おっ、ぐるみんだ!」
通行人2「配信中かな?」
通行人3「撮ろう撮ろう!」
ぐるみん「イェーイ!みんなドンドン撮ってくれ!ありがとうみんな!」
クワッス「クワッス…」
路地裏
ドット「とりあえず、やるべきことはやった。……みんなの反応は?……よかった、楽しんでもらえてる。これなら、テラスタル研修の時も…」
クワッス「クワッス!」
ドット「えっ?クワッス?」
ぐるみんの格好でハッコウシティを歩き回ったドットは、人通りが少ない路地裏に移動し、そこでぐるみんの着ぐるみを脱いで、スマホロトムを確認し、さっきのライブ配信の評価を見ていた。しかし、クワッスはなにやら不満そうな顔をしてドットを見ていた。するとそこに、シンヤたちが走ってきた。
リコ「ドット」
シンヤ「ここにいたのか」
ピカチュウ「ピィカァ」
ロイ「すごく盛り上がってたね」
ドット「うん。初めてのロケだったけど、高評価でよかったよ」
リコ「……うん。ドットも周りの人たちも、すごく楽しそうだった」
ドット「カメラも全然気にならなかった。やっぱり僕は、ぐるみんをしてる時が1番力が出せるみたいだ」
リコ「……ねぇドット、さっきぐるみんが言いかけてた、あることへの挑戦って…ぐるみんとして、テラスタル研修の基礎テストを受けるってこと?」
ドット「…うん。ナンジャモ姉さんから、ぐるみんで受けていいってお許しも出たからね」
リコはドットに、さっき船でぐるみんがロケをしている時に言っていた、あることへの挑戦の意味は、ぐるみんとしてテラスタル研修を受けることかと聞いてみた。そして、それはリコやロイの思った通り、ドットがぐるみんとして、テラスタル研修を受けることだったようだ。
リコ「…そうなんだ」
ドット「何か問題あるの?」
リコ「えっ?…ううん。別に何もないよ。…ただ、ドットはそれでいいのかなって…」
ドット「どういうこと?」
リコ「…急にぐるみんでロケをやったり、妙に明るく振る舞ってる感じで、ちょっと無理をしてるように見えたから…」
ドット「別に無理なんて……あっ」
クワッス「クワッス、クワッス、クワッス」
ズル…ズル…ズル(ぐるみんの着ぐるみを引っ張る)
ドット「何やってるんだよ、クワッス!」
クワッス「クワッス!」
ドットがリコと話をしていて少し目を離した隙に、クワッスがぐるみんの着ぐるみを引っ張てどこかに行こうとしていたので、ドットはクワッスから着ぐるみを取り返そうとするが、クワッスはドット目の前に移動すると、手を横に広げてドットを制止した。
ドット「どうしたんだよクワッス?」
リコ「もしかしてクワッスも、ぐるみんじゃなくて、ドットとしてテラスタル研修を受けてもらいたいの?」
クワッス「クワァッス!」コクッ
ロイ「そうだったの?」
リコ「ねぇドット、クワッスもこう言ってるんだし、ドットとして基礎テストを…」
ドット「いいんだよ!」
リコ「ぁっ…」
ドット「僕はぐるみんとして基礎テストを受ける。それの何がいけないんだ⁉︎」
リコ・ロイ「「………」」
どうやら、クワッスもドットの様子がおかしいことに気がついていたようで、クワッスもリコと同じように、ドットにはぐるみんとしてでなく、ドットとしてテラスタル研修を受けてもらいたいらしい。そして、リコがドットに言葉をかけようとした時、ドットは大声で怒鳴り声を上げてしまう。しばらく気まずい空気が流れたが、次に口を開いたのはシンヤだった。
シンヤ「ドット、それがお前の本音なら、別に止めはしない」
ドット「えっ?」
シンヤ「ぐるみんとして、テラスタル研修を受けたいのが本心ならな」
ドット「っ…どういうこと?」
シンヤ「さっきリコの言ってた通り、急にぐるみんでロケをやったり、妙に明るく振る舞ってる感じで、俺もお前が無理をしてるように見えてたぞ」
ドット「さっきも言っただろ!無理なんかして…」
シンヤ「だったらなんで、さっき船でロケの配信をした時に、ぐるみんがテラスタル研修を受けると最後まで言わなかった?ぐるみんとしてテラスタル研修を受けるなら、そのまま発表すればよかったのに?」
ドット「ッ⁉︎……それは」
シンヤ「急にロケの配信をしてたのも、明るく振る舞ってたのも、評価を得ることより、ドットとして頑張ろうって、一歩を踏み出そうとしてたんだろ?」
ロイ「えっ、そうなの?」
ドット「………」
シンヤ「リコにドットとして基礎テストを受けるように言われた時、大声を出したのだって、本当はドットとして基礎テストを受けることが、1番いいと分かっているからだろう?」
ドット「うっ……そうだよ。だけど…ぐるみんじゃないと思うと、やっぱり不安で…」
リコ(そうだったんだ。……ドットも、本当はぐるみんとしてじゃなくて、ドットとして基礎テストを受けようとしてたんだ。…シンヤは、とっくにそのことに気づいてたんだ。…本当にすごいな、シンヤ)
カヌチャン「チャーッ⁉︎」
シンヤに心の内側を読まれたドットは、シンヤに言われたことを素直に認めた。ドットも本音はぐるみんとしてではなく、ドットとして基礎テストを受けたいが、やはりカメラに撮られながら基礎テストをやることに抵抗があったようだ。そして、しばらくシンヤたちが黙り込んでいると、突然カヌチャンの叫び声が聞こえてきたので、シンヤたちがカヌチャンの声が聞こえてきた方を見ると、たんきとうポケモンの《ブロロン》がカヌチャンを追いかけ回していた。
ブロロン!「ブロロォ!ブロロォ!」
シンヤ「あれは《ブロロン》!」
ロイ「ブロロン?」
スッ(スマホロトムを取り出す)
ブロロン たんきとうポケモン はがね・どくタイプ。
スクラップ工場に放置されたエンジンに、謎の毒ポケモンが入り込んで生まれたポケモン。
リコ「ブロロン、怒ってるみたいだけど」
シンヤ「それより、早くカヌチャンを助けないと!ピカチュウ!「10まんボルト!」」
ピカチュウ「ピッカッチューウ!」
ブロロン「ブロロッ!?」
シンヤ「ドット、今のうちにカヌチャンをボールに戻せ!」
ドット「分かった!戻れカヌチャン!」
シュルルーン
ブロロン「ブロロロッ‼︎」
シンヤ「やべぇ!ピカチュウ、よけろ!」
ピカチュウ「ピッカッ!」
どうしてブロロンがカヌチャンを追いかけ回し、怒っているのか分からなかったが、とりあえずカヌチャンを助けるため、シンヤはピカチュウに「10まんボルト」を指示した。そして、ピカチュウが「10まんボルト」をブロロンの足元に放つと、ブロロンは慌ててしまい、ドットはその隙にカヌチャンをモンスターボールに戻した。すると、ブロロンは自分を攻撃してきたピカチュウに狙いを変えると、タイヤを回してピカチュウに突っ込んできた。ピカチュウがブロロンの攻撃をジャンプしてかわすと、ブロロンはピカチュウの後ろに落ちていたぐるみんの着ぐるみにぶつかってしまい、飛ばされたぐるみんの着ぐるみがブロロンに被さってしまう。ブロロンは被さってしまった着ぐるみに視界を遮られてパニックになってしまうと、タイヤを回して前を走って行き、路地裏を抜けて中央広場の方に行ってしまった。
リコ「あっ、ぐるみんが!」
シンヤ「追いかけるぞ!」
ハッコウシティ・中央広場
ブロロン「ブロロロロッ!」
ロイ「あんなところに!」
リコ「どうしよう?早くぐるみんを取りに行かないと…」
「誰?あの子たち?」
「あれってブロロンだよね?」
「何かの撮影かな?」
シンヤ(やばいな。人が集まってきてる)
ドット「あっ、……」
シンヤたちがブロロンを追いかけると、ブロロンは中央広場の周りを走っていた。ブロロンが中央広場を回って走っていると、被さっていたぐるみんの着ぐるみが地面に落ちた。しかし、ブロロンはまだ怒っていた。シンヤたちは着ぐるみを取りに行こうとするが、中央広場には騒ぎを聞きつけてきた人がたくさんやってきた。そして自分のスマホロトムを取り出すと、スマホロトムのカメラで撮影を始めた。すると、ドットはさっきのリハーサルのように頭の中が真っ白になってしまい、動きが止まってしまう。
クワッス「クワッスゥゥ!」
ドット「あっ、クワッス⁉︎」
ブロロン「ブロロッ‼︎」
ダァァァァン!
クワッス「クワッス⁉︎」
ドット「クワッス!」ダッ!
クワッス「クワッス!」
ドット「えっ…クワッス?」
シンヤ「ドット、クワッスはバトルをしようと言ってるんだ」
ドット「えっ?……でも…」
クワッスは着ぐるみんを取り返すため、ブロロンに向かって突っ込んで行った。すると、ブロロンはタイヤを回し始め、クワッスに突っ込んできた。クワッスとブロロンは正面から激突したが、クワッスはブロロンに押し返されてしまい、ドットの元にまで飛ばされてしまう。そして、クワッスはドットにバトルをしようと伝えるが、周囲の目やカメラを気にしていて、ドットはバトルに集中できそうになかった。
ドット「ここでバトルなんて…」
クワッス「クワッスゥ!クワッ!クワッスゥゥ!」
ブロロン「ブロロッ!ブロン!ブロン!」
クワッス「クワッス⁉︎」
ブロロン「ブロロロロッ!」
クワッス「クワッスゥゥ⁉︎」
クワッスはドットの気持ちを悟ると、自分の力で着ぐるみを取り替えそうとブロロンに向かっていくが、ブロロンは「どくガス」を発生させてクワッスの視界を遮ると、動揺しているクワッスに突撃してダメージを与えた。
リコ「シンヤ、クワッスを助けないと!」
シンヤ「ああ。ロイ、行くぞ!」
ロイ「うん!ホゲータ!」
バッ(ドットが手を横に出す)
シンヤ・リコ・ロイ「「「あっ…」」」
ドット「僕が行く」
タッタッ(前に歩いて行く)
ドット「クワッス、バトルをやろう!」
クワッス「クワッス!」
ドット「行くぞ、クワッス!「みずでっぽう!」」
クワッス「クワッァァスーーッ!」
ブロロン「ブロンッ!」
ドット「先にブロロンの動きを止めないと。けど……どうすれば……あっ……カメラ…」
クワッス「クワッス!」
ドット「あっ、そうだ。バトルに集中しないと!」
シンヤたちがクワッスを助けに行こうとすると、ドットは手を横に出してシンヤたちを制止すると、自分がバトルすると言い出し、クワッスの元に歩いて行った。そして、クワッスにバトルをやろうと言い出すと、クワッスに「みずでっぽう」を指示した。しかし、ブロロンはタイヤを回すと、ジャンプして「みずでっぽう」をかわした。ドットはブロロンの動きを止めようと対策を頭の中で考えようとするが、周囲の目やカメラが気になってしまう。しかし、クワッスの言葉で我に帰り、バトルに集中する。
ドット「……よし!クワッス!連続で「みずでっぽう」だ!」
クワッス「クワッスゥゥ!クワッ!スゥッ!スゥッ!」
ブロロン「ブロッ!ブロッ!ブロロッ!」
ドット「まだまだ!クワッス!「みずでっぽう」だ!」
クワッス「クワッ!クワッ!クワァッ!」
ブロロン「ブロロッ!ブロンッ!ブロロッ!」
ロイ「全然「みずでっぽう」が当たらない!」
リコ「大丈夫。ドットには何か作戦があるんだよ」
クワッスは「みずでっぽう」を連続で放つが、ブロロンは「みずでっぽう」をかわしながらクワッスに迫ってきた。しかし、ドットはバトルが始まってからのブロロンの動きを見ていたため、ブロロンの動きが分かっていた。
ブロロン「ブロロロロッ!」
ドット「今だクワッス!「けたぐり!」」
クワッス「クワッス!クワァァァスゥゥ‼︎」
ブロロン「ブロロロッ⁉︎」
シンヤ(「みずでっぽう」でブロロンを誘い込み、近づいてきたところを「けたぐり」とはな)
ドット「クワッス!トドメの「みずでっぽう‼︎」」
クワッス「クワッスゥゥーーッ‼︎」
ブロロン「ブロロロロッ⁉︎」
クワッスは突撃してきたブロロンに「けたぐり」を命中させて、ブロロンを蹴り飛ばすと、地面に倒れたブロロンに「みずでっぽう」を放った。すると、ブロロンは動かなくなった。
リコ・ロイ「「やったぁ!」」
ニャローテ「ニャッロウ!」
ホゲータ「ホンゲェ!」
ブロロン「ブロロッ!」
ドット「嘘ッ⁉︎」
クワッス「クワァ…」
ブロロンはクワッスの「みずでっぽう」を喰らって戦闘不能になっていたと思ったが、しばらくすると起き上がり、クワッスと睨み合いをした。そして、再びクワッスとブロロンがバトルを始めるのだと、誰もが思っていたが……
ブロロン「ブロロロッ」
クワッス「クワッス」
シンヤ・リコ・ロイ・ドット「「「「えっ?」」」」
クワッス「クワクワクワー」
ブロロン「ブロロロロォォ」
リコ「何か…」
ロイ「クワッスとブロロン…」
シンヤ「すっかりと…」
ドット「仲良くなっちゃった。…と言うより、意気投合してる」
「すごいバトルだった!」
「あの子すごい!」
「やるな!」
ドット「うっ……」
ナンジャモ『おはこんハロチャオ!いやぁ、熱いバトりだったね!」
ドット「ナンジャモ姉さん」
何故クワッスとブロロンが仲良くなったのかはシンヤたちにも分からなかったが、クワッスはブロロンに乗ると、ブロロンはクワッスを乗せたまま中央エリアを回り始めた。そして、クワッスとブロロンのバトルを撮っていた周りの人たちは、今度はドットを撮り始めた。すると、ビルに取り付けられている音声付きモニターから、ナンジャモとハラバリーが映った。どうやらナンジャモは、さっきのクワッスとブロロンのバトルをライブカメラで見ていたようだ。
ナンジャモ『今のクワッスとブロロンのバトり、見ていた皆の者は脳内フォルダに焼きつけたかな?それと、ここで、大、大、大ニュース!今クワッスに指示をしていた、物静かで利発な少女こそ、数日後にテラスタル研修の基礎テストを受けるため、僕とバトルをするトレーナーなのだ!』
「えっ⁉︎そうなの⁉︎」
「そのバトル見たい!」
ナンジャモ『数日後に行われるテラスタル研修は、『ドンナモンジャTV』だけで独占生配信!数日後のテラスタル研修でのバトルを楽しみにしてるぞ、ドット氏!』
ハラバリー『ハラァー!』
ドット「ドット氏…」
ナンジャモ『あなたの目玉をエレキネット!エレキトリカル⭐️ストリーマー!何モンなんじゃ?ナンジャモでした!では皆の者!数日後の基礎テストまで、まったね〜!』
「「「おおおおおっっ‼︎」」」
ドット「……あっ、そうだ!ぐるみん!…あれ?…ない?…リコたちもいない?」
ナンジャモはモニターに映ると、ブロロンとバトルしていたクワッスのトレーナーのドットが、数日後にテラスタル研修の基礎テストを受けるため、自分とバトルするということを発表した。すると、今のバトルを見ていた人たちは、ドットの応援をしたり、そのバトルを見たいと言い出した。そしてナンジャモは、ドットのことを生ぐるみん氏とは言わず、ドット氏と言った。ナンジャモがそう言って発表した以上、これでもうドットは、ぐるみんとしてテラスタル研修を受けられないだろう。そして、ナンジャモが放送を終了する時のお決まりのセリフを言うと、モニターを見ている人たちは大声を上げた。ドットもしばらくはモニターを見ていたが、本来の目的を思い出し、落ちているぐるみんの着ぐるみを取りに行ったが、中央エリアに落ちていた筈の着ぐるみがなくなっていて、シンヤたちもいないことに気づいた。
路地裏
リコ「ハァ、ハァ、ハァ」
シンヤ「ここまで来ればもういいだろう」
ロイ「どこも破れてない?」
リコ「うん。大丈夫」
ピカチュウ「ピーカチュ」
ニャローテ「ニャァロゥ」
ホゲータ「ホンゲェ」
ぐるみんの着ぐるみが中央エリアになかったのは、中央エリアにいた人たちがモニターに映ったナンジャモを見て、ナンジャモが基礎テストをすると発表した盛り上がった隙に、シンヤたちが着ぐるみを回収していたからだった。シンヤたちは着ぐるみを回収すると、再び路地裏にやってきて、着ぐるみが破けているかどうかを確認したが、どこも破けていないようだった。
ドット「シンヤ、リコ、ロイ」
ロイ「あっ…」
リコ「ドット」
シンヤ「いいバトルだったぞ」
ドット「うん。……さっきはごめん。怒鳴ったりして」
リコ「えっ?…ううん。私の方こそごめんね。ドットの気持ちも考えないで、勝手なことを言っちゃって」
ドット「クワッスと一緒にバトルしてたら、カメラのことが気にならなくなってたよ」
クワッス「クワッス」
シンヤ「さっき、ナンジャモがドット氏って言っちまったから、もうこれで後には引けなくなったな」
ドット「うん。…ナンジャモ姉さんが、初めて僕のことをドット氏って呼んでくれたんだ。少しは僕のことを認めてくれたのかもしれない。だから、僕はドットとして基礎テストを受けるよ。一緒に頑張ろうクワッス」
クワッス「クワッス」
ハッコウジム・撮影現場
ナンジャモ「ふぅ、ぐるみん氏が基礎テストを受けるって発表したら、話題性があるし、バズりまっくて、再生数とチャンネル登録者数がシビルドン登りになるのは間違いなかったと思うけど。ぐるみん氏じゃなく、生ぐるみん氏が基礎テストを受けることが大事だよね」
ハラバリー「ハラァ!」
ナンジャモ「ドット氏、楽しみにしてるよ」
To be continued
次回予告
ぐるみんとしてではなく、ドットとして基礎テストを受けることに決めたドットだったが、ナンジャモの配信を見て、ドットは自分らしいバトルが何かと考えていた。基礎テストを受けるまでに、ドットはナンジャモのバトルを動画で見て戦略を考えるが…
次回「映えろ、テラスタルバトル!ダンスでバトルだクワッス!」