ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり 作:通りすがりのポケモントレーナー
リコたちがオレンジアカデミーに戻っている頃、テラパゴスのことを調べているフリードは、泊まっているホテルの部屋の中で調べごとをしていた。
ホテルの部屋
フリード「……」
キャプテンピカチュウ「zzz〜zzz〜(ー ー;)」
ガチャ(扉を開ける音)
オリオ「お疲れさま。はい」スッ(コーヒーの入ったカップ)
フリード「おぉ、サンキュー」
フリードが部屋の中で、ルシアスの手記と、リコの祖母、ダイアナの冒険記を読んでいると、オリオが両手にコーヒーが入っているカップを持って、フリードのいる部屋に入ってきた。
オリオ「それと」
フリード「んっ?」
シンヤ「きたぞ、フリード」
ピカチュウ「ピィーカ!」
フリード「おっ、やっと来たか!」
キャプテンピカチュウ「ピカッ!」
コーヒーを持ったオリオが部屋に入ると、続けて部屋に入ってきたのは、フリードから連絡をもらってやってきた、シンヤとピカチュウだった。シンヤとピカチュウが部屋に入ると、寝ていたキャップは目を覚ました。
シンヤ「ちょうど昼か。時間ピッタリだな」
フリード「ああ。だけどもう少し待ってくれ。今いろいろ調べてるんだ」
オリオ「何か分かったの?」
フリード「…ルシアスの手記と、ダイアナさんの冒険記…それに、パルデア地方で発見された、テラパゴスらしきポケモンの記録。それを細かく探しているんだが、あまり詳しいことは載ってないんだ」
シンヤ「手掛かりなしか」
フリード「…そうだ、船の修理はどうなってる?」
オリオ「うん。あと半分で終わるよ」
シンヤ・フリード「「半分⁉︎」」
シンヤ「リコたちがテラスタル研修を受けてから、まだそんなに経ってないのに、もう半分も直ってるのか!」
フリード「流石オリオ。天才メカニックだ」
オリオ「そうでしょう〜。実は、ブレイブアサギ号のパワーアップも考えてるんだ」
シンヤ・フリード「「パワーアップ?」」
オリオ「うまくいくか分からないけど、まぁ楽しみにしててよ」
フリード「ああ。ブレイブアサギ号は頼んだ」
どうやら、ブレイブアサギ号の修理は順調に進んでいて、船の修理は後半分で終わるそうだ。それほどの作業を1人でしてしまうオリオは、やはりブレイブアサギ号に欠かせないメンバーであることを、改めて意識させられたフリードとシンヤだった。そして、オリオは船のパワーアップも考えているようで、フリードとシンヤに楽しみにしててと言った。
キャプテンピカチュウ「ピィカ!」
フリード「キャップも船の完成が楽しみみたいだな」
オリオ「またみんなで冒険ができるように、私も頑張るよ!」
キャプテンピカチュウ「ピカピーカ」
フリード「…よし。そろそろ行くか」
シンヤ「テラパゴスもラクアの手掛かりがあるところにか?」
フリード「ああ。…っと、その前に、1つ確認をしておかないとな」ピッ
オレンジアカデミー道中
ドット「ハァ、ハァ、もうダメだ」
リコ「もうそろそろ、オレンジアカデミーに着くよ」
ロイ「後もうちょっとだよ。頑張ろうよ!」
アン「お〜〜い。リコ〜!」
リコ「えっ⁉︎……《アン》!」
シンヤがフリードと合流して、ラクアとテラパゴスの手掛かりがある場所に行こうとしている頃。リコ、ロイ、ドットの3人は、手持ちのポケモンたちと一緒に歩いて、オレンジアカデミーを目指していた。するとそこに、リコたちと同じようにテラスタル研修を受けている私服姿のアンが、相棒ポケモンの《フタチマル》、そして《サンド》と一緒に、リコたちの元に走ってきた。
アン「学校ぶり!」
リコ「うん!」
アン「もしかして、リコたちもオレンジアカデミーに戻るところ?」
リコ「ってことは、アンも?」
アン「うん。基礎テスト合格したよ!…あれ?シンヤは?」
リコ「ちょっと用事があって、今は別行動中なの。後でオレンジアカデミーに来るって」
アン「そっか。あっ、ミブリムが《テブリム》に進化してる!ロイのカイデンも、《タイカイデン》に進化したんだ!」
ロイ「うん」
ヒョコ(鞄からテラパゴスが顔を出す)
テラパゴス「パーゴ!」
アン「わぁ、見たことないポケモン!リコ、新しいポケモンをゲットしたんだ!」
リコ「えっ〜と、この子は、その…」
ドット「ハァ、もう無理!ギブ…少し休もう」
ロイ「じゃあ、ここでおやつにしようよ」
リコ「うん!アンも一緒にどう?」
アン「いいの?やったぁ!」
アンはテブリムとタイカイデンを見ると、ミブリムとカイデンが進化していることに驚き、鞄から顔を出したテラパゴスを不思議そうに見ていた。そして、ドットが歩き疲れたと言うので、リコたちはアンと一緒におやつを食べながら休憩して、ポケモンたちは仲良く木の実を食べていた。リコとアンは久しぶりに再開すると、楽しそうに話をしていた。
アン「へぇ〜、あのペンダントが、このテラパゴスだったんだ!」
リコ「びっくりだよね」
テラパゴス「パーゴ!」
アン「それに、あのポケモンも初めて見た」
リコ「あれは《ミライドン》っていって、シンヤのポケモンなんだ」
アン「へぇ〜、ミライドンっていうんだ」
アンはテラパゴスとミライドンを見ると、見たことないポケモンだと驚いていたので、ミライドンはシンヤのポケモンってことと、鞄の中に入っているテラパゴスが、前に見せたダイアナから貰ったペンダントが、テラパゴスになったことをリコはアンに説明した。
アン「飛行船でどこまで遠く、仲間と大冒険の旅に!く〜っ!憧れる!」
ロイ「僕たち、まだまだ遠くに行くよ!」
アン「遠く?それってどこ?」
リコ「どこにあるか分からないけど、ずっと遠い所。その場所にテラパゴスが行きたがってるから、連れて行ってあげたいの」
ロイ「テラスタル研修を受けてるのも、そのためなんだ」
リコ「うん。だから私…頑張る!」
アン「…リコ、変わったね。なんか、ハキハキしてる」
リコ「そ…そうかな?」
リコがアンの質問にはっきりと答えると、アンはリコが出会った頃と違って、ハキハキしている変わりように驚いていた。少し内気なところや、偶にオドオドするところはあるが、シンヤたちと冒険を一緒にしてきたことで、リコは自分でも知らないうちに、自分に自信がつくようになっていた。
アン「素敵だね。友達と一緒に旅をするって。…でも、私だってリコのズッ友だよ!」
リコ「うん。離れていても、私とアンはずっと友達だよ!」
アン「うん!ロイもドットも、仲良くしてね!」
ロイ「もちろん!」
パシンッ(ハイタッチ)
アン・ロイ「「イエイ!」」
アン「ドットも!」
ドット「えっ?」
パシンッ(ハイタッチ)
アン「よろしくね!」
ドット「よ、よろしく…」
ロトロトロト…ロトロトロト…ピッ
アンがロイとハイタッチし、続いてドットとハイタッチすると、リコとテラパゴスはその様子を見ながら微笑んでいた。すると、リコのスマホにフリードから電話が来た。
フリード『よう!3人とも元気にやってるか?』
リコ「うん!もうすぐ、オレンジアカデミーに着くところだよ」
ロイ「今はみんなでおやつを食べて、休憩してるところ」
シンヤ『そうか。じゃあ今のところは大丈夫だな』
ピカチュウ『ピィーカ!』
リコ「あっ、シンヤ、ピカチュウ」
ロイ「フリードと合流できたんだ」
シンヤ『ああ、これからテラパゴスとラクアの手掛かりがある場所に、フリードと行くとこ』
フリード『休憩中ならちょうどいいな。1つ、お前たちにも確認しておきたいことがあってな』
リコ「確認?」
ロイ「何を?」
フリード『前にテラパゴスが、ガラルファイヤーやラプラスに共鳴した時、不思議な景色が見えただろ?』
リコ「それって…」
ロイ「ルシアスが現れた時だよね」
フリード『そうだ。…あの時、辺りにピンク色のもやが見えなかった?』
リコ「えっ?」
ロイ「ピンク色のもや」
リコとロイは、テラパゴスがガラルファイヤーとラプラスに共鳴した後、古の冒険者ルシアスが現れた、不思議な景色を見たことをフリードに聞かれた。そして、その時ピンク色のもやが見えたかと聞かれ、リコとロイが不思議な景色を見た時のことを思い出していると、確かにピンク色のもやのようなものが見えたのを微かに覚えていた。
ロイ「う〜ん、どうだったかな…そんな感じがするけど」
リコ「私、覚えてるよ。オリーヴァの時も、不思議なピンクのもやに包まれて、そこでルシアスを見たよ」
フリード『OK。やっぱり、ピンク色のもやが見えたのは俺だけじゃなかったか』
ロイ「でも、それがどうかしたの?」
シンヤ『そのもやが、テラパゴスとラクアの謎を解くヒントかもしれないんだって。リコたちに電話する前に、俺もピンク色のもやのことを聞かれた』
フリード『一応、リコたちにも聞いておきたくてな。また連絡する。テラスタル研修、最後まで頑張れよ』
シンヤ『こっちの用事が終わったら、俺もオレンジアカデミーに戻るから。じゃあな』
リコ「うん!」
ピカチュウ『ピカビィーカ!』ピッ
ロイ「テラパゴスとラクアの謎を解くヒントって何だろう?」
リコ「きっと、フリードには何か考えがあるんだよ」
パルデア地方・エクシード社の前
モニターの映像『あなたとポケモンの未来をサポート!エクシード社にお任せください』
シンヤ「…テラパゴスとラクアの手掛かりがある場所って、この《エクシード社》か?」
ピカチュウ「ピカッ」
フリード「そうだ。ここに手掛かりがある筈なんだ」
キャプテンピカチュウ「ピカッ」
シンヤとフリードたちがやってきたのは、パルデア地方に建てられている、《エクシード社》という会社の前だった。シンヤもテレビやCMで何度か見たことはあるが、このエクシード社はトレーナーとポケモンのために、あらゆる研究がされている有名な会社だった。フリードの話では、ここにテラパゴスとラクアの手掛かりがあるようだが…
シンヤ「なぁフリード。なんで俺を呼んだんだ?調べ物なら、フリード1人で充分の筈だろう?」
フリード「…お前には、知っておいてもらった方がいいと思ってな。だから一緒に来てもらったんだ」
シンヤ「…何を知るの?」
フリード「まぁ、それは後でな。…さ〜て、覚悟はできた。行くぞ」
シンヤ「覚悟?」
ピカチュウ「ピィーカ?」
キャプテンピカチュウ「ピカッ?」
テラパゴスとラクアの手掛かりを探すなら、自分1人でここに来ればいい筈なのに、シンヤは自分がここに連れてこられた意味が分からず、それをフリードに聞いてみた。するとフリードは、シンヤには知っておいてほしいことがあるようだが、あまり詳しくは話そうとしなかった。そして、フリードが覚悟はできたと言うと、シンヤたちはその言葉の意味が分からず、頭にクエスチョンマークが浮かんだ。そして、フリードがエクシード社の中に入って行ったので、シンヤたちがフリードの後について行くと、フリードは社長室の扉の前にやってきた。
エクシード社・社長室の扉の前
シンヤ「ここって、社長室?」
フリード「ああ。昨日社長に連絡を入れて、今日会う約束をしたんだ」
コンコンッ(扉を叩く音)
??ん「誰かな?」
フリード「フリードです!」
???「おぉ、来てくれたか!中に入ってくれ」
ガチャ(扉を開ける音)
フリード「失礼します!」
フリードが扉をノックすると、社長室の中には誰かいるようで、中から声が聞こえてきた。そして、フリードが自分の名前を答えると、中に入ってくれと言われたので、フリードは扉を開けて、シンヤたちと一緒に社長室の中に入った。
???「フリード君、よく来てくれたね。っで、肩にピカチュウを乗せている彼が、昨日電話で話してくれた」
フリード「はい。今一緒に冒険をしている…」
シンヤ「初めまして、シンヤといいます。それと、俺のピカチュウです」
ピカチュウ「ピカビィーカ!」
シンヤたちが社長室の中に入ると、社長室の部屋の奥に立っている、スーツ姿の黒髪の男性が微笑みながら立っていた。その男性はフリードより歳上な感じの人で、左手の薬指には指輪が嵌められていた。
クレイブ「ようこそ、エクシード社へ。私がエクシード社の社長、《クレイブ》だ」
フリード「お久しぶりです。クレイブ社長」
シンヤ「えっ?」
クレイブ「本当に久しぶりだね。さぁ、そこに座ってくれ。話は座りながらしよう」
社長室の中にいた男性は《クレイブ》といって、このエクシード社の社長だった。フリードがクレイブにお久しぶりですと挨拶をすると、シンヤは一瞬驚いた。そして、話は座りながらしようとクレイブが言うので、シンヤたちは社長室に置いてあるソファーに腰を下ろした。ソファーの近くには、クレイブのポケモンと思われる《チラチーノ》がいた。
クレイブ「こうしてまた君と会えて、とても嬉しいよ」
フリード「いえ!社長に聞きたいことがあるからと、こうして時間を作ってもらって、とても感謝しています!」
シンヤ「…あの、クレイブさんは、フリードのことを知っているんですか?」
クレイブ「もちろんだよ。昔フリード君は、このエクシード社の社員として、ここで働いていたのだから」
シンヤ「えっ?……あっ!前にライジングボルテッカーズ結成の話を聞いた時、とある企業で働いてたってフリードが言ってたけど…」
フリード「ああ。まだキャップと出会う前に、俺はここで働いてたんだ」
シンヤ「でも、確か研修室に籠ってるのは性に合わないって言って、会社を辞めたって…」
クレイブ「ハハッ、そうだったね」
フリード「本当にすいませんでした!」
クレイブ「えっ?」
フリード「クレイブ社長が俺の論文を認めてくれたから、俺はこのエクシード社で働けたんです。…それなのに、俺は自分勝手に会社を辞めてしまって…本当に、ご迷惑をおかけしました」ペコッ(頭を下げる)
以前ガラル地方に到着する前日に、フリードが話してくれた、ライジングボルテッカーズ結成の話。その話の中で、フリードはとある企業で働いていたと言っていた。その企業こそ、このエクシード社だった。フリードはここの研究員として、ポケモンのことを調べて研究していたが、研究所に篭っているのが自分の性に合わず、このエクシード社を退職した。フリードはそのことを、エクシード社の社長であるクレイブに謝った。
クレイブ「…いずれ、そうなると分かっていたよ」
フリード「えっ?」
クレイブ「君は、狭い場所に収まる人間ではないからね。でも、ポケモンの研究は今も続けているんだろう?」
フリード「はい!今は仲間たちと一緒に飛行船で世界を冒険して、ポケモンの謎と、世界の謎を解き明かす旅をしています。…あっ、コイツは俺たちの船長、キャプテンピカチュウです」
キャプテンピカチュウ「ピィカ!」
クレイブ「ポケモンを見れば、トレーナーがどんな人間か分かる。私もこのエクシード社で、ポケモンとトレーナーのために研究を続けてきた。志はフリード博士、君と同じつもりだよ」
フリード「クレイブ社長」
チラチーノ「チィノ…」
キャプテンピカチュウ「ピッ⁉︎」
クレイブ「ハハッ。帽子の汚れが気になるみたいだ」
フリード「社長のチラチーノ。相変わらず綺麗好きですね」
どうやらクレイブには、いつかフリードがエクシード社を辞めることが分かっていたようだった。そして、エクシード社を辞めた今でも、ポケモンの研究を続けているのかと聞くと、仲間たちと一緒に飛行船で世界を冒険し、ポケモンの謎と、世界の謎を解き明かす冒険をしているとフリードは答えた。すると、いつの間にかキャップの近くに来ていたチラチーノがキャップの隣にやってくると、白い体毛でキャップの帽子の汚れを落とし始めた。
シンヤ「なぁフリード。社長と楽しく話しているところを悪いんだけど、ここに来た目的を教えてくれ。俺はそっちに興味があるんだけど」
フリード「ああ、分かってる。…社長、ここに来た要件なんですが」
クレイブ「…《永遠のめぐみ》のことだったね」
シンヤ「永遠のめぐみ?」
フリード「ああ。俺が研究チームに配属されているわずかな時に、ここで研究していたものなんだ」
シンヤ「えっ?フリードここで働いてたのに、何も知らないのか?」
フリード「俺が研究チームに配属された時も、詳しくは教えてもらえなかったんだ。その後ここを辞めたから、俺は何も知らなくてな」
クレイブ「だが、何故今になって、永遠のめぐみに興味を?」
フリード「俺たちは今、あるポケモンの秘密を調べていて、そのポケモンに何か関係があるかもしれないと思って」
クレイブ「…相変わらず、ポケモンのことにはまっすぐだな。君らしいよ」
永遠のめぐみ。それがどういう物か分からないが。どうやらそれが、テラパゴスとラクアに関係があるものらしく、それがこのエクシード社で研究されていたようだ。フリードがここに来たのも、クレイブからそのことを聞くためだった。
クレイブ「永遠のめぐみ。…あの物質がなんだったのか、私にも分からなくてね。上から持ち込まれ、外部の研究者チームが取り仕切っていたというのもあるが…」
フリード「上?」
シンヤ(このエクシード社だって、パルデア地方で充分に大きい会社の筈だ。その上から持ち込まれたとなると…とても大きい組織が絡んでいるとしか思えない。…でも、永遠のめぐみって一体?)…「っていうか、部外者の俺がいるのに、そんなことを話していいんですか?」
クレイブ「構わないよ。昨日フリード君にも、君をここに連れて来た時、永遠のめぐみについて教えてほしいと言われていてね」
シンヤ「そうだったんですか」
フリード「ああ。永遠のめぐみのことを、お前にも知っておいてほしくてな。だからお前を呼んだんだ」
クレイブ「まあ本音を言えば、永遠のめぐみがこのエクシード社と関係ない物だから、話せるということでもあるんだ」
シンヤ「ハハッ、なるほど」
どうやら、エクシード社の社長であるクレイブにも、永遠のめぐみがなんなのか知らないようだ。クレイブが言うには、永遠のめぐみは上から持ち込まれ、上の外部の研究者チームが取り仕切って調べていたようだ。するとシンヤは、このエクシード社に永遠のめぐみを持ち込んだ、上の外部の研究者チームのことを考えていた。
クレイブ「不甲斐ないものだ。社長でありながら、逆らえない立場にいるのだから」
フリード「そうですか」
クレイブ「あまり力になれないが、君が置いていった社員証だ」スッ
フリード「えっ!」
クレイブ「まだセキュリティパスは有効なはずだ。この会社に、君の籍は残っているよ」
フリード「あ、ありがとうございます!」
クレイブは、逆らえない立場にいる自分ではあまり力になれないからと、フリードが以前ここで働いていた時に使っていた、フリードの社員証を渡してくれた。
チラチーノ「チーノ」スッ(帽子を渡す)
ピカーーン(綺麗になった帽子)
キャプテンピカチュウ「ピカピカ!」
クレイブ「折角ここまで来たんだ。研究室にいるみんなにも、会ってくるといい」
フリード「はい」
クレイブ「シンヤ君も、良ければここを見学していくといい」
シンヤ「はい。ありがとうございます」
ピカチュウ「ピィーカ」
チラチーノが綺麗にしてくれた帽子をキャップが受け取ると、シンヤたちは社長室を出て、エクシード社の研究室にやってきた。そこには、エクシード社のマークがついてる白衣を着ている、エクシード社の社員の人たちが働いていた。それを見たフリードは、以前ここで働いていた時と何も変わってないことに安心していた。
エクシード社・研究室
フリード「変わんねぇな」
シンヤ「フリード、働いていた場所を懐かしがるのもいいけど…」
フリード「分かってるって。早速…」
キャプテンピカチュウ「ピカッ⁉︎」
バチュル「バチュ」
シンヤ「えっ?」
ピカチュウ「ピッカッ!」
フリード「キャップ!…ん?この《バチュル》、もしかして…」
???「フ…フリード先輩⁉︎」
シンヤとフリードが話をしていると、突然キャップが声を出した。シンヤたちがキャップの背中を見てみると、そこにはくっつきポケモンの《バチュル》が張り付いていて、バチュルはキャップの静電気を吸い取っていた。フリードはそのバチュルのことを知っているようで、キャップがそのバチュルを振り払うと、バチュルはシンヤたちの前を歩いて行った。すると、いつの間にかシンヤたちの目の前に、白衣の中に黄緑色のセーターを着ている、柳色の髪をした男性が立っていた。バチュルは男性の手に飛び移ると、男性の手から肩に、肩から頭の上に飛び移った。そして、男性はフリードを見ると、フリードのことをフリード先輩と言った。
フリード「久しぶりだな。元気…」
???「会社を辞めたって聞いて心配してたんですよ!今どうしてるんですか⁉︎ここに戻ってきたってことですか⁉︎…ん?このピカチュウ、先輩の新しいポケモンですか?帽子をかぶってかわいいですね!」
キャプテンピカチュウ「ピッ…カチュ!ピカッチュ!ピカッチュ!」(キャップのクシャミ)
男性は自分の目の前にいたフリードを見ると驚いていて、フリードが挨拶しようとすると、いきなりフリードの目の前にやってきた。そして、マシンガントークをしていると、フリードの肩に乗っているキャップに目を向け、帽子をかぶっているキャップにかわいいと言ってしまう。すると、キャップのアレルギーが発生し、キャップはクシャミをしてしまう。
フリード「お前も変わんねぇな。ああ、そうだ。紹介するよ。今、俺が一緒に旅をしている…」
シンヤ「初めまして、シンヤです。コイツは俺のピカチュウです」
ピカチュウ「ピカビィーカ!」
ヤンガ「初めまして。僕はフリード先輩の後輩で、《ヤンガ》といいます。この子は僕のバチュルで」
バチュル「バチュ!」
バチュルが頭に乗っている男性はヤンガといって、フリードがここで働いている時に入社してきた、フリードの後輩のようだ。シンヤがヤンガに挨拶をすると、ヤンガもシンヤに挨拶をした。
フリード「実は調べたいことがあってな。それでここに来たんだ」
ヤンガ「調べ物?それって、過去の研究データですか?」
フリード「丁度いい。手伝ってくれないか?」
ヤンガ「はい!先輩の頼みなら!」
フリード「サンキュー!一杯奢るぜ」
エクシード社・休憩室
カタカタカタカタ(キーボードを押す音)
ヤンガ「でも、どうして今更、終わったプロジェクトを調べるんですか?」
フリード「どうしても知りたいことがあってな」
ピィ!
ヤンガ「ありました!」
フリード「あっ?」
シンヤ「これは…」
ピカチュウ・キャプテンピカチュウ「「ピカッ?」」
フリードは偶然出会ったヤンガに、過去に永遠のめぐみを研究していたデータを調べてもらうために、ヤンガに協力を頼んだ。そして、シンヤたちはエクシード社の休憩室に移動すると、ヤンガは自分のパソコンを使って、過去に永遠のめぐみを研究していた頃のデータを調べていた。するとヤンガのパソコンに、フリードが白衣を着て、真面目に仕事をしている写真が写し出された。
フリード「おいおい!なんだよこれは!(゚Д゚)」
キャプテンピカチュウ「ピピーカw!」
フリード「笑うなよキャップ」
シンヤ『…普段もこれだけキリッとした顔をしてれば、リコとロイに、意外に博士の仕事をしてる、なんて言われなくて済むんだけどな』
ピカチュウ「ピィーカ…」コクッ
フリード「ヤンガ、真面目に探してくれよ」
ヤンガ「違いますって、こっちの写真を見てください」
ピッピッ(写真をズームする)
パソコンに写し出されたフリードの写真がある、後ろの写真の方をヤンガがマウスでクリックすると、その写真には白衣を着ている研究者の人たちが、機械を使って何かを調べているところが写っていた。そして、機械を使って調べている物をズームすると、そこに映ったのは、カプセルの中に入っている、《ピンク色の結晶石》だった。
フリード「…《永遠のめぐみ》」
キャプテンピカチュウ「ピカ」
シンヤ「これが⁉︎」
ピカチュウ「ピッカッ」
ヤンガ「そう呼ばれていましたね。でも、確か正式には、ラク…」
フリード「やっぱ似てるな」
ヤンガ「えっ?何がですか?」
フリード「いや、こっちの話だ。…ヤンガ、永遠のめぐみの資料の方を出してくれ。全部のデータに目を通したい」
ヤンガ「はい。ちょっと待っててください」
フリード「あれが何なのか?どこから持ち込まれたか?それが分かれば…」
シンヤ(…永遠のめぐみ…か…)
永遠のめぐみの写真が写し出されると、シンヤたちは黙ってその写真を見ていた。ヤンガが何かを言いかけると、フリードは永遠のめぐみの資料を見たいと言い出し、全部のデータを見せてくれるように頼んだ。そして、ヤンガがデータベースにアクセスしようとしていると、フリードはクレイブが言っていた、永遠のめぐみを持ち込んだ外部の研究者のことを考えていた。すると…
ビィーッ(エラー音)
ヤンガ「あれ?おっかしいな?」
フリード「どうした?」
ヤンガ「それが、いきなりデータベースにアクセスできなくなっちゃって…サーバーのエラーかな?もう1回アクセスしてみますか?」
フリード「…どうもキナ臭いな。実物をこの目で見た方が早い。これは今どこにある?」
ヤンガ「え〜っと、地下の保管庫にあると思いますよ」
フリード「分かった。後は俺とシンヤで大丈夫だ」
ヤンガ「良ければ案内しますよ。誰もいない場所ですし」
フリード「いや、大丈夫だ。ありがとな。行くぞシンヤ!」
シンヤ「ああ、分かった」
フリード「ヤンガ、研究頑張れよ!」ダッ
ヤンガ「何も走らなくても…フフッ…先輩も変わってないですね」
ヤンガがデータベースにアクセスしようとすると、それが出来なくなってしまった。するとフリードは、永遠のめぐみを実際に見ようとして、ヤンガに永遠のめぐみがある場所を聞くと、地下の保管室にあるとヤンガは答えた。それを聞いたフリードは、シンヤを連れて地下の保管室に向かった。そんなフリードを微笑みながら見ていたヤンガは、フリードに奢ってもらったサイコソーダの缶をゴミ箱に捨てると、休憩室を後にした。すると、休憩室の近くの廊下で、今のシンヤたちの話を聞いていた1人の人物が、廊下を歩いてどこかに向かっていた。
エクシード社・廊下
???「フフッ」
エクシード社・エレベーター
シンヤ「なぁ、本当に永遠のめぐみっていう物質が、テラパゴスやラクアの手掛かりに繋がるのか?」
フリード「俺はそう思ってる。それに、永遠のめぐみがピンク色の結晶石だってことと、不思議な現象が起きた時に発生したピンク色のもや。シンヤだって、偶然の一致とは思ってないだろう」
シンヤ「確かに、偶然、色が一緒だったとは思えないけどさ」
フリード「だからこそ、実物を見た方がいいんだ」
シンヤ「…にしてもフリードって、社長さんにもだけど、職員の人にも慕われてたんだな。ヤンガさん、フリードが会社を辞めたって聞いた時は、相当心配してたみたいだし」
フリード「べ、別にいいだろ。その話は…」
チーンッ!(到着音)
エクシード社・地下室
フリード「真っ暗だな」
ピカチュウ・キャプテンピカチュウ「「ピーカ、チューウ!」」
シンヤ「おっ、ピカチュウ、キャップ、サンキュー!」
永遠のめぐみが置いてある保管室に行くために、シンヤたちはエレベーターに乗って、エクシード社の地下室にやってきた。しかし、地下室は電気が通っていなかったため、先の方まで真っ暗だった。すると、ピカチュウとキャップが自分の体を発光させてくれたおかげで、少しだけ辺りは明るくなった。そして、シンヤたちが地下室を歩き続けていると、エクシード社のマークがある、大きな扉の前にやってきた。
シンヤ「ここか?」
フリード「いや、保管室はこの先にあるんだ」
ピッ(社員証を翳す)
ウィーン(扉が開く)
キリキザン「キザッ!」
イオルブ「イオッ!」
ミルホッグ「ミッ!」
シンヤ「えっ⁉︎」
ピカチュウ「ピッカッ!」
フリード「おいおい、誰もいないんじゃなかったのかよ!」
キャプテンピカチュウ「ピーカッ」
フリードが社員証を認証装置に翳すと、目の前の扉が開いた。しかし、扉の中には《キリキザン》と、ななほしポケモンの《イオルブ》。そして、けいかいポケモンの《ミルホッグ》が立っていた。ヤンガが誰もいないと言っていたから、シンヤたちも地下室には誰もいないものだと思っていたので、キリキザンたちがいてびっくりしてしまう。
フリード「え〜っと、そこを通してもらってもいいか?」
イオルブ「オールッ!」
キャプテンピカチュウ「ピカッ!」
バンッ!
ミルホッグ「ミーーッ!」
キリキザン「ザーーキッ!」
ピカチュウ「ピッカッ!」
キャプテンピカチュウ「ピカッ!」
フリードはキリキザンたちに笑顔を向けて、ここを通してもらってもいいかと聞くと、イオルブは糸を口から出してフリードを攻撃してきた。しかし、フリードに糸が当たる前に、キャップが「かみなりパンチ」で糸を弾いてくれた。イオルブの攻撃が弾かれると、今度はキリキザンとミルホッグが、ピカチュウとキャップを攻撃してきた。だが、ピカチュウとキャップは、キリキザンとミルホッグの攻撃を難なくかわした。
シンヤ「どうやら話し合いは通じないようだな」
フリード「しかたねぇ、なら強行突破だ!」
ピカチュウ「ピッカッ!」
キャプテンピカチュウ「ピィーカ!」
シンヤ「ピカチュウ!「10まんボルト!」」
フリード「キャップ!「かみなりパンチ!」」
ピカチュウ「ピッカッチューウ!」
キャプテンピカチュウ「ピカ!ピカチュー!」」
バァァァン!
キリキザン「キーザッ⁉︎」
イオルブ「オールッ⁉︎」
ミルホッグ「ミーッ⁉︎」
キリキザンたちが道を通してくれそうにないので、シンヤたちはキリキザンたちを倒して強行突破することを選び、シンヤはピカチュウに「10まんボルト」を、フリードはキャップに「かみなりパンチ」を指示した。そして、先にピカチュウが「10まんボルト」を放ってキリキザンたちにダメージを与えると、次はキャップが「かみなりパンチ」でキリキザンたちを殴り飛ばした。
シンヤ「今のうちに奥に行こう!」
フリード「おう!」
ピカチュウ「ピッカッ!」
キャプテンピカチュウ「ピカチューッ!」
フリード「研究はとっくに終わってるのに、なんでここに見張りがいるんだ?」
シンヤ「どうやら、永遠のめぐみっていう物質を、余程見られたくない奴がいるらしいな」
フリード「あそこだ!」
シンヤ「ちょっと待った!あそこに監視カメラがある!」
フリード「まずい!俺たちの姿を見られたか⁉︎」
キャプテンピカチュウ「ピカピカ!」
ピカチュウたちの攻撃を受けたキリキザンたちが倒れると、シンヤとフリードたちは、永遠のめぐみが置いてある保管室に向かって走って行った。そして、保管室の扉の前にやってくると、シンヤは保管室の扉の上の場所に、監視カメラが取り付けられているのを発見した。監視カメラが自分たちの姿を映しているので、キャップは監視カメラがある場所の近くに走って行くと、そこからジャンプをして監視カメラを壊そうとした。
フリード「待てキャップ!それは…」
キャプテンピカチュウ「ピカッ!」
バシンッ(監視カメラを壊す)
キャプテンピカチュウ「ピーカッ」
ビィ!ビィ!(警報の音)
フリード「…壊すと警報が鳴るようになってるんだ」
シンヤ「…フリード…これはちょっと…やばいんじゃないかな?(・_・)」
フリード「…後でクレイブ社長に謝んねぇとな」
キャプテンピカチュウ「ピーカ(。-_-。lll)」
ピカチュウ「ピカビィーカ!」
シンヤ「あっ、そうだった!」
フリード「急がねぇと!」
キャップが監視カメラを壊そうとすると、フリードはキャップを止めようとするが、それより早く、キャップが尻尾で監視カメラを叩いて壊してしまう。キャップは監視カメラを壊すと、まるでどうだと言わんばかりに威張っていた。しかし、監視カメラが壊れたことで警報が鳴ってしまい、フリードがクレイブに謝んねぇとなと言うと、キャップは落ち込んでしまう。すると、ピカチュウが声を上げたことで、シンヤとフリードはここに来た目的を思い出し、保管室の扉の前に走って行った。
ガチャ(扉を開ける)
保管室
フリード「ガラクタばかりだな」
キャプテンピカチュウ「ピィーカ」
シンヤ「フリード」
フリード「ん?どうしたシンヤ?」
シンヤ「これを見てくれ」
シンヤたちは保管室の中に入ると、永遠のめぐみと呼ばれる、ピンク色の結晶石を探していた。だが、保管室の中にはガラクタが多く、永遠のめぐみは見つからなかった。すると、シンヤがフリードを呼んだので、フリードはシンヤのいる場所に向かった。
フリード「これは…永遠のめぐみ…《ラクリウム》?」
シンヤ(ラクリウム……あっ、もしかして!あの時、リュウセイと戦っていた男が手に入れようとしていたのが、このラクリウムって物質だったのか!)
シンヤがフリードに見せたのは、四角いガラスケースだった。しかし、ガラスケースの中には何も入っておらず、1枚の紙だけが入っていた。その紙には、永遠のめぐみという結晶石が《ラクリウム》と呼ばれていることが書いてあった。それを見たシンヤは、ミライドンとレックウザがぶつかった時に見えたビジョンでリュウセイと戦っていた男が手に入れたがっていたのが、このラクリウムではないかと思った。
ガチャ(扉を開ける音)
廊下
フリード「ッ!」
警備員「……」
警備員2「……」
警備員3「……」
キリキザン「キーーザッ」
イオルブ「イオッ」
ミルホッグ「ミッ」
シンヤ「…警備員の人まで増えてるし」
フリード「待ってくれ。俺たちは怪しい者じゃない。ほら、ここに社員証も…」
キリキザン「キザッ!」
イオルブ「イオッ!」
ミルホッグ「ミッ!」
シンヤ「どうやら、社員証は意味がないみたいだな」
フリード「ああ。リザードン!」
シンヤ「ガブリアス!」
ポーーン!
リザードン「リザァァァ!」
ガブリアス「ガァァァブッ!」
保管室に永遠のめぐみがなかったので、シンヤたちは入ってきた保管室の扉を開けて廊下に出た。するとそこには、さっきのキリキザンたちが、扉から少し離れた場所に立っていて、キリキザンたちの近くには、3人の警備員がいた。フリードは社員証を出して、自分たちが怪しい者じゃないと言うが、警備員やキリキザンたちは聞く耳を持たなかった。そして、シンヤたちはこの場を脱出するために、ガブリアスとリザードンを繰り出すと、シンヤとピカチュウはガブリアスに、フリードとキャップはリザードンの背中に乗り込んだ。
フリード「キャップ!「ボルテッカー」で駆け抜けろ!」
キャプテンピカチュウ「ピッカッ!ピカピカピカピカー、ピカピッカーーッ‼︎」
バァァァン!
キリキザン「キーザッ⁉︎」
イオルブ「オールッ⁉︎」
ミルホッグ「ミーッ⁉︎」
フリード「シンヤ!今のうちだ!」
シンヤ「OK!ガブリアス!」
ガブリアス「ガァァァブッ!」
警備員「待て〜〜ッ!」
警備員2「止まれ〜ッ!」
フリードがキャップに「ボルテッカー」を指示すると、キャップは走りながら体に電気を纏って、そのままキリキザンたちにぶつかっていき、キリキザンたちが倒れると、ガブリアスとリザードンに乗ったシンヤとフリードは警備員のいる前を突っ切り、廊下の壁を曲がったところでガブリアスとリザードンから降りると、ガブリアスとリザードンをボールに戻し、フリードが社員証を認証装置に翳すと目の前の大きい扉が開いたので、シンヤたちは急いで扉を通ってエクシード社の外に逃げ出した。シンヤたちが扉を通って逃げたので、警備員たちは急いでシンヤたちを追った。警備員がいなくなると、さっきからシンヤたちの様子を廊下の隅で見ていた、1人の人物が姿を現した。
スピネル「フフッ」
シンヤたちの様子を見ていたのは、エクスプローラーズの幹部の1人の《スピネル》だった。どうやらスピネルは、このエクシード社の社員として、会社に潜入していたようだ。そして、シンヤたちが扉を通ったのを確認すると、スピネルは白衣の右ポケットに隠した物を握りしめると笑みを浮かべていた。
路地裏
フリード「ハァ、ハァ、…ここまで来れば安全だろ」
シンヤ「ハァ、ハァ、あぁ疲れた…」
フリード「…永遠のめぐみ…いや、ラクリウムか。あれだけ警備を厳重にして守るってことは、何かあるはず。…保管室になかったとなると、誰が持ち出しだということになる。クレイブ社長なら、わざわざ俺にカードキーである社員証を渡す訳がない。…一体誰が?」
シンヤ「…恐らくだけど、ラクリウムを持ち出したのは、奴らの可能性が高いだろうな」
フリード「…まさか!」
シンヤ「そのまさかだろうな。恐らくラクリウムを持ち出しのは…」
フリード「《エクスプローラーズ》!」
路地裏の上空
オーベム「オーベッ…」
シンヤとフリードがエクシード社の地下室から脱出している頃、オレンジアカデミーを目指していたリコたちは、偶然出会ったアンと一緒に、オレンジアカデミーに戻っていた。
オレンジアカデミー道中
アン「リコ、今日はありがとう。楽しかった」
リコ「ううん。私たちも楽しかったよ。ニャローテたちも嬉しそうだし」
アン「…リコ…あのね。私、本当は1人でパルデアに来るの、ちょっと不安だったんだ。カントーを出たことなんてなかったし、1人でうまくやれるのかなって」
リコ「…そうだったんだ。…私もね、セキエイ学園に入学した時は不安だったんだ」
アン「だよね!やっぱり、最初はみんな不安だよね」
リコ「うん。でもニャローテと、その時はニャオハだったけど。相棒が一緒だったから、一歩を踏み出せた」
アン「うん。私もフタチマルとサンドと一緒に、パルデアに来て思ったんだ。この子たちがいれば、一歩を踏み出せる。どこにだって連れて行ってくれるって」
フタチマル「フタチッ!」
サンド「サンッ!」
リコ「連れて行ってくれる…」
アン「うん。今、私がパルデアにいるのは、フタチマルとサンドのおかげなんだ」
リコはアンから、1人でパルデアに来るのが不安だったことを聞くと、自分もセキエイ学園に入学した時は、不安だったことをアンに話した。しかし、相棒ポケモンがいたからこそ、一歩を踏み出すことができたのだと、リコはアンにそう伝えた。それはアンも同じで、フタチマルとサンドが一緒だったからこそ、一歩を踏み出すことができて、フタチマルたちがどこにだって連れて行ってくれるんだと、アンはリコにそう伝えた。
ヒョコ(鞄からテラパゴスが顔を出す)
テラパゴス「パーゴ!」(あくび)
リコ(私、テラパゴスをラクアに連れて行くって決めたけど…もしかしたら、テラパゴスが私たちを、ラクアに連れて行ってくれるのかな?)
テラパゴス「パーゴ!」
ピョン(テラパゴスが鞄から出る)
ロイ「リコ!アン!見えてきたよ!」
リコ「アン!テラパゴス!一緒に行こう!」
アン「うん!」
テラパゴス「パーゴ!」
リコ「着いた!」
全員「「「「ただいま!オレンジアカデミー!」」」」
アンから話を聞いたリコは、自分たちがテラパゴスをラクアへ連れて行くのではなく、テラパゴスが自分たちをラクアへ連れて行ってくれているのだと思い至る。そして、リコは鞄から飛び出たテラパゴスを抱えて、アンと一緒に前に走り出すと、遂にリコたちは、オレンジアカデミーに帰ってきた。
エクスプローラーズのアジト
ハンベル「アメジオ様をお連れしました」
リコたちがオレンジアカデミーに到着した頃。エクスプローラーズのアジトでは、アメジオとソウブレイズがハンベルに連れられ、部屋の中がピンク色のもやに包まれている、ある部屋の前にやってきた。
ギベオン「…こうして直に会うのは、いつ以来だろうな。…アメジオ」
アメジオ「………」
アメジオとソウブレイズが、ある部屋の前にやって来ると、部屋の中のピンク色のもやが少し晴れていき、そこから1人の人物が姿を現した。その人物は、座椅子のようなものに座っており、ロングの白髪の髪をして、目元がアメジオにそっくりで、まるで白髪ロングのアメジオを思わせる容姿をしている、和風な衣装を身に纏っている老人だった。その老人の右側には、オレンジ色の光の柱が建っていて。左側には、カロス地方の伝説のポケモンである《ジガルデ》。それも色違いの白いジカルデが10%フォルムの状態で立っていた。そしてその老人は、モンスターボールをセットできるベルトと思わしきものを腰に巻いていた。
ギベオン「ここに呼んだのは他でもない。…お前の覚悟を聞くためだ」
アメジオ「覚悟…」
ギベオン「我らの大いなる繁栄の為には、《永遠のめぐみ》…《ラクリウム》が必要なのだ。より多くのラクリウムが。故に鍵となる、テラパゴスの《真なる覚醒》を、私は待っているのだ」
アメジオ「…ならば、テラパゴスが覚醒した時は…」
ギベオン「必ず奴らから奪い取る。…アメジオ、《私の血を受け継ぐ者》として、務めを果たすのだ」
アメジオ「ッ!…あなたの《孫》であることに、私は誇りを持っています。必ず、あなたの力になることを約束します。《お爺様》」
今まで謎だった、エクスプローラーズのボスの正体。その正体は、アメジオの実の《祖父》のギベオンだった。どうやらギベオンの目的は、永遠のめぐみ…ラクリウムを手に入れることのようで、そのラクリウムを手に入れるために、ギベオンはテラパゴスを狙っていたようだ。
エクスプローラーズのアジト・廊下
ハンベル「ご立派でした。アメジオ様のお覚悟、さぞかし、ギベオン様もお喜びでしょう」
アメジオ「俺は、お爺様の意思を受け継げなかった《父》とは違う。必ず、お爺様の意思を受け継いでみせる」
ハンベル「アメジオ様の働きに、私も期待しております」
アメジオ「テラパゴスを手に入れるために、俺は更に力を手に入れる。ソウブレイズ、俺についてきてくれるか?」
ソウブレイズ「ブレイッ!」
ロトロトロト…ロトロトロト…ピッ
アメジオ「どうした?」
コニア『スピネル様が動きました。エクシード社から出てくると、ゲーチスの乗っている車に乗り、どこかへ向かったようです』
アメジオ「やはりな。またゲーチスと一緒に、裏でコソコソと動いているのか…」
ジル『追いかけますか?今ならまだ…』
アメジオ「いや、深追いはするな。ご苦労だった」
ピッ
アメジオ(スピネルに監視をつけた甲斐があった。…奴は、まだ何かを企んでいる。黒いレックウザの時は遅れを取ったが、次は奴の好きにはさせん)
祖父であるギベオンの意思を受け継ぐために、アメジオが力を手に入れようと考えていると、スピネルを見張っていたコニアとジルから連絡が来た。アメジオは、以前スピネルが自分を出し抜き、黒いレックウザを捕獲しようとした時から、コニアとジルの2人にスピネルを見張っておくように頼んでいたようだ。そしてアメジオの読み通り、スピネルは何かを企んでいる様子だった。
To be continued
次回予告
リコたちがオレンジアカデミーに戻ってくると、校長であるクラベルから、特別ゲストとの交流戦があることと、オレンジアカデミーの姉妹校である《ブルーベリー学園》から、留学生が来たと発表があった。
次回「懐かしき再会!ブルーベリー学園からの留学生!」
モンスターオブインフィニティさん、星9評価ありがとうございます。
次の話はアニメの話をアレンジしたものではなく、オリジナルの話になります。